公益社団法人・公益財団法人の認定
■公益認定を受けるメリット
・公益社団法人、公益財団法人を付した名称を使用することで、社会的評価が高まる、税法上の優遇措置を受けることができます(他、補助金についても優遇される可能性があります)。
■公益認定の基準(認定法1号~18号) (以下、18の要件を満たさなければなりません)
1号 公益目的事業を行なうことを主たる目的とするものであること
※公益目的事業=「学術、技術、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業」(省略)であって、かつ、「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」
2号 公益目的事業を行なうのに必要な経理的基礎および技術的能力を有するものであること
※経理的基礎=「財産基礎の明確化」「経理処理」「情報開示の適正性」により判断されるものとされています。
※情報開示の適正性については、外部監査を受けていればそれで満たすことになりますが、そうでない場合、費用および損失の額または収益の額が1億円以上の法人については監事(2名以上の場合は少なくとも1名)を公認会計士または税理士が務める場合や、当該額が1億円未満の法人については営利または非営利法人の経理事務に5年以上従事した者などが監事を務める場合などに、適切な情報開示が行なわれるものとして扱うとされています。 →ただし、これについては必ずしも義務ではありません。上記のような体制にない場合、公認会計士、税理 士またはその他の経理事務の精通者が法人の内部監査等にどのように関与しているのかを個別に説明することとなります。簡単に言えば、監事に公認会計士等の資格者か経理のベテランを置けばよいことなのですが、多くの法人では理事と同等の関係者を配置していることが多く、その場合は、決算などに関与している税理士等がその法人の経理等には一切不正などがないということを適正な計算書類で証明することを要すると思われます。
→税務代理の署名までしている顧問の税理士等を監事にはすべきではありません。自分で作成した書類を自分でチェックすることとなり、コンプライアンスの意識に欠けていることになり、公益認定が不認定となりかねません。
※技術的能力=事業実施のための技術、人材、設備などを確保していること
3号 社員、評議員、理事、監事、使用人その他法人の関係者に対し特別の利益を与えないこと
4号 株式会社その他の営利事業を営む者、特定の個人・団体に対し、寄附その他の特別の利益を与えないこと(ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行なう公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行なう場合は、この限りでない)
5号 投機的な取引、利息制限法を超える高利の融資、性風俗関連特殊営業、公序良俗に違反するおそれのある事業を行なわないこと
6号 公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないこと
※ただし、収入額が費用額より大きくても、将来その事業にあてる資金(特定費用準備資金)や、公益的な資産を取得する資金(公益資産取得資金)に繰り入れる場合は、可とされる場合があります。
7号 公益目的事業以外の事業(収益事業等)を行なうことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないこと
8号 公益目的事業比率が100分の50以上となると見込まれること
※公益目的事業比率=公益目的事業費/公益目的事業費+収益事業等費+管理費(法人運営に係る費用)
9号 遊休財産額が1年分の公益目的事業費相当額を超えないと見込まれること
10号 理事とその配偶者または三親等内の親族(内縁関係にある者、使用人、その他理事により生計を維持しているものなどを含む)の合計数が、理事総数の3分の1を超えないものであること。監事についても、同様とする
11号 他の同一の団体の役員等、使用人、その他これに準ずる相互に密接な関係にある者(国の機関、地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人、大学共同利用機関法人、地方独立行政法人、特殊法人の職員(議員を除く)の合計数が理事総数の3分の1を超えないものであること。監事についても、同様とする
※公益法人に対する同族支配た特定業界団体の支配、天下りの温床となることを防止するための要件です。なお、国の機関や地方公共団体の現職は規制対象となりますが、退職者は含まれません。また、一般財団法人の評議員については、この規制はありません。
12号 会計監査人を置いているものであること。ただし、毎事業年度における法人の収益額、費用および損失の額、負債額がいずれも以下の基準に達しない場合は、この限りでない
1 事業最終年度の損益計算書の収益額 1000億円 2 同じく費用および損失の合計額 1000億円 3 貸借対照表の負債額 50億円
13号 理事、監事、評議員に対する報酬等が、民間事業者の役員の報酬等・従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めていること
14号 一般社団法人にあっては、次のいずれにも該当するものであること
イ 社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする等の条件を付していないものであること ロ 社員総会において行使できる議決権の数、議決事項、議決権行使の条件等に関する定款の定めがある場合には、それが次のいずれにも該当するものであること 1 社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること 2 社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行なわないものであること ハ 理事会を置いているものであること
15号 株式など、他の団体の意思決定に関与できる財産を保有していないこと(株主総会等の議決権の過半数を保有している場合に限る)
16号 公益目的事業を行なうために不可欠なとくていの財産があるときは、その維持・処分の制限について必要な事項を定款で定めていること
17号 公益認定の取消しの処分を受けた場合、または合併により法人が消滅する場合(その権利義務を継承する法人が公益法人であるときを除く)において、「公益目的取得財産残額」を、公益認定の取消日または当該合併日から1か月以内に、以下の法人に贈与する旨を定款で定めていること
1 類似の事業を目的とする他の公益法人 2 学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、独立行政法人、国立大学法人、大学共同利用機関法人、地方独立行政法人、株式会社以外の特殊法人など 3 国・地方公共団体
18号 清算をする場合に、残余財産を以下の法人に帰属させる旨を定款で定めているものであること
1 類似の事業を目的とする他の公益法人 2 学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、独立行政法人、国立大学法人、大学共同利用機関法人、地方独立行政法人、株式会社以外の特殊法人など 3 国・地方公共団体
■公益認定の欠格事由
公益認定が受けられない欠格事由
1 理事、監事、評議員のうち、次のいずれかに該当する者がいる法人
a 公益認定を取り消された公益法人において、取消し原因事実のあった日以前1年以内にその公益法人の業務を行なう理事であった者で、取消日から5年を経過していない者 b 所定の刑罰法規(法人法、認定法など)に違反して罰金刑に処せられ、その執行終了または執行猶予期間満了等から5年を経過していない者 c 禁錮以上の刑に処せられ、その執行終了または執行猶予期間満了等から5年を経過していない者 d 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
2 公益認定を取り消され、その取消日から5年を経過しない法人
3 定款・事業計画書が法令・行政機関の処分に違反している法人
4 事業に必要な許認可等を受けることができない法人
5 国税・地方税の滞納処分が執行され、または滞納処分終了の日から3年を経過しない法人
6 暴力団員等がその事業活動を支配する法人
■公益認定申請手続
事前準備 ・公益認定の基準を満たすような事業・財務の見直し ・定款の変更の案についての正式な意思決定(例:社員総会の決議を経る) ↓ 認定の申請 ・申請書 ・定款および定款変更の案 ・事業計画書、収支予算書、財産目録、貸借対照表その他の財務書類 ・役員の報酬支給の基準 ・その他 ↓ 審査 ↓ 認定(公益認定等委員会) ↓ 移行の登記
※不認定の場合、再申請もしくは、一般社団法人・一般財団法人として存在
■公益法人の情報公開
公益法人の情報は広く公開するものとされているため、公益法人は、その事業計画書、収支予算書等を事務所に備え置き、請求があれば何人に対しても閲覧させなければなりません。 また、毎事業年度経過後3か月以内に財産目録、役員等名簿(理事、監事、評議員の氏名、住所を記載した名簿)を行政庁に提出しなければならず、行政庁は請求があれば何人に対しても閲覧・謄写させなければなりません(ただし、役員等名簿のうち個人の住所に係る記載部分は非公開)。 他、行政庁は、公益法人の活動状況、公益法人に対してとった措置その他の事項について調査分析を行ない、統計・資料を作成し、データベースを整備して、インターネット等で公開するものとされています。
(当ページ記述は平成21年9月現在のものです)
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