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カローン(Cavrwn)

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 ギリシア・ローマ神話のステュクス川の渡し守りである。へルメースと同様、冥界への霊魂導師である。死者は、カローンに渡し貨を支払うために、口の中か、まぶたの上に、コインを持たされて埋葬された。中国でも、の川を渡るために、墓の中にお金を入れるのが習慣であった。バルカン半島諸国では、女性が姦通しても、それがにわからないように、を「死体と同じくが見えない」ようにするためには、ある死体のの上に乗せたコインを洗った水をに与えればよい、と言われていた[1]。カローンへの報酬は、キリスト教では、ペテロ献金となった。それは天国の門を開けてもらうために聖ぺテロへ贈る賄賂であった[2]。ギリシアでは、キリスト教国となると、新たにカローンに相当する者として聖カロスがなった。聖カロスは「下界」、すなわち死者たちの住まいへ霊魂を守って送って行く者であった[3]


[1]Frazer, F. O. T., 35.
[2]Halliday, 50.
[3]Hyde,213 .

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 冥府を流れるステュクス川の渡し守、すなわち、霊魂導師のひとりである。老人で有髯、汚れたみすぼらしい衣服を着た姿で想像されている。
 渡し賃は1オボロスで、ギリシアでは、このために死者の口に1オボロスの銅銭を入れる習慣があった。これは日本の三途の河の渡し賃の1文銭と同じである。
 船は死者自身が漕ぎ、彼はその方角だけを操ると考えられていた。

 ヘーラクレースが生きながら冥界に降ったとき、カローンに無理強いに河を渡らせたので、その罪でカローンは1年間鎖につながれた。

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 エトルリアの壁画上のカローンは槌を手にしており〔右図〕、頭髪にはヘビが生えた姿で表されているが、その解釈についてはまちまちで定説がない。(『ギリシア・ローマ神話辞典』)


[画像出典]

1)Kharon
Collection: New York, Metropolitan Museum
Museum Catalogue Number: New York 21.88.17
Beazley Archive Number: 212345
Summary: Charon on boat with pole, Hermes with kerykeion, draped youth Ware: Attic Red Figure (White-Ground)
Shape: Lekythos
Painter: Attributed to the Sabouroff Painter
Date: -
Period: -

するとそこで私たちの方をさして老人が一人、
 年古りた白髪の主が、舟を漕いで近づくとみるまに
 どなった、「貴様ら、悪党どもの亡霊に災いあれ!
天を仰げるなどとゆめゆめ望むな。
 わしは貴様らを永劫の闇の中、酷熱氷寒の岸辺へ
 連行するために来た。

(ダンテ『神曲』地獄変第3歌82-87)

2)Wikipedia"Charun"
From an Etruscan red-figure calyx-crater. End of the 4th century BC-beginning of the 3rd century BC.
depicting Ajax killing a Trojan prisoner in front of Charun.