お酢

お酢の不思議

千鳥酢村山造酢 お酢は世界中にありますが、各国のお酒(主要産物に由来する)と深く関わっています。例えばフランスではワインビネガー、 ビールの産出国ではモルトビネガー、日本では米酢といった具合です。国内の酢の生産が始まったのは江戸時代からで、当時の書物 (本朝食鑑)に 「味は甘くて酸っぱい」という記述もみられるそうです。


お酢造りに欠かせない酢酸菌は、ひとつの菌と考えがちですがそうではありません。数種類あって、温度や湿度、場合によっては風向きなどの気候条件も含めて、複雑に影響しあいながら醸造過程に関わっていくのです。 そんなデリケート極まるものですから、こちらのお酢屋さんでは外見こそ新しくなっていますが、蔵の部分は昔のままに、柱や壁に付着している菌を第1に考えて工事をされたそうです。仮に、現代の技術を駆使してこの蔵の菌を他所に持っていったとしても、同じ風味のものはできないほどお酢造りは神秘的なものなのです。

ソース と マヨネーズ

お好み焼きにマヨネーズ 当店のお好み焼きのソースにもお酢は使っています。あくまで酸味の調整が第1の目的で、その結果傷みにくくなるという2次的効果もあります。

また、マヨネーズの主成分は「油」「卵」「酢」ですので、酢の占める割合は大きいです。マヨネーズメーカーの自社工場で 100%醸造されます酢は、例えば(りんごを含む)と表示されてますように、りんご酢やその他の酢が研究されたうえで 上手くブレンドされており、自家製では出せない味となっています。

女房詞『おすもじ』など

わらべ地蔵 おすもじと言って何が浮かびますか?


すもじはお寿司を意味する言葉で、室町初期頃に御所仙洞御所に仕える女房 たちによって使用され始めた隠語 [女房詞 にょうぼうことば] です。 女房詞は上品な言葉として後に町家の女性にまで広がった そうですが、現在に至っては聞くことが少なくなった言葉かもしれません。



女房詞のいろいろ

米⇔うちまきねぎ⇔うつほ鮒⇔ふもじ飯⇔供御(ぐご)
とうふ⇔おかべ味噌⇔むし松茸⇔まつ塩⇔白物(しろもの)
田楽⇔おでんすし⇔すもじわらび⇔わら水⇔お冷(ひや)
杓子⇔しゃもじつくし⇔つく鯉⇔こもじそうめん⇔細物(ほそもの)
お金⇔おあし散歩⇔おひろい醤油⇔おしたじ酒⇔九献(くこん)

など、一般に御(お・ご)を添えたり文字(もじ)を添えています。普段使っていることばも見受けられますね。近年、京都の「おばんざい」がブームですが、 周囲の方にお聞きしますと、昔はそのような言い方はせず、『おぞうよ』とか『おまわり』などと言ったそうです。 女房詞には、九献→三々九度の式三献と関係あるのかとか、おかべ→お寺の白壁からかな?とか、おひろいのように、上品な言い回しで物事を連想させて くれる魅力があります。


〓参考〓

【 大上臈御名之事 】おおじょうろうおんなのこと 有職故実書。一巻。著者・成立年未詳。大上臈の名、女房の服飾や幼名のほか、百余りの女房詞をしるしたもの。
大上臈とは宮中の女官の最上位のもの。のち幕府や大名に仕える奥女中の最上位のものをいう。