祇園祭 2004

伝統の継承と新たな試み

菊水鉾 今年もいくつかの山鉾で懸装品が新調されたり、ネットで囃し方を公募されたりといった試みがなされました。伝統を継承せねばならんとする意気込みを感じますね。 そんな中菊水鉾では 白色LEDによるライトアップが施されました。場所によって照明の当て方を変えるといった凝りようで、現代技術で浮かび上がった 鉾の美しさと、千年以上の歴史という想像しきれぬ時間の流れのなかに佇むばかりでした。

クジラ と エイ

鉦すりと譜面 巡行を終えた山鉾は、翌年の段取りを考えながら解体され、蔵へ収納されるのですが、その際、漆の部分にワックスの役割の油を塗り、艶をとりもどす作業が 施されます。手の平を使って薄く塗りこんでいく根気のいる作業で、数人の職人さんによって仕上げられます。その油は、海に泳いでいるエイ から採れるもので、化学薬品に変わるものはないそうですが、普段聞く事のないエイの油は 何がきっかけで使用されるようになったのでしょうね?


また、お囃子に使用する鉦すりですが、棒の部分に使用されているのはクジラのひげです。江戸からくり人形のぜんまい部分 にも使われています。現代の素材もありますが、ある囃子方曰く「微妙にしなり具合が異なって音色にも影響する。しっくりくるのはひげの方」とのことです。

鉾の残像

柱を据える鉄板 祇園祭のハイライト山鉾巡行も無事に終わり、各鉾町や市民の方々もその余韻に浸りながら本格的な夏の到来を感じています。 なかには、年中お祭りの話をしている熱狂的な人もおられますが、私にも同じ様な理由で、通る度に見つめるスポットがあります。 「この鉄板の上に柱が立ち、鉾が組み立てられていくんやなー」季節を問わず、目の前に鉾の立ち姿が浮かびます。