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6月になって




6月は梅雨の季節だが,前半は日照りの日が続き,月の半ば頃から雨がよく降り出した。

6月中旬から下旬にかけ例年より遅い梅雨入となり.梅雨の上がるのも遅れ7月半ば頃と予想されている

当分蒸し暑い日が続きそうである。

6月は暑さを忘れるようなワ-ルドカップのサッカ-試合が南アフリカで開催された。

日本が珍しく勝ち進んでベスト16に勝残り,優勝リ-グ戦でパラグアイ戦0-0で惜敗した。

日本中がその戦いに興奮し,そのチームプレ-に対し賞賛され,チ-ムの奮闘振りは大変素晴らしかった。

日本人は真の愛国心は決して忘れられていない。

一部の政治家達が言うような変な「愛国心」を植えつけられるまでもなく,日本人は大変素晴らしい民族だと誇りを感じた。

最後のパラグアイ戦のテレビの視聴率は60%にも達したと報道されている。

参議院選挙も日本人のバランス感覚が働き与党民主党が大敗している。

法案が充分に審議されないような現象は無くなるであろう情勢の衆参ねじれ現象が起きている。

二世,三世など苦労知らずの総理大臣が続いた後で庶民派の総理が輩出していることは

大変期待される所である。

期待はしているが,小沢さんが不気味で,選挙後,表に国民の前からは雲隠れし,出てきていないのが気になる。

常識はずれのことをしているような人を誰が支持しているのだろうか。

あの人らしいやり方で,何をを意図しているのか全く図りしれない。

日本を良くするには大きな地殻変動があってよいことだ。

これまでの自民党流手法は全くの時代遅れである。だがしかしまだまだ期待する国民が一部にありそうである。

政治の世界は一寸先が闇の世界なのだろうか。

自民党で「自民党をぶ゜っ壊す」と言い自民党首相を辞めていった小泉首相の息子が世襲し自民党の中で大変もてはやされて,活躍。

一方の民主党では行政改革で大いに活躍した蓮舫議員が゜大量得票しながら他の候補の応援演説に飛び回ったことから

国民の人気がどちらの政党に有るかは明らかである。


でも惨敗したことは国民が法案を真面目に討論し吟味する必要を望んでいることだと考える。

政治が権力奪取の政争の具にならないことを願いたいものである。真の国民のことを考え政治をして欲しいものである。

一番簡単な事だと考えられる安保条約は,アメリカに対し一年前に条約解消を通告すれば自然に破棄される条約であるらしい。

それがアメリカの強い要望で尚も維持されようとしている。

安保条約がなくなれば沖縄の基地問題もなくなり沖縄の人たちに沿うような形で解決されるはずなのだが。

日本には戦争の為の外国の基地は必要としない。

アメリカと改めて安保条約に変わるような対等な新しい友好条約をば結べばよいことである。

世界がお互い仲良くなれば軍隊は要らないし,基地も必要としない。

高性能の高価な武器も要らなくなる。

そのために使う費用を全世界の人達が暮らしに 生活向上に回せばよいことを良くわかっていても出来ないのが現実のようだ。



在日米軍



軍儒産業




米軍と軍需産業とは一体化して,世界で戦争を引き起こし平和と全くに縁のない存在である。

戦争は罪のない大勢の死亡者や障害者そして悲しみを世界中で引き起こしており,

ずーと大勢の人たちを苦しめてきている存在である。

正義のためとか平和の為は後から幾らでも作れる。アメリカのブッシュがその為の偉大なる存在だった。

有史以来戦争は絶えることなく続いている。

歴史は戦いの歴史 戦争の歴史と言い換えてよいほどの人間の業のようなものである。

サッカ-の例で見るように,オリンピックを二年ごとに開催しスポーツでもって人間の性を解消してはどうだろうか。?

現在の国連組織はアメリカのような大国の傀儡としか思えないくらいの存在で,早く藩事務総長は交代すべきであると感じる。










滋賀県の相谷熊原(あいだにくまはら)遺跡から出た
国内最古級の土偶である
縄文時代草創期の約1万3千年前のものという。









平成22年6月1日の天声人語よりの引用


「ミロのビーナス」の美しさの秘密は「黄金比」にあるそうだ。

線を2分するとき、短い部分と長い部分の比が、長い部分と線全体の比に等しくなる割合をいう。

おおむね1対1.6となり、古来、人間にとって最も美しい比率とされてきた

▼ビーナス像の寸法を測ると、上半身と下半身の比、お尻と胸の幅、顔の縦横など、いたる所に黄金比が潜んでいるそうだ。

万人に愛(め)でられるゆえんだろう。

そんな黄金比に縁はなさそうだが、日曜の新聞を手にして、「縄文のビーナス」の優美な写真に引きつけられた

▼滋賀県の相谷熊原(あいだにくまはら)遺跡から出た国内最古級の土偶である。

縄文時代草創期の約1万3千年前のものという。

肩はなだらか、胸は豊かに膨らみ、女性の上半身を表している。

3センチの小粒ながら存在感はなかなかのものだ

▼古代人のどんな手が、この人形(ひとがた)を作ったのだろう。

豊かな曲線は母性への賛歌をうたっているように思われる。

縄文時代の土偶はほとんど女性をかたどっている。

多産と豊饒(ほうじょう)への願いを託し、再生の呪術にも使われたのだという

▼肉づきのいい土偶を眺めながら、ふと現代女性の「黄金比」が気になった。

「やせ願望」が高じて、どんどんスリムに向かっていると聞く。

妊娠中も「太りたくない」と考える人が多いようだ。

これは胎児に良くないらしい

▼農耕以前の太古、人々は土偶の豊かな曲線に「腹いっぱい」の願望を込めたのだろう。

はるか時は流れ、いま飽食の時代である。

永い眠りから覚めての感想はいかがか。

そっと「彼女」に聞いてみたい






人間の営みには余り変化はなく現代にいたっているのか。

人類滅亡の危機は人類自身が作っている。

心の豊かさが少ないためなのか。









それを知らぬ鳩山首相でもあるまいに、どこか「甘え」が抜けきらない
普天間問題の独り相撲で、「不思議な人物」は土俵ぎわに追い込まれた








平成22年6月2日の天声人語よりの引用


政治や社会への発言も多かった文学者の中野好夫に「悪人礼賛」という随想がある。

「由来ぼくの最も嫌いなものは、善意と純情の二つにつきる」と、冒頭から刺激的だ

▼「彼らはただその動機が善意であるというだけの理由で、一切の責任は解除されるものとでも考えているらしい」「(詰問すると)切々、

咄々(とつとつ)としてその善意を語り、純情を披瀝(ひれき)する」。

さらに、五十歳を超えてもその純情を売り物にしている不思議な人物もいる、と続く。

古い一文ながら、だれかを思い起こさせる

▼動機の善悪で結果が斟酌(しんしゃく)されないのが政治だろう。

「よかれと思って」では収まらない。

それを知らぬ鳩山首相でもあるまいに、どこか「甘え」が抜けきらない。

普天間問題の独り相撲で、「不思議な人物」は土俵ぎわに追い込まれた

▼社民党は政権を離脱した。福島大臣は罷免され、辻元副大臣も辞任した。

ともに行政を率いて志半ばである。

筋を通した2人が思い余って泣く姿は、図らずも鳩山さんの「変節」を際立たせた。

人は大抵、理のある側に肩入れをする▼「タフでなければ生きていけない。

優しくなければ生きている資格がない」はハードボイルド小説の名せりふだ。

政治家にも当てはまるものがあろう。

だがタフと鈍感は違うし、優しさが優柔不断の裏返しでは困る。

首相についた疑問符は小さくない

▼退陣要求は民主党内から公然と出ている。

政治手法が自民に似てきた民主だが、短期の首相退陣まで焼き直しになるのか。

どちらに転んでも、政治の貧困は国民にへばりつく。






普天間基地移設問題









「思い」を果たすために、
米国とまともに交渉した痕跡さえないことに失望しているのだ。
へなへなと萎(しお)れて沖縄を裏切った








平成22年6月3日の天声人語よりの引用


去年9月の小欄で、中曽根元首相がかつて、新党さきがけの代表幹事だったころの鳩山首相に辛口の注文をつけた話を書いた。

「政治は、美しいとか、キラリと光るとか、形容詞でやるのでなく、動詞でやるものだ」と

▼鳩山さんは、「行動の前に哲学的な形容詞を大事にするべきではないか」と反論していた。

たしかに、形容詞を欠く政治はやせ細った代物だろう。

とはいえ動詞なき政治は絵に描いた餅にすぎない。

中曽根さんの指摘は、この日を見通していたようでもある

▼甘い感傷を詩歌にうたう人を「星菫(せいきん)派」などと呼ぶ。

辞意を表明した民主党の両院議員総会での演説も、鳩山さんは持ち味を発揮していた。

「ヒヨドリがそろそろ自宅に戻って来いよと……」などと言って総理大臣を辞める人も珍しい

▼普天間への真摯(しんし)な「思い」も繰り返した。

それが国民に分かってもらえなかったと嘆くが、多くの人は分かっている。

「思い」を果たすために、米国とまともに交渉した痕跡さえないことに失望しているのだ。


へなへなと萎(しお)れて沖縄を裏切った

▼元首相の吉田茂に逸話がある。

新聞記者にコップの水をかけた吉田が、さる貴い人から「気持ちはわかります」と言われたそうだ。

水をかけたいと思うだけなら、誰でも思います」と吉田は答えたという。

「大事なのは、水をかけることでございます」

▼小沢幹事長もポストを去る。

「小鳩」に代わる新体制には、甘い言葉よりも簡潔でゆるぎない「動詞」がほしい。

二人羽織を終演させれば、主語も一つになるはずである。





鳩山さんが沖縄の人たち日本ののことを考え国外と言っていたのが,

どうして実現できないのかが不思議である。出来ない理由が説明されていない。

基地は危険であることを日本人誰もがわかっているのに実現できないのが不思議だ。










おととい帰ってきた野口聡一さんは、土の香にも迎えられた。








平成22年6月4日の天声人語よりの引用


去年、宇宙に長期滞在した若田光一さんの帰還を、皇后さまが詠まれた歌がある。

〈夏草の茂れる星に還り来てまづその草の香を云ひし人〉。

おととい帰ってきた野口聡一さんは、土の香にも迎えられた。

「ハッチが開いた瞬間、土と草のにおいが強烈だった」。

どちらも生命の匂(にお)いである

▼搭乗したロシアの宇宙船ソユーズは、落下傘にぶら下がり、土を舞い上げて草原に降りた。

颯爽(さっそう)と着陸するスペースシャトルを見慣れた目には、はなはだ牧歌的に映る。

母なる大地に抱かれるように、5カ月半ぶりに地球の人となった

▼地球の重力も野口さんを迎えた。

ものが下に落ちる不思議である。

特産の青リンゴを手渡されてかじり、「重い。ニュートンになった気分だ」と笑った。

知ってのとおり、宇宙では鉄の塊にも重さはない

▼万有引力を発見したニュートンは、自らを「渚(なぎさ)で遊ぶ子ども」に例えたそうだ。

真理という大海の波打ち際で、時おり美しい貝を見つけてはしゃいでいる、小さな存在にすぎないのだという。

天才の自然観は奥ゆかしい


▼この銀河系だけで、太陽のような恒星が2千億はあるそうだ。

そうした銀河が宇宙に1千億という。

無限感もここまでくれば、わが卑小はかえって清々(すがすが)しい。

〈夏草の茂れる星〉に命をもらった奇跡に、ふと頬(ほお)をつねってみる

▼人を宇宙に送れば巨費がかかる。

それを他に使えば――という葛藤(かっとう)は宇宙飛行士にもあると聞く。

だが「渚で遊ぶ」のは人の人たる証しでもあろう。

草と土の香に続いて、天上の多彩な成果を語ってほしい。




無限の空間 無限の時間の一点に存在している自分を世界中の誰もが自覚すればどんなことでも解決できるはずであるのだが。










地盤、看板、鞄(かばん)の3点セットと無縁だったからだろう
国会議員になるまでに菅直人さんは
鳩山首相の辞意からわずか2日で新首相に選ばれた











平成22年6月5日の天声人語よりの引用


地盤、看板、鞄(かばん)の3点セットと無縁だったからだろう、国会議員になるまでに菅直人さんは選挙で3回落ちた。

厚相時代に中学の同級生が開いた「励ます会」で、氏が落選回数に触れると声が飛んだそうだ

。「生徒会の副会長選挙でも落ちたぞ。付け加えろ」。

爆笑がわいたという

▼「負けるときは大変だけれど、勝つときはこんなにあっけないものか」は、衆院選に初当選した感慨である。

今回も「あっけなかった」だろうか。

鳩山首相の辞意からわずか2日で新首相に選ばれた。

深手を負う民主党の浮沈が双肩にかかる


▼短命だったここ4人の首相と、素性はだいぶ違う。

勤め人の家庭に育ち、草の根の市民運動から政治に目覚めた。

同志の鳩山氏とも違って自民党に所属したことはない。

異色の総理と言っていい

▼覚悟のほどは前の日からうかがわせていた。

「小沢さんにはしばらく静かにしていただいた方が、ご本人にも、民主党にも、日本の政治にとってもいい」と発言した。

最高実力者へのきっぱりした引導である

▼小鳩の「二重権力」は国民の不信を招いてきた。

その色を消すべく、幹事長と官房長官には小沢氏に批判的な人をあてると伝わる。

古い上着を脱げるかどうかは大きな試金石になろう

▼言葉を弾丸にたとえるなら、信用は火薬だと徳冨蘆花(ろか)は言った。

火薬がなければ弾は通らない、つまり相手に届かないと。

「国民が聞く耳を持たなくなった」と嘆いた鳩山首相には火薬は尽きていた。

有言実行で言葉の重みを取りもどすことが、まずは船出の仕事となる。






近年に稀な人が首相になっている。








歳月と書物への畏(おそ)れがのぞく痛快な話である
時空を超える本の力を思う








平成22年6月6日の天声人語よりの引用


「トム・ソーヤーの冒険」は19世紀半ばの米ミズーリ州が舞台だ。

いたずら小僧のトムと、相棒の浮浪児ハック。

少年たちの粗野で気ままな日々は、西部への出口だった州の空気と無縁ではない。

作者マーク・トウェインの故郷である

▼お仕置きの塀塗りをまんまと人に押しつけ、トムがつぶやく。

「結局この世は、それほどつまらないものでもない」。

読者へのエールに違いない。

その作家の、つまらないはずのない自伝が初めて本になる

▼死後100年、すなわち今春まで世に出すなとの遺志に従い、出版元は5千ページの手書き原稿を保管してきた。

1世紀の時差を託したのは、宗教や政治、知人の悪口を正直に書いたためともいわれる


▼本をめぐる「長い約束」をもう一つ。

221年前、ニューヨークの図書館で貸し出された法律書が戻ってきたそうだ。

借り主は初代米大統領ジョージ・ワシントン。

未返却が分かり、旧ワシントン邸の管理団体が同じ版の古書を約100万円で調達したという

▼作家と大統領は、代理人を介して「約束」を守り、21世紀に新たな話題をまいた。

移ろう時は真相をうやむやにもするが、その逆で、歳月と書物への畏(おそ)れがのぞく痛快な話である。

時空を超える本の力を思う


▼図書館で背表紙をたどれば、知らないこと、していないことの多さが身にしみる。

未知と未体験の海に見え隠れする若い日の夢や憧(あこが)れ、果たすあてなき約束の数々。

〈20年後、あなたは、やったことよりやらなかったことに失望する〉。

トウェインの言はまぶしく、ほろ苦い。





大変に珍しい逸話である









「記録に残る」と「記憶に残る」は、似て非なるところがある
鍛え抜いた身体に人となりが輝きを添える








平成22年6月8日の天声人語よりの引用


「記録に残る」と「記憶に残る」は、似て非なるところがある。

記録に残らなかったために長く記憶されるだろうニュースが、先ごろ米大リーグから届いた。

「世紀の誤審」で幻と消えた完全試合の話には、一服の清涼剤の趣もある

▼完全試合とは、打者を一人も塁に出さずに勝つことをいう。

投手の大勲章で、大リーグ史上でも20回しか記録がない。

タイガースのガララーガ投手は9回2死まで走者を許さず、あと一人に迫っていた

▼「最後の打者」は内野ゴロを打つ。

誰もがアウトを確信したが、まさかの「セーフ」に偉業は消えた。

録画を見ると明らかな誤審である。

審判は非難の集中砲火を浴びた。

だがガ投手は彼をかばった。「完全な人間はいない」という言葉がいい

▼次の日、球場でさめざめと泣く審判の肩を抱いて、握手を交わしたそうだ。

「審判も間違える」ことを前提にゲームが成り立っているのを、よく分かっているのだろう。

ずいぶんと男を上げたのではないか

▼元横綱の大鵬を思い出す。

連勝が45で止まった一番は、やはり「世紀の誤審」と言われる。

だが大鵬いわく「物言いのつくような相撲をとった横綱が悪い」。

時は流れたが、記憶にとどめる方もおられよう

▼さらに古いが、ローマ五輪体操の池田敬子さんの弁も印象深い。

抜群の演技だったが得点は低く、会場が騒然となるほどだった。

悔しさを封じ、「お尻がもう少し上についていたらね」とさらりと語った。

鍛え抜いた身体に人となりが輝きを添える。

古今変わらぬスポーツの美しさであろう。




審判するのも人であり誤ることもある。

科学的な判定がこの科学の進んだ世界にも取り入れられても

よいことである。









鳩山首相が辞任の会見に応じないまま、
きのう正式に退任した
言葉も軽かったが辞め方も軽い
つまり首相の座がいかにも軽い










平成22年6月9日の天声人語よりの引用


鳩山首相が辞任の会見に応じないまま、きのう正式に退任した。

言葉も軽かったが辞め方も軽い。

つまり首相の座がいかにも軽い。


高らかに理想をうたった去年の所信表明を思えば、寂しい終わり方である

▼今期限りの政界引退も表明している。

資産家だから「晴遊雨読」で困るまい。

だが、沖縄を混乱の中へ投げ込んだ普天間問題はこの先も続く。

辞めても何一つ解決はしない。

一議員、一個人としてどうかかわるのか。

一言あってしかるべきだと思うのは小欄だけではあるまい

▼そうした、もろもろの不信を積み残して菅内閣が誕生した。

新内閣と民主党執行部は、「脱小沢」も功を奏して好評な船出をしたようだ。

顔ぶれを見ると、

「本の表紙」だけではなく目次まで変わった印象を受ける。

あとは中身、ということになる

▼かつてこの欄で、「主」と書いて「あるじ」とも「ぬし」とも読む、と書いた。

小沢さんは民主党の「あるじ」というより、隠然とおどろおどろしい「ぬし」であると。

最近はとりわけ民意から遊離した存在だった

▼正月には議員が大挙「小沢邸詣(もう)で」に参じた。

選挙をにらんだ露骨な利益誘導もあった。

あれやこれやに幻滅した有権者は多かろう。

皮肉と言うべきか、いまとなれば小沢氏は、支持回復の大いなる「含み資産」だったことになる

▼「これを修行の場だと思って」「あらん限りの力を尽くして」。

就任会見での新首相の弁に信を置きたい。


「脱小沢」頼みではない政策への共感を、どう勝ち得ていくか。

真価はすぐに問われることになる。




高い支持率で首相になりあっという間に辞めていったのが鳩山首相である。

真面目で゜正直そうにみえたのだが,金銭問題と小鳩といわれるだけに

小沢さんの影響が一番だったのか。?










小石などの採取に飛び立った探査機「はやぶさ」が、
7年ぶりに地球に帰ってくる
長径わずか500メートルの小惑星イトカワに着陸した









平成22年6月10日の天声人語よりの引用


〈河原の石ひとつにも宇宙の全過程が刻印されている〉という、奥泉光さんの芥川賞作「石の来歴」の冒頭は印象深い。

ふだんは「石ころ」などとさげすまれる。

しかし沈黙の奥に、聞こうとする耳には聞こえる悠久の物語を秘めてもいる

▼太陽系が誕生して46億年がたつ。

往古の姿を今も保つ小惑星に向けて、小石などの採取に飛び立った探査機「はやぶさ」が、7年ぶりに地球に帰ってくる。

機械の不調で石は難しかったようだが、砂などが採取できたのではと期待されている

▼成功していれば快挙である。

これほどロケットが飛ぶご時世でも、他の天体の表面から持ち帰った物質は、かの月の石だけだ。

はやぶさは20億キロの長旅をへて、長径わずか500メートルの小惑星イトカワに着陸した

▼帰路は苦難に満ちていた。

エンジンなどが次々に壊れ、帰還を3年遅らせた。

動いているのが奇跡的なほどの満身創痍(そうい)で、40億キロを乗りきってきた。

機械ながら健気(けなげ)な頑張りが、帰還を前に静かな共感を呼んでいる

▼漫画家の里中満智子さんは応援イラストを描いた。

傷だらけの鳥ハヤブサが懸命に宇宙を飛ぶ。

「ぼく がんばったよ」「もうすぐ かえるからね」。

吹き出しが涙腺をじんわり刺激する。賢治の名作「よだかの星」をどこか彷彿(ほうふつ)とさせる

▼13日夜、はやぶさは大気圏に突入して燃え、流れ星となって消える。

わが身と引き換えに回収カプセルだけを地上に落とす。

砂一粒でも入っていれば、様々な物語を聞かせてくれるそうだ。

遠い空間、遠い時間からの語り部を待ちたい。






探査機「はやぶさ」が隼戦闘機から,そして小惑星「イトカワ」は糸川英夫氏が関係していて糸川からきていることを初めて知った。

日本の戦意高揚に使われないことを願いたい。

隼戦闘機は陸軍で ゼロ戦は海軍であった事をも知る。ロマンにもそれぞれの歴史があるようだ。




隼戦闘機









無菌志向はますます高じているようだ







平成22年6月11日の天声人語よりの引用


 亡くなった多田富雄さんが読売新聞に連載していた「落葉隻語」は、ライバル紙ながら楽しみだった。

今度一冊にまとまったのを読み(青土社刊)、また色々と教わった。

近ごろの日本人の「過剰な無菌志向」を案じて、こう書いている

▼「子供がたまに発熱したり下痢したりするのは、黴菌(ばいきん)との戦い方を習得しているからである。

……成長の時期にここで戦い方を学習しないと、雑菌に対する抵抗力が弱くなり、逆にアレルギーを起こしやすい体質になる」と。

そして「免疫学者の私が言うのだ。信じていい」


▼しかし、。

たとえば子の遊ぶ砂場も、砂には抗菌加工をし、抗菌用の備長炭を敷いたのが人気だと小紙の記事にあった。

ショッピングセンターの有料施設だが、犬猫のふんもなく安心なのだという

▼東京の声欄では高校生がそれを嘆いていた。

「過剰に気にすると、鳥のふんも不潔と気になるだろう」という、その感覚に一票を投じたい。

生きとし生けるもの、「汚さ」なしに命をつなぐことはできないのだから

▼ある元大学教授は小紙に、「そのうち犬や猫にも触れなくなってしまうのではないか」と感想を寄せていた。

加えて「危ない」やら「騒がしい」やらで近年、遊ぶ場所はとみにインドア化していると聞く。

幼い日常がやせ細ってはいないか心配になる

▼五感を働かせてのびのび遊ぶ経験は将来、親が思う以上に生きる力を生むそうだ。

過保護で芽を摘むことなかれ。


多田さんの一節を、子育て全般への貴重な教訓と読む。






色々な雑菌に罹患することによって免疫を獲得して強くなる面がある。

現在はワクチンで持って免疫を獲得し病気に罹らない医学が発達している。

純粋に育つことだけが必ずしも良いとは限らないことである。










目標を高くかかげると「非現実的」と言われ、
現実的になれば「覇気がない」などと腐(くさ)される
人間永遠の矛盾かもしれない








平成22年6月12日の天声人語よりの引用


目標を高くかかげると「非現実的」と言われ、現実的になれば「覇気がない」などと腐(くさ)される。

人間永遠の矛盾かもしれない。

「ベスト4」を掲げたサッカーW杯の岡田ジャパンはさしずめ前者となろうか

▼自民党は後者らしい。


谷垣総裁の語る「40議席台」という参院選の目標に、党内から「士気が上がらない」といった声が聞こえているそうだ。

以前なら「敗北」の水準という。今の身の丈なのだろうが、しぼんだ体躯(たいく)がどこか寂しい

▼中国の俗諺(ぞくげん)に「世情 冷暖を看(み)る」と言うそうだ。

「人面(じんめん) 高低を逐(お)う」と続く。

その勢力や地位の高低しだいで、人はなびき、そっぽを向くと。

「2位ではだめなのか」は蓮舫さんの名せりふだが、1位転落の悲哀を噛(か)みしめているのが下野した自民かもしれない

▼夢よもう一度、の思いか。

参院選に向けたポスターには「いちばん」の文字を大書した。

本意は日本が再び1番の国になる意味という。

つまり「攻め」だろう。

谷垣氏は菅首相の説く「最小不幸社会」に、「縮み志向でネガティブ」と敵愾心(てきがいしん)を燃やす

▼かつて英国経済が斜陽にあったとき、サッチャー元首相は立て直しを担った。

「下りのエスカレーターを駆け上がろうとしていたようなもの」だったと回顧している。

政治信条や手法は措(お)いて、強烈なリーダーシップには目を見張らされた

▼与党も野党も、日本の政治にそれが欠ける。

きのうの所信表明で菅首相も認めていた。

下る川を漕(こ)ぎ上がる力は、まだ日本にあるはずだ。

ともに汗をかきたくなるリーダーと、なるか。





世の中の流れは政治が主体だが「主権在民」でその原動力は国民がもたねばならない。










世界報道写真展が東京都写真美術館で始まった







平成22年6月13日の天声人語よりの引用


 黒いスカーフの女性が屋上で叫んでいる。

1年前、テヘランで撮られた写真である。

イラン大統領選で保守強硬派の現職が勝ち、反体制派の怒りは収まらない。

昼は街頭で、夜は窓や屋根から「独裁者に死を!」の声が響いた

▼世界報道写真展が東京都写真美術館で始まった。

応募10万点から大賞に選ばれた「屋上の抗議」。

撮ったイタリア人カメラマンは入国3日目に拘束され、それまでの写真を消されてしまう。

釈放後、当局の目を盗み、夕闇に叫ぶ民衆を超高感度でとらえた


▼「動き」の乏しさに、審査員の意見は割れたという。

票を入れたニューズウィーク日本版写真部長、片岡英子さんが語る。「叫ぶ彼女たちが背負った人生までを写した。

ネット上で消費され尽くす写真が多い中、もっと知りたいと思わせる力がある」

▼報道写真の真価は、同時代を広く伝え、長く残すことだろう。

入選作には、空爆で死んだパレスチナの少女のような一目瞭然(りょうぜん)もあれば、大賞のように、何だろうと思わせて引き込む絵もある。

いずれも、シャッターを押さなければ時に埋もれたはずの日常だ

▼一発を狙う写真家たちが、アフリカ大陸の端で競っている。

娯楽の域に収まらないサッカーのワールドカップ。

とりわけ南アフリカでの開催は、それ自体が巨大な被写体である

▼大会の初得点は地元チームがたたき込んだ。

黒人と白人が共に狂喜する様は、お祭りに備わる融和の力を映す。

この世界、居間で試合を楽しめる人ばかりではないけれど、プロの感性と技が切り取る一枚を待ちたい。




報道写真は一目瞭然で色々な情報を語らずとも物語ってくれる。










古今東西の食いしん坊は、一口の至福をいかに重ねるかに心を砕いてきた。
東京大の宮崎徹教授らが、体脂肪を減らすたんぱく質を見つけたという









平成22年6月14日の天声人語よりの引用


作家の獅子文六(しし・ぶんろく)は鮎(あゆ)に目がなかった。

淡泊な川魚で養生する気はさらさらなく、好物をとことん食す口である。

長良川で塩焼き26匹を平らげたのは58歳、胃潰瘍(いかいよう)の手術から半年後だった

▼どんなごちそうも、残念ながらのど元を過ぎるまでの短命。

古今東西の食いしん坊は、一口の至福をいかに重ねるかに心を砕いてきた。

金と時間が許しても、胃袋のかさと健康が美食の夢に立ちはだかる

▼さて、「やせ薬」ができるのだろうか。

東京大の宮崎徹教授らが、体脂肪を減らすたんぱく質を見つけたという。

脂肪を作る働きを抑え、ため込んだ分を使わせる効果があるそうだ。


肥満のマウスに与えたところ、人に換算して5週で20キロの減量が確認された

▼成人病の予防や治療のほか、やせたい所に注射すれば美容にも役立ちそうだ。

ただ、教授は思ってもいないだろうが、飽食のためにこの発見を用いるのは気が引ける。

食べては吐いた古代ローマの貴族を思い浮かべてしまう

▼人の体は、生きるのに必要な甘みや油脂をおいしいと感じ、貪欲(どんよく)に吸収するようにできている。

私たちの遺伝子には「空腹の記憶」が刻まれているらしい。

そのくせ、食べ過ぎない本能は脳が都合よく抑え、ついつい太る。

美味は罪深い

▼江戸前期の儒学者、貝原益軒(えきけん)は養生訓で腹八分目を説いた。

〈珍美の食に対すとも、八九分にてやむべし。

十分に飽き満(みつ)るは後の禍(わざわい)あり〉。

二分の空きは体のため、そして何より次の食事を楽しむためだろう。

胃薬にもやせ薬にも頼らない、これぞ正しい食い道楽である。





食事も慣れれば,習慣になれば肥満にならずに,塩分も控え目となり苦痛は伴わない

タバコ 喫煙 飲酒についても同じことが言える。

博物館で見る絵巻の天皇 貴族はメタボで肥満の人が殆んどである。

一般庶民はやせすぎている像が多い。






養生訓を書いた貝原益軒は84歳まで生きている










1960(昭和35)年6月15日もその一つだろう。
半世紀前のきょう、日米安保条約の改定に反対する学生デモが国会構内に突入、
警官隊との衝突で22歳の東大生樺(かんば)美智子さんが死んだ









平成22年6月15日の天声人語よりの引用


いくらかの熱を帯びて顧みる日が、各世代にある。

60代半ばから上には1960(昭和35)年6月15日もその一つだろう。

半世紀前のきょう、日米安保条約の改定に反対する学生デモが国会構内に突入、警官隊との衝突で22歳の東大生樺(かんば)美智子さんが死んだ

▼控えめだが芯のある女性だったという。

全学連の活動家として、読書と集会に明け暮れる日々。

そろそろ卒論を、と話していたそうだ。

死に顔はほほえんでいるようだったと、肉親の手記にある

▼新条約は成り、岸首相は退いた。

続く池田内閣は所得倍増を掲げ、戦後は経済の季節へと移る。

『樺美智子 聖少女伝説』(文芸春秋)を著した江刺昭子氏は、日本人の意識や生活は、皇太子妃と樺さんの「二人の美智子」から変わったと見る。

一人は命を捨てて重い扉を開いたと

▼雨上がりの午後、彼女が眠る多磨霊園を訪れた。

墓碑に刻まれた高校時代の詩「最後に」は、こう結ばれる。

〈でも私は/いつまでも笑わないだろう/いつまでも笑えないだろう/それでいいのだ/ただ許されるものなら/最後に/人知れずほほえみたいものだ〉

▼学生運動は全共闘などに受け継がれたが、もはや大衆を熱くすることはなかった。

片や、冷戦後も極東には緊張が残り、米軍はそこにいる。

沖縄が示す通り、異常も長く続けば日常にすり替わる

▼あの頃、幼子までが口ずさんだ安保反対の声は弱い

日米同盟を「国際的な共有財産」とたたえたのは、ほかならぬ全共闘世代、

菅首相である。

樺さん、まだほほえんでおられようか。



あれだけ大勢の国民が反対して,時の総理大臣岸首相がヤクザまで使っての弾圧したのはそれだけの訳があったためなのか。










W杯の日本代表が、イタリアン好みのスコアでカメルーンを下した。







平成22年6月16日の天声人語よりの引用


好みは3―2、とりわけ得失点が○××○○の順に並ぶ再逆転勝ちがいい。

サッカーの話である。

これが堅守のイタリアあたりだと、通は1―0を尊ぶという。

虎の子を守り通す展開だ


▼それもこれもお国柄。

米国では、なかなか点が入らない「退屈さ」が嫌われ、サッカーは長らく見せるスポーツにならなかった。

100点前後で競うバスケットボールの故郷である。

0―0では気晴らしどころかストレスがたまりかねない

▼W杯の日本代表が、イタリアン好みのスコアでカメルーンを下した。

右足でセンタリングするかと思わせた松井が、切り返して左足でクロスを上げる。

このタメに反応した本田が守備陣の裏に回り込み、足元に収めたボールを落ち着いてけり込んだ

▼「金髪」の本田さん。

優等生的な物言いが多い代表選手の中で、大阪弁の大口(ビッグ・マウス)が異彩を放つ。

それも力があってのことだと、ここ一番で証明してみせた。

組織サッカーも、解きほぐせば個人技の積み重ねだ。

次も存分に暴れてほしい

▼終盤、相手の一撃がバーをたたき、苦い記憶がよみがえった。

ロスタイムは4分。

いつもながら秒針のなんと重いことか。

ブブゼラの大音響も構わず叫び続けたのだろう。

試合を振り返る岡田監督の声はかれていた

▼4度目のW杯にして国外での初勝利。

この一戦で、辛抱の果てには歓喜があると知った。

残るオランダとデンマークも手ごわいが、16強への挑戦権を手に戦えるのは大きい。

見る側は、最後までハラハラドキドキできることになった。

その先にワクワクがある。




サッカーはよく日本は善戦した。


2010年ワールドカップ南アフリカ大会









きのう東北北部が梅雨入りし、
列島の首あたりまでが水につかる図となった。
それは理屈の上で、むろん雨ばかりとは限らない








平成22年6月17日の天声人語よりの引用


 朝から体に触れるものすべてが湿っている。

きのう東北北部が梅雨入りし、列島の首あたりまでが水につかる図となった。

それは理屈の上で、むろん雨ばかりとは限らない。

これからの晴れ間は千金だ


▼作家の石坂洋次郎が、この時候を随筆に残している。

〈まったく、天によくこれほどの蓄えがあったものだと思うばかり、降りみ降らずみ、雨の絶え間がない。

そして青空というものがどんなものだったか、記憶があやしくなりかけるほど、低く鉛色の空が垂れこめた日々がつづく〉

▼「青い山脈」の作者が描く雨期はいささか大仰だが、50年前はこれが常だったのかもしれない。

そんな梅雨らしい梅雨に、とんとごぶさたしている気がする。

どうも、寒暖ばかりか乾湿の季節感も年ごとに薄れていまいか

▼わけても今年は、大雪、日照不足、異常低温と不順が続く。

温暖化の罪がいかほどかはさておき、天は度し難い。


農作物や水道水のためにも、梅雨くらい昔ながらに、月並みに、災いがない程度に仕事をしてほしい

▼とかく雨は嫌われるが、じとじとが深いほど梅雨明けの喜びは大きい。

「首から下」が水っぽいから北海道の価値が高まる。

憎まれ役あっての爽快(そうかい)である。

〈空港に梅雨置き去りのカナダ行〉安田瑛子

▼オフィスも商店も乗り物も、昨今の都市生活はすっぽり除湿の中にある。

梅雨知らずで過ごす人もいるだろう。


しかし暑さ寒さと同様、暦通りの湿気が体にひどく悪いとは思えない。

除いて避けるばかりではなく、たまには外気にじっとり包まれるのもいい。





今年の梅雨入りは少し例年に比べ遅れているようである。









かつて民主党が掲げた政権公約には、
聞こえのいい文言がすまして、いわば正座で並んでいた。
民主党はあたふたと国会を閉じ、風があるうちにと選挙に走る








平成22年6月18日の天声人語よりの引用


方言による語らいは、はた目にも温かい。

やりとりの角がとれ、よそ行きの言葉では伝えにくい本音が内輪話のごとく響き合う。

先月他界した福島県の詩人、斎藤庸一さんの「嫁こ」には恐れ入る

▼〈たった一言申し上げやんす/おらに嫁さま世話してくれるだば/どうかこういう嫁こをお願い申しやす〉と始まり、

ハイカラ好きはごめん、やや子を産める腰を持ち、ぼろを着て色っぽくと、土地の言葉で注文が続く。

一言どころではない

▼これを標準語の個条書きで「嫁の条件」とでもしたら、この欲張りもんと拒まれよう。

すました言葉はえてして心に届かない。

頼み事も約束も、大切な用件であればあるほど伝え方が問われる

▼かつて民主党が掲げた政権公約には、聞こえのいい文言がすまして、いわば正座で並んでいた。


「します」の羅列である。

子ども手当など、いくつかの「します」は正座に耐えかね、ひざを崩して転がる。

「マニフェストは生き物」とは便利な言い訳だ

▼参院選の公約は、甘言より財源らしい。

それはいい。

だがこの生き物、いつゴロリと寝そべるか知れない。

そう思わせるのも公約を軽んじた罪である。

期待を裏切っても選挙のたびに水に流せると考えたか、何ごともなかったかのような改変には、もくろみ違いへの反省がない

▼民主党はあたふたと国会を閉じ、風があるうちにと選挙に走る。

〈おらに一票世話してくれるだば〉とあれこれ並べる前に、〈一言おわび申し上げやんす〉だろう。


本気でやり直すには、ふさわしい手順と伝え方がある。






支持率の高い間に参議院選挙を済ませようとの民主党の意図は国民は理解して

結局民主党大敗につながったのか,この程度で収まったのかは判らない。

これからの政治の取り組みが問われることになるだろう。

政権についたら何処の政党もおなじだったら国民は

大変落胆することになるだろう。民主党と公明党の考え方が以前から近いように感じている









大相撲の野球賭博スキャンダルが大ごとだ







平成22年6月19日の天声人語よりの引用


明治から大正にかけての横綱太刀山(たちやま)は、巨体からの突っ張りで「四十五日」と恐れられた。

ひと突き(月)半で倒すというしゃれである。

怖がる相手が後ずさりし、体に触れぬまま土俵を割った一番もある。

「にらみ出し」とはやされた

▼大相撲の野球賭博スキャンダルが大ごとだ。

にらみ出されるように親方や人気力士が「やりました」と白状し、世間の口の端に上らない日はない。

ばらすぞと脅され、大金を暴力団筋に渡したという大関琴光喜は、7月の名古屋場所を辞退した

▼日本相撲協会は、29人が名乗り出た内部調査の公表を渋り、文部科学省やメディアに尻をたたかれている。


己に累が及ぶと案じたか、協会幹部の動きは鈍い。

イヤイヤをしながら俵に押し込まれる醜態だ

▼他人の真剣勝負に金を賭けるとは、どうにも暇な勝負師たちである。

そもそも、球場が気になって場所に集中できまい。

相手のちょんまげに野球帽が乗り、勝敗の電光表示がスコアボードに見えたに違いない

▼神事だ国技だと言ったところで、大相撲は興行である。

お客が入らぬことには立ち行かない。


暴力団の金づるが絡んだ土俵を、誰が見に行くだろう。

手を汚した者を明かし、反省させ、ひと場所を傷めても悪習をにらみ出すしかない

▼組んでも怪力の太刀山は、背中からたたきつける「仏壇返し」の大技で観衆をわかせた。

文科省や警察が本気なら、相撲協会は公益法人を返上する「財団返し」を迫られかねない。

精進不足が背から落とされるは常、決まり手はサヨナラ負けとでもするか。





こんな野球賭博が続いていてどうして今までに発覚することがなかったのか。

此れも政治が変わりその為に発覚したのかどうかわからない。

国技か泣く。





時々刻々、千変万化の自然にマニュアル対応は通じない








平成22年6月20日の天声人語よりの引用


日本の南極観測に足跡(そくせき)を残した故・村山雅美(まさよし)さんから、かつてこんな話を聞いた。

旧制中学で英語を教わった教師は英国人の元探検家だった。

山好きな村山少年に目をかけ、自宅へ招いてくれたそうだ

▼小さな箱をプレゼントされ、開けると壊れた懐中時計の針とガラスが入っていた。

意味が分からずにいると、「遭難したらガラスを反射させて助けを求めるんだ。

食料が尽きたら時計の針は釣り針になるぞ」。

自然の中で欠かせないのは「臨機応変の知恵」だと教えられたという

▼それは遭難した後のサバイバルに限るまい。

むしろ悲劇を招かないためにこそ「臨機応変」は不可欠だろう。

時々刻々、千変万化の自然にマニュアル対応は通じない。

それを欠いてはいなかったか。

風雨の浜名湖で、野外活動の中学生ら20人の乗ったボートが転覆し、生徒1人が亡くなった

▼事故を報じる映像を見ると、湖面はかなり波立っている。

強風、波浪の注意報が出ていたのだから臨機応変以前の無謀だったかも知れない。

乗る前から怖がる者もいたそうだ。

生徒に「暴虎馮河(ぼうこひょうが)の勇」を教えてどうする

▼子ども時代の自然体験は人生の財産だという。

体験が豊かなほど物事への関心や意欲が強く、学歴も高くなるという調査結果を、先日も国立青少年教育振興機構が発表していた。

だが、それも命あっての財産である

「臆病者(おくびょうもの)と言われる勇気を持て」の至言を思い出す

この日の天候下で教えるべきは、そちらの勇気ではなかったか。

広がる未来を残して打たれた終止符ひとつに、胸が痛む。





自然に対しては余ほど慎重に対応すべきことである。










「六月は恵まれない月」だと
俳人の今井千鶴子さんが小紙に寄せていた。








平成22年6月21日の天声人語よりの引用


お天気にもよりけりだが、この季節の黄昏(たそがれ)どきはずいぶん長い。

夏至のきょう、東京だと4時25分に昇った太陽が7時ちょうどに沈む。

〈夕刊のあとにゆふぐれ立葵(たちあおい)〉友岡子郷。

日没までの長い明るさには、どこか夏らしい開放感がある

タチアオイは梅雨どきの花だ。

今の時期、主役がアジサイなら、この花は気っぷのいい脇役の趣がある。


茎はまっすぐ大人の胸ほどに伸び、下の方から薄紅や紫に咲き始める。

日に日に咲き昇り、一番上が開くころ梅雨が明けるとされる

▼とはいえ、先はまだ長い。

天気予報を眺めれば、青い傘マークが続いて、しばらくは素潜りで水の中をゆく気分だ。

住宅街を歩くと湿気にのってクチナシの香が流れてくる。

こちらは少し陰のある、美しき準主役といったところか

▼「六月は恵まれない月」だと俳人の今井千鶴子さんが小紙に寄せていた。

まず祝祭休日がない。

食べ物はいたむ。

雨が続いて、歳時記を繰れば螻蛄(けら)・蛞蝓(なめくじ)・蚯蚓(みみず)・蛭(ひる)・蚰蜒(げじげじ)……など

陰鬱(いんうつ)な生き物がずらり並ぶ、と。


そう言うご自身、6月の生まれなのだそうだ

▼言われて眺め直すと、できれば遠慮したい生き物を表す漢字は、迫力満点だ

。〈蛞蝓(なめくじ)といふ字どこやら動き出す〉後藤比奈夫。

だが、やせ我慢して言えば、なかなか豪勢な生物多様性ぶりでもある。

煙る雨の奥の、盛んな生命を思ってみる

▼黄昏どきに話を戻せば、梅雨の夕晴れ(動画)」は美しい。

雲で暗かった空が、夕刻に明るさを増すときなど、どこか浮き立つ風情がある。

天も地も、ともに多彩な「水の月」である。






自然はいろんなことを我々の目の前で展開して楽しませてくれているが,見る目・心が無いからわからないでいる。









小惑星イトカワの「思い出」を期待された探査機はやぶさである。








平成22年6月22日の天声人語よりの引用


 海辺で遊んだ名残の砂が、脱いだ靴からこぼれ出る。

さらさらした感触と共に、灼(や)けるビーチでのあれこれがよみがえる。

砂はその地に立った証し。

旅先の思い出を、世界に一つの砂時計に仕立てるのもいい

▼さて、小惑星イトカワの「思い出」を期待された探査機はやぶさである。

カプセルをX線で調べたところ、1ミリ以上の砂粒はないと分かったそうだ。

ホコリ状の微粒子が入っている可能性はなお残るという

▼砂がこぼれ出ずとも、はやぶさの功績が減じることはない。

小惑星に降りたのも、戻ってきたのも初めてだ。

イトカワ表面に黒く映った特徴的な影、南十字が輝く天の川で燃え砕け、カプセルだけが光の尾を引いて地上に向かう絵は、私たちの胸に熱く残るだろう

▼ピーナツ形のイトカワは長さ約500メートル。

パリのカフェに豆粒が転がっているとして、東京からそれにようじを命中させる離れ業だった。

数々のピンチを切り抜けての7年、60億キロの旅は、国民を大いに元気づけた。

手柄はすでに大きい

▼これで、日本の宇宙開発を取り巻く空気は一変した。

科学予算を削り倒すかにみえた事業仕分け人、蓮舫さんも「全国民が誇るべき偉業。

世界に向けた大きな発信」とたたえる。

科学者たちにすれば、この上ない孝行者であろう

▼カプセルがイトカワの物質をわずかでも持ち帰っていれば、太陽系の起源を探るのに貴重な資料になる。

大きな誇りに小さなホコリが花を添え……いや、それは問うまい。

どんな旅も、つつがなく帰ってくるのが何よりの土産なのだから。





イトカワは何も持って帰っていないことがわかりつつあるようだ。









ゴルフの宮里藍さん(25)が米国ツアーで
今季4勝目をあげ、世界ランクの首位に立った
男女を通じて日本人初の快挙だ
がんじがらめの現実の下で
沖縄は「慰霊の日」を迎えた。











平成22年6月23日の天声人語よりの引用


ゴルフの宮里藍さん(25)が米国ツアーで今季4勝目をあげ、世界ランクの首位に立った。

男女を通じて日本人初の快挙だ。


ゆったりしたそのスイングに、故郷沖縄のリズムを思う。

例えれば、昼下がりにつま弾く三線(さんしん)だろうか

▼藍さんは本島北部の東村(ひがしそん)で生まれ育った。

赤土が覆う村は耕作に向かないが、災い転じて日本一のパイナップル産地である。

宮里三兄妹のゴルフも、村営グラウンドの赤土が鍛えたという

▼そして、ゆるりと流れる南国の時間。

父の優(まさる)さんは、地元で言うアチャーンアイサ(明日があるさ)的な風土が、

スコアに一喜一憂しないプロ向きの精神力を培ったとみる。

「本土」で終わらぬ才能に県民は声援を惜しまない

▼世界一を育んだ「日本の亜熱帯」は観光資源でもある。

米軍基地がなければ、大自然とリゾートの楽園だろう。

そんな夢想を許さない、がんじがらめの現実の下で沖縄は「慰霊の日」を迎えた。

本土防衛の捨て石が、20万の命と共に捨てられた日である

▼65年を経て、島はなお爆音と硝煙の中にある。

基地負担をどう軽くするかの算段は、日米合意で振り出しに戻った。

沖縄言葉(うちなーぐち)で通じ合えるほどの関係を首相が築かない限り、普天間は動くまい。

国政の関心は参院選に移り、昨日の党首討論も基地を掘り下げなかった

▼沖縄タイムス紙上で、宮古島の詩人市原千佳子さんが嘆いていた。

「日米共同声明は沖縄(日本)が今なお米占領下にあることを示した

……我々の戦後はしつこい」と。

米国とのしつこい交渉だけが、霊を慰める道である。



泣く子も黙るマッカ-サ-は日本がアメリカ占領下にあった話である。




沖縄慰霊の日


沖縄慰霊の日(動画)


沖縄慰霊の日 島歌(動画)








参院選がきょう公示される
多くの国民は、国債の乱発で次世代の
かわいい子孫の稼ぎを先食いするのは
忍びないと考え始めている。









平成22年6月24日の天声人語よりの引用


 愛する者の曇り顔を想像し、漠然とした将来への不安が像を結ぶことがある。

〈君が年ごろといはれる頃には/も少しいい日本だったらいいが/

なにしろいまの日本といったら/あんぽんたんとくるまばかりだ〉

▼詩人の金子光晴が孫娘に詠んだ「森の若葉」の一節である。

交通戦争という言葉が使われていた1967(昭和42)年の作で、車が悪者になっているが、

「あんぽんたんとくるま」の部分をいじれば今も通用する

▼2010年の祖父の嘆きは、「天下りと無駄づかい」か「バラマキと増税論」か。

「公約破りに短命首相」「世襲やタレント候補」……。

いくらでも浮かぶのが悲しい。

政治への冷笑や無関心の誘惑に逆らい、有権者は「も少しいい日本」への踏ん張りどころだ。

参院選がきょう公示される

▼多くの国民は、国債の乱発で次世代の、かわいい子孫の稼ぎを先食いするのは忍びないと考え始めている。

そこを読んで、民主党は自民党の消費税引き上げ案に数字ごと乗った。

強い財政で先々の憂いを払い、お金を使わせ、景気をよくするという

▼政権は投票で代えられるという民主主義のイロハを、遅まきながら体感して10カ月。

こんどはその政権に、衆院に続く多数を与えるか否かの選択となる。

否であれば、不満と不安をどの党に託すか

▼再生への歩みは、みじめな未来がひとごとでないと思い改めて始まる。

各党が説く道筋を吟味し、ほかならぬ当事者として賢い判断を下したい。

焼け跡をこれだけの国にした日本人である。

あんぽんたん、のはずがない。




民主党には多数を与えているが過半数は与えていないような政権で不安定だが国民の声を

しっかりして政治をやって欲しい国民の願いなのだろうか。

今までとは変化を求めていることだけはたしかなようだ。








絵本作家の長新太(ちょう・しんた)さんが亡くなって
きょうで5年になる
「かわいいだけの本は子どもへの冒涜(ぼうとく)」と
読み手の受容力を試すような仕事を残した








平成22年6月25日の天声人語よりの引用


絵本作家の長新太(ちょう・しんた)さんが亡くなって、きょうで5年になる。

「かわいいだけの本は子どもへの冒涜(ぼうとく)」と、読み手の受容力を試すような仕事を残した。

正義や優しさを説くこともなく、作品はオトナの常識を粉砕していく

▼〈とおくのほうから/おとこのこがとんできました〉で始まる『ゴムあたまポンたろう』は、ゴムの頭を弾ませて世界を回る少年の話。

『ブタヤマさんたらブタヤマさん』の主人公は、チョウを追うのに夢中で、背後に迫る巨大な鳥や魚に気づかない。

振り返った時には何もいない

▼ブタヤマさんの主題は自己中心的状況だと論じたのは、哲学者の鶴見俊輔さんだ。

「胎児からの時間があまりない、気配の感覚を十分に持っている子どもには素晴らしい絵本だと思う。

大人にとっては哲学論文」


▼読み聞かせる大人が首をかしげる絵と筋に、子どもは笑い転げる。

理屈ではなく、筆ひとつで童心とやりとりできる異能の主だった。

半面、子どもにこびた退廃といった批判も受けた

▼近刊『長新太の絵本の不思議な世界』(晃洋書房)の著者、村瀬学さんは「子ども向けという絵本観を覆し、日本で初めて、考える絵本をつくり出した」と語る。

半世紀にわたる創作活動の評価は、没してなお定まらない

▼さてどんな代物か、絵本になじみのない向きは週末の図書館で確かめてほしい。

干からびた常識のタガが心地よく、ポポーンと外れること請け合いだ。

頭と心をほぐすのに、遅すぎることはない。

代表作『ごろごろ にゃーん』には〈2才から大人まで〉とある。





長新太とはどんな人物でどんな作品を書いているかが判らない。








W杯の日本代表が、デンマークを下して決勝トーナメントに進んだ
引き分け狙いではなく、格上を攻めきっての完勝である








平成22年6月26日の天声人語よりの引用


日本のサッカー史には、いくつかの地名が太字で記されている。

「ドーハの悲劇」があり、「マイアミの奇跡」と「ジョホールバルの歓喜」があった。

早朝の列島を一つにして、誇れる戦果がまた、南アフリカの都市名で刻まれた

▼「ルステンブルクの自信」とでも呼ぼうか。

W杯の日本代表が、デンマークを下して決勝トーナメントに進んだ。

引き分け狙いではなく、格上を攻めきっての完勝である


▼鮮烈なのが剛柔二つのフリーキックだ。

本田の無回転シュートは距離35メートル。

軌道が定まらぬブレ球が、標高1500メートルの軽い空気を切り裂き、ぐーんと伸びた。

遠藤の2点目は美しいカーブを描いて枠内に。

そして、岡崎のだめ押しが国中を安心させた

▼キックオフは日本時間の午前3時半。

夜更かしでつなぐには遅く、試合後の仮眠もままならない。

背中の真ん中のような時間帯だったが、徹夜も、早起きも報われた。

ハーフタイムの朝焼けを忘れまい

平日の未明なのに、テレビの最高視聴率は40%に達した。

同じ映像を、同じ思いで見つめ、同じ歓喜に浸る。


大あくびで駅に向かう人々に親しみを覚えるのだから妙なものだ。

一つの勝利で世の中の空気は変わる。

朝の列島を包んだ一体感は、たぶん日本の再生にも欠かせない

▼「はやぶさ」の帰還からこっち、国の運気は上向いているかにみえる。

ならばサッカーの枠を超え、歴史に刻まれるW杯を期待しよう。

顧みて、2010年の梅雨が日本の転機だったと……。

岡田監督ではないが、もう一度、世界を驚かせてみたい。





日ごろサッカ-には縁遠いがテレビに釘付けになり観戦した。勿論日本を応援してのことである。









英語の「スピーチ」に、福沢諭吉が「演説」の語をあてたのはよく知られている
今日は、諭吉が開いた日本で初の演説会にちなむ「演説の日」だという









平成22年6月27日の天声人語よりの引用


英語の「スピーチ」に、福沢諭吉が「演説」の語をあてたのはよく知られている。

かの「学問のすゝめ」でも、「我思うところを人に伝うるの法なり」などと解説している。


もともとあった「演舌」という語を、「舌では俗っぽい」と「説」に替えたそうだ

▼たしかに、話す言葉の不実をたとえる「舌」のイメージは芳しくない。

「舌先三寸」に「二枚舌」「口舌の徒」、「舌の根の乾かぬうちに」というのもある。


舌でごまかさず説を述べるべし――訳語には、そうした思いがこめられていたかも知れない

▼ところで今日は、諭吉が開いた日本で初の演説会にちなむ「演説の日」だという。

折しも参院選の選挙サンデーである。

津々浦々で言葉が飛び交うことだろう。

それが「演説」なのか、「演舌」ではないのか、ここはじっくり吟味したい

▼「口に蜜あり腹に剣あり」などと中国の故事に言う。

悪だくみを腹に秘めた政治家など、今の日本にいるまいが、甘い言葉はあふれている。

剣はなくても、腹の中が空っぽなら、有権者はまた「力量不足」という肩すかしを食うことになる

▼諭吉が偉かったのは、訳語を作っただけでなく、演説を真っ先に実践したことだろう。

それは政治家に欠かせぬ技能となる。

切磋琢磨(せっさたくま)から多くの名演説が生まれ、言論として光を放ってきた

▼その輝きが衰えたと言われて久しい。

政治家の言葉を楽しみ、心震わせる機会は、いまやすっかり希少になった。

選挙戦を眺めつつ、物干し台で特訓をしたという諭吉の時代の熱に、ふと思いを致してみる。






演説の日が有ったのは知らなかった。








民意によらない独裁者には、
国民すべてが脅威であることが伝わってくる
無関心が大きな理不尽を許してきた歴史は、
なおも現在進行形である








平成22年6月28日の天声人語よりの引用


異論はあまりないだろう。

米国の外交専門誌フォーリン・ポリシーが先ごろ発表した世界の「独裁者番付」で、

北朝鮮の金正日総書記が「最悪」に選ばれた。

2位はジンバブエのムガベ大統領で、これもうなずける

▼3位のミャンマー(ビルマ)のタン・シュエ大将は、悪名高い軍事政権を率いる。

肩書は「国家平和発展評議会議長」だが、国情は平和からほど遠い。

その圧政下で自宅軟禁が続く民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんが、65歳の誕生日を迎えたと小紙記事が伝えていた

▼軟禁は通算14年におよぶ。


独裁者がこの人をいかに恐れているかの証しだろう。

誕生日を前に、オバマ米大統領は解放を求めたが、応じる気配はない。

この国では、他にも数千人の政治犯が獄につながれている

▼情報の乏しい中、先ごろ公開されたドキュメンタリー映画「ビルマVJ 消された革命」から、国境の向こうが垣間見える。

VJとはビデオジャーナリストを言う。

小型ビデオで隠し撮りして、自国の真実を世界に伝える。

命がけの映像に頭が下がる


▼民意によらない独裁者には、国民すべてが脅威であることが伝わってくる。

猜疑心(さいぎしん)は募り、市中に密偵を潜ませ、強制と恐怖で支配する。

いわば全国民が縛られた国の、スー・チーさんは象徴といえる

▼この手の国では、いとも軽く人が死ぬ。

「あなたの持っている自由を、持たない人のために用いてください」という彼女の言は、持てる者の胸に重い。

無関心が大きな理不尽を許してきた歴史は、なおも現在進行形である。





北朝鮮の独裁体制は極めて異常である。選挙で選出されず父子相伝が今後も続きそうである。

日本の戦前の天皇制を見本としているようである。戦前日本国民も天皇に絶対服従で,

上官の命令は天皇陛下の命令であるとの考え方が続いていたようだ。

日本国中,壁に耳あり障子に目ありで猜疑心に包まれていた。

叉戦時中の疎開先では「ハラヘッタイサン メシク-レンタイ」と地面に座って叫んでいたことがある。








日本の交通機関は、アナウンスも掲示も「お願い」が多い。
乗り心地は客にもよること、そして「こわす」者の影である









平成22年6月29日の天声人語よりの引用


 日本の交通機関は、アナウンスも掲示も「お願い」が多い。

ある地下鉄の優先席に〈ゆずりあう心が、明るい車内をつくります〉とあった。

「つくる」という動詞に二つを思う。

乗り心地は客にもよること、そして「こわす」者の影である

▼東京の声欄に、少年(12)の投書「バスに乗ったらトンデモ乗客」があった。

都下町田市。バスが5分遅れで停留所に着く。

少年が母親と乗り込むと、男の客が女性運転士を怒鳴り上げたそうだ

▼遅れに立腹したか、座っても車体をけとばし、手すりに足を乗せる。

信号では「黄色なんだから突き進め!」。

当然、車内は「とても怖い感じ」になった。

降り際には、運転士の名を確かめるそぶりも見せたという

▼4日後、当の運転士(46)の感想が載った。

女性ゆえに当たりやすいのなら、これほど悲しいことはないと。

「怖い思いをさせて申し訳ありません。


でもありがとう。

お陰で、これからも気持ちよく乗ってもらえるよう頑張る勇気が出ました」

▼乗務員は客を選べず、客も隣人を選べない。

とりわけストレスの発火点が低い都会では、車内のトラブルは茶飯事だ。


大抵の大人は、険悪への感度を鈍らせる知恵を備えている。

音楽や携帯電話で耳と目を「開店休業」にするのも一つだろう

▼攻撃と防御がせめぎ合う都市のくらし。

とんでもない客に当たった運転士や駅員も気の毒だが、居合わせた子どもはたまらない。

耳目が無防備だから、とんがる空気に丸裸でさらされてしまう。

怒声と鈍感が並走する車内で、ちいさな心が震えている。




電車に乗っていて女性の車掌を見て新鮮に映って見えた。







W杯で記憶されそうな6月の言葉から






平成22年6月30日の天声人語よりの引用


首相交代より、はやぶさと野球賭博、W杯で記憶されそうな6月の言葉から

▼沖縄の戦没者追悼式で、普天間高3年の名嘉司央里(なか・しおり)さんが自作の詩を朗読。

〈当たり前に基地があって/当たり前にヘリが飛んでいて……平凡な幸せを感じながら

/ただただ「平和」を望む今/簡単にこの違和感を無視していいのだろうか〉

▼豚1368頭を口蹄疫(こうていえき)で処分した宮崎県川南町の森本ひさ子さん(60)。

「抵抗できない子豚を殺すのはつらい。
]
お国のために兵隊を送り出す母親はこんな気持ちかと」

▼山梨県北杜市で食堂などを営む俳優柳生博さん(73)は、周辺で雑木林づくりに励む。

「経済性だけじゃない、後ろめたくない仕事がしたいと思わないかい?

 確かな未来は、懐かしい風景の中にある」

▼「遺族の時間はゆっくりとしか流れない。

それを共有していきたい」。

子を亡くした親が集う「ちいさな風の会」世話人、若林一美さんだ。

「すべてが焼き尽くされても残った切り株から芽が出る。

絶望の中の、希望の芽生えに立ち会っています」

▼丸善丸の内本店の「松丸本舗」は、本の形態にこだわらぬテーマ別の陳列。

企画した松岡正剛さんは「書店の復権には、お客さんに語りかけてくるような棚づくりが必要です」と言う

▼「予定と違うこと、不連続を面白がる感覚。

大きな目標に向けて造りながら考えるのがいい」。

建築家の安藤忠雄さん(68)が「理想の人生」を重ねるのは、19世紀から延々と工事が続くバルセロナの聖家族教会だという。

しなやかに、したたかに生きてみたい。





マリ・キュリ-夫人


「キュリ-夫人」という題のビデオ映画を見たことがある。グリア・ガウスンが演ずる所の映画で

大変美人でしっかりした女性像を演じていて大いに感銘した。彼女は「チップ先生さようなら」にも出演していて

これもおきに入りの映画である。老教師が過去の自分の人生を生徒に語りかける所からスト-リ-ガ始まっている。

この作品はリバイバルされた作品があるが最初の作品の方が良かった。リバイバルされた作品はミュジカル風になっていた。

同じく「心の旅路(動画)」も大変に良かった。

キュリ-夫人が気になって,とりあげようとしてるのは,::実際のキュリ-夫人の肖像写真と映画の中の夫人像が

あまりにも違っていることにある。映画の中の夫人は優雅で美しくしっかりした夫人像だが,実際の写真で見る夫人像は極めて頑固そうで.

意志の強い女性に感じ取れた。映画の中での夫人像だけ知っていた方が良かったと思っている。

キュリ-夫人画像

映画キュリー夫人(動画)


「チップ先生さようなら」も「キュリ-夫人」は一度は見る価値のあるビデオ映画だと思っている。

以下はインターネットよりの引用

マリア・スクウォドフスカ=キュリー(Maria Sk?odowska-Curie, 1867年11月7日 ? 1934年7月4日)は

ポーランドポーランド立憲王国)出身の物理学者化学者。フランス語名はマリ・キュリー(Marie Curie)。ワルシャワ生まれ。

キュリー夫人(Madame Curie)として有名である。

フランスのソルボンヌ大学を卒業。夫のピエール・キュリーともに、大量のピッチブレンド瀝青ウラン鉱)の残渣からラジウムポロニウムを精製、発見した。

1903年に夫婦でノーベル物理学賞を受賞した。

夫ピエールは1906年に事故死したが、彼女は1911年に単独でノーベル化学賞を受賞した。

夫が事故死した後、夫の弟子の物理学者ランジュバンと恋愛関係にあるとマスコミに書き立てられ、

彼女の科学者としての名声にもかかわらずフランスの外国人嫌いの犠牲になった。

これが原因で、科学アカデミー会員に選ばれることはなかった。

1934年5月、体調不良で療養所に入院した。

同年7月4日、研究の影響による白血病で死去した。

66歳没。亡骸はパリ郊外のソーに埋葬されたが、1995年、夫ピエールの遺体と共にパリのパンテオンに改葬されている。

彼女は女性としては最初のノーベル賞受賞者であり、物理学賞と化学賞を受けた唯一の人物である

彼女の功績を称え放射能の単位「キュリー」に、またパリ大学のキャンパスに名が残る。

パンテオンの近くにある国立科学学校で当時彼女が活動した研究棟は現在キュリー夫妻博物館となっている。

彼女の肖像は祖国ポーランドの旧20000ズウォティ紙幣に描かれたほか、夫のピエールと共にフランス最後の500フラン紙幣に描かれている。

また、ポーランドのルブリンには、彼女を記念したマリー・キュリー・スクウォドフスカ大学がある。

彼女とその一家は歴史に名前をとどろかせている。彼女が物理学賞と化学賞、夫ピエールが物理学賞、

娘夫婦(イレーヌ・ジョリオ=キュリーフレデリック・ジョリオ=キュリー)がそれぞれ化学賞を得ている。

一族4人で獲得したノーベル賞の数は5つである。また次女エーヴ(イヴ)は芸術家として活躍した。

他にノーベル賞を2度受賞した人物には、ジョン・バーディーン(物理学賞を2回)、フレデリック・サンガー(化学賞を2回)、ライナス・ポーリング(化学賞と平和賞)がいる。


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