各パテの使用感とか


 ポリエステルパテ

 通称ポリパテ。ペースト状の主剤と少量の硬化剤を混ぜ合わせて使用するパテです。
 元々は自動車整備工場での板金修理用として使われていた物ですが、模型用も販売されています。
 粘性や硬化後の切削性は銘柄によって異なりますが、硬化後の弾力性は何れも全く有りません。
 混合時に混ざった空気が硬化時に気泡になるので、硬化後に整形した後、気泡処理をする必要が有るのと、溶剤を含んでいるので硬化時に収縮が有り、作業中も常に換気が必要なのが欠点です。


 ロックペイント クイックパテ 120HB(057-0640)  3.5kgの主剤と80gの硬化剤のセットで4,000円前後

 模型用では無く、板金修理のプロ向けに販売されているポリパテで、収縮はかなり小さくなっています。又、似た様な使用感の模型用が1kgで2,500円程度するのに対し、3.5kgの主剤と80gの硬化剤のセットで4,000円弱と、価格が非常に安いのが魅力です。
 主剤の粘性によって幾つか種類のありますが、個人的には120HBがキット製作にも造形にも丁度良い粘度です。
 硬化速度はポリパテとしては早い方で、温度等の環境にもよりますが、硬化剤を少し多めに使えば数分で切り出しが、十数分で削り出しが可能です。
 ヤスリ掛けした際、一般的なキャスト素材よりも削れ易いので、盛り付けたパテ部分を研き過ぎない様に注意する必要が有ります。
 純正の硬化剤を使用した際の色は、硬化剤の量により色の濃さが変わる物の、ボークスの27cmドール素体の初期ラインナップの様なピンク色ですが、ワークのスベスベ硬化剤を仕様すると硬化後の色が薄いクリーム色になるので、サフレスでのキット製作に使えます。但し、ヤスリ掛け出来るまでの硬化時間が純正品使用時よりもずっと長くなります。暖めると硬化速度が早くなるのですが気泡が出易くなりますし、気泡一つ消すのに何回か盛り付けとヤスリ掛けを繰り返す必用が有るので、急ぎの製作には向いていません。
 体積当りの価格が安いのと、純正硬化剤を使用した際の硬化速度と切削が良好のだったのでフルスクラッチの主材料として利用していましたが、最近成分が変わったのか、ナイフでの切削性が悪くなったので造形での使用は見合わせています。



 エポキシパテ

 エポパテやねんどパテとも呼ばれている、粘土状の主剤と硬化剤をほぼ同量づつ混ぜ合わせて使用するパテです。
 元々は家庭での自動車修理用としてカーショップ等で売られていた物からの転用でしたが、すぐに模型用の物が発売され、現在は模型用に売られているだけでも数種類の銘柄が各社から販売されています。
 混ぜ合わせた直後の粘性や硬化後の物性は銘柄によってかなり差が有りますが、どの銘柄も完全硬化後に若干の弾力性が有ります。
 揮発する溶剤を含んでいないのでポリパテの様に硬化時、硬化後の収縮が見られず、硬化時の気泡も発生しません。
 混合は手に水を付けながら行い、盛り付ける直前は良く捏ねて水分を飛ばしてやると良いでしょう。
 以前の製品の多くは、硬化後の切削を考えていなかったのか、非常に硬くなってナイフで切削するのが困難であったり、簡単に切る事は出来る物のポロボロと崩れてしまい、やすり掛けすると消しゴムの様にネバ着いたり、キャストキットの素材よりもずっと削れ悪くて上手くヤスリ掛けしないと盛り付けた周りが削れてしまったりと、使い勝手が良い物では有りませんでしたが、ここ数年でポリパテやレジンパーツを削る様な切削感で使い易い物が出て来ました。
 体積当りの価格がポリパテやフアンドよりも圧倒的に高いので、その点がネックになるかも知れませんが、価格に目を瞑り、銘柄の選択を間違えなければ、ポリパテの様な刺激臭は無く、キット製作の際の大きな欠損の修復材料や、造形素材としては欠点らしい欠点は見当たりません。


 ウエーブ エポキシパテ・軽量タイプ  定価1,029円

 混ぜ合わせた時の粘度が造形用としては個人的に少し不足気味ですが、混合時の粘付きが少なく、硬化後の切削性や、硬化後に新に盛り付けた時の同化のし易さ等、総合的な使い勝手は最も良いエポキシパテとされ、多くのプロモデラーが造形用に愛用しています。
 価格はエポキシバテとしては平均的です。
 硬化速度は20〜25度で3時間ですか、小型のヒーターや食器乾燥機等で暖めてやれば30分程度で切削可能になり、気泡も発生しません。
 硬化後の色はクリーム色で、サフレスでキット製作する場合にも何とか使えます。私は主にフルスクラッチに使用していますが、キット製作用のパテとしてメインに使用している人もいます。


 ビートソニック エポレジンプロ ERP600  定価3,150円

 体積当りのコストパフォーマンスが最も良いエポキシパテです。表記は600ですが内容量は580gです。
 混合直後の柔らかさや、硬化していくスピード、硬化していく際の物性、硬化後の切削性等、使用感はニューファンドに大変よく似ています。
 かなりベト付くので使用の際は必ず手が汚れ、気軽に使うには向いていませんが、汚れると言っても硬化前ならファンドの様に水に溶けるので、流水で洗い流す事が出来ます。
 ウエーブポリパテ軽量タイプと比較すると、混合から硬化開始が少し早く作業時間は短くなり、硬化後の切削性はこちらの方が上です。色は白にかなり近いクリーム色で、サフレスでのキット製作にはこちらの方が向いているかも知れません。
 ヤスリ掛けした際、一般的なキャスト素材よりも削れ易いです。


 ミリプット・エポキシパテ(スタンダードタイプ)  定価787円

 ウエーブから発売されている中では体積当りの価格が一番安いエポキシパテです。 上位商品としてミリプット・エポキシパテ(グレードS)があるのですが、まだ試した事が有りません。
 上記の2種に比べると硬化後の切削性は芳しく有りません。
 キメが荒いのか、硬化前は水分が足りていないお好み焼きやパン生地の様に、ボソボソとした感じです。
 硬化前の粘度が高いので、インダストリアルクレイの様な使い方が出来そうな気もしたのですが、全く駄目でした。
 芯材にするにしても分割時に切削性の悪さががネックになりますし、価格面ではエポレジンプロ600に劣るので、有効な使用用途が全く思いつきません。



 光硬化パテ
 紫外線により硬化する樹脂を利用したパテです。
 こちらもエポキシパテと同様、当初は家庭での自動車修理用にカーショップやDIYショップで売られていた物ですが、模型用も販売されています。
 硬化が短時間ですが、光で硬化する性質上、あまり大量に盛り付ける事は出来無いので、 用途は細かい気泡や傷、段差埋めに限定されます。
 太陽光で1分、蛍光灯の間近で2分と、盛り付けから切削可能までの待ち時間は最短だと思われます。
 収縮はエポキシパテ同様殆ど有りません。


 タミヤ 光硬化パテ  定価1,260円
 パレットになる適当な紙切れかプラ版と、爪楊枝があれば何処でも使えるので、手軽です。
 ほぼ同じ用途で使うラッカーパテと同じサイズで価格は5倍ですが、硬化速度は五倍所では有りませんので、一概に高いとは言えません。  
 硬化前の粘度は新品のラッカーパテと同じか、少し低い程度です。ラッカーシンナーでの希釈は可能なのですが、硬化後に十分な強度は得られません。
 硬化後は、硬いゴムの様な弾力と、可塑剤の為か若干のベト付きが有り、紙やすりで研くと研いた部分が一発で目詰まりを起すので、紙やすりの消費量が跳ね上がります。
 色はかなり濃い黄色なのですが、透明度があるので、少量であれば殆ど色は出ませんし、キャスト素材と同じ色で塗った際の馴染み易さは瞬間接着剤と似た様な物なので、サフレスでのキット製作にも使用可能です。
 ヤスリ掛けした際の切削感は、一般的なキャスト素材と同じか、やや削れ易い感じです。



 瞬間接着剤パテ

 初めから模型用として登場したパテです。名前の通り、瞬間接着剤を利用したパテで、専用のパウダーに瞬間接着剤を混合して使用します。
 硬化速度は光硬化パテの次に早く、瞬間接着剤用の硬化促進剤 (プライマー)を使用すれば表面は一瞬で硬化しますが、中まで硬化するのには多少時間が掛かるので、切削には盛り付けてから30分〜1時間程度置いておく事をお奨めします。
 パウダーが湿ると気泡の原因になり、接着剤は開封後、どんどん劣化するので、使用頻度によっては使い捨てになり、コストパフォーマンスは各種パテの中では最低かも知れません。


 アルテコSSP−HG  定価1,575円

 専用の液が赤紫色なので、混合して硬化した際の色も薄い赤紫色になります。瞬間接着剤と言う性質上、使用環境により、 大量の微細気泡が出来る事が有ります。大き欠損部分の修復も可能ですが、気泡が発生し易いのであまりおお奨めはしません。
 切削性はパウダーの量で変化しますが、一般的なキャスト素材よりも削れ悪いと思います。
 専用の接着剤の代わりに高圧ガス工業のシアノンDWと言う白い瞬間接着剤を使い、白っぽいキャスの傷や気泡埋めに使用すると、処理した部分に見分けが付かなくなるくらい綺麗に仕上がるので、サフレスでの製作での傷や気泡埋めには最も最も向いています。シアノンDWのヒットを受けて、アルテコも接着剤を白くしたSSP-HGの発売を検討しているとの噂が有ります。
 完全硬化する前に作業をすると、異物混入によりその部分がくすんでしまうのですが、完全硬化の見極めが非常に難しいので、盛り付けてから時間を置く事をお奨めします。又、先述の様にキャスト素材の方が削れ易いので、上手くヤスリ掛けしないと、盛り付けた部分が若干浮き上がった状態になり易く、特にシアノンDWを使用した場合、凹凸の微妙な見分けが付き難くいので注意が必要です。


 武藤商事 プラリペア  定価1,600円

 SSP-HGよりも気泡は発生し難いのですが、切削性が良く有りません。それ以外はSSP-HGのパウダーとシアノンDWの組み合わせと同じです。
 ホワイトの他にブラック、クリアーが有ります。


1:購入  2:バリ取り  3:パーティングライン処理  4:気泡埋め

5:仮組  6:合わせ目消し  7:モールドの彫り直し  8:塗装前の下準備

9:下地塗装と下塗り  10:彩色  11:接着

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