サイマ(マナーズサウンドセラピー)とは

宇宙が音もしくは振動からなるということは、とても古くから語られてきましたが、現代科学により改めて”発見”されています。

天球の音楽

古代ギリシャ時代に、数学者・哲学者であったピタゴラス(B.C.582~B.C.496)は
「天体はもちろん、一つ一つの原子が、その運動とリズムと振動によって、特定の音を発している。それらすべての音と振動が宇宙の調和を作り出し、その中で、独自のはたらきと性質をもっているそれぞれの要素が、全体に貢献しているのである。」
と述べています。
ピタゴラスは、この「天球の音楽」を聴くことができたといわれています。
また、「宇宙は広大なる楽器である」「宇宙は音楽の法則で作られ、支配されている」とも言っています。

ピタゴラスの考えを受け継いだプラトンは、宇宙創成が音階にしたがって行われた、としています。
天球の音楽という思想はその後、ダンテやシェイクスピアの作品中にも見られますが、ヨハネス・ケプラー(1571~1630)はこれを科学的に考察しました。
ある回転体の質量と速度が分かれば、理論的にはその物体の発する音の基本的な高さを計算することができます。
彼は音楽と天文学を統合する一つの体系があると考えており、太陽系の惑星それぞれの音楽を計算しました。
ケプラーによる惑星の音楽

現代の記譜法に直すとこうなります。
現代の記譜法に直したもの
『世界の和声学(Harmonices mundi)』では、宇宙の構造を音階で表わそうとしています。
ただし、天球の音楽は実際に耳に聞こえるものではなく、精神で受け取るものだと彼は考えていました。

ケプラーたちは音楽を次の3つに分け、これらが調和しているとしています。
 ムーシカ・ムーンダーナ(宇宙の音楽:天球が発する音楽)
 ムーシカ・フマーナ(人間の音楽:人体が発する聞こえない音楽)
 ムーシカ・インストルメンターリス(器楽の音楽:人間が作る聞こえる音楽)

時代は一気に下がって現代になりますが、イェール大学の音楽家と地質学の二人の教授が、ケプラーの法則と音楽の記譜法を惑星の動きにあてはめ、100年間の惑星運動を30分間の音楽に再現しています。

一方、NASA(米航空宇宙局)が、惑星とその衛星が出す磁気振動やプラズマ波を処理して、それぞれの惑星の音を作り公開しています。
NASA Spooky Sounds
http://www.jpl.nasa.gov/multimedia/sounds2/index-nasa.html
惑星が奏でる音というよりは、確かに宇宙で拾ってきた音という感じがします。

超ひも理論(超弦理論)

あらゆる物質は原子からできていますが、その原子は素粒子のクォークとレプトンからなり、さらにミクロの世界の研究によると、エネルギーの'ひも'のようなものからなるといいます。
ひものサイズは10のマイナス33乗cm、つまり1㎝の10億分の1の10億分の一の100万分の1です。(ただしあまりに小さくて今の科学では実証できません。)
このひもは、両端が閉じてループ状になったりまた開いたり、ねじれたり小刻みに揺れたり、2本以上がくっついたりバラバラになったり、非常に柔軟です。

このひもをギターの弦のように考えてみます。
どのようにギターの弦を弾くかで、異なる音の響き、または周波数となります。
超ひも理論によれば、この振動のパターンにより、特定の特性を備えた素粒子、例えば電子になったり、光子になったりします。

アインシュタインのマクロの世界を説明する相対性理論と、ミクロの世界においてよく当てはまる量子論が相容れないとされていましたが、ひも理論(または超ひも理論)により互いに両立するといわれます。
ひもの驚異的な多様性と柔軟性が、宇宙における多彩な現象を説明することを可能にするのです。

振動の医学

古代インドのヴェーダ思想は「世界は音であり、人体も音である」としてきました。
インドの音楽理論では、音には「アナーハタ(打たれない)」と「アーハタ(打たれた)」という2種類があると教えています。
「アナーハタ」とは天空の上層に充満する精気エーテルの震動で、人の耳には聞こえないが、あらゆる現象の基盤となっています。
また伝統医学アーユルヴェーダでは、原子、細胞、組織は微細な振動からなる「見えない糸」で保たれているとし、これを「原初音」とよんでいます。
そして病気やけがのときには適した原初音を用いるようにと教えています。
代替医療のパイオニアであるディーパック・チョプラは、
「それはゆるんだ細胞をもとの位置に押し戻す鋳型のようなもので、物理的なものではないが、あらゆる細胞の中心で、音の配列を修復する」
と説明しています。

イスラムの神秘主義修行者スーフィーたちの間では、全宇宙には深遠な音が満ちており、普通の耳ではとらえられないほど微細なものだとされています。
そして音と音楽が心に与える影響について深く研究されてきました。

アメリカの物理学者フリッチョフ・カプラは著書「タオ自然学」の中で
「極微から極大にいたるまで、宇宙の全領域でリズミックなパターンが観察される。原子は確率のパターンであり、分子は振動する構造物であり生命体は多層にわたる相互依存的な変動のパターンである。 活動と休息のサイクルを繰り返している植物や動物、そして人間は、その生理機能のすべてが多様な周期でリズムを刻み、振り子のように振動している。」
と述べています。

振動の医学(vibrational medicine)の科学的研究は、アインシュタインの量子物理学における発見とともに1900年代初めから行われています。
アインシュタインは、原子を構成する素粒子は根本的には周期的な振動やリズミカルに動く波であらわせられると予測しました。
1960年代の南部陽一郎らの発見がひも理論の発端です。

ひも理論・超ひも理論によると、全ての物質現象はエネルギーのひもとその振動パターンのあらわれということになります。
私たちの住むこの世界が、相互作用する振動エネルギーに基づいているという考えは、一種のパラダイムシフトでしたが、今やそれは多くの科学者によって受け入れられています。

私たちの細胞、臓器、組織は振動し、体内で何億もの周波数が互いに影響し合い、そして共鳴しています。
生体はそれらの音による壮大な交響曲(シンフォニー)ともいえるでしょう。
私たちの身体は振動から構成され、ゆえに振動によって外から影響を与えることができます。
音の他に素粒子レベルで振動に影響を与えるものには、光、磁気、核力、弱い電流があります。
マナーズ博士は、サイマの音と電磁気エネルギーの組み合わせにより、体内の不調和振動を元の調和の状態に導くことができるとしています。

人体の各部分の固有振動数は、さまざまな方法で計測することができます。
脳波測定、反復頭蓋透過磁気刺激(rTMS)、サーモグラフィー、生物発光、赤外線などです。

1991年の論文において、K. J. PientaとD. S. Coffyは、 「細胞の調和振動は今や測定でき、その調和振動の乱れが発がんプロセスの中心である」 としています。
つまり病気の時には、私たちの細胞、臓器、組織のもとの健康時の周波数が変化しているということが科学的に測定できるようになってきました。

体内のさまざまな化学反応もまた、深いレベルでは振動エネルギーの相互作用であるともいわれます。

イギリスのサイマセラピストであるChris Gibbsは「サイマセラピーは振動の医学(vibrational medicine)の一形態である。」と述べています。