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back.gifルゥキアーノスとその作品


偽ルゥキアーノス作品集成

目次






 ルゥキアーノスの真作ではないとして、研究者たちからお墨付きをもらっている作品は、内田信次が「異性愛と少年愛」を訳している以外、いずれの訳者も(近藤司郎氏でさえ)訳出を拒んできた。しかし、資料的に意味のある作品が多いことも事実である。
 わたしが偽ルゥキアーノス作品集を邦訳せざるを得なかった所以を記しておく。
(1)パラドクサ作品集を蒐集していたとき、偽ルゥキアーノス「長命者」に行き当たり、これを邦訳せざるをえなかったこと。
(2)犬儒派の作品を蒐集していたとき、偽ルゥキアーノス「犬儒者」に行き当たり、これを邦訳せざるを得なかったこと。
(3)ヘレニズム期の宗教的折衷主義を調べていたとき、アプレウス『黄金の驢馬』と密接な関係のある偽ルゥキアーノス「ルゥキオス、あるいは、驢馬について」に行き当たったこと。
(4)イソップ寓話の伝承を調べていて、挿し絵というものに関心をいだき、その初めはおそらく、言葉で絵を描く、あるいは、絵を説明するEijkovneVという手法であるが、ルゥキアーノスもまたこの手法を模倣していることを知ったこと。

 近藤司朗氏は、ルゥキアーノス全集の邦訳を志し、「ギリシア語事始め」のホーム・ページ上に次々とアップしておられた。ところが、偽作は邦訳から外しておられた。
 ルゥキアーノスの真作でさえ、邦訳される作品は偏っている(作品一覧参照)。まして、偽作となれば、資料的価値があっても、おそらく邦訳されることはあるまいと思い、ならば、近藤司郎氏の向こうを張って、彼の邦訳の補完として、偽作のみを邦訳し、アップしようと志したわけである。
 ところが、どうしたわけか、近藤司郎氏の翻訳はいつしか中断し、やがてそのホーム・ページさえリンク切れとなってしまった。まことに残念としか言いようがない。こんなことなら、氏の邦訳をダウンロードし、勝手にアップしておくのだったと、悔やまれてならない。
 そういうわけで、偽ルゥキアーノス作品集となった次第である。

2010.11.04.




[目次]



[底本]
TLG 0061
Pseudo-LUCIANUS Soph.
(p. A.D. 2)
〔TLGは、『偽ソフィスト、あるいは、語法誤用者』および『痛風』を、ルゥキアーノスの真作として、『ネローン』を、フラウィウス・ピロストラトスの作品として扱う〕。
1 1
0061 001
Asinus, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8. Cambridge, Mass.:
Harvard University Press, 1967: 52-144.
(Cod: 9,802: Narr. Fict.)
2 1
0061 002
Amores, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8. Cambridge, Mass.:
Harvard University Press, 1967: 150-234.
(Cod: 7,747: Dialog., Satura)
3 1
0061 003
Demosthenis encomium, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8.
Cambridge, Mass.: Harvard University Press, 1967: 238-300.
(Cod: 5,224: Dialog., Encom., Rhet.)
4 1
0061 004
Halcyon, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8. Cambridge, Mass.:
Harvard University Press, 1967: 306-316.
(Cod: 948: Dialog., Satura)
5 1
0061 005
Ocypus, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8. Cambridge, Mass.:
Harvard University Press, 1967: 358-376.
(Cod: 1,131: Satura)
6 1
0061 006
Cynicus, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8. Cambridge, Mass.:
Harvard University Press, 1967: 380-410.
(Cod: 2,487: Dialog., Satura)
7 1
0061 007
Philopatris, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8. Cambridge, Mass.:
Harvard University Press, 1967: 416-464.
(Cod: 3,402: Dialog., Satura)
8 1
0061 008
Charidemus, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8. Cambridge, Mass.:
Harvard University Press, 1967: 468-502.
(Cod: 3,500: Dialog., Encom., Satura)
9 1
0061 009
Epigramma, ed. M.D. Macleod, Lucian, vol. 8. Cambridge, Mass.:
Harvard University Press, 1967: 526.
(Q: 33: Epigr.)
10 1
0061 010
Epigrammata, AG6.17; 7.308; 9.120, 367;
10.26-29, 31, 35-37, 41-42, 122; 11.274, 294, 396-397, 400-405,
410, 427-436; 16.154, 163-164, 238.
5
(Q: 1,141: Epigr.)

61x 1 1
0061 x01
Nero cf. Flavius PHILOSTRATUS Soph. (0638 055).
(Q: Dialog., Hist.)

〔TLG 0638
Flavius PHILOSTRATUS Soph.
(A.D. 2-3: Lemnius)
5 1
TLG 0638 005
Nero, ed. C.L. Kayser, Flavii Philostrati opera, vol. 2. Leipzig:
Tubner, 1871 (repr. Hildesheim: Olms, 1964): 220-224.
(Cod: 1,046: Dialog., Hist.) 〕

0061 X02
Epistulae
Cf. ANACHARSIDIS EPISTULAE (TLG 0037 001).
Cf. PHALARIDIS EPISTULAE (TLG 0053 001).
5
(Q: Epist.)
3 1
0061 X03
Epigramma demonstrativum
Dup. 0061 009.
App. Anth. 3.132: Cf. ANTHOLOGIAE GRAECAE APPENDIX (TLG 7052 003).
5
(Q: Epigr.)


  
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