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ほぼ月1回のペースで配信中のメルマガ「三月書房販売速報(仮題)」にて、「〈天
に唾する〉京都の書店のうわさ」というコラムを連載しています。もともとは出版社の
営業の人々の参考にでもなればというつもりだったのですが、なぜか一般読者に妙に人
気があって、ネタがないときはいちいち「休載のお詫び」を載せなくてはならないよう
なプレッシャーを感じているほどです。タイトルは「京都のうわさ」ですが、自分で確
認することを原則としていますから、守備範囲はごく狭小で、河原町通、烏丸通、四条
通、丸太町通で囲まれた四角形の内側と、京都駅前あたりがせいぜいです。それでも日
販の支店に店売があったころは、バイクでの仕入れの行き帰りに、あちこちパトロール
して回ることも可能だったのですが、店売廃止後はそういう機会もほとんどなくなって
しましました。
このコラムの前身は、紙版の「三月書房販売情報(仮題)」に断続的に連載していた
「京都書店地図(テスト版)」ですが、最初から新刊書店と古書店を対等に扱うことを
方針としていました。これは新刊書店だけに限定すると、新本と古本の両方を売ってい
る専門書店の扱いがむつかしくなってしまうこと、うちの店の客筋が古書店とかなり重
なること、そして筆者自身が新刊書店よりも古書店を覗くほうが好きだったからです。
〈天に唾する〉というのは、もちろん自分の店のことは棚に上げて、よその店のことを
エラそうに批評しているからですが、こういう「遊び」を続けていると、自分の店につ
いても、いささか客観的に判断できるようになったような気がします。
京都の書店街といえば、河原町通りの三条から四条の間が有名ですが、バブル期以降
の様変わりは驚くほどで、駸々堂、京都書院、オーム社、海南堂など10店以上が消え
てしまいました。駸々堂京宝店の後をブック・ファーストが引き継がれたようなケース
もありますが、大部分は業種が変更になり、書店数はほぼ半減という感じです。しかし、
これはあくまでも新刊書店だけの話であって、このあたりの古書店はほぼすべてが健在
です。新刊書店の売り場面積では、旭屋書店やアヴァンティBCのある京都駅前に抜か
れたと言われますが、あちらには古書店がまったくありません。新刊書店ばかりがいく
らあっても、深みもコクも味わいもありませんから、河原町には多くの立派な古書店が
混在しているおかげで、まだ辛うじて京都を代表する書店街としての地位を保てている
というべきでしょう。
さて、7月20日現在の最新の話題は、ゼスト御池地下街の紀伊国屋書店御池店さん
が、ついに撤退を発表されたことです。ゼスト御池は1997年秋の開業ですが、バブ
ル期に計画された第三セクターのご多分にもれず、まことにどうしようもない商業施設
で、開業以来低迷という言葉すら恥ずかしいくらいの不振が続いています。ゼスト全体
の総売上額は昨年度が22億円とのことですが、これは開業直前に下方修正された予定
額の3分の1ですから、いかにひどい状況かおわかりいただけるでしょう。現在50店
が営業中ですが、サンリオや新星堂などいくつかあった有名店は次々に撤退してしまい、
オープン以来続いている店は、紀伊国屋さんを入れても5店のみとのこと。代替店は空
き店舗を作らないために、無理に頼んで出店してもらったらしい、仕込みの安そうな雑
貨店や靴店や婦人服店が大部分です。
紀伊国屋さんはやたらに広い通路を挟んだ両側に各2ブロックという、お客にとって
もお店にとっても、使い勝手のはなはだよくない約600平方メートルで営業されてい
ました。しかし、この程度の売り場面積では、いかに知名度が高くとも単独では集客に
限界があり、ほかのテナントとの相乗効果がまったく期待できないとなれば、撤退はむ
しろ遅かったくらいでしょう。同店の撤退後には某書店が入ることがほぼ決まっている
そうですが、開業時には地元優先だったにもかかわらず、まったく出る気がなかった地
元書店のことですから、きっとテナント料はただ同然にまで値切った上でのことでしょ
う……、とエラそうなことを書きましたが、筆者は大型書店の経営については素人同然
ですからあまりあてにしないでください。なお、この続きは「三月書房販売速報(仮題)
第67号」にてお読みいただけます。
[2003/07/22記 (c)SISIDO,Tatuo]
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