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11月になって






十一月はしだいに寒さが本格的となる季節で,前半の頃はまだ温暖な日もあったが,次第に月の後半頃になると寒い日が続くようになってきている。

年中で一番脳卒中など循環器疾患の発病率が多くみかける頃ともいわれている。

その為外出するのも次第に慎重になってくる。

紅葉が次第に高地から平地へと色ずき,多くの観光客が紅葉を見物する為に京都に訪れるようになる。

京都の紅葉の名所は至る所にあるが。だが京都在住者として何時でも見られるとの気持ちがあって,あまり出かけることが少ない。

粟生野光明寺には少年時代学童疎開での思い出の地であり,昨年の秋訪れたが境内は広く,この紅葉の時期だけが拝観料がとられ

駐車場も有料であった。戦時中とは違って,すっかり整備されて美しくなっていた。

此処は普段,紅葉の時期以外は無料で拝観することが出来る京都の中でも珍しい寺院である。

永観堂もよく出かける。此処も紅葉の名所となっている。永観堂は東寺の初代長者である実恵の弟子真紹が開山しており,

始めの頃は禅林寺と言い真言宗だったのが,途中から浄土宗西山派に改宗している。(京都大学図書館蔵の東寺長者補任帳)

それで現在は禅林寺永観堂ともいわれている。

光明寺 や永観堂には良く訪れる。なんとなく親しみがあり落ち着く。観光客があまり訪れることが少ないからによるものだろうか。

今年も紅葉の季節も早く過ぎ去っていて年の瀬の師走へと移り変わってゆく。

国内政治は民主党政権に変わり,色んな方面で変わろうとしているが,変わることが出来ない部分のあることが,顕著に国民に判って来た。

自民党時代からの脱却は大変な事業のようだ。

アメリカとの外交面では此れから大変なことが多くあると思う。

若い頃に子供達が「アンポハンタイ」と叫んで遊んでいた日米安保条約が,特に安全保障の必要性を目指して,東南アジア連合を目指し出来れば,

ず-とこれから近隣同志が仲良くなり,友好状態になれば,敵対する国がなくなって,アメリカが説くような何処の国からも日本を守る必要性がなくなってくる。

多分本格的な世界戦争になれば,被害が非常に甚大で,人類破滅に至る核戦争になることは間違いない。

少し考えれば,素人にとっても判る明白なことである。

日米安全保障は却って日本にとって安全性を脅かす存在となっているではないかと考える。

その為これからの日本は貴重な戦争体験から,戦争にならない努力をし,戦争になれば第二次大戦中ののように一億が玉砕する気持ち(精神)でもって.

世界の平和の為に貢献にまい進してゆけばよいことである。

第二次大戦時には天皇を守るため,日本を守るために一億の国民が玉砕するつもりでもって特攻隊までも繰り出し,

銃後の国民は真剣に鉢巻姿でもって,老若男女を問わず全国民が竹槍でもって祖国を守るため竹槍訓練に励んだ体験をば生かすべきである。

今こそ不平等条約ともとられるような条約への「アンポハンタイ」は現在も生き続けていると信ずる。

武器を持って戦うことの愚かさを嫌というほど身をもって知り体験して来た世代の一員として,

早くアメリカ軍は日本国全土から撤退してもらい,世界で起きる戦争への基地にならないようにと願う気持ちで゜いる。

今のままでは日本は完全なるアメリカの半植民地国家の中で暮らしているようなものである。

特に沖縄はひどい状態にある。自分の国のことが,自分達の思いで何も出来ないのは大変に奇妙であり,不思議だ。

アメリカから変なミサイル防衛システムなんか買わずに,世界に向かって戦争をしない国だと明言すればよい。

変なミサイル防衛システムをもつことにより外国から戦争する国だと思われることの方が遙かに日本への脅威が増すばかりである。

今の財政事情の悪い日本で,国民の福祉や生活を豊かにする方面にそのようなミサイル防衛システム予算を使うことの方が遙かに現実的である。

これから戦争が起きれば人類破滅への戦争しかない,核兵器が存在する時代に於いて人類破滅戦争しか考えられない。

東南アジアでの善隣友好に励んで アメリカ軍基地を日本から退去する努力を現政権はしてほしいものである。

基地は却って日本に災いを及ぼすだけだ。日本の防衛にはならない。叉必要としない。

戦争が起これば過去の戦争と異なり勝者のない戦争になる。日米友好とはアメリカ側の言いなりになり仲良くすることだけではないはずだ。

「戦争放棄の憲法第九条」は全世界が見習って欲しい。

そうすることにより国同士の戦争がなくなり,戦費に大金を費やしたり,尊い若い生命を失くすこともなくなってしまうこととる。

日本の治安維持のためには現在の自衛隊だけで充分である。

安保反対の意味は当時も今も安保闘争 を読んでみても,戦争に巻き込まれる条約であることは明らかなのに,

そして何故にアメリカ軍の駐留に対して高い代金を支払っているのかが理解できない。

日本は半植民地国家であるのだから仕方ないですまない。早くそのような状態から脱却はできないものなのか。

日本を一度占領下に置いたアメリカにとって,いつまでも日本から利益をば現在も尚持続し得ようとしている風にしか見えてこない。

UAがヨ−ロッパで築かれようとしている時代に,日本も戦後65年になったのだから平和で世界から好かれるような日本に,

東南アジアにおいて主体性をもってUAのような連合体を作る主導者の一員になってほしいものだ。

日本は世界の戦争に関与せず,世界平和の為にのみ邁進する国家像を見せて欲しい。

広島・長崎に続くような原爆投下が,地球上にあってはならない。その時は人類の破滅への序曲でもある。

戦争しない国になるには戦争する国に基地を提供しないことこそが日本国が立派な安全保障国家になりえるものである。

叉世界の安全保障にも通ずる話である。

日本に基地がある限り日本国は平和な国家ではありえない。

人類発祥以来戦争は続いているが,是非日本だけは戦争しない国,関与しない国になってほしい。

それこそが数知れない戦争によって倒れていった人たちへの鎮魂への祈りであり日本人としての決意でもある筈だ。

またもや天皇を利用するようなニュ−スが報道されていることに対し,古代から再々にも繰り返されてきた歴史が

いまだにまた再び繰り返されている恐れがあることを見た。










落語と茶の間をぐいと引き寄せて、三遊亭円楽さんが76歳で亡くなった







平成21年11月1日の天声人語よりの引


「山田君、全部持ってっちゃいなさい」。

「笑点」の大喜利で豪快に笑いながら、座布団没収を命じる声が耳に残る。

落語と茶の間をぐいと引き寄せて、三遊亭円楽さんが76歳で亡くなった

▼29歳で真打ち、次いでテレビの人気者に。


高座とタレント業を両立させた噺家(はなしか)の先駆けだろう。

客の前で差し歯がぽろりと抜けたことがある。

口元を手ぬぐいで押さえ、「これで私も一人前のハナシ家になりました」。

出ばやしの元禄花見踊りそのまま、おおらかで華のある人だった

▼「人物をきちっと描写する。

根底はリアリズムです」と、落語の基本を語っている。

物腰は柔らかでも芸では自他に厳しく、だからこそ、登場人物を思い通りに描けない晩年の現実、もどかしかったに違いない

▼脳梗塞(こうそく)から1年で復帰しての高座。

「医者からは、もういっぺん起こしたらおしまいって言われてます。

この場でなったら適当にアレして下さい」と笑わせた。

聴く者を幸せにする言葉を持ち通した

▼最後は進退をかけた一席に納得がいかず、同じ舞台から引退を表明する。

この引き際に小欄が触れたところ、取材の同僚に「あたしは幸運です。

死んだわけでもないのに天声人語にまで取り上げられた」と語った。

師匠円生の訃報(ふほう)が、直後に死んだパンダより小さな扱いだったことを引いての洒落(しゃれ)である

▼冗談とはいえ、言葉の達人から随分もったいない「お返事」だった。

次はこうして、不本意ながらご自身が読まない日に載せる巡りとなった。

落語界にまた、大きな座布団がぽつんと残された。






笑いを我々に与え続けてくれた三遊亭円楽さんがなくなった。芸を磨くに隠れた努力をし続けておられたと思う。

健康も叉毎日の精進にある。

精進しても人間の寿命は無限ではない










ところが、究極のゴールと思われる高級住宅地の豪邸に、まだ先があった
鳩山首相が先日、田園調布の自宅から永田町の公邸に越した







平成21年11月2日の天声人語よりの引


東京・新宿駅の近くに、専門学校と並んで女子大がそびえている。

その足元で商う不動産屋さんの張り紙が目にとまった。

〈寮からの脱出〉とある。

学生寮からアパートに移りましょうという宣伝らしい

▼学校や職場の寮は経済的だし、管理の目もあるから親元は何かと安心だ。

半面、息苦しさを感じる人もいよう。

気ままな一人暮らしにあこがれて都会に出た若者であれば、張り紙の通り、寮は抜け出すべき所かもしれない

▼多くの人は生涯に何度か引っ越しを経験する。

間借りや寮が「住宅すごろく」の振り出しなら、社宅や賃貸マンションなどを経て、上がりは庭付きのマイホームというのが世間相場だろうか。

ところが、究極のゴールと思われる高級住宅地の豪邸に、まだ先があった

▼鳩山首相が先日、田園調布の自宅から永田町の公邸に越した。


「私どもには大きすぎる」と戸惑いながらも、職住接近によって国会論戦や日本のかじ取りに専念するという

▼由緒ある洋館で生まれ育った鳩山さんだ。


サイコロを振る前から上がっていたようなものだが、今度はお金で買えない住所への転居である。

政治を志した一人として、また国民から変革を託された者として、気を引き締め直す機会にしてほしい。

よりよい明日を目ざす国政のすごろくに、上がりはない

▼週明けの列島は寒気の南下で冷え込むと聞く。

寒という字を見ると、「年越し派遣村」のテントへと続く行列を思い出す。

振り出しどころかサイコロさえ握れない路上生活者にとって、しんどい季節
の始まりである






鳩山首相の母親からのお金の受容の話はあるところにはお金はあるものだと感心する。

でもどのような使い方されているかが気になる。使うなら派遣村に寄付してあげて欲しい。

どの政治家においても,どうして手厚い国家からの手当てがあるのにも拘わらずに,お金が必要なのか徹底的に調べて欲しいものだ。










結婚話に乗じた詐欺罪で起訴された女(34)が、
別の男性4人からも計1億円を得ていたと報じられている







平成21年11月3日の天声人語よりの引


 しばらく前、色づき始めた新宿御苑を歩くと、ジョロウグモがあちこちに大きな網を張っていた。

巣を作るのはメスで、周りをよく見ると、はるかに小さなオスが数匹いる。

残り少ない繁殖期に愛をささやくが、うかつに近づくと巣の主に襲われるそうだ。

求婚も命がけである

▼結婚話に乗じた詐欺罪で起訴された女(34)が、別の男性4人からも計1億円を得ていたと報じられている。

複数で大金を振り込む図は、自然界の非情に重なる


▼女が張った網はインターネットだった。

良縁を求めるサイトで知った男性に「支援」を訴え、ブログでおしゃれな生活を公開する。

そこには、手料理、食べ歩き、高級外車と、男性をおびき寄せる蜜をまぶしていた。

女はこうして、20人ほどに接触したとされる

▼ネットを介した出会いで泣くのは女性、毒手は男に生えているという「常識」を揺るがす展開である。

4人はこの女と接した後、なぜか相次いで亡くなった。不自然な最期と女のつながりに世間の目が注がれている

▼晩婚の時代、30代前半の未婚率は男性で50%に迫り、女性も30%を超す。

相手を探して積極的に動く「婚活」の市場で、女は悪意を糖衣にくるみ、時には甘えてみせ、良縁を願う中高年を信じ込ませたらしい

▼ネット上では、異性に化けることも、若く装うこともたやすい。

姿形をさらしての付き合いでさえ、あばたがえくぼになる男女の仲である。

その女が地味だ平凡だと聞くほどに、実像と虚像の境界はぼやけ、ネット空間で増殖する毒素が浮き彫りになってくる





結婚詐欺で荒稼ぎする女性がいるらしい。世知辛い世の中でなんともいえない矛盾を感ずる事件である。










月探査機「かぐや」が撮影した月面の画像を詳しく調べたところ、
直径60〜70メートルの不思議な穴が確認された









平成21年11月4日の天声人語よりの引


深いものになると、アリの巣は地下4メートルに達するそうだ。

人間に置き換えれば、1キロ以上を道具なしで掘り進んだことになる。

穴に沿って食料庫やゴミ捨て場、子育て部屋などが連なるというから、堂々の地中基地である

▼外敵を防ぐには、奥は深く、入り口は小さくというのが基地の勘所となる。

アリの巣穴を突き止める早道は、鳥の目ではなく、虫の目になって行列の後を追うことだ

▼それを思うと、よくぞ見つけたものである。

探査機「かぐや」が撮影した月面の画像を詳しく調べたところ、直径60〜70メートルの不思議な穴が確認された。

かぐやは上空100キロあたりを周回していたから、カラスがアリの巣を探し当てたに等しい

▼穴は普通のクレーターより壁が切り立ち、差し込む光の分析から、深さは約90メートル、底には広大な横穴が延びるとみられる。

横穴は太古の火山活動が残したトンネルで、かぐやが見つけた穴はその天井の一部が崩れ落ちたものらしい

▼地下の横穴はいずれ、アリの巣のような有人基地に使えるかもしれない。


大気のない月面は宇宙放射線や隕石(いんせき)の危険にさらされ、昼と夜の温度差も大きい。

何億年もの試練に耐えた空洞は格好の天然シェルターとなる

▼1年半にわたって鳥の目で月面をとらえ続けたかぐや。

その「目の記憶」をたどり、より深い探査へ夢が膨らむ。

やがて人が移り住み、虫の目で月を歩き回る日が来よう。

その穴が長期滞在の扉となるのなら、月面に消えた探査機も本望に違いない。

穴の奥、アリのように働くのでは夢がないけれど。





月は人類にとって未知の資源の宝庫である。

何時の日か月と地球が往来して人類が裕になるための月になってほしい。

実用とも関係する科学の進歩を願うものだ。科学のための科学が幅を効かしている世の中で是非実現を。









日本たばこ産業は「罰金のような課税」とむくれる
だがどうだろう。
紫煙への依存はストレス解消とかの前に
ニコチン中毒という病である。
本当に国民の健康を願うなら、
財源が枯れるのを覚悟で1箱千円にしたらいい










平成21年11月5日の天声人語よりの引


国の台所事情がいよいよひどいことになってきた。

今年度上半期の税収は前年同期より24%減り、年度見通しも46兆円から30兆円台に修正されるという。

火の車にせき立てられて、たばこ増税が浮上している

▼販売が急減しては財政的に元も子もないから、たばこ税の引き上げは「小幅で何度も」が常だった。

そのせいか、1箱平均600円の欧米に比べ、日本のたばこは半額。禁煙の旗を振る厚労省は「しがらみのない政権なんだから」と大幅アップを狙う

▼たばこ包囲網は狭まる一方だ。

700度の火が幼児の顔あたりを舞うとあって、歩きたばこの追放が各地に広まった。

神奈川県では来春から、不完全ながら飲食店などでの喫煙が規制される


▼真綿で絞められるように喫煙率は下がり続け、今春で25%(男性39%、女性12%)。

喫煙者が年に80万人減った計算だ。

つまり2兆円強のたばこ税は、より少数が、より高額を背負って支えている。

日本たばこ産業は「罰金のような課税」とむくれる

▼だがどうだろう。

紫煙への依存は、ストレス解消とかの前にニコチン中毒という病である。

だから値上げは体に良い、という理屈になる。

本当に国民の健康を願うなら、財源が枯れるのを覚悟で1箱千円にしたらいい


▼税収を案ずるなら、簡単にやめられない弱みに乗じ、取りやすい所からチマチマ取る姿勢はどうか。

中毒などに頼らない、大きな構想がほしい。

孫子の代を見据え、消費税や法人税、さらには歳出までを含めた財政の解体修理にかかる時だ。

一服している暇はない。







タバコは健康には毒であって益がない。成人病発祥に麻薬以上に悪い所がある。

タバコをこの世の中から無くすことが,国民にとって幸せである。

同じ頃に流行した梅毒を誰もは良いと思っていないと同じだ。

課税を増やして喫煙者を減らすことが世界中で取られている中で

日本では売れない国から輸入して安く販売している。タバコ後進国である。











7年前、大リーグ挑戦を決めた松井秀喜選手は、
背番号55の大活躍で、ヤンキースがワールドシリーズを制した。
粘っての先制ホームラン、2本のタイムリーとも胸のすく当たりだった。







平成21年11月6日の天声人語よりの引


7年前、大リーグ挑戦を決めた松井秀喜選手は、記者会見で一度も笑わなかった。

「何を言っても裏切り者と思われるかもしれないが、いつか『松井、行ってよかったな』と言われるよう頑張りたい」。

そう、本当によかった

▼背番号55の大活躍で、ヤンキースがワールドシリーズを制した。

粘っての先制ホームラン、2本のタイムリーとも胸のすく当たりだった。

栄冠には、日本人初の最優秀選手(MVP)という宝石がついた


▼オノをぶん回すような巨体がそろう米国では、勝負強い中距離打者の印象が強い。

イチロー選手がカミソリなら、ゴジラはナタの切れ味だろうか。

どっしりと構え、狙いすまし、しなやかに一撃を見舞う

▼耐える男に見える。

右足で細かく間合いをはかり、総身に火薬を満たしてなお、きわどい球を見送る。

会心の一発が出れば、喜びを押し殺してベースを回る。

けがやスランプを理由に取材を拒むこともなかった

▼「巨人の大4番」を捨てた最初の選手である。

日本にとどまれば何度もタイトルを取っただろう。


ワールドチャンピオンにしても、何人かの日本人が先に経験した。

4年契約の最終年、新装のヤンキースタジアム。

野球の神様は、最後の最後に「マツイの日」を用意していた

▼辛口で鳴らすニューヨークのファンが総立ちでMVPコールを送る。

くしゃくしゃの相好で大男たちと抱き合う姿に、そうか、7年分の笑顔なんだと納得した。

自分を裏切るな、迷った時は挑戦せよ、倒れるなら前に。

いくつものエールを発する、いい顔だった。






日本人がアメリカで活躍しているのはスポ−ツ界でもうれしいことである。

世界の国境はなくし,変な愛国心は増長しないでほしい。










守交代の光景を、
筑紫哲也さんならどう論じただろう
立冬の昼下がり、
希代のジャーナリストが逝って
早いもので1年になる





平成21年11月7日の天声人語よりの引


自民党が突っ込み、民主党がしのぐ国会論戦。

攻守交代の光景を、筑紫哲也さんならどう論じただろう。

立冬の昼下がり、希代のジャーナリストが逝って早いもので1年になる

▼当方、あこがれて入社した世代ながら、ほどなく、あちらは雑誌を経てテレビに移られた。

じっくりお話しできなかったのが悔やまれるが、天上のその人は、別の意味で歯ぎしりしているはずだ

▼「オバマのたたかいや、日本の政治状況の激変ぶりを筑紫さんが見られなかったのをつくづく残念に思う。

さぞかし面白がっていただろうな、と」。

「NEWS23」のデスクだった金平茂紀TBSアメリカ総局長の無念を、新刊の『筑紫哲也』(朝日新聞出版)から引いた

▼30年近く交遊した歌手、井上陽水さんが同書で語る。

「自分が演じるのではなく、演じている誰かを見たり、世の中に紹介したりするという意味で、観察者のプロだった」。

最高のほめ言葉だろう

▼ご本人は記者たる条件を、取材、分析、表現の力と述べている。

十二分に観察、消化、発信して、なお自由人の余裕をたたえていた。


異見や珍説に耳を傾け、談論風発を楽しむ。

心のアソビが世の中全体から消えつつある時代に、その不在は日増しに大きい

▼プロのやじ馬なら、この変わり目にこそ居合わせてほしかった。

「いちばん大切な時に、なんでいないのよ」とは、歌手加藤登紀子さんの嘆きである。

せめてもう1年。73歳は天命だったにしても、筑紫さんの沈黙は早すぎた。

彼に問うてみたいこと、彼が語るべきものは尽きない。





筑紫哲也さんはタバコの吸いすぎで肺癌で若くして亡くなっている。

立派な評論されていたのに健康に関しては無関心だったようだ。

残念ながら更なる評論は聞けない。同じ世代で育ち考えは共鳴する所が多い。











文明の十字路とも言われたアフガンは、
古くから列強の軍靴に踏まれた歴史を持つ
そして今も、多くの血がこの地で流されている










平成21年11月8日の天声人語よりの引


名探偵シャーロック・ホームズと、相棒のワトスン博士が出会うくだりは、愛読者にはよく知られている。

名高いコンビが誕生する場面で、ホームズが開口一番に言うのが「あなたはアフガニスタンに行ってこられたのでしょう?」である

▼ときは19世紀の終わり近く、ワトスンは英軍の軍医として従軍して戻ったばかりという設定だ。

文明の十字路とも言われたアフガンは、古くから列強の軍靴に踏まれた歴史を持つ。

そして今も、多くの血がこの地で流されている

▼政治も治安も悪化の一途をたどっているようだ。

汚職がはびこり、麻薬栽培は広がり、10月の米軍の死者は過去最悪となった。

出口の見えぬ泥沼は、いまや「オバマ政権の墓場」とさえ言われている

▼折も折、米国の基地で銃の乱射が起きた。

兵士の心のケアを担う精神科軍医の犯行とわかり衝撃は大きい。

近くアフガンに派遣される予定だったという。

大統領は来日を延ばして追悼式典に出ることになった

▼わが在米中の7年前を思い出す。

アフガン帰りの兵3人が続けて妻を殺す事件が起きた。

うち2人は自殺した。

米社会をむしばむ「心の傷」の、氷山の一角だったろう。

「自ら傷つくことなしに戦争などできない」。

取材したある帰還兵の言葉がいまも耳に残る

▼小説ながらワトスン博士も、帰還したときは心身ともぼろぼろだった。

変わらぬ戦争の実態だろう。

快刀乱麻を断つ解決などアフガン問題には望みようもない。

米国と世界と、何よりもアフガンの人々の抱える深い淵(ふち)を、いまさらながらに思う。






病気の発見もシャ−ロックホ−ムズと同じで証拠から犯人を見つけ出す推理にある。

「そうだろうね ワトソン君」。










いやな事件が続く
英国人女性の遺体を捨てたとして手配された男(30)が、
整形手術を重ねて逃げている。
島根県の女子学生(19)はひどい殺され方をした
鳥取県では、詐欺容疑で捕まった女(35)の周辺で、
何人もの男性が不可解な死を遂げていた。










平成21年11月10日の天声人語よりの引


毒舌の評論家大宅(おおや)壮一(そういち)が残した名言の中でも、〈男の顔は履歴書である〉は深い。

女性も社会的なキャリアを重ねる時代、何も男に限ったことではなかろうが、面相には脚光や風雪の跡が正直に刻まれる

英国人女性の遺体を捨てたとして手配された男(30)が、整形手術を重ねて逃げている。

大宅流に言えば履歴書の改ざんである。

元の顔からは目元の鋭さが消え、妙な造作になった。

親からもらった顔をあえて崩し、別人になりすましていたらしい

▼計100万円とも言われる整形代をどう払ったのか。

履歴書の要らない職場で食いつないでいたのか、支援者はいるのか。

2年半を超す逃亡の軌跡は、遠からずさらされるだろう

▼いやな事件が続く。

島根県の女子学生(19)はひどい殺され方をした。

貧困や飢餓に関心を寄せる、まじめな女性だったと聞く。

英語が得意で、留学を夢見た彼女の履歴書は、アルバイト以外の職歴を白く残して引きちぎられた。

鬼畜の所業と吐き捨てたところで、震えるほどの怒りは収まらない

▼隣の鳥取県では、詐欺容疑で捕まった女(35)の周辺で、何人もの男性が不可解な死を遂げていた。

トラック運転手が、新聞記者が、警察官が、それぞれの履歴書を完結させぬまま不意に息絶えた。


最期の顔がゆがんでいては浮かばれない

▼いつの日か、これらの事件が裁判員を交えて裁かれる運びになれば、被害者の数だけが焦点ではなかろう。

手口がむごいほど、あくどく逃げ回るほど、市民の心証は厳しくなる。

この点、どの犯人も覚悟したほうがいい。





殺伐とした事件が続いている。戦後親世代への道徳教育が放置され

本能のままに生きる若者達が増えて気ているのが原因なのか。

根源を探し見直すべきだ。









 沖縄県石川市(現うるま市)は、
沖縄戦後の日本人収容所から発した街だった








平成21年11月11日の天声人語よりの引

 沖縄県石川市(現うるま市)は、沖縄戦後の日本人収容所から発した街だった。

ある日収容者の前に男が現れ、「残った者が元気でないと死んだ人が浮かばれぬ。

命(ヌチ)のお祝いをしよう」と踊り始めた逸話が残る。

『沖縄言葉(ウチナーグチ)ちょっといい話』(藤木勇人著、双葉社)で知った

▼だが、命のリレーはままならず、彼らの子どもらを再び悲劇が襲う。

市立宮森小に米戦闘機が落ち、児童11人を含む17人が死亡、200人超が負傷して50年になる

▼2年生だった校長の平良(たいら)嘉男さん(58)は節目の今年、遺品などを集めた巡回展を始めた。

「生活に追われ基地に耐えることが日常になっていないかと、県民に問いたい」と語る

▼戦争で踏みにじられた後も、この島は異国の戦に酷使されてきた。

いや、基地は日本の平和のためだという反論があろう。

しかし、度重なる墜落事故や性犯罪で流された血涙は、同盟のコストといった乾いた言葉ではくくれない

▼普天間飛行場の問題も積年の我慢と怒りの先にある。

県外移設を訴えて政権を取った鳩山首相に、地元の期待が膨らむのは当然だ。

平良さんも、県内移設に反対する大会に出た。

「県外だ国外だ、と言うのはつらいのです。この苦しみを誰かに強いることになる」

▼ベルリンの壁が崩れて20年というのに、極東では冷戦が尾を引き、沖縄の「役割」もなかなか終わらない。

とはいえ、外国の基地がいくつもあるのは、主権国家として異常な姿であろう。

日米ともせっかくの新政権である。


この際、お互い腰を据えて同盟の明日を考えたい。





誰が見ても沖縄はいまだにアメリカの占領下にあるような状態がつづいているようだ。

沖縄を捨石にしての沖縄戦でもって,三種の神器存続の為に犠牲になったのならば,それにメスが入らない限り

何時まで経っても日本は同じことを繰り返す国で存続する



群青(動画)


沖縄地上戦(動画)


沖縄上陸作戦(動画)


海ゆかば(動画)











脚本家の倉本聰さんが「存在そのものがすでに演技」と
惜しむ森繁久弥さん、96歳。









平成21年11月12日の天声人語よりの引


肉がお好きで、卒寿を超えてもステーキとフォアグラを一度に頼んでいたという。

脚本家の倉本聰さんが「存在そのものがすでに演技」と惜しむ森繁久弥さん、96歳。

後輩のために弔辞を読む役回りを退き、いよいよ聞く番となった


▼人も芸も軽妙だった。

TBSの生放送ドラマ「七人の孫」で、お手伝いさん役の新人女優をいたく気に入った森繁さん、

放送当日、急坂のラーメン屋台という妙な場面を注文する。

台本なしの本番。

屋台の丸いすに座ったご隠居は、即興で横のお手伝いにすり寄った

▼新人がうぶに押しのける。

屋台は坂をずり始め、2人は抱き合って倒れ込んだ。

このわるさ、配役を任された久世光彦(くぜ・てるひこ)さんが『今さらながら大遺言書』(新潮社)で明かしている。

相手は後の樹木希林さんだ

▼女性を愛し、映画でも尻や胸によく手が伸びた。

パシッとやられて退散する流れがおちゃめで、いやらしさはない。

座談の色話には軽(かろ)みが漂い、エロというより、小さな字で助平と書きたいおかしみがあった

▼大阪人のサービス精神に、大御所の威厳がいい案配で重なる。

銀幕の盛りはチョビひげ、晩年は白いあごひげの相を大衆の記憶に刻んだ。

お座敷でのドジョウすくいと文化勲章。

どちらもはまる自在の人だった

▼勝新太郎さんや芦田伸介さんら、仲間に先立たれる思いを「朝寝坊でロケバスに乗り遅れた私だけがまごまごしている」と記している。

「生きているやつはみんな哀れなんだ」と。

久世さんも、最愛の妻子も待つ次の現場に向かって、悠然とバスに消えた。






長生きするのも努力と勿論運もあるが天才的な努力が必要であることは何時の世も変わりがない。

凡人には真似できない人生であった。

冥福を祈ります。









来年度予算の事業仕分けで
議員と民間の仕分け人が、
省庁の要求を削りまくる様が公開された










平成21年11月13日の天声人語よりの引

「絵」を見せられて変化を実感したし、それが狙いでもあったろう。

来年度予算の事業仕分けである。

議員と民間の仕分け人が、省庁の要求を削りまくる様が公開された。

法廷さながらの真剣勝負で、初日から廃止の「判決」が相次いだ

▼これじゃ公開処刑と役人はぼやくが、あけすけの攻防は建前談議よりずっと面白い。


国会審議にも同じ感慨を抱いた。

答弁の虎の巻なし、官僚の助け舟なし。

政治家同士の論戦は時に、足を止めて打ち合うボクシングを思わせた

▼場外乱闘も熱い。

町村元官房長官が民主党の新人軍団を追い出そうとすると、亀井金融担当相が「町村あたりになんの権限があるんだ」と毒づいた。

町村氏も「亀井退席だ。

退席しろお前!」と負けていない。

ちなみに亀井氏が8歳上、東大経済学部の先輩でもある

▼民主党はいまだに与党が板につかない。

夏まで政府を攻め続けた長妻厚労相は、質問に立った前任者を再三「舛添大臣」と呼んだ。

鳩山首相も厚労相を「長妻委員」とやった


▼野党ボケの病は守りに弱い。

沖縄、予算、天下り、献金、日航、連立、小沢さん……。

与党が抱えた爆弾は粒ぞろいで、野党のひと押しで火を噴きかねない状況だ。

世論の優しさ、さていつまでもつか

▼内政のせわしさにはお構いなく、オバマ米大統領がやって来る。

あちらも課題山積、人気にも影がさす。

アジア歴訪の主眼は中国らしいから、心ここにあらずとなりはしないか。

「チェンジ」の重さがこたえる者同士、せめて友情を固め、後々の「総合保険」としてほしい。






今までには見ない光景を見て政治が身近に感ずるようになった。政権交代の成果なのか?










今年も電飾がまぶしい季節となった。









平成21年11月14日の天声人語よりの引


ベルギーの画家ルネ・マグリットに、昼と夜が同居した連作「光の帝国」がある。

窓あかりの家と街灯、黒い木立の上は、なぜか青い空と白い雲だ。

作者は〈夜と昼の想起は我々を脅かし、魅了する力を備えている〉と注釈を添えた

▼科学の言葉では説きづらいが、かの国に暮らした頃、そうした情景を見た覚えがある。

土地の空気がもたらす超現実とでも言うのか、長い夜が待つ晩秋から初冬の、日没後の一瞬だったと思う

▼英語のトワイライト、日本で逢魔(おうま)が時(とき)と呼ばれる時間帯である。

心細い光の中で、起こり得ないこと、あり得ないものを心の耳目がとらえる。

薄暮の歩道で、亡き人の面影とすれ違った経験をお持ちでなかろうか

▼そんな幻想を追い立てるように、今年も電飾がまぶしい季節となった。

東京都心の六本木ヒルズでは、日本庭園にまで発光ダイオードの粒が散らされ、ケヤキ並木も青白い実をつけた。

高層ホテルは、窓を使った巨大ツリーを競う

▼上が暗く、下が明るいのはマグリットの作品とは逆ながら、これから年末にかけての街も「光の帝国」には違いない。

延々と続く「昼」に、家族が集い、恋人たちが憩う。

きらめく夜はなるほど幻想的だが、それは現実であって幻想ではない

▼火ともし頃が恋しい候。ひと粒のあかり、ひと筋の光明は、あたりが暗いほど胸にしみる。

夜汽車の窓にぽつんと浮かんだ灯火に、何ごともない日常、一家だんらんの愛(いと)おしさを見たのは、フーテンの寅さんだった。

抱きしめたくなるような光は、すっかり貴重品である。






電飾された風景はテレビでしか見ない。実際に見れば,どれだけ感動するか。一度見てみたいものだ。











世は空前のペットブームだという。
その陰で、年に30万匹という犬と猫が、
生きることも許されずガス室に消えていく










平成21年11月15日の天声人語よりの引

 ここ何週か、金曜の小紙夕刊を手にすると少し緊張する。

この日には脚本家、三谷幸喜さんの人気エッセー「ありふれた生活」が連載されている(統合版地域は翌朝刊)。

三谷家の老猫オシマンベの訃報(ふほう)が書かれているのではないか――それが気にかかる

▼先月の寄稿によれば、衰弱して目方が半分に減ったそうだ。

三谷さん宅では昨夏にも老猫が旅立った。

そのときは死を伝える文とともに、猫が横たわる和田誠さんの挿絵が載った。

早刷りの夕刊をめくり、まず猫の絵がないのを見てほっとする金曜の午後である

▼私事にわたるが、拙宅でも夏を前に老猫が死んだ。

7キロあった体は3キロにしぼみ、よろよろになって息絶えた。

狭い庭に盛った土饅頭(どまんじゅう)に、いまは枯れ葉が散って、猫の墓ながらそれなりの風情である

▼世は空前のペットブームだという。

その陰で、年に30万匹という犬と猫が、生きることも許されずガス室に消えていく。


東京で上映中のドキュメンタリー「犬と猫と人間と」を見ると、もろもろの場面が人間の身勝手を突いてくる

▼ひとりの猫好きのおばあさんの思いを、監督の飯田基晴さんが受け止めて作った。

「人も好きですけど、人間よりマシみたい、動物の方が」。

いまは亡き彼女のつぶやきが、われら霊長類ヒト科の生き物にほろ苦い

▼〈犬猫も鳥も樹も好き 人間はうかと好きとは言へず過ぎ来て〉は歌人斎藤史(ふみ)の一首。

人同士とは違う情の注ぎやすさがペット人気の側面にはあるのだろう。

かりそめの情に終わらせないことは、人の道のイロハである。






ペットを連れての散歩は本当の運動になっているのか。疑問を持つが全く歩かないよりは健康上良いことだ。

i人間に対して犬猫は人々に如何に尽くしてくれているかを感謝しょう。











遺失と拾得をめぐる話には往々にドラマがある
なくした時は悲運を呪ったが、
届けてくれた人の情にふれて、
逆に幸せな気分をもらった。









平成21年11月16日の天声人語よりの引


へえ、「井戸の茶碗(ちゃわん)」みたいな話が本当にあるんだ――と落語好きの人は思ったのではないか。

ある若侍(わかざむらい)が古びた仏像を二束三文で買い、磨いていたら中から50両の小判が出てきた。

これが落語の筋立てである

▼実話は奈良県であった。

この9月、中学校のバザーで靴収納用品が2箱、それぞれ10円で売りに出た。

別々の人が買って帰ると箱の中から200万円ずつ、計400万円が出てきた。

たまげた2人は警察に拾得物として届けたそうだ

▼謎めいた話は、このほど持ち主が現れて落着となった。

小紙の奈良版によれば、63歳の女性がへそくりとして隠し、うっかり忘れたままバザーに出したという。

「よく届けてくれました」と女性。


名高いネタも現代の実話には一本取られた格好だ

▼遺失と拾得をめぐる話には往々にドラマがある。

なくした時は悲運を呪ったが、届けてくれた人の情にふれて、逆に幸せな気分をもらった。


そんな美談もあれば、泣く泣くあきらめた無念も聞く。

善意と不実の交差する人の世の縮図だろう

▼2年前には茨城県で、1千万円の当たり宝くじを置き忘れた人がいた。

報道されると19人が名乗り出た。

警察が吟味して持ち主を確定したが、人の世は基本的には、せち辛いものらしい

▼ちなみに「井戸の茶碗」では、若侍と、仏像の前の持ち主が「自分の金ではない」と美(うる)わしく譲り合う。

ものの本によれば、世相を映してか、こうした癒やし系の正直話が昨今の寄席では好まれるそうだ。

名演を一席聞きたくなる心地がする、今年の冬の初めである。





平凡の中にしみじみとした人生の味がある。失くしたものが見つかるのが珍しいような世の中で

ホッとするできごとである。










本紙の世論調査で鳩山内閣の支持率が62%になった
発足時の71%から、2カ月で首相の年齢まで下りてきた








平成21年11月17日の天声人語よりの引


本紙の世論調査で鳩山内閣の支持率が62%になった。

発足時の71%から、2カ月で首相の年齢まで下りてきた。

このままどんどん「若返る」かどうかはさておき、新政権の滑り出しを振り返る頃合いだ

▼旧政権は青少年のような支持率に泣いた。

飛行機に例えれば、荒野に不時着したり、低空で粘った末に政権交代の空港に降りたり、ふらふらと重力まかせの感があった。

新政権の支持率は、同じ低下でも緊張をはらむ。

下降気流と上昇気流の間でもまれ、きしみながら高度を下げる機体を思う

▼下向きの風は尽きない。

献金疑惑、冷めた日米同盟、天下り、官房機密費をめぐる沈黙。

しかもそれらを釈明するのは、言葉遣いはていねいだが危なっかしい「鳩山語」だ

▼一方に、結構な勢いで支える風がある。

行政の無駄を排し、官僚頼みを脱する試みにおいて、新政権は鮮烈な印象を残してきた。

62%はそこへの支持としか考えられない。


開かれた政治に期待をつなぐ、いわば我慢の風である

▼それだけに、党首討論を渋るような姿勢は百害に値する。

勝手に短い会期にしておいて、「国会日程がきつい」はなかろう。

説明責任に耐えかね、あしき「前例」や霞が関にすがるようでは、上向きの風はたちまちなえる

▼いい意味で素人流を望まれながら、清新さより未熟さが目につく新政権である。

公約実現のやり繰りは厳しく、負の遺産もあろう。

しかし、首相の言動を筆頭に、議席に見合う安定感がないのは困る。

再び裏切られたら日本の政治は救われない。

早くも正念場である。





厳しい目が注がれていることを政治家は常に意識して行動してほしい。










若年性アルツハイマー病だった







平成21年11月18日の天声人語よりの引


私鉄駅のエスカレーターに親子連れがいた。

母の尻ポケットからのぞく異物を男児は見逃さなかった。

「なんでチャンネル持ってきたの?」。お母さんは「もうやだ。

なんでなの」と、リモコンを同伴した己を責めた。

誰にでもある「うっかり」の多くは笑い話で済む

▼だがそれは、不注意ではなく長い闘いの兆しかもしれない。

冷蔵庫に何度も空の食器が入っている――。

群馬県議会議員の大沢幸一さん(66)は6年前、妻正子さん(60)の異変を確信した。

若年性アルツハイマー病だった

▼過日、横浜市であった認知症ケアのシンポジウムで、大沢さんにお会いした。

生命倫理学会の公開行事だ。

「共倒れにならないよう、妻には笑い薬を与えています」という壇上の発言が心に残った

▼寝る前、おどける夫に笑ってくれれば、妻も自分も安眠できる。


反応で症状の進行もわかる。

そして、怒らない、ダメと言わない、押しつけないの三原則を自らに課す。

最愛の人の尊厳、誰が傷つけられようか

▼認知症は人格が崩れ、やがては抜け殻になると思われがちだ。

しかし、シンポを企画した内科医の箕岡真子さんは語る。

「抜け殻論を乗り越え、患者ではなく一人の生活者として接したい。

以前とは違うけれど、その人は感じ、欲し、つながっていたいのです」

▼人格は失われず、隠されていくと考えたい。


情緒はむしろ研ぎ澄まされるとも聞いた。

介護の技術に倫理や共感の視点を採り入れることで、本人と家族の「人生の質」を少しでも保てないか。

高齢化が問う、重い宿題である。





精神の病は多彩である。原因は交錯しているところが多いが,対応に対してはあまり変わりがない。

相手の身になり病人であることを意識して優しい行動とる必要がある。

ヒットラ−の如き異常者が世の中を牛耳ったときには大変に困りものである。










大西洋クロマグロの来年の漁獲枠が、
今年から4割ほど削られた。








平成21年11月19日の天声人語よりの引


居酒屋で「めったに入荷しないんです」と勧められると、つい「それでは」となる。

遠からず幻の味になるかもと聞けば、では今のうちにと腰が浮く。

希少価値とは、箸(はし)をつける前から旨(うま)さにゲタを履かせるものらしい

▼大西洋クロマグロの来年の漁獲枠が、今年から4割ほど削られた。

対象海域のクロマグロは多くが日本へ輸出され、国内消費の半分を賄う。

回転ずしの大トロなどでおなじみだ。

在庫が十分なので急騰はないようだが、心のほっぺたがまた落ちた

▼大西洋クロマグロは4メートルにもなる最大種。

世界のクロマグロの8割弱を胃袋に入れる日本向けに、地中海諸国は幼魚から育てる蓄養を競う。

これが乱獲の元凶だと、輸出入の全面禁止を求める動きもある

▼江戸期までマグロは下魚で、とれたら肥料にしたという。

サツマイモやカボチャと並べ、「ちゃんとした町人は食すのを恥じる」と書かれたこともある。

それがすしの主役となり、最たる下手物だった脂身が珍重されるのだから、味覚や食文化は意外に浮気者だ

▼ゆえに「クロ偏重」も永遠とは限らない。

マグロにはトロで見劣りしないミナミ(インド)をはじめ、メバチ、キハダ、ビンナガとある。

末席のビンナガあたりは、「缶詰には缶詰の旨さがある」と言いたいところだろう

栄養源としての食べ物に上下はない。

あれは高級、これは低級と区別し、お金になる魚ばかりを引き抜けば、その資源はいずれ底をつく。

広く薄く、おいしくいただくのが、海への礼儀であり、料理の腕の見せどころではないか。






マグロがどうして日本人に好まれ食べられるのかが不思議である。

マグロ をインタ-ネットで検索してみると日本では古代から食べる習慣があり

トロのような上等としたところが下等に扱われた時代があり,養殖マグロが盛んな現在のようだ。










来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日現在)は62.5%。
昨秋からの世界不況が招いた、再びの氷河期らしい











平成21年11月20日の天声人語よりの引


バブル散っての就職氷河期は大量のフリーターを生んだ。

その世代に属す作家の平野啓一郎さん(34)が、近刊の「朝日ジャーナル別冊」で京大時代の就職観に触れている。

就職活動の友も、掲載のあてなく小説を書く自分も暗かったという

▼「どこで働きたいか、せっぱ詰まっていたわりに全然思いつきませんでした。

あんまり歓迎されないまま社会に出ることになった辛(つら)さは、同世代間にも歪(ひず)みを残したと思います」。

23歳で芥川賞を取るほどの異才は別として、安定職への道はますます険しい

▼来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日現在)は62.5%。

去年の同じ時期より7.4ポイントも低く、最近の底だった03年の60.2%に近い。

昨秋からの世界不況が招いた、再びの氷河期らしい

▼昨今の就活は3年生の秋からもう本番だ。


まずは大学による説明会、年が変わって会社訪問や面接、春には内定が出始める。

本紙オピニオン面に登場した学生さんは「就活の開始から逆算して、大学生活が追い立てられる」とこぼしていた

▼正規雇用の門が狭くなれば、就活はなお忙しい。

100社200社と門をたたき、たとえ志望の業種や企業でなくてもまず内定を得る作戦となる。

縁に恵まれず、後輩に交じって落葉のオフィス街を回るのは辛い

▼前倒し、新卒での一発勝負という就職戦線は、学生にも採用側にも当たり外れが大きい。

適齢をどんな経済状況で迎えるかは運頼みだし、適材は既卒にもいよう。

互いに歪みを残さないよう、出会いの風景はもっとおおらかでありたい。





運命が就職を左右している世の中である。現在のような不況に卒業する人たちは気の毒である。

世界的な不況も特定の政治が関連して世界に波及してきている。

鎖国時代の日本はどうだったのただろうか。? 









思えば、携帯は欲が深い
通信の主役を固定電話から奪ったばかりか、
目覚まし、カメラ、テレビ、パソコンなどから
機能をつまみ食いし、どんどん重装備になった









平成21年11月21日の天声人語よりの引


城山三郎さんは機械にめっぽう弱かった。


娘さんの著書によると、「無駄に文が長くなる」とパソコンを拒み、家電とのつき合いは必要最小限。


仕事部屋にはエアコンもなかったという

▼独り外出する老作家を案じ、ご家族が携帯電話を持たせたことがある。

しかし使う気配はなく、かけても出ない。

本人にただすと、充電コードを差したまんま枕元に置いていた。

「あれ、夜でも時刻表示が出るから便利なんだよ」

▼「置き時計」への転用はさすがに城山流としても、携帯を腕時計代わりにしている人は多い。

手首のおしゃれに無頓着な筆者もその口だ。

時計を外してしばらくは左手に目がいったが、今では「電話もできる懐中時計」がなじんだ

▼思えば、携帯は欲が深い。

通信の主役を固定電話から奪ったばかりか、目覚まし、カメラ、テレビ、パソコンなどから機能をつまみ食いし、どんどん重装備になった。

電子マネーの財布として使える機種も多い。

何よりそこには、持ち主の交遊データが詰め込まれている


▼戦火が絶えなかった欧州の富裕層は、いざという時に備え、財産を持ち出しやすい宝飾品や絵画にしていたという。

現代人は図らずも、いわば公私の情報資産をその一台に蓄える。

携帯はますますなくせない

▼だからこそ、犯罪捜査では宝の小箱にもなる。

芸能人の薬物事件などで携帯の所在や通信記録が取りざたされるたび、この利器が負わされた責任の重さを思う。

「重ね着」の宿命とはいえ、たまにはゴロリと、枕元に転がっていたい日もあるのではないか。







電車のなかで携帯に熱中する若者達をみかける。外国に行っても同じような光景を見ることが多い。

パソコンは家の中で使われているから判りがたいが,こちらの発展も目覚ましいものがある。











米航空宇宙局(NASA)の探査機が、
月で「まとまった量の水」を発見した








平成21年11月22日の天声人語よりの引


なぞなぞをひとつ。

子どものころには角(つの)が2本あって、大人になると角がなくなり、年をとるとまた角が生えてくるものはなあに? 

答えは「月」。

細く欠けた月の尖(とんが)りを、角に見立てた謎かけである

▼『月の本』(河出書房新社)という一冊をめくると、世界の民族の月をめぐる豊かな想像が楽しい。

餅つきの兎(うさぎ)だけでなく、人間から蜘蛛(くも)まで多彩な「住人」があの球体にいる。

狼(おおかみ)に追われた蛙(かえる)が思いっきり跳ねて月に逃げた、というのはアメリカ先住民の言い伝えだ

▼その蛙が導いたのかどうか、米航空宇宙局(NASA)の探査機が、月で「まとまった量の水」を発見した。

切り離したロケットを月に衝突させ、舞い上がった土などを分析した。また一枚、月のベールがはがされた

▼乾燥した世界と思われていただけに研究班は興奮気味らしい。


会見場にバケツを持ち込んで、見つかった量を「これに12杯ぐらい(約90リットル)」と説明した。

「月の水」という究極の銘水を味わえる日が遠からず来るかもしれない

▼ジュール・ベルヌのSF小説「月世界旅行」を思い出す。

南北戦争の終わった米国で、大砲を使う機会がないと嘆く人々が、月に砲弾を撃ち込もうと思いつく。

そして3人を乗せた砲弾が発射される

▼そんな絵空事が100年後には現実になった。

神話から空想へ、空想から現実へと、科学技術を道連れに人類は歩んできた。

宇宙に限らず、歩みは加速の一途だろう。

時の政府が科学への「まなざし」を欠くなら、未来への大きな落とし物をすることになりかねない。





月に水が存在すれば月で別荘でも建てて暮らす人が出てくる可能性がある。

月旅行が出来る時代がいずれ来るが,その時に地球は存在しているか不安定な世界情勢である。

人間に月は夢を与え続けてくれることは昔も今も変わりない。









そんな一日、甲州の大菩薩嶺を歩いた。
雪を頂いたアルプスが遠くに光る








平成21年11月23日の天声人語よりの引


年に12ある月々に優劣はないが、11月のイメージはいささか不遇かもしれない。

木枯らしが吹き、つめたい雨が野山をたたいて、冬枯れに向かう寂しさが身にしみる。

なればこそ、だろう。

陽光穏やかな日の幸福感はひとしおだ。

〈玉の如(ごと)き小春日和を授かりし〉の名句が俳人松本たかしにある

▼そんな一日、甲州の大菩薩嶺を歩いた。

雪を頂いたアルプスが遠くに光る。

〈晩秋の峰は徳高き老翁のすがた。

なんと気高い、なんと地味な姿で、その銀の高い額(ひたい)をかがやかしているのだろう〉。

往年の名登山家、大島亮吉の短章が胸に浮かぶ

▼南へ目をやると富士山が白い。

銀に装う連山を従えるように、この峰の容姿と高さは他を寄せつけない。

枯れた草に寝ころんで、いつまで眺めていても飽きることがない

▼かつて、勤労感謝の休みのころの富士山はにぎわった。

冬山前の雪上訓練に山岳会がやってきて、山梨側の5合目にはテント村ができたものだ。

新人は夜になるとテントを追い出されて夜を明かした。

しごきではなく、露営の訓練である

▼5合目にある山小屋に聞くと、近年は雪が遅く、付近はまだ根雪になっていないそうだ。

「富士山に秋はない」と冬の到来の早さを言ったのは、山頂測候所に勤務した作家の新田次郎だった。

温暖化のせいか、最高峰でも季節は遅れ加減らしい

▼歳時記によれば、秋の山は「山粧(よそお)う」、冬の山は「山眠る」と言う。

秋の装いを終えた山々が眠りにつく中、ひとり富士山だけが玲瓏(れいろう)と屹立(きつりつ)する。

そんな「日本の冬」が間もなくやってくる。





何故にあのような高い富士山が日本に在るのが不思議だ。

インタネットで検索した富士山の内容も多くて理解できていない。

日本一の富士山は間違いないが。日本三大一覧は面白い。











恋しいほどの清貧も、
現実の貧しさが生々しすぎて
安っぽく映るのだろうか
日本では6人に1人が貧困とされる








平成21年11月24日の天声人語よりの引


勤労感謝の日、東京の芝公園で野宿者への炊き出しをしていた。

昨冬の「年越し派遣村」で救われた人たちが、恩返しにと一肌脱いだそうだ。

日比谷公園の列に並んだ男性が、この日はご飯や豚汁を配る側にいた

▼いい話には「再訪もの」が結構ある。

20年前の「一杯のかけそば」を覚えておられようか。

大みそかのたびに年越しそばを分け合う母子3人を、そば屋の夫婦はひそかな大盛りで応援した。

来店が絶えて久しい年の瀬、近所の皆が母子に思いをはせる店に、医者と銀行員になった息子たちが老母と現れる

▼泣かせどころ満載の、よくできた話だった。

実話という触れ込みも筋に力を与えた。

当時はバブル経済の絶頂期。

感動の押し売りと言われようが、お金で買えない人情に世の中が飢えていた

▼再訪の孝行息子たちは、人生最大のぜいたくだとかけそば3杯を注文する。

このラストまで読み返し、えも言われぬ違和感が残った。

恋しいほどの清貧も、現実の貧しさが生々しすぎて安っぽく映るのだろうか

▼日本では6人に1人が貧困とされる。

「かけそば」のような一人親世帯に限れば、主要国では最悪の5割超が貧困層という。

とりわけ、親の仕事が不安定な母子家庭は厳しい。

炊き出しに並びたい親子もいるに違いない

弱者が弱者を支える光景は胸に迫るが、それは公の無策の裏返しでもある。

日本経済がデフレ状況にあると認めたからには、消費がさらに縮こまらないよう、家計と雇用を温める政策を最優先してほしい。

この貧困、美談で救えるものではない。





日本では貧しい人たちに目を注ぐような政治が善政として歴史に残されている。










芭蕉がそこから伊勢に赴いたと知り、
「続き」を歩いて紀行風の記事にしたことがあった







平成21年11月24日の天声人語よりの引


江戸から始まる「おくのほそ道」の旅は、東北、北陸を経て岐阜の大垣で結ばれる。

芭蕉がそこから伊勢に赴いたと知り、「続き」を歩いて紀行風の記事にしたことがあった。

妙な句も添えていて、思い返すと顔が赤らむ

▼大胆といえば、この本も相当な代物だ。


俳人312人の投票により、俳聖の作に順位をつけた『松尾芭蕉この一句』(柳川彰治編著、平凡社)。

編者は「不謹慎かと腰が引ける感じもあった」と告白する

▼約1千とされる作品のどれが好きか、多くの人に答えがあろう。

当方の好みは166位の〈箱根越す人もあるらし今朝の雪〉、126位の〈朝露によごれて涼し瓜(うり)の泥〉。

40位の〈名月や池をめぐりて夜もすがら〉……

▼おっと、このまま佳境に言い及ぶのは推理小説の結末を明かすに等しい。

結果は選者の弁をつけて下位から並び、ページを繰るたびにサスペンスが募る趣向だ。

上位はいずれ劣らぬ有名句。

誰もがそらんじるあれが13位に押し出されるのだから、投票者の苦心がしのばれる

▼企画の妙とはいえ、俳句で二匹目のドジョウを狙えと言われたら途方に暮れる。

芸術の分野を問わず、作品を並べてひとしきり遊べる作家は少ない。

周知の作が山とあってのランキングである

▼芭蕉評は各様だ。

俳壇での神格化にうんざりしていた正岡子規あたりは「過半悪句駄句を以(もっ)て埋められ」と辛かった。

その上で、可なるもの200余句と認める。


すそ野が広いから攻め方がいくつもあり、仰ぐ高峰は異なる姿を見せるのだろう。

改めて山の大きさを思う。






古池や蛙飛び込む水の音  The old pond;  A frog jumps in,― The sound of the water.

これは滋賀県の岩間寺を訪れたときの芭蕉の句とされています。








日本のタクシーは昔から安心だ。
明朗会計、まずは紳士的なドライバー、
車内禁煙も助かる
業界は今、不況と過当競争にあえぐ。









平成21年11月25日の天声人語よりの引


外国のタクシーにいい思い出は少ない。

頼みもしない名所案内の末、支払時に「少ないよ」と日本語で泣かれたのは80年代のソウルだった。

90年代のアテネでは、ギアチェンジのたびに料金メーターを指で加算する「名人芸」を見た

▼どちらの街もオリンピックを境に運転手の質が上がったと聞く。

東京五輪のお陰かどうか、日本のタクシーは昔から安心だ。

明朗会計、まずは紳士的なドライバー、車内禁煙も助かる

▼業界は今、不況と過当競争にあえぐ。


新規参入などが大幅に自由化された結果、車は増えたが客足が伸びない。

稼ぐには寸暇を惜しんでハンドルを握るしかないのか。

逆境の下、安全、快適、安価、迅速といった輸送の品質をどう保つかが問われている

▼さて、これは質を高める動きだろうか。

初乗り500円で営業する大阪の個人タクシー業者8人に、近畿運輸局が値上げを命じた。

業者は「ワンコイン」を続けたいのだが、「適正利益が出ていない。


安全を確保できない」と拒まれた

▼損するために走る車はない。

要は規制の緩めすぎを改め、初乗り600円台の「秩序」を作り出す策に見える。

運転手さんの体は大切だし、過労で居眠りされても困るが、理由のある安さなら役所の出る幕ではない。

ゆめゆめ、努力不足の業者を守る愚とならぬよう願いたい

▼大阪では全車の1割近い約2千台が初乗り500円で走る。

花より実を重んじる利用者が業者の努力を促すのだろう。

初乗り710円の地からは、商都の無秩序、いや知恵比べがまぶしくも映るのだが。






タクシ−に乗る機会は以前よりすくなくなってきている。バブル景気の時が最盛で景気に大変敏感に反応すると

タクシ−の運転手からきいたことがある。

タクシ−運賃の値下げ競争のなかで初乗り500円の過当競争の禁止される記事をよんだことがある










欧州委員会もその一つだ
欧州連合(EU)の行政機関(コミッション)だが、
職員2万5千人を擁する権力の呼び名としては軽い
国家主権の一部を欧州委員会や欧州議会なるものに
譲り渡すということが、そもそもピンと来ない








平成21年11月27日の天声人語よりの引


しっくりこない日本語訳というのがある。

欧州委員会もその一つだ。

欧州連合(EU)の行政機関(コミッション)だが、職員2万5千人を擁する権力の呼び名としては軽い。

昔の名前が似合わないところまで、欧州統合が進んだ結果でもあろう

▼EUの仕組みがややこしいのは、「超国家」ならではの組織があるせいだ。


国家主権の一部を欧州委員会や欧州議会なるものに譲り渡すということが、そもそもピンと来ない

▼その点、欧州理事会、つまり首脳会議は分かりやすい。

加盟27カ国のトップが国益をぶつけ合う場である。


仕切り役はこれまで、半年ごとに交代する議長国だったが、

4日後に発効する新条約で常任議長(プレジデント)が置かれることになった

▼この職を、我ら日本メディアはEUの大統領になぞらえる。

なるほど、欧州の顔を期待された新ポストではあるが、

初代のファンロンパウ・ベルギー首相は国際的には無名で、肩書に比して地味な人選だ

▼これがブレア前英首相あたりだと、サルコジ仏大統領やメルケル独首相ら現役の首脳が食われかねない。

こうした場合、大国以外で重職を担える国は限られる。

創設メンバーのベルギー、オランダ、ルクセンブルク。

いつもの、困った時のベネルクスである

▼一つの市場と通貨に続くEUの挑戦は、外向きに一つの顔と声を持つことだ。

それぞれ、近く生まれる「大統領と外相」が担う。


地位が人を作ることもあろう。

欧州の冒険を応援してきた一人として、この呼び名が「重すぎる誤訳」にならぬことを祈る。






早くEUと同様に東アジア連合が出来大統領や閣僚が選出される時期が待ち遠しい。

必ず平和な世界に移行することを約束されると思う。

そうなれば戦争のための馬鹿げた軍事費がいらなくなる。しかしアメリカが強く反発するだろうが。










きょう誕生日を祝う有名人の中で、
最も「旬」なのは参院議員の蓮舫(れんほう)さんだろう









平成21年11月28日の天声人語よりの引


きょう誕生日を祝う有名人の中で、最も「旬」なのは参院議員の蓮舫(れんほう)さんだろう。

彼女を時の人にして、行政刷新会議の事業仕分けが終わった。

鋭い舌鋒(ぜっぽう)で注目されたその人を、傍聴席から見た。

華奢(きゃしゃ)だが、威風あたりを払う存在感だった

▼42歳になる蓮舫さんは、子どもや食の安全に重きを置いた「ママフェスト」を掲げる。

「母として起(た)つ」と。

資料と格闘して深夜に帰っても、早起きして双子に弁当を作る日がある。

母とは強く、ありがたいものである。

そして、母子のきずなは永遠だ

▼鳩山首相の政治資金に、実母から大金が流れ込んでいた疑いが浮上した。

例の偽装献金に充てられたらしい。


「原資は自分の金」と語ってきた首相は、国民に改めて説明するしかない

▼首相のお母さんといえば、ブリヂストン創業者の長女で、鳩山家に巨富をもたらしたことで知られる。

勝負時の長子を支えたい心情は分かるが、相手は公人中の公人。

親子でどんぶり勘定では洒落(しゃれ)にもならない

▼「私の知らないところで何が行われていたのか、驚いている」と話す息子が情けない。

聞けばすむ話である。

「こっちが驚いているわけで、本人が驚くのはおかしい」。

その通り。

麻生太郎さんの言に珍しくうなずいた

▼民主党も困りものだ。

鮮烈と曖昧(あいまい)、攻と守、透明と混濁。

蓮舫さんが好む服装のように、白と黒の地が党内でせめぎ合い、新政権を評価しようにも一刀両断といかない。

どう転がるにせよ、ここは日本の政治の分岐点となろう。

もだえつつ、「白がんばれ」とつぶやいている。






歯切れのよい蓮舫さんには魅かれる。一番でなくとも二番でも三番目でも良いのではないか。

事業仕分けの試みは成功している。

自民党的体質の亀井静香氏がネックである。野党自民党と競うならばマイナスである。








「里山」だろう。
人と自然が共存する、
日本の原風景ともいえるたたずまいが、
この一語で広く認識されるようになった









平成21年11月29日の天声人語よりの引


そこにあるのに、それを表す言葉がないために認識されないものがある。

裏を返せば、見過ごされていたものも、名称が与えられることで顕在化する。

そうした例の一つが「里山」だろう。

人と自然が共存する、日本の原風景ともいえるたたずまいが、この一語で広く認識されるようになった

▼97歳で亡くなった京大名誉教授の四手井(しでい)綱英さんはその語の生みの親だった。

1960年代に言い出した。

「山里をひっくり返しただけですが、これがぴったりきた」。

のちに広辞苑にも載り、言葉とともに里山の豊かさは世に知られていく

▼京大に赴任した54年には、それまで「造林学」だった講座を「森林生態学」に改めた。

造林という言葉は人が管理して育てる色合いが濃い。

変更は、木々と多様な生き物を主役にして、人間は脇役に引くという意識の転換でもあった

▼先週はもうひとり、京大名誉教授の訃報(ふほう)を聞いた。

動物行動学の日高敏隆さんは享年79。

やはり人間を万物のモノサシとして疑わない風潮に異をはさんできた。

柔らかいエッセーに自然界の見方を教わった人は少なくないだろう

▼動物はときに自然を破壊するが自然を単純化はしない。

しかし人間は手を加えて単純化する。

単純化したもろい環境が世界に広がっている――。

若き日の日高さんの懸念は、まさに「生物多様性」という新語を伴って私たちの前に立ち現れている

▼森林の破壊や生き物の絶滅は、なお加速度的に進む。

旅立たれた碩学(せきがく)お二人を「後顧の憂いなく」と見送れないのが、どうにも残念である。







人工的な里山はあちこちにみかけるが,本当の里山は合理化優先社会で衰退してきている。

小泉改革は悪かった。 日本を駄目にしてきている。

合理化だけが人々の生活を豊かにするものではないことを強く反省すべきである。










11月の人と言葉から








平成21年11月30日の天声人語よりの引



晩秋から初冬、沈む太陽はあかあかと世界を染める。

燃え尽きるような落日を見ると、あすまた朝日となって昇ってくるのが奇跡のようだ。

落葉に夕日さす11月の人と言葉から

▼人類学の泰斗、フランスのレビストロースさんが100歳で他界した。

名著『悲しき熱帯』を翻訳した東京外大名誉教授の川田順造さん(75)は

「先生の言葉で心にしみているのは『世界は人間なしに始まったし、人間なしにおわるだろう』という一節です」。

人間のおごりを静かに戒める言葉である、と

▼童謡「ぞうさん」の詩人まど・みちおさんが100歳の誕生日を迎えた。

「自分の世界は空間的にも時間的にもごくささやかだけれど、生かしていただいている限り、

その中には必ず何か新しいものがあるはずだという考えを持ち続けております」

▼自殺したタレント清水由貴子さんの妹、良子(よしこ)さん(42)が『介護うつ お姉ちゃん、なんで死んじゃったの』を出版した。

「介護される人と介護者だけでなく、介護者を見守る目が必要だった。

私はその目になれなかった」。

悔恨をこえて悲劇の防止を願う

▼大阪の食文化を発信してきた「ほろよい手帖(てちょう) 月刊たる」が創刊30年に。

「うれしくて飲み、悲しくて飲んで生まれる出会いはITには生み出せない」と編集長の高山恵太郎さん(66)

▼ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の残像も鮮烈に森繁久弥さん瞑目(めいもく)。

老いてなお「面白い話はないのか」「芝居の仕事はないのか」と言い続けたそうだ。

陽(ひ)は昇り、また沈む……。

かくて時はゆく。





秦氏と法然






秦氏は古代の渡来系の氏族で子供の頃に住んでいた京都の深草の地とも繋がりが強い氏族である。

偶然に「法然と秦氏」の本を読んでみたが詳細に書かれているが法然と秦氏の関係は

母親が秦氏であったことが書かれてあるだけで,其の他についてはあまり有力な関係がなさそうである。

法然上人は、1133年(長承二)美作国久米南条稲岡庄(みまさかのくにくめなんじょういなおかのしょう)に誕生された。

 父は久米押領使(おうりょうし:この地方の監督)漆間時国(うるまときくに)、母は秦氏(はたうじ)という。

漆間家の跡が今の誕生寺である。(岡山県久米郡久米南町誕生寺里方八〇八)

時国公夫婦には子供がなかったので観音さまに一心込めて子の授からんことを願い、やがて四月七日玉のような男の子を賜った。

 その御誕生の時、空から二流の白幡が舞い降りて屋敷内の椋の木の梢にかかり七日の後飛び去ったと云われる。

 こうした待望のひとり児は勢至丸と名付けられ健やかに成長していった。1141年(保延七)の春、

漆間家は突然、明石源内武者定明【あかしげんないむしゃさだあきら】の夜襲を受けた。

定明は稲岡庄の預所(あずかり)であったが、押領使時国の人望を妬みそれが夜討ちに及んだのである。

九歳の勢至丸は小弓を以て敵将定明を射る。

右目を射られた定明は配下と共に引き上げたが父時国公は再び起つことのできぬ重傷で臨終に際し

勢至丸に仇として定明を追うこといましめ、「仏道を歩み、安らぎの世を求めよ。」

と遺言されて四十三歳の人生を終えたが、当時の世相としては全く卓然した人生指針を与えられたのである。

勢至丸は母の弟である菩提寺の住職、観覚得業上人(かんがくとくごう)のもとに引き取られることになった。

観覚上人は勢至丸の偉才を認めて一日も早く比叡山に登って修行するように勧めた。

 やがて登叡を決心した勢至丸は1147年(久安三)の春、母に別れを告げるために稲岡の里へ帰ってきた。

六年ぶりに相見る勢至丸が再び離郷する心意に母は数年前夫時国を失い今また一粒種の勢至丸を遠い都の彼方へ送ることは

忍びがたい悲しみであったが勢至丸は心から母を慰め自分の決意を告げた。

その勢至丸の力強い求道の姿に秦氏君は涙ながら敬服された。

その秋、母秦氏は遠隔のひとり子、勢至丸を思いつつ三十七歳の若き身で病没された。

時に勢至丸十五歳であった。

 此れまでの貴族のためだけの仏教をを庶民的仏教として念仏門の元祖となった法然上人こそこの勢至丸であった。

 850年前に、岡山県久米の里のまれにみる信仰深き家庭の中に育ち、その父その母のすぐれた慈愛に無限の尊いものがあった。

秦氏(はたうじ)は、古代の氏族。東漢氏などと並び有力な渡来系氏族でもある。始皇帝の末裔を称するが明確でない。

日本書紀によると応神天皇14年に弓月君(ゆづきのきみ:新撰姓氏録では融通王)が朝鮮半島の百済から百二十県の人を率いて帰化し秦氏の基となったというが、

加羅(伽耶)または新羅から来たのではないかとも考えられている(新羅は古く辰韓=秦韓と呼ばれ秦の遺民が住み着いたとの伝承がある)

また一説には五胡十六国時代に?族の苻氏が建てた前秦の王族ないし貴族が戦乱の中、朝鮮半島経由で日本にたどり着いたと言う説もある。

この説に基づくと弓月君が秦の(初代の)皇帝から五世の孫とする記述に反せず、

「秦」のつながりで渡来した人々が勝手に「秦」を名乗り始めたと考えてもさほど矛盾はないが、根拠は少なく今後検証の必要がある。

ハタ(古くはハダ)という読みについては朝鮮語のパダ(海)によるとする説のほか、機織や、新羅の波旦という地名と結び付ける説もある。

その後、大和のみならず、山背国葛野郡(現在の京都市右京区太秦)、同紀伊郡(現在の京都市伏見区深草)や、

河内国讃良郡(現在の大阪府寝屋川市太秦)など各地に土着し、土木や養蚕、機織などの技術を発揮して栄えた。

山背国からは丹波国桑田郡(現在の京都府亀岡市)にも進出し、湿地帯の開拓などを行った。

雄略天皇
の時代には秦酒公(さけのきみ)が各地の秦部、秦人の統率者となったという。

欽明天皇
の時代には京都伏見深草に在住していた秦大津父(おおつち)が伴造となり大蔵掾に任ぜられたという。

本宗家は朝廷の財務官僚として活動したらしい。

秦氏の本拠地は山背国葛野郡太秦が分かっているが、河内国讃良郡太秦にも「太秦」と同名の地名がある。

これを検討すると、河内国太秦には弥生中期頃の高地性集落(太秦遺跡)が確認されており、

付近の古墳群からは5~6世紀にかけての渡来人関係の遺物が出土(太秦古墳群)している。

秦氏が現在の淀川の治水工事として茨田堤を築堤する際に協力したとされ、

現在の熱田神宮広隆寺に記録が残る河内秦寺(廃寺)の跡だったとされる調査結果もある。

そして、伝秦河勝墓はこの地にある。

また、山背国太秦は秦河勝が建立した広隆寺があり、この地の古墳は6世紀頃のものであり、年代はさほど遡らないことが推定される。

秦氏が現在の桂川に灌漑工事として葛野大堰を築いた点から山背国太秦の起点は6世紀頃と推定される。

よって、河内国太秦は古くから本拠地として重視していたが、6世紀ごろには山背国太秦に移ったと考えられる。

山背国においては桂川中流域、鴨川下流域を支配下におき、その発展に大きく寄与した。

山背国愛宕郡(現在の京都市左京区、北区)の鴨川上流域を本拠地とした賀茂氏と関係が深かったとされる。

秦氏は松尾大社伏見稲荷大社などを氏神として祀り、それらは賀茂氏の創建した賀茂神社とならび、山背国でももっとも創建年代の古い神社となっている。

秦氏の末裔はこれらの社家となった。

秦氏で最も有名な人物が秦河勝である。

彼は聖徳太子に仕え、太秦に蜂岡寺(広隆寺)を創建したことで知られる。

またほぼ同時代に天寿国繍帳中宮寺)の製作者として秦久麻の名が残る。

隋書』「卷八十一 列傳第四十六 東夷 ?國」に「又至竹斯國又東至秦王國 其人同於華夏 以爲夷州疑不能明也」と風俗が

中国と同じである秦王国なる土地(瀬戸内海沿岸付近?)が紹介されているが、これを秦氏と結び付ける考えもある。

また佐伯好郎は1908年(明治41年)1月、『地理歴史 百号』(主宰 喜田貞吉)に収載の「太秦(禹豆麻佐)を論ず」において

秦氏は景教(キリスト教ネストリウス派)徒のユダヤ人であるとの説をとなえたりしている。

八幡神
(やはたのかみ)信仰の成立に深く関わったと考える人もいる。

八色の姓では忌寸の姓を賜り、その後、忌寸のほか、公、宿禰などを称する家系があった。

平安遷都に際しては葛野郡の秦氏の財力・技術力が重要だったとする説もある。

平安時代には多くが惟宗氏を称するようになったが、秦氏を名乗る家系(楽家の東儀家など)も多く残った。

東家、南家などは松尾大社の社家に、西大路家、大西家などは伏見稲荷大社の社家となった。

伏見稲荷大社の社家となった羽倉家、荷田家も秦氏の出自という説がある。

また、高僧を含めて僧侶にも秦氏の出身者が、あまたいる。

秦氏の関係する神社

関係寺院

関係人物


       以上インタ−ネットからの引用が殆んどある。




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