日本刺繍 森繍

伝統工芸刺繍作家
日本工芸会正会員 森康次 公式ホームページ

日誌という名の記録

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「きものと帯の縮小デザイン画の描き方」
授業内容(2012年4~8月 全16回)

4月17日(火)

1時限
自己紹介 この授業の概略と進行の説明
使う道具 準備の説明
2時限~ 5時限
江戸時代の雛型を使った「デザイン画の模写」の準備
江戸時代の雛型の配布 ロール紙を使って文様を描く(下書き)

4月24日(火)

1時限~5時限
ロール紙を使ってひな形に文様を描く
画用紙に文様を決めつける 画用紙に彩色をする

5月8日(火)

1時限~5時限
画用紙に彩色をする

5月15日(火)

1時限~5時限
画用紙に彩色をする

5月22日(火)

1時限~5時限
画用紙に彩色をする

5月29日(火)

1時限~5時限
出品用のきものデザインの作成に着手
ロール紙を使って文様を描く(下書き)
ロール紙で完成させた最終原稿を画用紙に決めつけ
彩色をする

6月5日(火)

1時限~5時限
彩色をする

6月12日(火)

1時限~4時限
彩色をする
5時限
合評会

6月19日(火)

1時限~5時限
タイコ柄の帯デザイン

6月26日(火)

1時限~5時限
タイコ柄の帯デザイン

7月3日(火)

1時限~5時限
タイコ柄の帯デザイン

7月10日(火)

1時限~5時限
タイコ柄の帯デザイン完成

7月17日(火)

1時限~5時限
振袖用全通柄の帯デザイン

7月24日(火)

1時限~5時限
振袖用全通柄の帯デザイン
  

8月21日(火)

1時限~ 5時限
振袖用全通柄の帯デザイン

8月28日(火)

1時限~ 4時限
振袖用全通柄の帯デザイン完成
5時限
合評会
全通柄の帯の制作意図、アピールしたい部分を発表

4月17日火曜日 晴れ

今年もデザインの授業がはじまりました。
2日前の天気予報では、雨が降るようなことをいっていましたが、
幸運にも雲一つない晴天。

新しい2年生を迎えて14名、

新入の若い先生をサポートにつけて貰い、気分はルンルン。

多くの学生は、昨年経験済みだから仕事が早い、

それに昨年にまして着眼点がユニーク。

昨年は苦労した水張りも今年は上手く出来ましたし、

お天気の良さ、春風 授業の進行。

気分の良い出足でした。

4月24日火曜日 晴れ

メチャメチャ良いお天気で暑いくらいでした。
2年生もやっとなれて小袖の模写取り組んでいる。
模写と言ってもまったく同じではない。
モチーフや構図は参考にするがここのパーツは自由に組み合わせる。

3年生は個性的な図柄が多い。
昨年まして面白いものが沢山ある。
出来上がりを楽しみにしている。

授業の始めに「ワンポイントレッスン」を織り込むことにした。
その初日だったが、どうもしっくりいかない。
次回までに練り直すことにした。

    

5月8日火曜日 晴れ

京都で27度 奈良で26度と言う予報。
Tシャツ、に半袖シャツという軽装ででかけた。
朝はチョット寒かったが、これくらいで快適。

デザインの授業も3回目、
思い思いに進行。
2年生の「小袖ひな形」を参考にした作図は
3人とも完成。

3年生の出品作も順調に進んでいる。


小袖ひな形 を参考にした キモノデザインだが、黄色のお菓子のような形が、
梅の木の上に散らばっている。
なんの模様かと色々調べたら「蹴鞠を保管、乾燥」しておく道具と解った。
このような道具も文様にしてしまう意匠力に感心している。
疑問に思っていたことが一つ解明。

以下は検索した内容。  右上は家紋帳から転載。

「離れ鞠鋏」
鞠鋏(まりばさみ)とは蹴鞠(けまり)に用いられる鞠を保存するための道具。
鞠鋏は上記「離れ鞠鋏」のように開き腰革に沿ってはめ込み固定させる。
鞠職人が鞠を乾燥させるための道具として軒下などに吊した。
保存や乾燥などのために用いられる他、装飾を施し観賞用としても持て囃されたという。
紋章としては主に外枠として使われることが多い。

    

5月15日火曜日 雨

今日は葵祭 そして雨。
出かけるときはかろうじて止んでいたし
帰ってきたときも、上賀茂は降っていなかった。
それだけで、幸運。


第16回全国キモノデザインコンクール 出品作品も
3点完成。
3年生は昨年の経験もあって、おしなべてレベルアップ。
「張ったり」「散らしたり」「振り落としたり」様々な技法を使って
思い思いの世界に挑戦をしている。
今年は昨年よりももユニーク。


授業始めの20分間ほどを使って「ワンポイントレッスン」を開始している。
1回目は滑ったので、今日で正味2回目。
「動きのあるデザイン」「「デザインの中のリズム」
「線遠近法」「空気遠近法」など・・・
美術系の学校ではないが、「デザイン」となるとこのような知識も必要。

そうだ、「水張り」が完璧。
みんな上手になった。

    

5月22日火曜日 曇り

今日も雨に降られず幸運だった。
みんな上手くて、色々工夫して、思い思い自由に生き生き描いている。
それはいいのだが、ちょっと「懲りすぎ」「上手すぎ」のところがあって
時間が足らないかもしれない。





隣は「織り」の教室

染め場で大量の「ヨモギ」を煮て染液をつくっていた。
「よもぎ餅」が大量につくれるほど。
糸が染まったので見に行った。
むっくりと落ち着いた緑色に染まっていた。

    

5月29日火曜日 曇り

語呂合わせで「ごふく」の日なのだ。
着物の問屋が軒を並べる室町筋では、「今日は着物で・・」とPR

5月最後の授業。
水張りをしてベースにいろいろ工夫をしている。


この作業は、着物の染で言えば「地 染」にあたるところ。

ぼかし足を出来るだけ長くしたり、 あえて刷毛あとを残したり
布でボールを作って叩いてみたり、 ブラシで落としてみたり・・・
さまざまな工夫をしている。
これも昨年の経験から、導き出したひとつの方法。

デザインも力作揃い。


となりの織りの教室では菅巻と織りをしている。
菅巻はこの前のヨモギで染めた糸
織りは 昨年デザインした草履やこっぽりをすくいで織り 名古屋帯を作っている。

「卒業制作用に作ったのです」と
出来上がった絣の着物を見せてもらった。
白に近いベージュに細かい絣が色とりどりに散りばめてあり、ため息が出そうなぐらい綺麗だった。 単衣に仕立ててあって着やすそうだった。  凄かった。
一人は6月で、もう一人は今期限りで巣立っていく。


    

6月5日火曜日 曇り

今にも降りだしそうな空模様だったが、京都でも奈良でも
降られずでした。
きものデザインコンクールまで授業は後2回になりました。


15点ほど完成しています。
次回12日が最終の授業日、そして5時限目は合評会。

研究科在籍は3年続けて出品することになる。
展開も予想でき、余裕もあって昨年のような緊張感はない。
初めての2年生は戸惑いの方が多くうまく進まないがこれも仕方のないこと。


授業の始めに、「ワンポイントレッスン」をするのだが
今日は「遠近法について」
15ページのサンプル画も威力を発揮して
案外話しやすかった。
プレゼンをしているようで、朝から一汗かいた。




    

6月12日火曜日 曇り

京都もとうとう梅雨入り。
したがってどんより曇ったお天気。
いつものようになれない早起きをして、
市営地下鉄、近鉄と乗り継いで、奈良は富雄まで。
16回きものデザインコンクールに出品するための授業は
今日で最終。
積み残しも2点ばかりでたが、15名 で 29点完成。

絵をかくことには不慣れな学生達だがよく頑張った。
「20歳前後の子は着物の柄といえばこんなことを考えるんや」と
感心しているのです。
出品前で発表できないがいずれ時期が来ればこのページで見ていただきたい。

最終時限を使って「合評会」。


はい お疲れでした。

カットして台紙に貼って 完成。

    

6月19日火曜日 雨

台風4号が19日午後5時すぎ和歌山県南部に上陸。
奈良も京都も暴風域。
電車が止まったりひどい雨風にさらされるとかなわないから、
意を決して、自動車で行くことにした。
運転はあまり好きではない、知らない土地へ出かけると、
どの道を通っていいのか不安で仕方ない。
ナビを頼りにしていくのだが、そのうちどこを走っているのかわからなくなって
ガソリンも残り少なくなって、とうとう、10分ほど遅刻をしてしまった。
ナビは頼りにならない。
16回の着物デザインコンクールは、14名、30点の搬入を済ませホッとしている。
いい結果が出ればそれに越したことはないが、こればかりは、おまかせである。


今日から帯のデザインに取り掛かる。

名古屋帯 から始まり、全通へと進む。
3年生は昨年も経験しているので、余裕があって楽しんで描いている。

染帯用と刺繍帯用のデザインを書く。
織りの授業、染の授業と連携しているので、無地やシマの名古屋帯に刺繍で柄を置く。
染めの帯にアクセントをつけるために刺繍を施す。
みんな上手くなった、感心するほど発想が面白い。


    

6月26日火曜日 曇りのち晴れ

天気予報が見事に外れ、久しぶりの快晴。
ポイント柄の帯デザインは順調に進んでいる。
来年の成人式に着る振袖をデザインしている学生。
先輩にいろいろ注意点を教わり、戸惑いながらも実寸大の草稿を書いている。


アンティークの着物に一目ぼれ。
レプリカを作るのだと意気込んでいる学生。
次の課題の「全通」にとりかかっている学生。

学生によって多少のバラつきはあるが、経験した分、確実に進歩している。


それはそうと、一人の学生からうれしい報告をもらった。
天神祭のコレクションで浴衣のデザイン画の公募があり、
2枚デザイン画を送り、2枚とも受賞したとのこと。
賞をとったデザインは商品化され、ショーをするのだそうだ。

授業の合間に浴衣のデザインを描いていた、頑張って描いたかいがあった。
バイタリティーがあってチャレンジャーでなんとも頼もしいことだ。

天神祭コレクション
7月21日(土)
開催場所:JR大阪駅上 時空の広場
開催時間:16:00~
    

7月3日火曜日 雨

とうとう7月になって、あと3回すれば夏休み。
次回でポイント柄を終了。
問題なくゆっくり進んで、3年生は物足りなさそう。
講堂を借りて、プロジェクターを使い「帯の構図」の講義
画像を豊富にみて、その違いを解説。
着物もそうだが着装したときと帯を畳の上で広げた時と見え方が違う。
着るものだから、着た人 その場所 着物との関係、そんなことを意識しながら
デザインすることが大事。

画像が多すぎてチャイム、最後は駆け足。

次回「きものの構図」
会場を暗くするものだから何人かは寝ていた。 と思う。

刺繍に興味があってちょっとでも刺繍がしたいと、デザインの授業なのに
この子だけ刺繍の実技。


ちょっと遊んでいる。


帯のデザインをこのようなもので作っている。
もちろん課題とは別だが。
横から見せてもらったが、うまいもんだ。
やってみたいが今はちょっと・・・・・

    

7月10日火曜日 晴れ

プロジェクターを使っての講義は「きものの構図」
先週の帯の構図に続く第2弾。
今回は、
画像の枚数、解説の長さなど調整しながら時間内に無理なく終了。

話だけでなく、画像を見ながらの講義で、話しやすかったのだが・・・・

着物について知れば知るほど、「小袖について」関心が深くなる。
室町から江戸後期まで300年のあいだに、社会情勢や政治に影響されながら
着る側の意識や好みに変化をあたえた。

「着ることを楽しむ」と言うことはそういうことなのだろう。

今のような「きっちっと」した着方は「最近」なのである。

帯のポイント柄は本日の授業で終了
13名全員がデザインを完成。
今年も驚くような視点でのデザインがたくさんあった。
本当に自慢の学生たちである。

友禅の併用だったり、平織りで無地の帯地を織ってそれをベースにしたり、
織りの「すくい」と言う技法で背景を織り出しベースにしたりと、
刺繍以外の技法を使っての
「名古屋帯作り」








    

7月17日火曜日 快晴

祇園祭、山鉾巡行。夏模様の快晴。
キット梅雨明けだろう。
どうしたらデザインが上手くなるのだろう。
日々練習しかない。
スポーツと同じでトレーニングあるのみ。
いつもそのようなアンテナを張り。「おお~綺麗」と
感じたら、 なぜキレイと思ったかを分析する。
このようなことも習慣つければ立派なトレーニングになる。

全通のデザインの合間に「制約のある条件でのデザイン」(平面構成)に挑戦してもらった。
A4サイズの画面に、3cm四方のチップ9枚
これだけの条件での平面構成。
個性が出ていてこれはこれで納得。






    

7月24日火曜日 快晴

前期最後のデザイン授業。
課題を早々と終了した学生は、思い思い次の準備にかかっている。
31日は学園祭、ファションショーでの狐のお面をつけての衣装合わせ。
となりの教室で「花織り」と格闘。
振袖作りの「糸目置き」。
染め出しの色見本と指示書作り。
半幅帯作るといって、デザインはと聞くと「ワーゲンビートル」だったりして。
この子達についていくだけでいっぱいいっぱいで。
そう言えば刺繍をしている学生も2人いて。
研究科の生徒がデザインの勉強に紛れ込んでいて。
黙々と色を塗っていいる学生もいて。
まあ、楽しくやっている。
そんなわけで今日の給食は冷やし中華で無事に過ぎました。




    

8月21日火曜日 晴れ

夏休みも終わりみんな元気に帰ってきた。
当初プログラムにはなかった、平面構成
30mmの正三角形のチップ使用、数量無制限
台紙 A4使用。

前回の9枚の四辺形使用より進化した。
個性が出て見ていて楽しい。







    

8月28日火曜日 晴れ

桜の花も名残の頃に始まった「縮小デザイン画の描き方」15回。15日間だったが今日、無事に終了。3年生は昨年に続き2度目になる。さすがここまで来るとうまくなって、合評会でも的を得た的確なコメントだった。美術系の学校ではないので、言ってみれば「ぶっつけ本番」どうすれば良いのか解らないままここまで来た。 今後デザインをすることもないかもしれないが、伝達の方法に「色と形」を使えば、言葉だけより正確に伝わる。そんなところにも生かされると嬉しい。








    
私修