サステイナブル・カンパニー入門

ビジネスと社会的課題をつなぐ企業・地域

大室 悦賀/著




CSR・CSVやソーシャルビジネスが流行しているが、それぞれには限界があり、重要なのは本流である企業の本業での社会化だ。「企業の本業を通じた社会的課題の解決」、ひいてはその先にある「社会的課題を生まない企業経営」と、著者がリードする「ソーシャル・イノベーション・クラスター」の展開についてわかりやすく解説。

A5判・268頁・定価 本体2600円+税
ISBN978-4-7615-2633-7
2016/10/01



評 : 門川 大作(京都市長)

「行政経営に携わる者にも多くの示唆と勇気を与えてくれる」

 ソーシャル・イノベーションを教えてくださった大室先生の著書、ありがたく拝読しました。経営にも「共汗」と「融合」が重要なのだという一貫したお考え。私が市長就任当初から大切にしている理念であり、改めて思いを共有することができました。
 「共汗」とは、市民の皆様をはじめとする様々な主体と行政が、夢や希望、危機感や責任を共有しながら、共に汗して協働すること。本書でも「一部のステイクホルダー(利害関係者)だけに配慮した経営が多くの社会課題を生んでいる」と述べられていますが、これは行政にも当てはまることであり、共汗により多様な主体と一丸となって取り組むことの重要性を再確認することができました。
 一方「融合」とは、行政の縦割りを排して市民目線で政策を一体化すること。本市ではこれまで、行政の枠に捉われない「京都市未来まちづくり100人委員会」などの活動により、多くの革新的な取組が生まれてきました。行政内部における縦割りはもちろん、企業や各種団体との間の壁も取り払い、丁寧な対話を重ねることは、本書で説かれている「オープン・イノベーション」そのものだと感じています。
 このように、本書は、企業経営者だけでなく、行政経営に携わる者にも多くの示唆と勇気を与えてくれるものです。本市が大室先生と共に取り組んでいる「京都市ソーシャル・イノベーション・クラスター構想」の目的は、「過度の競争や効率性を回避し、調和した社会を構築することで、人々が互いに信頼し合える未来を実現する」こと。文化庁の京都への全面的な移転が決定した今こそ、本書でも解説されている「かまど金」に代表される人づくりの文化、多様な価値観を認め合う精神文化など、京都に息づく文化を全国、そして世界へと広く発信し、理想の未来を実現していく。そんな決意を新たにするとともに、その大きな助けとなる本書を多くの方に御愛読いただきたく存じます。

 


 

担当編集者より

当社でもNPOや社会的企業、CSR/CSVに関する書籍を出版していますが、それらの「限界」を指摘し、(圧倒的多数を占める)「一般の企業の本業での社会化」の重要性を説く大室先生のお話を初めて伺ったときは、目から鱗が落ちる思いでした。
日々全国をまわっておられる大室先生のご講演等を通じて本書と出会われる方も多いと思います。各地で企業経営や企業支援に関わっておられる経営者・行政関係者の皆様のご参考にしていただければと思います。

(岩崎)


おすすめの1冊 バックナンバー

  • ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか
  • まちづくりの仕事ガイドブック
  • ぼくらがクラウドファンディングを使う理由
  • つながるカフェ
  • ローカルメディアのつくりかた
  • エリアリノベーション&ポートランド
  • まちで闘う方法論
  • 地域×クリエイティブ×仕事
  • これからの建築士 職能を拡げる17の取り組み
  • 事例で読み解く 海外旅行クレーム予防読本
  • 海外で建築を仕事にする2
  • 都市を変える水辺アクション
  • 未来に選ばれる会社
  • 大都市自治を問う
  • なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか
  • 建築女子が聞く 住まいの金融と税制
  • エネルギーの世界を変える。22人の仕事
  • リノベーションの新潮流
  • →MORE
    書評してくださる方募集!

    現在、下記の書籍の書評を執筆してくださる方を募集しています。

    山嵜 一也/著
    『そのまま使える 建築英語表現』

    設計者が海外クライアントに設計のアイデアを効果的かつ正確に伝えるためのテキスト。「デザインの魅力の伝え方」「プレゼンテーション・テクニック」「現場のコミュニケーション」の会話例とコツを伝授。〈例文〉〈キーフレーズ〉〈ボキャブラリー〉〈咄嗟のQ&A〉から成る見開き構成、設計プロセスと場面に沿った全85項目。


    800字程度の書評をお願いします。
    採用させていただいた方には、ご希望の学芸出版社の本を1冊進呈。

    ★問い合わせは下記まで(担当:松本)
     info@gakugei-pub.jp