一方向から三面が見える形を用いると
刺繍した面と綿とが微妙な色の違いを見せます。
とくに、菅繍(すがぬい)という技法で刺繍したものは
その変化が顕著に出ます。
視点を変えるとデザインが変化し
その相貌を変えて見せるという
造形上の面白さも加味されます。
こうした変化と一面を
刺繍で埋め尽くす贅沢さ
筥本体の木の落ち着きとぬくもりとの調和。
これらが”飾る”という用途の生命に
なり得ないだろうかと考えるのです。