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九月になって




九月はまだまだ残暑があって,暑さは和らいできているものの涼しさまでにいたらない日が多い。
,
蝉の声も聞かなくなってきて,.夜にはコオロギの音も聞くようになってきた。

雑草の伸び方は衰えては来ているもののまだ伸び続けている。

昨年は萩が可憐に咲いていたが,今年は雑草と一緒に刈り取られ見ることは出来なかった。

十五夜お月さんも見ることはなかった。何か世の中がせわしいと自然に目を注ぐことが少なくなってきている。

自民党政権では知ることのなかったことが次から次へと報道されてきている。

なんと日本中で多くのダムの建設が行われていたことには驚くばかりである。

今まで知られてこなかったことが明らかになっていないことが,出来る限り全国民が知ることは非常によいことだ。

言い換えると自民党政権では国民に知らせず,今まで勝って気ままな政治が行われてきたということでもある。

政権党だけにのみに現在行われている政治の内容をば知らせないような慣例乃至規則は,是非止めて欲しいものである。

全てを公にし,誰にも知る権利があるのだから 政権党だけ知って他にしらせない政治が行われてきたのは大変おかしい。

よくも戦後60余年続けていたのか驚くばかりである。政権交代の功績である。

これからも与野党問わずに同じ情報を共有し,どれが一番国民にとって幸せなのかの立場から,

全ての情報を開示する原則をつくるべきである。

テレビテ見ていて墨で真っ黒に消されたような情報開示の紙面では,開示にならない。,絶対やってはならない。

偏った情報により国民に対する世論操作がなされていては何も知らないこととなり,誤った判断がされる。

自衛隊関係 皇室関係は遥か彼方のべ−ルの中にあって日本の軍事産業も民主党政権下になっても,全く判らないし変わらないままである。

やはり全て国民と一緒になり情報を共有しながら大いに議論を重ね国民の幸福向上につなげていって欲しいものである。

世界的に見てもアフガニスタン問題は第二のベトナムといわれだしており,何のための戦争をやっているのか判らなくなってきている。

長年の間ずーと戦争下に置かれている国民は大変気の毒なことである。

現在のアフガニスタンは泥沼化が激しく何の解決の目途もついていないような状態で,隣国のパキスタンにもそれが波及しそうである。

パキスタンは核保有国で,イランも核に対して執着している。

核を使う戦争になれば世界は破滅へと進まざるを得なくなってくる。

この地域を第二のベトナムにしてはならない。だから大国はできるだけ早くに撤退すべきである。

イラクでも現在大規模なテロが発生している。フセイン統治下の方が国民にとり幸せだったのではないか。

これを書いていて世界中至る所で巻き起こったイラク戦争反対のデモを思い起こす。やはり大衆の判断が正しかったことになる。

ベトナム戦争を見ていて最後はアメリカ軍が敗北し撤退することによってベトナムに平和がもたらされた。

今では世界の観光客がベトナムに訪れるようになっている。

べトちゃんトクちゃんのような枯葉作戦によって生れてきた奇形児が生れるような悲惨なことがあってはならない。

何かアメリカ一国による独善的なことが,世界をかき回しているのが,今までの世界情勢であった。

表に見えないアメリカの黒幕が,お金にjまかして,さらに金儲けの為,にアルカイダやテロリスト追放のためによる平和の為が

世界を混乱させているように思う。

これらのことは,正確で詳しいことを知らないだけで,,ただ自分勝手の憶測でしかない可能性がある。

政権が変わってからの日本の政治が確かに以前とは変わってきている。

鳩山首相の提唱する東アジア連合体はヨ−ロッパでのEU(欧州連合)に匹敵する構想である。

大いに進めて東アジアが一つの連合体になってゆけば世界の平和発展に寄与してゆくと考える。

アセアン諸国の人たちも賛意を示し喜んでいる様子である。

誰もが理想と考える世界戦争のない国への第一歩となるに違いない。

現在世界制覇しているかのごとくに各国に軍隊を送り込んでいるアメリカはあまり喜んではいない様子だ。

世界の誰もが平和を求めて,戦争を憎んでいると信ずる。

日本の侵略の手段に使われたような大東亜共栄圏 になってはならない。

平和共存 まずお隣同士が仲良くし平和な世界構築することの役割を日本は担ってほしい。

これからの日本の外交 アメリカからの独立 アジア諸国と善隣関係結んでEUに倣って同じように進んでいってほしいものである。

アメリカでもアメリカ周辺諸国が力をあわせてアメリカ連合が作られてよいことだ。

将来各地域の連合体が一つになって世界連邦につながってゆけはベストなことである。

世界の国民が平和を求め,平安な生活を求めていることは間違いないことだ。

だが一部のエゴイスト達によって世界が戦争・貧困などで大混乱しているのが世界の現実である。







ざくざく鎌を動かすと、さまざまな生き物が驚いて動き出した
つまり「生物多様性」の恩恵にあずかりながら、
稲はすくすく育つというわけだ





平成21年9月1日の天声人語よりの引

 棚田を保存する運動に加わって、週末の一日、実った稲を刈り取った。

日照不足が心配だったが、稲穂は黄金色に輝いて頭を垂れている。

ざくざく鎌を動かすと、さまざまな生き物が驚いて動き出した

▼大小のバッタがあわてて跳びはねる。

嫌われ者のカメムシは逃げ足が鈍い。

ヤゴの抜け殻が残っているのは、トンボに変身したのだろう。

イモリもいる。

カマキリは「なにを!」とにらみつけてくる。

「蟷螂(とうろう)の斧(おの)」とはよく言ったものだ

▼田んぼに水が張られている時期には、「にごっている田はよく実る」と言われるそうだ。

小さい魚や虫たちが動き回るから、煙幕を張ったように水がにごる。

つまり「生物多様性」の恩恵にあずかりながら、稲はすくすく育つというわけだ

▼地球上の様々な動植物は互いに結びつき、バランスを保ちながら生きている。

それを言う生物多様性という言葉だが、「聞いたこともない」という人が6割以上にのぼるそうだ。

内閣府による最近の調査でわかった

▼小社は今年、豊かな自然を残す「にほんの里100選」を選んだ。

全国から4千を超す応募があったが、それらの応募文の中にも生物多様性に関する言葉はごくまれだったという。

堅苦しい漢字で記す、まだまだなじみの薄い造語らしい

▼きょうから9月。

長雨がちだったこの夏は、猛暑の年には挨拶(あいさつ)のように口にした「地球温暖化」もあまり聞かれなかったようだ。

経済も、利便も、環境も、とは欲張れぬ時代である。

小さきもののかざす「斧」を思い出しつつ、人間の暮らしを省みる。







釜による稲刈り風景は現在は見られなくなってきている。昔の田植え風景 稲刈り風景が見られるのは

神事としての伏見稲荷神社などと 皇居内だけに見られるようになってきている.。

神社での神事は理解できるが 皇居内での出来事は理解できない。皇居内のことは宮内庁管轄下だが

現政府は全く関与していないのだろうか。










16日には特別国会が召集されて首相指名を受ける。
期待のすぐ横に失望の奈落が口を開けているのは、
新政権の常である







平成21年9月2日の天声人語よりの引

ものを書くときに形容詞の扱いは難しい。

うまく使えば引き立つが、下手だと言葉は浮いてしまう。

文章は形容詞から腐ると言ったのは、たしか作家の開高健だった。

飾り言葉は美味(おい)しいだけに朽ちるのも早い

▼古い記事を読んでいたら、中曽根元首相が、当時新党さきがけの代表幹事だった鳩山由紀夫氏に注文をつけていた。

「政治は、美しいとか、キラリと光るとか、形容詞でやるのでなく、動詞でやるものだ」と。13年前、旧民主党を結成する直前のことである

▼辛口の意見に、鳩山氏は「行動の前に哲学的な形容詞を大事にするべきではないか」と反論していた。

政治スタイルや人生観の違いだろう。

氏は今も、「愛のあふれる」といった、扱いの難しい言葉を好んで語る。

哲学を重んじる姿勢は変わっていないようだ


▼政治に力強い動詞は欠かせない。

政策を進める意志である。

動詞なき形容詞は、絵に描いた餅の飾りにすぎない。

とはいえ形容詞を欠く動詞もまた、やせ細った政治だろう。

持ち味の形容詞を腐らせない実行力が、いよいよ試される

▼16日には特別国会が召集されて首相指名を受ける。

就任会見や所信表明での一言一句が吟味され、そこから先は容赦のない現実が待つ。

言葉で訴えたもろもろの実(じつ)が問われる。

期待のすぐ横に失望の奈落が口を開けているのは、新政権の常である

▼「言行一致の美名を得る為には、まず自己弁護に長じなければならぬ」と皮肉屋の芥川龍之介は言った。

せっかくの形容詞が、そのために乱れ飛ぶようでは、国民は失望する。





まずは政権交代したことだけでも日本にとって最高の出来事である。自民党のように長期政権は堕落するだけである。










小説家を感服させた「名文」は、
お役所文章の一典型だろう







平成21年9月3日の天声人語よりの引

 作家の三島由紀夫が大蔵省の官僚だったころ、大臣の演説草稿を頼まれたことがあった。

しかし書き上げると上司は満足しなかった。

根本的に書き直されたと、自著の『文章讀本』で振り返っている

▼直された文は三島も感心する「名文」だった。

「すべてが感情や個性的なものから離れ、心の琴線に触れるような言葉は注意深く削除され」ていた。

紋切り型の表現がちりばめられ、不特定多数に話すための、見事な出来栄えになっていたという

▼小説家を感服させた「名文」は、お役所文章の一典型だろう。

いんぎんで、ていねいで、中身がない。

さらに近年は、カタカナ語の氾濫(はんらん)もあって、読みにくさに磨きがかかっている。

あいまいに徹し、分かりやすいと沽券(こけん)にかかわる、と言わんばかりのものもある

▼文は人なり。

そこから読み取れる官僚の精神像を、作家の井上ひさしさんはざっとこう言う。

「わざわざ難しく表現して国民を煙(けむ)に巻き、それによって自分たちを、堂々として、おごそかで、いかめしい存在に見せたがる」(『にほん語観察ノート』)

▼お役所言語の隆盛には、作文棒読みの政治家が一役も二役も買ってきた。


官僚支配はいまや目の敵(かたき)だが、それは官僚言語による政治の支配でもあっただろう。

国会答弁もしかり。

分かりやすい言葉、生きた言葉は、いつしか追いやられていった

▼政治が遠いのはそれゆえでもあろう。

民主党の「脱・官僚依存」は「脱・官僚言語」でもあってほしい。

はじめに言葉ありき。


そこにも日本を変える源流があるのではないか。





お役所即ちお上は法律をやたら煩雑に作り国民に強制してくる。

法律に従わなければ犯罪者となる。

シンプルで長続きする法律を作るようにお役所即ちお上に是非お願いする。

今までの日本の政治は官僚がしていたのを政治家が政治するとの画期的なことが行われようとしている

是非判り易い政治をしてほしいものだ。Simple is Best。









非自民政権が発足した直後に
細川首相に会って、親身に助言をした
宮沢さんも懐が深かったのだろう









平成21年9月4日の天声人語よりの引


93年の衆院選のあと自民党が下野したとき、宮沢首相を徳川慶喜(よしのぶ)になぞらえる人がいた。

大政を奉還した江戸幕府最後の15代将軍である。

宮沢さんも15代の自民党総裁だった

▼慶喜はなかなかの人物だったというが、宮沢さんも懐が深かったのだろう。

非自民政権が発足した直後に細川首相に会って、親身に助言をした。

「バランス感覚を持つ賢人から機会をいただいて本当にうれしかった」と細川氏は当時を振り返っている

▼宮沢さんらしいグッドルーザー(良き敗者)ぶりといえる。

ひるがえって麻生さんはどうだろう。

選挙後初めての「ぶらさがり取材」の様子をテレビが伝えていた。

露骨な苛立(いらだ)ちを記者団にぶつける日本の首相は、悲しいが「良き敗者」の像からずいぶん遠い

▼それは、メディアを通して、国民に悪態をつくことでもある。

いささかひどいと思ったのか、「ノーカットで流します」と報じる局もあった。

の負った深い傷に、総裁自ら塩をすり込んでいるようなものだ

▼鏡に映った姿が不満だからと、鏡を責めても仕方がない。

自民を惨敗させた民意は、党の現状を映した鏡である。

おのが姿を正していくしか再生への道はないのに、外に向けて腹を立てても始まらない

▼徳川慶喜に話を戻せば、明治政府成立の最大の功績者という見方がある。

その意味で麻生さんの名も歴史に残る。

とはいえまだ現役総理で、引き継ぎの任もある。

「自民党最後の首相」と史書に刻まれないために、なすべきこと、なすべきでないことは、






まず現在の政権のやり方を観察していて,それから政権党を批判するのが大人の野党のやり方のように思う。









12カ月を音のイメージで表した
「音の歳時記」という詩が、那珂太郎さんにある







平成21年9月5日の天声人語よりの引


夜道を歩いていたら、植え込みで「チン、チン」と鳴いている。

今年はじめて聞くカネタタキだ。

コオロギの仲間で、鉦(かね)をたたくように鳴く。

立ち止まって耳をすますと、別の葉陰からもチン、チン……。

秋が耳の奥へ広がっていく

▼12カ月を音のイメージで表した「音の歳時記」という詩が、那珂太郎さんにある。

一月は「しいん」。

厳冬に天地は静まる。

二月は「ぴしり」。

春が兆して氷が割れる。

三月の「たふたふ」は雪どけの川。

詩人の感性は、さすがにみずみずしい

▼四月は「ひらひら」。

野を越えて蝶(ちょう)が飛ぶ。

五月は「さわさわ」と風がわたる。

六月「しとしと」。

七月の「ぎよぎよ」は蛙(かえる)の合唱だ。

そして八月の「かなかなかな」から、九月は「りりりりり」。

音の呼びさます季節感も趣は深い

▼その詩さながらに、東京ではここ数日で、樹上の吹奏楽から草むらの弦楽に楽団が変わった。

カネタタキはささやかな打楽器か。

虫の声の移ろいは、太陽の季節から「もののあわれ」の季節への、舞台の巡りを人に教える

▼昔は、虫の音にも「聞きなし」があった。

リーリーと鳴くコオロギの声を「糸刺せ、針刺せ、つづれ刺せ」と聞いたそうだ。

冬着の繕いを急がせる声だという。

夜が静かだったころの炉辺の想像である

▼那珂さんの詩は、十月「かさこそ」、十一月は「さくさく」と続く。

落ち葉と、霜の朝である。

十二月は「しんしん」。

雪が降って、時の逝く音だそうだ

▼心をすませば聞こえるかもしれない。

日々の喧噪(けんそう)から、ときには心身を解き放つのもいい。

ご本人が一番承知のはずである。





歳月を言葉 即ち詩で表す試みはおもしろい試みである。








女性2人を襲い、強盗強姦などの罪に問われた男(22)に、
青森地裁で求刑通りの懲役15年が言い渡された







平成21年9月6日の天声人語よりの引

 時に、男という性を返上したくなる報道に出会う。

昨秋、大阪府内で男2人に襲われた女性が、事件の4日後、警察にすべてを話した上で命を絶った。

結婚を控え、式場を探していたという

▼字にも口にもしたくない強姦(ごうかん)の語には、「乱暴」「レイプ」では伝えきれないおぞましさが宿る。

無論、被害者の痛み、悔しさは言葉で尽くせるはずもない

▼女性2人を襲い、強盗強姦などの罪に問われた男(22)に、青森地裁で求刑通りの懲役15年が言い渡された。

性犯罪では初の裁判員裁判。弁護側は懲役5年が適当としていた。


男性の裁判員は「被害者の気持ちを理解するのは、非常に大変な心の作業でした」と語る

▼「女性として一番ひどいことをされた」という叫びは通じたが、負担は大きい。

被害の詳細が法廷で再現され、6人中5人を男性が占めた裁判員には、被害者の声ばかりか姿もさらされた。

もっと訴えやすくする工夫が要る

▼つらい体験を著書『性犯罪被害にあうということ』で明かした小林美佳さんは記した。

「それまでの二十四年間を過ごしてきた私が、消えた……すべてが洗い流されたように感じた」。

泣いては吐きの日々。


雑踏では異臭を放つ動物のように見られている気がしたという

▼法曹界が長らく男性社会だったこともあろう。

これほどむごい強姦罪の法定刑がなぜか強盗より軽い。

殺人に等しい冒頭の事件も、判決は懲役7年までだった。

強盗がついたとはいえ、厳罰の側に張りついた市民感覚を支持する。

次からも、最たる女性差別を痛撃してほしい。





裁判は人間が人間を裁くことである。神の如き裁判官がいれば良いのにと思うが。

裁判員裁判は最近はマスコミにとりあげられなくなっている。

普通に広くおこなわれるようになって少なくなってきているのかどうかもわからない。










鳩山代表は祖父に倣ったか、
菅直人、岡田克也氏らを要職に、
脇にテレビ論客もちりばめ、
重厚かつ清新な布陣にするらしい








平成21年9月7日の天声人語よりの引

 アメリカンフットボールの伝説的指導者ニュート・ロックニーに名言がある。

〈要は個人ではなくチーム一丸で動くこと。

私は監督として、ベストの11人ではなく、11人でベストになる選手を使う〉

▼スターに頼らず、まとまりの中から力をひねり出すのが団体競技のイロハだろう。

究極のチームプレーである政治もしかり。

とりわけ、期待も不安も大きい政変後の内閣は、実力者をそろえた上で、結束と結果を求められる。

花も実もである

▼1954(昭和29)年に成立した鳩山一郎内閣は、なかなかの顔ぶれだった。

大戦の降伏文書に署名した重光葵(まもる)が副総理・外相に座り、蔵相には法王と呼ばれた日銀総裁一万田尚登(いちまだ・ひさと)。

通産相の石橋湛山(たんざん)、運輸相の三木武夫は後に首相となる

▼55年の時が流れ、もう一つの民主党が「ベスト」づくりに腐心している。

鳩山代表は祖父に倣ったか、菅直人、岡田克也氏らを要職に、脇にテレビ論客もちりばめ、重厚かつ清新な布陣にするらしい

▼なにせ、小沢一郎氏が仕切る巨大与党と釣り合わせる必要がある。


「鳩山・一郎内閣」の陰口を封じるには、花も実もある組閣で公約実現に動き出すしかない。

「日本のマネジメントは鳩山、党と選挙は小沢」の分業がうまく動くかどうか、両者の器が試されよう

▼冒頭のロックニーには〈勝ちすぎは負けすぎと同じほど悲惨だ。

どちらも大衆の熱狂を冷ます〉の言もある。

だが、大差の総選挙に白ける間もなく、いよいよ本当の勝負が始まる。

チームと戦いぶりを確かめようと、スタジアムは満員だ。





今回の民主党内閣は民主党が総力を挙げ取り組んでいることがわかるのだが。?









不二家の店先から人形が消える事件が相次いだ






平成21年9月8日の天声人語よりの引


小脇に抱えて絵になる物のひとつに、フランスパンがある。

週末のパリ、お使いの子が細長いバゲットを抱えて朝の裏道を急ぐ。

焼きたての香りに負け、先っぽに小さな歯形がついていることもある

▼さて、これはどう抱えたのだろう。

不二家の店から「ペコちゃん人形」を盗んだ疑いで、暴力団員(42)が和歌山県警に捕まった。

ペコちゃんを抱えて車に走る中年男は、絵にならないばかりかうら悲しい

関西では今年初め、不二家の店先から人形が消える事件が相次いだ。

しばらくして大阪のリサイクル店で10体が見つかり、警察が関連を調べていたという。

人形は高さ1メートル、目方は10キロで、ネット上の競売では20万円の値がつくそうだ

▼東京・銀座で開かれていた「ペコちゃんミュージアム」をのぞいた。

約60年前に生まれ、たちまち看板娘になった永遠の6歳。

ご婦人がひしめく会場には各時代の人形がうちそろい、かわいい舌を出している。なるほど、手元に一つあっても悪くない

▼町田忍さんの『路上ポップ・ドールのひみつ』(扶桑社)に、人形を家族のようにかわいがる不二家店主の話がある。

色落ちに気づけば塗り足し、寒い日は毛糸のポンチョをかけてやるという。

和歌山の件、店や正しいマニアにすれば、営利誘拐にも等しい所業であろう

▼頭をなで、瞳をのぞくうちに情が移り、人形は市場価値を超えた宝物になる。

お金が絡めば夢の居心地は悪かろうに、盗品と感づきながら頭をなでる御仁がいる。

心の折り合いをどうつけているのやら、ああ気が知れない。





不二家のペコちゃん人形が盗まれて売られている。世相も厳しくなってのことだろうか。










金沢市の宗教家(62)が、
自分のDNA情報を添えた「ご神体」で荒稼ぎし、
金沢国税局に約10億円の所得隠しを指摘された








平成21年9月9日の天声人語よりの引


鰯(いわし)の頭も信心から、という。値打ちがないものでも信仰すればありがたい。

この格言、からかい半分ながら、無から有を生む宗教の底力を言い表す。

ひとたび信じた鰯の頭にあれこれ価値が加われば、信者の喜びはいや増そう

▼金沢市の宗教家(62)が、自分のDNA情報を添えた「ご神体」で荒稼ぎし、金沢国税局に約10億円の所得隠しを指摘された。

口内粘液から得たという情報を電子チップに刻み、きれいなガラス柱に張りつけた置物だ

▼病気が治ると称し、原価の約20倍の100万円で1100個売ったという。


「教祖様の分身」に治癒の気力をもらった人もいようが、どうにも利ざやが大きい。

装いこそ今風でも、商いの手口は古くさい

▼週刊ダイヤモンドの最新号が「新宗教」を特集している。

昨今は広く薄く、教祖の本などで明朗に集金する「コンビニ型」が主流らしい。

1人から100万円より、100人から1万円ずつ。

「少数の信者から身ぐるみはがすようなやり方は長続きしない」という


▼他方、長続きとは別の魂胆から、宗教の公益性を隠れミノにした税金逃れが後を絶たない。

5億円超を追徴されたDNAの主も、課税で優遇される宗教法人の買収に熱心だったと聞く。

宗教家は「国を養うロマンのつもりで当局の指摘に従った」そうだ

▼宗教という精神世界で身を立てながら、先端科学を都合よく拝借しては、「いいとこ取り」でひともうけと見られるだけだ。

純であるべき信仰の対象を、欲得の能書きでゴテゴテ飾るものではない。

鰯の頭に失礼である。





新宗教には特に闇が奥に感ずる。「イワシの頭も信心」からと心の救いに手を伸ばす人たちには

ピンからキリまであって下手をすると商売の良いお客にされている場合がある。

信じている本人にとっては真剣勝負のことである。









民主党がつくる政権は、
社民党と国民新党を加えた
3党連立となることが決まった。








平成21年9月10日の天声人語よりの引


 犬猿の仲とはいうが、両者は桃太郎の家来を仲良く務めている。

まして、本能ではなく利害で動く人間ともなれば、小異を捨てて大同につくのは茶飯事。

それも上げ潮の時は話が早いようだ

▼民主党がつくる政権は、社民党と国民新党を加えた3党連立となることが決まった。

在日米軍基地など、隔たりのある外交・安保分野は「小異」として玉虫色の合意文書に塗り込められた

▼衆院の議席を動物の目方に見立てれば、民主は308キロのクマ、社民は7キロのスピッツ、国民新は3キロのチワワとでもなろうか。

例えに他意はないが、小型犬にも独自の鳴き声があり、クマの背で黙してはいられまい。

節目でのほころびをどう取り繕うか、クマの頭脳と度量の見せどころだ

▼ところで、気がかりは119キロの自民イノシシである。

クマに倒されてから元気がなく、気を取り直して猛進しようにも方向が定まらない。

首相指名では「若林正俊」と書くそうだが、当の元農水相が言う通り、その名に意味はない。

白紙よりましという情けない選択となった

▼二大政党制の是非はさておき、最大野党がしっかりしないと「二大」の効用さえ分からない。

小紙の世論調査では、76%が「立ち直って」とイノシシを励ましている。

せめて総裁選では、国民の優しさと我慢に応えてほしい

▼勝ってまとまり、負ければもめる。

政治の非情を映して秋が深まる中、内外の課題は待ってくれない。

雇用や福祉の不安、新型インフル、財政赤字、温暖化……。

与野党が知恵を競って退治すべき「鬼」は多い。





自民党の流れ 社会党の流れ 民社党の流れと右派から左派までの連合政権が

はたして上手く流れてゆくのか。それに国民新党 や社民党が加わり益々にややこしくなる。

感じとしては第二自民党政権のような気もする。










寝たきりの妻(60)の首を包丁で刺し、
懲役4年の求刑に対し、
判決は「介護疲れ」を理由に実刑を退け、
保護観察を添えた









平成21年9月11日の天声人語よりの引


ここ10年、朝日歌壇で介護が多く詠まれるようになった。

妻の面倒を見る歌がたまに載る。

〈栗むいて口に放り込む妻在りて四十回目の結婚記念日〉前田治。

日常をカラリと描いても、「夫作」には細い風が抜ける

▼「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」代表荒川不二夫さん(82)が語っていた。

8年の介護の末に妻を送り、今は息子の世話をする人である。

「男性は家事に不慣れだし、弱音も吐きづらい。

介護疲れ、孤立感、経済的な苦しさは虐待や心中にもつながります」

▼寝たきりの妻(60)の首を包丁で刺し、10日間のけがをさせた被告(63)に、

山口地裁で執行猶予つきの判決が言い渡された。

懲役4年の求刑に対し、判決は「介護疲れ」を理由に実刑を退け、保護観察を添えた

▼結婚2年で脳出血に倒れた妻を、被告は13年間、一人で介護してきた。

死にきれずに自首したという。


法廷では「僕が好いた人。

今でも妻が好きです」と声を詰まらせ、施設に移された妻も厳罰を望まなかった

▼裁判長は「裁判員の意見」を読み上げた。「生きがいを見つけ、肩の力を抜いて生きて下さい。

周りと協力して見守り、二度と悲しませないように」。介護がひとごとでない裁判員もいた。

事件当事者の身になる「素人裁き」の温(ぬく)もりが、優しい判決に残る

▼元気だった妻との2年に劣らず、続く13年も今では宝物だろう。

苦楽を共にしたその人は、ひとつ屋根でなくても同じ秋空の下、幸いにも呼吸を続けている。

朝日俳壇からも引く。〈妻逝きて介護なき日の残暑かな〉





これからはこのような悲劇が出てくるケ−スが多くなるだろう。








米ノースウエスタン大のチームが、
夜食べると太ることをマウスの実験で確かめたそうだ





平成21年9月12日の天声人語よりの引


一線記者の頃、その日の仕事が終わると打ち合わせと称して繰り出した。

飲むうちに日付が変わり、帰ればいいのにラーメンで締めるという日課である。

その前にギョーザとビールがついた

▼いま健診で怒られるたび、あれで10年は命が縮んだと悔やむが、ほろ酔いラーメンは体を張るに値する味だった。

スープの背脂がぎっとり絡んだ太麺(めん)が、仕事漬けの身に一時の安息をくれた。

目方と一緒に

▼米ノースウエスタン大のチームが、夜食べると太ることをマウスの実験で確かめたそうだ。

明るい時だけ食べられるグループと、暗い時だけのグループに分け、高脂肪の餌をやり続けた。

6週間後の体重増加は「昼食組」の平均20%に対し、「夜食組」は48%に達した

▼実験中の摂取カロリーと運動量に差はなく、寝るべき時間帯に食べたのがより肥えた理由とみられる。

深夜には食べるなというメタボ予防の戒め通り、生活リズムを無視した暴食は体内時計が許さないらしい

▼捨てる神あれば拾う神あり。

京都大の上杉志成(もとなり)教授らのチームが、細胞内で脂肪ができるのを抑える化合物を見つけた。

過食するマウスに4週間与えたところ、与えなかった一群に比べ体重は12%、血糖値は70%低くなった。

脂肪肝も防げたという

▼研究を重ねれば、いくら食べても太らない薬ができるかもしれない。

朝から焼き肉、深夜にカツ丼。

ついでに、飲むほどに肝臓が元気になるお酒が発明されたら人生は楽しかろう。

ただし、使っても減らない財布があったらの話。

見果てぬ夢のあれこれである。







昔は健康優良児は肥満傾向の子供が選ばれていた。

だが現在は肥満は糖尿病 心脳血管並びに末端の血管の動脈硬化 肝臓病特に肝硬変・肝癌 免疫低下など゜

メタボリック シンドロ−ムとしてとして注目されだしてきている。

体質的なものもあり内臓脂肪の少なく皮下脂肪だけの人たちはあまり心配した事はないと。

医学は日進月歩で現在良いといわれていることも将来については確信はなかろう。

  








雨や雪を人工的に降らせる研究は、
日本でも戦後すぐに始まった。








平成21年9月13日の天声人語よりの引


初秋の一日、上州と越後を結ぶ三国街道の山道を歩いた。

いわし雲が浮かんで夏はすでに遠いが、秋が色を整えるには少し間がある。

群馬と新潟県境の三国峠に着くと、昔ここを越えた人々の名を刻む碑があった

▼越後側は豪雪地だけに、ゆかりの名も見える。

「雪国」の川端康成は、国境のトンネルを列車で抜けただけでなく、歩いて峠越えもしたようだ。

鈴木牧之(ぼくし)は江戸時代に「北越雪譜」を著した越後人である。

すべてを閉ざす雪への恨み節のような、その一節は印象深い

▼「今年もまた、この雪の中にある事かと雪を悲しむは辺郷の寒国に生まれたる不幸というべし」。

初雪を見ての感慨だ。

暖地と違って雪が風流の対象ではないことを、くどいほどに説いている

▼そんな牧之が聞いたら羨(うらや)むような話題が、

先日の小紙にあった。

モスクワの市長が、雪雲を消して降雪を減らす計画を打ち出したそうだ。

除雪費を減らすためといい、人工降雨の技術を応用するらしい。

雪雲が来る前に、郊外で降らせてしまうのだという

▼雨や雪を人工的に降らせる研究は、日本でも戦後すぐに始まった。

「天の意」を人が操る願望は強いとみえ、今では約40カ国が取り組んでいる。


将来、より有用な技術になる可能性があるそうだ

▼市長の皮算用では除雪費は3分の1に減るらしい。

結構なことだが、天の摂理を乱さないかと、素人にはいささかの心配もある。

技術のもたらす果実も、収穫の仕方を誤ると痛い目に遭いかねない。

北国の福音になればいいが、などと、峠を下りながら考えた。






自然現象を変えられるようになればi人間の勝利だがまずないだろう。

核戦争で人類破滅の方が確率が高かそうだ。

現在の世の中を見ていると人類の叡智が感じられない現象が多く発生している。










文化庁の「国語に関する世論調査」で、
いくつかの慣用句の誤用の実態がわかった。







平成21年9月14日の天声人語よりの引


中間管理職たる者、上役の評価は気がかりだが、部下たちの評判にもつい聞き耳を立ててしまう。

さる課長は、若手たちから「気のおけない人」と言われていると喜んでいた

▼心安い人だ、という好意的な表現である。

ところがある時、「気を許せない」という意味で使っているとわかって、しょげてしまったそうだ。

英文学者の外山滋比古さんが『日本語の作法』という本に書いている

▼この手の悲喜劇がいま、いたる所にありそうだ。

文化庁の「国語に関する世論調査」で、いくつかの慣用句の誤用の実態がわかった。

たとえば「時を分かたず」は、「いつも」の意味だと正しく答えた人は14%で、67%は「すぐに」だと思っていた

▼「御の字」は「大いにありがたい」だが、正答は4割に満たなかった。

誤りの「一応、納得できる」が5割を超えていた。

商談で「この値段なら御の字」と言われたら、さて、どちらの意味か。

「時を分かたず」もそうだが、笑えぬ誤解を生む恐れもありそうだ

▼大きな流れで気になったこともある。

「言葉に表して伝え合う」のを重く見る人が減って、「察し合って心を通わせる」人が増えていた。

居心地の良い「仲間内」で安んじたがるという、昨今の傾向の表れでもあろうか

▼「今日(こんにち)は心を軽んじ言葉を愛し、思わぬことでも言ってしまおうとする」と、柳田国男がかつて述べていた。

その反動でもあるまいが、「言葉より心」では言語力は細りかねない。

言葉のじれったさに向き合ってこそ、「察し合う心」も育まれるように思うのだが。





細かく言い出すと誤用だらけの文章を書いているかもしれない。









雨空のテキサスで、イチロー選手が
9年連続200安打の大リーグ記録を残した。






平成21年9月15日の天声人語よりの引


 その一打以上に、当人の感想が待ち遠しかった。

「解放されましたね。人の記録との戦いにピリオドを打てた」。

重圧をしのばせるコメントに、少しほっとした

▼雨空のテキサスで、イチロー選手が9年連続200安打の大リーグ記録を残した。

8年連続で並んでいたのは明治時代の選手である。


三つの世紀にまたがるベースボールの歴史を、細身の日本人が何度も塗り替え、彼ならではの語録が「正史」として刻まれていく

▼古いファンは「ベーブ・ルース以前」を思い起こすという。

腕力よりバットを操る技術、スピード、そして頭を競う野球だ。

ボテボテの内野ゴロがクロスプレーになる。

歴史的な安打は、3バウンド目をすくい上げた遊撃手が送球をあきらめた

▼打率より安打数にこだわる。

3割を守ろうとすればつらい打席も、ヒットを1本増やしたいと思えば楽しめると。

「楽しみ」を重ねての200本ながら、毎年となると大きなケガや不調は許されない。

例えれば、編み物をしながらの綱渡り。

そんな苦行を思う

▼「僕は天才ではありません。

なぜなら自分がどうしてヒットを打てるか説明できるからです」「驚かれているならまだまだ。

驚かれないようになりたい」。刻まれた言葉の数々は近寄りがたくもある

▼50歳で惜しまれながら辞めるのが夢、と聞いた。

足と目が許す限り、このまま前だけ見て進むのだろう。

なにしろ「現役のうちは過去を懐かしんではいけません」という至言の主だ。

「よし、私も」とは思わない。あやかる気がなえるほどの高みである。






イチロ−の打撃をテレビで見ていると大打者のようなスイングでなく,細かく上手く打つ名人芸の業を感ずる。

自然になったものでなくて,毎日の練習の賜物かと思う。

小技の効いた名人打者と思う。









重職であればあるほど、めっきの世話になることが多くなる
総理大臣ともなれば、普通は発言に細心の注意を払う
麻生首相はそうした「切ない工面」とは無縁の、正直な人だった








平成21年9月16日の天声人語よりの引


銅と亜鉛の合金は、その輝きから「貧者の金」と呼ばれる。

仏具や金管楽器、身近なところでは5円玉の黄金色がそれで、真鍮(しんちゅう)ともいう。

見てくれを取り繕う金めっきと違い、渋いが本物の色である

▼100年前、夏目漱石が小紙に連載した「それから」に、よく知られた一節がある。

「鍍金(めっき)を金に通用させようとする切ない工面より、真鍮を真鍮で通して、

真鍮相当の侮蔑(ぶべつ)を我慢する方が楽である」。

実家の金でだらだら暮らす主人公が、昔の自分を引き合いに現状を肯定するくだりだ

▼私たちは時に、世渡りの都合から己を飾る。

金でないのは承知だが、

ここぞという場で真鍮をさらすわけにはいかない。

重職であればあるほど、めっきの世話になることが多くなる

▼さて、その地位もあと数時間。

麻生首相を書くのも最後となった。

総理大臣ともなれば、普通は発言に細心の注意を払う。

テレビカメラの前で、ぶら下がり取材の記者に嫌みを返すことはない。

高級店への日参も控えるものだ。

そうした「切ない工面」とは無縁の、正直な人だった

▼人呼んで「半径2メートルの男」は、サービス精神あふれる座談の名手と聞いた。

地金によほど自信があったのだろうが、座談の続きのような失言や誤読が重なると、一転、持ち前の明るさを渋面に塗り込めてしまった

▼めっき漬けの政界にあって、地金で通す人は貴重である。

しかし、それだけでは務まらない重責もある。

ご自身が望んだ地位ながら、心底やってよかったと思っておられようか。

いずれ、座談の名人芸でお聞きしたい。





麻生首相はそこらにゴロゴロといるような人物で,金持ちのボンボンで育ったためか自分の立場が理解できていない。

そこで高松宮の長男に妹が嫁入りしたりすると益々に「自分は特別偉い」との意識が強くなって

放言が次から次に飛び出していたものと思う










二つをつなげて祖父らが旗揚げした党を追い落とし、
民主党代表の鳩山由紀夫氏が首相に就いた
「民社国」連立政権が船出した









平成21年9月17日の天声人語よりの引


東京都文京区の旧鳩山邸を訪れた。

町名から「音羽御殿」と呼ばれた洋館だ。

首相だった鳩山一郎は自らの半身不随もあって、大物たちを自宅に呼ぶことが多かった。

玄関の階段を上がって右手の第2応接室。

主(あるじ)が愛した椅子(いす)と、六つの客用ソファがテーブルを囲んでいる

▼54年前、緒方竹虎、三木武吉、大野伴睦、岸信介らが、保守合同で生まれる大政党について論じた部屋である。

党名は自由民主か、民主自由か。

当時、政治はこの洋間を中心に回っていた

▼自由、民主、社会。

3語の離合が織りなす戦後の政党史である。

二つをつなげて祖父らが旗揚げした党を追い落とし、民主党代表の鳩山由紀夫氏が首相に就いた。

「民社国」連立政権が船出した

▼閣僚には党幹部や論客が並び、朝まで野党だった割にはなじみの顔が多い。

無論、政権交代の評価は、誰がではなく何をやるかにかかる。

衆目注視の下、すべてはこれからだ

▼新人議員の大群も登院した。

こちらはひと夏で売った顔が目立つ。

当座は政権を頭数で支える役回りでも、いずれ官僚に負けない専門性を身につけ、世直しの力になってくれようか。

与野党が政策を競う中で、利権や情実で動く政治を終わらせたい

▼その日、鳩山氏は「未知の世界に遭遇していく。

失敗もあろうかと思う。その時はぜひ、内向きにならず外向きに」と仲間に訴えた。

そう、新政権が見聞きし、感じるべきは、与党の名に共通する「民」である。

くらしの、喜怒哀楽の現場に身を置き、どうか応接間の似合わない政権党であってほしい。





「民社国」連合は長く続かないと思う。あまりにも違った考え方で自民党打倒で一致していたが

政策実行では何かと問題が出そうである。

小沢氏がおとなしく納まるかどうかも問題だ。腐敗していた政治に風穴を開けたことは大変な功績である。

国民の生活が向上するかどうかが最大の関心ごとである。










日航が米デルタ航空などと資本提携の交渉に入った
人減らし、赤字路線の廃止だけでは追いつかない経営危機である








平成21年9月18日の天声人語よりの引


日本航空がジェット機を導入したのは1960年、太平洋路線だった。

「空飛ぶ日本間」と呼ばれた機内には生け花が飾られ、座席は西陣織。

客室乗務員はトイレで着替え、振り袖で接客した

▼これは際物としても、こまやかな日航のサービスが業界の手本となった時代がある。

おしぼり、調味料の個別包装も同社から世界に広まったという。

以上、航空アナリスト杉浦一機さんの本で知った。

残念ながら、書名は『地に墜(お)ちた日本航空』(草思社)だが

▼日航が米デルタ航空などと資本提携の交渉に入った。

人減らし、赤字路線の廃止だけでは追いつかない経営危機である。

甘い再建策に裏切られてきた銀行団は追加融資に腰が引け、「国の翼」のメンツを捨てて同業に助けを請う

▼ジェット化までを顧みた「10年史」にある。

〈新しい時代の新しい事業を担う自負と、無際限な大空のいざないが心の支柱となった〉。

日航の誕生は、占領状態の終わりに重なる慶事だった。

独立国なら顔となる航空会社「フラッグ・キャリア」を持つべきだと官民が燃えた

▼海外で暮らした頃、空港で見る日本の飛行機は里心をちくりと刺した。

定期航路という見えない絆(きずな)に、故国とつながっている安らぎも覚えた。

そこはかとない外資への抵抗感は、そうした心情の裏返しだろう

▼企業の国籍にこだわる時代ではないが、身を削り、手を尽くしての選択なのか。

どんな血を入れるにせよ、「心の支柱」に翻る旗がいまだに親方日の丸では、新政権も支援に身が入るまい。

残り時間はそれほどない。





日本の代表的な民間航空会社が外国資本下に置かれるのは絶対避けるべきだ。

国営になっても是非日本として死守してほしい。

航空界の日銀が外国資本下に入るようなものである。小泉さんだったら黙認するだろう。










二つの祝日が同じ週の月と水に並ぶのが5連休の条件
主が代わった政治の世界は「リセット」著しい







平成21年9月19日の天声人語よりの引


さあ5連休、という方もおられよう。

敬老の日が03年から第3月曜に移され、今年のように翌々日が秋分の日になることがある。

挟まれた火曜も規定で休日に転じ、初の「シルバーウイーク」が成立した

▼二つの祝日が同じ週の月と水に並ぶのが5連休の条件。

次は6年後、その次はさらに11年後で、今世紀は14回と数えた人もいる。

日本での皆既日食ほど珍しくはないが、黄金週間のように毎年あるわけではない

▼芸事の場合、けいこを1日休めば自分に分かり、2日休めば師匠に知られ、3日休めば客にばれるという。

5日休んだら別人だろう。

そんな「休みの魔力」を逆手にとって、ここで心機一転という手もある。

とりわけ今年は、ひと区切りの機運が世に満ちている

主が代わった政治の世界は「リセット」著しい。

外相は日米密約の調査を命じ、国交相は巨大ダムの建設中止を告げた。

厚労相や総務相も予習抜かりなく、早速ひと暴れの気配だ。

各紙調査の内閣支持率は久しぶりの70%台。

世論を後ろ盾に、霞が関との知恵比べが始まる


▼片や出直しの自民党。

再起を期しての総裁選は、64歳の元財務相に46歳の2人が挑む構図になった。

党の支持率は10%台まで落ち込み、もはや失うものはない。

与党ぼけの頭を、民主党をしのぐスピードで切り替えるのみだ

▼秋思(しゅうし)という言葉がある。

夏の熱情の揺り戻しか、これからの思索は深く静かに、胸奥にたたずむ。

「変化」への陣容が整い、本当の激変まで間がある連休。

どこかで、国の行く末に思いを巡らすのも悪くない。







五連休は何をしていたのか思い出せない位に平凡な毎日で暮らしていた。

自民党の野党としての総裁選は盛り上がらない。

野党経験して政党として一人前である。あまりにも長すぎた長期政権だった。

これで腐敗したものは全て出せたか。地方は自公民で腐敗したままである。

地方分権時代に移行してゆくなかで大いに大掃除をしてほしいものである。










一人っ子政策の影響などで高齢者だけ残される世帯が増え、
かの大家族の国でも社会問題になっているのだという







平成21年9月20日の天声人語よりの引

 同じ漢字を使うだけに、中国語にはときおり、分かったようで分からない言葉がある。

そうした一つに「空巣老人」なるものがあると、『漢語的不思議世界』(岩波書店)という近刊に教わった

▼空き巣ねらいの怪老人、ではない。

独り暮らしのお年寄りのことだという。

雛(ひな)が育って飛び立てば、巣は空っぽになる。

一人っ子政策の影響などで高齢者だけ残される世帯が増え、かの大家族の国でも社会問題になっているのだという

▼お年寄りをさいなむ孤独感は、国を問わず影が濃いようだ。

先ごろは警視庁の調査で深刻な実態がわかった。

万引きをした高齢者に聞いたら、動機に「孤独」や「生きがいがない」をあげる人が目立っていた。

約9割が、友人は「いない」「少ない」と答えたそうだ

▼人生への絶望感は脳卒中などの危険を高めることが、最近の米ミネソタ大の研究でわかった。

秋田大の調査でも「生きがい」のある人は脳卒中のリスクが低かった。


前向きな気持ちを失うと、もろもろに害ばかりが増えるらしい

▼私見だが、女性の方が、男性よりも前向きだという印象が強い。

ある福祉団体が募った「60歳からの川柳」に〈大概(たいがい)は妻に掛かってくる電話〉とあった。

言い当てられた思いの夫君も、おられるのではないか

▼老いてからの「友情の芽」は若い頃ほど丈夫ではないそうだ。

育つのは遅く、萎(しお)れやすいという。

だが、ゆえに味わい深くもあろうと若輩ながら想像する。

仲間内の旅行に趣味に、家族再会のひとときに、どうぞ心の満ちる敬老連休を過ごされたい。




一国での人口削減には成功したが,一人っ子政策で歪が出てきている。儒教が盛んだった東洋の先進国は

何処の国にも儒教の盛んだった東洋の国では社会問題化されつつある。

解決策は産めよ増やせよの時代に変わりつつある。









だが、おとなしいツキノワグマも牙をむけば猛獣に豹変(ひょうへん)する









平成21年9月21日の天声人語よりの引

クマというのは器用貧乏らしい。

木にも登れば穴も掘り、泳ぎもできるが、何でもできるのは何でもへたなのと同じ。

木登りはネコに、穴掘りはアナグマに、泳ぎはカワウソに及ばないと、雪博士で知られた高橋喜平さんが書いていた

▼そんな身ごなしに愛嬌(あいきょう)があるのか、動物としてのイメージは「癒やし系」だろう。

テディベアあり、プーさんあり、日本では金太郎の相撲の相手でもある。

だが、おとなしいツキノワグマも牙をむけば猛獣に豹変(ひょうへん)する

▼岐阜県の乗鞍岳で観光に来た人たちが襲われ、9人が負傷した。


スカイラインのバスターミナルでの惨事に、あたりはパニックになったそうだ。

毎年秋に多発する、人とクマとの遭遇の悲劇である

▼現地は標高が高く、餌になるような木の実などないはずだと専門家は言う。

昔、高所の山小屋で残飯をあさるクマを見たことがあるが、今回もそのくちだろうか。

集落近くでの遭遇多発といい、人との棲(す)み分けは難しくなるばかりのようだ

▼きょうが命日の宮沢賢治に「なめとこ山の熊」という物語がある。

熊撃ちと熊。

殺し殺されるものの交感を描いて切ない。

「熊。おれはてまえを憎くて殺したのでねえんだぞ」。

熊撃ちの声は、毎年、多くのクマをやむなく捕殺する今の時代に重なって聞こえる


▼顔を合わさずに暮らす。

それだけのことが難しい。

実のなる木を山に植えるなど、志ある人が共存の道を探っているが、先は遠い。

人の安全は何より大切だ。

一方でクマを守るのも、たまさか人に生まれた側の務めだと考えたい。




熊達も生活苦で里に現れ人々に危害をくわえるようになってきたのか。

世の中人間の世界だけではなさそうだ。









植樹のボランティアに参加した
東京湾に浮かぶ「中央防波堤内側埋立地」







平成21年9月22日の天声人語よりの引


しばしば木々を取り上げる小欄だが、思えば「生えているものを書く」ばかりだった。

連休の一日、埋め合わせにと植樹のボランティアに参加した。

場所は山ではなく、海である

▼東京湾に浮かぶ「中央防波堤内側埋立地」。

1973年から14年間、東京23区が出した1230万トンのゴミと残土で造られた島だ。

都民の手を借りてこの地を緑化する「海の森」計画が、07年に動き出した

▼お台場方面から海底トンネルを抜け、ススキの穂が揺れる島に出た。

頭上高く羽田からの旅客機が右に旋回していく。

指示に従い、エノキとシロダモの苗木を植えた。

五輪が東京に来れば、ここで馬術競技の一部があるそうだ。

ただ、森らしくなるのは30年後というから、見届ける自信はない

▼都市を生命体に見立てると、こうした人工島はトイレにあたる。

大量生産と大量消費の残りかすが、海上30メートルに積もる。

「海の森」の先に延びる現在の処分場は、埋め立てができる最後の海面だという

▼昨年度、23区からは約300万トンのゴミが出され、50万トン近くが埋められた。

焼却炉の性能が上がり、かさばる廃プラスチックは燃やされ始めたが、それでも、東京湾に甘えられるのはせいぜい半世紀。

その先の展望はない

▼植樹の行き帰り、東京港に架かるレインボーブリッジを歩いて渡った。

湾岸のスカイラインはここ10年ほどでまた変わり、超高層マンションの群れが秋空を突いている。

同じ姿をとどめない東京は、やはり生き物である。

その細胞の一つとして、せめて排出は控えめにと思った。




植樹のボランティアに参加されたことは大変な貴重な経験である。30年後のことの為に

人間は努力する面があるかと思う一面に,戦争でやたらと破戒だけの行動することもある。

なんとかならないものだろうか。約60年前東京は焼け野原だったところである。









年に一度の文化祭や運動会を待ちわび、
輝く自分を思い描く才能も多かろう。
そんな「学校行事の季節」を、
新型インフルエンザが襲った









平成21年9月23日の天声人語よりの引


ど演歌「浪花(なにわ)恋しぐれ」などで知られる作曲家岡千秋さんがかつて、アエラで語っていた。

「僕くらい頭の悪い人間はいない。

本当の話、人が100人もいない瀬戸内の小島で、通知表は1ばかりですよ。

でも例外があって、音楽と体育だけは5でした」

▼秋。国語は嫌いでも歌がうまい、算数は苦手だが足が速いといった子の出番である。

年に一度の文化祭や運動会を待ちわび、輝く自分を思い描く才能も多かろう。

そんな「学校行事の季節」を、新型インフルエンザが襲った


▼全国の小中学校、高校の流行状況を本紙が調べたところ、休校が108、学年・学級閉鎖が1606校あった。

9月初めに比べ、それぞれ3倍、4倍の急増である。

この時期の全校行事は感染を広げかねない

▼実際、体育祭の後で500人に感染の疑いが生じた中高一貫校や、文化祭を打ち切って休校した高校がある。

先生方もつらい。

練習の成果を披露し、元気を発散する場を奪う形になるから、〈予防のためなら生徒も泣かす〉とはいきにくい。

されど、強行して感染が広がれば責められる

▼滋賀県で7歳の坊やが亡くなり、感染が疑われる国内の死者は18人になった。

ワクチン接種が間もなく始まるが、当面は医師や看護師、妊婦、重病を抱えた人が優先される。

せいぜい手洗い、うがいで用心を怠るまい

▼きょうは秋分。

平年より早く初霜や初氷の便りが届いている。

様子をうかがってきた新型ウイルスが攻勢に出る頃合いだろう。

名曲のように、〈それがどうした〉と開き直れないのが悔しい。





新型インフルエンザと 季節性インフルエンザの両方でインフルエンザが大流行しそうである。










国連の気候変動サミットで、温暖化ガス削減の新目標を打ち上げた鳩山首相だ







平成21年9月24日の天声人語よりの引


日本語にしにくい英単語がある。

「イニシアチブ」は率先、主唱、主導権などと訳すが、どうもしっくりこない。

そういう振る舞いは私たちの柄でないのかもしれない。

とかく「出るクイ」を疎む国民性である

▼ゆえに新鮮、かつ胸のすく姿だった。

国連の気候変動サミットで、温暖化ガス削減の新目標を打ち上げた鳩山首相だ。

前政権の3倍超という野心的な数字は、喝采の中で国際公約になった

▼大排出国の米国、中国は牽制(けんせい)し合い、大した約束をしていない。

新首相のスタンドプレーで国民や企業が不公平に泣くことはないか。

そんな懸念もあろう。

外交舞台では人気者より、ずる賢い嫌われ者が国益を守ることがままあるからだ

▼だが、人類の存亡にかかわる危機は切迫している。

主要国のどこかが「地球益」を抱えて駆け出さなければ何も動くまい。

そして日本が走るなら、政権交代に世界の目が集まる今である。

途上国支援を鳩山イニシアチブと自称したのも、日本の型を破る自己主張だった

▼もちろん、欧州勢は絶賛だ。

海千山千たちにハシゴを外されないよう用心しながら、これからも得意の「非軍事」で汗をかくのが日本の正道だろう。

そうして蓄えた国際社会の尊敬と信用は、いずれ国を救う。


目先の、ちまちまとした損得よりよほど意味がある

▼この国が、慣れぬ手で握りかけた主導権だ。

かくなる上は米中や途上国を動かし、国内の説得に努めるしかない。

「格好よさ」に見合う責任が鳩山政権にのしかかる。追従しない外交とは、本来そういうものである






温暖化ガス削減の目標は産業界では不評だが世界的には評価が高いようだ。

実際に出来るかどうかが問題だ。日本は本気になればできるはずだ。

大型自動車がよく走っているがハイブリット車かさらには電気自動車に早くなって欲しいものである









59年の9月26日は今年と同じ土曜だった
名古屋地方気象台は
怪物のような台風15号に忙殺されていた。
伊勢湾台風と名のついたのは4日後









平成21年9月25日の天声人語よりの引


5千円札が出たのは1957(昭和32)年である。

翌年には1万円札が続き、聖徳太子は高度成長の顔となった。

大都市には労働者が密集し、家電が普及し始める。

そんな時代を、未曽有の災害が襲った

▼59年の9月26日は、今年と同じ土曜だった。

名古屋地方気象台は、怪物のような台風15号に忙殺されていた。

接近時の中心気圧は900ヘクトパスカルを下回り、夕刻、さほど衰えないまま紀伊半島に上陸する

停電で情報が途絶える中、南からの暴風に乗って5メートルもの高潮が襲った。

港の貯木場から流れ出た巨木が家々をつぶし、死者・不明者は名古屋市の低地を中心に5098人。

伊勢湾台風の名がついたのは4日後である


▼阪神大震災まで、これが戦後最悪の天変地異だった。

濁流にのまれ、闇に引き裂かれた家族は数知れず、多くの悲話が残る。

一つを、翌年に出た『伊勢湾台風物語』(寺沢鎮著)で知った

▼ある家で5歳ほどの男の子の亡きがらが見つかった。

傍らに水筒とリュック、財布には1枚の5千円札が入っていたという。

親は「この子だけは」と手を尽くし、水にさらわれたらしい。

初任給が1万円前後の頃である。

こうして、中京地区の物づくりを支えるはずだった幾多の命が失われた

▼気象台は台風の進路を読み切り、早めに警報を出していた。

行政が避難を徹底させれば死者は250人に抑えられた、との分析もある。


わが身は己で守るだけと、以後、電池式の携帯ラジオが普及した。

「自助」が命を救うという防災の教訓は、半世紀を経ても色あせない。





台風を消滅させる技術は進まないものなのか。平安時代には祈祷で雨を降らせたり

台風を止んだりできる僧侶がいた。どうして現在出来ないなのだろうか。

発生原理がわかれば発生を止めることができるはずだ。

早期発見早期治療が当てはめることができることだ。










国連安全保障理事会の首脳演説を聴いた
全会一致で決議した「核なき世界」
議長を務めたオバマ米大統領の信念と思いたい







平成21年9月26日の天声人語よりの引


開高健は、小説家が備えるべき資質をピアノ線に例えた。

首を断つほどの強さと、ビンビン響く感性が共に欠かせないのだと。

政治家の理想もピアノ線ではないか。

張り詰めた信念を、聴衆の心に送り届けるという意味である

▼そんなことを考えながら、国連安全保障理事会の首脳演説を聴いた。

全会一致で決議した「核なき世界」。

議長を務めたオバマ米大統領の信念と思いたい。


半年前に口にした針路へと各国を引き寄せる意志は、ピンと張った鋼の筋を思わせる

かたや鳩山首相。

語の発音はこなれていても、原稿を追う表情はやや硬かった。

それでも「被爆国の責任を果たすために核を持たない」「日本は核廃絶の先頭に立つ」のくだりは、万人の心に響いたはずだ

▼会場の映像は、もどかしくもあった。

丸く座った五つの常任理事国が自ら決断すれば、世の核弾頭の97%はなくせるのだから。

オバマ氏のメッセージは、残る3%を蓄える国やテロ集団に向けたものでもある。

心あるリーダーが同じ勇気と正気を保ち、非核の音色を膨らませるしかない

▼被爆国に生まれながら、「核なき世界など平和ぼけの夢」と語る者がいる。

核武装を唱えるに至っては、地道な外交努力に背を向けた逃げであろう。

勇ましい言説に惑わない強さ、感性を備えたい

▼オノ・ヨーコさんに深い言葉がある。

〈ひとりで見る夢は夢でしかないが、一緒に見る夢は現実だ〉。


ならば人類共通の願いがかなわぬ道理はない。

こと核廃絶については、いい意味で青臭く、突っ張るハトであれと願う。






核が存在する限り使われる可能性があるはずだ。核廃絶以外に核を使わせない方法がない。

使い出せば人類波滅戦争に突入することとなる。

何故使ウ事の出来ない核に人類は執着するのだろうか。地球自爆作戦なのか。










それらの大事故が相次いで、
国の運輸安全委員会の前身になる組織はつくられ
4年前のJR宝塚線(福知山線)の
事故をめぐる調査情報の漏洩(ろうえい)が明るみに出た








平成21年9月27日の天声人語よりの引


作歌の経験などなく、作法も知らない。

だがどうしても詠みたいと、ある航空工学の学者が残した一首がある。

〈はるのそらの とはのなみだの ひとつゆを いまなきひとの たまのみまえに〉

▼漢字を使えば、「春の空の永遠(とわ)の涙のひと露をいま亡き人の魂(たま)の御前(みまえ)に」となるのであろう。

1966(昭和41)年2月、全日空機が東京湾に墜落して133人全員が亡くなった。

その調査に加わった山名正夫東大教授(当時)が、犠牲者の霊前にささげた鎮魂の歌である

▼ジェット時代の幕開けに、それらの大事故が相次いで、国の運輸安全委員会の前身になる組織はつくられた。

その委員会で、4年前のJR宝塚線(福知山線)の事故をめぐる調査情報の漏洩(ろうえい)が明るみに出た。

調査の中立性を揺るがすゆゆしき不祥事である


▼JR西日本は報告書の修正まで頼んでいて悪質だ。

安全より業績という社風が改まっていないのだろうか。

もともと鉄道も航空も、専門性に閉ざされた狭い世界である。

調査側と当事者側の「なれ合い」は、古くて新しい懸念でもあった

▼66年の全日空の事故でも利害関係者が調査団に入っていたという。

影響があったのかどうか、「原因不明」として調査は終了する。

組織と相いれなかった山名教授は途中で辞表を出した

▼冒頭の一首は、真相に至れぬことを死者にわびる歌でもあったと、人づてに聞いたことがある。

宝塚線事故の犠牲者は107人を数える。

揺るがぬ調査に基づく再発の防止こそが、せめてもの鎮魂なのだと肝に銘じなくてはならない。





これはひどい話である。職権を利用して犯罪を消そうとしている。 宝塚線事故の犠牲者は107人にたいしても大変失礼いなことで

66年の全日空の事故でも利害関係者が調査団に入っていたという。影響があったのかどうか、「原因不明」として調査は終了する

会社と調査団との癒着でもみ消されれば遺族はたまったものではない。徹底的な解明か必要だ。それから癒着の解明もだ。










いまの季節、
部屋の中で秋らしい気分を味わうには、
ススキを飾るのが手っ取り早い。






平成21年9月28日の天声人語よりの引


いまの季節、部屋の中で秋らしい気分を味わうには、ススキを飾るのが手っ取り早い。

そう人に言われて試してみた。

原っぱから何本か、ハサミで切ってきて花瓶に投げ込むと、なるほど演出効果はてきめんだ。

窓の向こうの夜空さえ心なしか澄みわたる

秋の七草を、指を折りつつ挙げてみると、

萩(はぎ)、尾花、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、それに朝顔となる。

朝顔はいまの桔梗(ききょう)か木槿(むくげ)だという。

ススキを尾花と呼ぶのは、花穂が動物の尻尾(しっぽ)に似ているためらしい


▼ススキの群れは、風になびいて「おいで、おいで」をする。

その様を、江戸時代の俳人去来は「さよなら」に見立てた。

〈君が手もまじるなるべし花芒(はなすすき)〉。

見送ってくれる人の振る手が、銀の穂波と一緒にいつまでも揺れている。

一読、秋風の立つような余韻を残す

▼〈夕焼、小焼、薄(すすき)のさきに火がついた〉。

これで全文の「薄」という童謡をつくったのは、北原白秋だった。

秋の入り日はあかあかと落ちていく。

説明抜きの郷愁を、ススキは呼びさますようである

▼さて、わが部屋のススキは、花穂が開いて、はや秋たけなわの風情になった。

窓の外に丸い月がほしいところだが、まだ半分ばかり欠けている。

この月が満ちていって、中秋の名月になる

▼花屋で竜胆(りんどう)や吾亦紅(われもこう)を買ってススキの脇に挿してみた。

千草の乱れ咲く広がりはないが、ささやかながら秋の季語の「花野」が出現した。

〈かたはらに秋ぐさの花かたるらくほろびしものはなつかしきかな〉牧水。

名歌の調べにも誘われて、秋が胸の底へ染みていく。





秋はススキの季節で秋の七草に入っている。ススキは尾花とも言うらしい。春の七草は食用になるが

秋の七草は風景を楽しむだけである。部屋にススキを飾っていたことの記憶がある。

でも庭も充分でない現在ススキを愛で楽しむことはない。







表裏に1曲ずつのシングル盤は普通、
ヒットを狙うのはA面で、B面の多くは添え物に近かった
地味に終わった自民党の総裁選に、
この言葉を懐かしく思い出した。






平成21年9月29日の天声人語よりの引


 俳人黛(まゆずみ)まどかさんを世に出した初句集「B面の夏」の題は、〈旅終へてよりB面の夏休(なつやすみ)〉による。

家族旅行の後、宿題だけが残った少女時代の思いを詠んだ作という。

楽しんだ残余を言い得て妙のB面。

なるほど、くすんだ語感である

▼若い方には説明が要るかもしれない。

80年代に音楽CDが普及するまで、曲は円盤の両面に刻まれた。

>表裏に1曲ずつのシングル盤は普通、ヒットを狙うのはA面で、B面の多くは添え物に近かった

▼地味に終わった自民党の総裁選に、この言葉を懐かしく思い出した。

民主党が奏でる青臭いA面は海の向こうからも聞こえたのに、裏の三重唱は聴衆まばら。

5割に満たぬ党員投票率は正直だ。

野党の悲哀であろう

▼首相の花が咲かない木に登った谷垣禎一氏は、ベテランの中では善人風ながら、党が出直したという新鮮味は薄い。

B面に針を落としてみたら、どこかで聴いたメロディーだった印象だ

▼とはいえ日本の政治にとって、この先数年ほど重い時はない。

政権の未熟を突き、対案をぶつけるのが自民党の役割となる。

反省すべきはし、与党に戻したくなるような成果を重ねるしかない。

自党の盛衰のみならず、実りある競合に持ち込めるかどうかも谷垣氏次第である。

再生の音を待ちたい

▼A面ほど大衆受けを狙わないためか、時に斬新、そして聴くほどにしみる秀作がB面には潜む。

千昌夫さんの「星影のワルツ」、加藤登紀子さんが歌った「知床旅情」、ガロの「学生街の喫茶店」。

盤の裏側から歌謡史に名を刻んだ曲は少なくない。


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総裁選のセレモ二−は終わった。自民党総裁即首相ではないので利に敏い人たちにはあまり関心がなさそうだった。

国民にも関心が薄い。一人前の政党として立派な野党になってほしい。

立派な野党であることは立派な与党にさせ国民のためにもなることである。競ってほしい。



激動を歴史に刻む9月の言葉から



平成21年9月30日の天声人語よりの引


秋風の中、季節の移ろいにも負けぬ鮮烈さで政治が変わり始めた。

鳩山首相が国連で「日本の民主主義の勝利」と報告した政権交代。

真の勝利かどうかは変わった後で国民が判じよう。

激動を歴史に刻む9月の言葉から

▼タクシー運転手のトシさん(45)は新閣僚の就任会見に好感を持った。

「みんな自分の言葉で話している。

期待した以上に本気なんだ」。

でも「急カーブに高速で突っ込んでいく感じ。

曲がりきれるんだろうか」

▼霞が関には早くも大波だ。

岡田外相は「この問題は国民の不信感を高め、結果として日本の外交を弱くしている」と日米密約の調査を命じた。

外務省幹部は「やはり政治家がやらないと。

首相や外相がやれと言えば我々はやる」

▼厚労省に「進駐」した長妻大臣。

「私は国民から送り込まれたチェックマン。

皆さんとぶつかるかもしれない。

アカを洗いざらい出してほしい」と一発。

民主党のマニフェストをかざして「国民の命令書です。

携行、熟読して下さい」

▼建設中止を宣告された八ツ場(やんば)ダムの群馬県長野原町。

職員は「いつ完成するか分からないダムのせいで、賛成派と反対派、移住する人と残る人に分断された」と怒りが収まらず。

視察の前原国交相を「早期完成」の張り紙で迎えた

▼「どの政府にも政策を変える権利がある」。

クリントン米国務長官は、安保政策の見直しにも余裕。

政権につけば現実的になる、との読みらしい。

「選挙運動は詩でやり、政治は散文でするものだ」と。

変えっぷり、変わりっぷりに、内外の目が注がれる。






巨椋池



現在の住居している所は昔の巨椋池(おぐらいけ)があった所を干拓して出来た場所に住んでいる。

丁度京都近鉄線の東側が京都市によって団地が建設された所である。

京都での大規模団地は洛西ニュ−タウンと此処の向島ニュ−タウンの二つだけである。

向島ニュ−タウンは巨椋池を干拓した所のほんの一部に建設されている。

近鉄線の西側は大部分が風致地区になっていて建物が建てることは禁じられている。

学校と老人施設だけが許可されていて,殆んどが田畑地である。

散歩に出かけると珍しい鳥類に遭遇することがある。田畑地の真ん中辺りに東西に小川が流れていて岸辺には多分巨椋池が

存在していたであろう時の葦が背高く茂っていて池の存在を偲ばせてくれる。

池があったであろう真ん中辺りの田畑地の中に立ち池を想像したりしてみる。

和辻哲郎が「巨椋池の蓮」の題名で昭和25年頃に書いており

それを読んでいると当時の巨椋池の様子が想像出来る。昭和16年には干拓が終わっているので書かれた時には

巨椋池は存在していなかった。    以下インタネット引用-

巨椋池(おぐらいけ)は、京都府の南部、現在の京都市伏見区、宇治市、久御山町にまたがる場所に、

かつて存在した池である(規模からいえば池よりも「湖」の方がふさわしい)。

豊臣秀吉による伏見城築城期の築堤をはじめとする土木工事などにより時代によって姿を変え、

最終的には1933年(昭和8年)から1941年(昭和16年)にかけて行われた干拓事業によって農地に姿を変えた。

干拓前の巨椋池は周囲約16km、水域面積約800haであり、当時京都府で最大の面積を持つ淡水湖であった。


巨椋池の姿の変遷

巨椋池の形態に大きな変化を与えた事業によって、いくつかの段階に分けて考えることができる。

古代から秀吉の伏見築城期まで

宇治川が京都盆地に流れ込むところは、京都盆地の中でも最も低いところに位置しており、

琵琶湖から流れ出る唯一の河川である宇治川は、京都盆地へ流入する平等院付近から、

京都盆地の西端にあった木津川、桂川との合流点の上流側にかけて広大な遊水池を形成していた。

これがこの時代の巨椋池である。

平安京平城京の間に位置しており、古代、中世を通じて、水上交通の中継地として大きな役割を果たした。

また陸上交通は、巨椋池を避けるように盆地の外縁部を通っていた。

巨椋池の北側には多くの島州が形成されていた。

現在も残る槇島や向島などの地名はそこが池に囲まれた島であったことに由来する。

秀吉の伏見築城期から明治まで

天下統一を果たした豊臣秀吉は、晩年伏見城を築城し伏見に居を移した。

それに伴い宇治川(巨椋池)に堤防を築き、河川改修を行った。

代表的なものは以下の3つである。

槇島堤の造築
宇治橋下流で巨椋池に直接流れ込んでいた宇治川を、槇島堤によって伏見に向かって導いた。
これによって、宇治川から巨椋池に直接流入する形から、洪水時にのみ伏見より下流で流入する形になった。
槇島堤は宇治堤とも称された
淀堤の造築
伏見から納所(現・京都市伏見区)に向けて宇治川の右岸に堤防を築き、宇治川の流路を定めた。
これによって、横大路沼(現在の伏見区横大路の京都市南清掃工場を中心とする一帯に位置した。)が
宇治川・巨椋池と分離された。堤上は伏見と淀城(江戸期)とを結ぶ道にもなり、
江戸時代には京都を通らずに大津と大坂を結ぶ東海道五十七次の一部となった。
淀堤は文禄堤とも称された。

小倉堤は太閤堤と称す

巨椋池の中を縦断する小倉堤を造り、伏見城下から向島に宇治川を渡る豊後橋(現在の観月橋)を架橋し
堤上を通り伏見と奈良の距離を縮める大和街道を造った。
小倉堤は巨椋堤、太閤堤とも称された。

この3つの堤のほか、大池堤、中池堤がこの時期に築かれ、巨椋池は、大池二の丸池大内池中内池に分割された。

そのため、江戸時代には一般に大池(おおいけ)と呼ばれており、巨椋池という名が広く使われるようになったのは近代に入ってからである。


明治から干拓まで

1868年(明治元年)に木津川の堤防が決壊したことで、京都府は淀藩との共同事業によって木津川の宇治川との合流点を下流側に付け替えた。

これは木津川から巨椋池に向けての洪水時の逆流を少なくすることになった。

しかし、それからも洪水の被害がたびたび起こったことから、淀川改良工事の一環として宇治川の付け替えが行われ、

1910年(明治43年)に完成した。

この工事によって巨椋池(大池)は、淀・一口(いもあらい)間の水路で宇治川とつながるのみとなった。

このため、周辺から流入する生活排水や農業排水の排出が滞ることになり、水質悪化による漁獲量の減少、マラリアの発生などの問題が生じた。

そして、春から夏にかけて、蚊が大量発生し、付近住民は蚊燻をたかなければ、夕食の箸を取ることさえ、できなかった。

このような状況の中での地元の働きかけもあり、国の食糧増産事業として国営第1号の干拓事業が実施されることになった。

干拓以降

干拓事業は、国営、府営、組合営の分担により行われた。

国営干拓事業は1933年(昭和8年)から1941年(昭和16年)にかけて行われ、巨椋池は干拓され農地になった。

干拓後の農地における用水利用を考慮し、池の底部を小倉堤や池に点在した島で埋めた程度で、ほとんどがポンプを用いた排水によって干拓された。

なお、干拓前の巨椋池は東西4km、南北3km、周囲約16km(水域面積約800ha)であり、平均水深は90cmであった。

当時京都府で最大の面積を持つ淡水湖であった。


干拓によって、634haの干拓田ができ、あわせて周辺の1,260haの既存耕地の改良が行われた。

干拓地の農地は近鉄京都線(当時は奈良電気鉄道)を基準として区割りされたことから、周囲の条里制の区割りとは異なっている。

1953年(昭和28年)に大洪水が起こり、宇治川の堤防が決壊した。

これに伴って干拓前の巨椋池全域を含む広い範囲で浸水し、干拓地に巨椋池が「復活」する災害が起こった。

これを契機に天ヶ瀬ダムが造られ、1964年(昭和39年)に完成した。



巨椋池は多様な動植物の生息地として、豊かな環境を育み多くの人に恩恵を与えてきた。

鳥類では鴨の群れが多く、狩猟場として利用されてきた。 生息する魚類は漁業に恵みをもたらした。

沿岸のヨシ(アシ)は、京都御所の屋根や簾として用いられ、また周辺地域特産の茶(宇治茶)で碾茶や玉露を作るための覆いとして用いられた。

ハス(蓮)、ヒシ、マコモなどが自生し、その採取と加工が周辺住民の副収入になっていた。

また、巨椋池といえば蓮といわれるほど古来から蓮見が行われた。

池には食虫植物であるムジナモが自生し、1921年(大正10年)に「巨椋池むじなも産地」として天然記念物に指定された。

しかし、干拓に伴い1940年(昭和15年)に指定は取り消された。

1970年代に種指定の天然記念物となったアユモドキやイタセンパラも生息した。

巨椋池にちなむ名前を持つ植物としては、オオトリゲモ(学名を巨椋池産とした)、オグラコウホネ、オグラノフサモがある。


文学の中の巨椋池

巨椋池は古くから景勝地として文人墨客に愛された。

古くは万葉集の巻9、1699において、「巨椋(おおくら)の入江響(とよ)むなり射部人(いめびと)の伏見が田居(たい)に雁渡るらし」と詠まれた。


和辻哲郎の「巨椋池の蓮」という手記は、大正末年か昭和初年の夏に巨椋池で蓮見船に乗った思い出をつづったもので、

当時の観蓮の情景を描いており、1950年(昭和25年)に発表された。この観蓮記が発端となり、

往時の種子などをもとに自宅で蓮を育ててきた篤志者により、現在も巨椋池花蓮品種の保存や観蓮会が行われている。



現在の巨椋池

干拓地は現在も京都、大阪に近接した一大農業地帯として、米や野菜などが生産されている。

干拓地や宇治川河川敷は渡り鳥の飛来地となっている。 また、干拓地の北側にある宇治川堤外地の源内は、

西日本では有数のヨシ群落であり植生の面でも貴重である。ここは日本有数のツバメのねぐらといわれ、

8〜9月に掛けての最盛期には数万羽のツバメをみることができる。

京都競馬場の馬場の中央にある池は、かつての巨椋池の名残りを残した池であると考えられてきた。

1999年に京都府によって池中の生物の生態調査が実施された。

レッドデータブック 京都競馬場調査
近年では南北方向には従来の国道1号や国道24号に加えて第二京阪道路、

東西方向には京滋バイパスが通っており、現在の新たな交通の要衝であるといえる。

巨椋池干拓地内に位置する第二京阪道路のインターチェンジには、「巨椋池インターチェンジ」という名前が付けられている。


向島ニュ−タウンが近鉄線「向島駅}東側に京都市により建設されている。



                 巨椋池と蓮(画像)      巨椋池干拓後の田圃(動画)        蓮の花(動画)


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