~音声外科~ 痙攣性発声障害、声帯麻痺、声帯萎縮、声の高さを変える手術など。 
概略・Q&A・写真症例

音声症例 声帯麻痺

声帯麻痺の症状

声帯麻痺の原因は様々です。 先ずその原因を調べる必要が有ります。
肺癌、甲状腺癌、食道癌などの初期のただ一つの症状の場合も有るからです。 

その他、脳の疾患(例えば脳硬塞、脳外傷、脳出血など)、長時間挿管麻酔を施した後や、先天性の場合 などがありますが、ほとんどは原因不明で、特発性と呼んでいます。 

しかしその中でもかなりの部分はウイルス性と考えられています。

声帯麻痺の特徴は、一旦麻痺すると治り難い点です。
全身麻酔の後の麻痺は、多くはチューブによる圧迫によるものですから、徐徐に回復する事があり、また先天性のものも回復する事があります。 麻酔後の麻痺の多くは1ヶ月以内に回復し、特発性のものも時には治りますが稀です。 1年経っても回復しないものは、もう回復しない可能性が高い様です。

症状は殆どが嗄声ですが、麻痺した声帯の位置により、嗄声は軽かったり(麻痺声帯が正中近く)酷かったりします。誤嚥を伴う事も有ります。 (麻痺声帯の箇所が外側ですと、声帯を閉じた時に大きな隙間が出来、酷い嗄声になります。) 両側麻痺は、時には呼吸困難を来す事もあります。

 

治療

全身麻酔後の麻痺に対しては成るべく早く短期間ステロイド療法を行います。 それ以外の麻痺は、声が出し難い場合や酷い嗄声の場合は手術をします。 声は必ず良くなります。

 

手術:

通常、麻痺が起きてから6ヶ月(自然に治る可能性のある期間)を経ってから手術します。

  1. 声帯を正中に寄せる為、声帯に人工物(例えばコラーゲン)を注入する。
  2. 声帯に、筋膜とか脂肪を挿入する方法(全身麻酔下、入院手術)
  3. 甲状軟骨に窓を開け、押し込み、声帯を真中に寄せる方法
    (一色の甲状軟骨形成1型、ひどい嗄声の時は隙間が大きいので裂軟骨内転術を行います。 この方法では局所麻酔下に声を出してもらいながら手術し、良い声が出るまで調整するので、必ず声は良くなります。

 

合併症など:

殆ど有りませんが、極めて稀に血腫、炎症などを起こす事が有ります。

予防的処置、安静、声を1週間出さない事が大切です。 長い間経過観察すると、麻痺のため筋肉が徐々に萎縮して来て、また少し声が掠れる事があり、少し声帯を内側に寄せる再手術が必要となる事もあります。 麻痺は治らなくても声は必ず良くなる事を覚えておいて下さい。

 

術前・術後 音声ファイル

症例1 声がかすれて出し難い例 (48歳・男性)

 

 

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