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1月になって





正月は年が改まって,いつもは新鮮な雰囲気で明るい気配を感ずるずるものだが,今年は世の中不景気で,なんとなく気が滅入る年の初めである。

神社への参詣者は例年よりも多いと報道されているが,困った時の神頼みなのだろうか。

神頼みだけにより,景気回復を待つのでは,これ叉大変困ったものである。

正月には若い頃はなんとか希望のようなものがあったが,次第に年齢と共にそのような気持ちも薄らぎ,叉一つ歳をとったかと思う気持ちの方が大きい。

今年も何も起こらないで無事すごせる年であってほしいと願うだけである。

最近は子供達の羽子板や,凧揚げなどの正月風景は全く見られなくなってきた。

数年前までは歳の暮れと正月三ヶ日は休業する所が多かったが,最近は年末年始も平常と変らず休まず営業している所が多くなってきている。

百貨店でも二日から開業する所が殆んどになっ来ている。便利な世の中になってきたのか,叉は世の中が世知辛くなってきているのかどうか判らない。

コンビ二や吉野家などのような外食産業などではは365日24時間休むことなく開店している。

最近になって近くの吉野家が蕎麦をもあつかうようになってきた。,

牛丼だけでなくメタボ対策の影響によるのか、,健康に留意しての事で,変わり身の早さはさすがだと感心している。

政府の言うようにメタボ受診者にはメタボ対象になるような人は極めて少ないようだ。

世間一般に広く「メタボ」の意味が普及してきたのは,メタボ検診の効果であって,メタボ検診も一定の効果を発揮していると思っている。

メタポ対策よりももっと遥かに必要なのは,「タバコ喫煙者対策」の方が重大だ。欧米よりも遥かに劣って後進国並である。

喫煙の害が普及した欧米などから,売れなくなってきたタバコが大量に東南アジアに流入しできて,日本もその例外ではない。

本当に国民の健康のことを政府が真面目に真剣にに案ずるならば,もっとメタボ対策よりも、タバコ禁煙対策の方がはるかに大切である。

喫煙はタバコ税収以上に医療費の高騰抑制に貢献し,禁煙対策は国民の老後の生活における病気の苦しみから開放することになる。

健康で長生き出来ることが理想である。

何処へ行っても,平気でタバコを吸っている人たちを見ると,この人たちなんとかならないものかと常に感じている。

ゴルフ練習場でも,タバコ自動販売機が設置され,多勢の人たちがタバコを吸う為にタバコの煙の副煙流を吸い,隣にいるものは大変な迷惑なことである。

タバコの人体への健康に対する影響,タバコの恐ろしさの教育が国民に徹底されていないことをつくづく感ずる。

一般の人たちは,肺癌の死亡者数が胃癌による死亡者数を,抜いて,第一位になってきている事を知っているのだろうか。?

喫煙の害はあらゆる臓器の癌の原因の一つにあげられ,死亡のもう一つの大きな原因でもある脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因の一つとされている。

政府の健康対策としてメタボ以上に禁煙対策にも力を入れる必要がある。それを放置したままである。

世間一般へのタバコによる健康被害の教育の普及と共に,喫煙予防法として,タバコ一本100円ぐらいにすればタバコを止める人が増えるのではないかと思うが。

メタボ検診ではメタボである人たちは受診しない傾向にある。それの一つとして個人の病歴がパソコンに入力され政府の手で管理,指導しようとする姿勢か゜

強圧的・強権的に感じられ、個人情報が益々政府によって管理されるのを嫌がらているのが大きな原因である。

政府による国民の国家管理の一環ではないかと感じられる。病歴は今までは個人個人の秘匿すべきこととして医師どまりで扱われてきた。

住民基本台帳による国家管理と会わせるならば,全ての個人情報が国によって国民の一人ひとりまでがすべて完全に管理されるてしまうこととなる。

政府が何事も法律によって縛ばり,強制する姿勢に国民には反感を持たれている原因の一つである。

なにもかも細かい所まで,法律でもって強制しようとしている政府の姿勢に対し国民はついてゆけくなってきている。

国民によーく説明し,説得してから,国民が納得した政治をすすめてほしいものである。自主的に国民も協力することであろう。

現在内政面で自民党政治は末期症状にある。

首相がそれに輪をかけ内閣支持率は17-14%とさらに低くなってきている。

閣議決定による政令とか,各省の省令,それに国会に提出された法律が殆んど゜が結局衆議院の三分の二の多数決でもって再議決され,

あらゆる法律は全て国民の意思を無視し強行されている。だが国民には法律に従う義務がある。

こんなに法律でもって強制されれば国民が怒るのも当然である。笑っちゃう気には到底なれない。

民意に元ずいた政治をすることが,民主政治のの基本であることを,自民党政治家は理解しているのだろうか。

全て政府の思い通り,法律で・法律でもって縛って,その法律が過去の衆議院選挙の結果の議員の人数で

事を運んでいるのが現在の自民党政治である。

法律となれば,例え政府関係者が無理に成立させた悪法くだらない法律であっても,国民はそれに従わざるを得ない。

なんとなく戦前の嫌な気配をかんずるようになってきている。

国民が望んでもいないことをも強いているようだ。民意でもって政治を行うことが民主主義の基本である。

,国民を戦争へ戦争へと誘導し,挙句に法律で縛り,ブッシュのように聖戦だとして戦争に向かわせようとしているように思えてくる。

麻生首相は現在景気対策が政府としてやるべき一番の事だと言うが,もし何時までも景気が悪ければ

解散総選挙せずに済むかと言うと,そうはいかない。

衆議院議員の任期が終われば,如何に景気がどんなに悪かろうと,も必ず解散総選挙はしなければならない。

現在の法律がそのようになっているからである。

::麻生首相はまず現在景気がよくしてから解散だとしているが、その景気の回復の気配は一向にみえてこない。

国民のことを考えない首相に対しては情けないというよりも,怒りをも感んずる。

それを座視し見過ごしている自民党議員も叉情けない話である。

今回の不況はアメリカののブッシュ政権下で起きたことである。それが世界に波及している。

不況は地震とか台風や津波のような天災ではなく,それはブッシュ政権下で起きた失政による大人災である。

それによって世界中の人たちが混乱の中に放り込まれてしまっている。

百年に一度ある不況ならば,百年に一度しか出ないような政治家がブッシュということなのか。

日本の小泉首相はブッシュに追随しての政治を行ってきた。日本はアメリカに先駆けて混乱を起している。

国民のことを考える為に,何を国民が一番望んでいるかを知るためにも,もっと早期の解散総選挙は必須である。

全て政府が勝手に法律を作って,法律でもって国民を縛ってしまうことには反対である。

法律の勝手解釈にも既に限界が出てきて,憲法までも変えようとしている。

学校での君が代での全員起立し斉唱し 国旗掲揚に対し礼をしない人を罰するのは如何なものだろうか。?

嫌な第二次大戦争中のような世の中にならないようにとの善意の行動と解釈できる行為とも思える。

何もかも法律に従わなければ罰則があるのでは,第二次大戦の頃と全く変らない。

戦争へと歯車が廻り始めれば,その勢いを止めることは不可能である。

一旦戦争になれば,協力しなければ,非国民となり罰せられて牢獄につながれてしまう世の中になるだけである。

第二次大戦中は勿論のこと,イラク戦争始めの頃,アメリカにおいても,戦争反対する市民達が拘束されているのをテレビで見ている。

そのテレビ放送はアメリカ内では放送されていないようだった。テロとの戦いで高揚した世論の為に報道を禁止する法律が作られていた結果である。

法律は秩序を維持するためにはどうしても必要だが,一方悪用されれば政権により都合の良いものとなってしまう。

日本では次から次へと法律が作られ,政府の思いつき 官僚の思いつきの法律でもって末端の国民はそれを遵守しなければ罰せられる。

後期高齢者などの言葉を創作したのは誰なのだろうか。? 立案した人の名前ははっきり明記し後世に残すべきだ。

アメリカのプライムローンなどを発案し認可した人たちの名前をも後世に残すべきだ。

現在の世界的不況は後世に残るような世界的な大人災を引き起こしている。

:現在,結果的にはイラク戦争はやるべきでなかったことてある。イラクにとってもだが,イラクで産出される石油の利権による裏のこと迄は判らない。

イラク戦争反対した市民達の判断が正しかった。

ブッシュは世界を混乱に落としいれてアメリカ大統領を辞めていってしまっている。

ブッシュからオバマ氏にアメリカ大統領がチェンジし,早速に悪評高い無法状態のキュウバ−でのグァンタモ基地,の捕虜収容所が解消されることは

大変明るいニュ−スだ。

何か世界に新しい明るい希望が見えてきて,大いに期待が膨らんでくる。

残念ながら日本では,麻生首相では日本の展望は開けてこない。

ブッシュにはこれからも優雅な余生はあるが,イラク戦争で死んでいった人たちには,ただ「哀れ」としか表現できない悲しみがあるだけである。











米国、いや世界が、
英雄を必要とするような時代にあると、
オバマ氏は承知しているのだろう







平成21年1月1日の天声人語よりの引用


歴史の不思議の一つは、世が乱れると、まるで天に意思があるかのように英雄や偉人が輩出することだろう。

太平の世に傑物は出にくい。

「英雄のいない時代は不幸だが、英雄を必要とする時代はもっと不幸だ」の名言が歴史の本質を言い当てる

▼今年が生誕200年のリンカーン米大統領もその典型といえる。

奴隷解放を宣言し、南北戦争の試練と国家分断の危機を乗り越え、戦争が終わるや暗殺されて天に召された。

人々の敬愛はいまも揺るぎない

▼そのリンカーンが就任の宣誓に用いた聖書を、オバマ次期大統領が20日の就任式で使うそうだ。

式では、聖書に手を置いて誓いを立てるのを伝統にしている。

偉大な先人にあやかって国民に決意を示す。

そんな思惑をメディアは伝えている

▼米国、いや世界が、英雄を必要とするような時代にあると、オバマ氏は承知しているのだろう。

つまりは困難な時代なのだ。

新しい年に、氏のかざす松明(たいまつ)が赤々と燃えるのか、それともくすぶってしまうのか、世界中が目をこらす

▼ひるがえってわが与野党を見わたせば、英雄らしきはどうも見あたらない。

だが「天に意思がないのか」と溜(た)め息をつくなかれ。

天下分け目の衆院選挙が秋までにやってくる。

人物がいないと嘆かず、一票の力で将来をつかむ。

天ならぬ「民の意思」の出番である

▼〈何となく、今年はよい事あるごとし。

元日の朝晴れて風無し〉啄木。

心機一転への思いもひとしおの初春。

ポケットの一票を研ぎ澄ましておいて、「よい事」をぐいと引き寄せる年にしたい。







小泉改革での甘い言葉に騙され民営化イエスかノだけの投票した国民の意思が今もってその衆議院議員数がものをいって

現在の国民の意思と反した方向に使われているように思える。

このことからの一票の重さは計りしれないが,希望は捨てないでおこう。小泉改革の米百票には騙された。戦時中も「勝つまではほしがりません」があった。

本人は出馬せず゜に子供が後を継がせるようだ。それにも拘わらずに本人は政治活動は止めないとしている。

どのような政治活動をするのか大変に興味がある。

ブッシュが大勢のアメリカの若者達やイラクの人たちをイラク戦争で殺しても悠々自適の老後生活とは変だ。









年賀状には、丑(うし)年のせいか、
「ゆったり」「マイペース」などを誓うひと言が目についた。
せかせか、いらいら。
現代人の性急さから牛は遠い








平成21年1月3日の天声人語よりの引用


元日の朝に近くの公園へ足を延ばした。

晴れて風はない。

澄んだ池に、裸の雑木が、それぞれの姿を落としていた。

〈冬の水一枝の影も欺かず〉中村草田男。

この句は、寒さに純化されて引きしまる、人の精神の風景のようにも思われる

▼日本海側は雪の新年になった。

元日や三が日に降る雪や雨を、「御降」と書いて「おさがり」と呼ぶ。

雨や雪は涙に通じ、降ることは「古」につながるとも言う。

あいにくの空模様を、天からの授かりものとして言祝(ことほ)ぐ言い換えである

▼〈まんべんに御降受ける小家かな〉と、信州生まれの一茶は詠んだ。

正月の雪は豊作の兆しとされてきた。

冬に積もる雪は、夏に田を潤す水となる。

晴れるも降るも空の恵み。

一茶らしい優しさの、句は発露だろうか

▼届いた年賀状には、丑(うし)年のせいか、「ゆったり」「マイペース」などを誓うひと言が目についた。

せかせか、いらいら。

現代人の性急さから牛は遠い。

悠々と動ぜぬたたずまいが、とりわけ今は共感を呼ぶのかもしれない

▼暮れの紙面に、本紙との記者交流で来日したニュージーランド紙のレベッカ・パーマーさんが書いていた。

東京で暮らした3カ月の間に、待つことがずいぶん苦手になったそうだ

▼「便利さや快適さ、効率などへの期待がずっと増した。

要するに、私はベストなものを今すぐほしがるようになった」。

日本社会の魔法だろう。


〈吾々(われわれ)はとかく馬になりたがるが、牛には中々なり切れない〉。

あの夏目漱石の言葉を反芻(はんすう)しながら、元日の朝、牛歩の価値に思いをはせてみた。





効率の破綻が現在の不景気をもたらしたことを忘れないことだ。

人の寿命は延びているが人の一生の期間は短くなっているような気がする。

効率・効率で忙しい毎日だ。








点字を考案したルイ・ブライユがフランスに生まれて、
きょうで200年になる







平成21年1月4日の天声人語よりの引用


生まれつき目が見えない河野(こうの)泰弘(やすひろ)さん(28)が、著書『視界良好』(北大路書房)に書いている。

「メールが届くといつも、封を切って手紙を取り出すような気持ちになります。

今度は誰がどんなことを……」。

差出人、件名と一字ずつかみしめていく

▼パソコンは普段、画面を音声で読み上げるソフトで操るが、メールだけは機械で点字に換えて読む。

字を追いつつ、相手の胸中までが見えてくるという。


その点字を考案したルイ・ブライユがフランスに生まれて、きょうで200年になる

▼3歳で失明、盲学校にいた15歳の時、軍の夜間伝令を参考に3×2で並ぶ点字をあみ出した。

六つの点で字や記号を表す方式はやがて世界に広がる。

目が見えなくても、読み書きを学び、主張し、創作できるようになった

▼中央大を出て、盲ろう者の介助に携わる河野さん。

幼いころから読書を重ねて興味を持ったのは、誰にも全容を見せない宇宙だった。

高校時代のキャンプで夜中にテントを抜け、一人静寂の中に立った。

満天の星であろう頭上から、何とも言えぬ温かい気配を感じたそうだ

▼視覚以外が磨かれるのだろう。

指先から知識を吸収し、鋭敏な枝を張る大樹を思い浮かべる。

鍋の卵が踊る音からゆで加減を計り、風の中に雨の兆しを嗅(か)ぐ。

河野さんが「見ている」世界を知るほどに、わが目に見えるものが頼りない

▼面識のない人と、見えない世界を一部でも共有できるのは、19世紀の偉人のお陰である。

点字、手話、外国語。

伝え合う手段は、人生と社会をずっと豊かにする。





目が見えない世界を想像するだけでも恐ろしい気持ちになる。でも現実には目の見えない人の方がゆったりとした生活を

しておられるのかもしれない。その人その人の心構えが全てなのかもしれないと考えたりする。










東京・日比谷公園の「年越し派遣村」で
貧しさとは無縁の銀行本店や高級ホテル、
皇居外苑、官庁街に囲まれ、
公園のテント村は異彩を放った








平成21年1月5日の天声人語よりの引用


冬空の下で鳴るアコーディオンは悲しい。

東京・日比谷公園の「年越し派遣村」で、ボランティアの女性が「故郷(ふるさと)」を歌っていた。

〈志をはたして/いつの日にか帰らん……〉。

目の前には衣食住を求めて、帰るべき場所のない列が伸びる

▼貧困の発信地としては絶妙だった。

メディアがひしめく都心。

貧しさとは無縁の銀行本店や高級ホテル、皇居外苑、官庁街に囲まれ、公園のテント村は異彩を放った。

しかも最寄りの役所は、健康と雇用に責任を負う厚生労働省である

▼足元から凍死者は出せないということか、省の講堂が「村民」に開放された。

国の鼻先に貧困を突きつけた主催者、なかなか考えている。

とはいえ、派遣村も講堂も本日限り。

数百人が寝場所を転々とすることになる。

非常時に命をつなぐのは「公」の仕事なのに、生存権は風前の灯(ともしび)だ

▼公の頂点、麻生首相は年頭会見で「悲観主義は気分による」と引用した。

好きな言葉というが、少なくとも、職を切られた人たちの落胆は気分によるものではなかろう。

危機のリーダーたる者、風を読む感度を求められるが大丈夫か

▼さらに欠かせないのが、限りある国力を目いっぱい引き出す力量だ。

せんえつながら麻生さんの書き初めで占えば、「安心」に続く「活力」の、最後の一画が弱々しくかすれた。

墨も腕力も足りていない

▼生活防衛を争点に、政治決戦の年が動き出す。

野党の面々は派遣村で「政治災害」打倒を誓った。

内外激動の年明け、首相会見の画面に流れた津波注意報に、もろもろの前途を思った。






世界政治の貧困の波が日本にも押し寄せて防ぐことが出来なかったことによるものだが,アメリカにただ追従してきた日本政府の

情けなさを嘆きたい。戦後60年たっても日本はアメリカから独立しえていない半植民地国家である。

互いに侵略するような戦争状態が発生すれば地球は消滅するときである。

全人類を何回をも破滅させるだけの核 即ち原爆 水爆は地球上に現在存在している。








断ち切れぬ「憎悪の連鎖」にまた火がついた
イスラエルとパレスチナである







平成21年1月6日の天声人語よりの引用


愛の反対は憎しみではなく無関心だともいう。

それなら憎しみの反対は何か、と考え込んでしまう。

断ち切れぬ「憎悪の連鎖」にまた火がついた。

イスラエルとパレスチナである

▼〈おれは 民衆を憎まない。

/おれは だれからも盗まない。

/けれどもだ、/もしも おれが怒ったなら/おれは わが略奪者の肉を食ってやる。

/気をつけろ、おれの空(す)きっ腹に、/気をつけろ、おれのむかっ腹に。〉。

去年他界したパレスチナの名高い詩人ダルウィーシュの一節だ(土井大助訳)

▼自身もイスラエルの建国で故郷を奪われた。

血を呑(の)んだ大地に立てば、胸の内の言葉は、そのまま相手への剣になる。

「愛の詩でさえ、ここでは抵抗の詩になってしまう」と生前語っていた。

互いの憎しみの深さに暗然とする

▼パレスチナ自治区ガザへのイスラエル軍の攻撃で、死者は500人を超えた。

片や、イスラム過激派のハマスは徹底抗戦で構える。

「世界の良心」のはずの国連は例によって音無しだ。

炎と煙の中で民衆の悲嘆がわき上がる

▼わが手元に、もう一人の「詩人」の本がある。

ハマスの自爆テロに遭って15歳で落命したイスラエルの少女、バット・ヘン・シャハクの『平和への夢』。

平和をこよなく願い、日記や詩文を残した

▼〈美しい言葉の裏側に/苦しみ、痛み、恐れ、不安の年月が/隠されています/でも、これらの言葉の倉庫には/もう一つの言葉がある――それは、希望〉。

憎悪の「火薬庫」からもう一つの言葉を救い出す。

切なる願いを、つなぎとめる術(すべ)はないか。



イスラエルによって囲まれているガザのパレスチナは大変気の毒な状態である。制空権はイスラエル側にあり空襲が絶えず

爆弾が落とされ続けている。パレスチナのハマスがロケット砲を撃つだけで生か正確度は低くイスラエルに落ちるだけだ

物質の補給はトンネルを通じて補給しているから物質は窮乏している。そのトンネルを利用して武器も運び込まれているようだ。

ガザに戦車で進攻されてはパレスチナも抵抗のしようがなく相手のなされるままでひどい被害が出てきている。

イスラエル内政の問題の為の侵行でではパレスチナもたまらない。白昼に大量虐殺がおこなわれているようなものだ。

大変な犯罪行為だが戦争となればそのことは問われないようだ。変な話である。







崖(がけ)の上のポニョ」ではなく、「肘(ひじ)の上のポニョ」の話だ
運動不足や偏食、過食が大きな要因らしい
きょうは七草粥(ななくさがゆ)で無病息災を願う日








平成21年1月7日の天声人語よりの引用


 しばらく前の週刊朝日で脚本家の内館牧子さんが「ポニョ」について書いていた。

「崖(がけ)の上のポニョ」ではなく、「肘(ひじ)の上のポニョ」の話だ。

二の腕に余分な肉がついてポニョポニョしている。


これは多くの中年女性が頭を痛める問題なのだという

▼ほかにも「腰の上のポニョ」やら「尻の下のポニョ」やら、生息場所は体中にあるそうだ。

だから油断は禁物らしいが、それは女性に限らない。

正月休みを終えて、わが身のポニョの気になる人が少なからずいるのではないか

▼最近は「正月メタボ」などと言うそうだ。

体を動かさず、もっぱら口を活躍させた結果である。

この年末年始は曜日の巡りで休みが長く、不況で「巣ごもり」が流行(はや)った。

ポニョの「作況指数」は、例年を上回る豊作になりそうである

▼人の肥満は農耕とともに生じ始めたといい、糖尿病との付き合いも古くさかのぼる。

時をへて、今や「国民病」の様相だ。

暮れに厚生労働省が、患者とその予備群は推計2210万人にのぼると公表した。

40代以上だと3人に1人が該当するそうだ

▼運動不足や偏食、過食が大きな要因らしい。

症状もなく忍び寄って体をむしばむ生活習慣病である。

正月についた「食っちゃ寝」の習慣と無駄な肉は、早めの退治がお勧めだ

▼天の配剤というべきか、きょうは七草粥(ななくさがゆ)で無病息災を願う日。

胃袋を休め、質素に食べて気を引き締め直すのもいい。

七草をとんとん刻めば、音が邪気を払ってくれるという。

ズボンやスカートの胴が楽になった気がしたら、それは儲(もう)けものである。






七草粥(ななくさがゆ)で無病息災を願うとは正月での食べ過ぎを少しでも改善させようとした昔の智慧なのかどうか。








さて定額給付金はどうだろう
「生活支援」だの「景気刺激」だのと衣装を着せても、
お里は結局「選挙目当て」だろう







平成21年1月8日の天声人語よりの引用


イソップの寓話(ぐうわ)には、正体を隠して着飾ってはみたが、結局はお里の知れる話がいくつかある。

たとえば「ゼウスと狐(きつね)」の狐は、神であるゼウスに動物の王の位を授けられる

▼しゃなりしゃなりと輿(こし)に乗る狐の目の前に、ゼウスは試しにコガネ虫を放す。

すると狐は輿から飛び出し、なりふりかまわず捕まえる。

ゼウスは怒って、狐を元の身分に戻してしまう。

衣装で本性が変わらないことを、この話は説く

▼さて定額給付金はどうだろう。

「生活支援」だの「景気刺激」だのと衣装を着せても、お里は結局「選挙目当て」だろう。


不人気が高じて、もはや効果も怪しいが、いまさら引けば面子(めんつ)をつぶすと、自公政権は輿を担いで右往左往。

新春の政治の、お寒い光景である

▼「生活給付金のイメージでスタートしたが、今は消費刺激に意義がある」。

首相の弁は臨機応変というよりご都合主義だ。

まずバラマキありきで、それから衣装。

「もらわない」から「もらう」「使う」と変節する閣僚らは、「景気刺激」という衣装の仕立屋に他ならない。

矜持(きょうじ)とやらは、どこへ行った

▼「さるかに合戦」の昔話を思い出す。

猿はおにぎりをすぐに食べるが、カニは柿の種を育てて実らせる。

2兆円の巨額である。

使うなら一時しのぎではなく、将来の安心につながる用途に、と望む「カニ派」は多い

▼道に迷ったときは、元の場所に戻るのが登山の鉄則だ。

無理に進めば危ないのは、あまたの遭難が教えている。

迷走から引き返して地図と磁石を見直す度量が、政府与党にありやなしや。





ばらまきは強行しようとするが手続きに色々とあり時期が来てしまって選挙後になる可能性もある。

それでは始めの思惑が外れてなんとなく間が抜けている。

頑張って早くばら撒かないと国民はさらにそっぽ向いてしまうかもしれない。








「木と紙の家」に暮らす日本人は、
火を畏(おそ)れ、火の災いを恐れてきた
そんな折、サッシメーカー5社の
耐火偽装が明るみに出た









平成21年1月9日の天声人語よりの引用


火伏(ひぶ)せのお札(ふだ)といえば愛宕神社が知られるが、変わり種もある。

あるお宅の台所で「火気の元火止まろ」なる札を見た。

古(いにしえ)人(びと)の姿も描かれていて、いわれは知らないが、万葉歌人の柿本人麻呂との語呂合わせらしい

▼かつては火鉢の炭を消すときも、灰をかぶせたあと火箸(ひばし)を×の形に刺すなどした。

火伏せのまじないであり、火の始末を確認する所作でもあった。

「木と紙の家」に暮らす日本人は、火を畏(おそ)れ、火の災いを恐れてきた

▼この冬、年をまたいで痛ましい火事が続いている。


富山では帰省中の家族ら6人が亡くなった。

首都圏では一家の4人が逃げ遅れ、幼い兄妹3人も団地火災の犠牲になった。

さらに各地で多くの人が炎に巻かれた

▼〈赤き火事哄笑(こうしょう)せしが今日黒し〉。

西東三鬼の句は火事の現場を詠んで不気味だ。

炎が高笑いするように生命財産をなめ、あとには黒い廃虚が残る。

住宅火災の死者は1〜3月が図抜けて多い。


炎の跳梁(ちょうりょう)を最も用心すべき季節である

▼そんな折、サッシメーカー5社の耐火偽装が明るみに出た。

窓に使うサッシの性能をごまかしていた。

国の調査には「不正はない」と答えているから悪質だ。

信頼を裏切るような企業には、ユーザーが大きな「×印」をつけるほかない

▼交通事故死者の着実な減少に比べ、火事の犠牲はなかなか右肩が下がらない。

2年後の6月までに全戸が火災警報器をつける決まりだが、目下の普及率はいま一つという。

現代版の「お札」というべきだろう。


細心の用心に文明の利器を加えて、大切なものを守りたい。




安全を犠牲してのサッシ性能のごまかしは実利 効率による儲けの行き過ぎである。

やはり世の中に少しでも役立っている思いが人間としてのモラル 生き甲斐ではなかろうか。

永遠の中での人間の一生はあまりにも短いことをば強く自覚すべきである。








ユダヤ人の安全のためなら何でも正当化される国への批判をこめた。
一人が「私たちが安全を考えなかったとき
これはナチスが強制収容所で、
ユダヤ人の脂肪から石鹸を作ったと言われた話をさす。







平成21年1月10日の天声人語よりの引用


戦火の絶えないパレスチナへ日本からも多くの報道写真家が入っていく。

広河隆一さんはその草分けだ。

1969年にイスラエルで写真展を開いたときの様子が著書『パレスチナ』(岩波新書)にある

▼写真展には「安全」という題をつけ、ユダヤ人の安全のためなら何でも正当化される国への批判をこめた。

感想ノートは反発であふれたそうだ。

一人が「私たちが安全を考えなかったとき、誰かが私たちの体から石鹸(せっけん)を作ったのだ」と書いていた

▼これはナチスが強制収容所で、ユダヤ人の脂肪から石鹸を作ったと言われた話をさす。

安全に必死にならなかったから虐殺が起きた――。

痛切な思いだろう。

だが、それが新たな悲劇につながっているとしたら、やりきれない。

パレスチナ自治区ガザへのイスラエル軍の攻撃に、国際社会の非難がわいている

▼700人を超す死者の多くは一般市民という。

国連の運営する学校にも砲弾を撃ち込んだ。


過激派ハマスへの攻撃と言うが、これほど巻き添えを生めば、もはや無差別に近い

▼戦火に巻き込まれる市民らを、専門用語で「付随的損害(コラテラル・ダメージ)」と呼ぶ。

人間の命の温(ぬく)みを前に、その響きはあまりにも無機的だ。

数字だけがあって一人ひとりの生と死はない。

攻撃する側の身勝手な論理である

▼紛争地の経験豊富な広河さんに「砲撃音から着弾までの数秒は生きた心地がしない」と聞いたことがある。

ガザの子らの、恐怖におののく報道写真が胸を突く。

安堵(あんど)を取り戻させる停戦へ、一刻の猶予も許されない。







ユダヤの民として迫害を受けたことを記憶して,イスラエルの民としてそのような同じような苦しみを他民族に

与えないようにとするような気持ちにはなれないものなのか。

イスラエルのガザへの攻撃はパレスチナ人に対する虐殺行為そのものになる。

ユダヤの民はやはり恐ろしい民族だとの思いを世界中に宣伝していることにはならないか。

自重して欲しい。イスラエルとパレスチナではイスラエルが遥かに武力的に優位の立場にあることは明らかだ。










与野党がもめている定額「給付」金も一例だろう
ばらまくという野党の言い換えはさておき、
納税者が見えていれば、還(かえ)すか戻すを使っていたはずだ







平成21年1月11日の天声人語よりの引用


正月気分は足早に去り、きょうが鏡開きという地方が多い。

供えていた餅は汁粉や雑煮で食すか、揚げて大根おろしで味わう手もあるそうだ。

〈鏡餅開く木槌(きづち)の音高く〉谷口佳寿

▼重ね餅の解体を、割るとか砕くとせず、開くというところに日本語の優しさを思う。

幸せを願っての行事だから、呼び名ひとつにも縁起を担ぐ。

もっとも、昨今は家庭用に小さく密封されたパック餅が出回り、開くという表現が妙にしっくりくる

▼食す/味わう、割る/開く……。変幻自在の動詞は便利だが、曲者でもある。

似たような仲間が多く控え、使い手の意を体して都合よく入れ替わる。

与野党がもめている定額「給付」金も一例だろう

その名に与党が組み込んだ給するという字には、目上から与える意味がある。

ありがたくいただきます、という反応を見込んでいたに違いない。

ばらまくという野党の言い換えはさておき、納税者が見えていれば、還(かえ)すか戻すを使っていたはずだ

▼国会序盤の論戦を動詞ひとつで表せば、質(ただ)すでも答えるでもなく、すれ違うだった。

質疑への罵声(ばせい)、答弁への怒号。

ともに当意即妙の芸には遠い。

のらりくらりの麻生節といい、永田町の冬景色は一段と寒い

▼神仏にすがりたくもなる。

三が日、主な神社仏閣への人出は計1億人に迫り、統計が残る74年以降の最多となった。

秋田県にかほ市に伝わる餅占いでは「100年に一度」の大きなひび割れが現れたそうだ。

こうなれば、凶兆さえも奮起の糧にしたい。

奮い起(た)つと動詞で書けば、少しばかり元気が増す。





定額「給付」金はもともと国民の税金から出されるものである。

多くの税金が自民党政権を支持する人たちにのみ還元しようとする傾向があらゆる政治の場でみられている。

この定額「給付」金は国民の多数の人たちを政権支持者にしょうとの思惑が見られる。

政権を維持し続けて利権で国民を釣ろうとしか見えてこない。

ばら撒いて景気を良くしようとする方法にはもっと他に確実な方法があるはずだ。

選挙目当てのばら撒きというよりも税金の無駄遣いである。

減税は政府が国民に与えると言う印象が少ないので前代未聞の「ばら撒き」をしようとしているしか見えない。

政府の無駄使いがきちんと全くされていずに選挙に勝つ方法がばら撒きんなのか。国民はそんな馬鹿ではないと信ずる。











ちゃんとした大人は公私の空間をきちんと分けて暮らす







平成21年1月12日の天声人語よりの引用


 大人と子どもを隔てる一線はいかようにも引ける。

夢を見るのが子ども、夢へと動き出すのが大人といった具合だ。

大人は○○しない、××するようではまだ子ども、という括(くく)り方もあろう

▼酔って道端に転がるとか、電車内で化粧や飲食に及ぶのは大人の所作とは言い難い。

言い訳で聞く「誰にも迷惑をかけていない」は、よい子のお約束のレベルだ。

ちゃんとした大人は公私の空間をきちんと分けて暮らす

▼これも電車での話である。

職場仲間らしき男たちが、社内の人物評や娘の趣味を車両中に届く声で「発表」していた。

同じように、講義のつまらなさを「広報」している学生グループにも出くわした。

聞き流すのも大人の流儀だろうが、酒が入る時間帯でもないのにと嘆息した

▼耳は音楽、目はケータイという乗客が多いとはいえ、車内は私的空間の寄せ集めではない。

お年寄り同士の大声ならまだしも、公の場で突然始まる「発表会」はつらい。

そこで浮かんだのが〈ひそひそ話ができる〉という大人の定義である

▼長ずるに従い、小声で話すべきこと、声を落とすべき状況が見えてくる。


耳元に寄る、口元を覆うなど、「会話の半径」を調節する技もまた、恥を重ねて会得するものだ

▼新成人は式典で、多くは退屈な来賓あいさつへの処し方を試される。

ささやいてこその私語であり、壇上から注意されるようなおしゃべりは奇声と変わらない。

トークの質はおいおい高めるとして、まずは「声の絞り方」を必修科目にお勧めしたい。

自分を外側から見る訓練でもある。





政治の世界に公私の区別が出来なくなっているので,

子供大人共にその公私の境界が何処にあるのかわからなくなっている人たちが多いのではなかろうか。








1月15日という日付を横綱双葉山が前人未到の69連勝のあと、
ついに敗れた日である そうした古い話も思い起こす、
横綱朝青龍の初場所の土俵である








平成21年1月13日の天声人語よりの引用


あさって1月15日という日付を、相撲好きの人は記憶にとどめているかもしれない。

大横綱双葉山が前人未到の69連勝のあと、ついに敗れた日である。

1939(昭和14)年のことだから今年で70年になる


▼作家の故・吉村昭さんによれば、ラジオは大喚声で何も聞こえなかったそうだ。

「勝った」「負けた」というアナウンサーの声がかすかにするだけで、どちらが勝ち、負けたのかも分からなかったという。

そうした古い話も思い起こす、横綱朝青龍の初場所の土俵である

▼励ましの声援はこれまでになく大きい。

初日に押し込まれたときは悲鳴らしき声も聞こえた。

「在りての厭(いと)い、亡くての偲(しの)び」と諺(ことわざ)に言う。

いるときは憎らしくても、いなくなったら寂しい。

引退の二文字に追われる窮地、似たような思いが声援の向こう側にあるのだろう

▼憎らしいほど強かった横綱北の湖も、負けが込むと「頑張れ」の声援が飛んだ。

引退する少し前のインタビューで「負けが先行すると気持ちが参る。

気持ちがダメなら、相撲は取れない」と言っている。

不格好でも白星が一番の薬らしい

▼ここまで書いて朝青龍の2日目を見ていたら、突き落としで早い勝負を決めた。

大きな拍手がわいた。万全ではないが何とか調子に乗れそうだ、とテレビ解説者は見立てている

▼双葉山に話を戻せば、さすがの不敗の代名詞も負けて気落ちしたか、翌日、翌々日と連敗した。

やはり負けないことが、勝つためには肝心らしい。

崖(がけ)っぷちに咲く「もうひと花」を見たいファンは少なくはないはずだ。





朝青龍には闘志はむき出しで,日本的な美である優雅さや静かさの強さは感じられない。









太陽はオバマ次期大統領、月はブッシュ大統領である
大勢の人が、1週間後に迫った「日の出」を足踏みしながら待つ








平成21年1月14日の天声人語よりの引用


先日に続いて万葉歌人の柿本人麻呂に登場願おう。

〈東(ひむがし)の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ〉。

東の空に日の出前の赤みが射(さ)し、振り向けば西に月が沈もうとしている。

名高い歌の光景を、米国民も感じているのではないだろうか

▼太陽はオバマ次期大統領、月はブッシュ大統領である。

大勢の人が、1週間後に迫った「日の出」を足踏みしながら待つ。

そして去りゆくブッシュ氏が一昨日、離任会見に臨んだ。

肩の荷を下ろしたかのような笑顔に、内外の目は複雑だろう

▼世界を一つの学級に例えてみよう。

ブッシュ時代の8年間、米国という腕白(わんぱく)坊主は好き放題をしてきた。

国連という「担任」などそっちのけ。

腕力にものをいわせて、気にくわない級友を痛めつけた

▼他の友達には「味方か、敵か」とすごんだ。

周りを混乱させ、反発も招いて、クラスはいっそう険悪になった。

おちおち廊下も歩けない、といったところか。

「最悪の大統領」とも酷評される理由の一端である

▼「米国の威信は落ちていない」と会見では強気だったそうだ。

ご本人はテキサスの牧場で余生を送るのだろう。

しかしイラク戦争の犠牲者や遺族、火薬庫アフガニスタン、貧困にあえぐ米国民、大不況……と残した負の遺産はあまりに多い

▼ブッシュ氏は、大学時代に俳句の授業を取ったのが秘(ひそ)かな自慢だ。

人麻呂の歌に似た俳句といえば、蕪村の〈菜の花や月は東に日は西に〉がある。

昇りくるのが太陽であれ月であれ、去りゆく氏を継ぐ新しいアメリカを、険しい道が待つ。






世界的な腕白坊主ブッシュが退場する。だが絞首刑にしても物足りない人たちがいることだろう。

ブッシュの戦争で死んでいった人たちの気持ちがそうだと思う。

再び同じような過ちを人類は繰り返さないことだ。








1958年、南極観測隊が15頭の樺太犬を昭和基地に置き去りにした
タロとジロの生存が、夕刊で大きく伝えられた。







平成21年1月15日の天声人語よりの引用 


かわいがっていた犬や猫を失って落ち込む人は多い。

「ペットロス」という言葉が当時あったかどうか知らないが、日本中が悲痛な思いでニュースを聞いたらしい。

1958年、南極観測隊が15頭の樺太犬を昭和基地に置き去りにしたときだ

▼第1次越冬隊と交代する2次隊は、氷と悪天に阻まれて越冬を断念する。

犬は鎖につないだまま残された。

万策が尽き、やむを得ない決断だったのは、映画「南極物語」などでご存じの方もおられよう

▼しかし、帰国した隊員には非難が集中した。

脅迫状も相次いだ。

身の危険もあったらしく、2次隊の副隊長だった故・村山雅美(まさよし)さんから

「警察が家の周りを警備してくれた」と聞いたことがある。

こうしたことは、昔も今も変わらない

▼置き去られて1年ほど過ぎた50年前のきょう、非難は感動に変わる。

タロとジロの生存が、夕刊で大きく伝えられた。

極寒を生き抜いて3次隊に再会した。

だれもが驚いたとみえ、翌朝の小欄も「英雄的生存」と興奮ぎみの筆を残している

▼「タロとジロは英雄になりましたが、死んだ13頭も忘れられません」と北村泰一・九大名誉教授(77)は言う。

1次、3次隊に参加し、犬係をつとめた人だ。


首輪のまま力尽きていた犬たちは、氷を割って全員で水葬にしたそうだ

▼「暗い海へゆらゆらと沈んでゆくさまに、人も動物も変わらない生命の荘厳を思った」と回想する。

動物ものの美談に涙しながら、多くの犬猫をガス室に送る今の世。

身勝手を憤るタロジロたちの声を、遠く聞くような50年の後である。






「タロとジロの生存が、夕刊で大きく伝えられた」と動物まで愛護する気持ちがある

一方で人間は毎日多くの人たちが苦しみ死んでゆくのを放置して見ている。









毎年この季節、東洋大学から届く「現代学生百人一首」を楽しみにしている







平成21年1月16日の天声人語よりの引用 


〈染みついた鉄のにおいがする髪をとかして思うもはや職人〉。

青森県の工業高校3年の女生徒、荒谷夏希さんの詠んだ歌だ。

北海道の農業高校3年、田守健太郎君は〈幼き日遊び場だった畑作地今では父と僕との職場〉とうたう

▼毎年この季節、東洋大学から届く「現代学生百人一首」を楽しみにしている。

急ぎ足で過ぎる青春の日々を、虫ピンで留めたような言の葉の数々。


22回目の今年は全国から6万3千首が寄せられた

▼入選作のテーマは様々だが、何と言っても人を恋う年頃だ。

〈君の名の漢字を辞書で引いてみる心のしおりそうっとはさむ〉高2、宮下唯(ゆい)。

〈こんなにもキレイにノートをとるのはね君に「貸して」と言われたいから〉高2、榊原香菜

▼そんな胸に、孤独や憂いのさざ波も立つ。

〈生も死も書けば一文字十五夜のすすきの中にぽつんとひとり〉高1、安藤弘理(ひろみち)。

〈見つけたらいけない気がする何故だろう青い色した幸福の鳥〉高3、鎌田美紅(みく)

▼でも頑張る。

〈駆け抜ける百メートルをおもいきりいらないものが削(そ)ぎ落とされる〉中3、鈴木花音(かのん)。

〈限界は僕が思うほど近くないぶつかるまでは走ってみようか〉高1、村崎(崎は山へんに竒)愛奈(まな)。

女の子の使う「僕」が、意外と爽快(そうかい)に響く

▼大人に言いたいことだってある。

〈平然と使われ続けた汚染米汚れているのは米か心か〉高3、合田(ごうだ)佳祐。

そして政治家にも。

〈日本にもオバマ旋風巻き起これみんな待ってる頼れる総理〉高1、松村かおり。

Yes we can。

希望の灯(とも)る世の中を未来の有権者も待っている。





選挙権に届かない人たちの思いをは大人はよく知るべきである。大人になれば汚れるてくるのかそれとも円熟してくるのかどちらだろう。










阪神・淡路大震災もすでに一昔を過ぎ、
今日で14年になる。起きる地震は止められない








平成21年1月17日の天声人語よりの引用 


ドラマ「君の名は」で知られる東京の数寄屋橋に、関東大震災の碑がある。

惨禍から10年を機に建ち、銅像の台座には公募で選んだ「不意の地震に不断の用意」の標語が刻まれた。

十年一昔(ひとむかし)、と言う。

風化していく記憶をとどめ、心構えを呼びさます思いをこめての建立だった

▼阪神・淡路大震災もすでに一昔を過ぎ、今日で14年になる。起きる地震は止められない。

だが被害は、増やすも減らすも人間次第である。


時の流れに抗して遺訓を生かす構えが、これまで以上に必要になってくる

▼あの日、都市を襲った地震の恐ろしさに誰もが息をのんだ。

個人や家族の防災意識は、かつてなく高まった。

だが「備え」とは、ゴールの見えぬマラソンのようなものだ。

いつしか走るのをやめて座り込んでいないか。家庭で職場で、確かめ合う一日にもしたい

▼わが国土の危うさを、ある専門家は「日本列島は現在も、地震をともなって創造中」と表現する。

東海、首都圏直下……。

あやぶまれる地震はいくつもある。被害の想定は、どれも背筋が凍りつく

▼たとえば近畿圏直下型が冬の正午に起きるとする。

関東大震災と同じ15メートルの風が吹けば、火災が多発して2万6千人が亡くなる。

早朝なら就寝中の倒壊が多く犠牲は4万2千人に。


助かるための行動も時と場所で違ってくる

▼「忘却とは忘れ去ることなり」は「君の名は」の名文句だった。

だがここは教訓を忘れずに汲(く)みつくし、生かしつくしたい。

そして14年を経て、なお悲痛の癒えない被災者の多いことも、また忘れまいと思う。





「災害は忘れた頃に来る」とされているが,現在の科学の知識では予知できれば良いほうで地震を止めることは出来ない。

地震に備えた設備に国民が住めれば良いが不可能なことだ。過去の教訓を如何に生かすだが,指導する立場の政府が

頼りないでは,頼りになるものは出来ないことだろう。






40年前のきょう、講堂を本丸にして
構内に立てこもる学生約700人の強制排除が始まった







平成21年1月18日の天声人語よりの引用 


生まれて初めて、東京大学の本郷キャンパスに立ち入った。

昭和史の舞台の一つ、安田講堂の前に立つ。

逸話の重さ、残像の激しさのためか、焦げ茶の建物は意外に小さく見えた

▼40年前のきょう、講堂を本丸にして構内に立てこもる学生約700人の強制排除が始まった。

出動した機動隊は8500人。


学園紛争の天王山、2日にわたる安田講堂攻防戦だ

▼学生の演説と警察の退去警告、上空の取材ヘリ。

講堂に向けて催涙弾と放水、逆の弾道で火炎瓶と投石が飛び交った。

警視庁の担当課長として現場を指揮した佐々淳行(さっさ・あつゆき)さんは、それらが織りなす音の渦を「交響曲不快」と表現する

▼先々の不利益を承知でとどまる学生らは、命がけで職務にあたる機動隊員に必死で抵抗した。

講堂に籠城(ろうじょう)した島泰三(たいぞう)さんの著にある。

「人生の暮れ方に至っても、私は後悔していない。

歴史のひとつの局面で、果たすべき義の一端を担うことができたのは、わが人生の欣快(きんかい)である」

▼賛成の代わりに「異議なし!」、反対と言わず「ナンセンス!」。

全共闘の運動を革命ごっこと嘲(あざけ)るのは楽だが、ベトナム反戦でも大学改革でも、時代と社会に向き合う一途さはまぶしい。

その「熱いバトン」を落とした世代の、勝手な感傷だろうか

▼テレビの特番で、佐々さんが昨今の青年の冷めようを案じていた。

「若者は怒らなきゃ。

40度は困るが38度くらいの熱は出してほしい」。

あの週末と同じ冬晴れの構内を、センター試験の受験生が埋める。

「果たすべき義」に出会える日々、彼らにありやなしや。







動乱の時代だったが戦後の通るべき道でもあった。なんとか社会を良くしょうとする熱気があったが,これもこの時代の出来事としか

きおくされていない。日本復興の立役者だった人たちが高齢者として冷遇され出している。










推理・恐怖小説の父が米国ボストンに生まれて、きょうで200年になる
ポーの40年の生涯は酒と貧困の中で終わった









平成21年1月19日の天声人語よりの引用 


そう言われれば、という至言に出会うのも小説の楽しみだ。

「星は正面から見つめるより、斜めにチラリと見た方が輝きを増す。

過ぎた深読みは推理を惑わせ、弱めてしまう」。

エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」で、警察を出し抜く探偵デュパンの持論である

パリの母娘惨殺事件を謎解きするこの短編(1841年)により、本格ミステリーの歴史が始まったとされる。

推理・恐怖小説の父が米国ボストンに生まれて、きょうで200年になる

▼ポーの40年の生涯は酒と貧困の中で終わったが、同時代と絶縁したかのような作品は輝きを保つ。[

探偵が活躍する筋立て、科学的な視点は、後の大衆文学に大きな影響を与えた


▼日本でも大正期、新進作家の平井太郎が同じ分野を開拓しようと、筆名を江戸川乱歩に改めている。

乱歩の明智小五郎はもちろん、ホームズもポアロも金田一耕助も、探偵の先輩デュパンの遺伝子をどこかに受け継いでいるはずだ

▼ミステリー小説に関するアンケート結果が、本紙別刷り「be」にあった。

約3千人が選んだ「好きな日本の作家」の上位は、宮部みゆき、松本清張、東野圭吾の各氏。

生誕100年の大御所と平成の売れっ子たちの「競存」は、この分野の成熟を語る

▼構想やトリックはあらかた書き尽くされ、創作には先駆者とは違う苦労があろう。

しかも、小説より奇なる犯罪が日々報じられている。とりわけ不可解なのは動機である。

「誰でもよかった」とする心の闇は、どんな名探偵が「斜めに」のぞいても暗黒のままだ。






江戸川乱歩の探偵小説に読みふけった時代もあった。明智小五郎のような正義感に満ちた法曹人が何処におられるのかと

思うほどに政治の嵐に巻き込まれているような司法界の現在だ。










オバマ次期大統領の就任式が明日(日本時間)に迫り、
かの地の盛り上がりは最高潮のようだ







平成21年1月20日の天声人語よりの引用


短いコラムを書きながら言うのも気が引けるが、ものごとを簡潔に述べるのは、そう簡単ではない。

長い文より苦心することも多い。

「今日は急いでいるので長い手紙になってすみません」。

そう断って書き出した西洋の賢人がいたのを思い出す

▼スピーチにも似たところがある。

「1時間の話なら今すぐ始められるが、10分の話は準備に1週間かかる」と、これは米国の28代大統領ウィルソンが言った。

ノーベル平和賞を受けた人で、なかなか雄弁家でもあったらしい

▼さて、オバマ次期大統領の就任式が明日(日本時間)に迫り、かの地の盛り上がりは最高潮のようだ。

祝祭的な華やかさは戴冠式(たいかんしき)を思わせる。

そして就任演説を、米国だけでなく世界が耳を立てて待つ。

その演説は長いだろうか、それとも短いのだろうか

▼長きがゆえに貴からずの模範は、オバマ氏が仰ぐリンカーンのゲティズバーグでの演説だ。

「人民の、人民による……」で知られる不朽の演説は272語、わずか3分だったと伝えられる

▼直前に登壇した弁士は2時間の大演説をぶったが、こちらはとうに忘れられた。

短さゆえというべきか。

リンカーンの言葉は言霊(ことだま)を宿したかのように聴衆をゆさぶった。

オバマ氏も十分意識しているに違いない

▼あのケネディもリンカーンをお手本に就任演説を練り上げた。

「私は」ではなく「我々は」を多く用いた若々しい15分は、歴代で何番目かに短く、名演説の誉れが高い。

世の憂さはしばし忘れて、これも歴史に残るであろう明日の演説を興味津々待つとする。




テレビを見ていてアメリカの熱気が伝わってくるようなオバマフィバ-である。

現在の世界的な不況は台風のような自然現象ではない。

全てブッシュ政権下のアメリカ発の政治の結果で人工的であることを忘れないことだ。ブッシュの責任は大変重大である。









そんな大寒のきのう、東京は春の陽気から一転、真冬に戻った








平成21年1月21日の天声人語よりの引用


色のとぼしい季節だが、近くの公園を歩くとささやかな黄色が目に入る。

枝にロウバイが咲き、地面には福寿草が光る。

ロウバイの花に顔を寄せると、ふくよかな香が鼻先に漂う

▼福寿草を「日溜(ひだ)まりに寄り合ったカナリヤの雛(ひな)の感じ」と言ったのは俳人の飯田龍太だ。

たしかに、眺めていると雛のささやきが聞こえる気もする。

その飯田に〈大寒の一戸もかくれなき故郷〉がある。

木々が冬枯れて「透明度」を増した村里をきりりと詠んだ名句である

▼そんな大寒のきのう、東京は春の陽気から一転、真冬に戻った。

だが最近の天気予報は至れり尽くせりだ。


朝、外気を体感しなくても、テレビの女性が代わりに寒さに震えてくれる。

「厚めのコートを」「マフラーも」。

忠告通りの身支度で家を出れば間違いはない

▼インターネットの予報はさらに多彩だ。

洗濯指数に星空指数、紫外線指数。

冬季限定で風邪引き指数、肌荒れ指数。


鍋物指数なるものもある。

ありがたいが、頼りすぎて人間の「お天気感覚」が退化しないかと心配になる

▼民俗学の宮本常一は少年のころ、隣の森を鳴らす風の音と、海の波音で天気を知ったという。

北風が低い澄んだ音で森に吹けばきっと快晴。

そうした具合で、「森と波は私の気象台でもあった」と回想している

▼思えばわが少年時代にも「気象台」はあった。

西に連なる山の見え方隠れ方で天気の見当はついた。

雪が来るのも予測できた。

遠い昔の記憶である。

そして新たな「気象台」を身近に見つけるのもいいと、大寒の寒さの中で思った。










オバマ大統領の生まれたころに黒人が置かれていた、隠れもない現実である
黒人初の大統領は就任演説で述べた









平成21年1月22日の天声人語よりの引用


モハメド・アリ氏の、選手時代の逸話を思い出した。

まだカシアス・クレイの名前だった若いころ、ローマ五輪のボクシングで金メダルを獲得して意気揚々と帰郷した

▼祝賀会のあと友人とレストランに行った。

だが「黒人はお断りだ」と追い払われる。

彼は怒りに震えてメダルを川に投げ捨てた。

脚色された「伝説」と言われもするが、オバマ大統領の生まれたころに黒人が置かれていた、隠れもない現実である

▼「つい60年ほど前はレストランで食事もさせてもらえなかったかもしれぬ父を持つ男がいま、あなた方の前に立っている」。

黒人初の大統領は就任演説で述べた。


奴隷制以来の過酷な差別を思えば、「大統領になったことが最大の仕事」の声が上がるのもうなずける

▼それは、自由と平等をかかげた建国の理想の体現だった。

だがその「大仕事」はきのうで終わり、今日からは容赦のない現実が待つ。

膨らむ期待は、世界に満ちる不平、不満、不幸の裏返しにほかならない。

さらに不安、不信、そして不穏。

「不」が渦巻く荒海への、いわば船出である

▼米国の大統領とは、多種多様な国民が、その時代に求める「かくあらねばならないアメリカ」の象徴といえる。

首のすげかえといったお手軽な話ではない。

そして期待の横で常に、失望が深々と口を開けている

▼歴史的な就任式にはアリ氏の姿もあったそうだ。

メダルの一件以来、人生をかけて差別と闘ってきた人である。

人種問題を乗り越え、さらなる困難に旅立つオバマ氏に、大きなエールを送ったに違いない







敗戦後に日本の教育でアメリカは差別のない立派な国だと教えられていた国でオバマ氏のお父さんの時代にもレストランでの差別は

ひどすぎる。外面と内面は違うのだろうか。新しいインディアンの原住民以外に外来の人たちばかりだから差別がないように思えるが。









規制緩和という「乱伐」は、企業の保水力をガタ落ちさせた
不況の雨が降れば、すぐに鉄砲水となって働く者を押し流す







平成21年1月23日の天声人語よりの引用


渡辺白泉(はくせん)という俳人の名を知らない方もおられようが、この30日に没後40年を迎える。

昭和の初めに新興俳句を担った人で〈街燈(がいとう)は夜霧にぬれるためにある〉といった面白い句を残している

▼厳しい批判精神でも印象深い。

戦争が始まると、17文字でその本質に迫った。

〈夏の海水兵ひとり紛失す〉。


船から落ちるかして、水兵が行方不明になったのだろう。

それを「紛失」と言い表した。

人が部品か工具のように扱われる様が、万の言葉にも増して浮かぶ

▼白泉なら、いまの「派遣切り」をどう詠んだだろう。

人材派遣会社の団体からメディアに、「雇い止め」にはその言葉を使わないよう要請があった。

しかし言い換えても、弱い立場の非正社員を便利なクッションに使う実態は変わらない

▼山の木々を乱伐すれば保水力は失われる。

規制緩和という「乱伐」は、企業の保水力をガタ落ちさせた。

不況の雨が降れば、すぐに鉄砲水となって働く者を押し流す。


もはや不要な人員は、企業にとっては「紛失」でさえない

▼よく知られる白泉の句に〈戦争が廊下の奥に立つてゐた〉がある。

いつしか身近に忍び寄っていた戦争が暗がりにぬっと立っている。

戦慄(せんりつ)的なイメージに背筋が寒くなる

▼「戦争」を「失業」に言い換えれば、派遣労働の緩和を詠んだことになろうか。

これほど経営者に都合よく、労働者に酷な制度の正体に気づくのが遅すぎたという、反省も込めてのことだ。

働く場での人間の復権を願いつつ、「雇用の安定」をめぐる春闘の、労使の議論の深まりに期待する。






立派な人たちが過去に大勢いられたが,時勢の濁流に全て流されていっている。

派遣労働者を発案したのは誰か。松下幸之助氏は昭和始めの大不況時でも社員は解雇しなかった。

会社が資本家のためにあるのか,働いている人たちのためにあるのかの判別が必要である。

株主に同じように配当していて,労働している人たちの賃金を下げるのは如何なものか。

まして解雇するのはもっての他で,先に株主の配当は減額か無配にすべきだ。









東京の亀戸天神「うそ替え」によって、
自分が去年ついたうそ一切を清算するそうだ
優しいうそなら天神様も許してくれようが、
帳消しにできぬ悪質なうそも世に多い








平成21年1月24日の天声人語よりの引用


ウソという鳥をご存じだろうか。

その名にちなんだ「うそ替え神事」がこの週末、東京の亀戸天神などである。

去年買ったウソの木彫りを神社に納め、新しいものに替えると、去年起きた悪いことが全部うそになって幸せを招くとされる

▼「うそ替え」によって、自分が去年ついたうそ一切を清算する意味もあるそうだ。

優しいうそなら天神様も許してくれようが、帳消しにできぬ悪質なうそも世に多い。

今なら「振り込め詐欺」あたりが、その筆頭だろう


▼だまし取られた金額は昨年、276億円にのぼった。

秋までは過去最悪のペースだったが、官民あげての取り組みが効いて免れた。

とはいえ半端な額ではない。

プロ野球全球団の選手の年俸総額に、おおむね匹敵する

▼被害がワースト2位の神奈川県警は、新たな作戦に打って出た。

詐欺だと気づいても、だまされたふりをして金を手渡す約束をしてもらう。

そこへ捜査員が同行する。

うそを以(もっ)てうそを制する作戦だ。

見事に功を奏して、おととい男を逮捕した

▼「相手をだまそうと熱心な者ほど、まんまとだまされやすいものだ」と言う。

攻めるにかまけて、守りはがら空き。

詐欺師のスキを作戦は突いたとみえる。

こんなうそなら天神様もお目こぼしだろう

▼うそ替え神事の日は「身が引き締まる思いがする」と、作家の半村良が冗談めかして書いていた。

なにせ毎年、原稿用紙何千枚もの「うそ」を創作しているからだという。

作家の「二枚舌」なら上手なほど楽しめる。

だが詐欺師の舌には、くれぐれも用心が必要だ。








嘘も方便でよい嘘と悪質な嘘とがある。振り込め詐欺は典型的な悪い嘘で,もっとも悪いのは何々はしないと嘘をついて

政権をとれば公約はほったらかして好き放題にする嘘が一番に性質が悪い嘘である。








東京・上野の都美術館で、生活の中の芸術を訪ねる
「アーツ&クラフツ展」が始まった。
近代デザインの源流とされる
英国の装飾家、ウィリアム・モリスらの作品と、
その流れをくむ柳宗悦(やなぎむねよし)らの
民芸運動を紹介している









平成21年1月25日の天声人語よりの引用


 就任の前日、オバマ米大統領は若年ホームレスの支援施設でペンキ塗りを手伝った。

超大国のかじ取りと違って、部屋は壁の色ひとつで「チェンジ」「再生」する。

偉人が塗った青に囲まれて寝起きすれば、日々の気構えも違ってこよう

▼そこで過ごす時間が長いほど、住居内の景色は重要だ。

壁の色で気分は変わり、いつもの天井で我に返る。

暮らしの中の品々、例えば慣れ親しんだ家具や食器に、沈んだ心を救われることもある

▼東京・上野の都美術館で、生活の中の芸術を訪ねる「アーツ&クラフツ展」が始まった。

近代デザインの源流とされる英国の装飾家、ウィリアム・モリスらの作品と、

その流れをくむ柳宗悦(やなぎむねよし)らの民芸運動を紹介している(4月5日まで)

▼物質文明が開花した19世紀後半、モリスは時代に逆らい、手仕事や自然に価値を求めた。

「いちご泥棒」と名づけた染色デザインは、庭の実をついばむツグミからの着想という。

タイルや壁紙にも、職人仕事の動植物が息づく

▼芸術は大衆の幸福のためにあると考えたモリスは、社会主義の運動にも加わった。

ところが、機械化を嫌った作品は大衆には縁遠い価格となり、もっぱら資本家たちの豪邸を飾る。

「芸術の民主化」にはあと何十年か必要だった

▼〈役に立たないもの、美しいと思わないものを家に置いてはならない〉。

モリスの挑戦的な価値観は、現代人の審美眼を一撃する。

便利で見栄えのいい大量生産の海から、自分だけの一品を手に取るのは楽ではない。

さて、コップあたりから始めてみようか。





美は普遍性のものかと思うとそうではなくて,時代 とか国により異なる。個人個人に於いても異なってくる。

○○賞でもとれば俄然にその作品が俄然に良く見えるのが不思議である。








初場所に進退をかけた朝青龍が賜杯をさらった。







平成21年1月26日の天声人語よりの引用


存在より不在が気になるのが看板役者というものだろう。

不在のツケを倍にして返されては大看板と認めるほかない。

初場所に進退をかけた朝青龍が賜杯をさらった

3場所の空白や引退説がうそのような復活だ

▼白鵬との優勝決定戦。左から崩して頭をつけ、一気に寄る。

最盛期の、運動神経の塊がそこにあった。

「朝青龍が帰ってきました」の言葉にうそはない。

勝ち名乗りを座布団が直撃したが、構わず両手を突き上げた

▼日を追って、ふてぶてしさが戻ってきた。

目を三角にとがらせ、締め込みをポンとはたいて気合を入れる


だめ押しの悪癖、感情丸出しの形相が、久々に観衆の心を波立たせた。

やんちゃな存在感は、安定感がまわしを締めたような白鵬と対をなし、両雄で一双の屏風(びょうぶ)絵が完成すると改めて思った

▼敵役が強いほど物語は盛り上がる。

ところがこの敵役、最後には倒されるというお約束や、もろもろの批判までを寄り切り、主役に返り咲いた。

強くて客を呼べて、国技だ品格だと言わねば理想のプロ格闘家である

▼今場所の収穫がもう一つ。

新入幕で勝ち越した山本山だ。

目方250キロの自称「どんぶり王子」は、ふくよかな容姿で癒やし、ほんわか発言で和ませる。


懸賞金の使途を聞かれ「しゃぶしゃぶかな。

タレはポン酢派」というのがあった。

こんな時代にはうれしい存在だ

▼早く出世し、あの腹で横綱を受け止めてほしい。

勝敗が決した後の朝青龍の挙動、山本山のコメントには、食後酒に通じる楽しみがある。

酔えるかどうかは好みの問題だが。





相撲界には糖尿病が多いらしい。医学的には内臓脂肪ではなくて皮下脂肪だというが,あれだけの巨体の集団でメタボノ人がいないというのは

信じられない。臓器に障害有るような人は良心的に,大きいからとして相撲取りに採用するのは如何なものか。

国技とするのも恥ずかしい世界のような気がするが。伝統的な悪い習慣は止める勇気も必要かと考える。








ニューヨークで旅客機を川に不時着させ、
155人の命を救ったサレンバーガー氏である






平成21年1月27日の天声人語よりの引用


週刊朝日の名物編集長だった扇谷正造(おうぎや・しょうぞう)は、部下への助言もふるっていた。

締め切り日、取材メモを前に苦吟する新人の肩をたたき、決まってこう語りかけたという。

「とにかく大変だった、と書き出してみたまえ」

▼材料は山とある。

ニュース原稿はもともと劇的な話を取り上げるのだから、誘い水さえ垂らせば流れ始めるというわけだ。

〈とにかく大変だった。

見渡す限り火の海である……〉といった調子か

▼機長のスピーチもまた、「とにかく大変でした」と切り出すことができただろう。

ニューヨークで旅客機を川に不時着させ、155人の命を救ったサレンバーガー氏である。

自宅のある西海岸での祝賀会で、初めて公の場で口を開いた

▼氏はしかし、「大変さ」には触れなかった。「経験豊かな乗員がそろい、みんなが訓練通りに仕事をしたまでです」。

映画化を先取りしたような、大衆の期待にたがわぬ謙虚な言葉だ。

両エンジン停止で始まった「ハドソン川の奇跡」。

全員生還という事実の熱さゆえ、乗務員の冷静さが際立つ

▼上空900メートルから窮余の着水で責任を果たした機長、

パニックをこらえ翼の上で励まし合った乗客たち、いち早く駆けつけたフェリーやレスキュー隊員。

主役も脇役も「自分の仕事」をやり遂げた


▼経済を筆頭に「とにかく大変」ばかりのご時世。

日本と世界のエンジンは辛うじて動いてはいるが、危機にはあらゆる分野でプロ意識が試される。

奇跡や祝賀会とは無縁でも、職業人それぞれがきっちりと自分の仕事をし、上昇気流を待ちたい。






エンジンに鳥達が吸い込まれてエンジンが止まったようだが,その後の機長の判断 行動は大変に素晴らしいことである。

全員無事だと言うのは奇跡に近い話である。でも現在の科学でエンジンに鳥が入らないような技術が何故に発達していないのが

大変に不思議に感ずる。








与党が押さえる衆議院と、野党が握る参議院がまた衝突した







平成21年1月28日の天声人語よりの引用


荘子の「無用の用」は、役に立ちそうもない物事が実は有益という教えだ。

「遅々として進む」移行期の政治は、この言葉を唱えながら追いかけたい。

もめる国会にも、各党の真剣さを吟味できる「用」がある

▼与党が押さえる衆議院と、野党が握る参議院がまた衝突した。

きのう成立した第2次補正予算には、悪評の定額給付金のほか、高速道料金の引き下げ、妊婦健診の無料化など玉石が交じる。

参院は「2兆円の石」である給付金を除いた修正案を可決し、衆参の議決が分かれた


▼両院協議会の議長をくじ引きで取った野党は、徹底協議を求めて両院協を引き延ばす策に出た。

これで補正予算の成立が1日遅れ、麻生首相の施政方針演説も本日に持ち越された

▼給付金の怪しさ、筋の悪さは国民が見抜く通りである。

郵政選挙の、つまりは4年前の民意を頼りに、これをごり押しする与党にはあきれる。

とはいえ、自民党にさらなる造反が出る兆しはなく、野党の攻め手も限られてきた。

くじで稼いだ1日は世論を意識したものだろう

▼世界的な経済危機の中、米国は新大統領で再生へと踏み出したのに……とは嘆くまい。

これも政治決戦のコスト、陣痛のようなものだ。

各党の振る舞いは、総選挙で一票を投じるよすがにもなる。

しかと見届けたい

▼それでも両院は政策を決めるためにある。

決戦の年とはいえ、与野党は妥協点を探る器量も見せてほしい。

国民生活ほったらかしで政争に明け暮れるだけの国会なら、荘子もかばいようがない無用の長物だ。

醜院、惨院である。






現在の混乱は衆議院解散総選挙しない結果であることは内閣の支持率低下から見て内閣の責任にある。

でもそのような政府の政治下で国民は不満は貯まるだけである。








東京の築地市場には、こうした玄人筋の何倍もの素人が訪れる
銀座の隣町に世界屈指の魚市場がある幸せは
「あと5年限り」とされている
管理者の東京都が、2キロ離れた埋め立て地に
市場を移す方針のためだ








平成21年1月29日の天声人語よりの引用


都心で有名すし店を営む中澤圭二さん(46)は、いい種(たね)を仕入れるコツは「魚屋さんとの信頼関係に尽きる」という。

「魚を開いてみたらダメだった」という失敗に懲りたら「足繁(しげ)く築地に通うしかない」(『鮨屋(すしや)の人間力』文春新書)。

魚河岸に30年通う料理人の明快な結論だ

▼東京の築地市場には、こうした玄人筋の何倍もの素人が訪れる。

とりわけ、大きなお金が動くマグロの競りは外国人に人気がある。

マナー違反から禁止されていた見学も再開され、観光地の活気が戻ってきた

▼ただ、銀座の隣町に世界屈指の魚市場がある幸せは「あと5年限り」とされている。

管理者の東京都が、2キロ離れた埋め立て地に市場を移す方針のためだ。

老朽施設を建て替えるより安上がりという

▼移転先のガス工場跡からは、環境基準の4万3千倍のベンゼン、930倍のシアン化合物が見つかっている。

去年の調査では、強い発がん性のある物質が過去の公表値の115倍の濃度で検出されたのに、都は有識者の専門家会議で示さなかった


▼不穏なデータは移転反対派を勢いづかせる、そんな浅慮はないか。

都は「土は浄化する」という。

だが、食にかかわる情報にわずかでも濁りがあれば、魚のプロも消費者も安心できない

▼わが仕事場から見れば、23ヘクタールの市場内外に雑多な店が寄り添い、冬日を浴びている。

1世紀に近い歳月、幾千の信頼関係の上にこれがある。

首都の台所を移すからには、板前さんの包丁さばきと同じこまやかさが必要だ。

「開いてみたらダメだった」は許されない。





政治の力の偉大さを感ずる。トップが何が何でもするといえば部下達はそれに従わねばならない。

食べ物に危険な所に市場を移転するのはどうか疑問である。都民の命にかかわることだ。

不況下での東京オリンピックも見直すべきだと思う。もっと優先すべきことが沢山あるように思う。








米国で生まれた男6人、女2人の八つ子である
680〜1470グラムの未熟児ながら、
帝王切開による5分の「安産」だった。






平成21年1月30日の天声人語よりの引用

 まとめて助数詞と呼ぶそうだが、ものを勘定する言葉は奥深い。

生き物は匹で足りると思いきや、ウサギは羽(わ)、イカは杯(はい)、チョウは頭(とう)とも数える。

では、それらを生き物たらしめている命はどう数えるのだろう。

草花にもあるから人(にん)や体(たい)ではなく、個も違う

▼とりあえず、八つの命が送り出されたと書く。

米国で生まれた男6人、女2人の八つ子である。

680〜1470グラムの未熟児ながら、帝王切開による5分の「安産」だった。


八つ子は米国で2例目、全員が元気に育てば世界初のケースになるらしい

▼医師団は赤ちゃんにA〜Hの仮称をあてて様子を説明した。

マージャン好きが「2卓成立」と祝し、野球ファンが「あと1人」と驚く数である。

八つの未来に八つの幸あれと願う

▼めでたいニュースの傍ら、小さな命の受難を伝える外電が絶えない。

イスラエルのガザ攻撃による死者には、400人を超す子どもが含まれるという。

国際社会が守り切れなかった命たちだ


▼一般に、弱い生物ほど卵や子の数が多い。

多くは成長せず、子孫を残すことなく消えてゆく。

ゆったりと海を漂うマンボウは、守ってやれない卵を3億個も放つという。

ヒトが出産する数は少ない。

家族や社会に見守られ、大切に育てられるからだが、その前提が危うい境遇も多い

▼命に決まった助数詞がないのは、軽々しく数えてはならぬという戒めにも思える。

どれもオンリーワンの輝きを放つ人生を、束ねたり、重ねたりはできない。

白紙の未来もろとも摘まれる命を、どんな言葉で数えられようか。





八つ子とは大変に凄い話である。それも一度に生まれるとは。自然によるのか人工授精によるのか。








1月の言葉から





平成21年1月31日の天声人語よりの引用


戸外ですする甘酒やココアの湯気がひときわ白い。

自販機のあったか飲料を、両手のひらで転がしてから開ける候。

くらしの底冷えが重なる冬に、人の温(ぬく)もりを探す1月の言葉から

▼東京・日比谷公園の「年越し派遣村」。

所持金1千円で身を寄せた男性(41)は「このまま野垂れ死んでもいいかなと思った時もあったが、

今ほど人の情けを感じたことはない」


▼「切る」のをこらえる経営者もいる。

新潟県妙高市で80人の土建業を営む岡田巌さん(61)。

公共事業が減る中、エビの養殖や有機野菜づくりに乗り出した。

「新たな挑戦といえば聞こえはいいが、仕事を作るためにもがいている。

歯をくいしばって雇用を守らねば」

▼05年の耐震強度偽装事件で取り壊された東京都稲城市のマンション。

住民平均1700万円の追加負担で新住居が完成した。

建て替え組合の理事長、赤司(あかし)俊一さん(41)は「みんなで勉強して建てたマイホーム。

単なる購入者同士の付き合いではない、住民の輪が育った」

▼「それまで火災現場に近づく市民は『消火の妨げ』だと思っていた。

阪神大震災で助け合いの大切さが身にしみた」

神戸市消防音楽隊の山本将吾さん(41)は、小中学校などを「いのちのコンサート」で回る

▼国内最年少、生後17日で生体肝移植を受けた仙台市の伊達香凜(かりん)ちゃんが年末に退院。

肝臓の一部を娘に提供した父聖伸(きよのぶ)さん(33)がブログに感謝をつづる。

「小さないのちをここまで支えてくるのに、どれだけの人の手と力がかかっていることかと、頭(こうべ)を垂れる気持ちになります」









軍歌の役割と神社と寺院





軍歌は大東亜戦争中に子供達も熱心に覚えて歌ったものである。戦争中は大東亜戦争だが敗戦後は

第二次大戦と呼ばれるように変った。天皇も叉人間宣言しているが。

太平洋戦争」という呼称は、被占領期に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の占領政策における検閲(「大東亜戦争」の語を「太平洋戦争」へ

強制的に書き換えさせた)によって定着した名称であり、当時の日本側の公式な呼称は「大東亜戦争」である。

現在の日本政府は「太平洋戦争」と「日中戦争」(支那事変)と区別し呼んでいる。

なお、「太平洋戦争」あるいは「大東亜戦争」はその期間を巡って当初より議論がある。  -インタ-ネットよりの引用-


小学校の講堂の外壁には「撃ちてし止まん」「贅沢は敵だ」「勝つまではほしがりません」などのスローガンが

掲げてあった。

小泉改革の「米百俵」の話も「勝つまではほしがりません」に通ずる話ではないかと理解している。

現在辛抱すればきっと将来よくなるとの話で,国民はコロリと騙されて自民党に大量の票が集まった。

郵政民営化を賛成するか反対するかの選挙だったようだ。

大量の自民党議員が当選して,本当に必要な所が改革を放置したままで,国民に密接した所だけをガタガタにして

二期の間,総理大臣を務めてその改革の結果を見ずして止めていっている。

次回の衆議院選挙には出馬しないが息子が出馬して政治活動は止めないとしている。

何処までずる賢い行動する人か訳がわからない。

靖国神社参拝でマスコミを賑わし国民の気持ちを無視して中国・韓国などの近隣諸国より非難があり

在任中はアメリカのブッシュと大変仲が良くて,一方近隣諸国との友好関係の外交は殆んどなかった。

その後は次第に改革の効果?が出て来て阿部 福田 麻生と内閣が変り参議院の選挙では自民党は敗退し参議院は逆転して現在にいたっている。

戦争を知らない世代が多くなり占領軍が進駐軍と言われ,マッカーサー元帥が日本を統治していた。

「泣く子も黙るマッカーサ-」で日本占領時代には絶大なな権限を持っていた。

戦争資料館まで行かずに戦争の哀れさ・悲しさが手じかにわかるもとして

戦時中の資料は燃やされてなくなっている中,手じかに戦争の悲惨さや矛盾をばよくあらわしているのが軍歌だと気ずいた。

如何に矛盾に満ちたことが当時の戦時体制の政府の手によって堂々と行われていたことかが良く理解できる。

戦時体制下では各政党の代わりに大政翼賛会があった



以下はインタネットより引用



軍歌 戦時歌謡集

思い出軍歌集




戰 友

1)此處は御國を何百里 /離れて遠き滿州の /赤い夕陽に照らされて /友は野末の石の下

koko`a okuniwo nambyakuri /hanarete to`oki manshiuno /akai yu`uhini terasarete/ tomo`a nozuweno ishino shita

2)思へば悲し昨日まで/ 眞っ先驅けて突進し /敵を散々懲らしたる /勇士は此處に眠れるか

omo`eba kanashi kino`umade /massaki kakete tosshinshi /tekiwo sanzan korashitaru /yuushi`a kokoni nemureruka

3)嗚呼戰の最中に /鄰に居りし我が友の/ 俄にはたと倒れしを/ 我は思はず驅け寄りて

aa tataka`ino saichuuni /tonarini worishi wagatomono /ni`akani hatato ta`ureshiwo /ware`a omo`azu kakeyorite

4)軍律嚴しき中なれど/ 是が見捨てゝ置かれうか /「確りせよ」と抱き起し /假繃帶も彈丸の中

gunritsu kibishiki nakanaredo /korega misutete okareuka /shikkariseyoto dakiokoshi /karihautaimo tamanonaka

5)折から起る吶喊に /友は漸う顏上げて /「御國の爲だ構はずに/ 後れて呉れな」と目に涙

worikara okoru tokkanni /tomo`a yauyau ka`o agete /okunino tameda kama`azuni /okurete kurenato meni namida

6) 後に心は殘れども/ 殘しちやならぬ此の體 /「それぢや行くよ」と別れたが /永の別れとなつたのか

atoni kokoro`a nokoredomo /nokoshicha naranu konokarada /soreja yukuyoto wakaretaga /nagano wakareto nattanoka

7) 戰濟んで日が暮れて /探しに戻る心では /どうか生きて居て呉れよ/ 物等言へと願ふたに

tataka`i sunde higa kurete/ sagashini modoru kokorode`a /douka ikite witekureyo/ mononado i`eto nega`utani

8)空しく冷えて魂は /故クへ歸つたポケットに/ 時計許りがコチコチと/ 動いて居るも情無や

munashiku hiete tamashi`i`a /kuni`e ka`etta pokettoni /tokeibakariga kochikochito/ ugoite wirumo nasakenaya

9)思へば去年船出して /御國が見えず爲つた時 /玄界灘で手を握り /名を名乘つたが始めにて

omo`eba kyonen funadeshite/ okuniga miezu nattatoki /genkainadade tewonigiri /nawo nanottaga hazhimenite

10)それより後は一本の/ 煙草も二人で分けて喫み /着いた手紙も見せ合ふて /身の上話繰り返し

soreyorinochi`a ipponno /tabakomo futaride waketenomi/ tsuita tegamimo misea`ute /minouebanashi kurika`eshi

11)肩を抱いては口癖に /どうせ命はないものよ /死んだら骨を頼むぞと /言い交はしたる二人仲

katawo daite`a kuchiguseni /douse inochi`a naimonoyo /shindara kotsuwo tanomuzoto /i`ika`ashitaru futarinaka

12)思ひもよらず我一人 /不思議に命永らへて /赤い夕陽の滿州に /友の塚穴掘らうとは

omo`imo yorazu ware hitori/ fushigini inochi nagara`ete /akai yu`uhino manshiuni /tomono tsukaana horauto`a

13)隈無く晴れた月今宵/ 心染み染み筆執って /友の最期を細々と /親御へ送る此の手紙

kumanaku hareta tsuki koyo`i /kokoro shimizhimi fude totte /tomono saigowo komagomato /oyago`e okuru konotegami

14)筆の運びは拙いが/ 行燈の陰で親達の /讀まるゝ心思ひ遣り /思はず落とす一雫

fudeno hakobi`a tsutanaiga/ andono kagede oyatachino/ yomarurukokoro omo`iyari /omo`azu otosu hitoshidzuku

(上記 / は改行を表す)

学校及家庭言文一致叙事唱歌第三編 明治38年

(改正著作権法においてもその保護から離れているので掲載)

御国=おくに、日本本土。

野末の石=粗末な墓石

時計=機械式の懐中時計 行燈=あんどん、ランプ以前の照明

ここはふるさとを遠く離れた満州。

ここに戦友は眠っている。

少し前まで最前線で戦っていたものがここに眠っている。

そう、戦いのさなか、私の隣で友は急に倒れた。

私はすぐに抱き起こし、声をかけた。

軍法では許されないのかもしれないが、とても放っては置けず弾丸飛び交う中で手当をしてやった。

しかし折しも突撃の声。

友は「御国のためだお前も行け。俺は置いてゆけ」という。

やむを得ず別れたのだが、それが最後の別れとなってしまった。

戦いが終わった夕方に、せめて生きていてくれと探しに戻ったのだが、

友は既に冷たくなり、魂は国へと帰っていた。

友は死んでもそのポケットの中の時計はコチコチと動いており、その音がむなしい。

思えば日本を離れ、玄界灘(をはしる輸送船の中)で互いに名乗りあった日から、

煙草も分け合い、手紙も見せ合い、互いのことはいろいろ知り合ってきた仲である。

また、いずれ死んだときは骨を頼むと言い合った仲でもある。

だが、不思議に自分だけが死なず、友の墓穴を掘ることになるとは。

この月夜、君の死について親族に細々と説明の手紙を書くにつけ、ご親族の思いを想像してつらい気持ちである。




海ゆかば

海行かば 水漬(みづ)く屍(かばね)
山行かば 草生(くさむ)す屍
大君(おおきみ)の 辺(へ)にこそ死なめ
かへりみはせじ
(長閑(のど)には死なじ)


東海行進曲

1番

見よ東海(とうかい)の空あけて

旭日(きょくじつ)高く輝けば

天地の精気溌溂(はつらつ)と

希望は踊る大八洲(おおやしま)

おお晴朗の朝雲に

聳(そび)ゆる富士の姿こそ

金甌無欠(きんおうむけつ)ゆるぎなき

わが日本の誇りなれ

2番

起て一系の大君(おおきみ)を

光と永久(とわ)に頂きて

臣民(しんみん)われら皆どもに

御稜威(みいつ)に副わん大使命

往け八紘(はっこう)を宇(いえ)となし

四界の人を導(みちび)きて

正しき平和打ち立てん

理想は花と咲き誇る

3番

今幾度(いくたび)か我が上に

試練の嵐猛(たける)とも

断固と守れその正義

進まん道はひとつのみ

ああ悠遠(ゆうえん)の神代より

とどろく歩調受け継ぎて

大行進の行く彼方

皇国(こうこく)常に栄えあれ



軍歌はインタ−ネットでは歌詞まで掲載いているのが少ない。「戦友」の歌は戦争が激しくなってくると

歌うのを禁止されるようになってきている。

。『 軍律厳しい中なれど… 』の歌詞フレーズが、本当に 「陸軍軍法」 に違反しており、

また郷愁をさそうメロディーから陸軍はがこの歌を歌う事を禁止した。

また戦後GHQは一切の軍歌を禁止したことから、悲劇的な軍歌である。

しかし、戦後は一兵卒の悲劇を歌うこの歌は国民から最も愛された。

太平洋戦争中、「戦友」は禁歌だったが下士官・古参兵は「今回で戦友を歌うのをやめる、最後の別れに唱和を行う。」と

度々行い、士官・上官によって黙認された場合もあり、兵隊ソングとして認知されていた。   -インタ−ネットよりの引用-



神社仏閣は最近良く参拝して調べることが多くなってきている。特に京都を中心に奈良滋賀などの寺院 神社を訪れる。

仏様と神様の区別はあまりせず参拝していたが,神様は日本古来のものて゜よろずの神様で自然 山とか川 岩などの自然を崇拝したり

動物などが神のお使いとして拝むことがある。

だが一番多いのは神代からの代々の天皇の先祖が祭られているところに特徴がある。いわゆる神道である。

神道を教える大学があり,学問上体系化しているようだ。

通常の時代は神道はあまり問題にならないが大戦中には色んな戦争遂行のため神社が作られている。

日本の侵略した国々の占領下でも沢山な神社が作られたが敗戦と同時になくなっている。

神社は戦争と大いに関係が濃いかんけいにあるが,寺院は個人の平安幸せを求めてお参りすることが多い。

寺院は釈迦が教えに従った宗教で大日如来 釈迦如来 観音菩薩などなどの多くの仏像が祭られており礼拝している。

戦争との関係では戦時中は強制的に協力が求められて,梵鐘などが兵器原料不足で供出されている。

僧侶も兵士として出征している。天皇陛下万歳を唱え死んでいったのかどうか。

御寺として天皇家関係の皇族が住職になっている寺院は今も続いている。そのような寺は格式が高いことになっている。

現在の皇室は宮内庁のロボット化しているようにしか見えない。政府は封建的な宮内庁の改革に全く触れず

国民の為になることが阻害されているように思える。宮内庁は政府機関の埒外にあるのだろうか。

少なくとも平安時代以前の御陵は歴史専門家集団に応え発掘調査すべきだが,皇室の祖先を汚すことだとして宮内庁は許可していない。

政府の力が宮内庁にとどかないのだろうか。おかしなことだ。

発掘調査すれば歴史的に新しい発見があるものと信ずる。

医の世界でもね神聖な人間の身体を開くとして,反対者が多かった中で,立派な先人よって人体解剖が行われた。

人体解剖をすることにより飛躍的に医学が発展して来ている。

考古学・歴史学の発展の為にも大いなる改革が必要だ。寺院や神社は良く調べられているが,御陵だけが未だに聖域になっている。

何故か不思議に感ずる。

間違っての指定された天皇陵の調査は進んでいる中でj全くに変な話である。

誰もが神代から天皇家が続いていると思っていない時代に, かたくなな宮内庁の行動は変な話だ。

天皇家に対しても迷惑な話ではないだろうか。叉は宮内庁は政府の統制外にあるのだろうか。

映画「ローマの休日」に見るように皇室にも自由があっても良いと思うのだが。




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