町家Q&A                                              
石畳になった西陣・大黒町     町家について、もっと詳しく識ってください!
 Q1 京町家って何?…ほんまにひとことで言うてみると…
 Q2 町家にはお風呂がないって、ほんとですか?
 Q3 町家の種類は?
 Q4 京間とは?
 Q5 町家って、寒いですか?
 Q6 町家って、住み難いですか?
 Q7 上ル・下ル・東入ル・西入ルって、どういうことを指しているんですか?
 Q8 ろうじ(露地・路地)とか図子(ずし)って何ですか?
 Q9 京のお茶漬け(ぶぶづけ)って、ほんとですか?
 Q10 京町家を借りるときって、自分で直して住まんとあかんのですか?
 Q11 賃貸の京町家の程度と家賃の関係は?
 Q12 町家って、何年くらいもつのでしょうか?
 Q1 京町家って何? …ほんまにひとことで言うてみると… 通りに面していて、通り側から部屋が店の間・ダイドコ(居間)・奥(座敷)と続く民家。洛中に多く見られた家屋で、言うなれば住宅つき店舗。勤め人の家や商売をやめた家は、仕舞屋(しもたや)と呼ばれます。通り庭の上は吹き抜けで梁柱がむきだしになり、煙出し・天窓が付いています。大黒柱より奥は井戸・収納棚・おくどさんが並び、走り庭と呼びます。

 Q2 町家にはお風呂がないって、ほんとですか?  ほんまです。そのかわり町内には一軒や二軒、お風呂屋さんがあって、町内のコミュニティともなっており、不自由はしません。市が下水道を整備して各家のトイレを水洗化したとき、ついでに通り庭をあげたりコンクリートを打ったりした家が多いようです。その際、お風呂や洗面所を増設したお宅もあります。もっとも、そういうお宅でもやっぱりお風呂屋さんのお湯の方がよいからと、お風呂屋さん通いをされているご隠居さんもおられますヨ! ですから、もともと「町家にお風呂や洗面所はないのが普通」なのです。

 Q3 町家の種類は?   大きく分けると次の三つになります。
a) 表屋(おもてや)造り 大店(おおだな)の町家(あるいは貴族の住まい)。店舗棟と奥の居住棟を玄関棟で接続。玄関の間や茶室・蔵があり、奥座敷は床の間付きの書院造りか数奇屋造りとなっています。
b) いわゆる普通の町家。基本形は、1階が三間(店の間・だいどこ・奥の間)・二階も三間。古いものの二階は厨子(つし)二階。
c) 織屋建(おりやだち・おりやだて) a・bの町家の奥に作業場(機場・はたば)があり、西陣に多くみられます。作業場は、奥の間の奥に続いてある場合と、別棟の場合があります。製品の特性上(箔を使用)、作業場の採光は押さえられており、半地下のことも。普通の町家に比べて、通り庭の幅は広めです。

 Q4 京間とは? ■ 畳の大きさは西高東低。西へ行くほど大きくなります。小さいのが関東間、大きいのが京間(関西間)、その間には中京間、大津間なども。現在では、関東間より小さい団地間というものもありますが・・・。

名 称  大きさ(尺貫法)・(センチ・・・数値は約)      
京 間(本京間・本間)(6尺3寸×3尺1寸5分)・(190.8×95.4)
六二間(佐賀間)(6尺2寸×3尺1寸)・(187.8×93.9)
六一間(3寸間・関間)(6尺1寸×3尺5寸)・(184.8×92.4)
三六間(中間・中京間)(6尺×3尺)・(181.8×90.9)
五八間(いなか間・東京間・江戸間)(5尺8寸×2尺9寸)・(175.6×87.8)
団地間(マンションサイズ)(5尺6寸×2尺8寸)・(169.6×84.8)

つまり、8畳間だと京間は12尺6寸(382p)四方、関東間は11尺6寸(351.6cm)四方となり、一辺が約30cm京間のほうが大きくなります。町家のだいどこが3畳というとご存知ない方は、「エーっ、そんなところでも一間と言うの?」と思われるかも知れませんが、これで結構広いんですよ! 感じとしては、団地サイズの4畳半くらいはあるかなぁ・・・?
部屋の広さは、例えば同じ6畳でも微妙に違います。これをピシッとあわせるのは畳職人サンの腕なんでしょうねぇ。

 Q5 町家って、寒いですか?  はい、寒いです。京の町家は夏涼しきように、もっと言うと、夏の祭(祇園祭)のときに快適なようにできています。ですから、とーっても寒いです。でも、京都の人は言います、「寒さもご馳走・・・」。
ただ、町家というのは基本的に商家・職人の工房兼居宅ですから、人気(ひとけ)のない時間帯というものがありません。つまり、冬、火の気のない時というのがないわけです。ですから思ったほどのこともなく、住み難いということにはありません。ご安心ください!

 Q6 町家って、住み難いですか?   そういう一面は確かにあると思います。ま、あくまでも、私見ですが、 家で仕事をしない(例えばサラリーマン家庭)場合、町家のよいところと不便なところを天秤にかけると(特に乳幼児とか老人がいる場合)、「不便だ」と言わざるをえません。 一方、家で仕事をする人の場合、これはもうこの町家の欠点を補って余りあるものがあると思います。基本的に(今はそうでない方が増えていますが)町家は、「職住一致」のためのすまいです。うちにもボンがおりますが、小さいうちは、事務所で仕事をしている側でミニカーを転がしたりお絵描きをしたりしています。ご飯を食べていても電話の応対はいたしますし、お客様がいらっしゃれば定休日もなんのその。そういう生活をするには、町家は欠かせないアイテムです。
町家関連書籍のいくつかについての感想文を載せた頁にもこの質問の関連事項を記載しております。ご参照くださいネ!

 Q7 上ル・下ル・東入ル・西入ルって、どういうことを指しているんですか?  ■ ご存知のように京都では、通りが碁盤の目のようになっていますから、南北の通りを北へ行くことを「上ル(あがる)」、南へ行くことを「下ル(さがる)」といいます。同様に、東西の通りを東に行くことを「東入ル(ひがしいる)」、西へ行くことを「西入ル(にしいる)」といいます。
ついでに住所表示ですが、例えば当店「下立売通七本松西入」の場合、初めに来ていて「通」がついている方の通り、「下立売通」に面していることになります。つまり、下立売通に面していて七本松通からすこし西へ入った(行った)ところにある、という訳です。では、京都第二赤十字病院はどうでしょうか? 釜座通に面していて丸太町通を北上するか下立売通を南下するかですから、、「釜座通丸太町上ル」あるいは「釜座通下立売下ル」となります。もちろん角地に建っている場合は、玄関のあるほうを先に、「四条通高倉(角)」(大丸百貨店)となります。こういう法則を知っていれば京都のまちを歩くのは初めてのところでもOKとなります。

 Q8 ろうじ(露地・路地)とか図子(ずし)って何ですか?   ろうじとは、入り口の狭い(1間くらい)通路。行き止まりの袋小路。ろうじの両側に数軒の家が並ぶものから、1軒だけのためのろうじ「一軒ろうじ」があります。また、通りぬけられるろうじを特に「抜けろうじ」とも。ろうじのどんつき(突き当たり)にはお地蔵さんがまつってあるところも結構あります。図子(辻子)とは、抜けろうじのこと。西陣には特に多いです。
このごろ京都市は何が何でも「通り」にかえてしまいたいのか、うちのすぐそこの「相合図子(あいあいずし)」も、「下ノ森通」なんて呼ばせようとしています。何を考えておられることやら・・・・

 Q9 京のお茶漬け(ぶぶづけ)って、ほんとですか?  「京のぶぶづけ」とは・・・来客がそろそろ腰をあげて帰ろうとするころ、「もうちょっとゆっくりしとくりゃす。ぶぶづけでもどうどす?」ということばがでる。それではと腰を据え直すと、「なんや、気が走らんお人やな」となる。京都人気質を表す特徴的な語とされていますが、現在では死語に近いかも。
うーーーん、あくまでも私見ですが、おひとさんの家を訪ねるときには時分どきを外すのが礼儀や、ということだと思います。それなりに約束をして伺えば、仕出しをとるなり何なりとしはるはずです。
ただ、このことは京都全部にあてはまることではありません。少なくとも、室町の繊維関係のお店に行ったときには、少々時間がずれていてもお弁当をご用意してくださいます。「京のぶぶづけ」のこともあるからと、へんに遠慮することは却って失礼になると、小さい頃から言われて育ちました。職業によって、暗黙の了解というものでしょうかねぇ・・・。
京都の町に仕出し屋さんが多いのは、お客さんがみえた時とかお祭、家の何ぞごとの折に気軽に仕出しを頼むからでしょう。お客さんに家族と同じものを食べていただくこともないわけではありませんが、それはよっぽど親しい場合とか、子どもの関係のお客さんくらいでしょうね・・・。もっとも、お客さんをお迎えするのにいろいろ準備があったりしますから、お料理はとった方が主婦にとって気が楽、というのもあります(これは、実は招かれる方もそうだったりしますネ)。それに、いつも頼んでいる仕出し屋さんなら献立についていろいろ相談に乗ってくださったり、無理をきいてくれたりします。

 Q10 京町家を借りるときって、自分で直して住まんとあかんのですか?  そうですね、そういうケースが多いです。何と言っても、京町家は旧い家ですから、そのまま住める…という場合は非常に稀で、それなりに手入れが必要です。改修の負担については、一概には言い切れませんが、三通りのパターンがあります。
一つ目は、家主は何もしない、もし何かをするとしたら、せいぜい屋根の補修(雨漏りがしたら、家ではありません)程度。その代わり、家賃は低く押さえてあり、入居時に支払った敷金は、よほど重大な損傷がないかぎり全額返還となります。
そもそも京町家は、50年くらい前まで、表側の戸と窓、縁側の戸以外は借主が全て負う、というのが原則でした。町家住人の引越しとなると、自分の家財道具以外に畳・建具を持ってとなり、かなりの大荷物だったことと想像されます。そういう流れから、このような習慣になったのでは?と思われます。それと、京町家というのは、基本的にお商売をするための建物ですから、借主で改修・改装する、というのは当たり前といえば当たり前の話ですよね。それに、何と言っても、自分の家を自由に(というても、とんでもないことは許可されないと思いますが…)なぶれるというメリットがあります。
もう一つは、家主が全部やる、というやり方です。その分、借主の希望とかはあまり反映されず、不都合が起きて手直しする場合でも家主さまの手配となります。借主が自分の手でやりたい(日曜大工)と申し出ても、OKされないでしょう。更に、退去時には他の貸家やマンションと同じく、原状回復ということを要求されることがあります。
残る方法は、家主と借主が協議の上、必要な改修を負担するというやり方です。個々の事情にあわせて、仲介の不動産屋が間に立って話をまとめてくれるはず。
「直して住まんとあかん」というよりも、「直して住むのも楽しい。直しながら住むのも町家暮らし」と、お考えいただいた方がよろしいでしょう。
  【参考…京町家の改修について】

 Q11 賃貸の京町家の程度と家賃の関係は?  二つの側面があります。まずは、エリアとかアクセス、お家や敷地の広さによって決まります。これは、他の賃貸物件(マンションや町家でない貸家)と同じですね。
もう一つの面は、改修の必要度というのがあります。やはり、かなり改修がかなり必要なお家の場合は高い家賃設定とはなりえません。
上記の両面から鑑みて、家賃やその他、敷金・礼金は設定されております。
ご自分で改修するのはちょっと…という方は、それなりのお家賃のお家を選択される方がよいと思います。うちのお客さまでも、敷金礼金・家賃ともにかなり廉価だったけれど、壁土の処理代がそれ以上にかかった…という方もおられますよ!

 Q12 町家って、何年くらいもつのでしょうか? ■ 一般に、「木の家は300年」と言われています。これは、木は材木として切り出されてから年月を経るごとに内部が結晶化、100年ほどかかってだんだんに丈夫になり、その後、100年ほどは最高の状態が続く…と、言われていることからもうなずけます。ただし、これは、必要なメンテナンスを必要なときに施した場合のみ。もちろん、放りっぱなしではそういうわけにはいきません。現在、町家にお住まいの方、こえからお住まいになろうという方、メンテナンスにつきましても、何なりとご相談くださいね!
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