京風お好み焼 鉄板焼 喜の屋 KINOYAがお届けする、お好み焼きに関するさまざまな話題です。
地方色豊かなソース(地ソース)
テレビ番組の話ですが、愛知県が海老の消費量日本一だということから、海老が食卓に上がるまでの追跡調査をしていました。番組中、
「自宅で食べているのと同じように、海老フライにお好きな調味料を好みの分量で召し上がって下さい」といった感じで、調味料の使われ方
を調べていたのですが、何気ない事のようで意外でした。
ケチャップとマヨネーズを混ぜる人、醤油を少しだけ垂らす人、ポン酢で食べる人、ウスターソースでしか食べない人・・・
これといった多数派が無いほど、使う調味料も好みの分量もそれぞれだったことです。
お好み焼きも同様にご自分のベストな食べ方があるかとは思いますが、ソースの分量は焼き上がりの厚さ加減で大きく左右されます。
薄く焼くのがお好きな方は ソースを気持ち少ない目に塗らないとソースばかりの味となってしまいますし、逆に厚めに焼かれた場合、
サッと刷毛でぬったぐらいでは口にしたとき物足りなく感じますので、表面が乾かないぐらいタップリと塗られることをお薦めします。
ちなみに愛知県のソースメーカーからは『あらかじめソースにマヨネーズを混ぜ込んだ商品』といったものが販売されていました。
甘味が柔らかく、鰹だしが効いたとこは“東京風”で、マスタードが効いているところは“大阪風”というキャッチフレーズでしたが、
この商品の誕生には地理的な影響もあったのでしょうか? また、『 八丁味噌を使ったお好み焼用ソース 』といったものも売られていて、
地方色豊かなソース(地ソース)として食卓を賑わしております。
地ソースを知る (関西の特長はスパイシー)
土地ごとに味の傾向がありそうでおもしろいですね。次は関西地方です。
関西の特長は、香辛料(スパイス)が効いていることが挙げられますが、単純に辛いのではなく、突出して味や風味の目立つものが無いと言えます。
使うスパイスはメーカーにより差はあるものの、およそ20種類以上の微妙なブレンド加減に神経を注ぎます。
また、神経を注ぐようになった背景のひとつとして、昭和49年にJAS法が施行されたことが関係しています。
昭和49年以前は、ソースに関係した
日本農林規格(JAS)がありませんでした。規格に制限されることなく、舌で舐めてみて、「もう少し甘くしようか・・・気持ち塩控え目にしよう」
といった職人の勘で自由にソース造りがなされていた訳です。ところが、いざ規格がつくられると数字としてでてくるのですから大雑把なことでは通用しません。
当時の関係機関が関東にあったこともあり、そちらの方面のソースを基準として規格がつくられました。(関東方面の特長として酸味が立っていた)
これにより、関西方面のソースが軒並み規格を外れてしまうこととなったのです。 糖度や酸度を規格に合わせていくことや、野菜や果実だけではソースの個性も
主張しにくくなり、自然と香辛料(スパイス)のブレンド具合によってオリジナル性を追求していくようになりました。
関東→中部→関西→広島 (お好み焼のソースは西へ行くほど甘くなる)
これまでに、関東は醤油文化圏だと感じることや、関西のお好み焼は、厚みがあるタイプが主流なのでソースはたっぷりと塗られること。また、
中部地方の地理的な関係から、関西+関東÷2と言った感じの商品が出されていること等々、地域やお好み焼きのタイプによって、ソースの味が工夫
されていることに触れてきました。
一般的に【甘口】ということで評価される広島焼ですが、上記のようなことから広島焼を見ますと、単に甘口であるのではなく、何といっても
たっぷり入るキャベツの分量に合う味。そして、そば玉やいか天といったさまざまな具にも応える味になっていると言えます。
以前、自店のお好み焼きに、広島焼用ソースをかけて食べてみたことがありますが、普段から食べ慣れた味の方が良いと言うのではなく、
これとこれを合わすのは違うといった印象を持ちました。逆に、広島焼に当店のソースを使って、広島の方に受け入れられるかを想像しますと
・・・ おそらく同じような意見合いでお口に合わないでしょう。