学芸出版社

 

2010年/学芸セミナー記録

広域計画と地域の持続可能性
〜地域活性化の視点から〜

瀬田史彦・戸田敏行・福島茂 氏

 

県境を越えた地域計画も既に策定された愛知・静岡・長野県の県境地域(三遠南信地域)


趣旨

 基礎自治体を中心とした自治を進めると、多数の自治体や民間・市民など、多元的な主体を結び活動を生みだすための指針が必要になる。それこそが、これからの広域計画の意味ではないか。
 私たちはそのような思いから、今年3月に『広域計画と地域の持続可能性』を出版し世に問うた。
 幸い、多くの方にお読みいただけたが、もう一歩踏み込んだ議論をしたいとの声も聞く。
 そこで本セミナーでは、本書のうち、地域の活性化と広域政策の関わりに焦点をあて、具体的な事例をまじえて報告するとともに、会場の皆さまにも参加いただき、議論を深めました。
瀬田史彦・戸田敏行・福島茂


講演の記録

三角印地域活性化と広域政策 大阪市立大学 瀬田史彦
  • 地域活性化とはなにか〜その意味の変遷
  • 広域政策の変化 三角印県境を越えた地域の結びつき〜三遠南信地域を例に〜 (社)東三河地域研究センター 戸田敏行 三角印広域計画と地域ツーリズムの振興 名城大学 福島 茂 三角印質疑応答
  • アンケート

    日時/場所

      10年8月27日(金曜日)6時30分開場、6時45分から9時頃まで
      場所:京都学芸出版社3階

    ○主要プログラム

    ・地域活性化と広域政策(35〜50分)
     …………瀬田史彦(大阪市立大学大学院准教授)
     地域活性化の前提・目的が人口増加から機能維持に大きく変わっている。生活環境維持のために広域政策に求められるもことは何か。そのために圏域をどう考え、人口減少でより困難になる水平的連携をどう立て直し、地域主権と「上からの広域調整の必要性」をどう整合させるのかを論じたい。

    ・県境を超えた地域の結びつき(三遠南信地域を例に)(20〜25分)
     …………戸田敏行((社)東三河地域研究センター常務理事)
     愛知・静岡・長野県の県境地域(三遠南信地域)では、早くから県境を越えた連携が模索されており、県境を越えた地域計画も既に策定された。広域連携の一つとして全国にも広がりつつある、県境を越えた地域形成の課題と展望を語りたい。

    ・広域計画と地域ツーリズムの振興(20〜25分)
     …………福島 茂(名城大学情報学部教授)
     観光においては来訪者に満足していただくことが重要であり、地域内だけでは滞在型の観光を支えられない地域も少なくない。そこで政府も自治体を超えた広域的な観光地域づくりを後押しし始めている。南房総や南信州地域における先駆的な取り組みを紹介しながら、地域ツーリズムにおける広域政策のあり方を考えたい。

    ・質疑応答と議論(20〜45分)

     

    ○略 歴

    戸田 敏行(とだ としゆき)
    1956年生まれ。社団法人東三河地域研究センター常務理事。博士(工学)。豊橋技術科学大学大学院博士課程修了。東三河地域研究センター主任研究員を経て、2001年10月から現職。豊橋技術科学大学客員教授。
    専門分野は、地域計画。主たる著書は『県境を越えた開発』(共編著、日本放送出版協会、1989年)、『県境地域づくりの試み』(共著、あるむ、2007年)。

    福島 茂(ふくしま しげる)
    1959年生まれ。名城大学都市情報学部教授。博士(工学)。東京大学大学院博士課程修了、国連地域開発センター研究員、東京大学助手、アジア工科大学(AIT)助教授、名城大学助教授を経て2002年4月から現職。名城大学アジア研究所所長を兼任。
    専門分野は都市計画、地域政策。主な著書(共著)は『地球環境と巨大都市』(岩波書店、1998年)、『都市再生のデザイン』(有斐閣、2003年)、『都市を構想する』(鹿島出版会、2004年)」。

    瀬田 史彦(せた ふみひこ)
    1972年東京生まれ。大阪市立大学大学院准教授。博士(工学)。東京大学大学院修士課程修了、博士課程中退、財団法人日本総合研究所客員研究員、東京大学先端科学技術研究センター助手、AIT(アジア工科大学)客員助手(兼任)、国際協力機構短期専門家(同)などを経て、2005年4月より現職。
    専門分野は、都市計画、地域開発。主たる著作は『創造都市と社会包摂―文化多様性・市民知・まちづくり』(共著、水曜社、2009年)、『初めて学ぶ都市計画』(共著、市ヶ谷出版社、2008年)、『社会、まち、ひとの安全とその技術―社会安全システム』(共著、東京電機大学出版会、2007年)、『中心市街地活性化三法改正とまちづくり』(共編、学芸出版社、2006年)。

    会  費

      1000円、定員60名、懇親会費は別途

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    〈東大まちづくり大学院シリーズ・好評既刊書〉
    低炭素都市
    これからのまちづくり


    大西 隆 編著 小林 光 編著  


    装丁 前田 俊平

    A5判・256頁・定価2835円(本体2700円)
    ISBN978-4-7615-2479-1
    2010-01-30 初版発行

    ■■内容紹介■■ 
    低炭素都市の実現には、まちづくりの様々な政策が大きな転換を遂げて、まちの構成や基盤から人々の生活や移動の仕方に至るまで、低炭素型社会の思想と実践が貫かれる必要がある。では、その変換とは? 地球環境問題と都市行政の専門家と研究者が、建築、交通、暮らし、都市計画、都市政策について、事例を交えて明らかにする。


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