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e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第9冊[81〜90号]
通巻081号 2005.07.20発行 通巻086号 2006.04.18発行
通巻082号 2005.09.20発行 通巻087号 2006.06.22発行
通巻083号 2005.11.15発行 通巻088号 2006.08.06発行
通巻084号 2005.12.31発行 通巻089号 2006.09.28発行
通巻085号 2006.02.21発行    
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[085]
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2006/02/21[08-01-85]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 085号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

 ◆「(歌集)憂春」小島ゆかり 角川書店
 ◆「(歌集)DOOR」江戸雪 砂子屋書房
 ◆「(歌集)百万遍界隈」永田和宏 青磁社
   歌集類は昨秋の不作からやや回復の兆しがあり、とくに「百万遍」
   は出足がよくてすでに20冊を超えている。ここ何年か角川の歌集は
   角川学芸出版扱いで直販オンリーのため、仕入れができなくて困っ
   たことだったが、創立60周年記念出版とかいう角川短歌叢書はいち
   おう仕入れ可能である。ただし、ふつうには予約できないし、発売
   日に書店用サイトで発注しようとしても売り切れ扱いになっている
   ので、いちいち日販の担当者にお願いしなくてはならないのでめん
   どうくさい。ようするに、角川の受注システムは初版千部クラス本
   には対応していないのだろう。それにおそらくは重版もする気がほ
   とんどないだろうから、あまり多くは売れないだろう。
    
 ◆「水声社通信 No.3:特集・村山知義とマヴォイストたち」水声社
   いまどき月刊でこんな立派な雑誌(※書籍扱い)を出すのは無謀で
   はと思ったが、案の定1号、2号はまったく売れなかった。しかし
   やっとこの号から売れ始め、バックナンバーも少しづつ売れている。
   しかし、早いとこ隔月か季刊にしたほうが長続きするのではと思う。
   
 ◆「みすず2006年1/2月 読書アンケート特集」みすず書房
   毎年これのみ買いに来られるお客が何人もおられる。買切りなので
   置いていない書店がほとんどなのだろう。だからこの雑誌くらいは、
   丸善やブックファーストが消えたら売れ行きが伸びるのではと思っ
   たが、いまのところ例年と同じで30冊程度。 
     
 ◆「東京大学のアルバート・アイラー」菊地成孔ほか メディア総研 
   ジャズの本はよく売れるので比較的揃えているが、売れているのは
   30年一日のごとき「名盤ガイド」の類ばかりである。その中にあっ
   ては5冊ほど売れたこの本は珍しいほうである
   
 ◆「Coyote No.9」スイッチ・パブリッシング
   この号が吉本隆明の特集だと知ったのは、発売から1週間ほどあと
   だった。すぐに15冊FAXで発注したが、年末ぎりぎりになっても
   入荷しないので、メールとFAXで問い合わせたが返事がなかった。
   年明け早々に電話してみると、商品は在庫無しの返品待ちで、返品
   が戻り次第出荷するとのことだった。そして驚いたことには、FA
   Xやメールには返信する気がない、初めから電話してくれば返事で
   きたと言われた。いまどきあの岩波書店よりも不親切な出版社があ
   ることに驚いたが、よほど売れ行きがよくて強気な商売が可能な出
   版社なのだろう。その後もまったく入荷しなかったが、1月下旬に、
   月末閉店のブックファースト河原町店を見学していたら、30冊ほど
   積んであるのを見つけたので、日販京都支店に調整を依頼したとこ
   ろすぐに届けてもらえた。発注から入荷まで40日近くかかったわけ
   で、ずっと待っていただいていた通販客には送料無料で発送した。
   日販の人の話では、この出版社は以前から要注意なのだとのこと。
   あのまま待っていたら4月まで入荷しなかっただろうとも言われた。
   しかし、営業は非常識でも編集のほうはかなり優秀で、吉本氏の特
   集そのものは好評である。現在25冊ほどの売上。 
  
  
[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

 ◆「(歌集)」吉川宏志 短歌研究社※タイトル不明。3月刊予定?
 ◆「(歌集)軌跡」三井修 角川書店
 ◆「家族のゆくえ」吉本隆明 光文社 
 ◆「芸術人類学」中沢新一 みすず書房
 ◆「詩学叙説」吉本隆明 思潮社※入荷済み 
 ◆「詩とはなにか」吉本隆明 思潮社 
 

[#03] 「2005年の出版社別売上げ冊数TOP10」その他

  1 [01](02)筑摩書房 
  2 [02](01)岩波書店 
  3 [03](03)講談社 
  4 [05](04)新潮社
  5 [06](06)平凡社
  6 [04](07)河出書房新社 
  7 [07](08)中央公論新社 
  8 [10](12)文藝春秋
  9 [08](05)小沢書店 
  10 [11](11)朝日新聞社
  次点[09](09)ペヨトル工房 
  
   ※[ ]内は2004年の順位
   ※( )内は2003年の順位

   ついにペヨトル工房が11位に落ちました。小沢書店も下降の一途で
   すからいずれは脱落するでしょう。ここ何年かうちの売り上げを支
   えていた両社も、売れ筋の在庫が乏しくなるばかりですから低下は
   当然ですが、それらにかわる“消えた出版社”の有望な新顔がなか
   なか現れません。去年は岩崎美術社や美術公論社あたりが仲間入り
   してくれましたが、もともとうち向きの本が少ないこと、Amazonの
   データベースに掲載されているために、小沢やペヨトルとは違って
   マーケットプレイスに通販が食われていることなどの理由によって
   さほどの伸びがありません。
   
   昨年もっともよく売れた本は、市井文学刊行の吉本隆明著「中学生
   のための教科書」で143冊も売れました。これは近年の最高記録のよ
   うです。こんなに売れたのは、新しい出版社の最初の出版物で、一
   般にはほとんど流通していなかったからです。2位以下も吉本本ば
   かりですが、次が「13歳は二度あるか」の64冊ですから、その差の
   80冊分ほどが他店が扱わなかったおかげと思われます。


[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その47)

   ついに1月31日限りでブックファースト河原町店が閉店しました。
   既報のように京都宝塚劇場ビルの建て替えのためですが、数年後に
   予定されている新ビルにはほぼ入居しないようです。これでついに
   河原町通りの三条四条間の路面書店は古書店を数軒残すのみとなり
   ました。東西の枝道を少々入ったあたりにはまだ数店の専門書店も
   健在ですが、一般的な通行人には無いのも同然でしょう。
   京都新聞によりますと、新ビルは地上9階地下1階で、地下から6
   階まではユニクロがメインでほかに衣料、飲食のテナント、7階は
   未定、8,9階はスポーツジムとのことです。カラオケやゲーム専
   門のビルでないだけまだマシですが、2年先の経済状況がどうなっ
   ているかわかったものではありませんから、オープンまで安心はで
   きません。同時閉館の京極東宝ビルは建て替えてビジネスホテルに
   なるそうです。この界隈には東宝公楽が1スクリーン残ってますが、
   ここをシネコンに建て替えない限り、東宝系のスクリーンは6から
   1に激減です。松竹系のシネコンはあるものの、ますます繁華街と
   しては落ち目になるでしょう。
   BF河原町店は1970年代の駸々堂京宝書店以来、ずっと地域一番店
   で、うちも新刊のチェック等に利用してましたから不便になりまし
   た。ここが閉店したら誰がどう考えても紀伊國屋京極店、ふたば書
   房河原町店、ふたば書房ゼスト店に客が流れそうなものですが、さ
   ほど伸びてはいないとのうわさです。とくにゼストはほぼ関係なさ
   そうな感じです。1980年代末に当時の駸々堂京宝店が、ジュンク堂
   の京都進出に対抗する全面改装のために数ヶ月閉店したことがあり
   ましたが、その時には京都書院ヴァージョンBの売上げが5割増に
   なったと聞いたことがあります。(もちろん再開後は元に戻り、ジュ
   ンク堂の開店で半減してしまい、あえなく閉店しましたが)。あの
   ころは、本や雑誌を目的買いする客がまだまだ多かったのでしょう。
   近頃はたいして読みたくもないものをなんとなく買う、衝動買いと
   すら言えない買い方をしている客が大部分なのではないでしょうか。
   こういう人たちはなければないでぜんぜん困らないので、たまたま
   通りがかりに書店がなかったら、探してまで買おうとはしないので
   しょう。丸善とBFがなくなって、もっとも影響が大きいのは、発
   売日に店頭に販売台を出し、のぼりを立てて売っていた街ガイド誌
   類だということですが、さもありなんと言うべきです。
   丸善の跡は全館すべてをカラオケ屋にする改装工事中です。1階だ
   けは雑誌メインの書店にすれば、たぶん繁昌すると思いますが、書
   店が成り立つような賃料ではないでしょう。カラオケ趣味はまった
   くないので近寄ったこともありませんが、河原町の三条〜四条界隈
   にはすでに1000室位あるそうです。部屋のサイズは二人用から大人
   数用まで各種あり、しかも24時間営業ですから、唄を歌わなくても
   普通の飲食店よりはうんと安く長居できるため、マンガ喫茶同様に
   簡易宿泊施設としての利用も多いそうです。ようするに、河原町は
   コンビニやファストフード店で食料を確保し、買い物は百均やドラッ
   グストアやドンキで間に合わせ、マンガ喫茶やカラオケで遊びつつ
   宿泊もする人々の街になってしまったわけです。これでは観光客や、
   地元の中高年の足は遠ざかるばかりでしょう。
   ジュンク堂は24日に全面開店しますが、このように町歩きの魅力が
   激減している通りで、しかも路面店ではなく、阪急、京阪、市営地
   下鉄の駅に直近とも言い難いので、専門書を必要とする客以外の集
   客はなかなかたいへんなのではないでしょうか。
   
   あまりに書店街としての凋落が激しく、なにがなんだかよくわから
   なくなってきましたから、来月あたりにここ30年くらいの、河原町
   三条四条界隈の書店地図の総集編を増刊号として発行する予定です。
   
      
[#04] 雑、雑、雑、…

  ○三一書房の労使紛争がついに和解し、常備の出荷も可能になったと
   1月初めに通知が来ましたから、在庫目録を送ってくれるように頼
   みましたが、きょう現在未着です。紛争中はたいした新刊もなく、
   過去の在庫は労組側が押さえていて出荷できないものが大部分でし
   たが、ゾッキ本に流れた様子もほとんどなかったので、どんな本が
   残っているのか楽しみです。
   
  ○「恵文社冬の大古本市」は無事終了し、うちの店の出品は量も金額
   も7割強売れましたから、恵文社さんに迷惑はかけずにすんだよう
   です。プロの古書店の古本祭りでは3割程度の売上げがふつうらし
   いのでなかなかたいしたものですが、量は少ないし期間は長いし値
   段も安めなので単純に比較はできないでしょう。   
   次回もお誘いを受けましたので、今回の経験を生かし、早めに準備
   を始めればもう少し売上げも増えそうです。しかし、せいぜいあと
   1回か2回分しか売れそうな本が残っていないので、3年以上は無
   理でしょう。
   

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 「新聞販売黒書 新聞があぶない」
  
     黒藪哲哉・著  定価1700円+税 花伝社
     
[BOOKデータベースより]
 新聞社の闇を追う
 新聞はなぜ右傾化したか?
 読者のいない新聞=「押し紙」が3割、1000万部!!
 異常な拡販戦争の実態―新聞購読申し込みで、商品券1万円とは!!
 無権利状態の新聞販売店主。
 日本新聞販売協会政治連盟を通じた、政治家との癒着―
  これで新聞の自由、言論の自由が守れるのか?
 新聞界のタブーを暴く。

1章 新聞社の下部構造―新聞販売の現場から
    (新聞の押し売り;紙面より経営に介入 ほか)
2章 「押し紙」の実態
    (毎日新聞社の「押し紙」の例:産経新聞の「押し紙」 ほか)
3章 ABC部数の表と裏
    (折込チラシの水増し;ABC部数の調査方法 ほか)
4章 片務契約と拡販戦争(拡販競争;優秀な販売店も改廃 ほか)
5章 日販協の政界工作
    (日販協と自民党新聞販売懇話会;再販議論におけるタブー ほか)
     
[新聞販売黒書のサイト]http://www.geocities.jp/shinbunhanbai/ 

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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜84号)」はHPにて公開中です。
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