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随想
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平成21年1月分
寒い冬には鍋物が一番だ。野菜食は健康によく。それに運動が一番大切である。
その大型封筒が届いた人は、
何かと落ち着かない年の瀬になろう
裁判員候補の通知である
平成20年12月2日の天声人語よりの引用
〈ちょっと待ってよ郵便屋さん。
その鞄(かばん)に私あての手紙がないかよく見てちょうだい〉。
米ポップスの名曲「プリーズ・ミスター・ポストマン」は、恋人の便りを待ちわびる思いを軽快に歌う。
届くのは、しかし、待ちわびた郵便物だけではない
▼その大型封筒が届いた人は、何かと落ち着かない年の瀬になろう。
裁判員候補の通知である。
来年の候補は約29万5千人。
有権者352人に1人の勘定だから、大きめの旅客機に1人というところか。
それでも、当たるときには当たる
▼国民のほぼ8割が裁判員になるのを尻込みしているそうだ。
面倒くさい、人様を裁く自信がないなどの理由のほか、国に何かを強いられることへの抵抗もあるはずだ。
実際、制度には多くの「べからず」が潜む
▼候補になったことさえむやみに明かせず、裁判所の呼び出しは無視できない。
評議の内幕を漏らせば罰せられる。
仕事の都合で辞退するには〈重要な用務で、自分で処理しなければ著しい損害が生じかねない〉ことが条件だ
▼とはいえ効用の方にも注目したい。
裁判員に求められるのは、ともすれば法の専門家が忘れがちな生活実感と、判例や上級審の意向にとらわれない目である。
もともとプロに足りない部分を期待されているのだから、素人丸出しで、遠慮せず物を言えばいい
▼泣いても笑っても来年5月から、司法改革の一端を国民が担う。
そこを実感できる仕組みに練り上げてゆけば、初冬の頃、身を引き締めて郵便受けをのぞく姿が風物詩になろう。
やるからには、そうありたい。
突然に裁判員制度が始まった感じだ。政治で法律化された結果である。誰が作ったのだろうか。?
これだけこくみんと直接かかわるものならば国民に周知させてから立法化すべきであった。
,もっと国民にしっかり知らせてから立法化すべき性質のものである。
国民に直接関係することだから余計に感ずる。
司法界は堕落している。
それらを改善することの方がまずもっともっと大切だ。
どう見ても三権分立になっていない。司法は政治家に隷属化している。
そんな司法界へ国民が参加しても国民がうまく利用されるだけである。
全て政治家により左右されているように感ずる。
法律は今まで自民党の都合の良いように拡大解釈され実行されて来てきた。
まず始めに裁判員制度の賛否を国民に問うてからでもおそくないことである。
よりよい司法を目指すならば政治家の介入に対し罰則をもっと強化することが大切だ。
バンコクの反政府団体が
国際空港を占拠して1週間の
きのう、反政府色の強い憲法裁判所が
与党に解党を命じ、首相は失職した。
平成20年12月3日の天声人語よりの引用
ラーチャプルックという優しい名の花木をご存じだろうか。
熱帯アジアの原産で、樹上から垂れる黄色の花房と芳香は英名「ゴールデンシャワー」の通りだ。
国花とするタイ政府のサイトには「仏教の色ともいえる輝くような黄。
国王がお生まれになった月曜日の色でもあります」とある
▼その神聖な色をまとった群衆が、国を大混乱に陥れた。
バンコクの反政府団体が国際空港を占拠して1週間のきのう、反政府色の強い憲法裁判所が与党に解党を命じ、首相は失職した。
ついに政権崩壊である
▼外国からの旅行者20万人以上が今も足止めされている。
所持金が尽きた学生、持病の薬が底をつく観光客、子どもの受験帰国を焦る在留邦人。
誰の目にも黄は「迷惑の色」だったろう
▼反政府派が批判するタクシン元首相は、06年のクーデターで失脚した。
ところが07年の総選挙で、農民の支持が厚いタクシン系の政党が大勝する。
旧支配層が支援する反政府派は、元首相の復権を恐れて実力行使を始め、親政府派との流血もあった
▼歌で気勢を上げた彼らは市民革命と自賛するが、対外的な信用、国内経済への打撃は小さくない。
「何やってんだ」が万国の言葉で飛び交ったはずだ。
国民の多くも国の恥とあきれたのに、その色に恐れをなしてか警察の動きは鈍かった
▼空港の黄色衆の大半が赤く染まらぬまま、撤収に向かうのは幸いだ。
政治の危機には、在位62年のプミポン国王と国軍が乗り出すのがタイ流と聞く。
両者がどう動くにせよ、選挙が占拠に負けては民主主義が泣こう。
タイも国王が利用されているだけで,本当に国民の幸せにつながっているか疑問である。
仏教国だけにイスラム圏の暴動のように過激に至っていない。
国王の黄色の衣装がそれほどに力があるのは真の民主化がされていない証拠か。
国王主体の社会としか考えられない国家である。
民主ではない。
日本の首相は「ふぐ刺し」みたいになってきた
薄っぺらで賞味期間が短いという意味だ
平成20年12月4日の天声人語よりの引用
冬のごちそうにたとえれば、日本の首相は「ふぐ刺し」みたいになってきた。
毒を抜かれたというのではない。
薄っぺらで賞味期間が短いという意味だ。
発足2カ月にして、麻生内閣の支持率が30%前後に沈んだ
▼給付金をめぐる混乱、解散にも国会論戦にも踏み切れない優柔不断、そして一覧表がほしい失言の山。
余計なことは言うまいと奔放な口にふたをすれば、なお残る麻生節のファンも離れていこう。
「選挙の顔」にと担いだはずが、もはや選挙でも顔でもなくなった
▼自民党内からも公然と首相批判がわき起こり、中堅や若手は新たな仲間を募っている。
政界再編を念頭に、実力者が民主党に接触したとも伝えられた。
表で裏で、議員たちの動きはこの党の病の重さを物語る
▼巨船の明日を察して、気の合う同士が救命ボートへと駆け寄る図。
主義主張より各自の選挙対策だとすれば、浮輪の奪い合いと見るべきかもしれない。
船体の老朽度、波の高さとも、船長をすげ替えてどうにかなる段階を過ぎつつある
▼軽い船長が唱えた「地方が自由に使える1兆円」。
道路族の巻き返しで「公共事業に限って」の断りがついた。
景気対策などを理由に、小泉時代に決まった財政再建のしばりを外す動きもある。
危機を改革の熱に転じる発想はないらしい
▼キャンディーズの曲に、切ない恋占いを歌う「ハートのエースが出てこない」がある。
めくってもめくっても、エースはおろか絵札の一枚も出てこないリーダー占い。
これでは、トランプごと替えたい国民が増えるばかりだ
自民党に真の人材がいないのだろうか。麻生さんが長期政権が続けられると感じている国民は誰一人いないだろう。
国のためにも早く解散総選挙することが,不況対策にもプラスに働くと考える。
広い北米大陸で、自動車は独自に進化した。
その車文化を担ったGM、フォード、クライスラーが、
未曽有の危機にある。
平成20年12月5日の天声人語よりの引用
その昔、米国の若者は父親の車で運転を覚え、それを転がしてデートに出撃した。
次にポンコツをいじってメカに慣れ、いい車に乗り換えていく。
瀬戸山玄(ふかし)さんの『ライ麦畑のキャデラック』(小学館)にそうある。
そして、キャデラックこそ「人生双六(すごろく)の頂点に輝く、上がりの星」だった
▼広い北米大陸で、自動車は独自に進化した。
50年代末には、巨体の尻に垂直尾翼のようなテールフィンが生えもした。
アメ車(しゃ)という言葉には、あか抜けず、ガソリンがぶ飲みといった侮りと、ゆったり乗れて華があるという憧(あこが)れが同居する。
良くも悪くも米国の生活スタイルを映す姿である
▼その車文化を担ったGM、フォード、クライスラーが、未曽有の危機にある。
強大な米国経済と自由競争のシンボルだったビッグスリーがうちそろい、税金による計3兆円強の支援を請うている
▼3社の再建計画には、何十億円も稼いできたトップの反省が盛り込まれた。
専用ジェット機を売り払い、年俸を1ドルにする。
年末の資金繰りさえ危ない窮状を週末の公聴会で訴えるが、世論は冷ややかという
▼第2次大戦中、米国の自動車産業は軍用車のほか、爆弾や戦闘機用エンジンの多くを生産した。
自動車は経済の一部門というより、戦時も平時も、米国そのものだった。
関連業界を合わせて数百万人が働く
▼つぶすには大きすぎ、惜しすぎ、悲しすぎる、でも……。
ビッグスリーの境遇は、省エネと環境の壁に立ちすくむアメ車の姿に重なる。
産業の双六は「上がりの星」をつかんだ後が難しい。
アメリカで自動車が必要なのは良く理解できる。
あれだけ国土が広ければ自動車は必需品である。
効率的な日本の自動車が好まれるのは当然であるが
不況下で自動車産業が危機に陥っている。
フランク永井さんの名曲に「おまえに」がある
平成20年12月6日の天声人語よりの引用
10月に亡くなったフランク永井さんの名曲に「おまえに」がある。
〈……僕のほころびぬえるのは/おなじ心の傷をもつ/おまえのほかにだれもない/そばにいてくれるだけでいい〉。
固い契りを、ささやくように歌い上げた
▼夫婦か、恋仲か。
おまえと呼ばれて、女性側に何の違和感も生じない関係であろう。
主従ではなく、絶対的な信頼で結ばれた男女が浮かぶ。
〈そばにいてくれるだけでいい〉人など、そういない
▼朝日新聞の会員サービス、アスパラクラブが「おまえ」という呼び方への反応を約2万人に聞いた。
配偶者や恋人にそう呼ばれたら「腹立たしい」「なんとなく不快」との回答が、男女とも8割あった。
「新婚当初、それでよくけんかした」女性もいる
▼職場でも、女性のほぼ9割、男性の7割が不快に感じていた。
「おまえ呼ばわりは一種のパワハラ」(30代女性)「尊敬できない上司から言われるのは抵抗がある」(30代男性)等々
▼ここまでの不人気、ほかならぬ「御前(おまえ)」が首をひねるに違いない。
もとは目上に使う呼称で、おんまえ、ごぜんと読めば察しがつく。
それが江戸期から同等や目下にも使われるようになり、戦後は「おれ」と対をなす、男臭くて荒っぽい語感を帯びた。
相手が男でも女でも、信頼関係に余程の自信がなければ控えるのが賢明だ
▼当方、家族を「おまえ」と呼んだこと数知れない。
それでモメた覚えもないのだが、先の調査結果を知って不安がよぎった。
もしや先方が耐え忍んできたのではないか。
聞いたら、その通りだった。
おまえの対語として私がある。私とかおまえが言い合える間が一番良い。
亡くなった評論家の加藤周一さんは
医者として東京大空襲の悲惨を目の当たりにし、
人間として戦争の不条理を考え続けた
平成20年12月7日の天声人語よりの引用
亡くなった評論家の加藤周一さんは、67年前のあす、日米が開戦したとき東大の医学生だった。
半生を回想した『羊の歌』(岩波新書)で、〈周囲の世界が、にわかに、見たこともない風景に変わるのを感じた〉と心境をつづっている
▼それは、住み慣れた世界と自分とをつなぐ糸が突然切れたような思いだった、という。
高揚と無縁だったのは戦争の行く末が想像できたからでもあろう。
帰って母親に先行きを聞かれ、「勝ち目はないですね」と吐き捨てるように答えたそうだ
▼そして迎えた8月15日には、〈もし生きるよろこびがあるとすれば、これからそれを知るだろう〉と思った。
医者として東京大空襲の悲惨を目の当たりにし、人間として戦争の不条理を考え続けた。
厳しい怒りに、そのリベラルは根ざしていた
▼4年前、作家の大江健三郎さんらと呼びかけてつくった「九条の会」も、深い怒りの根から咲いた花だ。
花は種子を飛ばし、平和憲法を守ろうという草の根グループを全国に広げている
▼長く本紙に連載した「夕陽(せきよう)妄語」は7月が絶筆になった。
最後の回に、何事も逆(さか)さまに眺めるクセのある、話し好きな「さかさじいさん」なる隣人を登場させている
▼むろん、ご本人の分身だろう。
国民が下にいて、雇われた役人や政治家が上で威張る国は、民主主義を逆さに吊(つる)したもの。
もう一度逆さにするほかない、などと「じいさん」は言うのである。
夕陽とは老境のたとえでもある。
妄語どころではない多くの宿題を今の世に残して、「知の人」は旅立って行った。
戦争を知っている世代が少なくなってきてから,戦争への危険性が高まってきている。
田母神幕僚長のような人物が旧軍隊を賛美して自衛隊員の教育に従事していたり
自衛隊の最高司令官 幕僚長になっていることを国民は何も知らなかった。
小中学生への教育とは違うのである。教科書問題が右傾化してきて国民の間で論議されている間に
自衛隊の中でこのような人の教育が行われていることには大変驚いた。
田母神氏をテレビ放送で見ていてなんと,なんと軽い人が自衛隊のトップにいたのかと驚く。
自衛隊とか宮内庁関係のことなどが,大東亜戦争日清戦争 日露戦争で主役を担った人たちの
動向をベールの中に包まないで,大いに国民に知らせるべきである。
戦争への芽はこの人たちの動向が大変重大である。
大きく報道して監視すべきであり,宮内庁は文化庁の下に置いて縮小すべきと考える。
古墳は宮内庁でなくて文化庁の管轄下であるべきだ。
防衛省や宮内庁は国民とは直接に必要としない部署だからである。
あの広い宮城内に何人の宮内庁職員が生活しているのだろうか。
ゆったりとした生活が保障されている官庁なのか。
宮内庁改革はどのように小泉さんは進めたのか全く判らない。
聖域無き改革でもって国民が大変迷惑して泣いている中で,
対米関係 防衛省関係や宮内庁関係でどのような改革があったのだろうか。
亡くなった遠藤実さんの旋律には、
琴線をつまびくような哀楽が漂う。
平成20年12月8日の天声人語よりの引用
中国の西域にある崑崙(こんろん)山脈を訪ねた20年ほど前、最奥の兵舎に一夜の宿を借りた。
荒涼とした風景に囲まれた夕まぐれ、だれが吹くのだろう、笛の音が流れてきた。
聞くうちに「北国の春」だとわかり、思いがけず郷愁に浸ったのを覚えている
▼アジア各国でも流行(はや)ったその曲をはじめ、亡くなった遠藤実さんの旋律には、琴線をつまびくような哀楽が漂う。
哀の中から楽が芽吹き、楽はまた哀を内に秘める。
自らの来し方を語るかのような趣が、そのメロディーにはあった
▼貧しい家に育ち、小学校を終えると働きに出た。
見習工をしながら通信教育用の中学校教科書を買い、校章に似た付録のバッジを帽子につけて悔しさをまぎらわせたと、
自伝『涙の川を渉(わた)るとき』につづっている
▼のちに「高校三年生」のヒットを生むが、自身には学園生活の思い出がなかった。
あの曲は、自らの「失われた青春」への賛歌でもあったそうだ。
だからだろうか。
明るさの中にひそむ淡い哀調を、わが耳は感じてきた
▼「からたち日記」「せんせい」「くちなしの花」。
遠藤さんが去って、また一歩、「昭和」は遠ざかる。
〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉。
中村草田男の名句は明治が終わって19年後に詠まれている。
いま平成20年。昭和は遠く……の感はいよいよ募る
▼「雨が降って、雪が降って、天も泣いてほしかった」。
苦楽をともにした妻節子さんの旅立ちを、悲しみのきわみで見送って15年。
そろそろ天上で再会を果たし、二人三脚で駆け抜けた昭和を懐かしんでいる頃だろうか。
日本人の琴線に触れる旋律は欧米人とはことなっているような気がする。
日本人独自の心模様がずーと続いているように思う。
日本人だけが判るワビとかサビとか雅の理解と同じような所がある。
麻生内閣の支持率が30%前後に沈んだと書いたのは5日前だ。
それが週末の各紙調査で、朝日22%(不支持64%)、
読売21%(同67%)、毎日21%(同58%)とまた落ちた
平成20年12月9日の天声人語よりの引用
難読テストの常連に「矜持」がある。
「きょうじ」または慣用で「きんじ」とも読む。
誇りや自負、英語のプライドに近い意味だ。
例の定額給付金に絡んで、麻生首相がこの言葉を好んで使っている
▼先週末、九州での演説会ではこう語った。
「1億円あっても、さもしく1万2千円が欲しいという人もいるかもしれない。
それはその人の哲学、矜持、考え方の問題なんだから」。
読みは正しくても、発言の趣旨がいただけない
▼国が配るお金を懐に収めるかどうかで、誇りや「さもしさ」が試されるという。
そんなもの頼みもしないのに、なんで政府に試されなきゃいけないのと反発する人も多かろう。
筋の悪い施策を地方に丸投げしておいて、「私ならもらわないね」と胸を張る。
こうした迷走を世論は見逃さない
▼麻生内閣の支持率が30%前後に沈んだと書いたのは5日前だ。
それが週末の各紙調査で、朝日22%(不支持64%)、読売21%(同67%)、毎日21%(同58%)とまた落ちた。
末期、限界といった文字が紙面に躍る
▼「どちらが首相にふさわしいか」の問いでも、低率同士の争いながら小沢民主党代表に初めて逆転された。
「未曽有の経済危機」は言い訳にならない。
むしろこの国難、国民を味方につける見せ場ではないか
▼有権者の不安をよそに、浮足立った与党内が騒々しい。
党利党略どころか、議席かわいさの個利個略も散見される。
こんな時こそ、誰が何のために動いているのかをしっかり見届けたい。
政治家の矜持を試すべく、永田町を大乱の予感が包む。
良き政治を行うにはまず国民の支持がなければ成り立たない。支持率は何故落ちるかを考えて欲しいの。
それが首相の重要な役目である。漫画とかおたく族を公に公言した首相は大変に珍しい。
生い立ちがそうさせているのか,庶民の心が判っているようなふりをしていても国民には自然わかるものだ。
有楽町の宝くじ売り場1等2億円が70本、
前後賞を合わせ3億円と宣伝している
たくさん売る窓口から多くの長者が出るのは必然で、
当たる確率はどこで買おうが同じだ。
平成20年12月10日の天声人語よりの引用
運試しの行列はガードを抜けて、100メートル近く伸びていた。
平成に入り、ここから358人の億万長者が出たと、窓口に大書してある。
有楽町の宝くじ売り場
。90分待ちと聞き、並ぶのをあきらめた
▼年末ジャンボは1等2億円が70本、前後賞を合わせ3億円と宣伝している。
たくさん売る窓口から多くの長者が出るのは必然で、当たる確率はどこで買おうが同じだ。
それでもあやかりたい、手を尽くそうとの思いが列を伸ばす
▼山本御稔(みとし)氏の『「宝くじは、有楽町チャンスセンター1番窓口で買え!」は本当か?』(ソフトバンク新書)は、
窓口への執着を「私たちの心が勝手に暴走している」と説く。
有楽町はハズレの数でも群を抜くはずだが、この事実は3億円のまばゆさに霞(かす)む
▼40年前のきょう、同じ額が国中のため息を誘った。
銀行から東芝の府中工場に運んでいたボーナス2億9430万7500円がニセ警官に奪われた、世に言う3億円事件である。
当時とすれば空前の被害額だった
▼事件を報じる夕刊の、お歳暮や家電の広告が元気な時代をしのばせる。
その6日後、1等1千万円の宝くじが初めて発売された。
人気を伝える本紙は「三億円強奪事件にあおられた庶民の夢か、昭和元禄の底力か」と書いた
▼経済の浮き沈みを尻目に、1等賞金は20倍になった。
雨中に消えた3億円も、今なら数十億円の感覚だろう。
逃走で一生分の運を使い切ったはずの犯人。
存命でも世相なりに、くすんだ老境ではと想像する。
あるいは列の中で、再びの一獲千金を夢見ているか。
宝くじを買った覚えがない。宝くじとは当たらないものだと思っているからである。
19世紀の英国で生まれた救世軍。
救世軍の街頭給食には若い失業者が並ぶだろう
平成20年12月11日の天声人語よりの引用
街に救世軍が立ち始めた。
紺の制服に紅白のたすき、ラッパや賛美歌で募金を訴える姿は、年の瀬を切り取る絵の一枚であろう。
〈呼びかくる声風にとび社会鍋〉小畑一天。
冬の季語でもあるその鍋が100年を迎えるそうだ
▼19世紀の英国で生まれた救世軍。
軍隊に模した組織でキリスト教の伝道と慈善活動にあたる。
日本での募金は1909(明治42)年、失業者を救おうと始まった。
お金を受ける鍋を三脚につるすスタイルは、米国のクリスマス募金がお手本という
▼この冬、救世軍の街頭給食には若い失業者が並ぶだろう。
製造業などで期間工や派遣労働者を「切る」動きが続く。
寮を追われ、稼ぎと住まいを一度に失う人も多い。
弱い立場の非正社員を便利な調整弁として使い回す経営は、日本経済の土台を崩しかねない
▼ソニー、トヨタといった日本ブランドまでが、大がかりな人減らしに乗り出した。
08年3月期決算はともに過去最高益だったのに、販売減や円高が想定を大きく超えたと嘆く
▼雇用崩壊の足音の中、政府は3年間で2兆円の追加対策をまとめた。
ついでに「配り金」の2兆円は白紙に戻し、本当に困っている層に支援を集める時だ。
不要な道路や空港を造り、無駄を放置したツケが改めて痛い
▼07年度、救世の鍋に注がれた約2800万円。
去年のトヨタなら10分で稼ぐ利益だ。
経営の論理が生む路頭の民を、街角の善意に委ねていては政府の存在理由が問われる。
企業のやりすぎを許さぬ気骨を求めたい。
そして、国家予算という大鍋の出番である。
不況対策で与党と野党がおおいに論議してそれで解散総選挙で民意を聞くのが正道なような気がする。
衆議院三分の二の再可決だけはもうご免で,辞めて欲しいものである。
元首相小泉も変人と言われるだけに変なものを残してくれたものである。その後国民は大変な迷惑をこうむっている。
住友生命が募った「創作四字熟語」でこの年を振り返る
平成20年12月12日の天声人語よりの引用
ほぼ健診だけで雇ってくれた良き時代が「無病即採(そくさい)」なら、今の雇用不安は「家内暗然」だろうか。
漢字四つで表す世相。以下、住友生命が募った「創作四字熟語」でこの年を振り返る
▼借金で消費を重ねたツケだろう。
背伸びした米国の住宅ローンは「脆宅惨米(ぜいたくざんまい)」に終わり、リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)の「兄弟減価」で危機に火がついた。
それより前で幸いだったのが、縦横無尽に働くべき日銀総裁がいない「中央無人」の20日間。
危機こそ出番の政界なのに、失言を残して閣僚らが退く「舌退(ぜったい)多数」がなお続く
▼医療や年金の不安から、不老長寿の夢は「苦労長寿」に転じ、医師不足の「窮々(きゅうきゅう)病院」に妊婦の顔も曇る。
学校では無理難題を吹っかけるモンスターペアレントが「猪突猛親(ちょとつもうしん)」した
▼食は今年も傷だらけ。
小麦の高騰でパンもうどんも値上げの「粉群憤騰(こぐんふんとう)」。
消費者担当相が孤軍奮闘しようにも、中国のウナギを愛知県産と偽る「鰻身(まんしん)相違」が足を引っ張る
▼本番前に「聖火乱難(らんなん)」が五大陸を駆け抜けた北京五輪。
ソフトボールは上野投手が金の夢をつないだ413球の「好投夢繋(むけい)」、
競泳は北島選手がひと掻(か)きごとに連覇に近づく「一掻占金(いっかくせんきん)」にわいた。
片やマラソンの高橋尚子さんは現役を引退、惜しまれつつの「活動Q止」に
▼学生が大麻に手を出し、大学当局が頭を下げた「汚薬御免(おやくごめん)」もつらい。
政治も経済も社会も、国ごと崖(がけ)の上にあるような日本だが、ひとり元気なのがアニメ文化。
耳を澄ませば〈ポーニョポーニョポニョ〉と「四面魚歌(ぎょか)」の08年でした。
良く世相をうつしているが,窮々病院の原因は医師不足だけでなく無責任な効率主義・実利主義優先医療の低医療費政策に
原因がある。苦労長寿の社会にはしたくないものである。戦後の混乱期を歯をくいしばり頑張って働いてきた結果が
これでは泣くにも泣けない余生になるだけである。
森清範(せいはん)貫主の大きな墨跡をテレビで拝見し
「08年の漢字」は「変」だった
平成20年12月13日の天声人語よりの引用
飲食業には漢字一つの店名が結構ある。
きのう、都心の裏通りで「歓(ファン)」という料理店を見つけた。
中国語の発音ホワンと、英語のfun(楽しみ)をかけたようだ。
字の力か、看板から陽気が立ち上っていた
▼文字情報の単位として、漢字ぐらい濃密なものはない。
ひと塊の直線と曲線を手がかりに、思いは色んな事物や場面へと広がっていく。
固形スープのもとにも似て、一粒一粒の中に、ひとしきり語れるだけの深い味が潜む
▼日本漢字能力検定協会が発表した「08年の漢字」は「変」だった。
京都・清水寺の奥の院。
森清範(せいはん)貫主の大きな墨跡をテレビで拝見し、「チェンジ」を唱えた次期米大統領、
毎年違うわが首相、激動の相場やガソリン価格などが浮かんでは消えた。
漢字の発信力だ
▼種明かしをせずに書き始めても、「亦」まででピンと来る人が多かろう。
今年が「恋」のはずもない。
ただ、変と恋はまんざら無縁でもないらしい。
共通する「亦」は、旧字では糸がもつれる様を表す。
もつれて違う状況になるのが変、好きな人に心もつれて恋である(加納喜光『似て非なる漢字の辞典』東京堂出版)
▼もつれ、ほぐし、希望が生まれる。
変わることを恐れては、足元の情けない現実は微動だにしまい。
よろず激変の年の瀬に、世直しという言葉をかみしめる
▼変どころか「大変」な社会の底には、貧、困、窮、迷、恨などが折り重なり、清水寺で大書されるのを待っている。
明日の世相を天に任すことなく、奥の院の舞台に「歓」の字が躍る日をみんなで引き寄せたい。
「変」は現在の世相をよく言い表している。もとはと言えば変人首相が乱発した政策に現在の人が「変」を感じ出してきているだけのことである。
良く国民を化かしたものだと感心する。確実に「自民党をぶっ壊す」ことが出来たと感じている。
解散総選挙を早くすることが民意がわかり,そのもとで政策を実行すべきである。大不況の時こそが解散時である。
国民には不満・閉塞感が充満しており,それにより犯罪が多発する恐れがあるから急ぐべきである。
一人で47人を斬(き)る話なら面白いけど
いい若い衆らが47人かかって年寄りを一人斬って
何が面白いのか」と言っていた。
平成20年12月14日の天声人語よりの引用
今年90歳になった脚本家の橋本忍さんが、週刊朝日で父親の思い出を語っている。
芝居の好きな人だった。
地方の町で小料理屋を営みながら、年に何度か芝居の公演をやっていた
▼ところが「忠臣蔵」は意に染まなかったらしい。
「一人で47人を斬(き)る話なら面白いけど、いい若い衆らが47人かかって年寄りを一人斬って何が面白いのか」と言っていた。
既成の価値観にとらわれない見方に、少年だった橋本さんは感じ入ったそうだ
▼その討ち入りから今日で306年になる。
橋本さんの父君のような人は珍しいらしく、芝居の人気は衰えない。
今年で千年の「源氏物語」が国宝的物語なら、「忠臣蔵」はさしずめ国民的物語といったところだろう
▼天下の敵(かたき)役は吉良上野介だが、擁護する人もいる。
菊池寛は小説「吉良上野の立場」を書いた。
炭小屋に隠れた吉良が「これで討たれてみい、末世まで悪人になってしまう」
「わしの言い分は、敵討ちという鳴り物入りの道徳に踏みにじられる」などと悲憤するのは、理のない話ではない
▼赤穂の側にも悪役はいる。
仇(あだ)討ちに加わらなかった「不忠者」たちだ。
大石内蔵助と対立したという大野九郎兵衛などは散々な描かれようだ。
事情も言い分もあっただろうに、善玉悪玉のレッテルはいつの世も容赦がない
▼〈熱燗(あつかん)や討入りおりた者同士〉。
川崎展宏さんの句は、忠臣蔵を詠みながら、どこかサラリーマンの哀感に通じている。
多くの日本人が折にふれてそれぞれの忠臣蔵を思う。
元禄師走の出来事も、源氏に負けずに国宝的である。
「忠臣蔵」は敗戦後のある期間,アメリカ占領軍の命令でもって映画の上映 劇での上演が禁止されていた。
,
「何故に年寄り一人を大勢の若い衆がたかって殺すのか」の疑問は現在の考えからすれば普通の考え方である。
武士は仇をとらないと不名誉なことだとの考えによっている。
忠義・忠節を尽くすのが当然とする封建思想は武士はじめ庶民階級にいたるまで一般に普及していた結果によるものだろう。
源氏物語は外国人にも意味は通ずるが忠臣蔵では理解が困難な所があるのだろうと考える。
動物園のゾウの寿命は、放し飼いの半分にも満たない
そんな研究結果が米科学誌に発表された。
平成20年12月16日の天声人語よりの引用
江戸中期の俳人、滝瓢水(ひょうすい)の句に〈手にとるなやはり野におけ蓮華草(れんげそう)〉がある。
遊女を身請けしようとする知人をいさめた作だが、いまでは自然保護の文脈で語られることが多い。
美しいものは、あるべき所にあってこそ美しい
▼動物園のゾウの寿命は、放し飼いの半分にも満たない。
そんな研究結果が米科学誌に発表された。
欧州で飼育された雌と、ケニアや東南アジアの保護区で放し飼いされた雌、約4500頭の記録を調べたところ、
アフリカゾウは放し飼いの56年に対し17年、アジアゾウも42年に対し19年だった
▼餌や天敵を心配せずに長生きできるはずの動物園も、神経質なゾウには楽園とはいかないようだ。
研究チームは「おりの中で生きるストレスと、肥満が命を削る」とみる
▼もちろん、自然界は甘くない。
9月に佐渡で放たれたトキ10羽のうち、1歳の雌が死んで見つかった。
2歳の雄と行動を共にし、繁殖を期待されていた。
足のけがで動けなくなり、保護を検討していた矢先、タヌキなどに襲われたらしい
▼羽と骨片、個体番号の15を刻んだ緑の脚輪が、やぶに散乱していた。
容赦なき野生の掟(おきて)に目を閉じる。
中国産を人工繁殖させた120羽以上から選ばれ、生き残る訓練を受けた個体にして、この末路である
▼厳冬期の餌やりを、環境省などの専門家は「それでは動物園と変わらない」と退けたそうだ。
たくましい姿で「野」に返すべく、あえて鬼になった担当者の胸中を思う。
美しきものから「あるべき所」を奪ってきた人間の、償いを込めた闘いは続く。
保護され発育した動物は寿命が短く,保護されない動物の方が長生きする。
人間の社会では通用するのだろうか。
やはり保護すべきは保護し,放置したほうが良いものにはそのまま自由にしておく
それが人間の智慧である。
人間の勝手でもって動物達はひどい仕打ちを受けている可能性はある。
地球は人間中心の世界である。人間のエテ勝手な世界である
血液型と性格の関係は昔から議論されてきた
平成20年12月17日の天声人語よりの引用
歌舞伎の市川団十郎さん(62)の血液型が、AからOに変わったそうだ。
貧血の治療で、O型の妹さんから造血幹細胞を移植した結果という。
新春の復帰公演に向けた会見で「A型とO型で演技が違うのか、じかに確かめてほしい」と楽しげに語った
▼血液型と性格の関係は昔から議論されてきた。
人体のことだから、姓名判断や占いよりは信じられる、と思う人がいるのだろう。
そうした「科学のにおい」ゆえか、日本人女性の63%、男性の47%が「関係あり」と答えた調査(07年)もある
▼今年のベストセラー(トーハン調べ)で『B型 自分の説明書』(文芸社)が3位に、
同じシリーズのO型が4位、A型が5位、人口比で1割に満たないAB型も9位に入った
▼5人も居合わせれば三つくらいの血液型は集まるから、仲間内で軽く盛り上がるには便利な話題かもしれない。
しかし、根拠に乏しい性格との結びつきが独り歩きするとなれば、お遊びと笑ってもいられない。
誤解や思い込みは、相手ばかりか自分の損にもなる
▼例えば、人づきあいの摩擦を血液型のせいにするのは簡単だが、現状打破の努力はそこで止まる。
定めに身を任すのは、最後の最後でいい。
それまでは粘り強く、前向きに生きたい
▼白血病を克服し、芸歴55年の先をつないだ団十郎さん。
一般からの輸血を受けながら「どんな美人の血かな」と考えていたそうだ。
そして「たくさんの善意に生かされている」と。
O型の前に大型、揺るぎのない骨太の芸風である。
新しい血も迷わず弟子入りしたはずだ。
血液型と性格との間には関係はないと思う。この考えは昔の考えであり
現在は遺伝子がそれに変っているものと考える。
性格はどうしても親に似た子供ができて,それには環境も加味されている。
伝統の血は確かにあると思う。
家風 校風 お国柄といったものに,芸風もそれに加わるのか。
いずれ政界再編の絵になるのか、
永田町に大波小波が立ち始めた
平成20年12月18日の天声人語よりの引用
水面に染料を流し、模様を整えたところに紙や布をかぶせて写し取る画法がある。
昔ながらの墨流しを発展させたものだ。
千変万化、偶然が織りなす二度とない絵は一期一会の心にも通じる
▼いずれ政界再編の絵になるのか、永田町に大波小波が立ち始めた。
要人が会うたび語るたび、新たな一石が投じられ、大小の水紋が広がる。
近いところでは、公明党との選挙協力を見直すかのような古賀誠・自民党選対委員長の発言だ
▼小選挙区は自民、比例区は公明へというのが協力の現実。
ところが古賀氏、各派の面々に「180ある比例区をみすみす渡していいのか」と語気を強めたらしい。
この石は大きい。
水しぶきを浴びた公明幹部は「こちらがあげる票の方がはるかに多い。
どういう計算をしているのか」とむくれた
▼妙な水音をたてた石もある。
与野党をまたぐ鳩山兄弟のやりとりだ。
民主党幹事長が「弟から政界再編をやろうよと言われた」と明かせば、総務相は「個人的な会話をすぐ外でしゃべるのが兄の癖。
非常に困る」と応じた。
現職閣僚、それも首相の側近が、野党幹部に新党を持ちかけたことになる
▼古賀氏があえて投じた大石と、鳩山兄弟の電話口からこぼれた小石。
どちらも、現下の政界勢力図が長くないと読んでの言動に見える
▼濁り水に泡沫(うた・かた)の時を切り取る「永田池」の水紋画。
与党の岸で石の投げ合い、染料の流し合いがしばし続き、来るべき総選挙に前後して新たな絵が浮かぶのだろう。
茶会の心得、一期一会を引き合いに出すには水が生臭すぎるが。
麻生内閣はそう長くないとの見方が与野党の政治家の意見が一致しているのに,
どうしてそのような内閣の政治に国民は我慢していなければならないのか。
国民の為に政治がある筈だ。早く解散総選挙を実施すべきである。
民意を得た内閣に強力な指導力が発揮できるはずである。
不況下に於いては特に必要だ。
チョウの写真に目を奪われた
岐阜県で捕獲され、目印をつけて放たれたものが、
40日後に奄美大島で確認されたという
平成20年12月19日の天声人語よりの引用
先ごろの本紙で、チョウの写真に目を奪われた。
岐阜県で捕獲され、目印をつけて放たれたものが、40日後に奄美大島で確認されたという。
千キロを超す旅の果て、美しい羽はすり切れ、破れ団扇(うちわ)のようだ
▼このアサギマダラは春には北へ、秋には南に下る「渡り」で知られる。
夏の高原ではふわふわと、あまり羽ばたかずに舞う。
ところが、いざ渡りとなるとギアが入り直すらしい。
移動は片道切符で、旅先で生まれた子孫が逆コースをたどる。
日本―台湾の2千キロを飛ぶことも珍しくない
▼渡る理由は諸説あるが、かれんな姿からは信じられないたくましさだ。
翻って、私たちの力はどうにも情けない。
飛べず、ろくに泳げず、敏捷(びんしょう)性や走力は霊長類でも並以下だろう
▼陸上競技の世界記録の変遷から、米国の海洋生物学者が「人類の限界」を推定した。
男子100メートルは9秒48。
これから縮む0秒21の評価はさておき、二本足の壁を知る。
マラソンは2時間0分47秒で、あと3分強の伸びしろだ
▼人間は身体能力を知恵と道具で補い、海へ空へと活動領域を広げてきた。
だが、携帯電話の小型化に指の太さが立ちはだかるように、どんな道具も生物としての限界と無縁ではない。
地球の支配者を気取ってみても、「裸の生命力」は知れている。
今年も多くの人が天変地異に泣いた
▼身ひとつで海の上をゆくチョウを心に浮かべれば、あれこれの限界は歯がゆくもある。
人生も半ばを過ぎた食いしん坊としては、栄養補給が毎日3回で足りるのが悔しい。
一日が24時間しかないことも。
人間よりもチョウとかトンボの方が良く飛び,フナとか鯉の方が良く泳ぐ
カンガールの方が良く走り ラクダは持久力を持っている。
だが人間は「足るを知る」の知恵をもちあわせているはずだが。
司令官に引き上げられたアルゼンチン人医師、チェ・ゲバラは、
歓呼の中を首都ハバナに入る
だが新生キューバの要職を捨て「旅人」に戻った
平成20年12月20日の天声人語よりの引用
半世紀前の今ごろ、キューバではカストロの反乱軍が政府軍を追い詰めていた。
司令官に引き上げられたアルゼンチン人医師、チェ・ゲバラは、歓呼の中を首都ハバナに入る
だが、旅はまだ半ばである
▼新生キューバの要職を捨て「旅人」に戻ったゲバラ。
コンゴに続いて武力闘争を率いたボリビアの山中で、米国が支える政府軍に捕まり、翌日処刑された。
39年の生涯だった。
去年が没後40年、今年が生誕80年、年明けがキューバ革命50周年とあって、ちょっとしたブームらしい
▼彼の闘いを描いた映画「28歳の革命」「39歳別れの手紙」の2部作が新春、日本で公開される。
勝利と敗北、
計4時間半の旅に付き合い、優しく一途な素顔に触れた
▼死後は過激派のアイドルにして「Tシャツの顔」の印象が強いが、人間的な魅力あっての伝説だろう。
目の前の圧政と貧困を見過ごせず、私を捨て、体を張った一本気。
銃への信奉は論外でも、その生き様は時空を超えて心を揺さぶる
▼キューバ時代、海外の同姓女性から「親類?」と手紙をもらい、返事に書いた。
「この世で不正が行われるたびに怒りに震えることができるなら、我々は同志であり、そのことの方が重要なのです」
▼《かつて、本気で世界を変えようとした男がいた》。
映画の宣伝コピーを裏返せば、正義のために大きく生きる者が少なくなった、と読める。
貧しさが地上を覆う今、求められる男は天空の旅に出たままだ。
「大きく」をはき違えた妄動は多々あれど、国境を越え、大衆を熱くする顔が浮かばない。
「革命」には疑問を持っている。それに伴って混乱の中に多くの人命が失われるだけであるからだ。
信長 秀吉 家康のなした事は一種の革命である。
その間庶民は苦しんだ。トップが替わるだけのことでその人物を中心に序列が変動するだけである。
子供のトランプ遊びで「革命」と言う遊びがある。革命と言って出せばその数字のトランプが一番強くなってその次の数字へと
トランプの序列が決まる。世界の歴史上革命があってもその人がトップとなって,序列が変り庶民の生活は何もかわらない。
内乱による混乱が人々を苦しめている。ロシア革命 フランス革命 中国の内戦による共産党革命 何も庶民の生活には変動をみていない。
内乱による死者が増え トップになった人だけとその序列の人だけが良い生活に変るだけのようだ。
現在の中国 ロシア 北朝鮮を見ればよく理解できる。
この手のを「すたれもの料理」と呼ぶのだという
廃れもの、つまり普通なら捨てるものを生かして使う
平成20年12月21日の天声人語よりの引用
ひとくちに野菜畑と言っても季節によって趣は違う。
盛んな緑をトマトの赤、ナスの紺が飾った夏に比べ、冬の色はつつましい。
大根、白菜、葱(ねぎ)、蕪(かぶ)、春菊。借りている市民菜園を見回すと、わが畑も、よその畑も冬の野菜が食べごろだ
▼穫(と)れ盛りの大根は、風呂吹きや、おでん種にして味わった。
手塩にかけたと思えば、葉っぱも皮も捨てがたい。
刻んで炒(いた)め、ごまをまぶして、ご飯にのせて食べてみた。
何杯もお代わりが進む
▼この手のを「すたれもの料理」と呼ぶのだという。
廃れもの、つまり普通なら捨てるものを生かして使う。
『京の味十二カ月』(臼井喜之介著)によれば元は没落貴族の倹約料理らしい。
ものを粗末にしない仏教の教えと相まって、家々で工夫されてきたようである
▼いくつかの例が紹介されている。
人参(にんじん)の葉の炒め煮、スイカの皮のぬか漬け……。
傑作は「お釈迦(しゃか)さんの鼻くそ」だ。
残り飯を日に干し、ぱらぱらになったのを炒(い)って砂糖としょうゆで味をつける。
お茶うけに重宝するそうだ
▼京都だけでなく、土地土地に「すたれもの料理」の伝統はあるのだろう。
だが振り返れば、美食と飽食の陰で、おびただしい食べ物を捨ててきた昨今である。
いまや絶滅危惧(きぐ)の赤ランプではないかと心配になる
▼きょうは短日のきわまる冬至。
畑の野菜は、弱った太陽から少しでも力をもらおうと、一心に冬日を浴びているようで健気(けなげ)だ。
そうして根や葉が蓄えた滋養を、人間はもらうのである。
素朴な感謝の心が、すたれものを生かす料理に込められている。
粗末な生活をすれば自然と身につくものだ。
戦時中・敗戦後の何年間は雑炊 黒パン サツマイモを主食として配給されていた。
それしかなかった時代で,飢えとの戦っていた時期だった。
アメリカのハンバーカなどが普及して来て肥満児が増えてき,その子供達が大人になったときには
深刻な成人病に罹る率が高いとも言われている。
:現在のお上が強制するメタボ対策が効果を奏するのかどうか。
タバコ喫煙対策に対して一本が500円とかの経済的な対策
メタボ対策には昇進が出来ないような社会的な圧力の方法があって良い。
「お酒に酔っているなんて理由にはならない」と
訴えるポスターがいま、駅や電車内で目立つ
平成20年12月22日の天声人語よりの引用
古代ギリシャにどんな美酒があったか知らないが、酔ったあげくの暴力沙汰(ざた)には手を焼いたらしい。
七賢人のひとりピッタコスが定めた法には〈酔うて人を殴(う)つ者の罰は、
醒(さ)めて人を殴つ者の罰に倍すべし〉という規則があったそうだ(『法窓夜話』穂積陳重(のぶしげ))
▼酒の上で――という言い訳など論外。
飲酒は罪ではないが、悪い結果を生じたら飲んだことの責任も問われる。
明治の法学者だった著者の穂積は、予防のために大いに理由があると、その考えを評価している
▼現代ニッポンも、残念ながら事情は変わらない。
「お酒に酔っているなんて理由にはならない」と訴えるポスターがいま、駅や電車内で目立つ。
係員への暴力に悩む鉄道各社が共同で作った。
加害者の7割は酔客というから、年の瀬は要注意である
▼主な私鉄だけで、今年4〜9月に111件起きた。
社会全体がいらついているのか、調査を始めて最悪という。
JRを含めれば数倍になろう。
木曜から土曜の夜に多く、月曜にぐっと少ないのは、悲しいかなサラリーマンの行動習性に重なり合う
▼古くには酒を「玉箒(たまばはき)」とも呼んだ。
憂いを払う美しい箒(ほうき)にたとえてのことだ。
酒を愛した作家の内田百ケン=ケンは間の日が月=は〈ふだんよりは少々馬鹿になる程度の利き目がお酒の徳だろう〉と言った。
暴力という「大馬鹿」をさらすようでは玉の箒に申し訳がない
▼余す日も指の数となり、忘年会も今週あたりが最終盤か。
酒もほろ苦い不況だが、くる年に望みをかける杯でもあろう。
タガは外さず、楽しくスマートに緩めたいものだ。
酒はほどほどに飲めば身体に良いが,飲みすぎるのは人にも迷惑かけて身体にも悪い。百薬の長は適度の飲酒にある。
新聞社や通信社の取材写真を集めた08年報道写真展が、
東京・日本橋の三越本店で始まった
平成20年12月23日の天声人語よりの引用
ボタンを押すたび、缶ビールを開けるたびに、人さし指は働き者だと思う。
お隣も携帯電話で忙しくなったが、出番の数や多芸ぶりではかなわない。
カメラのシャッターを介し、多くの心を動かす「力持ち」でもある
▼新聞社や通信社の取材写真を集めた08年報道写真展が、東京・日本橋の三越本店で始まった(無料、28日まで)。
最高賞は秋葉原の無差別殺傷事件。
交差点に横たわる被害者と、救急隊員を上空からとらえた毎日新聞の一枚だ
▼現場に居合わせた社員の報で毎日の出足は早かったと聞く。
ほどなく写真記者がヘリで飛来、限界まで降下し、400ミリの望遠レンズを真下に向けた。
シート囲いの中、一つの命を救おうと働く一群の白手袋に、むごさがまた込み上げる
▼「手」にこだわって会場を回ってみた。
中国の四川大地震で被災し、母親を籠(かご)で背負う男性を共同通信が押さえている。
落石に腰かけ、うなだれ、右手で額の汗を拭(ぬぐ)う。
握るでもなく開くでもなし。意思のない五指が語るのは疲労の極みだ
▼北京五輪のフェンシング準決勝。
14―14からの太田雄貴選手の一撃は、この競技初のメダルを日本にもたらした。
スコア掲示を入れて東京新聞が切り取ったその瞬間、後ろに回した選手の左手でなぜか人さし指が立つ。
秒間8コマの高速連写だけが目撃した、筋肉の雄叫(おたけ)びだろうか
▼五輪カメラマン席の写真は、約50人がレンズを同じ向きに構える壮観。
愛機に添えた指先から、世界を震わす一枚が生まれる。
筆にはまねできない一瞬の技、うらやましくもある。
写真はよく写すがデジカメでとっている。面白いと思った風景はズボンのポケットから出し写す。
撮影して気に入らないものだと消去すればそれでよい。パソコン内には多くの写真が貯まってきて仕方がない。
2ギガの媒体で千枚近く撮影できる。動画も撮影できる。しかしホームページには容量が多くて載せられない。
天皇誕生日の東京は、世相に一矢を報いる快晴となった
平成20年12月24日の天声人語よりの引用
キリスト教徒の詩人、板口冨美子の作「クリスマスを祝う」の一節を引く。
〈みんなお互いにぬくめあおうと/みんなお互いによろこばしあおうと/どんな苦しい日の中も/この日だけは/そのことばかりを考えている〉
▼浮かれつつ省みる、とでも言おうか。年末年始には華やかさと厳かさが混在し、どちらを欠いても「らしく」ない。
昭和と平成をまたぐ冬がそうだった。
列島の中心から重い空気が広がり、街は歌舞音曲をぎこちなく封じた。
20年前と違い、足元の沈滞は同時多発である
▼天皇誕生日の東京は、世相に一矢を報いる快晴となった。
75歳を迎えた陛下は会見に代えた文書をこう結んだ。
「互いに絆(きずな)を大切にして助け合うことにより、皆で、この度の困難を乗り越えることを切に願っています」
▼東京タワーもきのう、開業50周年を祝った。
記念の公式応援ソングの詞にある。
〈いつもそこで/幾千の物語見つめ/照らし続けてる〉。
高度成長のシンボルがいま見つめるのは、幾千の貧困と経営難の物語だ
▼多くの経営者が「トヨタが赤字なんだから」とこぼしていよう。
人減らしに走る企業に政官の対応は鈍い。
土砂降りなのに、国の屋根がどうにも頼りない。
政治が動くまで、傘を持たぬ者には傘の半分を差しかけるような「ぬくめあい」が要る
▼〈ジングルベル貧富の差なく流れ来る/末村道子〉。
誰にも公平に巡る季節は、時に残酷だ。
どの絆にもつながらぬ不安、明日への絶望が路傍にあふれ始めた。
そうしたものを包み込む、社会の深さが試されている。
広い宮城内に宮内庁官舎もあって,何の心配もなくゆったりとした裕福な生活がうらやましい。
天皇家のようなストレスもなく,世襲制でご用達業者からの貴重なものに潤えばなおさらのことだ。
宮内庁は簡単には止められないことだろう。
著名人の余生に起きた異変に、長寿時代の定めを思う
平成20年12月25日の天声人語よりの引用
「刑事コロンボ」で知られる米国の俳優、ピーター・フォークさん(81)が認知症を患っていると報じられた。
家族を見分けられない状態と聞き、片手を上げて辞去するコート姿が浮かんだ
▼日本でも元女優、南田洋子さん(75)の闘病がテレビで紹介され、大きな反響を呼んだ。
夫の長門裕之さん(74)による懸命の介護とともに、老境を控えた身にはひとごとではない。
著名人の余生に起きた異変に、長寿時代の定めを思う
▼老人医療の専門家、フレディ松川さん(62)の近著『フレディの遺言』(朝日新聞出版)を読んだ。
前半の「遺言」は、自分が認知症になった時を思い、家族やヘルパーへのお願いをあれこれ連ねたもの。
後半は医師として、介護や予防の勘所を説く
▼〈私の目をしっかりと見て、優しい声で話しかけてくれたら、
きっとあなたが大好きになります〉〈私の心が寂しいとき、私が若いころに大好きだった曲を聞かせてください〉。
温かな挿絵を交えた短文は切なく、哀(かな)しい
▼だがこれらは、記憶がこぼれ始めてからでは伝えられない。
約2千人を看取(みと)った経験が紡ぎ出した、声なき伝言といえる。
理解しがたい言動を目の当たりにした時、叱(しか)れば患者はおびえ、症状が高じかねない。
逆に優しく接すれば、軽度に保つこともできるという
▼予防では、ぼけたらどうしようとクヨクヨ案じるのが一番悪いそうだ。
先生のお勧めは、友だち、散歩、ありがたいことに活字。
活字の朗読はさらに効果的らしい。
ここまで読まれた方はもう一度、大きな声でいかがでしょう。
長生きには医療だけの進歩では平均寿命はのびない。
冷暖房・食生活の生活環境などの改善も大いに関係していると考える。
野党の雇用対策は案でつぶされ、
政府の2次補正予算も案のまま越年する
平成20年12月26日の天声人語よりの引用
ちまたの不安を置き去りにして、国会が冬休みに入った。
野党の雇用対策は案でつぶされ、政府の2次補正予算も案のまま越年する。
そこにある危機に、有効な手立ては講じられていない
▼最後に波乱があった。
民主党の解散要求決議案に、自民党から賛成した渡辺喜美氏だ。
前から政権批判を重ね、解散を求めていたから、筋を通しつつ混迷政局の主役をうかがう動きだろう
▼会見では正論をぶった。「100年に一度の危機には、100年に一度の政治体制が要る。
国会がねじれゴマモチをこねてる場合じゃない」。
ねじれ国会が党略で滞っている時か、という憤激らしい。
唐突に胡麻餅(ごまもち)が転がり出るあたり、物腰まで父上そっくりになってきた
▼自民党は戒告処分でお茶を濁したが、瓦解(がかい)への一穴とする見方がある。
決議案は起立採決。
与党席の冷笑と、野党席の喝采の中で直立する映像が残された。
なるほど、これを撮らせるためだったのかと思う。
遠からず、この絵が繰り返し流される局面を期しているはずだ
▼年明けの通常国会はいよいよ波乱含み。
2次補正予算案には、野党が毒饅頭(まんじゅう)とくさす定額給付金が含まれる。
借金で大盤振る舞いの来年度予算案にも「先祖返り」の批判がある
▼政治の存在感は今年も薄かった。
世情ますます騒然、かつ殺伐。
人々の関心はおのずと足元の暮らしに集まる。
08年はどう記憶されよう。
生活破壊の年、それとも、イブに飯島愛さんの「孤独死」が伝えられた年か。
いずれにしても、「首相が交代した年」と振り返る人は少なかろう。
このように生活に困っている人たちの多い中,党利党略でもって争っている時期ではない。
早く解散総選挙をして国民の民意を聞くべきである。党利党略でなく個利個略の方が正しいのかも。
きちんとした国民の総意を得て政策を実行すべきである。国民も納得する。
12月だけで3万4千人の非正規社員が失職だという
寮を追われ、初の野宿を強いられる人もいる
平成20年12月27日の天声人語よりの引用
故人を含め、指してみたい相手は誰ですか。
この質問に、羽生善治さん、森内俊之さんらプロ棋士の多くが同じ名を挙げている。
昭和の鬼才と呼ばれた元名人の升田幸三さんだ。
家出して頂点を極め、人情味と毒舌、斬新な手で皆を魅了した
▼91年に没した升田さんが、勝負と懐具合の関係を語っている。
「米びつ開けてみて米がいっぱいではいかん。
しかしながらカラでも困る。
マスを底のほうへ突っ込んでしゃくったら、ジャリッと音がしたという状態がいい」
▼お金が余っていても、すっからかんでも、確かに渾身(こんしん)の力は出にくい。
勝負師でもない身なら、少しばかり集中を欠いたとて「満腹」でいたい人が多かろう。
逆に、米びつの底が見えたうえ、雇い止めにおびえる立場はどうか。
仕事が手につくはずもない
▼北風が吹いたきのう、新たに寒い数字が出た。
12月だけで3万4千人の非正規社員が失職だという。
寮を追われ、初の野宿を強いられる人もいる。
防寒の工夫、段ボールや廃棄弁当の入手法、炊き出しの場所など、屋根なく一夜をしのぐすべを知らない、弱者中の弱者だろう
▼この年末年始は、週末の巡り合わせで休みが長い。
きょうから9日間、駆け込むべき窓口の多くは閉まり、日雇いの仕事も減る。
路上ならずとも試練の時だ
▼生活困窮者を支援する「反貧困ネットワーク」の湯浅誠さんは話す。
「この期間をどう生き延びてもらうか。
なにしろ、行政で頼れるものは救急車ぐらいしかないですから」。
あまたの命と尊厳が、王手をかけられて年をまたぐ
大変な人たちがおられる。格差社会と一言でかたずけられないものがあるようだ。
政府は何をしているのだろうか。ボランテイァに頼るだけでなく素早く政府が対応すべきことである。
今の政治家には理解できないことなのだろう。正月返上での対策は見られない。寒空の下で大変なことだ。
小さな望遠鏡による記念碑的な観測から来年で400年になる
発見が天動説から地動説へと人類を導いていった
平成20年12月28日の天声人語よりの引用
冬の月を「氷輪(ひょうりん)」と呼んだ古人の感性には頭が下がる。
言い得て妙だ。
夜空に皓々(こうこう)と光る姿は透き通るように美しい。
神秘のゆえか、月は古くから、凹凸のない鏡のような球体と考えられてきた
▼望遠鏡を自作して、ガリレオが初めて眺めた天体も冬の月だったという。
定説に反して表面は起伏に富んでいた。
巨大なクレーターを見つけて、「驚異の念なしに観察できなかった」と書き残している。
月が人類に、その素肌を見せた最初だろう
▼ガリレオはさらに、天の川が無数の星の集まりだと知る。
木星を四つの衛星が回っていることも見つけた。
それらの発見が、天動説から地動説へと人類を導いていった。
小さな望遠鏡による記念碑的な観測から来年で400年になる
▼その節目の年を、国連などが「世界天文年」に定めている。
宇宙や人間の存在に思いをはせる1年にしたいそうだ。
宇宙を思う。
それは生命誕生の奇跡や、自分が人間に生まれたさらなる奇跡を問うのと表裏一体でもある
▼命日を「アンドロメダ忌」と呼ばれる作家の埴谷雄高(はにや・ゆたか)は、よく星空を眺めた。
天文学の書物を読むことを「最終ページのない探偵小説を読むのと似ている」と言っていた。
「犯人」は分からない。
その一方で自分の推理を大きく膨らますことができる
▼夜空に悠久と無限を仰ぎ、砂粒のような身を思えば、逆におおらかな気分もわいてくる。
新年3日夜から4日未明には目で見える流星群も現れるそうだ。
しばし浮世を忘れて、親子で恋人で「最終ページ」を推理してみるのも悪くない。
夜空がきれいだとながめるだけで、お月さんに兎が住んでいて餅つきしていると思っていた子供の頃が懐かしい。
米国の青年の「未完の志」は、
この秋、大きな実を結んだ
黒人初の大統領の誕生である。
平成20年12月29日の天声人語よりの引用
亡くした我が子に寄せる母の思いを、一枚の絵に見たことがある。
米国で訪ねたその家の息子は1960年代、白人ながら黒人の人権運動を支援するうちに人種差別主義者らに惨殺された。
まだ20歳だった
▼縦に長い絵は、死を悼んで名のある画家が描いた。
青年が一人たたずみ、頭上には空がアンバランスなほど高く広がっている。
そのわけを話した母親の言葉が忘れがたい。
「息子はまだ未完です。
人間としてさらに成長するための空間を、絵の中に残してもらいました」
▼同じような思いに、先日も出会った。
8月にアフガニスタンで殺害されたNGO職員、伊藤和也さん(当時31)の母、順子さんの手記だ。
所属したペシャワール会の会報に、「母の命ある限り和也も母も歳を重ねていきます」と愛惜をつづっていた
▼米国の青年も伊藤さんも、高い志を抱いての若すぎる死だった。
「一粒の麦、もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん。
死なば多くの実を残すべし」。
名高い教えは、悲しむ母の支えになり得ただろうか
▼米国の青年の「未完の志」は、この秋、大きな実を結んだ。
黒人初の大統領の誕生である。
「民主主義を疑う者がいるなら、今夜がその答えだ」。
オバマ氏の勝利宣言が、絵の中の青年にも届いたかと想像すれば胸は熱い
▼片や伊藤さんが志を埋めた大地は、火薬と血の臭(にお)いが立ちこめて民衆の苦難が続く。
「和也 和也 平和なり 和なり」と母の手記は我が子の名を呼ぶ。
一粒の麦たる「志」から、平和の果実がたわわに実る日はいつ訪れる。
篤い志には必ず抵抗がある。リンカーンのように狂信者により暗殺されないことだ。
先の見えぬ寒空に一灯をともす師走の言葉から
平成20年12月30日の天声人語よりの引用
きびしい歳末に追い打ちをかけるように、天気図の等圧線は込み合い、西高東低のしかめっ面を描く。
先の見えぬ寒空に一灯をともす師走の言葉から
▼京都市の中村八重子さん(73)は64歳で定時制高校に入り、大学も卒業して、いま、夢だった高校の教壇に国語の非常勤講師として立つ。
若いときは、学びたいのに学べなかった。
「幸せでない時期があったからこそ、今の幸せが分かる。
生徒には希望を捨てなければ大丈夫と伝えたい」
▼「博子ちゃん」と題する作文を宮崎市の中学1年、中本奈那さん(13)が書き、全国中学生人権作文コンテストで賞を受けた。
「博子ちゃん」とは、小児麻痺(まひ)の後遺症のため車いすで暮らす母親のことだ。
「人を見た目で判断してはいけないよ――母のその言葉は私にとって最高の贈り物です」と笑顔で語る
▼熊本県に住む元五輪長距離選手の松野明美さん(40)は、5歳の次男がダウン症だと公にした。
それまでは世間を気にして隠していた。
息子さんが歩いたときの感動を、「人生は一番でなくてもいいと気づいた。
その人のペースでゴールをめざせばいい」
▼阪神大震災の被災者を支援してきた宝塚市の亀甲(きっこう)つぎこさん(60)が、記録集『震災 心つむぐ』をまとめた。
「みんなで支え合ったあの頃を忘れないでほしい。
温かい助け合いの心が災害に強い社会をつくるのだと思います」。
明ければ14年目の「あの日」がめぐる
▼今年最後の朝日俳壇に東京都の枝澤聖文さんの〈死ぬことを全く忘れ日向(ひなた)ぼこ〉。
かくて数え日もきょうとあす。
名だたる企業も算盤(そろばん)ずくで人を雇い、
景気次第で使い捨てる
米国型錬金術の崩壊は、冷や水の一方で、
迷い込んだ道から引き返す道しるべでもあろう。
平成20年12月30日の天声人語よりの引用
影法師のことをシルエットと呼ぶのは、18世紀フランスの財務大臣の名にちなんでいるらしい。
財政難のとき、彼は厳しい倹約策を進めた。
豪華な肖像画をやめて質素に白黒で描くよう唱えたため、後世に名を残した。
そんな説が伝わっている
▼この歳末はシルエットばりの倹約が目立つようだ。
札幌の印刷業の人が本紙声欄に、白黒の年賀状注文が増えていると寄稿していた。
100枚で900円安くなるというから、切実な生活防衛だ。
明ければ届く挨拶(あいさつ)にも不況の影は伸びている
▼こよい紅白歌合戦で、森進一さんは封印されていた「おふくろさん」を歌うそうだ。
♪雨の降る日は傘になり お前もいつかは世の中の 傘になれよと…。
なじみの歌詞に、土砂降り景気に傘なき人が重なり合う
▼「天気の良い時に傘を貸し、雨が降れば返せと迫る」と、銀行を皮肉って言う。
しかし銀行ばかりではない。
名だたる企業も算盤(そろばん)ずくで人を雇い、景気次第で使い捨てる。
働く者の尊厳も守れぬ荒涼が、寒空の下で大手を振る
▼黙々と汗する者の姿に、「年寄りを養ったり、女房子供をいとおしんでいたり、みんながそれぞれの生活を持っているのだと思うと、
見ているだけで涙が出てくる」と心を寄せたのは作家の吉川英治だった。
自らも貧困の中で辛酸をなめた人だ
▼経営者や政治家に吉川の思いありや。
米国型錬金術の崩壊は、冷や水の一方で、迷い込んだ道から引き返す道しるべでもあろう。
「朝の来ない夜はない」。
作家が座右に置いた言葉を信じつつ、新たな暦をめくる。
なんとなく証券の売買だけでお金が儲かる話には抵抗感があった。資本主義の全体像は理解できていないが
汗水たらし頑張ってお金を稼ぐと言う考え 質素・倹約が美徳である考え方が間違っているのだろうか。
中国で文化革命で孔子 孟子の考えが否定された時期もあったが一部は時代に合わないところがあるも一応正しい。
キリスト教 仏教の教えも正しいと考えている。
聖書を常に携帯して疑問が生ずれば読み返すの信者でもないが,昔の偉人の言葉には真理があると考えている。
現人神(あらひとがみ)と軍歌
子供の頃の歌は軍歌が一番に良く覚えている。 学校で唱歌は習っていたが 家で自分で一生懸命に軍歌を覚えたものである。
まずj常時歌っていたのが「愛国行進曲」の歌だ。
@見よ東海の空あけて 旭日(きょくじつ)高くか輝けば 進軍ラッパ勇ましく 希望は踊る大八州(や)しま おお晴朗の朝雲に
そびゆる富士の姿こそ 金鴎(きんおう)無欠(むけつ)揺(ゆ) るぎなき わが日本の誇りなり
A起て一系の大君を 光と永久(とわ)に戴(いただ)きて 臣民(しんみん)我ら皆共に 御稜威(みいつ)に副(そ)わん大使命
往け八紘の宇(いえ)となし 四海の人を導きて 正しき平和をうち建てん 理想は花と咲き薫る
Bいま幾度(いくたび)かわが上に 試練の嵐炊哮(たけ)るとも 断乎と守れその正義 進まん道は一つのみ
ああ悠遠の神代より 轟く歩調受け継ぎて 大行進の往く彼方 皇国常に栄えあれ
子供の頃意味は良く理解できていなかったが今でもよく覚えている軍歌である。
勇ましい歌で行進しながら兵隊さんが歌っているのを見かけた。
昔の人はよく漢文の素養があったものかと感心する。
金鴎無欠揺(ゆ) るぎなきとか御稜威の意味がどうも理解できない。
天皇系が神代からずーとつづいていると思う人は誰一人として現在はいないと考える。
継体天皇辺りから本当に実在の人かと思えるが,一系の大君ではないことだけは確かだ。
昔の人たちは大変純真な心の人たちばかりなのかと驚くが、 でもだが当時自分自身も本当にそうだと信じ込んでいて疑わなかった。
それに思い出す軍歌は「父よあなたは強かった」である。
@ 父よあなたは強かった 兜(かぶと)も焦がす炎熱を 敵の屍(かばね)と ともに寝て 泥水すすり 草を噛(か)み
荒れた山河を 幾千里 よくこそ撃ってくださった。
Dまであるが省略する。
Aは夫よあなたは強かった B兄よ弟よありがとう C友よわが子よ ありがとう Dああ御身らの功(いさお)こそ
になっている。軍歌の内容は全て大和魂を鼓舞するような内容で正義の為の聖戦を祖国や天皇の為に戦っているような内容になっている。
「露営の歌」も良く覚えている。
小さい頃から歌っていたものである。
@勝って来るぞと勇ましく ちかって故郷(くに)を出たからは 手柄立てずに死なりょうか 進軍ラッパ聴くたびに 瞼に浮かぶ 旗の波
これもDまであるが内容は東洋平和のために 天皇陛下のために身を捨てて戦っている内容である。
「戦友」もよく歌ったものである。明治時代に作られた歌のようだ。
@ここは御国を何百里 離れて遠き満州の 赤い夕日に照らされて 友は野末の石のした
Gまであって、 C軍律きびしい中なれど これを見捨てて置かりょうか 「しっかりせよと」抱き起こし 仮包帯も弾のなか
と明治の軍歌には友を思う人間性がまだまだあるように思う。
戦争が激しくなってくると「出征兵士を送る歌」も歌詞を読むと,歌える。不思議なものだ。
@わが大君に 召されたる 生命光栄(はえ)ある 朝ぼらけ 讃えて送る 一億の 歓呼は高く 天を衝く いざ征(ゆ)け つわもの 日本男児
A華と咲く身の 感激を 戎衣(じょうい)の胸に 引き緊めて 正義の軍(いくさ)
征くところ たれか拒む その歩武を いざ征(ゆ)け つわもの 日本男児
Bかがやく御旗 先き立てて 越ゆる勝利の 幾山河 無敵日本の 武勲(いさおし)を 世界に示す ときぞ今 いざ征(ゆ)け つわもの 日本男児
大君の為に 正義の軍(いくさ) をするための戦争に行くことになっている。
1銭5厘の赤紙で徴兵され出征する 勿論法律にもとずいてのことで徴兵するのに1銭5厘の電報郵便で徴兵されていったものと思う。
良く耳にしているのが兵隊の価値は当時の1銭5厘あれば幾らでも集められることをいったのだと,
馬の方が人間より大切だったともいわれていたらしい。
現在 人の命は地球より重いの考えが薄らいできているように思えて仕方がない。
法務大臣の死刑囚の死刑執行も人を殺すことには変わりがないように思うのだが。
戦争だけは人殺しが必ず伴う、人間永遠に放棄して欲しいものだ。正義のためとか平和の為の戦争なんて絶対にないものである。
現人神は現在もいき続いているのだろうか。多くの鎮守の神社を訪ね歩いて,祭られている祭神が天皇の先祖に当たる人が多く疑問を持つようになった。
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