京都の自然を感じようというコーナー ぶらり虫眼鏡natureです。このページは深泥ヶ池(みどろがいけ)に関して書いてます。
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深泥池(みぞろがいけ) その歴史は14万年!
水面に葉を浮かべるジュンサイ 【6月】
京都市街の北部に位置し、一般的にみどろがいけの名で親しまれているこの池は、驚くことに14万年もの歴史があります。
14万年と書きましてもピンときませんが、今日に至るまで、氷河時代の生き残りとされる植物が生育していることなど、
学術的に大変興味深い場所なのです。 関心をもつ人にとっては、「凄い場所やな〜」と思う所でありながら、池のすぐ横を自転車が通ったり、
バスが通ったりする日常があり、それらが微妙なバランスで交錯している所といった感じもします。
池の最下部からミツガシワの花粉!
ミツガシワの花 【4月】
上の写真に見られるジュンサイなどと共に、氷河時代の生き残りといわれている植物ミツガシワは、春に真っ白な花を咲かせます。花びらの内側
に毛がある5弁の花を咲かせますが、つぼみの段階での淡いピンクとの対比にえも言われぬ美しさがあります。
現在の国内では、北海道や尾瀬ヶ原に代表される寒冷地に分布していますが、約1万年前に氷期が去った後も、温暖な京都の平地に生き残っていることが
注目されている点です。
池の調査結果から、15メートル以上の泥炭層からなることが分かっていますが、最下部から上層に至るまで、ミズゴケやミツガシワの花粉が得られることより、
この湿地が14万年以前からの歴史があるとされています。
深泥池には白色のカキツバタ
白色のカキツバタ(在来種)とキショウブ (侵入種) 【5月】
ミツガシワの花で始まったこの池の春は、ゴールデンウィークの終わった5月ともなりますと微妙に様子が変わります。白色のカキツバタが咲き、それに混じって
キショウブが咲いていました。ジュンサイの浮葉もずいぶんと数を増し、所々ではヒメコウホネの花も咲き始めています。
写真のキショウブもきれいですが、ヨーロッパ原産の侵入種で、繁殖力があり、在来の植物のバランスを崩すことから、抜き取るといった対策が講じられています。
トンボのめがねは水色めがね
モノサシトンボ 【6月】
深泥池の魅力のひとつに、京都の中で一箇所でのトンボの数と種類が最も多いことが挙げられます。その種類は50種ともそれ以上ともいわれています。
かつて、浮島内には日本最小のハッチョウトンボ(体長20mm)が生息していましたが、近年では確認されていないようです。さまざまな環境の変化に
よる深泥池へのダメージは、考えなくてはならない問題としてクローズアップされています。
神秘的な魅力が漂う深泥池
ミヤマウメモドキ
写真は深泥池の東側で撮影したもので、個人的にこの池のイメージを最も感じる場所だと思っています。そう言いながらも、色々調べるまでその存在すら
気にも留めなかったのが写真の木です。名前はミヤマウメモドキと言い、深泥池にあるこの木が生息の南限だそうです。「南限」ということは、
生きられるぎりぎりの環境なのですから、気候が変わればこの木は真っ先に枯れてしまうのでしょう。改めて深泥池の存在というのは、繊細なバランスで
保たれているものだと思いませんか?
京都府のレッドデータブックにもリストアップされており、西日本で確認できるのは2、3県のようです。