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10月になって







本格的な秋になり,しのぎ易い時節になってきたが,今夏の暑さの為か むしろ涼しさが寒さとして感ずる日が多かった。

不思議と今年は台風が来ない秋となり助かったが,これが地球温暖化と関係しているとすればかなわないことである。

テレビでの気象関係の解説を聞いたがもう一つ理解が出来ないでいた。

そこで「今年の台風」でネットで検索してみた所,今年の台風は20日現在で14個と、

気象庁が統計を始めた1951年以降に最少となる可能性が出てきた。

これまでの最少記録は98年の16個である。

夏に猛暑をもたらした強い太平洋高気圧などが、主な発生源のフィリピン近海で大気の対流活動を弱めたのが一因とみられる。

今年は叉統計史上初めての北陸に直接上陸した台風9号や、過去19年で最強の台風13号など、特異な台風が目立つた。

気象庁気候情報課などによると、フィリピン東海上で平年は15〜16個の台風が発生するが、

今年は5個前後で太平洋高気圧がフィリピン付近まで張り出したため大気の対流活動が抑えられ、

台風の元となる雨雲ができにくかったとみられている。

さらに今年は異常気象の原因となるエルニーニョ現象が春まで続き、夏にラニーニャに移行。

エルニーニョもフィリピン近海で大気の対流活動を弱める傾向があって、台風の少なさにつながっていった可能性があるといわれる。

台風の少ないのもやはり温暖化と関係しているようである。台風の少ないのは有り難いが,しかし地球温暖化が関係しているとなれば

やはり台風がある程度あっても良かったのかと思ったりしている。

今年の紅葉は,特別な寒暖の差が激しく大きかったので,綺麗な紅葉が見られると言われている。

京都では現在紅葉の季節となって来た。

10月22日は京都の時代祭りが盛大に催された。その前日,偶然にも京都市立美術館に展覧会を見に行った所

平安神宮の前の沿道に,紅白の幕が張られ,椅子が並べてあるので,その作業している方に尋ねた所.,

明日時代祭りがありその準備をしていると話されていた。

毎年毎に京都の時代祭りは盛大となってきている。叉各地方都市でも,その土地にちなんだような時代行列が催されるようになって来ている。



京都時代祭り(動画)


時代祭り(画像)


自然に秋は深まってゆくが,しかし日本の政局は次第に混迷が増してきている。

外交上で尖閣諸島での中国漁船と海上保安庁の監視船との衝突事件のビデオが海上保安職員により

インタ-ネットに流出され,国民が直接事件の全様をとらえることができるようになった。

尖閣諸島中国漁船衝突事件 流出ビデオ 1/6 コピー転載(動画)

もし政府がわざわざ公開するようなことにでもなれば,益々中国政府との摩擦が増大することになったかも知れない。

一方国民側から何故に映像を公開しないのかとの不満が高まり,その間に挟まり政府は困った立場に置かれたかもしれない。

だが違法に映像が流出されてしまったことよって,それに対する対策は解消されたが,

一方政府はどうして中国にもっと強い姿勢を示さないかとの国民からの反発も出て来ている。

映像を見ることにより国民はある程度納得したのではなかろうかと思う。

政府にとって中国に対し刺激を与えず国民がある程度納得する形でおさまって,丁度良かったのかもしれない。

中国 日本ともに,核爆弾が世界中にあふれている時代,戦争にでもなれば地球破滅への最終戦争になることを自覚しながら

お互い妥協・協力し合って行動してほしいものだ。

このことはネット時代になってから,悪い事があれば必ずその真相はいずれ暴かれる事を前提として,人々は行動するようにならざるを得なくなる。

それにより世界中で過激な行為が自然に少なくなって来るだろうと思ったりしている。

アメリカによるイラクでの行為がネット上に流出し直接世界の人々が目にすることができるようになってきた。

イラクの悲劇(動画)

この事によりさらなる平和な社会への気運が促進されてくるるのではないかと思う。

偶然テレビで「NHKのクローズ アップ現代」を見て「ウイキ リークス」という名のホームページがあるようである。

其処で放映されている資料や動画には以前ネットで見た動画と同じで,「ウイキ リークス」からの流出したものと初めて知った。

全ての知りたいことがインタ-ネットで検索する事により瞬時に判るような世の中になって来そうである。

米アップル会社から「iPAD」のようなものが発売・普及してくるとさらに雑誌や本なども、

それで読めるよういなり全てが便利な世の中になって来ている。

そのうちに衛星を使って世界中の人々に向け戦争している様子が映像を通じ見られるようになってくれば

戦争そのものも,無くなってくるのではなかろうかと思ったりしている。

世界中で鮮明な画像でもって,戦争の様子が逐次映し出すことの出来る科学技術が進歩すれば大いに平和に寄与すると思う。

最新の武器をアメリカと共同開発するよりも, はるかに衛星を使い世界中で衛星から映し出し戦場の様子を映し出す技術を開発すれば.

それを世界中の人々が見られるようになり,新しい武器開発するよりもはるかに戦争抑制につながる。

既にそれだけの技術を生かすことの出来る科学技術は現代の社会は持っていると思う。

是非ともそちらの方面に税金をば政府は使ってほしいものです。

世界中に戦争が無くなれば新しい武器を開発する必要性は何も無くなる筈である。




ジョンレノンの「イマジン」











たばこが大幅値上げされた
「国民の健康のために」という名分を掲げての
今日からの大幅値上げである








平成22年10月1日の天声人語よりの引用

ぜいたくが敵だった戦時中にも、こんな戯(ざ)れ歌が流布したそうだ。

1943(昭和18)年にたばこが大幅値上げされた。

すると、金鵄(きんし)上がって十五銭/栄(は)えある光三十銭/いまこそ来(きた)るこの値上げ/

紀元は二千六百年/ああ一億の民は泣く――奉祝歌の替え歌だった

▼金鵄と光はたばこの銘柄。

他も軒並み、戦費調達のために平均で6割強も上がった。

庶民は泣きながら、お国のためにせっせと紫煙をくゆらせたのだろうか。

そして時は移り、「国民の健康のために」という名分を掲げての、今日からの大幅値上げである

▼主な銘柄は一気に1箱400円台になった。狙いは功を奏しているようだ。

値上げ前から病院の禁煙外来は盛況といい、禁煙グッズも売れ行きを伸ばす。

製薬会社の調査では、禁煙にトライすると答えた人は53%にのぼっている

▼きっかけを求めていた人が一斉に背中を押されたのだろう。

片や、たばこ店は駆け込み特需で大にぎわいを見せた。

一段落のあと、目下24%の喫煙率は、さてどれぐらい下がっているだろうか

▼歴代政府にとって、たばこは「金づる」だった。

簡単にやめられない愛煙家の弱みに乗じるように、小刻みな増税を繰り返してきた。

今回、遅まきながらも「財源」から「健康」へ舵(かじ)を切ったといえる。

流れはもう変わるまい


▼今日から禁煙、と誓った方もおられよう。

マラソンに落後はつきものだが、完走者が一人でも多かれと願う。

国の懐に貢献するのなら、命を縮めての納税よりも、病のもとを遠ざけて医療費を浮かす方がいい。




タバコは百害あって一利なしで,もっと値上げしても良いのにとおもっている。

タバコを吸っている人はタバコ依存症に罹っている患者であることを徹底すべきである。

外国に比較し日本のタバコの値段は安いようだ。もっと思い切った値上げをすべきだった。

まさか日本の国がタバコ税への依存症になってはいないのではないかと思ったする。

それとも出来るだけ高齢者を少なくする為,タバコを利用しているのかと,健康で安心、長生きできるような社会が理想だ。









指で月を指し示しているのに、指ばかり見て月を見ない
目先だけで遠くを見ない愚への戒めとも、広く解釈できよ








平成22年10月2日の天声人語よりの引用


漫才の掛け合いにこんなのがある。

「あっち見てみぃ」「どこ?」「どこって、僕の指の先を見ぃ言うのや」「爪(つめ)が生えとる」――エッセイストの織田正吉さんが著作の中で紹介していた

▼似たくだりが親鸞にある。

指で月を指し示しているのに、指ばかり見て月を見ない。

〈われ指を以(もっ)て月を指(おし)ふ、汝(なんじ)をしてこれを知らしむ、汝なんぞ指を看(み)て月を視(み)ざるやと〉。

目先だけで遠くを見ない愚への戒めとも、広く解釈できよう

▼尖閣諸島沖の事件をめぐる国会審議にこの話を思い出した。

事件にばかり目がいって、事件の指さす先、つまり本質が視野に入っていないのではないか。

原因の多くは政府の「逃げ」にあろう。

論議は深まらず、将来の戦略を描く足かせにもなりかねない

▼事件は外交の様々な問題をあぶり出した。

検証は大事だが、手段であって目的ではあるまい。


政府が取り繕うばかりでは、野党の目も「指先の爪」で止まろう。

ヤジが耳障りだった一昨日の審議を見れば、外交の立て直しからは遠い

▼乗じてかどうかロシアが動き出した。

大統領が北方領土を近く必ず訪問すると言明した。

実行すれば初めてで実効支配を強調する揺さぶりとなる。


南に北に、四方の海を急に波高く感じ出した向きは少なくあるまい

▼昨日からは臨時国会が始まった。

所信表明の冒頭で菅首相は「政権を本格稼働させる段階に入った」と述べた。

まだ補助輪付きの自転車だったかと溜(た)め息が出る。

「指の先の月」を見る賢明を望めるかどうか。

「爪が生えとる」では国民は浮かばれない。





尖閣諸島問題も北方領土問題も各国が内政問題を外交に国民の目を]向けさせようとする手段に使っているようで

本気になって欧米列強がしたような明治から昭和の始めにかけての領土拡張政策をするとは思えない。

日中がじっくり話し合いでもって、共同開発に努めればよいことで解決することだと思う。







「指揮官の心構えによって、事件は生きもすれば、死にもする」
特捜の鬼、河井信太郎(のぶたろう)の言葉だ







平成22年10月3日の天声人語よりの引用

 「指揮官の心構えによって、事件は生きもすれば、死にもする」。

特捜の鬼、河井信太郎(のぶたろう)の言葉だ。

戦後できたての東京地検特捜部に30代半ばで加わり、多くの疑獄や汚職事件を手がけた。

巨悪をえぐる組織の土台を築いた、特捜部育ての親である


▼河井は「部下には十分に意見を述べさせよ」「無理な譲歩や妥協は求めるな」「信ずるより確かめよ」と、

上司の心得も残している。

あの世で太い眉をひそめているに違いない

▼大阪地検特捜部の前の部長と副部長が逮捕された。

郵便不正事件で主任検事の証拠改ざんを知りながら、隠していたとされる。


体面を考えたか情にほだされたか、功を焦って暴走した部下をかばい、組織ぐるみで虚構を独り歩きさせたことになる

▼刑事裁判の99%が有罪だから、検察は正義の後衛、最後の番人だろう。

証拠品いじりを本紙の特報で知った時、野球でいえば外野手の不在にも似た不安を覚えた。

今度は、ボールを止めるべきフェンスまでが消えたような、底なしの恐怖である

▼最高検は正義の球拾いに徹し、信頼のグラウンドにボールを投げ返せようか。

身内に甘いとの批判を恐れ、それこそ強引な筋読みで大阪の失態を問えば、無実の能吏を捕らえた彼らの轍(てつ)を踏む。

オール検察の正念場だ

▼全検事の3%をよりすぐった特捜ぐらい、世渡り上手の役人ではなく、正義にガンコな職人でありたい。

いっそ消えてくれと祈る巨悪氏もいようが、世の中それほど甘くない。

今回、内部から声を上げた職人たちに、細いが熱い期待をつないでおく。





検察問題はどのように解決したのかマスコミからは報道されていないように思えるのだが

どうなっているのだろうか。?

色んな問題が噴出してきて国民の関心はそちらの方向に向いているようだ。









朝青龍と白鵬が東西の横綱を占めたのは16場所、
その間、本割での対戦は11回にとどまる







平成22年10月4日の天声人語よりの引用


朝青龍と白鵬が東西の横綱を占めたのは16場所、その間、本割での対戦は11回にとどまる。

やんちゃと優等生の対比が鮮烈なためか、青白(しょうはく)時代はもっと長かった印象だ。

「青」絡みの騒動が絶えなかったこともある

▼「白」の連勝が称賛される中、朝青龍がまげを落とした。

〈自業自得〉と銘打った引退興行。

希代のマルチタレントは「次の人生に夢をかける」と、土俵に別れのキスをした。

相撲取りは天職というより、自己表現の一つだったのだろう

▼東大でモンゴル語を教える木村理子(あやこ)さんは、青白をそれぞれ授業に招いている。

白鵬は日本語で話し始めて先生を慌てさせたが、朝青龍はほぼ母国語で通したという。

木村さんは二人の生き方の違いを見た

▼近著『朝青龍 よく似た顔の異邦人』(朝日新聞出版)にある。

「モンゴル人として祖国で祖国のために活躍したいと願う朝青龍と、ゆくゆくは日本に帰化して親方になるであろう白鵬。

人生の目標は別の方向を向いている」

▼白鵬は「すごいスポーツ選手でした」と、先輩を巧みに評する。

正統あっての異端。

7連覇の頃は暴れん坊が歴史を作るのかと心穏やかではなかったが、今は愛すべき人間味が懐かしい。

世界を視野に、英語を磨きたいと語る姿は、白鵬とは別の意味で不世出に違いない

▼長い取材者は「強いけど悪い、悪いけど憎みきれない……横綱としては許せなかったが、

気がつけば人として魅力を感じていた」と好意的だ(横野レイコ『朝青龍との3000日戦争』文芸春秋)。

30歳の再出発を見守りたい。





モンゴルの人に相撲人気は取られているようで, :現代の日本の若者には向かないスポ-ツになってきているようだ。

双葉山の69連勝に白鳳はいたらなかった。

外国の力士が多くなっても国技は変に思うのだが。








虚像づくりのイロハは実像を明かさないことだ
金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男正恩(ジョンウン)氏の映像は、
背丈より肉づきが目を引いた








平成22年10月5日の天声人語よりの引用


米映画「父親たちの星条旗」に、戦中の日本が米軍向けに流した英語放送が登場する。

硫黄島に上陸を控えた米兵たちが、ラジオの甘い語りと歌にしんみりする場面だ。

〈こんなに遠くまで駆り出されてお気の毒。

故郷で待つ恋人を思い出して……

▼士気を殺(そ)ぐ謀略と知りつつ、金髪の美女を胸に描いた戦士もいた。

彼らが「東京ローズ」と呼んだ女性は、多くが日系米国人だった。


虚像づくりのイロハは実像を明かさないことだ。

声や姿、生い立ち。

どの情報を欠いても確たる像は結ばない

▼それらを小出しにして、北朝鮮が次なる偶像を磨き始めている。

金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男正恩(ジョンウン)氏の映像は、背丈より肉づきが目を引いた。

顔だちや恰幅(かっぷく)のほか、髪形、服装、拍手の仕方まで若き日の祖父金日成(イルソン)に似せ、「正統」を訴える策らしい


▼重職を与え、後継の地位を内外に示した上で、写真と動画、名前の表記が明かされた。

いちいち普通の逆を行く国である。

あとはこの3代目が、第一声で何を語るかだろう

▼まさか「おやじの過ちと迷惑をおわびします」とは言うまい。

だが、スイスに遊学した人だ。

同じ世襲なら、せめて人心と世の流れを読める、いや読む気のある開明派と思いたい。

拉致被害者とご家族の願いでもあろう

▼ドイツ統一から20年。

格差は残るが、同じ民族が武力で対した時代を思えば取るに足るまい。

極東で崩れ残った冷戦体制、「金王朝」とて永遠ではない。

勇気を出して圧政を解き、国を開くこと。

それだけが、ひたすら耐える民への「正しい恩」である。





絶対的な権力者の世襲制は良くない。日本でも室町時代から江戸時代までの頃は天皇には何の実力もなかった。

京都の深草の十二帝稜は十二代の天皇が一緒に合葬された陵墓となっている。

平安時代までと明治維新後は天皇家の権力が強大となり,その立場を利用する人達が多くなってきた時代である。









起訴される小沢一郎氏は涙した、と報じられた
「これは権力闘争だ」と
だが、起訴を決めたのは権力とは無縁の、氏が言う素人である








平成22年10月6日の天声人語よりの引用


起訴される小沢一郎氏は涙した、と報じられた。

「これは権力闘争だ」と。

だが、起訴を決めたのは権力とは無縁の、氏が言う素人である。

公開の法廷で決着させたいという素朴な感覚に、〈闘争〉の計画性やねちっこさはない

▼国会での説明を避けてきた小沢氏は自業自得だろう。

堂々と証人喚問に応じていれば、「素人」の心証も違ったはずだ。

いやしくも政治家なら、お白州の前に赤じゅうたんの上で説明責任を果たしてはどうか

▼立つ瀬がないのは検察だ。

郵便不正事件では、無理を重ねて無実の民を起訴した愚を問われた。

こんどは不起訴の判断を、平均31歳の検察審査会に「有罪の可能性があるのに不当」とやられた。

幹部は「好きにやってくれ」と、やけのやんぱちである


▼推定無罪とはいうが、一般公務員は起訴されたら休職となる。

郵便不正事件で不当逮捕された村木厚子さんは、5カ月も自由を奪われ、復職までの1年3カ月を無駄にした。

立法という究極の公務に携わる小沢氏も、「政治休職」するのが筋だ

▼昨日の各紙社説は、本紙と産経が議員辞職を求めたほか、

毎日が「自ら身を引け」、日経が「最低でも離党を」、読売も「政治責任は重い」と氏に辛い。

マスコミだけが世論とは言わないが、今さら「闘争」でもなかろう。

この日本にそんな余裕はない。

▼思えば、民主党の代表と首相になりそこねたのは、国民にとっても小沢氏にとっても幸いだった。

景気に予算、対中関係、ねじれ国会。

このうえ裁判対策ときては、国も体も持つまい。

潮時である。






火のない所には煙がたたない。秘書が罪になってその代議士が罪にならないのも変な話のように思える

自分の言葉で国民に説明されれば良いように思うのだが。

裁判しないとわからないようなことの国会議員ではしないようにすべきだと思う









書家の榊莫山(さかき・ばくざん)さんは、その作品にも似て絵になる人だった
84歳の訃報(ふほう)に添えられた各紙の写真はどれも笑っている







平成22年10月7日の天声人語よりの引用


書家の榊莫山(さかき・ばくざん)さんは、その作品にも似て絵になる人だった

丸い頭の両脇にたたえた白髪、くりくり眼(まなこ)。

親しみやすい人柄を映して84歳の訃報(ふほう)に添えられた各紙の写真はどれも笑っている。

▼皇太子ご夫妻にお子さんが生まれた時、伊賀上野の家に民放の撮影クルーが来た。

発表されるお名前を書にする趣向である。

「愛子」に一瞬、書家は押しつぶされそうになったという。

まず書かない字だった。

しばしアトリエで字源辞典などをあさり、愛の意味をとことん調べてから墨をすり始めた

▼こと書に関してはこだわりの人だった。

青い透明感のある松煙墨(しょうえんぼく)を使い、からりと晴れた日の昼に書くのをよしとした。

弘法は筆を選ぶ」と公言し、旅先で筆と色紙を出されるのを嫌った

▼こだわった字が〈土〉である。


縦一本、横二本を、地中から地表へと芽が伸びる「壮大なアニメーション」に例え、

「微妙なニジミ、不思議なカスレ、意外なタマリなど、紙によって様々な変幻ぶりを見せてくれる」と愛(め)でた

▼書とは逆に、築300年という家での生活はこだわりと無縁。

『莫山日記』(毎日新聞社)にある。

「朝起きて、食事して、新聞よんで本よんで、昼めし食って、昼寝して……かくこともないのである」

▼将来を期待されながら、保守的な書壇になじめない。

すべての書道団体から退き、半世紀を異端児で通した。

絵に枯れ枝のような文字を添えた「詩書画一体」の墨跡には、誰にも似せぬという意地も透けていた。

孤高に別れを告げ、いよいよ大好きな〈土〉の一部になる。



戦後の書道界での前衛作家で自由奔放な生き方の人に思えた。









ノーベル化学賞を受ける鈴木章さん(80)、根岸英一さん(75)の功績は、
つまりは研究室と工場をつないだことである。
研究の成果は今、医薬や農薬、液晶などの生産に生かされているという







平成22年10月8日の天声人語よりの引用


ノーベル化学賞を受ける鈴木章さん(80)、根岸英一さん(75)の功績は、つまりは研究室と工場をつないだことである。

研究の成果は今、医薬や農薬、液晶などの生産に生かされているという

▼有機化合物を効率よく結合させる手法が、人の健康を支え、衣食住を変える。

お陰で命拾いした人もいれば、生きているのがますます楽しくなった人もいよう。

学問と生活の両方に貢献できる科学者は幸せだ

▼この分野は日本のお家芸で、研究者も実績も豊かと聞いた。

産業への橋渡しをした鈴木さんは「見つかる時は割と簡単、ラッキー」といい、夫人も「当たっちゃったわねえ」と同じ感慨を口にした。

だが「幸運な発見」に出会うには、豊かな発想と、それを見逃さない注意深さが要る

▼「我々の反応」という言葉に愛着がにじむが、「国のお金で研究したのだから」と特許は取らずじまい。

開かれた成果は各国で実用化され、果実の一つ、血圧を下げる薬を鈴木さんも服用中というオチがつく

敗戦国を勇気づけた湯川秀樹博士の受賞から61年。

日本から出た自然科学系のノーベル賞は15人になった。

ここ10年は年1人のハイペースだが、数十年前の業績が目立つ。

夜空に輝く星々がはるか昔の姿であるように、産業立国の過去の栄光を見るようでもある

▼鈴木さんは「理科離れを止めたい」という。

在米の根岸さんは、留学生が減っている現実を「日本は居心地がいいから」と残念がる。

快挙を見た若者が一念発起し、次々に理系で海外に雄飛する「鈴木・根岸反応」に期待したい。




ノ-ベル化学賞受賞は大変明るいニュ-スだった。地道な努力が報われたものと思う。









NHKのスポーツ部記者が
野球賭博の捜査に関する情報を
日本相撲協会側に流していた








平成22年10月9日の天声人語よりの引用


取材先とは「握手の距離」を保てと先輩に言い聞かされた。

離れては情報が取れないが、抱き合えば筆が鈍る。

いい関係を続けながら、相手が正道を踏み外した時はひっぱたける間合いを、というわけだ

▼がっぷり四つに抱き合っていたらしい。

NHKのスポーツ部記者が、野球賭博の捜査に関する情報を日本相撲協会側に流していた。

他社から聞いた話をもとに、夜中の携帯メールで「あす捜索があるようです」と協会関係者に伝えたという

▼警察は約10時間後、関係する相撲部屋などを一斉捜索した。

強制捜査のタイミングはズバリである。

「関係づくりに生かそうと思った」とは身もふたもない。

貸しを作ろうとしたのだろうか

▼大相撲放送を独占するNHKは、相撲協会と持ちつ持たれつの間柄といえる。

だからこそ、つき合いには抑制が求められる。

名古屋場所の中継見送りでは筋を通したかに見えたのに、

そのけじめを発表した夜、取材の一線で「お気をつけあそばせ」と言わんばかりのご注進とはあきれる

▼報道機関として、取材先との癒着は最たる禁じ手だろう。

重なり合って倒れる時、上の力士が先に手をつく「かばい手」は負けにならないが、「かばいメール」は反則だ。

公共放送と相撲協会が、まさに重なって倒れる図である

▼NHK記者らが、ニュースで流す前の特ダネをもとに株を売買し、処分されたことがあった。

同業者として赤面したものだが、取材相手の情報源になってどうする。

今は握った手を離し、改革に向けて協会の尻をたたく時ではないか。





相撲社会は閉鎖的社会で外部との接触が少なく,その上徒弟制度のようで若い頃からその社会にいると

その社会で行われていることが反社会的行為かも判らなくなってしまったと思える。

もっと開かれた社会になって欲しいものである。










中国の人権活動家劉暁波(リウ・シアオポー)氏(54)の獄中受賞に、
そんな近代史の一コマを思い出した









平成22年10月10日の天声人語よりの引用


獄につながれてノーベル平和賞を受けた古い例に、1935年のカール・フォン・オシエツキーがある。

ドイツのジャーナリストで平和運動家だった。

全体主義に抗する言論人の受賞はヒトラーを激怒させた

▼その著作はナチスの脅威を突いて焚書(ふんしょ)に遭っていた。だがノルウェーのノーベル賞委員会は授与を勇断する。

腹いせだろう、ナチスは後にノルウェーを占領したとき、委員を全員逮捕したという。

時代も背景も異なるが、中国の人権活動家劉暁波(リウ・シアオポー)氏(54)の獄中受賞に、そんな近代史の一コマを思い出した

▼NHKをはじめ、受賞決定を中国国内で報じる外国局の放送は、突然中断し、画面が黒くなったそうだ。

メールは「劉暁波」の3文字を入れると送受信が不能になるという。

現代の焚書を思わせる、かの国の負の一面である

▼中国政府は事前に圧力をかけていたと伝えられる。

決定後はノルウェーの駐北京大使を呼びつけた。

対抗措置もほのめかしたと聞く。

世界第2の経済大国にして、この政治的、社会的な小児性は、いびつを超えて不気味に映る

▼妻の劉霞(リウ・シア)さんが授賞発表の前、「(当局は)夫のたった1本のペンを怖がっている」と語っていたのが印象深かった。

作家で詩人でもある劉氏の書くものには、どこか魯迅を思わせる志と、骨の太さがあるとの評も聞こえてくる

▼その魯迅は、希望とは地上の道のようなものと述べている。

もともと地上には道はない。

歩く人が多くなればそれが道になるのだ」。

中国民衆と政府が歩みゆく道を、世界が凝視している。






中国は一党独裁で言論の自由がない。大勢の人達が住んでいるので色んな意見が出ても良いことだ。

貧富の差も益々激しくなって,このままだと革命がもう一度起こってもおかしくない。

旅行した印象では食べ物の味の違いがあっても,普通の社会に感じたのだが。









たけなわの秋を待ちかねて、先日、
北へ旅して岩手の早池峰山(はやちねさん)に登った








平成22年10月11日の天声人語よりの引用


草冠(くさかんむり)に「秋」と書くほどだから今の季節を代表する花に違いない。

先の小紙俳壇に高槻市の会田仁子さんの〈萩白し風の中より切つて来し〉が選ばれていた。

同じ感覚の人がおられるのだなと思った。

萩は透き通った秋風に吹かれる姿がいい

▼「おいでおいで」をするススキもそうだが、萩にも風がよく似合う。

どちらも、風のないときも風を誘って揺れているような趣がある。

秋に降る雨を「萩散らし」とも呼ぶそうだ。

一両日の雨ですっかり花がこぼれた枝もあろう。

天に地に、猛暑の日々が遠ざかる

▼たけなわの秋を待ちかねて、先日、北へ旅して岩手の早池峰山(はやちねさん)に登った。

紅葉は、2千メートルに近い山の半ばまで下りていた。

「今年はいま一つ」と土地の人は気の毒がったが、どうしてなかなかの眼福を得た。

咲き残りの高山植物が岩の陰で風にふるえている

▼〈この山巓(さんてん)の岩組を/雲がきれぎれ叫んで飛べば/露はひかってこぼれ/釣鐘人蔘(ブリューベル)のいちいちの鐘もふるへる〉。

この地に生きた宮沢賢治の詩「早池峰山巓」の一節だ。

小さいものに向く眼差(まなざ)しは、いつもながらに優しい

▼装う木々をくぐって、山の斜面を細い流れが下っていた。

〈松風の音のみならず石走(いわばし)る水にも秋はありけるものを〉と詠んだのは西行法師だった。

「水声(すいせい)に秋あり」という。

歌聖をまねて凡人も、流れにしばし耳を傾けた

▼日本の紅葉が見事なのは多彩な樹種のゆえだという。

濃淡さまざまな色が混然となって、錦の刺繍(ししゅう)を織り上げる。

多様性の奏でる交響曲に耳を澄ましたい、美(うま)し国の秋である。



早池峰山は日本の百名山の一つのようである。どれ位の山に登ったのか数えるほどしかない。










将棋でコンピューターがプロを退けたのは初めてという







平成22年10月13日の天声人語よりの引用


阿伽羅(あから)とは10の224乗のことで、とんでもない数らしい。

「あから2010」というコンピューター将棋ソフトが、大きい名に恥じず、女流王将の清水市代さん(41)に勝った。

コンピューターがプロを退けたのは初めてという

▼敗者として科学史に名を刻むリスクを承知で、清水さんは受けて立った。

まずはその勇気をたたえたい。


敵は情報処理学会が手塩にかけた最強システムである。

さすがの第一人者も持ち時間を使い切り、秒読みに追われてミスが出たらしい

▼創立50年の記念事業を快挙で飾り、学会は大喜びだ。

まさに阿伽羅ほどもある将棋の局面から、一流どころの棋譜を徹底的に覚え込ませたという。

詰めに入って相手のうっかりを見逃すはずもない

▼しかも、コンピューター将棋の世界選手権で鳴らした四つのプログラムが、各自の考えを多数決にかける合議型。

清水さんは、手ごわい4人組と戦ったに等しい。

将棋ソフトの進化を目の当たりにして、偶然も幸運もない理詰めの世界を実感した

▼日本将棋連盟は、プロが公の場で許可なくソフトと対戦することを禁じている。

だが、トップ級の勇気がソフトを磨き、強いソフトが棋士を鍛える。

この競い合いに愛好者も酔うのだから、連盟は「頂上決戦」をためらうことはない

▼秒読みに焦り、長時間の対局に疲れ、練達の士も過ちを犯す。

ファンはそうした人間味を含めての名勝負に期待する。

いわば敵陣の東大工学部で、清水さんは白い着物で機械を相手にした。

その指し姿は、勝敗を超えて十分に美しかった。



確かにコンピュ-タの将棋は強い。さらに強いのが出てきているのならば 飛車 角を落としてもらっても負けそうだ。

囲碁のソフトはまだまだ弱くて勝つことが多い。

でもいずれは負けるようなソフトが出てきそうである。









地底から救出されるチリの鉱員たちは、夜も朝もそろいの黒めがねだった
33人の智が国に与えた一体感という利はそれ以上だろう








平成22年10月14日の天声人語よりの引用


北の民イヌイットは、雪原のまぶしさから目を守る雪めがねを考え出した。

セイウチの牙や木片に細い切れ目を入れた、手作りのゴーグルだ。

光を遮る発明品はサングラスの原点とされる

▼地底から救出されるチリの鉱員たちは、夜も朝もそろいの黒めがねだった。

暗さに順応した網膜を保護するだけでなく、それは感情の爆発や乱反射を防ぐ道具に見えた。

すでに万感募る瞳である。

歓喜の明度が九割減でも不足はなかろう

▼一人目の救出中に日付が変わった。

約15分とはいえ、身を硬くしての孤独には足かけ二日の表現がふさわしい。

現地の例えは「地中からの出産」。

苦から喜へと英雄たちが産道を抜け、70日も頭上にあった大地を踏みつけた

▼チリにすれば波乱の建国200周年だ。

まず大地震に襲われ、文字通り余震の中でピニェラ大統領の就任式、そして「奇跡の33人」である。


基幹産業での不幸と幸運は、救出劇の先頭に立った大統領の人気を押し上げた

▼鉱員にはギリシャ企業が慰安旅行を申し出たそうだ

。映画化も決まり、会見や手記の依頼もある。

体験に値がつくことで、彼らは地底からしばし解放されよう。

いや、もうこりごりか。

坑内労働の安全は、一編のハッピーエンドで守れるものではない

▼漢字は、かの国に智利(チリ)をあてる。

国を挙げての智は鉱員に大きな利を贈ったし、33人の智が国に与えた一体感という利はそれ以上だろう。

地の上下で共鳴した叫びを漢訳すれば「智智智! 利利利!」。

この二つで人も国も強くなると、地球の反対側から学んだ。




あまり日本に知られていないチリからの炭鉱崩落事故で33人が閉じ込められて,その救出の様子が世界に報道され

世界の人々に人の命の大切さを教えてくれたが,一方でイラク アフガニスタンで一発の爆弾でもって殺されても

僅かに報道それるだけである。命の大切さには世界中に変わりがないようにおもうのだが。









その一助に新聞を活用していただくのはうれしいが
山梨の小学校。5年の担任が道徳の授業で
「脅迫状」を作らせたそうだ
超えてはならない一線もあろう








平成22年10月15日の天声人語よりの引用


運動会も終わり、さあ学びの秋と意気込む先生も多かろう。

授業や教材に工夫を凝らし、子どもの心をつかむ。

その一助に新聞を活用していただくのはうれしいが、残念な使われ方があった

▼山梨の小学校。5年の担任が道徳の授業で「脅迫状」を作らせたそうだ。


児童はグループごと、ひと昔前の誘拐犯よろしく新聞を切り張りし、黒板の例文を再現したという。

この「不徳」について教師いわく。

「共同作業の大切さを学ばせたかった」

▼愛知では、小3の担任が出した割り算の問題がとがめられた。

〈子どもが18人います。1

日に3人ずつ殺したら何日で……〉。

片や横浜の中学教師は、生物の時間に男子の口と鼻をふさいで失神させた。

どれほど呼吸が大切かを教えるつもりだったという

▼これらの先生は40、50代。

悪意なく盛り上げようとしたにせよ、教室を笑わせるには寄席とは違った用心深さが要る。

超えてはならない一線もあろう。

授業中ではないが、大阪の高校教師は不用意にも、女生徒にゴキブリ駆除剤を食べさせてしまった。

「私の特製クッキーよ」と

▼無論、悪ふざけに傷つく子ばかりではない。

とはいえ、脅迫状の代わりに招待状、「殺す」ではなく「遊ぶ」でも出題の狙いは達成されよう。

それも穏やかに、親からの苦情もなく

▼手作り、オンリーワンの授業だから良いとは限らない。

効果のほどは、すぐれて「ワン」の中身による。


面白くてためになる工夫なら、教師の研修を通じて津々浦々に広まり、技を欠いた思いつきは、コラム書きの糧となる。






先生の質が落ちたのか,教育者として常識をわきまえていない先生が増えてきているのだろうか。

何故こうした事がおきるだろうか。

戦後の自由教育が災いしていてのことなのか。







鹿や猪(いのしし)は秋なのに、熊は冬の季語だという
ぬっと現れ、のそりと消え
猟師以外が出合うとすれば、
やはり餌を求めてうろつく秋である。








平成22年10月16日の天声人語よりの引用


鹿や猪(いのしし)は秋なのに、熊は冬の季語だという。

猟期と冬ごもりの印象だろうが、猟師以外が出合うとすれば、やはり餌を求めてうろつく秋である。

ぬっと現れ、のそりと消える。


出没の語がこれほど似合う動物もない

▼今年は里での悪さが目立つ。

福井のデイケア施設で看護師にかみつき、山形の中学校では職員に体当たり。

いずれも屋内に入り込み、のそりと消える前にズドンとやられた。

人の被害も捕獲数も、約5千頭が捕まった2006年以来の当たり年らしい

▼「熊がそれだけ増えている」と語るのは、今日の状況を見抜いたような写真集『となりのツキノワグマ』(新樹社)を出した宮崎学さん(61)だ。

地元中央アルプスの獣道などに自動撮影のカメラを仕掛け、かれこれ35年、動物を狙ってきた

▼82年からの3年間で1頭しか写らなかった熊が、05年秋には1カ月で10頭も写ったそうだ。

いまだに「大猟」が続く。

「人知れず、うんと増えているというのが定点観測の実感です。

山で増えれば、里に下りる数も増す」

▼獣と人の緩衝地帯だった里山や田畑は過疎化で荒れ、熊は隣まで来た。

宮崎さんは懐疑的だが、「人里徘徊(はいかい)」の背景にドングリの不作を挙げる専門家もいる。

〈山痩(や)せて熊出る里の昼暗し〉塩田籔柑子(やぶこうじ)

▼国連地球生きもの会議が名古屋で開かれている。

ツキノワグマもヒグマも、わが森の生態系を引き締める立役者だ。

本来は小心で、好きで姿をさらしているわけではない。

彼らを「害獣の王」にしないよう、生息数をとことん調べ、共存の道を探りたい。





熊などによる被害は山中に食べるものが少なくなり人里に出没する結果で

その原因を何によるか究明すべきことで,人里に出てきて殺される熊の立場で考えれば

可愛そうな話である。









明日限りとなったが、
東京の国立新美術館の
「陰影礼讃(らいさん)」展はユニークだ








平成22年10月17日の天声人語よりの引用


書きそびれているうちに明日限りとなったが、東京の国立新美術館の「陰影礼讃(らいさん)」展はユニークだ。

絵画や写真などでふだんは脇役の「かげ」に光をあてている。

陰にせよ影にせよ、存在感はなかなかのものだと気づかせてくれる

▼展示を眺めながら、江戸の俳人山口素堂を思い浮かべた。

〈われをつれて我影(わがかげ)帰る月夜かな〉。

この一句、地面に落ちた影を主とし、体の方が影に従っているかのように見る感性が冴(さ)える。

酒席のあとの千鳥足を、どこか想像させもする

▼このときの月夜は、「後(のち)の月」の夜だという。

いわゆる十三夜である。

中秋十五夜の「芋名月」に対して晩秋の「栗名月」の名もある。

今年はこの20日が十三夜になる。


照明過剰な都市では無理だが、里山あたりなら影と2人連れができようか

▼影を分身に見立てる発想は中国にもある。

〈杯を挙げて明月を邀(むか)え、影に対して三人を成す〉は李白の「月下独酌」の一節。

月を客に、影を友とする酒もまたよしである

▼見えない影を見る人もいる。

橋本多佳子の〈月光に一つの椅子(いす)を置きかふる〉には「夫の忌に」と前書きがある。

「麗しい月光の下、人は一人だが、実は二人いるのだ」は大岡信さんの解説だ。

椅子を照らす月の光が、不在という存在を際だたせる

▼さて、連想から現実に目を戻せば政界から「陰の総理」なる言葉が聞こえてくる。

首相より官房長官が目立つようならリーダーシップに疑問符が付こう。


美しい陰影礼讃は感性の世界なればこそ。

政治の世界は陰とも影とも、どうか無縁に願いたい。




影の存在の大切さをアッピールするのは大変良いことだが,影が主体になるものの

影にあり 影が主体になってしまうのは考え物である。芸術の世界では許されても

政界では許されないと考える。小沢さんの政界での活動を見てきてさらに思う。









抑圧された時代ほど落書・落首の傑作は生まれるようだ






平成22年10月18日の天声人語よりの引用


 永井荷風の日記「断腸亭日乗(にちじょう)」は戦争中も飄逸(ひょういつ)とした味をなくさない。

日米開戦直後の1941(昭和16)年12月12日には、「屠(ほふ)れ英米我らの敵だ 進め一億火の玉だ」の

標語をもじって「むかし英米我らの師 困る億兆火の車」と書いて公衆便所に張った者がいた、と記している

▼抑圧された時代ほど落書・落首の傑作は生まれるようだ。

先の小欄で、戦中のたばこ値上げをめぐる戯(ざ)れ歌を紹介したら、多くの便りを頂戴(ちょうだい)した。

「懐かしく思い出したが、歌詞が記憶とやや違う」というのが大半だった

▼ご記憶に共通なのは「鵬翼(ほうよく)」という銘柄が歌詞にあったこと。

高くてまずいとこきおろし、最後は、ああ一億のカネは減る、と締められる。

子どもだったが覚えているという方もいた。

津々浦々で様々に歌われたらしい

▼その「鵬翼」を調べると、日米開戦の直後に発売されていた。

積乱雲を背に爆撃機が飛ぶ図柄から戦意高揚のねらいが読める。

戯れ歌では散々だったが、今ではパッケージが収集家の垂涎(すいぜん)の的だという

▼戯れ歌を生んだ値上げは戦費調達のためだった。

たばこと政府の歴史はそもそもキナ臭く、民業から専売制になったのも日露戦争の戦費作りが目的だった。

ニコチン依存の面々から絞り取る図は、今も昔も変わらない

▼だが、今回の大幅値上げで腹を決めた人は多いとみえる。

禁煙補助薬が売れすぎて供給が間に合わない製薬会社もあると、先日の記事にあった。

「進め一億禁煙だ」とは申すまい。

ここは一人でも多い煙絶ちの成就を、願うばかりである。




落書き 落首には真実を伝えるものが多い。批判精神が旺盛である。

「一億玉砕 火の玉」までした太平洋戦争は何のために 誰の為に戦ったのだろうか。

「一億国民総懺悔」て済む話では無い筈で,後遺症は今も続いている。










中国内陸部の地方都市で、反日を叫ぶ群衆が暴れた。
「坊主憎けりゃ」で、パナソニックの電器店やトヨタ車も壊された








平成22年10月19日の天声人語よりの引用


欧州あたりで「嫌米」のデモが荒れると、しばしばマクドナルドの店舗が襲われる。

米国のグローバル支配の象徴というのだろうが、店員や食材の多くは「国産」だ。

本籍に執着の薄い国際ブランドが、右代表としてやられるのは皮肉である

▼中国内陸部の地方都市で、反日を叫ぶ群衆が暴れた。「坊主憎けりゃ」で、パナソニックの電器店やトヨタ車も壊された。

政府間では落ち着くかに見えた日中の対立。外交から街頭へとなれば厄介だ

▼騒いだのは愛国教育を受けた世代という。

就職難など、色んな格差への不満が、格好の標的を得て爆発したとされる。

「日」の字がつけば何でも攻撃対象となるように、理由は尖閣でも靖国でもいいらしい

▼彼らの横断幕に〈琉球を回収し、沖縄を解放せよ〉とあった。

幸い、中国に抗議する東京の日の丸行進は整然としていたが、売り言葉に買い言葉の愚は戒めたい。


ナショナリズムの悪循環を防ぐには、大人を自覚する側が冷静を保つことだ

▼中国にも冷めた目はある。

反日デモの呼びかけに、ある若手人気作家は「内政問題でデモもできない民族が、外国に抗議しても意味はない」と喝破した。

怒りをぶつける相手が違うと。

それが体制に向かっては困るから、当局も規制の加減が難しい

▼中国の富裕層は、東京や軽井沢で不動産の品定めに忙しい。

本当は、反日を教え込まれた若者にこそ、日本に来てほしい。

半日もいれば、表現の自由の何たるかを知るだろう。

新聞も雑誌も政権批判であふれている。

それも「愛国」の流儀である。




中国のような大国が多くの国民の意見が一致する筈はない。色んな人たちの意見を聞き共産党革命の原点に

立ち返るべきである。革命時の「太子」だけが出征するようならば資本主義社会以上に堕落していると思える。

「チャンコロ」と子供の頃侮蔑して育った者として,中国に旅行して中国の人も同じ人間同士だと感じた







あらゆる欲望の中で、一番の長生きは食欲らしい。
見た目は普通の料理なのに、
口でふわりと溶ける加工食品が売り出される






平成22年10月20日の天声人語よりの引用


あらゆる欲望の中で、一番の長生きは食欲らしい。

92歳の随筆家、吉沢久子さんの『幸せになる長寿ごはん』(朝日新聞出版)にこうある。

「自分の目や舌、胃袋を喜ばせるためにつくる料理は、若さを保つ上でも役に立っているようです」

▼あれも食べたい、これも飲みたい。

吉沢さんのように台所に立たないまでも、胃袋が土下座するほどの一皿を思えば生への執着が増す。

病床にあっても管から「食す」ことなく、食いしん坊の現役を通したいものだ

▼見た目は普通の料理なのに、口でふわりと溶ける加工食品が売り出される。

開発は岩手県花巻市のイーエヌ大塚製薬。

細胞をバラバラにする酵素を素材ごとに含ませ、形と食感を残しながら極限の軟らかさにした。

栄養価もほぼ同じという

▼硬いものは無理だけど流動食はイヤ、という人には福音だろう

病院食を想定して考えたが、試食した患者から「家でも食べたい」との声が相次ぎ、「さばの塩焼き」「チキンカレー」など15品の通信販売が決まった

▼開発に携わった藤田保健衛生大の東口高志教授(消化器外科)は「心と体はつながっている。

口を動かし、ご飯を食べていると実感することで快方に向かうことがある」と語る。

健康が許す限り、栄養は五感をくぐらせてとるのが望ましいようだ

▼『美味礼讃(らいさん)』を著したフランスの食聖ブリアサバランいわく。

〈他の快楽がすべて消えても、食卓の快楽は最後まで我々を慰めてくれる〉。

生きるために食べるのではなく、食べるために生きる。


そのくらいの欲深がいい。





食べるものに対してはヒモジイ食生活で子供の頃育ってきたので「美味しさ」に対しては関心が薄い。

健康食が一番大切だと思いながら食事をしている。生きるために食べるものだ。現在ではこれが忘れられている。

戦後の飢餓時に「進駐軍」の残飯を豚に食べさせるのを横流し受け食べたときの食感が美味しくて忘れられない。










外旅行が自由化されたのは1964年春だった
その古玄関(羽田)にきょう、新しい滑走路と国際線ターミナルが開業し、
各国への定期便が32年ぶりに飛び始める







平成22年10月21日の天声人語よりの引用


海外旅行が自由化されたのは1964年春だった。

ほどなく本紙の「サザエさん」に羽田空港が描かれた。

福引で欧州一周を当てたサザエさんは着物である。

追いすがるタラちゃんは祖母らに引き留められ、展望デッキで泣くばかり。

手には母の付け帯が握られているというオチだ

▼総出で見送った磯野家ならずとも、日本の玄関、東京国際空港はその名もまぶしいハレの場だった。

世界への始発駅、「万歳」が響く雄飛の門口にして、時代の先端を行く観光地。

ビートルズも降りた

▼78年の成田開港後、国会で「わが国の空の玄関はどこか」と質問が飛んだことがある。

国際線が去った後も、要人の往来には羽田が使われていたためだ。

時の運輸相は「常識的には成田」と答弁し、羽田を通用口に例えた

▼その古玄関にきょう、新しい滑走路と国際線ターミナルが開業し、各国への定期便が32年ぶりに飛び始める。

再び世界に開かれる羽田は、使いやすい勝手口として復権するだろう


▼だが、国内の玄関争いを尻目に、東アジアの「正門比べ」が決しつつある。

海外路線は成田が91、羽田は予定込みで17。

かたや韓国の仁川(インチョン)は世界140の都市と結ばれ、日本からの経由客を年100万人近く持っていく

▼首都圏の二大空港を国際と国内に分けた愚は問うまい。

国益より票田を思う政治の果て、アジアの正門を競う発想は乏しく、地方に開けた「小窓」は100に近い。

せめて両港の行き来を便利にし、「羽成田」とでもして一体活用したい。

今の日本、表札を二つ出す余裕はない。






あの成田闘争は何の為にあったのか,人間は愚の繰り返しをしているように見える。政治の貧困によるものか。

それとも自民党長期政権での歪みの一つの表れだったのだろうか。

真剣になって国民は愚かなことに戦ってきている。それの歴史が繰り返しである。権力闘争の繰り返しを続けている。









大抵の災害は遠い出来事だが、その真ん中には必ず、人生を左右される人たちがいる。







平成22年10月22日の天声人語よりの引用


チリの鉱山事故から生還した33人の最年少は19歳だった。

彼は今も、地下に閉じ込められている夢を見るらしい。


「夜中に跳び起き、私の枕元に座っていることがある」と、母親が本紙に語っている

▼暗い坑道の奥での70日。

人生観や性格を変えるには十分だろう。

感じやすい若者であれば、心に闇が残っても不思議はない。

ただあの狭い避難所こそが、混乱の末に連帯を生み、後の奇跡を育む「ゆりかご」だった

▼地下の空間はしかし、生活の落とし穴にもなる。

岐阜県御嵩(みたけ)町の住宅地で大きな陥没が起き、6棟が傾いた。

町では明治期から戦後にかけて亜炭の採掘が盛んで、浅い廃坑に地面が落ち込む事故がままある。


今回は75メートル×65メートルの土地が最大3メートル沈んだ

▼廃坑網の上に広がる町を、年に何回か超局地的な「地震」が襲う図だ。

町長が風評を気にする通り、いつ沈むとも知れない土地に財を築く人はいない。

戦中戦後の家庭に火を恵み、日本の窮乏期を支えた穴である。

旧産炭地の宿命と突き放す気にはなれない

▼局地的といえば奄美大島の豪雨もひどい。

ピークには2時間で10月の平均雨量を降りきったそうだ。

電気、通信、道路は寸断され、土砂崩れや洪水の全容はつかめない。

学校で夜を明かした子、散り散りになった家族も多い

▼大抵の災害は遠い出来事だが、その真ん中には必ず、人生を左右される人たちがいる。

恐怖の体験は夢にも出よう。

ニュース映像に息をのむだけでなく、救援物資と一緒に思いを届けたい。

異国の地底に送った以上の、連帯の気持ちを。







議員の利益誘導による土木事業が盛んに行われていて肝心の必要とするところの土木が遅れれが

災害を引き起しているのではないのか。

何百年に一回のための災害のためでなくて必要不可欠な所より工事を進めるべきである。








きょうは二十四節気の霜降(そうこう)にあたる
今年の皇帝様〈松茸(まつたけ)、
平年のほぼ半値で店頭に鎮座している






平成22年10月23日の天声人語よりの引用


歌い継ぎたい童謡は「赤とんぼ」、次が「ちいさい秋みつけた」だという。

本紙「be」の読者調査である。この時節の歌は心にしみるようだ。

ついでに秋の味覚に序列をつけるのは無粋だが、阿波野青畝(せいほ)の句に〈松茸(まつたけ)は皇帝栗は近衛(このえ)兵〉がある。

もらい物のカゴを詠んだものか

▼今年の皇帝様、平年のほぼ半値で店頭に鎮座している。

猛暑から秋涼に転じる頃合いにお湿りがあり、豊作の条件が整ったらしい。

産地の岩手では「シメジのような群生」も見られたそうだから、もはや近衛兵だ

▼天の恵みは公平で、旬の味覚に紛れて「旬の毒」も豊作である。

売ったり食べたりした話が各地から聞こえてくる。

惑わせたキノコはツキヨタケ、クサウラベニタケ、ニガクリタケと、名まで怪しい

▼『都会のキノコ』(八坂書房)の著者大舘一夫さんは、虫が平気で食べる毒キノコを、人間への「憎悪のメッセージ」に見立てる。

虫や動物は胞子や菌糸を散布してくれるのに、人は食べるばかりで森を壊すこともある。

キノコ界は怒っていると

▼新宿御苑を歩いたら、落ち葉の中に淡黄のマシュマロが寄り添っていた。

枝でつつくと、何のメッセージかプッと真上に胞子を噴き出す。

愛敬者はホコリタケ、ちいさい秋である

▼サトウハチローが〈お部屋は北向き/くもりのガラス/うつろな目の色/とかしたミルク……〉と詠(うた)った冷涼。

きょうは二十四節気の霜降(そうこう)にあたる。

北からは初霜や初氷の便りが届いている。

季節の深まりを五感に覚える候、実りを残して、秋が背中を見せ始めた。





マツタケ山があったのでよくマツタケを食べる機会があったが,最近は少ない。マッタケの形はしていても味も臭いも少ない

そのようなマッタケを食べている。外国産からの輸入ものによるものか。

戦中 戦後は少しの空き地にも畑として利用されていた。現在はお花が良く見かける。









世界に8千メートル峰は14座あるが、すべて登った日本人はまだいない
10座目に挑んでいた名古屋の田辺治さん(49)が先月、ヒマラヤで遭難した
日本では12座の竹内洋岳(ひろたか)さん(39)が最も近い








平成22年10月24日の天声人語よりの引用


かつて小紙に連載された井上靖の小説「氷壁」は、世に登山ブームを巻き起こした。

読まれた方もおられようが、主人公の勤め先の上司が、なかなか味わい深い。

穂高岳の氷壁をめざす部下を案じて言う

▼「登山家というものも、いい加減なところでやめないと、いつかは生命を棄(す)てることになると思うんだ。

危険な場所へ自分をさらすんだからね。

確率の上から言ったって、そういうことになる」。

時は流れて、今なら「危険な場所」の最たるものは8千メートルを超す山々だろう

▼酸素は平地の3分の1しかない。

「死の地帯」と呼ばれ、自然が人間を拒絶している場所だ。

世界に8千メートル峰は14座あるが、すべて登った日本人はまだいない。

10座目に挑んでいた名古屋の田辺治さん(49)が先月、ヒマラヤで遭難した


▼登山に限らず、知名度と実力とがイコールでないことはままある。

田辺さんは逆に、広く知られた人ではなかったが実力は指折りだった。

世界的な難峰や難ルートにいくつも足跡を残してきた

▼謙虚な人柄でもあった。

6年前、やはり10座目に、やはり49歳で落命した群馬の名塚秀二(なづか・ひでじ)さんの「偲(しの)ぶ会」で会ったことがある。

「登山には拍手も喝采もない。

そこがいいんです」と言っていたのが印象深い。

淡々とひたむきだったその姿が、大雪崩に消えた

▼14座の完登者は世界で20人余を数える。

日本では12座の竹内洋岳(ひろたか)さん(39)が最も近い。

一流の登山家ほど「命知らず」の行動から遠いものだ。

「氷壁」の上司の老婆心は胸に封じつつ、だれであれ無事の達成を祈る。





山岳信仰は健康に良いことだ。でも危険な所を高いから登るのは何故にされるのか判らない。








米国の研究班が、これまでで最も地球に似た環境の惑星を
見つけたという記事を読んだ
太陽に相当する恒星との距離などから、
その星には、生命に欠かせない水や大気が存在する可能性があるらしい








平成22年10月25日の天声人語よりの引用


生きものをうたう名手、詩人の工藤直子さんは「こねずみしゅん」などの異名でも詩をつくる。

そうした一作「ひなたぼっこ」では、小さなネズミがお日様に感謝の思いを告げる

▼〈でっかい うちゅうの なかから/ちっぽけな こねずみ いっぴき/みつけだして/おでこから しっぽのさきまで/

あたためて くれるのね/・・・・/おひさま/ぼく/どきどきするほど うれしい〉。

これが全文。

さまざまに読めようが、まずは命を育む太陽のありがたみに思いが至る

▼米国の研究班が、これまでで最も地球に似た環境の惑星を見つけたという記事を読んだ。

太陽に相当する恒星との距離などから、その星には、生命に欠かせない水や大気が存在する可能性があるらしい

▼地球に生命が栄える理由の一つは、太陽との距離にある。

水が液体でいられる温度は狭い。

熱ければ蒸発し、寒いと凍結する。

こねずみ君をほっこり温める絶妙な距離は、「でっかいうちゅうのなか」では奇跡と言っていいそうだ

▼ほかにも多くの偶然が重なり、生命は地球に誕生した。

いま3千万種もの生き物が球体上に命をつなぐ。

大きな顔の人類も、先祖は恐竜時代にはネズミほどの哺乳類(ほにゅうるい)だった。

たまさかの進化で疫病神となっては、お天道様に申し訳ない

▼名古屋で開催中の「国連地球生きもの会議」は、生態系保全などの交渉が難航しつつ終盤に入る。

会議が「失望の記念碑」にならぬよう願う。

生きものをうたうコツは生きものになりきること――そんな工藤さんの「心」が会議にありや。




他の惑星の人々との交流は夢が有って面白い。 大きな顔の人類も、

先祖は恐竜時代にはネズミほどの哺乳類(ほにゅうるい)だった。

「色即是空 空即是色」









裁判員裁判で初めての死刑が求刑された






平成22年10月26日の天声人語よりの引用


膵臓(すいぞう)移植で知られる藤田保健衛生大病院の杉谷篤(すぎたに・あつし)教授は、腕を磨いた米国で、脳死の子から臓器を摘出したことがある。

愛児と同じ5歳だった。

執刀後、わが子に同じことができるか自問したという。

人の生死にかかわる瞬間は、訓練を積んだ玄人にも厳粛だ

▼平和の国に生きる我らである。

医者か法律家でもなければ、また、重い犯罪に手を染めぬ限り、人様の命をこの手に預かることはない。

例外がある。

裁判員裁判で初めての死刑が求刑された


▼被告の男(42)は、被害者(享年21)目当てに「耳かきサービス」の店に通い詰めた。

彼女の営業熱心を好意と勘違いしたらしい。

しつこさを店にとがめられ、慕情は憎しみに転じ、探し当てた被害者宅で祖母もろとも手にかけてしまった

▼身勝手きわまるストーカー殺人に、遺族は極刑を望んでいる。

反省の浅深、犯行時の精神状態などの情状を、女性4人、男性2人の裁判員がどう酌むかが、判決の分かれ目となる

▼一審では、年に平均10件ほどの死刑判決があるという。

従って、検察が裁判員に重い球を投げてくるのは時間の問題だった。

複数を殺(あや)めた事件の求刑がいくつか控えている。

くじ引きで選ばれ、他人の生死を委ねられる国民は増えていく

▼「死刑判決で自分が変わるかもしれなかった」。

今回、選に漏れた女性は不安を語った。

判決まで1週間、裁判員は重い球を抱えて自問を重ねよう。

被害者の父ならば、被告人の母だったらと悩み抜くはずだ。

私たち素人の代表である6人と一緒に、極刑の重さに向き合いたい。






検察官 裁判官だけでは頼りなくて任せられないから,裁判員制度が始まったのは正当だと思う。

立法・司法・行政の三権分立が正しく行われていないからのことで,それに私利私欲の塊のような人間だから

裁判員制度が有るのではないかと思ったりしている。










設計者が市場原理に逆らい、
高さを並木に合わせるなどの頑固を通したのが一因だ
文化勲章を受ける安藤忠雄さん(69)である







平成22年10月27日の天声人語よりの引用

色づき始めたケヤキ並木が雨に煙り、青磁色のガラスに揺れていた。

4年前に開業した商業施設「表参道ヒルズ」は、街がそのまま屋内に続く造りになっている。

元の同潤会青山アパートのように、早く当たり前の景色になりたいと

▼東京の一等地。

老朽住宅の建て替えは難渋した。

設計者が市場原理に逆らい、高さを並木に合わせるなどの頑固を通したのが一因だ。

文化勲章を受ける安藤忠雄さん(69)である

▼勉強は嫌い、家計も厳しく大学進学は頭になかった。

工業高校2年でプロボクサーになるも、長続きしない。

卒業後の無職を見かね、知人が持ってきたバー設計の仕事が転機だった。

建築の教科書を読みあさり、家具や内装の注文を手当たり次第こなした


▼履歴は〈独学で建築を学び、28歳で建築研究所を設立〉と始まる。

東大教授に迎えられる前には、ハーバードなど米国の有名どころで教え、昔のリング名「グレート安藤」がすっかり別の意味で似合う。

学歴信仰を笑う、徒手空拳の人生だ

▼狭い長屋に育ち、住環境にかかわる原点は怒りだった。

最初期の「都市ゲリラ住居」では、無秩序に増殖する街への反抗を、コンクリむき出しの無愛想に込めた。

内外で大型施設を手がける今でも、敷地や予算に限りのある小さな家が面白いという。

最後の作品は個人宅と決めている


▼学窓と古典の薫りが高い文化勲章ながら、今年は「現役職人」が強くにおう。

三宅一生さん(72)の衣、蜷川幸雄さん(75)の劇、そして安藤さんの建。

究めた一字を、世界が認めたすご腕である。





安藤忠雄さんの講演会を聞く機会があったが,何故に良いのかが理解できなかった。








明治末に奈良の大仏の足元で発見された二つの大刀(たち)が、
正倉院から消えた宝物と判明した
決め手は、刀身の柄(つか)近くに確認できた
「陽劔(ようけん)」「陰劔(いんけん)」の文字だ







平成22年10月28日の天声人語よりの引用


腕時計をなくした話を同僚に聞いた。

海外で求めた記念のタグ・ホイヤー。

あきらめきれず1年が過ぎた頃、タンスの裏で時を刻む愛器を引っ越し業者が見つけたそうだ。

珍しく転勤に感謝したという

▼夢で追いかけた青い鳥が家のカゴにいたように、捜し物が足元から出てくることがある。

ふと再会し、捜していたと思い出す品もあろう。

しかし、前からそこにある物が実は長らくの失(う)せ物で、という展開はまれだ

▼明治末に奈良の大仏の足元で発見された二つの大刀(たち)が、正倉院から消えた宝物と判明した。

宝刀は聖武天皇の遺愛品で、死後、妻の光明(こうみょう)皇后が大仏に献納し、近くの正倉院に収められたもの。

なぜか3年後に持ち出され、以来1250年も行方不明だった

▼それが100年前に「見つかっていた」ことになる。


決め手は、刀身の柄(つか)近くに確認できた「陽劔(ようけん)」「陰劔(いんけん)」の文字だ。

正倉院の献納目録には、刀剣の筆頭に陽寳劔(ようほうけん)、陰寳劔(いんほうけん)とあり、長さや装飾から同一とされた。

易学では、万物は陰と陽の二つの気に支配される。宝刀も一対で安定を生むらしい

▼病がはやり、天災が続いた天平期、聖武天皇は仏教の力で国を治めようと東大寺を建立し、大仏を造った。

死期迫る皇后が、夫の遺品の随一を大仏の傍らに移して埋め、太平を乞(こ)うたとも考えられる

▼どれだけの人が宝刀を捜したことか。

平安人は陰陽師(おんみょうじ)の呪術に託したかもしれない。

無論、持ち出したとみられる皇后にすれば所在は自明だろうが、埋めたという伝承が全くない不思議。

悠久の時は何も答えない。




陽剣 陰剣の話は面白く,歴史の一コマを教えてくれる。







群馬県桐生市の女児が、編みかけのマフラーを使って自宅で命を絶った
12歳の「わたし」に、死を選ばせた絶望を思う






平成22年10月29日の天声人語よりの引用


「わたし」という詩がある。

〈お父さんがお母さんとけっこんして/わたしが生まれた/

お母さんがほかの人とけっこんしてたら/わたしはどうなっていたのだろう〉。

作者は川崎市の大平悦子さん(当時小2)。

『えんぴつでおしゃべり』(江口季好(すえよし)編著)から引いた

▼もう20代と思われる悦子さんが知る通り、答えは「いなかったよ」だ。

奇跡の出会いがもたらす、誰とも違う命。

6年生ともなれば、その重さを知らぬはずはない。

より重いつらさとは、どんなものだろう

▼群馬県桐生市の女児が、編みかけのマフラーを使って自宅で命を絶った。

2年前、お父さんの転勤で愛知県からやって来た少女。

友達もできたが、5年の途中から「汚い」などと疎まれ、仲間外れが始まる

▼仲良し同士が集まる給食の時間、彼女は一人になった。

班替えをしても一人。

そっと肩を抱く級友は現れなかった。

体調を崩し、休みがちになったが、学校側はいじめとまでは考えなかった

▼少し前に描いた漫画が見つかった。

題は「やっぱり『友達』っていいな!」。

転校した女子が温かく迎えられる絵は、見果てぬ夢であろう。

体の内側を冷たい粘液が垂れ伝うような、深い孤独。

12歳の「わたし」に、死を選ばせた絶望を思う

▼最期に巻いたマフラーは、南国出身のお母さんに贈るはずだった。

その人が発見者となる。ここ数日の寒波にはどのみち間に合わなくても、小さな胸を吹き抜けた木枯らしへの策はなかったか。

すべての教師は彼女に代わり、いじめ追放の手引書を編み上げてほしい。





テレビや新聞の報道を通じて思うことはイジメが死につながったことは明らかだが,校長は認めないのが判らない。

病的である。子供の頃に「ベンベンショ」と言う遊びをした覚えがある。「ベンベンショ」の子供が追いかけ触ると

触わられた子が「ベンベンショ」となり,さらに次の子供に触るといった遊びだった。楽しく遊んだ,だからと言い自殺者はなかった。









「男のおもちゃ」として語る時は、自動車ではなくクルマと呼びたい







平成22年10月30日の天声人語よりの引用


「男のおもちゃ」として語る時は、自動車ではなくクルマと呼びたい。

移動手段というより遊び相手とみるクルマ好きは多い。

自動車評論家の徳大寺有恒さん(70)は、愛してやまないスポーツカーの絶対条件を〈世間に不要なものであること〉と記す

▼値の張る玩具もある。

映画「007」シリーズの撮影に使われた1964年製のスポーツ車、アストンマーチンDB5に、ロンドンの競売で約3億3千万円がついた。

主人公の活躍を支えるボンドカーの代表格。

初期の「ゴールドフィンガー」などに登場した

▼3通りに化ける回転式ナンバープレート、後部にせり上がる防弾板、ウインカーから現れる機関銃(模造)など、

ファンを喜ばせたカラクリもまだ動かせる。


これぞ「不要」の極みだが、戯れと笑うなかれ

▼他方、オコゼを思わせる面構え、背中から尻にかけての渋い曲線には、質実を旨とする英国流のモノづくりが薫る。

アストンマーチンは今も、英国人が選ぶ「最も格好いいブランド」の首位という

▼エコの時代なのに高級スポーツ車が売れていると、経済面にあった。

3750万円もするトヨタのレクサスLFAは限定500台を完売した。

日産のGT―Rも改良型の予約が好調らしい。

「顧客の趣味を反映できるクルマは売れる」。

開発担当者の弁だ

▼もちろん、大枚をはたかずとも遊び心を満たす道はある。

例えば、色違いでいくつも並べる至福は「持たざる者」の特権ではないか。

てなことを考えながら、きょうは緑のフィアット500を机上で転がしている。




オモチャにしては自動車の値段は高すぎる。安い電気自動車が早く普及して欲しい。








乱調の秋に惑った10月の言葉から





平成22年10月30日の天声人語よりの引用


秋は一番からだもこころもひきしまって、勉強のできる時――と童話「風の又三郎」の先生は言った。

さわやかなその季節に、北からは寒波、南からは台風。

乱調の秋に惑った10月の言葉から

▼50代で視力をほとんど失った東京の染織家、浅野麻里さんが、盲導犬と出会って絶望を乗り越えた体験を絵本にして出版した。

「視力は失っても、色彩の世界に身を置き、想像力で心が温かくなる話を書きたい」と書き下ろした。

生きることに苦しさを感じている人に読んでほしい、と願いを語る

▼福島県の平田村立蓬田(よもぎた)中学校では、生徒が毎年「学級歌」を作る。

今年も3年生34人が100回も書き直して歌詞を仕上げた。

音楽の久野(ひさの)雅敏先生(52)は「生徒たちが言葉と格闘してできた歌は、一つとして同じものがない」。

まさにオンリーワンである


▼無垢(むく)で笑える子どもの発言を紹介する小紙の投稿欄「あのね」が10周年。

特集紙面に仙台の9歳、10月生まれの早川雄人くん。

テレビで「今年は秋はない」というのを聞いて「エ!僕のお誕生日も今年はないの!?」


▼名刺の肩書は「アマゾンの百姓」。

ブラジルの開拓移民、長坂優(まさる)さん(70)は現地で植林活動に余念がない。

「自然の恩恵を受けてきた百姓が破壊者になっていたんです」。

開拓仲間とともに20年で5万6千本を植えた

▼歌人の河野裕子(かわの・ゆうこ)さんをしのぶ会に皇后さまから歌が届いた。

「亡き人」という詞書(ことばがき)に続けて〈いち人(にん)の多き不在か俳壇に歌壇に河野裕子しのぶ歌〉。

言霊(ことだま)の幸(さきわ)う国に秀歌を残して去った人を、幾人が思う。








予防医学と先制医療





今までの予防医学は病気にならないような身体の注意に向けられ,:病気を予防するための対策が主だった。

政府によるメタボリックシンドロ-ムを見つけ成人病にならない対策が施行されているが,これも希望者だけで

本当の肥満の人たちは受診しょうとしていない。自分で肥満であることを自覚しているので,受診すれば色々と

生活指導をされるから嫌がっている。喫煙者も多くて次第に社会全体としてはタバコを値上げしたり 禁煙地域を指定しても

尚タバコ喫煙の恐ろしさを真に理解していないので禁煙しようとする動きはまだ少ない。

予防医学は病気にならないような工夫をする学問である。先制医療はさらに進んだ医学で此の人はどのような病気になるかを予測して積極的に

医学的介入し病気を発祥しない試みがなされようとしている。

人間の寿命は一番長くとも120歳までと考えられている。そこで出来るだけ健康に長生きするかの医学が芽生えてきている。

以下はインタ-ネットよりの引用 

病気の発生・経過・分布・消長とそれに影響をおよぼす原因を 研究し、疾病の予防を行うことや、

病気になりにくい心身の健康増進を図るための学問で、狭義には、「病気になってしまってからそれを治すことより、病気になりにくい心身を作る。

病気を予防し、健康を維持する」という考え方に基づいている医学といえる。

人間ドック
健康診断も予防医学の一つである

治療医学とは異なり、保険の適用にならないため、現在はあまり普及していない。

第一次予防 疾病の予防。健康への啓発、健康増進、特殊予防(教育、予防接種など)。

第二次予防 重症化の防止。疾病の早期発見と早期措置、適切な医療と合併症対策(健康診断など)

第三次予防 疾病の再発防止。リハビリテーションなど。

最近いわれだしているのは病気になる可能性を予知して遺伝子 分子レベルで医療として子供の頃に予知して

治療しようとする学問が発達してきているようだ。

先制医療(Preemptive medicine)とは、発症前に高い精度で発症予測(Predictive diagnosis)あるいは正確な発症前診断(Precise medicine)を行い、

病気の症状や重大な組織の障害が起こる前の適切な時期に治療的介入を実施して発症を防止するか遅らせるという、新しい医療のパラダイムである。

本パラダイムは、今後の医療の進むべき方向の1つであると考えられる

先制医療が従来の予防医療と異なるところは、病態・病因の発生や進行のメカニズムにあわせて、予見的に介入する点である。

先制医療の実現に向けてなすべきことは先制医療の基盤となるのは、高い精度の発症予測、あるいは正確な発症前診断である。

そのために重要なのは、各種疾患の診断に有効な(バイオ)マーカー候補(例えばゲノム、エピゲノム、タンパク、メタボロームや、

CT・MRIなどの画像)の探索および、疫学研究などによる有効性、妥当性の確認であろう。

全国民に対して先制医療のパラダイムを適用するためには、例えば尿や血液など、

安全・安価で簡便に採取可能で、予測精度の高いバイオマーカーであることが求められる。

疾患によってはバイオマーカーでハイリスク群を絞った後、コスト面を考慮した上で高感度な検査を実施し、正確な発症前診断を行う必要もあるだろう

また、先制医療の実現には発症前の治療的介入方法の確立も必須である。

廉価で副作用の少ない治療法の探索、および臨床研究での安全性、有効性の確認を実施する必要がある。

先制医療




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