日本刺繍 森繍

伝統工芸刺繍作家
日本工芸会正会員 森康次 公式ホームページ

日誌という名の記録

下記のリンクをクリックして頂くと各回の講義日誌へジャンプします。

「刺繍実技」
授業内容(2013年11・12月 全5回)

11月5日(火)

1時限~ 5時限
この授業の概略と進行の説明
刺繍台の組立 生地の張り方を試す
糸を割り方・撚り方
ぬい初めとぬい終わりの処理について
袱紗生地に下絵を転写する

11月12日(火)

1時限~5時限
刺繍をするく
よくわからないだろうが、とにかく手を動かす

11月26日(火)

3時限~5時限
刺繍をする
ひたすら刺繍をする

12月3日(火)

3時限~5時限
刺繍をする
もくもくと刺繍をする
   

12月5日(木)

3時限~5時限
刺繍をする
脇目もふらず刺繍をする
   

12月10日(金)

3時限~5時限
刺繍をする
無我夢中で刺繍をする

12月17日(火)

3時限~5時限
刺繍をする
出来ていない人は頑張って刺繍をする
刺繍台を解体し、箱に収納する

11月5日火曜日 晴れ

刺繍の実技
昨日、近畿地方に「木枯らし1号」が吹いた。
今日は少し寒かったがいいお天気。
久しぶりの奈良行き。
今日から刺繍の実技が始まる。
伝統文化コース4期生の3名は「名古屋帯」にかかっている。
一人は昨年からの続き。
後のふたりは「新作」
総合研究コース5名 専門コース5名は「小袱紗」に模様を入れる。
「金封」を包んだり置物の「敷布」に使ったりといろいろなものに使えばいい。
それでもデザインをして下絵を作って配色を決めて 生地に下絵を転写して
足し布を羽縫いして刺繍台に生地を張って、糸を撚って・・・・とする作業は
着物も、帯も 袱紗もすべておなじ同じ。
一度に10名のスタートは忙しかった。
それでも一日かけて予定完了、「糸より」まで達成。
何もわからないし初めての経験なのに、学生はよく頑張りました。




11月12日火曜日 曇り

いいお天気だが寒かった。
2回目の実技、今日から針をもって刺繍する。
この刺繍は両の手を使う、右手は生地の上左手は生地の下。
右手の動きは良くわかるのだが左手がわからない。
それにどこから針を出してきていいのかもわからない。
厄介なことだ。
一人一人の刺繍台を回り、少し刺繍して見本を見せる。
あとは見様見まねでするしかない。
何とも気の毒なことだ。
5日間で袱紗にちいさな模様を刺繍する。
今日はその手始め。

11月26日火曜日 晴れ

秋も深まりいいお天気になって、京奈和自動車道の木々も色ずき季節の移りを感じる。
ちょっとした都合だが、授業の開始を昼からとした。
初めてのことで戸惑ってはいるが、それなりに進んでいる。




12月3日火曜日 晴れ

もう12月3日。
今日もいいお天気だった。
10時30分ぐらいに上賀茂を出る。
朝7時の出発と違って京都を抜けるのに時間がかかる。
お昼前の時間帯が渋滞しやすいらしい。
今日を入れて4回の刺繍実技。
順調に捗っている。
13名居るがデザインは各自の好みで全部違う。


12月5日木曜日 晴れ

AM10時20分上賀茂発でなんとか給食の時間に間に合って
ロスタイム無しで午後からの授業に入れる。
そんな時間配分だから朝一で編集部に送る着物の手配をすませる。
バタバタと準備をして忘れ物がないか点検して、それなりに落ち着いているのだが
気持ちは取材のことでいっぱい。

渋滞もさほどでもなく「さっさと気持ちを切り替えて」実技指導へ。

順調に進んで、修正しながらうまくいっている。
この作業のいいところは「うまくいかなかったところは解いて、やり直しができること」
ただ 時間がかかる。




12月10日火曜日 曇り

風が強くて側溝の吹き溜まりにたまった落ち葉が風に舞い
秋の終わり、冬の到来を暗示。
今日も奈良まで一っ跳び。


残り一日だから今日完成と言う学生もいて
一気に終盤へと突入。




12月17日火曜日 曇り

どんよりと曇った空、12月中旬を物語っている。
明日、18日は太平洋添いに低気圧が北上。
この気圧配置になると南側で雪になる。

刺繍の授業も今日で終了。
刺繍名古屋帯を作っている伝文4期生3名のうち一人は完成
残り2人は自習。

袱紗のキモノ科の10名は順次完成。
後日袱紗を仕立てて画像を送ってくれることになっている。

これがなかなかの出来で驚いている。
時間をかけてゆっくりし取り組んだとはいえ、初めての刺繍で
ここまでまとめるとは大したものです。

さて
この授業をもって私の受持ちが終了しました。
振り返れば2009年から5年間、「刺繍とキモノデザイン」を通じて多くの学生と交流した。
授業の進め方に戸惑いながらも、20歳前後の学生との授業は実に楽しかった。
その推移はこの講義日誌が物語っている。




きもの科 の10名





伝統文化コース4期生 



12月27日
授業で作業をしていた「小帛紗」が完成しレポートと共に手元に届いた。
小帛紗の仕立てはお手の物で、その画像USBで送ってくれた。
便利になったものだ。

僅か5日間の授業での作業だから、進め方にもかなり無理があって
学生は苦労したようです。
日本刺繍を初めて見て知識としてもそれほどなくて、
「刺繍台」に張り「両の手を使う」ことも知らない学生もいて、
糸がよれない 輪郭が決まらない と本当に苦労したようです。

それでもこうして完成して「一生大事にします」「これをもってお嫁に行きます」
と作る喜びを顕わにしていました。

こつこつと作業を進めた賜物です。

何事もこのように「やり遂げる」ことを学んでくれたらこの授業も大成功です。