間歇日記

世界Aの始末書


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2002年5月下旬

【5月31日(金)】
▼友人ふたりと夜の大阪へと漂い出て飯を食う。折しもワールドカップ開幕とやらで、すでに報道でご存じだろうが、おなじみの大阪名物もワールドカップモードになっている。みんなルナモード(ウルトラマンコスモス)になっていると言えんこともない。一応、ケータイで記念写真を撮っておいたので載せておこう。それにしても、大阪人て、ほんまにいちびりやね。

ひと粒三百メートル。
なんてでかいキャラメルだろう。
とーれとれ、ぴーちぴち。
選手というよりも
ボールに見える。
青い法被〜、なびかせて〜
進め、食いだおれ
われらが太郎〜
「Treva」で撮影

 ♪太郎は法被でチンドンドンのドン、カニーは気取ってスイッスイッスイッ、グリコの出番だ、パラッパラッパラッ。スーパースリーは、東京にゃあ、ない〜。ナニワのためなら、エンヤートットドッコイショ――ってなにを唄ってるんだ、おれは。
 というわけで、サッカーにそれほど興味のないおれたちは、朝までカラオケで唄っていた。ラーリホ〜♪

【5月30日(木)】
▼おおお、ついにこういうものが出たか。言わずと知れた玩具菓子、食玩である。出んなー出んなーとみなが思っていたにちがいない『サンダーバード』がついに出た。例によって会社の帰りにコンビニに寄ってみると、「サンダーバード VOL.1」コナミ)なるものがずらりと並んでいるではないか。あっ、しかもなんということだ、外からは中身がわからないタイプだ。き、鬼畜め。集めようという気がたちまち萎える。人によっては、ここで萎えるどころか燃えるらしいのだが、おれは萎える。とにかく、例によって“試しに”ひとつ買ってみた。5号が当たればいいなあ、5号が欲しいなあといそいそと持ち帰り、背広も脱がずに開けてみたら、はたして5号であった! おれは最近ツイてる。飯を食ったあと、わくわくと組み立て、テレビの前の空きスペースに飾る。もちろん、テーマ曲を口ずさみながらだ。

【5月29日(水)】
▼防衛庁が、情報公開を請求した人の身元調査をして、ブラックリスト様のものを作成していたという。ありがたくも情報公開をご請求くださった方々がどんな方々が詳しく知りたかったのでリストにしただけだと弁解するやもしれんが、そういうのをブラックリストというのじゃ。SFや周辺分野の作家やライターには、情報公開を請求したことがある人は少なからずいるだろうなあ。林譲治さんなんかいかにもしていそうだが、ひょっとして件のブラックリストに載ってるのだろうか。
 「うちのホームページには、あんまり人が来なくて寂しいなあ」と思ってる方は、適当な情報を見繕って、防衛庁に公開を請求してみるといいかもしれないぞ。きっと、あなたのことを調べるために、検索してやってきてくれると思う。
▼なかなかいい曲なのでシングルを注文してしまった「LET ME BE WITH YOU」ROUND TABLE featuring Nino)が届く。言わずと知れた『ちょびっツ』のオープニング・テーマ曲である。ROUND TABLE ってのは初めて聴いたのだが、品が良くていいではないか。昼下がりに街路樹の木洩れ日が射し込む喫茶店にでも流れていると似合いそうな曲だ。けっしてジャケットの絵が目当てで買ったのではない。ま、ちょっと目当てかもしれんが……。ヴォーカルとして加わっている Nino ってのは、いったい何者だろう? CMのクリップで観るかぎりでは、なにやらどこかの釘が三、四本抜けたような感じの女の子だったが、情報が少なくて何者なのかよくわからない。
 最近の若手人気歌手には、なんとなく声に共通の特徴がある人が多いような気がする。Nino の声を聴いて、ますますそんな気がしてきた。豊かな倍音が広帯域に響き渡るというのではなくて、なんというか、通常人の声から周波数の上のほうと下のほうをちょん切ったような、早い話が、むかしの電話を通して聞こえてくるかのような歌声の持ち主が目立つ。とくにまた、そういうふうにことさらデジタル加工するのだろうけど、元々の肉声にそういう素質があるのはたしかだ。たぶん、肉声からして合成音声的なのだろう。典型的なのは、aiko(SFファンにしかわからんと思うが、aiko ってなんとなく三村美衣さんに似てないか?)。松浦亜弥とか、男だと、w-inds のヴォーカルの子とかも、それ系の“機械声”だよな。最近の“ポニーキャニオン声”なのだろうか? 曲を邪魔しない声とでも言おうか。このような“生々しくない声”が好まれる傾向(おれも好きだけど)は、なにか社会の他の事象と相関があるのかなあ。YOUやら片山淳子やらの“おもちゃ声”とは、またひと味ちがうんだよな。なんなんだろう? これからもきっと aiko 系の声の持ち主が続々出てきそうな気がするので、注意して観察していよう。それでなにがわかるのかはまだよくわからないのだが、なんとなく気になる現象ではあるのだ。

【5月28日(火)】
▼いつも思うんだが、巻頭や巻末にCD−ROMが付いている本はたいへん読みにくい。CD−ROMが付いてくるのは、なんであれたしかにありがたい。得した気分になる。でも読みにくい。ついては、ふにゃふにゃと曲がるCD−ROMというのを、ぜひ開発していただきたい。SDがもっともっともっと安くなって、本や雑誌の付録についてくるようになれば、問題は一気に解決なんだがな。いや、笑うけどね、むかしは本や雑誌に5インチ・フロッピィディスクが付いていたではないか。CD−ROMなどという大容量の贅沢な媒体が四、五百円の雑誌に付いてくるなど、とても考えられなかった(――ってのは決まり文句というもので、考えてたけどね)。さあ、史上初の豪華SD付録を敢行するのは、どの出版社か。『機動戦士ガンダム』関係のムックにでも付ければ、なかなかお洒落だと思うけどね。

【5月27日(月)】
「若き淑女のためのエイリアン初等読本」ってネタを思いつくも、『ダイヤモンド・エイジ』(ニール・スティーヴンスン、日暮雅通訳、早川書房)を読んでいない人にはさっぱりわからない。この日記の読者の五人にひとりくらいだろうか。十人にひとりかなあ。「若き淑女のためのゑゐり庵初等読本」ってのはどうだ。たぶん梶尾真治の入門書なのであろう。こうなると二十人にひとりか。たまには、めちゃくちゃに閉鎖的な日があってもよいではないか。

【5月26日(日)】
《ご恵贈御礼》まことにありがとうございます。

『クリプトノミコン2 エニグマ』
(ニール・スティーヴンスン、中原尚哉訳、ハヤカワ文庫SF)
「Treva」で撮影

 ありゃ、日曜日だというのに本が届いている。昨日郵便受けに届いていたのを、取りに行かなかったのだろう。
 さて、〈月刊クリプトノミコン〉の二冊め。先月も書いたが、スティーヴンスンの妙なレトリックがなんだか最近気になるのである。あのレトリックはうるさい。あざとい。星新一なら一行で書き、ふつうの人なら三行で書きそうなことを、スティーヴンスンは一ページくらい書く。彼の抱えるなんらかの過剰が噴き出しているのだろうが、いったいなんだってそんなになにが過剰なのか。ケッタイなことに、スティーヴンスンの小説は、趣味的に脱線して小説の首尾結構を破壊している diversion の部分がいちばん面白いのだった。ひょっとしたら、本筋がなくては大好きな脱線ができないので、しかたなしに本筋をでっちあげているのではあるまいか。そう思わせるほどに小説そのものの技巧はけっして優れているわけではなくむしろ下手くそなのだが、読みはじめるとずるずると読まされてしまう。気味の悪い作家ではあるよな。

【5月25日(土)】
▼母がマイナスイオンが出るとかいうゴム製の腕輪のようなものを買ってきて、おれにもつけろつけろとうるさい。とんでもない倹約家のくせに、こういうものにはコロリと騙されてけっこうな金払って買ってくる人なのである。昼間ろくでもないテレビばかり観ているから洗脳されるらしい。だいたい、イオンとはなにかなど母は知らない。「英会話学校じゃろう」と突っ込んでも、その英会話学校も知らない。なのに、なにやらお昼の番組で医者だか科学者だか知らんが、エラそうな肩書きがついた人が言っていたことは真に受けるわけである。よくある悪徳商法の類には絶対にひっかからない狡猾さと健全な懐疑心を持っていながら、なぜか科学者然とした人の威光暗示には簡単にかかる。そのくせ、おれがなにかについていくら科学的・合理的な説明をしても、自分の第一印象に反することは「ウソや」のひとことで一蹴するのだ。不思議な精神構造である。要するに、言説の内容ではなく、それを言っている“人”の威光で判断しているだけなのだが……。まあ、世間でけっして珍しいタイプの人ではないよな。
 だいたい、こんなもんからマイナスイオンとやらがどういうふうに出るというのか。いったい、なんのマイナスイオンだ? なんでも、母によれば、出続けるらしい。装着せずとも、そばに置いておくだけでも効果(?)があるらしい。なにが“出る”にしても、出続けたら質量が減るだろう。最初に測定しておいて、摩耗を防ぐために装着せず保管し、あとでまた量って比べてみたいものである。煙草の煙の重さを量ったと伝えられるサー・ウォルター・ローリーでなくたって、それくらいの理屈は小学生でも考えつくだろう。そもそも、そんなありがたいもんがなぜたったの千五百円でそこいらで売られているのか――と、仮に口にしたとて、母の信仰が覆るはずもないので、頬を引き攣らせながら、黙ってしぶしぶ腕輪を一個受け取る。そこいらに置いておけば満足するだろう。おれの精神衛生には、はなはだ悪いけどな。
 それにしても、昨今の“マイナスイオン教”の蔓延はなんとかならんものか。ほとんど宗教というか、宗教そのものである。最近おれは、“マイナスイオン”という言葉を聞くだけで、胡散臭〜い印象を受けるようになっている。マーケティング的にはあきらかに逆効果ではないかと思うのだがどうか。開くとページのあいだからマイナスイオンが迸り出る本というのを作って売れば、大ベストセラーになるのではないか。早川書房東京創元社がやるとは思えんが、たま書房あたりならやるかもしれん。なあに、ただの本にそう書いておけばよいだけだ。出なかったからといって、出ているかどうかなどそこいらの家ではわからん。信じるものは救われる。売るほうもハッピー、信じるほうもハッピー、けっこうなことではないか。紅茶キノコを飲みながらマイナスイオン本を読むとアルツハイマーにならないらしいぞ。雅子さんも浜崎あゆみキムタクもやっているらしいぞ。ブリトニーブラピもやっているぞ。ぶらさがり健康器と併用するとさらに効果的だ。いま買うともう一冊ついてくる――というのはこないだまでの話で、キャンペーン期間中は、なんとさらにもう一冊ついてくるのだ。ほれ、そこいらをまるでぴちょんくんのようにマイナスイオンが飛び回っているのがあなたには見えないか? ♪もう、どうにでもして〜。

【5月24日(金)】
▼またコンビニで怪しい食玩を発見。買ってしまう。「チキラーズ」カバヤ)って、要するに、日清のチキンラーメンのCMに出てくるヒヨコのぬいぐるみである。なんか妙に可愛かったので、思わず手が伸びてしまったのだ。ラーメン食ってるやつが欲しかったのだが、真っ先に売れてしまっていたようだ。
 初めて知ったけど、あのヒヨコどもは“チキラーズ”というのか。なんともむちゃくちゃな名前である。-er つけるんなら、“チキナーズ”ではないのか? “アムラー”ってのはまだ許せる。“マヨラー”は断じて許せん。日本語(?)は乱れておる。
《ご恵贈御礼》まことにありがとうございます。

『海を見る人』
小林泰三、ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
「Treva」で撮影

 “Jコレ”の愛称ですっかりおなじみ(お、おれだけかな? こう呼んでるの)になった《ハヤカワSFシリーズ Jコレクション》であるが、第二回配本は、ハードSFの奇想詩人、小林泰三の登場である。あー、これに関しては、またまた予知すると、〈週刊読書人〉2002年7月12日号で取り上げるにちがいないので、ご用とお急ぎでない方は、ぜひそちらを予知してください。

【5月23日(木)】
▼北朝鮮の亡命一家は、無事韓国に到着。なんとなく、ペルー大使館人質事件を連想してるのはおれだけだろうか? まあ、今回はチョコパイを渡せただけでも、当時よりは進歩しているのかもしれない。一応、関与はできたわけだし。

【5月22日(水)】
▼鼻風邪っぽいので、駅のホームで黄色いベンザブロックを鞄から取り出し、自動販売機でウェルチを買って流し込む。あ、もしかして、これヤバイかも……。流し込んでから気がついた。
 ベンザブロックには、前からなにかと話題のPPA(塩酸フェニルプロパノールアミン)が配合されている。交感神経を刺激して血管を収縮させるので昇圧効果があり、飲み過ぎると脳出血を起こすおそれがあるというやつだ。アメリカ人はダイエット薬として飲んだりするもんだからとくに危ないと禁止したのであって、日本の風邪薬として飲むぶんには量をきちんと守っていれば、それほど怖い薬というわけではない――という話が報道されていた。
 が、それはあくまで、PPAを単独で摂取した場合の話である。こいつには、“食い合わせ”があるのだ。あたりまえのことながら、同じように交感神経を刺激して血圧を上げる効果のある食いものと一緒に摂るのは、はなはだよろしくないわけである。たとえば、SFファンには『ターミナル・エクスペリメント』ロバート・J・ソウヤー内田昌之訳、ハヤカワ文庫SF)でおなじみの“チラミン”。あれはたしか、ワインやらチーズやらに多く含まれている。おれはついさっき、朝飯のトーストにチーズを乗せて食った。ウェルチってのは、ひょっとしてワインの親戚ではあるまいか。ウェルチにチラミンがどの程度含まれているのかなどおれはまったく知らんが、ワインと同じように多く含まれているのだとしたら、これはかなり危ないことをしてしまったことになる。ここでモノアミン酸化酵素阻害剤系の抗鬱薬でも飲んだら、食い合わせの悪いところへもってチラミンの代謝が阻害され、高血圧が長時間続いて、どこかがプツンといっちゃう可能性が高かろう。幸い、トーストに抗鬱薬を乗せて食ったりはしていない。
 まあ、飲んじゃったもんはしかたないわな。ウェルチにさほどチラミンが入っていないことを祈るばかりだ。もっとも、いまこうして日記を書いているわけだから、駅のホームで脳出血起こしてぶっ倒れてはいないことは最初からわかりきっている。手に汗握る生か死かのサスペンスを当事者が事後に語っているという、素人にありがちな初歩的興醒ましのパターンだな。
 いやしかし、薬だと気をつけて飲むが、食いものや飲みものはさほど気をつけるわけでもないところが厄介だよなあ。おれの雄親系は、脳血管系の疾患で死んでるやつが多いから、マジで気をつけねばいかん。だったら煙草やめろよってのは言いっこなしね。あんまり早く死にたくもないが、あんまり長生きもしたくないんだな。酒も煙草も女もやめて、百まで生きた莫迦がいるときたもんだ。

【5月21日(火)】
▼会社の帰りに、ふと道を走る自動車をしげしげと見る。自動車を運転できるというのは、じつにすごいことだ。運転免許のないおれは、いつも感心する。自動車と名告っているくせに、あんなもの、ちっとも自動じゃない。常に周囲に注意を払いながら、ややこしい操作をしなくてはならないではないか。横合いから子供でも飛び出してきたら、おれにはとても避ける自信はない。なにしろ、ただ歩いていたって野ネズミを蹴っ飛ばしてしまうくらいだからな。おれはすぐに自分の世界に沈んでくだらないことを考えはじめるため、広範囲に気を配る運転のような作業は、とても持続できないにちがいない。駄洒落をひとつ考えているあいだに、子供の二、三人は跳ね飛ばすだろう。それにしても、あんなに速く運動しているものを、よく操れるものだ。慣れなのだろうが、そういうことに慣れているということ自体が、想像するだに怖ろしい。「あっ、いかんっ!」と思うわずかな時間に、もう十メートルや二十メートルは進んでいるのだぞ。とんでもないことである。正面から来る自動車が、やっぱり同じように「あっ、いかんっ!」と思うわずかな時間に、もう二十メートルや四十メートルは接近しているのだぞ。そんなものを操るなど、人間業とは思われん。そのうえ、なんでも速く走るほどドライバーの視界は狭くなるらしい。前方の狭い扇形の中に捉えたものから状況を認識し、即座に反応しなくてはならないのだ。高速道路なんかで飛ばしていると、いっそう視界は狭くなるだろう。さらに速く走ると、そのうち赤外域の光が見えはじめ、横やうしろの景色が前のほうに絞り込むように寄ってきて、しまいには点になるらしい。怖ろしい怖ろしい。免許がなくてよかったことだ。
 いや、おれも運転免許を取ろうと思ったことはあったのだが、機を逸してしまい、それからわざわざ取るのが面倒くさくなり、いまに至っているのである。大学生活最後の春、卒論を仕上げて、さあ、就職までの春休みのあいだ、なんとか金を工面して免許でも取るか――と思っていたら、ゼミの教授が、おまえの卒論は学部生の論文としてはえらく面白い、今年から学部生の卒論を英文学と英語学から一篇ずつ選んで紀要に載せることにした、後進のよい励みとなるであろう、英文学のほうはおまえのを載せるので、ついては、さらにブラッシュアップせよとのたまい、そんなに面白いかなあ、これが面白いとすれば全体のレベルが低いのではないのかなあとも疑いつつ、せっかくだから教授の指導の下、なんとおれは大学生活最後の春休みにしこしこ(タイプライターだから、パチパチだが)論文を書いていたわけである。不幸なのか幸運なのかさっぱりわからない春休みだ。まあ、いまとなってはよい思い出ではあるが、おかげで運転免許を取り損ねた。次に取る機会があるとすれば、会社を辞めるときくらいだろうなあ。
▼テレビのニュースを観ると、自民党の野中氏がなにやら怒っている。「せっかくまとめようとしても、自分で壊されるなら、汗をかく気はありませんっ。ものごとは独裁者だけで決められるもんじゃありませんっ」などと、えらく御機嫌斜めだ。ははあ、郵政民営化に関する小泉首相の強気発言にキレているらしい。だけど、野中氏の発言も語るに落ちてるよなあ。この人は、「まとめる」ことが政治家の仕事だと思っているわけだ。こうやって階段を上り、こうやってお山の大将にまで這い上がったわけだ。「まとめる」って? ちがうな、野中さん、そんなことをおれは望んでいない。いま野中さんがするべきは、小泉首相に公開討論を申し込むことだ。そして、国民に納得のゆく論を以て公の場で正面から小泉首相を撃破することである。正反対の意見(というか、利害かな?)をそんなふうに「まとめ」られてはかなわん。そんなことをしたら、結局、帯に短し襷に長しの役立たずな妥協案が導き出されるだけではないか。もっとも、小泉首相の案にしてからが、すでに帯に短し襷に長しの役立たずな妥協案にしか見えないけれども……。命短し襷に長しとは、さすが星新一、よく言ったものである。はたして、おれの生きてるうちに民営化されるかね?


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