出版ニュース連載コラム(全24回)2002年1月〜2003年12月 

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  「ブックストリート:書店」第17回 2003/05/中旬号

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 4月15日火曜日。朝8時過ぎの新幹線で東京へ。東下りはほぼ1年振り。中央線お茶
の水駅下車、11時過ぎに神田小川町の八木書店に到着。さっそく地下の新本特価部で仕
入れ。最近の目録には掲載されていない在庫僅少品を第一目標に探索するが、博品社「ラ
ンゲルハンス島航海記」、小沢書店「モダニズム今昔」他まずまずの収穫があった。また、
目録に掲載されてはいても、現物を見ないと判断ができなかった絵本や画集も選んで仕入
れた。やはり仕入れは印刷物やネットよりも現物を手にとって眺めるのが一番だから、今
後は年に数回は出張するようにしたい。八木書店からの特価本の仕入れは00年10月に
始めたばかりだが、売上は02年が前年比61%増の317万円と順調に伸びている。昨
年はパスした1階の専門書店売も見学。日販不扱いの鼎書房等、そして日販が他取次経由
で扱うため割高正味になる翰林書房等については、ここから仕入れると有利と判明したの
で、取り扱い出版社一覧表と発注用伝票をもらう。配送は特価本の便に混載してもらえる
から送料は不要だ。1時過ぎに八木書店を出る。お向かいで新築工事中の東京古書会館は
7月に完工とのことだったが、その数軒南の鈴木書店遺跡はまだ未利用で放置されていた。
 一仕事終わったので、すずらん通りの「はちまき」にてかき揚げとビールで昼食。食後、
真向かいの新規店「ふくろうブックステーション」を見学。間口が広く一面ガラスの明る
い店は、雨のためか客が少なく広々として気持ちがよかった。通路にも本が山積みの古書
店や、大書店の雑踏に疲れたらここで休憩するのがよさそうだ。雑誌中心ということのよ
うだが、神田にはもっと品揃え豊富な大型書店が複数あり、マニア向け雑誌のバックナン
バーにはそれぞれ専門の古書店があるから、そのスキ間を見つけて商売するのはなかなか
難しそうに思える。このままの店でも京都の河原町あたりでならけっこう繁盛しそうな気
もするのだが。この店のレジ前で旧知の業界記者村上氏に偶然出会う。
 村上氏と岩波ブックセンターの柴田長老を表敬訪問。長老はホームページを立ち上げ作
業中でお忙しそうだった。もちろん作業は専門業者がしていて、長老は見物しておられる
だけのようだったが。続いて村上氏の案内で弓立社を訪問するも宮下社長は不在。さらに
村上氏とこの3月に開業したばかりの「人文・社会科学書流通センター」を見学。ここは
鈴木書店の元社員7名の方々が資本金を出し合って設立された会社である。先に郵便でい
ただいた営業案内では、販売促進業務と店売業務がメインで、ネット関係も予定ありとの
ことだった。店売はもう少し目玉になる出版社がほしいような感じがしたが、取引出版社
のラインアップが固まるのはまだ少し先のようで、現状は仮オープンというところだろう。
取引対象書店は首都圏限定だから、関西支社の設立を期待していますと挨拶しておいた。
 さらに村上氏と出版ニュース社に行き、お忙しそうな清田編集長に2時間近くも雑談に
つきあっていただく。例の消費税の総額表示問題について、業界内でうわさがされている、
スリップにのみ総額表示するという案は、ちょっと馬鹿げているのではなかろうかとたず
ねたところお二人も同意された。そもそも消費者に対する総額表示の法案なのに、業界内
の流通ツールに過ぎないスリップにのみ総額表示するというのは筋違である。とはいえ、
店頭にポスターを貼ってスリップ表示の説明をすればなんとかなりそうだし、負担も少な
いからなかなかよいのでは、というのが業界の大勢だろうとのことだった。
 出版ニュース社を出たところで村上氏と別れて書肆アクセスへ。ここは書店卸もしてく
れるのだが、うっかり仕入れると重たくていやだから、数冊の書名をメモするだけにして
おく。神保町駅から半蔵門線で渋谷へ出てタワーレコードへ行くが、30分しか居られず
大きな不満を残しつつ山手線で東京駅へ。次回は原宿のブックオフを見学したい。今回は
残念ながら古書店や中古レコード店を一軒も覗けなかった。それにしても京都では日販の
支店店売すら廃止されたというのに、東京の書店はその気になれば毎日でも神田村に仕入
れに行けるわけで、まことにうらやましいことである。7時過ぎの新幹線に乗り、鰻弁当
とビールの夕食。帰宅は11時頃だった。  [2003/04/21記  (c)SISIDO,Tatuo]
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