第7巻・第5章
最近、クセノポンのヘレニカの翻訳が、根本英世氏によって上梓された〔第I分冊は1998年5月10日刊、第II分冊は1999年4月25日刊。いずれも京都大学学術出版会〕。 これによって、自分の訳の誤りの多さを思い知らされ、汗顔の至りであるとともに、自分の間違いを訂正できたことで、大いに感謝している。その一方で、氏の訳文について納得しがたい点もあるので、ここに列挙しておきたい。 ただし、わたしには氏が底本としたOxford版を入手するだけの経済的余裕も、また簡単に参照できる環境にもない。したがって、訳し忘れとか数値の違いとか、底本の違いによるのかもしれないようなうっかりミスとおぼしきものや、地名(場所)の方位の間違いなどの指摘は省略して、もっぱら日本語としておかしいと思う点にかぎって、目につくいくつかを指摘させていただく。
|