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サバージオス(SabavzioV)

sabazios.jpg  プリュギアの「ヘビの神」。アッティスディオニューソスと同一視され、さらに紀元前l世紀にはユダヤのエホヴァと同一視された[1]。プルータルコスは、エルサレムのへブライの神を崇拝する人々もまた、この神をサビの名で呼んでいたと言っている[2]。小アジアに住むユダヤ人は、彼らの崇拝するエホヴァはゼウス・サバージオスのもう1つの姿であると言った[3]

 プリュギア人は、彼らの種族の祖先は原初の園にある「生命の木」に住む「大いなるヘビ」であると言った。したがって彼らはオピオゲネイスoiJ =Ofiogenei:V(「ヘビから生まれた人々」)であった[4]。このような異教徒の伝承から、グノーシス派はエホヴァとエデンの園のヘビとを混同して、ときにはヘビが人類の敵とされ、ときにはエホヴァが敵とされた。
 point.gifGnosticism.

 一説には、サバージオスの夜の儀式から、キリスト教徒と異教徒の双方の、サバス(安息日)およびサバト(魔女の集会)の名が起こったと言われる。しかしこの夜の祭りの起源に関しては他にも説がある。サバージオスは神々の太母神の最初の伴侶として遍在する「ヘビ神」の1つの型であったと思われる。


[1]Graves, W. G., 366-368.
[2]Knight, S. L., 156.
[3]Enslin, C. B., 91.
[4]J. E. Harrison, 129.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 プリュギア・トラーキア系の神。宗教的狂乱を伴う崇拝形式を有し、ギリシアには前5世紀ごろからすでに輸入されていたが、盛んになったのはヘレニズム以後である。

 彼はしばしばゼウスペルセポネーの子とされていて、ディオニューソスと同型であるが、さらに古い神であるという。彼の崇拝の中心はプリュギアとリューディアであった。

 彼は額にのある姿で表され、牛の飼育は彼に帰せられている。または彼の聖獣で、その秘教会に使用され、ゼウスの姿でベルセポネーと交わった、またサバージオス自身この動物の姿で小アジアで女祭司と交わって、子供を得たという。彼はときにゼウス・サバージオスなる称呼のもとに、ゼウスの雷霆とワシとともに表されている。

 彼はギリシア神界のそとにあり、神話はない。(『ギリシア・ローマ神話辞典』)

 オピオゲネイスoiJ =Ofiogenei:Vについては、Plin. NH 7.13, Str. 13.1.14, Ael. NA 12, 39 etc.


[画像出典]
Ancient Albania
God Sabazios