虫草日誌 2004年(2)


「薮の中」パネルにテンペラ、油彩 2003年 334x212mm

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カイガラムシ生不明種

5月28日(金)

K川へ。登り口の橋のそばの川筋を調べる。ハイイヌガヤの枝に早くもカイガラムシキイロツブタケが結実していた。
流れの上に張り出した不明の木の葉裏に径0.8mmぐらいの黒っぽい丸いものが付いていた。どうやらカイガラムシの仲間らしい。近くにもう一つ見つけたが、それには赤い虫生菌らしきものが出掛かっていた。去年見た不明のトルビエラの未熟なものだろうか?



クサナギヒメタンポタケ

5月24日(月)

K川へ。クサナギヒメタンポタケの撮影に行った。前回出た時は崖の途中だったので木の根につかまって採集するのがやっとだったが、今回は道沿いなのでゆっくり撮影できる。前に折れてなくなっていた個体も新しいストローマが出て来て結実しており、持ち帰ったものを合わせて計9体を確認した。



(左)ハナアブラゼミタケ、(右)不明種

5月10日(月)、11日(火)

10日、朝から雨だが止み間を縫って昼食を食べに出る。ついでにM神社にハナアブラゼミタケとカンゾウタケを見に行く。ハナアブラゼミタケは今年も出ていた。でも一体だけ。カンゾウタケは色鮮やかな小さいのが二つ出ていたが食べごろはまだ先のよう。外の公園を調べるとこちらは食べごろの大きなものがあったので持ち帰る。帰り道また雨が激しくなり、びしょ濡れ。
11日、仕事の合間に近くのK寺へ。5日にアリ虫草を見つけた辺りを再調査する。例のアリ虫草は見つからなかったが、いろんなものが見つかった。まず、未熟なコメツキムシタケが一体。コガネムシハナヤスリタケは何体か見つかったが、ほとんどはマユダマタケの重複寄生をうけた古いものだった。ツブノセミタケは5〜6体。他にオイラセクチキムシタケが数体とクチキムシツブタケが一体。さらに白っぽい棒状のきのこのようなものを見つけて念のために掘ってみると虫が出て来た。コガネムシハナヤスリタケの寄主と同じスジコガネの幼虫のようだが、こんな白いストローマを持つ虫草は心当たりがない。まだまだ未熟のようなので、元の場所に埋め戻す。



(左)(右)とも クサナギヒメタンポタケ

5月6日(木)

K川へ。連休が終わり少しは山も静かになっただろうと思い、4月20日に見つけた白い未熟虫草のその後を見に行った。ところがなんとストローマの根元から折り取られて無くなっているではないか。人通りの多い場所でもあり、目に付きやすい位置にあったので、ハイカーが何気なく折り取ったのかもしれない。一瞬愕然としたが、気を取り直して辺りを念入りに調べてみると少し上の方に一体、下方の地面に近いところにもう一体、さらに少し離れたところにもう二体みつかった。うち二体は結実しており、予想通りクサナギヒメタンポタケだった。四年ぶりだが、前回出た場所とはかなり離れている。前回と同じく土砂崩れの跡のような斜面であり、虫草は土砂の流れに沿うような感じで上下に点在している。土砂崩れに巻き込まれて埋まった鱗翅目の繭から出ているようだ。同じ日に出ていたサナギタケがほぼ同じぐらいの高さに、広範囲に出ていたのと対照的だ。一体を持ち帰る。



(左)ツブノセミタケ、(右)アリヤドリタンポタケ?

5月5日(水)

K寺へ。コガネムシハナヤスリタケの坪を調べるがまだ新しいのは出ていない。
近くに結実しているツブノセミタケがあったので撮影。以前ツブノセミタケと思って掘ったらキマワリ幼虫が出て来たことがあったので、寄主を確かめるために掘ろうとしてすぐそばにあった黒っぽい木の根のようなものから掘ってみると、寄主らしきものがついていた。干涸びたコガネムシハナヤスリタケだろうと思ったが持ち帰ることにする。
続けてツブノセミタケを掘って行くが、少し掘る度に木の根が出てきてなかなか進まない。しかも長い。掘っても掘っても寄主が出て来ない。やっとのことで掘り出して後で計ってみると30cmあった。
帰ってから先ほどの黒っぽい木の根のような虫草(写真にも写っていた。)を洗ってみると寄主はなんとアリだった。寄主が茶色っぽい菌糸で覆われていることと、柄に短毛が生えていることから未熟なアリヤドリタンポタケと判断した。初めて見る種類だ。

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