森 康次 写生帖
あまりにも記憶のかなたにあるものを懐かしくひも解いている。
それは自分で描いた絵をもとに刺繍をしてみたいと思った時から始まった。
写生をしなくては。
そんな強い思いに引きずられた若き日のひと時。
絵を描くのは好きではなかったが、形を操るには写生をするしか方法がないと思っていた。
古典を模写してつなぎ合わせて、繰り返して。
それはちょっと違うと思っていたから。
小さなスケッチでも一日一枚を目標に描いていた。
描いても描いてもそれでいいのかよくわからなくて、
それでも描きつづけていたころのスケッチ。