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クロノス(KrovnoV)

 ティーターン神族の男神で、父ウーラノス(天空神)の生殖器を切り落とした。しかし、その代わりに、自分の息子のゼウスに支配権を奪われることになった。自分の子供たちが自分の身に危害を加えることを知ったクロノスは、そうはさせじと子供たちを呑みこんだ(これは幼児殺害の神話としては初期の話である)。しかし、ゼウスだけは逃れることができた。クロノス CronosはChronos(=時)と混同された。時は自分が 生み出すすべての物を呑みこんでしまうからである。クロノスの母とも妻とも言われているレア・クロニアは、時と運命の化身の女神であるため、実際に、そうした性格を持つ女神であった。レア・クロニアはクロノスを生んだ大地母神であり、クロノスと結婚したレアーであり、クロノスの息子ゼウス結婚したヘーラーであった。このレア・クロニアとレアーヘーラーは、北欧では、母神、祖母神、曽祖母神にたとえられた[1]。 point.gifCaste.


[1]Graves, G. M. 1, 37-40.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 のちのギリシア人たちはクロノス(KrovnoV)を、情け容赦のない鎌を手にした「時の神」、つまりCrovnoVと読みかえるようになった。しかし、アポッローンやアスクレービオスやサートゥルヌスやイギリス古代の神ブランとおなじく、このクロノスの像はつねに一羽のカラスをしたがえている。とすれば、クロノスはおそらくラテン語のコルニークス(cornix)やギリシア語のコローネ korwvnhのように「カラス」を意味するのであろう。もともとカラスは神託を告げるで、聖王が生贄にされたあと、その王の霊を宿すと考えられていた。(グレイヴズ、p.60)