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2002年4月上旬 |
【4月9日(火)】
▼会社の帰りにコンビニに寄ると、「麒麟淡麗」のグリーンラベル(KIRIN)とやらが新しく並んでいたので買ってみる。どうやら糖質をカットしたダイエットものらしい。アマガエル色のラベルがなかなか上品だ。赤には緑で対抗しようというわけか。
飲んでみると、ふつうの「麒麟淡麗」とまったく区別がつかない。同時に飲み比べるとちがいがわかるのかな。おれの舌がいいかげんなのか、糖質カットとやらの処理を行なっても味に影響はないのか。いずれにせよ、おれには幸い区別がつかないのだから、今度から「麒麟淡麗」を買うときにはグリーンラベルにしよう。ダイエットコーラはふつうのコーラよりまずいのに、発泡酒はそうでもないのだな。もっとも、おれは発泡酒をじっくりと“味わって”飲むなんてことをほとんどしたことがない。発泡酒なんてものは、のどごしさえよければよいと思っている。というか、のどごしこそが発泡酒の味だ。うどんのようなものである。もっとも、世の中には、うどんをもぐもぐと噛んで食うケッタイな人もあるようだから、一概には言えないが。
【4月8日(月)】
▼京都府知事選は、無節操相乗られ候補が当選。けったくそ悪い。
▼加藤紘一がだしぬけに議員辞職を表明。わはははは、その瞬間の鈴木宗男の顔が見たかったなあ。まあ、ちょっと辞職のタイミングをまちがえた感もあるが、鈴木宗男のような下郎に比べれば、はるかに潔い。さすがにエリートと呼ばれるだけのことはある。
▼2月23日の日記に、「そういえば、最近、石橋けいはどうしたのだ?」と書いていたら、『3月までフジテレビで放送されていたドラマ、「ロングラブレター 漂流教室」でルポライター役で出ていました』と伊藤正一さんが教えてくださった。あっ、そうだったのか。このドラマ、最初から観たことは一、二度しかなく、最後の数分ばかり細切れに観ていたので全然知らなんだ。会社から帰ってきてネクタイを解きながらテレビを点けると、ちょうど終わりかけていることが多いのであった。言われてみれば、エンディングのクレジットでちらと名前を目にしたような気もする。伊藤さんによれば、「いちおうレギュラーだったのですが、セリフもほとんどなく、本筋にもからまず、いったいどーいう意味合いのある役なのか、さっぱり分からない、という扱いだったんで、冬樹さんのようなファンが見てたら怒ったかも」ということなのだが、そのような怪しい役ならなおさら録画してでも観ておけばよかったと思えてくるではないか。ひょっとすると、SFファンには石橋けいのファンが少なくなかろうと制作側が考えて、とにかく石橋けいを出したのでは? 特殊事例を過度に一般化してはいかんか。でも、たしかにSFファンには石橋けいが気になる人はけっこういるでしょ? あと、洞口依子とかも存在自体がSFっぽいよね。
【4月7日(日)】
▼そういえば、来年の今日は鉄腕アトムの誕生日だよね。「鉄腕アトムで雇用創出、宝塚市の手塚記念館」っていうから、いったいなにごとかとよく読んでみると、手塚治虫記念館が「新たに計15人を雇用し、アトム姿で館内を回って来館者を出迎えたり、外国語の案内表記作成やアニメ工房での指導などの業務をしてもらう」ということなのである。この十五人は、交替でアトムの着ぐるみに入るのだろうか? たしかに雇用を創出したにはちがいないのだろうけれども、“創出”っちゅうほどのものか? アトムの着ぐるみは一着(“一体”かな? 着ぐるみってどう数えるんだ?)しかないんだろうし、仮に十五着作ったとしても、あんまりアトムばかりが館内をうろうろしているのは不気味である。どうせならヒョウタンツギの着ぐるみを二百着くらい作って二百人雇ってはどうか? ヒョウタンツギなら、いくらたくさんうろうろしていても、天井から落ちてきてもまったく違和感はない。オムカエデゴンスなんかも欲しいな。
▼京都府知事選の投票に出かける。自民・公明・民主・自由・社民・保守推薦などという、なにがなんだかさっぱりわからない前副知事が立っている。政党も無節操だが、推してもらう候補も無節操である。数さえ合えばええのか? 共産党でさえなければええのか? おれは子供のころから京都に住んでいるが、共産党でもべつに困ったことはないぞ。おれはあんまり共産党が好きではないが、ほかがあまりにも無節操すぎる。
自民・公明・民主・自由・社民・保守の無節操に呆れていたところへもって、今回、また共産党に対するネガティヴ・キャンペーンのビラがうちの郵便受けに入っていた。よろしい。おれは、以前ここに書いたことを断じて実行することにした。「今後の選挙で、もしあのような冊子やビラがうちの郵便受けに入っていたら、そのときは、おれは無条件で共産党に投票することにする」と、2000年6月26日の日記に書いたろう。どこのどいつか知らないが、まだこのような時代遅れかつ卑劣なことをしているやつがいるとは……。上等だ、おれは共産党推薦候補に入れたぞ。おれと同じくらいヘソ曲がりの方には、この方法、ぜひお薦めしたい。よいか、ネガティヴ・キャンペーンの主よ、言いたいことがあったら、そのビラに名前と連絡先を明記しておけ。手前は絶対に傷つかないところから、他人に石を投げるようなことをするな。おまえらがほんとうに滅ぼしたいやつがいるなら、公の場で皮を切らせて肉を切り、肉を切らせて骨を断て。自分の血を流せ。わかったか。まったく、サムライ精神も地に墜ちたものである。おれはバカは許すが、卑怯者は許さん。
【4月6日(土)】
▼複数の女性がクローン人間を妊娠中とイタリアの医師が発表。世界のどこかで誰かがやるだろうやるだろうと思っていたら、やっぱりやったか。それにしても、アラブの富豪のクローンとはできすぎ。そうだろうそうだろう、むかしからそういうことをやるのはアラブの富豪と決まっている。そいつ、チョチ・チョチ・アババ三世とか言わんか? なに、ネタが古すぎてわからん? 「地上最大のロボット」は『鉄腕アトム』でもとくに人気のあるエピソードであるから、若い人でもけっこうわかると思うんだがなあ。
なんか話が逸れたが、毎度のことながら、クローン人間の話になると、日本のマスコミまでが“神の領域”がどーしたこーしたとほざくのはどうしたことかと思うね。西洋の連中が言うような意味での“神”なんてものを持っている日本人がいったいどのくらいいるというのだ? その手の“神”の呪縛から比較的自由なのが日本人のよいところである。
だいたい、論理的におかしいではないか。現に人間ができることに“神の領域”もへったくれもあるものか。考えるべき問題は、全然別のところにあるだろうに。“神”に甘えて、人類の問題を見て見ぬふりするなよ。
【4月5日(金)】
▼SFセミナーの案内が届く。うーん、今年はどうしようかなあ。じつは、〈SFオンライン〉の“さよならパーティー”ってのも4月21日にあるので、短期間に二度も東下りをすることになるのだった。財布に痛い。だけど、たぶん両方とも行くだろうなあ。
【4月4日(木)】
▼会社の帰り、自宅の最寄り駅の停留所にやってきたバスに乗り込むが、発車までまだ時間がある。バスに乗っているのは、まだ運転手とおれだけだ。なにやら気さくな運転手で、おれによしなしごとを話しかけてくる。はあ、はあと聴いていると(べつに興奮していたわけではない)、やがて運ちゃん、ぼやきはじめた。京都市の敬老乗車証を利用して乗ってくるお年寄りに、なんとも厄介な人がいるらしいのだ。
敬老乗車証というのは、市内在住の満七○歳以上の老人がもらえる乗車証で、早い話が市バスや地下鉄が無料で乗り放題になる(バス会社・路線・区間を指定すれば、民営バスにも適用される)。たいへんいい制度であると思うのだが、バスの運転手にとってはなかなか苦労も多いらしい。なにしろ七○歳以上のお年寄りであるから、かなり意志の疎通が困難な人も少なくない。そんなお年寄りが、二百メートルにも満たない距離で隣接しているバス停間(そういうバス停配置もけっこうあるだろう)を、敬老乗車証で利用するというのだ。そりゃ、お年寄りだから、それくらいの距離を歩くのもけっして楽ではなかろうから、堂々とそういう利用のしかたをしてもよいはずである。だが、運転手はたいへんだ。お年寄りで足腰も弱っているから、まず乗車に時間がかかる。もちろん降車にも時間がかかる。おまけに乗車中は、危ないのになにやら車内をうろうろしながら、ほかの乗客や運転手に話しかけてくるうえ、しかもその内容は意味不明であるという。まあ、運転手としては、ぼやきたくもなりますわなあ。
そのお年寄りは正当な権利を行使しているだけではあるが、あんまり気軽に敬老乗車証を使われるのもたしかにかなわんだろうなあ、難しい問題だなあと思っていたら、そこへ絵に描いたようなおばちゃんが乗ってきて運転手と話しはじめた。運転手はまた同じぼやきを繰り返す。するとそのおばちゃんも敬老乗車証の濫用に恨みでもあるのか、「夏場なんか、涼みに乗ってくるしな」などと新たなエピソードを開陳しはじめた。ううむ、なるほどそういう利用法もあるか。たしかにおれも、学生時代には銀行に本を読みに行っていたことがあったな。夏場は涼しくていいのである。
なんでも、“タダで使い放題”ということになると、とんでもない使いかたを編み出す人々が必ず出現するってことですな。“タダで使い放題”サービスを考案中の方々、事前に考え得るあらゆるケースを想定しておいたほうがいいですぞ。それでも、必ず意表を突かれるとは思うけど。
【4月3日(水)】
▼この日記にも何度かお名前を出している常連読者の奥村真さんが、2月11日の日記を読んでひさびさにメールをくださった――「林久之氏は、私の叔父であります」
なんと。SFファン以外の読者諸氏のため解説いたしますと、林久之氏は中国SF研究会代表、日本に於ける中国SF研究の第一人者である。またまたSF業界とインターネットの狭さ(?)に驚いた。ほかにもいろんな人の親戚やら知り合いやらに読まれているのやもしれん。うかつなことは書けんな、とは思いつつ、うかつなことを書き続けるのがこの日記なのであった。「あ、おれの伯母さんの悪口を書いていやがる」とか「わたしの友だちが面白おかしくネタにされているわ」などという方は、こっそり自己申告されたい。あ、「宮崎勤の友だちの友だちの友だちなんですけど……」ってやつはナシね。SFファンは、あいだに知り合いを二人挟むとほとんどM君と繋がるらしいという伝説はむかしからあるのだ。そりゃあ、けっして遠くかけ離れた趣味の人ではないのだから、あいだに二人も挟めばほんとに繋がるかもしれん。彼の“非合法なほうの趣味”とは遠くかけ離れていたいとは思うけど、まったくさっぱり全然てーんで理解できない趣味だとも言い切れないのは事実だなあ。
【4月2日(火)】
▼Anime Lyrics.com などというサイトを見つけてたまげる。テレビの戦争ドキュメンタリーなどで、南洋の小さな島に暮らすくたびれた感じの現地人爺さんが「♪U〜mi〜yu〜kaba〜」などと唄い出すとなんともフクザツな気持ちになるが、いまから五十年後にテレビ局のクルーが同じ島に取材に訪れると、くたびれた感じの現地人爺さんが「♪Ha,shi,re〜 Kousoku no〜 Teiko〜ku Kageki-Dan〜」などと唄っているのやもしれない。まあ、こういう侵略はお互いにどんどんやってかまわんと思うけどね。
しかし、こういったサイトをJASRACはどう見るであろうか? 紹介しておいて言うのもなんだが、外国人が一所懸命日本のアニソンやポップスを日本語で覚えようとしてくれている姿を想像すると、願わくば、あんまりうるさいことを言ってほしくないなあ。もし、権利者の方がここを読んでたら、こういうのは大目に見てあげてよ。
それにしても、こんなのまであるのにはびっくりだ――「tonosama gaeru ama gaeru kaeru ni iro iro aru keredo...」
【4月1日(月)】
▼今年もBBCがどんなウソをつく(ついた)のか楽しみなのだが、エリザベス皇太后が亡くなったばかりだしなあ。さすがに今年はやらんかなあ。だが、それくらいでくじけていてはBBCの名がすたるぞ。
▼柳澤金融担当大臣が日本の金融機関の“安全宣言”を出す。おれみたいなボンクラでもさすがに四十年近くこの国で生きてくると身につく知恵というか条件反射なのだが、国がなにかの“安全宣言”とやらを出すと、「ああ、まだまだとても危ないという意味だな」と納得し安心する。そういう意味では、おれはこの国の政府や官僚たちに絶大な信頼を寄せていると言えよう。大人の責任として、この知恵は姪たちにもしっかりと伝えておかねばならない。まあ、どこの国でもお上とは、普遍的にこういうものなのかもしれないけどね。
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