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テミス(QevmiV)

themis.jpg  古代ギリシア以前の女創造者で、カルデア語のThamte (「海」)またはTiamat*と同語源である。彼女の処女相はアルテミスArtemis(Ar- Themis)であった。テミスという名前は数値で表すとmoonのそれと同じであった[1]。彼女の子供たちはThemistes(「神託たち」)と呼ばれた。彼女がデルポイ(「子宮」)の神託所の創設者であり、アポッローンがそこを奪い取ったのは、ずっと後のことであった。

 アプロディーテー、キュベレー、アナト-アテーナーなど多くの女神には自らを象徴する石があった。ギリシアではバイトゥロス、シリアではパエティル、パレスティナではベト-エル(「神の家」)と呼ばれた[2]

 黒海沿岸のアマゾーン女人族は、その聖なる島テミスキュラ(「神聖なるテミス」)で、黒い石*をテミスとして崇拝した。古代ローマのフォーラムには、女神の聖なる律法が刻まれた古い「黒石」(ラピス・ニゲル)が置かれていた[3]。遠くアイスランドでは、スパマトル(「予言の母」)またはアルマトル(「繁栄の母」)と呼ばれる石を、テミスとして礼拝した[4]

 エジプト人にとっては、テミスは、初めに万物を生み出した豊穣の深淵の霊「テム」のことであった。

 古典古代の神話では、テミスは洪水後の創造を司る霊となった。大洪水が引いたのち、テミスは生き残ったデウカリオーンとピュッラに、魔法によって再び大地に人間を住まわせる方法を教えた。彼らは歩きながら母親の骨を肩ごしに投げるように言われた。「母親の骨」とは、母なる大地の骨、すなわち石のことである、とこの夫婦はテミスの謎を解いた[5]。女神の御恵みにより新しい人聞がこれらの石から立ち現れた。


[1]Neumann, G. M., 214.
[2]Graves, W. G., 405.
[3]Lindsay, A. W., 176.
[4]Turville-Petre, 230.
[5]Graves, G. M. 1, 139.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 確固不変の《掟》の意。その擬人神。メーティスに次いで、ゼウスの二番目の妻。
 彼女はティーターン神族中オリュムポスの神々と変わらぬ生活をなし得たただ一人の神で、預言の術に秀で、アポッローン以前にデルポイに神託所を有し、彼に預言の術を与えた。(『ギリシア・ローマ神話辞典』)

 ゼウスがテミスを妻として季節たち(ホーライ)の父となったということは、ヘレーネスたちが暦法のことにも統制を加えるようになったという意味である。テミス(「秩序」)は、夏至と冬至によって二つの季節に分けられる十三ヶの暦年を統べる女性の主神であった。(グレイヴズ、p.83)


[画像出典]
The Thriai, Themis
Collection: London, British Museum
Museum Catalogue Number: London 1971.11-1.1
Beazley Archive Number: 350099
Summary: Wedding of Peleus and Thetis
Ware: Attic Black Figure
Shape: Dinos
Painter: Signed by Sophilos
Date: ca 580 BC
Period: Archaic