アマゾーン女人族の女王。リビアの沿岸マルマリカに都市を建設して自分の名前をつけた。マルマリカというのはアーリア人の最古の海の女神のために名づけられた地域である[1]。キューレーネーという都市は人々を魅惑する「セイレーンたち」の住みかであった。ホメーロスは,セイレーンたちが口にする呪文は船乗りにとってとくに危険である、と言った。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)
テッサリアのニンフ。クレウーサ(オーケアノスとガイアの娘)とぺーネイオス河神との子で、ラピテース族の王ヒュプセウスHypseusの娘。
アルカディアのニンフであるキュッレーネー(Kullhvnh)とは綴りが違うので、注意。
キューレーネーは、ピンドスPindos山中で父の畜群を飼っているあいだに、ライオンと素手で戦って、これを倒したのを見たアポッローンが、彼女に恋し、ケイローンに彼女の素姓を尋ねたのち、さらってアフリカのリビアにある、のちに彼女の名によって呼ばれたキューレーネーに連れて行って交わり、アリスタイオスが生まれた。ヘーシオドス、ピンダロスのこの話は、アレクサンドレイア時代には多少変わって、彼女はこの地を荒したライオンを退治して、ポセイドーンの子、リビア王エウリュピュロスからこの地を分与され、キューレーネー市を創設、子供はアリスタイオスのほかにもう一人アントゥーコス Antuchos を生んだことになっている。彼女はまた、キューレーネーに来る途中クレータKreta島に立ち寄ったとも、アポッローンは狼の姿(この地にはApollon Lykios《狼のアポッローン》の崇拝があった)で交わったともいわれる。ウェルギリウスは話をまったく変更して、彼女をぺーネイオス Peneios 河の下にある地下の、地上に出る前に河川が合流する洞穴に住む水の精としている。(高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』)
バーバラ・ウォーカーが、キューレーネーをアマゾーン女人族の女王とするのは、都市キューレーネーがアマゾーン女人族の遠征路と一致するからにほかならない。都市キューレーネーは、セイレーンたちの住処でもある。