江戸前に京風を重ね見る

当店には京風お好み焼の店というコンセプトがございます。 これを柱にメニューなどを色々と決めていくのですが、時々「京風ってどんなのですか?」と分かりやすい説明を求められます。 ひとつの事柄をもって言い切れず、説明はなかなか難しいのですが・・・

先日も、関東から来られた方とこの話題で盛り上がり、会話のなかで「それじゃ、京風は江戸前に似たニュアンスがありますよね。」と言われました。 江戸前という言葉の響き。 分かっていたようで説明できない括りが気になるので、お客さんが帰られた後も【京風⇔江戸前】 をじっくり考えてみたのですが、


そもそも江戸前は“江戸城の前”という意味で、羽田沖あたりから江戸川河口周辺までの沿岸部で捕れた魚貝類を指していたとされておりますが、 その他の解釈に『職人により芸術の域に高められた粋な料理』も江戸前とするといった話があります。 照らし合わせまして、京風は“京都に店が在る”ことが大事な要素ではないかと思います。日々の暮らしの中で、多岐に亘って京都の伝統の底深さが 存在することを感じ、『京の人・まち・時の流れに育まれた古き良き暖簾の味』を目指しております。

鉄板焼きの師範 目指せこてさばきなど技能認定

06/1/30京都新聞より
鉄板焼きに携わる全国の料理人が結集し、2月14日に京都市内で「日本鉄板焼協会」を設立する。 焼き加減やこてさばきなどの「師範」を目指す技能認定制度も設け、鉄板焼きならではの調理技術と顧客サービスの向上を目指す。参加メンバーは、ホテルのシェフやステーキ店主はじめ和洋食の料理人ら百人。7年前に結成した有志グループ「日本鉄板焼連合会」を母体に業界結集を目指して立ち上げる。
初代会長にはホテルグランヴィア京都(京都市)の土居義雄シェフが就任し、食肉卸の牛長(大阪市)に事務局を置く。発足とともに土居会長ら理事4人でつくる技能認定委員会を設置。会員向けに年1回の技能試験を行い、「師範」「準師範」「1級」の3ランクを認定する。
料理人としてのキャリア、魚や肉のさばき方や時間内に正確に焼く基本技術を中心に審査するという。 会員間での集客や売上げ拡大の実践例を交流したり、子ども向けの食育教室も計画。土居会長は「鉄板焼きの技と魅力を広め、認定証を国家資格にするぐらいにしたい」と話している。

たとえば、ソムリエといえばホテルや高級レストランに居られる特殊なアドバイザーという印象でしたが、近年、その名称は日本酒やコンビニ店の野菜のソムリエにいたるまで多岐にわたっています。同様にホテルやステーキ店の技能認定制度が、お好み焼屋の鉄板焼にもスパイシーな刺激をもって広がっていけばいいですね。

“らしさ”にこだわる店の味

写真 京都らしさ、日本らしさ・・・
色々な“らしさ”はそのものの雰囲気や感じを柔らかく包み込みます。ですから、さまざまなお店が、らしさ(オリジナル)をお客さんへ伝える事に神経を注いでいるのではないでしょうか。“らしさ”を分かって頂くことで、押し付けることのない自然な形でお店のカラーや思いを伝えることが出来るのです。

個性の要素は様々ですが、当店は飲食店。やはり『味』にこだわって喜の屋らしさをお伝えできたらと思っております。 一方で、飲食店の個性を感じて頂くための味へのこだわりといったもの、たとえばソース造りに何時間掛かったという努力は、お客さんの立場からはあまり関係ないことかもしれません。 食べて美味しければそれでいいとも言えるでしょう。ですけれども、少しの想像からでも、甘い辛いといった味覚だけではない、深い意味での味を感じていただけるのではないでしょうか。 どのようなお店でも、是非とも最初のひと口は“お店の味”を召し上がっていただきたく思います。そして貴方なりに解釈していただき、“アレンジ”はその後で ・・・ ・・・ ・・・?