アマゾーン女人族の女で狩猟者。カリュドーン(「糧食徴発者アルテミス」Artemis Laphriaの神殿があった古代ギリシア西部アイトリア地方の古代都市)では最もすぐれた運動競技者。幼時、アタランテーはアルテミス自身から授乳された。それはアルテミスがトーテム獣である雌グマに変身して授乳したのであった。成人すると、アタランテーは有名なカリュドーンのイノシシ狩りに参加して、最初にイノシシに矢を射こんだ。そのとき、イノシシの追跡を中断したのは、猟場で彼女を犯そうとした2匹のケンタウロスを殺したときだけであった。
アタランテーは誰よりも足が速かった。求婚者は競走して勝つことを求められ、負けると殺された。多くの者がそのために殺されたが、ある男〔メラニオーンあるいはヒッポメネース〕が策略を用いて競走に勝った。それは黄金のリンゴを持って競走に臨み、走っている最中に投げて、アタランテーの注意をそれにそらして勝ったのである。アタランテーとその花婿はライオンに身を変えられて、神々の太母の乗る戦車にくびきでつながれた、という説もある[1]。プリュギアのキュベレー Cybeleは、いつも、雌雄のライオンに引かれた戦車に乗っていた。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)
父が男の子を欲していたので、彼女を棄てたが、牝熊が乳を与え、猟師が発見して育てた。成人して、アルテミスと同じく、処女を守り、山野に狩し、ケンタウロスのロイコスとヒューライオスは彼女を犯さんとして射殺された。
カリュドーンの猪狩に参加、ペリアース葬礼競技ではぺ−レウスと闘って勝った。
のち両親に再会し、父が彼女を結婚させようとすると、求婚者たちに競走して勝つことを求め、敗けた場合には殺した。すこし先に走り出させて、あとから槍をもって追い、刺し殺したともいう。すでに多くの若者が殺されたのち、アムピダマースの子メラニオーンあるいはメガレウスの子ヒッポメネースが彼女に恋し、アプロディーテーより与えられた三箇の黄金のリンゴをもって競走に臨み、追いつかれそうになるとリンゴを投げた。アタランテーがそれを一箇ずつ拾っているあいだに、競走に敗れ、彼の妻となった。のち二人は狩の途中ゼウスの神域に入り、そこで交わった。これを怒ったゼウスは彼らをライオンに変じた。
なおエピダウロスEpidaurosの地には《アタランテーの泉》があり、彼女が狩の途中渇を覚えて、槍で岩を撃ったとき湧出したと伝えられる。(『ギリシア・ローマ神話辞典』)