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中国と日本とではお互いに相手国で混入したと言い張っていたが。
中国でも同様の事件が発生して,中国で混入したと中国政府もみとめるようになった。
冷凍餃子は日本で買われなくなってきているが,中国では食べ続けていた結果判ったともいえる。
空前の厳戒の下で「平和の祭典」の幕開けである
ハイテクと「人力」で中国文明を誇示する式典を間近に見た
平成20年8月9日の天声人語よりの引用
開会式の演出が「極秘」となったのはどの五輪からだろう。
東京では無名の青年が淡々と階段を駆け上がり、青空にトーチをかざした。
素朴な時代を思いながら、天女が舞い飛び、ハイテクと「人力」で中国文明を誇示する式典を間近に見た
▼空前の厳戒の下で「平和の祭典」の幕開けである。
警察と軍で約140万人。
市民有志も加わって、歓迎ムードの後ろから数百万の目が光る。
地下鉄に乗る前、長い列に並んで持ち物のチェックを受けた。
高揚と緊迫が混じる街を、もやとサウナのような湿気が覆う。
夕日は下敷きを通して見たように黄色い
▼その空をミサイルがにらむ図は、9・11テロ後の世界そのものだ。
少数民族、人権、貧富の差。
宴(うたげ)を前に、国内の矛盾や摩擦に重しを載せた。
そこから、いつ、何が飛び出すか分からない
▼開会式会場の愛称「鳥の巣」から、つい「累卵」の故事を連想してしまう。
卵を積み重ねたように危うい状況のたとえだ。
開幕直前にも、テロとおぼしき事件が国内で相次いでいる
▼ユートピアという言葉を思う。
理想郷などと訳されるが、もとはギリシャ語からの造語で「どこにもない場所」の意味だという。
思えばオリンピックも、4年ごとに地球上に出現する人工の祝祭空間にほかならない
▼無理と危うさが目立つ中国製の「理想郷」。
だがそこに集い、ひたむきに戦う選手の姿は変わらない。
なんとかたどり着いた聖火は「天翔(あまかけ)る最終走者」が北京の夜空に灯(とも)し、幕は開いた。
最高級の心技体が、万全の安全の下で躍動せんことを祈る。
北京オリンピックの開幕式を見ていて凄いことをするものだと感心したが,何か後で報道されるニュ−スでそれが半減したとしても
それでも凄いショウーだったと思う。録画したが失敗に終ってしまった。残念。
北京五輪の開会式は桃源郷さながらだった
平成20年8月10日の天声人語よりの引用
古い時代の中国の詩人、陶淵明に「桃花(とうか)源記(げんき)」という散文がある。
ある男が山深い渓谷をさかのぼるうち、世の塵芥(じんかい)を隔てた桃源郷に迷い込む話だ。
桃源郷から帰った男は再び訪ねようとするが、その道は二度と見つからない
▼昨日の小欄でも触れたが、北京五輪の開会式は桃源郷さながらだった。
一夜明けても北京っ子は興奮さめやらない。
壮観な出し物は中国のナショナリズムを大いに刺激し、ナルシシズム(自己愛)をくすぐったようだ
▼だが、威信をかけたスペクタクルも、主役である選手の行進にはかなわなかったように思う。
砂漠の熱、スコールの白雨、草原の風。様々な風土があり、文化があり。
雰囲気をまとう各国選手の姿が、世界の多様さへの想像を膨らませてくれた
▼その祭りに水をさすように、黒海のほとりから戦火の煙が上がった。
137番目に入場したロシアと、153番目のグルジアとの武力衝突だ。
空爆や地上戦で市民の死者が多数出ているという
▼この日の北京には各国首脳が集っていた。
ロシアのプーチン首相から「戦争が始まった」と聞いたブッシュ米大統領は、自制を促したと伝えられる。
だが戦火は広がりつつある。
「一つの世界、一つの夢」を演出した「鳥の巣」を一歩出れば、現実の世界は生々しく、きな臭い
▼「桃花源記」を陶淵明が書いたのは1600年ほど前。その心中には、戦乱の続く世への幻滅もあったらしい。
グルジア大統領は「戦時状態」を宣言した。
遠い時空を隔てて、戦う性(さが)を克服できない我々の姿が浮かび上がる。
平和の祭典のの一方でロシアとグルジアの戦争が始まっている。
人間の性というものか。オリンピック熱戦をももう一度見てみよう
黒海に面したグルジアと、ソ連時代まで一帯を
支配していたロシアの武力衝突である
平成20年8月11日の天声人語よりの引用
世界の白地図を前に、黒海とカスピ海を指せる人がどれほどいるだろう。
ましてや、二つの海に挟まれた地がいかなる国々に属するのか、即答できる博識はそういまい。
喜ぶ話ではないが、そのカフカス地域の詳しい地図が紙面に連日出ている
▼黒海に面したグルジアと、ソ連時代まで一帯を支配していたロシアの武力衝突である。
火種はグルジア北部の南オセチア自治州とアブハジア自治共和国。
ともにロシア軍が常駐し、事実上の独立状態にある。
そこにグルジアが進攻、ロシアが反撃し、多くの死傷者や避難民が出たと伝わる
▼一つの国の中に独立をめざす自治州や共和国があること自体、島国育ちは面食らう。
南と名がつく自治州は、実は国土の北辺に位置し、埼玉県ほどの領地に大統領までいる
▼「ややこしい地域」の基礎知識は、硝煙に乗って広まるらしい。
90年代のユーゴスラビア紛争は、バルカン半島が民族や宗教のモザイクだと知らしめた。
私たちは再び、地理と歴史と国際政治を生の教材で学ぶのか。
望まぬ夏季補講だ
▼カフカス、英語のコーカサスには5千メートル級の雄峰が連なる。
ギリシャ神話のプロメテウスは、天上の火を人間に与えて最高神ゼウスの怒りを買い、この地に鎖でつながれた。
「火薬庫」の戦火も封じ込めるほかない
▼ほぼ同緯度の中国・新疆ウイグル自治区では、五輪便乗の暴力が続く。
こちらもシルクロードの時代から民族と宗教がせめぎ合い、ややこしさでは負けない。
「あとで引いた国境」の危うさを思いつつ、当事者の自制を求める。
大国の思惑で小国は蹂躙され 被害者を出している。そこの住民の意志を一番に重視すべきことが
大国のかけ引きに小国は利用されているようにも思える。
グルジァからロシアは撤退したと報道されている。
この季節、クラゲになりたい時がある
平成20年8月12日の天声人語よりの引用
この季節、クラゲになりたい時がある。
ふらふらと夜風に誘われ、満天の星を仰いで波まかせ。
次はクラゲに生まれたい、とまでは思わぬが、管理社会から遠いその姿は逃避の虫をくすぐる
▼「漂う生き方」を見習いに、都内の水族館を訪ねた。漂うのではなく、
半透明の傘を開閉して水中を泳いでいた。
タコクラゲは元気よく、ミズクラゲは優雅に。
「水母」とも書く通り、水の惑星の先住民を思わせる。
これを癒やしと見るのは、しかし片思いだ
▼今年はクラゲ被害の出足が早いという。
神奈川県の江の島では、海水浴客300人近くが刺された日もある。
7月からの高温と日照が成長を促し、アンドンクラゲなどが大量発生したらしい
▼殻も甲羅も、逃げ足もないから、毒で身を守るしかない。
みだりにさわるものには、触手が一撃を見舞う。
クラゲに放言させれば、サルの仲間が海で遊ぶのが間違い、となろうか
▼ミジンコ好きで知られるジャズミュージシャンの坂田明さんは、
著書『クラゲの正体』でクラゲ博士の故柿沼好子さんと対談した。
柿沼さんいわく。
「人間がかまわず海を汚すと、クラゲはその身を削り命をかけてクリーニングしなければならないから、
どんどんやせてしまう」。
クラゲには海水の浄化作用があるとされる
▼〈命透け海月(くらげ)に秘するものはなし〉江口かずよ。
水と戯れる姿は、なるほど、どこか悲しい。
浜辺の嫌われ者も、生態系の小さな歯車として何かの役に立っているはずだ。
クラゲが生きやすい海は、人が住みやすい陸と一対のものである。
クラゲは一見しては気持ち悪いものだが,見方によっては癒しにも見える。
身を犠牲にして海水の浄化に努めている生き物となると,
感謝しなければならない存在である。
日本人の07年の平均寿命が過去最長を更新した
女性は23年続けて世界一の85.99歳、男性も3位の79.19歳。
平成20年8月13日の天声人語よりの引用
朝の街路樹にセミの抜け殻がしがみついていた。
歩道に目をやるとアブラゼミが裏返しになっている。
まさか殻の主ではなかろうが、生と死がせわしなく行き交う夏半ばである
▼地中で何年も過ごすセミは、むしろ長寿の虫といえる。
しかし地上にいる期間が短いために、生まれる端から死んでいく印象が強い。
虫かごに入らなければ、その短い日々は子孫を残すのに費やされる。
人間の場合、そこからが長い
▼日本人の07年の平均寿命が過去最長を更新した。
女性は23年続けて世界一の85.99歳、男性も3位の79.19歳。
これは0歳児が何歳まで生きるかという数字で、病気や事故を乗り越えてゆけば、
例えば70歳の男性は85に迫り、女性は89を超す人生が見込まれる
▼三大死因のがん、心臓、脳の病で亡くなる人が減っているそうだ。
医療や年金制度のほころびで「長生き地獄」とまで言われるが、長寿そのものは古今東西を問わぬ喜びであろう
▼女優の桃井かおりさん(57)が、過日の毎日新聞で「こじゃれた長生き」について語っていた。
「わたし、死んだら死体の役で使ってほしいの。
そこまで俳優やりたいのね……120歳ぐらいまで生きたら性別もなくなって、おじいさんもできるかもしれないし」
▼医療技術の発達で、生物としての存続はそこそこ期待できる。
ビールと枝豆に生き返るような、ささやかな喜びを重ねる幸せ。
その上で、誰もが望むのは最後まで張りのある人生だ。
「平均」を大きく超えた人たちが、誕生祝いのたびに「もう1年」と願う世でありたい。
日本人の寿命が延び続けている。うれしい話だが健康で長生きならば良いが
ベットの上で植物人間のような状態では長生きしたくはない。
医学の進歩は勿論のこと,環境の改善も大変貢献していると思う。^何時までも平和な日本でありたい。
女子マラソンの系譜を顧みれば
平成20年8月14日の天声人語よりの引用
悲喜こもごも届く北京五輪のニュースの中で、それは悲を超えて「泣」に近い衝撃だった。
野口みずき選手(30)の欠場である。
4年ごとの舞台に合わせ、ぎりぎりまで筋肉をいじめてくる一流ランナーの厳しさを思う
▼北京の切符を手にした昨秋の東京国際女子マラソンを間近で見た。
手を横に振り、弾むような大股で地をける。
小遣い銭を握りしめ、菓子屋に急ぐ子どもに例えては失礼だろうか。
小さな体が走る喜びを発散していた
▼女子マラソンの系譜を顧みれば、有森裕子さんには禁欲的な美しさ、
高橋尚子さんには精密機械のすごみがあった。
野口さんには、荒野で鍛え抜いた脚力を感じる。
跳んで弾んで「鳥の巣」へと独走する絵を見たかった。
じっくり養生してほしい
▼政治が絡む五輪には虚実が交じる。
特に北京の開会式は「虚」の世界だった。
千発もの「消雨弾」が雲に撃ち込まれ、花火の映像は一部CG、美少女の独唱は口パクだった。
裏で歌ったのは、見た目は及ばぬが声は一番とされた別の少女である。
音楽総監督は「国益を考えた」と明かした
▼対照的に、野口さんの決断は「実」そのものだ。
「今も走りたい、走ろうという思いは消えることはありません」。
しかし、ここで無理すれば選手生命が危うい。
肉体を苦使する仕事の、残酷なまでの正直さである
▼北京では連日、研ぎ澄ました肉体と精神が正直にぶつかり合っている。
北島康介選手の金も、谷亮子選手の銅も、あらゆる「虚」を排した実力勝負の結果だ。
だから勝者は輝き、敗者もまた美しい。
北京オリンピックでは悲喜こもごものドラマが潜んでいる。野口みずき選手の欠場は残念である。
中国が米国を抜いて金メダルの数を獲得している。
大変な努力の結晶でもある。開会式を見る限りこれ以上の演出は大変なことだと思う。
人の数だけ、戦争があった
平成20年8月15日の天声人語よりの引用
人の数だけ、戦争があった。
兵士50人の手記を編んだ『父の戦記』が、先ごろ朝日文庫から復刊された。
1965年に週刊朝日が募ったものだ。
中に、南仏印(ふついん)のサイゴンで終戦を迎えた元中尉の作がある
▼その日、兵舎では激論と痛飲が繰り返されたという。
住民に加勢し、フランス軍と戦おうとする者もいた。
逃亡、自決、抑留。
何が正義で、何が卑劣か見えぬまま、隊長として全隊70人を集める。
日本刀を抜いて、叫んだ
▼〈我々が一刻も早く帰還しなければ、敗戦の祖国は一体どうなるのだ。
一時の感情に走って道を誤るな。
逃亡する奴(やつ)は俺(おれ)が斬(き)る〉。
手記には「自分の行動が無性に腹立たしく、恥ずかしくさえ思われた」とある
▼過日、別の手記が公開された。
終戦の直前、東条英機元首相が心境などを残した直筆メモだ。
「もろくも敵の脅威に脅(おび)え、簡単に手を挙ぐるに至るが如(ごと)き国政指導者および国民の無気魂」と、
悔しさを時の政府や国民にぶつけている。
「新爆弾に脅え、ソ連の参戦に腰をぬかし」など、随所に徹底抗戦への未練ものぞく
▼「新爆弾」にやられた広島と長崎をはじめ、国土は焼け、民は窮乏を極めていた。
外地では、補給を断たれた兵が銘々の処し方を問われた。
この期に及んで戦争を正当化するメモは、戦後の感覚からは読むに堪えない
▼元中尉の戦争と東条の戦争。
誰を主人公とするかで、一つの史実も別の物語になる。
昭和という時の巨木に生い茂った、何億もの慟哭(どうこく)の葉。
勇ましいだけの裸木に戻さぬよう、一枚一枚、静かに語り継ぎたい。
戦争は狂気の世界で,あらゆることが起きている。真の指導者となる人々は天寿を全うして死んでいる。
身近なイラク戦争を見ればよく理解できる話だ。
戦争だけはなんとしても起こらないようにすべきだ。日本が先頭に立ち唱えるべきことである。
指導者は誤魔化すものであることを知っておくべきだ。聖戦とか正義の戦いとかなどの言葉で国民を
戦争しないといけない心理に持ってゆくものである。始まれば最後止まらなくて「人の数だけ、戦争があった」になる。
戦後の東京見物を担ったバス会社が、
おととい、設立60周年を迎えた
「はとバス」である
平成20年8月16日の天声人語よりの引用
半世紀ほど前、川端康成が本紙に連載した『女であること』に、主人公らが都内遊覧に興じる場面がある。
ガイドがなかなかの名調子だ。
〈この東京は、四季折り折りの変化は申すまでもなく、朝に夕に刻々と、移り変っているのでございます……〉。
「はとバス」である
▼戦後の東京見物を担ったバス会社が、おととい、設立60周年を迎えた。
「お一人でも乗れる観光バス」が実際に走り出すのは1949(昭和24)年。
地方からの家族連れや、異国の旅人に、変わり続ける首都の姿と新風俗を紹介してきた
▼隅田美枝子さん(67)がガイドになったのは、川端作品の後、18歳の時だ。
女性では屈指の人気職種で、10倍を超す難関だった。
高校時代は放送部、案内の口上や歌は家でも磨いた
▼国会議事堂前から皇居のお堀端を北に進めば、靖国の社(やしろ)が見えてくる。
そこで「九段の母」や「東京だよおっ母さん」を歌うと、老夫婦らがよく泣いた。
終戦からまだ15年、わが子や夫を戦地で亡くした人はいくらもいた
▼疎開の記憶もおぼろげな隅田さんは、新米ガイドの歌に涙する客に打たれた。
他方、貸し切りで迎えた修学旅行生とは、姉妹のような交流が生まれた。
「あの時代と、あの人たちをいとおしく思う」と語る
▼四季を重ねるたび、車窓の街は復興から高度成長へ、淡彩から原色へと豊かになった。
「走る戦後」である。
敗戦で生まれ変わった日本に通じる「はと」の名は素朴だが、
時代がひと回りしたせいだろうか、古臭くはない。
黄色の車体には、いまも平和の鳥が飛ぶ。
はとバスが戦後の東京の復興を見てきたにちがいない。
墓碑といえば、まずは「〇〇家之墓」が
刻字の定番だが
ユニークな「自分流」が人気だと、
平成20年8月17日の天声人語よりの引用
もう命日は過ぎたけれど、8月は明治を代表する落語家の三遊亭円朝が亡くなった月だと聞いて、
東京の谷中(やなか)にある墓所を訪ねてみた。
「三遊亭円朝無舌(むぜつ)居士」の文字が山岡鉄舟の筆で刻まれている
▼円朝は生前から「無舌居士」と号し、
〈閻王(えんおう)に舌を抜かれて是(これ)からは心のままにうそも云(い)はるる〉などと歌を詠んでいた。
近世以来の話芸を集大成した才人に似つかわしく、思わずニヤリとさせる墓碑である
▼ところで墓碑といえば、まずは「〇〇家之墓」が刻字の定番だ。
だが、近ごろは変化が兆しているらしい。
ユニークな「自分流」が人気だと、先日の記事が伝えていた。
定番に代わって、「愛」「和」「永遠」「やすらぎ」といった文字が大書されているそうだ
▼そして、故人の名や命日は側面や裏側に控えめに彫るのだという。
注文主の望む文字を書家が書くサービスを始めた業者は、「潜在需要は多いはず」と踏む。
専門家によれば、家という概念の希薄化や、個人を尊重する傾向が自由な文字の背景にあるようだ
▼岩本素白の残した一節を思い出す。
早大で文学を講じた人で、名文の随筆で知られた。
信州へ疎開して迎えた終戦の年の秋、鬱々(うつうつ)とした気分で散歩をするうち、野辺に一群れの墓を見つける
▼南に向かい、遠い山を眺めているような墓石の一つに「秋山微笑居士」と彫ってあった。
素白はすっかり良い気分になり、足取りも軽く宿へ帰ったそうだ(「野の墓」)。
故人を記憶する文字が様々な感慨に生者を誘う。
そんな墓に遭うのも、楽しからずやである。
墓にも時代の流れが影響しているようだ。
先祖調べには墓は欠かせない存在である。殆んどが明治以前の墓はなくなっている。
石も風化して壊れてしまうものである。灯篭では奈良の当麻寺の灯篭が古くて奈良時代だと言われている。
「衝撃が走った」と書くしかないような、
北京五輪の陸上男子100メートル、
ジャマイカのボルト選手の疾走だった
平成20年8月18日の天声人語よりの引用
駆け出し記者だった頃に厳しいデスクがいて、紋切り型の表現をすると怒られた。
びっくりする様を「目を白黒」などもってのほか。
「衝撃が走った」と書いた新米の背中に「衝撃」と大書した紙を張り、社内を走らせたという伝説も残した
▼もう引退した鬼デスクも、一昨日の夜は「目を白黒」させたことだろう。
「衝撃が走った」と書くしかないような、北京五輪の陸上男子100メートル、ジャマイカのボルト選手の疾走だった
▼ぴったりフィットの競技着が幅を利かせる中、黄色いランニングシャツをはためかせる姿は、「カリブの風」を思わせた。
勝ちを確信したのだろう。ゴール前で踊るように減速し、胸をたたいてみせた。
それで史上初の9秒6台には恐れ入るしかない
▼メダルは3位にまで授与される。
だが勝負の実質となると、1人の勝者と、その他大勢の敗者である。
ボルト選手の走りは「1人の勝者」を強烈に印象づけた。
2位の選手いわく。
「こっちはこれからというときに、あいつは両手を広げて余裕だったね」
▼人類最速への興味は、「100メートル」を「10秒」という分かりやすい数字に負うところが大きい。
〈あらゆるスポーツを通じて、記録上の、数学的な美の極致〉だと、スポーツライターの小川勝さんは著書『10秒の壁』で言う
▼その美しさを体現する選手たちには、「暁の超特急」「褐色の弾丸」といった流線形の称号がつけられてきた。
ボルト選手は「稲妻」と呼ばれているそうだ。21歳。
極致の数字をまだまだ縮めそうな、おそるべき雷光である。
ジャマイカのボルト選手の「稲妻」のような走りには驚いた。他の選手が子供のようにも見えるほどに早い選手だ゛った
ひと夏にかけた一投一打に、
甲子園はとびきりの物語を用意する
平成20年8月19日の天声人語よりの引用
夏の高校野球の大会歌「栄冠は君に輝く」は、朝日新聞社が詞を募って60年になる。
還暦の旋律に歩を合わせる大阪桐蔭、常葉菊川の選手たちは誇らしげだった。
そして黒かった
▼点差は開いても、決勝戦は胸が詰まる。
一度きりの舞台で最高の仲間と輝きたい、という思いが見る者に伝わるからだ。
ひと夏にかけた一投一打に、甲子園はとびきりの物語を用意する
▼10年前は「横浜・松坂大輔の夏」だった。
準々決勝からの3試合はすでに伝説の域だ。
延長17回の死闘(対PL学園)、6点差を追いついての逆転サヨナラ(対明徳義塾)、
ノーヒット・ノーランでの春夏連覇(対京都成章)。
日替わりの奇跡は、鍛え抜いた肉体が時と場を得て生まれた
▼よく似た一期一会の縁や哀れを、五輪にも見る。
北京の「星野ジャパン」は連日、甲子園のような緊張の下で戦っているはずだ。
個人種目はなおさらだろう。
限りある選手寿命のピークがいずれかの五輪に重なり、かつ表彰台の真ん中に立つのは楽ではない
▼ところが、競泳で8冠を達成した米国のフェルプス選手を前にして、そうした感慨は揺らぐ。
アテネと合わせた金は14個。
時と場さえも引き寄せてしまう、圧倒的な肉体がそこにある
▼「きちんと食べ、きちんと寝るしかない。
練習だけではだめなんだ」という言がいい。
高校球児はもちろん、一般の健康管理にも通じる教えだろう。
「一度きり」のこの夏は、例年にもまして体について考えさせる。
きちんと食べて寝て、あとはテレビ観戦というのでは太るばかりだが。
北京オリンピックと重なった高校野球はあまり関心をもたれない運命にあったが
選手達は例年のように力一杯に競技をしていた。
北京の「星野ジャパン」は三位に入れなかったのは残念。でもプロ野球選手がオリンピックに
出場することに対して違和感がある。プロとは運動を職業としている人たちのことである。
やはりオリンピックはアマチャの選手の協議であってほしい。
ロシア出身の幕内力士、若ノ鵬(20)が、
大麻入りたばこを持っていたとして警視庁に捕まった
平成20年8月20日の天声人語よりの引用
相撲の技に「五輪(ごりん)砕き」というのがあるそうだ。
小兵に食い下がられた力士が、もろ差しの両腕と腹で相手の頭を挟み、そのまま出ていく。
首を痛め、命にかかわる危険な取り口という(新山善一『図解・平成大相撲決まり手大事典』国書刊行会)。
さて、北京の興奮を砕く衝撃はないにしても、相撲協会の体面は粉々であろう
▼ロシア出身の幕内力士、若ノ鵬(20)が、大麻入りたばこを持っていたとして警視庁に捕まった。
所属の間垣部屋や自宅からは、大麻の吸引具や吸い殻が見つかったという
▼端緒は自宅近くで拾われた財布。
怪しいにおいを放つロシア製たばこ1本と、外国人登録証が入っていた。
大麻に名を書いていたようなものだ。
場所前になくした物に気を取られたか、7月の名古屋は4勝11敗と崩れた
▼スピード出世ながら、負けた腹いせに風呂場で暴れるなど「素質十分、素行に難」が大方の評らしい。
心根を正すべき師匠は、弟子を竹刀で殴打した件で協会に処分されたばかり。
部屋の指導にも物言いがつこう
▼伝統にはびこる暴力と、一部外国人力士の礼知らずは、今の大相撲が抱える病だ。
大男の力自慢だけでは務まらぬ、強けりゃいいってもんじゃない。
大麻となると、こうした嘆きの次元さえ超す
▼そういえば、神話の世界の勇士、野見宿禰(のみの・すくね)が相撲で倒したのが当麻蹶速(たいまの・けはや)だった。
ガグロエフ・ソスラン・アレキサンドロビッチという本名は、相撲の神々にも負けない立派さではないか。
日本の国技を選んだのも何かの縁だ。
まず人として出直してほしい。
外国人の相撲取りの不祥事件が目立つようだ。
相撲が国技ならば日本人で守り立てていって欲しいものである。
後半生を楽しむには、
屋内外に最低一つずつの趣味が必要だという
平成20年8月21日の天声人語よりの引用
外国生活と仕事を両立させ、悠々自適の老後を送る大橋巨泉さん(74)が、
自らの多趣味について「広く浅く始めて、いくつかにしぼってきた」と書いている。
後半生を楽しむには、屋内外に最低一つずつの趣味が必要だという(『巨泉・人生の選択』講談社)
▼若いうちはあれこれかじり、体や懐と相談しながら「生涯の友」を二つ三つ選ぶ。
巨泉さんはジャズとゴルフらしい。
納得しつつ、わが身を省みる。
仕事が趣味とは言わないけれど、かじりかけ、食べ散らかしの山である
▼社会経済生産性本部のレジャー白書によると、余暇の過ごし方に変化がうかがえるそうだ。
外食、ドライブ、カラオケなど91種の活動のうち、15歳以上の日本人が07年に一度でもたしなんだのは平均14.5種。
10年前の調査の17.8種から減った
▼とりわけ、遊び盛りの10代が21.6種から15.6種へと3割もの減だ。
一方で、特定の活動には何度も参加する傾向が見られた。
時間の使い道を絞り、本当に好きなものにお金をつぎ込む姿が浮かぶ
▼狭く深くの選択投資では、かじりもしない趣味が多くなろう。
関心の間口が狭い若者がそのまま中高年になるなら、レジャー市場の将来は明るくない。
白書は、余暇の貧困化だと気をもむ
▼携帯電話やゲーム機での暇つぶしが習慣となり、インターネットに費やす時間も膨らみ続ける。
かくして、生涯の友となるような、実のある趣味に回すべき養分は枯れていく。
内はパソコン、外はケータイ。
こんな「内外一つずつ」だと、どんな老後になるのだろう。
趣味は多いほど良いと思うがなかなかにそこまで出来ない。昔は読書だったが目の加減で
読む機会も少なくなる。ゴルフは健康の為に続けておりパソコンの前に座るのが楽しみである。
近くの名所旧跡を訪れるのも良い。
一喜一憂するこの国で、
覆いようがなくなってきたものがある
政治と経済の弱さだ
平成20年8月22日の天声人語よりの引用
スポーツ映像は、勝敗が決した瞬間が華だろう。
顔を両手で覆う選手が結構いる。
悲喜を問わず、感極まった面相は公開無用の「私物」ということかもしれない。
それはさておき、北京からの絵に一喜一憂するこの国で、覆いようがなくなってきたものがある。
政治と経済の弱さだ
▼福田首相は早めの臨時国会で成果を上げたいのに、長い会期を嫌う公明党の意向も無視できない。
間(あいだ)をとって、国会召集は9月中旬らしい。
先の「追い込まれ改造」同様、首相に主導権はなく、自民幹部からは「ぐず内閣」の声まで出た
▼与野党の関心は、誰の手で解散・総選挙をするのか、この一点。
地味な首相では選挙の顔にならないが、唐突に派手な人が継いでも有権者に密約を疑わせる。
いずれにせよ、解散含みの国会で実のある政策論議になるか
▼夏休みの間にも、景気は停滞の度を強めている。
政府は、後退局面に入ったことを事実上認めた。
4〜6月は1年ぶりのマイナス成長、株価もさえない。
ここ6年は戦後最長の拡大でしたと聞いても、どこの国の話かと思う
▼ガソリン価格をにらんでの休暇は「安近短」が主流だった。
政策不信の裏返しであろう。
生活は自分で守るしかないという背水の節約が、停滞に輪をかけるはずだ
▼電気代を気にしつつ、時差1時間の五輪ドラマを追う人も多かろう。
陸上の男子200メートルは異次元の走り。
100メートルに続く2冠を世界新で飾ったボルト選手は、大の字になり、両手で顔を覆った。
悲と喜は正反対ながら、一瞬、日本の今が重なる絵だった。
何か変な世のなかになってきたと思われる。国民の間に閉塞感が漂っている。
経済界での利益は世界競争力が失うとして,国民に負担がのしかかるのも変なことではないかと
考える。国民が最終的に幸せになるのが日本政治だと思う。
国際協力もアメリカ追従するだけでは駄目な時期来ていると思う。
格差社会の多くなる典型的な資本主義競争社会が一番の良い社会だとは思えない
大宇宙の悠久の営みは、
命を紡ぎ出せる環境を至る所に用意したはずだ
平成20年8月23日の天声人語よりの引用
きょうは「処暑」。
暑さ収まる候とされる。
なるほど、秋の風が吹き始め、熱波と雷雨が暴れた季節も出口が見えてきた。
浅黒い子どもたちが、観念して勉強机に向かう頃でもあろう。
〈日焼顔(ひやけがお)見合ひてうまし氷水〉水原秋桜子
▼かき氷というもの、久しく口にしていない。
それでも、シロップの原色、脳天に走る稲妻とともに、小さな雪山を崩していく感触がよみがえる。
冷房の喫茶店ではなく、駄菓子屋の店先、炎天下の小景である
▼枕草子の「あてなるもの」(上品なもの)の段に「削り氷(ひ)にあまづら入れて、あたらしき金椀(かなまり)に入れたる」とある。
平安貴族は、つる草の甘い汁で食したらしい。
清少納言が「上品」に分類した通り、保存に手間がかかる氷は貴重品だった
▼別段の「星は」には、すばる、ひこぼし、ゆふづつと並ぶ。
ゆふづつとは宵の明星、金星のことだ。
明るい天体に目が向くようだが、「削り氷」食べ放題の星があると知れば、列記は別物になったかもしれない
▼火星に水があることが、米国の探査機によって科学的に確かめられた。
少なくとも氷の状態で大量に存在する。
水は命の母という。
遠い過去には、生命を育む海や川があったのだろうか。
「生の痕跡」を求めて、火星探査はいよいよ佳境に入る
▼大宇宙の悠久の営みは、命を紡ぎ出せる環境を至る所に用意したはずだ。
それがご近所にもあったと分かれば、銀河の孤独はいくらか癒やされる。
残暑の夕刻、赤い惑星に「夏日星(なつひぼし)」の字をあてた先人を思いながら、納めの氷水にさじを運ぶのもいい。
人間はこの地球の自然の中でしか生きることは出来ないと考える。
天を仰いで人間世界と同じような営みをしている星があるに違いないと考えながら
眺めることも少なくなってきている世の中である。
思いをのせた北京五輪も、残すところきょう1日である
平成20年8月24日の天声人語よりの引用
中国語で「游泳」とくれば水泳だろうと見当はつくが、「田径」はいかがだろう。
英語のフィールドを「田」に、トラックを「径」に言い換えた陸上競技のことだ。
「径」の字には小道とか、細い道という意味がある
▼文字どおり細く、険しい道を走り続けてきた日本陸上界のトラック陣が、ついに銅メダルという果実を手にした。
男子400メートルリレーの快挙は、五輪のトラック種目では伝説の名選手、人見絹枝の「銀」以来80年ぶりになる
▼一人ひとりは世界のトップには及ばない。
だが4本の矢が連なれば話は違ってくる。
バトンパスの技を磨きぬいて、無駄なタイムをそぎ落としていった。
受け渡しに失敗する有力国を尻目に、日本らしい精密さで3位を引き寄せた
▼〈力の限り走って/走って走って/走り抜いて/土の上に転って/閉じた瞼(まぶた)の裏に
/空の青が透けて映ったときの/あの いい気持ち〉。
川崎洋さんの詩の一節のような素朴な幸福に、4人の走者は包まれたことだろう
▼詩は、〈馬力はもうひと雫(しずく)も残っていないのに/心は存分に充電されてずしりと重い〉と続く。
80年前の8月、アムステルダム五輪の800メートルで2位に入った人見は、精根尽きて気を失ったという。
彼女もまた異国の青い空を、瞼の内に見ていただろうか
▼その人見が、別の競技会で渡欧する途上に詠んだ歌が残る。
〈恋も欲し金も欲しきや人のすむよすがさへなきシベリヤの野に〉。
高揚、失意、歓喜。
いまも変わらぬアスリートの思いをのせた北京五輪も、残すところきょう1日である。
国境を越えてのオリンピック競技は世界の人々が仲良くする機会の一つかもしれない。
オリンピック精神は良いが国威発揚の機会として国民を犠牲として開催される
オリンピックは果たしてどんなものかと思ったりもする。
世界の人々はそれだけでもってその国を評価するとは思えない。
二年に一回位の割合で多くの世界で催されることを願う。
人類の智慧の一つだと考える。
五輪の期間中、中国はどんな顔を見せてくれただろう
平成20年8月25日の天声人語よりの引用
もう18年も前になる。
天安門事件の翌年に北京でアジア大会があって取材に行った。
国際社会の信頼を取り戻すのに、中国が懸命になっていた時期だ。
開催そのものが危ぶまれたが、各国から約6千人の選手が参加した
▼ピリピリした空気を覚悟していたのに、当局者の対応は意外に緩やかだ。
街の雰囲気も明るい。
一見の記者が抱いた甘い感想を、しかし、助手に雇った大学生は一蹴(いっしゅう)したものだ。
「北京は今、お客さん用の顔をしていますから」
▼さて五輪の期間中、中国はどんな顔を見せてくれただろう。
やはり開会式の「演出」は後味が良くない。
「漢族の子が扮した56民族の代表」「CGの花火映像」、さらに「口パクの歌」。
壮麗な出し物ともども、長く記憶されるだろう
▼わけても口パクである。
ある少女から「容姿」を、別の少女からは「声」を「いいとこ取り」するやり方には
「個の人格」を軽んじる危うさが透けていないか。
「国益のため」という説明を聞くにつけ、国家主義の横顔が脳裏から消えやらない
▼開閉会式の総監督を務めた張芸謀(チャン・イーモウ)氏は、
本紙との会見で「小さなことを意図的に拡大するのはよくない」と批判に異を唱えた。
だが大きな真実は往々にして、小さな穴からこそ、のぞき見えるものだ
▼ともあれ五輪は成功裏に幕を閉じた。
17日間にわたった「お客さん用」の化粧を落として、中国は宴(うたげ)のあとの日常に戻る。
化粧を落とした新たな表情は、大国としての自信を深めていることだろう。
その「自信」の先行きに、隣人として目を凝らしたい。
中国にとっては画期的な近代化への発展への一歩にもなるかもしれない。
多くの世界の人々の目が中国に集まりどんな国かとおもうことだろう。
外国に行くとよく中国と日本が混同されることがあると言うことも無くなるかも知れない。
警察官が信頼に足る実績を重ねていくしかない
司法といえども、突き詰めれば人と人、心と心
平成20年8月26日の天声人語よりの引用
ある事件現場の近くに、何か目撃していそうな家があったという。
聞き込みの捜査員が通うが話をしてくれない。
そこで、手品に覚えのある刑事が出向いてトランプを一席。
大喜びする子の横で、家人が口を開いた。
「実は、あの日……」
▼永江朗さんの『話を聞く技術!』(新潮社)にある刑事の体験談だ。
「警察手帳を出せばしゃべると思ったら大間違いですね。
誰だって関わりたくないというのが本音なんですよ」とも語っている。
取材やセールスにも通じる極意だが、ドアに続き、心を開いてもらわないと仕事にならない
▼今年の警察白書によると、07年、聞き込み情報を元に摘発された刑法犯は1.4%。
93年にはまだ4%強あった。
警察庁が全国の刑事に聞いたところ、「捜査への協力を得るのが難しい」と感じる人が79%いた
▼刑事たちは非協力の理由を推測する。
「後々面倒」などに次いで、「警察を快く思っていない」が4番目に挙がった。
一線が肌で感じる「警察嫌い」の裏には、白書も触れた不祥事の数々があろう。
鹿児島や富山では、捜査ミスでは済まない人権侵害が起きた
▼逆の話もある。
10年前の和歌山毒カレー事件。
本部で被害者支援に当たった刑事が、望んで現場近くの交番に移り、住民を見守り続けている。
来春の定年を前に、地元から「辞めないで」と嘆願書が出たそうだ
▼警察嫌いを減らすには、それぞれの持ち場で、警察官が信頼に足る実績を重ねていくしかない。
司法といえども、突き詰めれば人と人、心と心。
一発逆転の、手品はない。
警察が国民に信用されずに不正の手助けしていればその国の社会は暗闇である。
警察は公正であるとの思いが廃れれば国民は何を頼れば良いのかわからなくなり
恐ろしい世のなかになってゆくこととなる。
日清食品が世界初の即席めんを売り出して、
おとといで丸50年になった
即席めんは今、緊急援助に欠かせぬ品となった
平成20年8月27日の天声人語よりの引用
美食家の北大路魯山人は、料理哲学を様々な言葉で残した。
〈どうしても料理を美味(おい)しくつくれない人種がある。
その名を不精者(ぶしょうもの)という〉。
魯山人が没する前年、この信念に挑むかのような商品が世に出る。
熱湯だけで出来上がる「チキンラーメン」だ
▼日清食品が世界初の即席めんを売り出して、おとといで丸50年になった。
腹ぺこを3分で片づけるインスタント技術に、器いらずのカップ型も加わり、食の風景は一変した
▼学生時代、仕送りの谷間を、チキンではなかったが即席めんが埋めてくれた。
湯を切っためんに中濃ソースを絡めて焼きそば風にし、粉末スープは別に食す。
妙な一汁一菜はしみじみうまかったけれど、袋にプリントされた「盛りつけ例」がまぶしかった
▼貧乏学生がすがった即席めんは今、緊急援助に欠かせぬ品となった。
各国メーカーでつくる世界ラーメン協会は、ミャンマー水害と四川大地震の被災地に計100万食を送った。
きょうも誰かが湯を注ぎ、細く長く、命をつないでいるだろう
▼世界で年に1千億食が消費されている。
中心は中国で、日本の食文化が逆上陸した形だ。
生みの親の安藤百福(ももふく)翁は「半世紀」を1年待てなかったが、発明品のグローバル化を見届けての大往生だった
▼空(す)き腹にまずいものなし。
この格言に、魯山人も異は唱えまい。
即席めんのうまさは、万国、五感より腹加減で決まり、すすれば当座の元気は出る。
逆境でこそ輝く一杯。
食べ物が偏在するこの地球で、太く長く続きそうな「ハングリー」との二人三脚である。
即席ラーメンは大変便利である。緊急援助物資としては最適である。誰が発明したものか
大変に便利なものが出てきたものである。
常食として使用するには健康上問題がある。
現地で農業支援をしていたNGO職員、が殺された
平成20年8月28日の天声人語よりの引用
アフガニスタンの民話に、千年を生きた大蛇が美しい娘に化け、カブール領主の妻に納まる物語がある。
この地域、東西文化が豊かに溶け合った古(いにしえ)は美女の顔、戦火絶えない今は怪蛇の相であろう。
その蛇が、青年の善意に見当違いの牙をむいた
▼現地で農業支援をしていたNGO職員、伊藤和也さん(31)が殺された。
政府・多国籍軍とイスラム武装勢力の抗争が続く壊れた国。
最近は治安が一層悪化し、外国人を狙う犯罪が増えていたという
▼伊藤さんが所属するペシャワール会は、一帯で20年以上も活動している。
医師の中村哲さんを中心に病院や水路を作り、住民の信頼は厚い。
伊藤さんは現地語を話す指導者として慕われ、たくさんの村民が捜索に加わった
▼サツマイモ、お茶、牧草。青年が荒れ地に根づかそうとしていた作物は、来るべき平和を底から支えるはずだった。
収穫は空腹を満たし、換金されて生活を豊かにする。
「子どもたちが食べ物に困らないように」と汗を流したそうだ
▼ご両親の悲痛、いかばかりか。
一時流れた解放情報に、母順子さん(55)は「マグロの刺し身を食べさせてやりたい」と喜んだそうだ。
好きで選んだ道ながら、人助けに行った息子に死ぬ理由はない
▼撤収していればとも思う。
だが、国を背負わぬ組織だからできることもある。
ペシャワール会幹部は言い切った。
「絶対に逃げない」。
会の真価は〈誰もが行きたがらない所に行き、誰もがやりたがらないことをする〉。
夢半ばだったが、本物の国際貢献に身を投じた日本人を誇りたい。
善意で大変苦労されて援助していても全てに通じていない。
危険な場所はNGO職員でも攻撃対象となるならばどうすれば良いのか。
現地の人たちに全て任しておくのが最善の方法かもしれない。
家賃いらずの秘書宅を「主たる事務所」と届け出て、
事務所費や人件費を計上していた
平成20年8月29日の天声人語よりの引用
釣れた釣れた、さあ帰ろうという時に、水の底から「置いてけ〜置いてけ〜」の声。
江戸に伝わる「置いてけ堀」だ。
霞が関村の農水堀にも、昨年来、通りすがりの政治家があれこれと置いていった。
地位に名誉、将来まで。
あの声がまた、聞こえてきた
▼農水相、太田誠一氏の政治団体が、家賃いらずの秘書宅を「主たる事務所」と届け出て、事務所費や人件費を計上していた。
この支出に実体があるかどうかが問われている。
氏を「育てる会」なる団体は、実のところ、どれほど育てたのか
▼農水相といえば、安倍内閣で「政治とカネ」の鬼門だった。
事務所費にしても、多くの政治家が釈明に追われた因縁の費目だ。
それを踏まえたはずの、改造内閣の身辺調査。
ザルどころか真ん中に大穴である。残り少ない信頼の水が、音を立ててこぼれている
▼この際、太田氏は堂々と領収書を示し、歯切れよく説明してほしい。
口が重い人ではない。
中国製ギョーザの中毒事件では「消費者がやかましいから(国内対策を)徹底していく」と言い放った。
そう、国民は政治家のカネ繰りにも余計な関心を寄せる、いや、やかましい
▼耳を疑う「集団レイプをする人はまだ元気があっていい」は5年前。
古傷の再録は本意ではないが、大臣という地位を得た後の「生傷」がいけない。
選んだ人の眼力も怪しい
▼「安心実現」内閣だという。
民の心配ごとが山とある時、危機感を欠いた「慢心失言」内閣では、有権者からおいてけぼりを食らうだろう。
秋風に乗り、政権末期のにおいが漂う。
農水相、太田誠一氏の問題が出てきて直ぐに福田首相は政権にとどまることを話している。
内閣改造して間もなくのことである。
その後政局の動きに移り話題は消えたように見える。三笠フ−ズの米の不正使用が話題に移っている。
大臣を辞めることとなれば問題ないことなのかどうか。
逆に大臣にならなければ問題ないことなのだろうか。
大臣でない人たちに多くの問題が有っても放置されているとも言える。
民主党が大統領候補に指名したオバマ氏
平成20年8月30日の天声人語よりの引用
感激も演技もてんこ盛りの、いい笑顔だった。
最初の黒人奴隷が北米に運ばれて4世紀、同じアフリカ系の血を引く政治家が、とうとう米国の頂に手をかけた。
民主党が大統領候補に指名したオバマ氏。
激しい予備選が技に磨きをかけたのだろう。
受諾演説に、無用の高ぶりは見られなかった
▼「変化はワシントンからは来ない。
ワシントンに向けて起こる」「後戻りはできない。
未来へ行進しよう」と全米に訴えた。
45年前のワシントン大行進で、黒人解放の父、キング牧師が「私には夢がある」と語りかけた、まさに同じ日だった
▼牧師は、暗殺される前年の遺著『黒人の進む道』(猿谷要訳)で、
「確信と信頼に基づいて」「熱狂的声援をおくれる」黒人政治家を渇望した。
そして「その人は白人の政治的な会議のなかでも……尊敬をもって扱われるであろう」と見通した
▼オバマ氏は牧師が思い描いた「奴隷の子孫」ではない。
父はケニアからの留学生、母は白人。
ハーバード出のエリートでもある。
「分類」の難しい来歴は、強みにも弱みにもなろう
▼党大会の直前、氏の暗殺を企てたとして白人3人が捕まり、ライフルや弾が押収された。
キング牧師の夢が現実に近づくほど、時代を逆に回す力も強まりかねない。
米国史をかけた挑戦なのだと実感する
▼あらゆる障壁、妨害を乗り越え、褐色の手で頂を引き寄せるのか。
スタジアムを埋めた8万の歓喜に肌の色の別はない。
人種の壁をめぐる長い長い絶望と夢の果て、「異色」を背負う47歳が、最後のコーナーを抜けた。
オバマ氏に期待が世界中からもたれていることだろう。世界を牛耳っているアメリカだからことである。
ケネディのように暗殺されるとか,物騒な話題もあった。
世界中の注目が集まり期待もされている。
伏見・向島・宇治と観月橋(豊後橋)・隠元橋・宇治橋
現在住んでいる向島周辺の事情についてのこととなる。向島は昔の巨椋池に存在した島の一つの名前が向島である。
地域的には伏見区内に属するが宇治川を隔ててのことなので一つの違った地域を形成しているともいえる所である。
宇治も宇治川を隔てた向こう側になってくる。広い意味での宇治とは隣同士で現在は地続きである。
伏見とは明らかに宇治川を隔てている。この宇治川にかかる橋が上流から宇治橋 次に隠元橋そして観月橋(豊後橋)である。
子供の頃は観月橋よりも豊後橋と称されていたことが多かった。最近になって観月橋の名前が広く行き渡たるようになっている。
この橋を渡った向側が伏見で昔伏見城下として盛えていた。宇治川の向側に行くにはこの三つの橋のどれかを渡らないと
行けないことになる。下流の方向には淀橋があり,かなり距離がある。新しく高速道路が橋を股いて゛作られている
上流方向には平等院の近くには小さな橋(朝霧橋)がかかっているが,それより上流になると
天瀬ダムの辺りで対岸に渡ることができる。
最近真ん中に当たる隠元橋が旧隠元橋の横の上流側に架橋され大変便利になっている。
それまでの橋の幅の三倍か四倍くらいに拡張されており、中央帯のある左右四車線になっていて歩道もあり
信号機も両側について大変安全で便利に走り易くなっている。
出来たのはこの春のことである。それまでは幅が狭くて信号もなく大変危険な思い気持ちで通過していた所だ。
この昔の橋が出来たのも昭和20年代前半頃のことで,それまでは渡し舟が通っていたらしい。
今では信じられないような風景で住宅地も密集するくらいに建っている。
江戸時代に中国から隠元がこの渡し舟を使って上陸した地点に掛けられた橋なので隠元橋とつけられいるようだ。
そこから隠元が創建した万福寺まで約1000メートルくらいある場所に建てられている。
橋から満腹寺までに古道があり、その途中には許波多神社もある。
この許波多神社ももとは万福寺の近くの黄檗公園に有ったのが宇治の火薬庫を作る時に強制的に移転させられている。
この宇治川は巨椋池から分離したのが豊臣秀吉で,その遺構が最近発掘され茶席を建てたと言われる遺構も発掘されている。
豊後橋から巨椋池の中央を通る小倉堤をも建築して桜を植えたともされている。旧街道として現在も利用されている道路である。
向島にあった向島城は伏見城と同時に作られたもので町名から向島があった町名が残っていて
正確な城の規模はわかっていない。豊臣秀吉が在城の時は徳川家康が住んでいたようである。