雑記帳


19 Jan 2003

 やっぱりホセ・クーラはすばらしい。
 輝かしくパワフルな声、幅広くドラマを語る歌い口、説得力のある演技力。徐々に普通でなくなっていくオテロ、堂々たる総督がただの懐疑的で嫉妬深い人間に成り下がっていく様を見事に演じた。眼福、耳福。
 デズデモナのイヴェリはキャリアは浅いが、目下世界の一流劇場に売り出し中のソプラノ。清楚な祈りから泣きまでとてもよい。スターになるだろう。
 ポーランド国立歌劇場はソリスト、オケ、合唱、どれをとっても一流の劇場だった。ヤーゴは難しそうな役だが見事に物語を回していたし、合唱は特にバス系がかっこいい。さすがスラブ系。オケもうまかった。合唱やバンダが多少ずれることはあるが、これはオペラではある程度仕方がないことだ。慣れないビジターのステージだしね。
 ともかく、とても値打ちのある公演だった。高かったけどね。

23 Dec 2002

 好きな歌手にMezzo Sopranoのアンネ・ゾフィー・フォン・オッターがいる。端正だが自在な歌曲や宗教曲で定評があり、幅広い声域でモーツァルトのC-mollのLaudamusなんか歌ったりする。
 先日、この人の「カルメン」をダイジェストで放送していた。これが実にうまい。普段のコンサートシンガーぶりからは想像もできない熱い歌唱と演技で場をさらっていく。完全版は27日の深夜にBS2で放送予定。
 先週放送していた「金曜フォーラム」で、「新エネルギー」について議論していた。冒頭にパネラーが一言ずつしゃべるのだが、その中で、総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会長でもある高名な学識経験者が、こう言った。気候変動について、人間の身体のついていける範囲で抑えなければ健康に良くない、みたいなことを。
 このあたりで腹が立ってきて、その後の議論は聞いていないし、この先生の普段おっしゃっていることも聞いたことはないので、この発言だけで彼を無能と決めつけることはできないが、仮にも我が国のエネルギー政策に深く関与する重要なポストにある学識経験者が(彼はエネルギーの専門家だ)気候変動問題のごくごく正当な普通の理解すらしていないことに戦慄を覚える。公共の電波で、公衆の面前で、彼は気候変動問題についてほとんど知識を持ち合わせていないということを、いけしゃあしゃあと言い放ったわけだ。恥を知るべきだ。彼も、そしてそのような者を要職に付けている者も。
(彼はちゃんと分かっている、という証明があればぜひお知らせ下さい。私もこのようなことを信じたくはないのです。)

6 Nov 2002

CD評
 小澤征爾/サイトウキネンオーケストラの「第九」である。
 待望の、そしてメガヒットかとも噂されるそれである。
 このオーケストラの「7番」を、私は買わなかった。小澤の「7番」を最も愛する私がそれを買わなかったのは、このオーケストラの、アマチュアが必死で演奏するような「かかった」感じが支配し、リズムが崩壊する傾向が、あまりにも強かったからだ。
 「第九」にも、それは散見される。フレーズの最後で走ったり、後からはいるパートがテンポを上げてしまったり、それはまるで本当にアマチュアの演奏のようだ。
 それでもなお、このオーケストラはなんとすごい音がするのだろう。ひとつ一つの楽器が鮮やかに浮かび上がり、楽器のポテンシャルまで達しそうな鳴り方をし、ときに咆哮する。名簿を見ても誰がソリストか分からないような木管、名簿を見ただけで恐ろしくなる低音弦。そしてあのホルン!!ホルンは金管楽器だと全面的に主張するホルン!!この曲のホルンでこんな音を聴いたことがあるか?

 東京オペラシンガーズの合唱は端正でメリハリがあり秀逸。あの人数でこのオーケストラと対抗するとは!例により若手実力派とおぼしき声楽ソリスト陣はそこそこの歌唱をみせるもオケと合唱に制圧されている。録音はまあまあか?ライブ録音なので贅沢はいえない。フィリップスから今日発売の一枚。

29 Sep 2002

 その人はそのままの輝きでそこにいました。うんうん。よかったよかった。今日は久しぶりになごめました。うれしいもんです。相棒もちゃんといるのがなおよいです。

25 Jul 2002

CD評
Fried Pride "Street Walking Woman"
 J-Jazz界期待のデュオ、フライドプライドの2枚目。ジャズ・ポップスのスタンダードを取りそろえ、おじさんたちにはたまらない選曲で二人の天才を遺憾なく発揮。Shihoのボーカルは一段と自在で縦横無尽。横田のギターは相変わらずの職人芸。そしてなんとシーラEをフィーチャーしている。
 録音もよく、買いの一枚。ジャズファンだけでなく、声が好きな人も、アコースティックサウンドが好きな人も楽しめるだろう。ビクターエンタテイメント/コンコードレーベルから昨日発売。

24 Jul 2002

CD評
ドミニク・ヴィス(カウンターテナー)「武満徹を歌う」
 ショット社の武満徹「Songs」全20曲を全て録音しているのはこれが初めてだろう。6曲は日本語で、ドイツ語、フランス語、スペイン語が1曲ずつ(いずれもオリジナルがそうなっている)、残りが英語の訳詞という構成。日本語はかなりまとも。ピアニストが独自に編曲した伴奏も相まって、シャンソンのようなしゃれたできばえである。
 演奏は一級、録音はもう一歩というところか。キングレコード「たまゆら」レーベルの独自企画のようで、国内盤しか存在しないようだ。本日発売の新譜。本体2857円。

21 Jul 2002

嵐去り 祇園囃子にうろこ雲

 むちゃくちゃな時代である。その割には、山鉾巡行が終わると義理堅く梅雨明け。梅雨だったのかどうかもよく分からないが。
 俳句詠みにとっては、この時代はやはりやりにくいのだろうか。これからは、俳句というものが本質的に成立しうるのだろうか。歳時記は死んだ文化の記録となり果てるのだろうか。

8 Jul 2002

 それにしても暑い。それはともかく、今年も気圧配置がおかしい。なんで颱風直撃なんだろう。皆さんが思っているより、そして我々が思っているより、ずっと早く深刻な影響が出始めているのではないか。残された時間は少ない。(ていうかもうない。)

 今日の新聞によると、とある高名な数学者(?)曰く、努力はむなしい。しかしむなしいと分かっていて努力するのがゆとりというもんだそうな。なるほどなあ。

 おいおい・・・ほんとかよ。こっちがもたんぞ。それでなにかあったらどうしてくれる。

24 Jun 2002

 どんなに悪辣な野郎でも、有罪が確定するまでは推定無罪だ。
 我が国で国会が議員を辞職させようとするときは、除名という手続きがある。憲法により、議員の3分の2以上の賛成により、議員を除名することができる。然るに、全会一致の辞職勧告決議というのは卑怯だ。
 我が国の国会では、議院運営委員会において「異議なし」採決を採用した場合、実際の議場で「異議あり」の声が聞こえようとも、「異議なしと認める」ものらしい。一般常識では想像もつかない世界があるものだ。

13 Jun 2002

 いやいや久々に堪能した。赤木りえmeets岡本博文@ライブスポットRAGです。眼福いや耳福?イスラエル・セデーニョはあいかわらずおたっしゃだったよ。半年に一度は来て欲しい赤木りえ。サインももらってちょっとほくほく。

 先日、河原町三条でブラジルサッカー少年ご一行様を見かけました。ブラジルは韓国で試合だったはず。どうやらついでに京都観光もしているようです。今回のW杯では、キャンプや試合を誘致した地元は負担ばかり多いわりに経済効果はあまり上がっていないそうです。京都は誘致に失敗したかわりに、このオフシーズンにホテルは一杯だそうです。世の中、なにがおいしいかわからないものです。
 年度末からどっぷりと更新をさぼってしまったのはほかでもない。いったい、この組織はなにをやろうとするのか?これを進めるべきと思っているのか?やる気がないならすっきりとやめにすればよいのだ。

25 Mar 2002

 私も立派な腰痛持ちだ。磁気共鳴断層撮影により、軟骨が少しばかりはみ出ていることが明らかになったのである。

 KOVOXはけして満足できる結果とは言い難いが、ある意味、こんなものだろうと思う。あまりまじめに考えるのも、いい結果を生まないかもしれないが。

18 Mar 2002

 数ヶ月ぶりに、腰痛でダウン。よろしくない。とりあえず整形外科へ。痛み止めをもらい検査の指示を受けて、午後から出勤。7時には帰ってやろうと思っていたが、結局9時になった。

 少し面白くなってきた。人材不足は否めないが、カビの生えた2極構造よりはよい。

2 Mar 2002

 エルム閉店まであと8日。

 近年、北白川が落ち込んでいると思う。まあ確かに人が集まる要素はもとからないけど、ハイソな住宅街と学生が消費文化を支えてきたのだろう。ここにも不況の波が。

22 Feb 2002

 いくら新発売だからって、昼休みのBGMをマーラーにするのはやめてほしい。電話の保留音に使うのもなんとかならないか。はっきり言って不快だ。いかに文化に鈍感かを証明しているだけだ。

29 Jan 2002

 おもろいことになっておるな。
 けんか両成敗、ある意味では非常にずるいやり方だが、うまい片づけ方をしたものだ。真実は闇の中。なにが悪くて、どう直さなければならないのか、すべて闇の中に屠ったのだ。
 だいたい、NGOを選別しようとすること自体に無理があると思うのだが。

17 Jan 2002

 いやはや、実にしょうもない。またも自治官僚を擁立するのか。人材難なのだろうな。地域そのものが。
 今日は我が職場でも訓練地震があった。教訓は1.非常ベルが聞こえない。(どんなんや)2.机の下には入れない。3.誘導はいい加減で頼りにならない。

3 Jan 2002

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。滅多に更新されない雑記帳ですが、少しずつ書いていきますのでよろしくお願いいたします。

 凡庸な狂言師の家柄のために希有な喜劇女優が舞台を下りる。うーむ。とやかく言う筋合いではないが、ちょっともったいない。

 KGが勝った。敵失を逃さず得点につなげ、追いすがるチャレンジャーズを振り切った。チャレンジャーズはディフェンスが自分たちのプレーをできていなかったように映った。

 中央環境審議会の小委員会が温暖化対策の国内制度の案を示し、パブリックコメントを募っている。案はつまらないもので、本当に温室効果ガス排出量の少ない社会を創ろうという意欲や覚悟が感じられない。それを覚悟して取り組もうとしている私たちにとっては、「二階に上げてはしごをはずす」ようなものだ。詳細はこちらから入手されたい。

21 Oct 2001

 久々のヒトメボレ、といっても米ではない。Fried Prideである。

14 Oct 2001

 体調を崩してステージをキャンセルするのは初めてである。関係者のみなさん、申し訳ない。(平謝り)
 それにしても、危ないとわかっていて体調を修復できない状況に陥るのはつらいものがある。まあ、今年の私の状態は総括的に見てこんなものなのだろう。このくらいの貢献度が限界のようだ。
 コンクールの結果は手厳しいものではあるが、示唆に富む結果でもある。また少しずつ前へ進めばよいのだ。

 この間、世間ではいろいろなことがあった。ひとつだけ言いたい。戦争をする上で、最も重要なポイントが後方支援ではないだろうか。つまり、後方支援は戦争行為の明白な一部であり、重要な任務なのである。そこをぼやかして戦争そのものではないかのような解釈で議論するのはよくない。後方支援が立派な戦争行為であることを明確にした上で、するべきかしてはいけないかを議論するべきだ。

2 Sep 2001

 大阪城ホールから帰ってきた。
 おかえり。そして、ただいま。20年ぶりの再会。または出会い。
 彼らは、時を超えて、そして時を育てて、私たちの前に再び現れたのだ。ヒゲもアポロキャップもそのままに、しかし確かに時を刻んだ顔で、わずかも色あせない、今なお輝き続ける数々のうたと、その血でできている新しいうたを、やわらかく、くっきりと私たちの前に置いた。ロックバンドとしてのAlice、フォークグループのAlice、ニューミュージックといわれるものの王者であるAlice。
 彼らは再会を約して、ひとまず大阪城ホールを去った。新しいステップへ向けて、新しい現在形の伝説を描く、しばしの別離。彼らのうたのように、別離は恋の専売ではない。
 私もまた、彼らと再会を約した。彼らの残像を確認しながら。若すぎた頃からのあこがれに実体を与え、足下に確かな土を認め、再会までの間、前を見て暮らそう。




 昨日の演奏会にご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
 いろいろありましたが、今の自分たちそのままに、それ以上でも以下でもない、良い時間を共有できたのではないかと思います。負荷をかけて取り組んだ今シーズン、少なくともそれを悔いることはない。
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