工程10 彩色 下塗りが完了すれば彩色に入ります。 塗装に付いては塗る人それぞれでやり方が違うので、自分なりに思う事を書き並べて見ました。 塗料の種類 まずは基本と言う事で、塗料の種類です。普通に手に入る塗料は、通称ラッカーと呼ばれる油性アクリルと、水性アクリル、エナメルの3種類です。模型を扱っているお店で購入出来ます。
因みに塗膜の強さは 油性アクリル>水性アクリル>エナメル の順なのですが、溶剤の強さは 油性アクリル>エナメル>水性アクリル の順に強いので、水性アクリルの上からエナメルで筆塗りしたり、墨入れして、溶剤で余分な所を拭き取ると、水性アクリルで塗装したところが溶け出すので気を付けましょう。 墨入れ用に出ているガンダムマーカーの細い物はラッカー系なので、拭き取りが出来ないので注意が必要です。ラッカー系で塗装して、その後ラッカー系のクリアーでコーティングして塗膜を保護しておき、失敗したらコンパウンドで磨くと言う方法もありますが、 それなら素直にエナメルで塗った方が良いと思います。 エアーブラシ エアーブラシは基本的に、エアーブラシ本体と、エアーを供給する為のエアーボンベか、コンプレッサーが必要になります。 エアーブラシのハンドピースは幾つかメーカーが有り、種類も豊富ですが、ガレージキットフィギュアの塗装にはタミヤ スプレーワーク HG トリガーエアブラシがお勧めです。性能的には文句無しですし、トリガー式はボタン式と比較して長時間使うのに向いているのがその理由です。 エアーの供給は、後にも先にも一つしか作らないと言う事であれば缶でも良いとは思いますが、最近は一体作るのに消費するエアー缶分の金額で購入出来るコンプレッサーが販売される様になったので、コンプレッサーの購入を強くお勧めします。 コンプレッサーは安い物であれば2万円程度から、高級機種で10万円程度と価格帯にかなり幅が有り、高いほど性能と耐久性か良い傾向に有るので、財布の中身と相談してください。 タムタム のタムコンNEO や、 ボークスの 造形村エアテックス2 であれば二万円でエアーブラシ塗装に必要な一通りの物が揃っています。 上記の様にシステムとして組まれている物であれば直ぐに利用できますが、コンプレッサー単体だと他に圧力を調整するレギュレーターや、ホース、ドレインキャッチャーや水抜き器を買う必要があるので注意が必要です。水抜き器は乾燥した地域てば必要無いかもしれませんか、気温の変化が激しく湿度も高い日本ではは必須アイテムです。 私はボークスとしては最上位モデルのエアフォース3システムにドレインキャッチャーを追加して10年以上使用していますが、今の所トラブルフリーです。強いて言えば音がうるさい事でしょうか。と言っても、室内塗装している分には、外からはエアコンの室外機の方がうるさいので、使っている本人が耐えられるかどうかの問題だと思います。 使い方に関しては買ったお店で聞くか、専門書を参考するのが良いと思いますが、私なりに伝えられる事を書いてみたいと思います。 濃度調整 エアーブラシ塗装で塗料の濃度はかなり重要です。塗装に使う塗料ですが、ビンに入っている物は筆で塗るにしても濃い場合があるくらいなので、エアーブラシで使用する場合は当然薄めてやる必要が有ります。 店頭に並んでいる段階でシンナーが抜けている場合が有り、一概にとの割合でやれば正解と言うのは言えないので、ハンドピースのカップ内でシンナーや塗料を足したりして濃度を調整してやります。ビンの中の塗料が明らかに高い場合は、あらかじめカップにシンナーを入れてからビンの塗料を注ぐと良いでしょう。 塗料やシンナーを入れた後、ニードルキャップを指で塞いでからエアーを出せばカップにエアーが逆流してブクブクうがいをしているみたいな状態になり、均一に混ぜてやる事が出来ます。カップ内で均一になっても、ハンドピースの機関部には、薄めたり、濃くしたりする前の濃度の塗料が残っているので、それは噴き捨ててやります。同じ圧力で塗料の濃度が変わればそれに伴い吐出音も変わるのでそれを目安にすると良いでしょう。 濃度の確認はプラ板か何かに試し噴きして行います。ガレーしキットフィギュアでの塗装の乗りは、紙のそれとはかなり違うので、試し噴きは表面が平滑なブラスチック素材の物で行いましょう。私は500mlのペットボトルを使用しています。 塗料の濃度によって、噴き付ける適正圧力も異なるので、レギュレーターを調整して噴き付けに適した圧力を探して行きます。低めの圧力から徐々に圧力を上げて行くのが良い様です。 試し噴きで適正な圧力を見つけて、適当であればそのまま塗装に入り、粒子が粗すぎるのであればシンナーを、色が薄すぎるのであれば塗料を混ぜてやりましょう。同じ濃度でも、湿度が高いと粒子が粗くなる為、室内での塗装であればエアコンや除湿気で除湿すると良いでしょう。 「適切な濃度は多少厚く吹いても垂れない濃度」と言う事が雑誌に書いて有る場合がありますが、それは塗りやすい濃度ではあっても、必ずしも綺麗に塗れる濃度とは限りません。「薄過ぎるかも・・・」と不安になるような濃度の方が吹き付ける粒子が細かく、綺麗な塗り上がりになりますし、微妙な濃淡のグラデーションを付け易くなります。薄め過ぎた塗料は低圧でしか吹けない上、気を抜くと直ぐに垂れてくるので、かなりの馴れが必要になりますし、一度に何度も重ねる事は出来ないので塗装に時間が掛かるので、本当に綺麗に吹きたい時だけ低濃度で、普段は少し濃い目にと言う具合に使い分けた方が良いでしょう。 塗装後にそのまま放置すると乾燥した塗料が機関部にこびり付いてしまって使えなくなる場合が有るので必ず洗浄する必要が有ります。塗装後にカップに残っている塗料は噴き捨てるか、ビンに戻してから、機関部やカップに残った塗料をエアーしか出なくなるまで噴き捨て、カップの中をティッシュペーバーで拭いてから、カップにシンナーを入れ、ニードルキャップを塞いでエアーを出してうがいさせてシンナーを噴き捨てティッシュでシンナーを拭き取るのを、シンナーを入れてうがいをさせても色が出なくなるまで繰り返します。カップ内のシンナーに色が付かなくなったら、カップ内に少しだけシンナーを入れた状態で蓋をして作業終了です。 つや消しの場合はあまり粒子を細かく吹き揃えると、光沢が出てしまうので少し濃い目に吹く様にしましょう。 逆に、思ったよりも光沢が消えてしまった場合、コンバウンドで軽く磨いてやると艶が出てきます。 後、プラ板で試し吹きした時と、キットに直接吹き付けるのでは少し状況が変わってくるので注意が必要です。 これは経験を重ねるしかないでしょう。 普通の顔料でも黄や赤系統の物は退色が早い方なのですが、蛍光塗料はそれとと比べてもとてつもなく退色が激しい(蛍光灯の元ですら、一週間くらいで目に見えて解る事が有る)ので使わないほうが良いと思います。10年くらい前のマクラーレンのマルボロカラーで苦い思いをした人は数知れず・・・私はトラウマが有るので使いませんが、最近のMr.カラーの蛍光色は昔に比べると退色に強くなっているそうです。 艶出しの為のクリアーでのコーティング 「エアーブラシでクリアーを吹き付けたり、トップコートを吹き付けてから研ぎ出す。」 と言う記述をたまに見かけるのですが、これは私見なのですが、 エアーブラシはともかく、トップコートの粒子はエアーブラシ塗装の粒子より粗い (吹き方によっては缶スプレーでも綺麗に塗れない事はありませんがそれなりの技術が必要)ので、 磨くとしても光沢を出すと言う観点からはメリットが低いと思います。また、 クリアーで出た光沢と顔料の表面の光沢とでは違うのと、 私は顔料の光沢の方が好きなので艶を出す為だけのクリアーでのコーティングはしません。 磨き上げで仕上げる場合は若干塗膜を厚めに仕上げておけば済む事ですし、 ブラシ吹きの時点で光沢を出すのがベストでしょう。 叉、クリアーは塗膜が強いので、マスキングしてクリアーを吹く場合は、マスキングの部分に厚吹きしない様に気を付けましょう、 厚く吹きすぎるとマスキングを剥がす時に、マスキングの境界線のクリアーが割れてしまったり、最悪、クリアーの下の塗膜まで剥がれてしまう事が有ります。 つや消しの為のトップコート エアブラシ塗装する場合はフラットベースを使っておくのが良いのですが、缶スプレーや、ワンオフで少量しか調合していなくて、 光沢仕上げでも使いたい場合はそうもいかないので、その場合トップコートを使う事になるのですが、注意する点としては、つや消しは粒子を荒くして艶を消しているので、缶で艶を出す吹き方ではつや消しのクリアーでも光沢が出てしまう場合が有ります、説明書通り、よく振ってから、吹き付けるパーツから30cm以上離して吹きましょう。 Mr.カラーのスーパークリアーの艶消しの様にフラットベースの入ったクリアーをエアーブラシで吹き付けると言うのも一つの手ですが、薄めすぎると艶が十分に消えないので、光沢塗装の時よりも少し濃い目の濃度で使うのがコツです。 パール パールバウダーですが、車用等の物や、業務用の物は、多少離れて見て効果が出る様に粒子が粗く、模型には適しません。 現在流通している中では赤が無いと言う大きな欠点が有るものの、 VOLKS製のパールパウダーが最も粒子が細かいので模型にはベストです (使った事は無いのですが、MGパールはVOLKSの物よりも粒子が細かくて良いらしいです)。 パール塗装する時は、パールパウダーをクリアーに混ぜて吹くのですが、パウダーの量は最大の圧力で、ノズルを全開にして、 ノズルが詰まる手前まで大量に入れる位が丁度良いです。パウダーの量が少なすぎるとクリアーを厚吹きしてしまう結果になり、 マスキングを剥がす時にマスキングテープと一緒に塗膜の一部が剥がれる原因にもなります。 目の塗り方 色々な目の塗装方法がありますが、私の場合は、 肌色を吹く下地は、アイボリーにしているので、肌色を吹く前に白目の部分にスカイブルーを白で薄めた物を シャドーに吹きます。この時に、目の部分から漏れても肌色を吹くので余り問題になりませんが、 出来るだけはみ出ない様にマスキングしておくのが吉です。叉、シャドーのブルーは肌色を塗ったら余り目立たなくなるので、 少し濃い目に吹いておくのがコツです。 シャドーの薄いブルーの塗装が完全に乾いてから瞳の輪郭がある場合はそれに従ってマスキングして、 瞳の色をエアーブラシ塗装します。 自分で視線を定めないといけない場合は、ポーズを確認しながら、イラストなどを参考に鉛筆やシャープペンシルで瞳孔を書いて、 マスキングをする為のガイド用に、瞳の輪郭よりも外側に線を引いてやり、 視線を決めます。目の輪郭の線が太い場合、後で修正が聞くので多少適当でも構いませんが細い場合は。 消しゴムで消せるので綺麗に引けるまでやり直しましょう。 瞳の輪郭のマスキングのガイドの線が決まったら、瞳孔を消しゴムで消して、 ガイドの線を覆う様にマスキングしてやりエアーブラシで瞳の色を塗ります。 瞳の色が塗れたらマスキングを剥がし、消しゴムでマスキングのガイドラインを消してやり、瞳孔、瞳の輪郭、まつ毛、をエナメルで塗ってやります。 ハイライトが瞳の輪郭や、瞳孔に掛かる場合は先に塗ってからの方が良いです。が、そうで無い場合は最後に塗るのが良いでしょう。後に塗る場合は先に塗った部分が完全換装するまで数時間おいてから、エナメル塗料か、水性アクリルのホワイトを筆塗りしましょう。 ハイライトもマスキングしてエアーブラシ塗装してやる方が良かったりするのですが、余程大きな物で無い限りは無理ですね。 最後の仕上げに筆塗りした部分の塗料の段差を消すのと艶を均一にする為に水性アクリルのクリアーを筆塗りしてやり、目のの完成です。クリアーでのコーティングに関しては、好みも有るので必ず行う必要は有りません。 マスキング 基本はマスキングテープをカッティングシートに貼り付け、ナイフで切り出し、マスキングする所に貼り付けるだけです。 先ずマスキングの境界線を全て貼ってから、その後覆う所全体に貼って行く(短冊状にテープを切り出しておくと便利です)と良いでしょう。最後にマスキング漏れを防ぐ為に、マスキングゾルをテープを貼っている所全面に塗っておきます。 マスキングの境界線に合わせて切り出しの方法が大きく分けて二種類有り、細長く切り出し、貼り付ける時にテープをラインに合わせて曲げる方法と、マスキングのラインに合う様な曲線をフリーハンドで切り出す方法です。以前は後者のみの方法でマスキングしていましたが、現在は前者と後者を使い分けています。 マスキングする時の注意点は 切り出す時にテープの端はホコリが付いているので使わない。 マスキングテープを貼り付ける時にピンセットで傷付けないように気を付ける。 マスキングした後、塗装する直前は境界部分のマスキングが浮いていないか良く確認する。もし浮きがあったら爪楊枝で押さえておく。 くらいでしょうか。特に塗装前のマスキング漏れが無いように隙間や、境界線部分の浮きの確認は忘れがちですが、 マスキング漏れで全ての苦労が台無しになるので必ず行いましょう。 |