「乳を与える女神」。〔キュプロス島〕パポスの白いアプロディーテーの添え名。パポスではアプロディーテーに仕える大祭司ピュグマリオーンが、女神の白い像を自分の床に入れて、女神と「結婚した」[1]。この習慣は、アプロディーテーによって、花婿のために生命を与えられたガラテイアの大理石像についてのギリシア・ローマの神話のもとになった。これはおそらく、彫った女神の幻eidolonに霊魂を呼び降ろすための祈りの儀式から生まれた話である。
ガラテイアはアプロディーテーの別名であるばかりか、エジプトの天界の雌ウシ-ヘ(ウ)ト=ヘル〔ハトホル〕や、同じく乳を与えるフェニキアの太母アスタルテーの別名でもあった。ピュグマリオーンは、ビブロスの高僧プミヤトンのギリシア版であった[2]。
(ガラテイアにちなんだ)ガラテア地方から来たケルト族も、乳を与える太母をガラタとして崇拝した。ゴール人とケルト人は家系をさかのぼるとガラタに行き着いた[3]。中世初期の英雄ギャラハッドはガラタの聖王の一人であった。この英雄はヘーラクレースがゴール人の姿になったもので、ゴール人の先祖の女神ガラタと結婚した。ガラタは英国ではアルビオン、銀河Milky Wayの源泉の「白い月」に象徴されるときもあった。ヘーラクレースも、ギャラハッドのように1年間だけ、星雲(銀河)の紡ぎ車の中央部にある女神の宮殿で暮らした。このリュディアの話の中では、女神はオムパレ(中心)あるいはオムパロス(中心点)と呼ばれていた。中心部の周りをぐるっと、年がめぐると、ヘーラクレースもまた火炎の車の中で年を司る神として死を迎えることになっていた[4]。
ガラテイア-ガラタ-ガラテヤの名前はすべてgala(母の乳)にもとづいていた。女神が自分の乳から星や星座の車輪を作ったと考えられていたからであった[5]。だから、月-女神は月のような角を持つ神聖な雌ウシとして、古代の図像には登場することが多い。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)