日本刺繍 森繍

伝統工芸刺繍作家
日本工芸会正会員 森康次 公式ホームページ

日誌という名の記録

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「刺繍実技」
授業内容(2011年1~2月 全5回)

1月11日(火)

2時限~ 5時限
この授業の概略と進行の説明
刺繍台の組立 生地の張り方を試す
糸を割り方・撚り方
試し繍 ぬい初めとぬい終わりの処理について

1月18日(火)

3時限~5時限
自分のきものや帯に刺繍をするく
よくわからないだろうが、とにかく手を動かす

2月8日(火)

1時限~5時限
自分のきものや帯に刺繍をする
ひたすら刺繍をする

2月15日(火)

1時限~5時限
自分のきものや帯に刺繍をする
もくもくと刺繍をする

2月22日(火)

1時限~5時限
自分のきものや帯に刺繍をする
無我夢中で刺繍をする
刺繍台を解体し、箱に収納する

1月11日火曜日 晴時々曇り

新年早々の実技の授業。
「今年一番の冷え込み」と言う天気予報どおり、冷たい朝に奈良まで出勤。
昨年は6名でしたが今年は2年3年合同になるため19名と大所帯。
2名欠席だが教室に17人分の刺繍台が並ぶと壮観。
かってはこんな作業風景も大きな刺繍工房では在ったのだろう。

刺繍台の組立、生地の張り方  掛け糸をかけて生地の縦横のテンションを均等にする方法
絹糸や刺繍糸の話、撚り方  ぬい始めからぬい終わりまでの注意点など
あっという間に授業終了。充分に説明が出来なかったり、一人一人に行き届いた指導が出来なかったり
ちょっと無理が重なった。
残念で仕方がない。
次回18に日に持ち越し。

日本刺繍はこれと言った道具を使わない、経験によって会得していく道順が沢山ある。
限られた時間内では充分なことが出来ないが、なんとかやってみる。

1月18日火曜日 晴時々曇り

実技講習2日目
18名の出席。
寒い日だが時折よく晴れて、日差しは温かく感じる。
昼からの授業になったが、準備は整い思い思いに作業に入っていた。
慣れない中にも意気込みを感じる。

気の毒になるほど糸が撚れない、刺繍台に生地が張れない、 掛け糸がかけられない。
無理もない。
私が子供の頃は手先を使う事が辺り前だった。
今もそうだろうが「手先を使う」と言っても
その中身や意味合いが少し違う。
紐を結んだり、マッチを擦ったり、一枚だけチリ紙を取ったり、鉛筆を削ったり、
そのような手先の使い方が今はない。
遊びの中にも「作る」と言う行為が多かったように思う。
だからこのような授業や体験が意味を持っている。
しばらくは大変だろうがガマンして励んで欲しい。

それと「見て覚える」ということが「苦手」かもしれない。
たいがいの物は見ればわかるのだが、なかなかそうはいかない。

自分たちの染めた帯やきものに「刺繍が入る」世界に一つしかない物が出来上がる。
これほど愉快で心躍る事はない。

18人の手助けに没頭、画像に残す時間もなく無情にも終了のチャイム。
画像は次回に持ち越し。

2月8日火曜日 晴のち曇り

一月の厳しい寒さも幾分ゆるみました。
それでも奈良はブルッと震える程の寒さで、春はもう少しあとになりそうです。

病欠などもあって15人の出席。
進み具合を心配していたが、私の取り越し苦労。
仕事量の一番多かった学生、「やるときはやるんです!」と頼もしい発言。
そんなわけで予定以上の進み具合で一安心。
友禅の、模様に刺繍を入れると柄が引き締まったり、アクセントがついたり
刺繍糸の色が映えて綺麗になったりで、思いの外よい効果がでてグレードがあがります。
手間や暇をかければそれなりに応えてくれるのが、「ものつくり」の良いところです。
形になり、出来上がっていく楽しみや喜びを体験できればそれにこしたことはない。
そしてそのキモノや帯は自分で身につけることが出来る。

糸を撚るのも、針を持つ手も、だんだんよい形になってきました。

京都に着けば久しぶりの雨
夜更けに本降り、やっぱり春は近くまで来ている。
桜が待ち遠しい。

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2月15日火曜日 曇りのち晴れ

日本刺繍実技の4回目
今日も寒かった。上賀茂は積もっていなかったが
南へ行くに従って雪が多くなって、奈良の富雄は歩きにくかった。
就職活動の為の欠席などがあったがみんな元気に登校。
実技も4回目になると完成した学生も出てきて
予想外の進行。
上出来です。
出来た人は自習です。
デザインをしたり参考資料を調べたり
穏やかな授業風景。
自宅に戻れば、第一期生から「卒業パーティー」の案内が届いていた。
そう言えば3月24日が卒業式

講義日誌

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2月22日火曜日 快晴

春を感じるよく晴れた一日だった。
日本刺繍実技の最終日
1期生は卒業するので私の授業は最後になる学生もいる。
心配していた進行具合も、みんなの頑張りで無事
全員が完成。
やれば出来る。
これもものつくりの醍醐味
ちゃんと形になってそれなりに治まる。
自分で染めて刺繍をして仕立てをして、
自分で着用する。
愉快ではないか。
慣れた頃には終わりが近づくのが残念だが、
出来上がった帯やきものを手元に置いて
大原和裁専門学園で学んだことを、何らかの形で生かして欲しい。

刺繍台を解体して所定の箱に収める
合評会はやめて、一人ずつ「1問の質問」を受け付け
それに答える形で不足分を補った。

●刺繍を辞めたいと思ったことはありますか?
●デザインは何処で勉強したのですか?
●何故日本刺繍をすることになったのですか
●先生にとって文化とは何ですか
●今一番気になっていることは何ですか
●一日何時間刺繍をするのですか?
●着物以外で作っている物はありますか
●制作は注文品ばかりですか?
●生年月日を教えて下さい。
などなど・・・・・
全員の質問を受け付け和やかにこの授業を終了した。
いや~ 愉しい授業だった。
早起きは多少辛かったが、若い学生に刺激され、熱心さに動かされ
毎回こころ待ちにして奈良まで通った。
感想文提出を待って全体を振り返らなくてはならない
そして評価を付けて一区切り。
次に合うのは卒業式。

23年度の予定表を頂き、今後のことについて理事長先生と打合せ。
花の盛りが治まる頃には次が始まる。

そうだ、「美しいキモノ」 の誌上発表で盛り上がったことを付け加えておこう。

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