日本刺繍 森繍

伝統工芸刺繍作家
日本工芸会正会員 森康次 公式ホームページ

日誌という名の記録

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「きものデザイン実習」授業内容  2009年4・5月

4月13日(月)

1時限
自己紹介 この授業の概略と進行の説明
使う道具 準備の説明
2時限
きものデザインについてに講義

4月20日(月)

1時限
A3 白地 ひな形用紙に文様を描く
2時限
同じ

4月27日(月)

1時限
A3 白地 最終原稿に向けて、ひな形用紙に文様を描く
2時限
微調整

5月11日(月)

1時限
色画用紙作り
2時限
色画用紙A3ひな形に模様を描く

5月18日(月)

1時限
色画用紙に着色
2時限
色画用紙に着色

5月25日(月)

1時限
色画用紙に着色
2時限
白の台紙に張り付けて完成
合評会 授業終了

4月13日月曜日 快晴2重○

伝統文化コース 「キモノデザイン」の記念すべき初日、奈良の富雄まで行くには上賀茂を6時50分には出なあかん。
地下鉄で京都駅まで行き近鉄特急で西大寺、大阪難波行きに乗り換え3つめが富雄

奈良方面に5分も歩けば大原学園の正門

講義日誌写真

教室に案内され設備の充実に驚く。
このコースは初年度でもあり受講生は7名と少ないが全員にトレース台が行き渡り準備は万全。

私も初めての経験であり少し緊張気味だが、講義の中身はなれたものだから出来るだけわかりやすくと考えている。
キモノデザインと言っても設計図と同じ、完成予想着色図案。
キモノを作る上で元になるものを紙の上で完成しようというのである。サンプルはこのようなもの。
(下記の黄色地の白流水の着物図は、衣桁にかかったキモノに見えるが色画用紙にポスカラで着色した完成予想図案です)

担任の先生を含めて8名が受講19才から26才と私の子供より遙かに若い。
年齢幅はあるが目的がはっきりしているので解りやすい。山口県 静岡県 大阪 京都と出身はいろいろ、今後の進行とその中身、道具の説明 自己紹介
2時間目にデザインについて少し触れたがどうもしっくりいかないので、いきなりだが「実技」に入る。
あっという間に時間になり今日はここまで。着物の仕立ての勉強は1年経験しているのでキモノの各名称、長さの単位の「尺」についても理解済み。
次回が楽しみ

4月20日月曜日 少し曇り 良い気候

2回目 慣れたものでスイスイと学園まで行く。時間があったので控え室でお茶まで頂きゆっくりした感じ。デザインすると言っても、なにもない真っ白な紙の上になにかを描いていかなくてはならない。案外これが難しい。このようなものがしたいとイメージが明確になってるときは、さほど難しくはないのだが、なにをしようか?と迷っている間はなかなか進まない。旅と一緒で行き先がきまれば切符も買いやすいのと同じだ。
8人8様で 桜 梅 柳と蛙 菊尽くし 椿 
桜格子猫 立て湧く 泡の流れ と個性的でなかなか良いスタートを切っている。
四月中にもう一日あるので最終原稿までこぎつけ、地色に見せた色画用紙作りを5月から始める。古典模様に 松とか笹とか梅とかがあるがついつい便利だからこれを使ってしまう。
大きな間違いは、松の木も見ないで古典模様の松を使うことです。梅でも一度は梅の木を写生して、その花の仕組みを理解してから、伝統的な梅を描かなくてはいけない。
でないと とんでもない梅や松が出来てしまう。

4月27日月曜日 晴天 寒かった

3日目 今日の受講生は5名
着色までの最終原稿の完成にむけてピッチを上げていく。ココは美術学校ではない。にもかかわらずデザインをしている。写生の経験があるわけでもなく、デザインの基礎知識があるわけでもない。しかし思い思い好きな模様を白紙の上に描いていく、細かいチェックに何回も修正しながら、それでも形になっていく。
個性的でその発想は新しく面白い。そこが良い。
上手い下手よりも私は性格だと思っている。
花一輪でも丁寧に形を追いかける子、案外大雑把に描いてくる子、どちらが良いともいえない、そこが個性なのだ。この世界は「人と同じ」は良くない。
人と違っていなくては意味がない。だから途惑う
次回5月11日までには最終原稿を完成しておかなくてはならない。この連休に自習しなくては間に合わない。期限の決まった課題の提出と同じ。バイトをしながら授業を受けて、少しの休みに自習。大変だがここが踏ん張り処、ココで集中しなくては、ココで力を出さなくては・・・

5月11日月曜日 晴天 まるで夏日

キモノデザイン 4日目
最終原稿として全員がまとめてきた。上出来です。
連休に頑張ったのだと思います。でないと描ききれません。
生地に見立てた画用紙に好みの色を付けベースを作ります。木枠にミューズコットン紙を水張りし、乾燥してから色を付けます。

白地に暈かしを入れる者、色画用紙そのものを使用する者、パステルを使う者、皆いろいろ。
木枠に画用紙を水張りする作業は全員参加。
乾燥する間に薄紙の最終原稿にイメージ通りの色を付ける、この時は色鉛筆を使う。

講義日誌

2時限目
乾燥した色画用紙にひな形の枠取りをして、最終原稿をきめつけていく。

講義日誌

講義日誌

絵の具を使わずパステルを使用、雰囲気の変わったデザインになる。

5月18日月曜日 25度を超えて夏日
雲一つない青空

残り後一日となりました。
今日はどうしても着色しなくてはなりません。
2時限160分で大まかな部分を押さえなくては25日に完成できません。
ところがそれがなんとか出来るものなのです。
順調に進行しています。個性的で1人1人違うもの出来ていき楽しみです。

講義日誌

講義日誌

こんなもんです。
凄いでしょう。
まだまだ中途ですから完成すれば綺麗です。

5月25日月曜日 AM7時どんより曇って今にも降りそう
PM12時30分暑いくらいのお天気に回復

今日はいよいよ最終日です。
デザインの学校でもないのによく頑張ったと思います。そうです、やれば出来るのです。
それなりに、それなりの到達点にたどり着きます。
投げ出さず、諦めず、コツコツと続けた者だけがたどり着ける領域があります。
今回はそれを実践し体験できたと思っています。
その意味で大きな成果がありました。
とにかく続ける!
手仕事 ものつくりが信じる道はこれしかありません。
そして「これの繰り返しと積み重ね」です。
もう一つ付け加えますと、「ものつくり」ですからその元になる設計図が必用です。
「箇々の感性の提案」、「和の文化」の発展には新しいものの誕生が不可欠です。
ほんの少しだけ、それもさわり部分ですが、そのことを体験できたと思います。

完成した着物デザインは今すぐにでもここでUPしたいのですが「2009年第13回着物デザインコンクール」に出品しますので、残念ながらこの時点ではここにUPすることは出来ません。
今年の秋に発表があります、詳細を上のリンクから見て下さい。

来年の1月からは刺繍の実技と講義が始まります。
それまでしばしの別れです。
みなさんくれぐれも健康に留意して、これから来る暑い夏を乗り切って下さい。
では>>ごきげんよう。