雑記帳


since 17 Aug 2000

27 Feb 2007

ナイロビの蜂
 時期が前後するが、昨年見た映画から、ベスト1を。
 「ナイロビの蜂」。公開時の触れ込みは「壮大なラブストーリー」だった。アフリカでNGO活動に没頭する妻と云々、という設定にひかれて見に行ったのだ(後日訂正:封切館ではなくて再上映館で、同時上映の作品を見に行ったというのが事実らしい。連れはこっちも見たかったようだが、私はどうでもよさそうだったそうな。)。誰がラブストーリーなどとキャッチコピーをつけたのか。内容は迫力の社会派サスペンスである。外交官の男と、彼がしゃべるセミナーの聴衆として出会う女。女はNGOの活動家であるらしい。彼のナイロビ(ケニア:国際機関もあるアフリカを代表する国際都市だ)赴任を機に二人は結婚する。女は医療NGOの活動に没頭するうち、アフリカを喰い物にする企業との戦いに踏み込んでいく。そして、突然の死。ドラマはそこから始まる。男は妻の死について知る中で、はじめて彼女の「活動」、「仲間」そして彼女がつかんだ「核心」を知っていく。
 男はラストシーンでひとつの選択をする。その選択は愛ゆえのものである。しかし、その「愛」とは、ラブストーリーという言葉から想像できる愛とは異なるものだ。彼は彼女とまたひとつになるためにそれを選択したのではなく、彼女が成し遂げられなかった仕事を完成させるためにそれを選択したのだと思う。そのとき彼の心の内には、彼女への敬意、深い理解、そしていまや彼女と共有できる正義への渇望と弱者を喰らう者への憎悪があったに違いない。
 私はNGOに全身全霊を傾ける彼女にも憧れるし、外交官という立ち位置から正義を実現しようともがく彼の生き方にも共感できるので、とてもつらい映画でもあった。ぜひ見てほしい。こういう生き様があるのだ。
(DVDが出たときには「社会派サスペンス」に説明が変わってました・・・)

23 Feb 2007

フラプラとエマ・カークビー
 最近、よく似た編成のコンサートを続けて聴いた。
 ひとつは、Fried Pride。ギターとボーカルのデュオ。たった二つ下の記事に一年前のライブの記録があるが、やっぱり2月18日に、ライブスポットRAG。やっぱりテーブルなし。前回と違うのは、今回は2daysだったということと、ゾーン指定席で早くから並ばなくてよいということ。今回は懐かしい曲や未録音の曲も聴けて得した気分。やっぱりImagineは聴けなかったが、やっぱり元気になる。MCに突っ込みを入れたらShihoちゃんが反応してくれたのがちょっとうれしい。今回も二人だけだが、バンド一個分以上の表現力を持つ横ちゃんのギターはそれを補って余りある。
 もうひとつは、古楽ソプラノのエマ・カークビー。リュートと二人の編成。ダウランドとパーセルをたっぷりと。天使の歌声カークビーももうけっこうな年齢のはず。いつまで聴けるか分からない。いま聴いておけたのはよかったと思う。イギリスのルネサンスがそれほど好きではないということを再認識したが、カークビーは問答無用にすばらしい。自在なフレーズ、生き生きした表情。あたりまえのように歌が語られていく。少年のようなクリアーな声とともに、その自然な躍動感は比類ない。

17 Oct 2006

アテナ・パルテノス
 ギリシャ彫刻は、人類の彫塑芸術史上に燦然と輝く金字塔だ。それを再認識した日だった。
 かつて恩師はこう言い切った。「ロダンはミケランジェロの模倣。ミケランジェロはローマ彫刻の模倣。ローマ彫刻はギリシャ彫刻の模倣だ。史上最高の彫刻はギリシャ彫刻であり、その代表作家はフェイディアスだ。」と。今日、開催中の「ルーブル美術館展」で、それを目の当たりにしたのだ。
 今日見たものは、その多くは奇しくもローマ時代に制作された模写である。一部のものは後世に欠けた腕などを補作されている。いずれも実に神々しく、圧倒的な存在感があった。その中に、珠玉の2点があった。ひとつは、「アルルのヴィーナス」と呼ばれるアフロディテ像。これもローマ時代頃の模刻であり、腕は17世紀の補作だとのこと。しかしその凛とした姿は、(実物を見たことがないので論じるべきではないが)ミロのヴィーナスより素晴らしいと思う。そこにあるのは、偉大な「神」の姿だ。
 そして、「アテナ・パルテノス」。パルテノン神殿の本尊であった巨大な神像の、やはりローマ時代の模刻である。正面を見据えるその表情には畏怖を覚える。実物は12mにも及ぶのだから、人の視線は脛あたりの高さだろう。低い視線から仰ぎ見ると、その威圧感は絶大だ。(原作は)フェイディアスの代表作とされるこの像は、まさしく人類史上最高の彫刻作品(のコピーだが)といえる。その認識を揺るぎないものとした一日であった。
 それにしても、「サモトラケのニケ」を見に行きたいものだ。

09 Apr 2006

再度、やっぱフラプラでしょ!
 だいぶ前になってしまったが・・・2月18日にFried Prideのライブに行った。京都で初めての本格ライブ、会場はライブスポットRAG。
 私はRAGのフードが大好きなのだが、この日は混雑を前提にフードもドリンクも縮小、テーブルなし、後方は立ち見のセッティング。こんなRAGは初めてだ。自由席制の公演だったので開場の午後6時前にばっちり並んで、(それ以前に、発売日にネット予約で番号2番を手に入れて、)前の方の席を確保。肩が触れるほどのすし詰めで、開演までの1時間半を耐えねばならない。正直、倒れるかと思った。体調も万全ではなかったし。こんなRAGは初めてだ。普段すいてるライブしか行ってないからかもしれないが・・・
 しかしステージが始まると、すべては吹っ飛んだ。すし詰めも忘れた。時間がたつのも忘れた。ブルーノートと違って至近距離。人いきれ充満の空間で存分にフラプラ。始まる前は倒れそうだったのに、帰るときは超元気になってました。
 フラプラはこの日も二人だけ。シンプルな編成でダイナミックな演奏。横ちゃんの微妙なスキャットもある意味板についてきている。というか腹が据わった?できればImagineを聴きたかったけど、それはまたの機会に取っておこう。フラプラにはいつも元気をもらう。これでしばらく生きていける、という気分になる。本当になる。

3 Jul 2005

やっぱフラプラでしょ。
昨夜は久しぶりのFried Prideのライブだった。ハービスエントに移転しリニューアルした大阪ブルーノート。以前より少し広い店内。カジュアルゾーンには若い客層も目立つ。しかし場所はわかりにくい。ハービスエントのショッピングモールの「外」に入り口があるのだ。ウメチカは案内板もわかりにくいしな。
新アルバム「two, too」ではシンプルな二人だけのサウンドに回帰したフラプラ。この日も最初から最後まで二人。しかし、以前の「二人」でのサウンドに比べて厚みを増し、重いサウンドになってきた気がする。前のアルバム「That's My Way」が売れ行きが悪いとMCでこぼしていたが、やはりファンが求めていたのは「two, too」のようなサウンドだったんだろう。横ちゃんのミラクルなイントロだけで客席は沸いた。
金・土の4公演の3つめ、土曜の1st。1stはすぐに次の準備に入るから、余韻も短く、追い立てられるように店を出る。これはブルーノートの運営の問題でもあるし、夜の早く終わる日本で2部制をやってること自体に無理があるのかもしれない。その点ではちょっと寂しい幕切れであったが(手拍子続いてるのに終了のアナウンスだもん)、ライブはやっぱり最高に楽しかった。新しいアルバムを中心に、ロック系は少なめ。王道をたっぷり聴かせる。深みを増しているShihoの歌、横ちゃんのあいかわらずのミラクル。MCはちょっと少なめ。ゲストなし。しかしオープニングのアナウンスはヒロTだったよ。
NY公演がんばれ。チャンスをモノにすることを祈る。それにしても10ドルは安い。

29 Jul 2005

愛・地球博に寄せる
愛・地球博、いわゆる愛知万博は、海上の森の開発計画から始まり、市民の批判ばかりか国際博覧会協会にすら見放されたあげくに、「環境万博」を標榜してなんとか実現にこぎ着けた。テーマは「自然の叡智」であり、環境の保全に向けたメッセージを前面に打ち出した初の万博になる、はずだった。
しかし、開幕以来の報道を見るとどうだろうか。確かに、生分解性プラの食器だの、自転車タクシーだの、バイオマス利用だの、バックヤード的トピックはある。だが、展示そのものの報道からは、「自然の叡智」は聞こえてこないのだ。それは即ち、来場者に環境保全のメッセージなんて全く伝わっていないということではないのか。
愛知万博を糾弾する。まあ一度自分で見てから糾弾すべきだが。でもやっぱり糾弾する。「環境万博」はポーズだ。結局は開発と科学技術の博覧会をやりたいにすぎないのだ。尊敬する友人O君には悪いが、やはりこの博覧会は当初から揺るぎなく「非・環境万博」だ。彼らの粉飾に多くの善意の環境活動家が利用されているのだ。

4 Jul 2005

挽歌 さらなる後日談
 カセットデッキは結局だめでした。今やほぼ唯一の一般向けカセットデッキメーカーであるTEACの中級機を15000円ぐらいで購入。だいぶ堕ちるけど、でもカセットデッキにこれ以上の投資もねえ・・・。

21 Feb 2005

挽歌 後日談
 カセットデッキは未修理で戻ってきた。ゴムベルトが切れたとかその程度の故障ならなんとかならないかと思い、カバーやパネルを外して、中を見てみた。よくわからなかった。フライホイール周りが直らないらしいんだが・・・。本体をひっくり返して、フライホイールを手で回してみたり、ゴムベルトをさわってみたりした。ついにあきらめて組み立て直し、とりあえずもとの場所に置いてみた。未練がましくテープを入れて再生してみる。あれ?普通に動いている。べつにどこもおかしくない。直ってしまったぞ・・・。
 なにかが単純に引っかかっていたとかその程度のことだったんだろうか。なんかまあとりあえず動くから、そのまま使うことにした。でもヘッドとかもへたってるらしいし、最高の状態ではないんだろうけどね。

16 Feb 2005

 今日、気候変動枠組条約の京都議定書が発効した。私にとっては特別な日である。ここに至るまで、楽観できない状況が続いてきた。ブッシュの離脱表明を契機に京都議定書は本当に死にかけたと言ってよい。しかし、気候ネットワークの浅岡代表が繰り返しおっしゃっているように、京都議定書には不思議な生命力があった。国際条約が採択されて2年以上発効しなければ、それはお蔵入りを意味するのが普通だという。その点で、採択後7年を経て発効したことは、どのような障害があっても、この取り決めを国際社会がどうしても必要としたことを意味するのだ。これからの道のりも苦難の連続であろうし、確実に生起する地球温暖化の影響は、人類にとって誠に厳しい時代をもたらすだろう。しかし、京都議定書を死なせなかった国際社会には、それを乗り越えて進もうとする意欲を見て取れないこともない。
 翻って、私たち京都の人々にとって今日はどういう日だろうか。あのとき、京都の市民や関西の経済界は、いわゆるCOP3の歴史的意義を理解し、そのアウトプットが人類の未来に貢献するものと慎司、そこに京都の名が冠されることを名誉として、会議の成功を願って多大な負担をし、有形・無形の支援をした。その結果として生まれた京都議定書を亡き者としようとする勢力に怒りを覚え、それが我が国の政府の一角であったりすることに、裏切られたと感じたものだ。あのときの市民の気持ちが無に帰することなく今日を迎えられて、本当によかったと思う。
 今日は長い道のりの第一歩にすぎない。しかし、門出は祝うべきものだ。これからの道のりを投げ出さないで、あきらめないで、進んでいくのだという決意を込めて、今は門出を祝い、ここまでの道のりを讃え合おう。前進とは、このような一歩の積み重ねなのだ。

12 Feb 2005

挽歌
 カセットデッキがお亡くなりになったらしい。正確な状況はまだ確認できていないのだが、部品がなく修理不可能なのだそうだ。1985年に購入したものだから、仕方のないところはあるが。
 TC-K333ES(Sony) 業務用シーンでもよく使われた777や555の流れをくむエントリー版として新たに開発されたモデル。当時のソニーはプロユースのものにしかESという称号を与えなかった。贅沢な電源系・走行系を使い、当時流行していたオートリバースや頭出し機能を、音質面で不要なものとして排した。3ヘッド・2モーター・2キャプスタン。シャープでクリアな音質で、冷徹にすら聴こえた。余計な機能を削ったため音質に対するコストパフォーマンスが高かった。高1の夏頃に59,800で買った。貯金のほとんどだった。
 さて、問題は後継機だ。いまさらカセットテープにどんどん録音することはない。LP非対応ながらそれなりのMDレコーダーもある。しかしカセットデッキが全くないというのも困る。まがりなりにも2モーターのものを買うべきか?その投資価値はもうないか?それにしてもカセットデッキをまともに生産しているメーカーはもう少ないようだ。こりゃナカミチとTEACぐらいではないか。まさにカセットテープの終焉を見るようだ。大切な録音は早くデジタル化して保存せねば。

28 Aug 2004

FAHRENHEIT 9/11
 9と11の間にスラッシュが入るのね。
 抱腹絶倒の爆笑コメディを期待して行ったんですが、泣ける感動超大作でした。社会派ドキュメンタリーとして正面から見応えがある。強いて言えば、倍ぐらいの時間をかけてじっくり見たい内容だ。
 京極弥生座は完全入れ替え制にしていたが、前の回の客層がおじさんばっかりでちょっとおもしろい。いかにも会社の偉い人風の人がスーツで来ていたり。しごとのうちで来たんだろうな。

That's My Way/Fried Pride
 相変わらずのいい録音。そして一段と自在なボーカルは少しハスキーでノイジーな仕上がり。ロックを封印してR&B風のテイストを強めたか。オリジナル曲を多く収録したのは初めて。最近ライブでたびたび聴いたオリジナルナンバーがついに収録されてうれしい。マーカス・ミラー大先生をはじめ豪華ゲストを迎え、今までになくグルービー。新境地か。アルバムを締めくくるImagineは秀逸なカバー。一度だけライブで聴いたことがあるが泣けるね。

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