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9月になって





暑い盛りの8月もようやく過ぎ 次第に涼しくはなっては来たものの,時折り9月の始め頃暑い日にも見舞われた。

夏ほど猛暑ではなかったが暑さにはこたえる。夏に激しかった蝉の鳴き声も聞こえるなくなってしまっている。

昔から,諺として「暑さ寒さは彼岸まで」とはよく言ったものである。

東日本の地震・津波・それに伴う放射能被害の様子は著しい変わりは見えてこないが,徐々に復興への歩みが始まっている。

復旧・復興には予算が伴うものだがその目途は未だ立っていない様子だ。

台風による大雨による被害が全国的に有った。紀伊半島では山の土石が雨によって川を堰止め人工湖をつくっている。

その決壊による土石流での土砂災害が言われているが,しかし少しずつ下流にながれ出している模様だ。

かなりの地域で危険地帯が発生し 東日本では河川の水があふれ出し,床上浸水した地域もあった。

10月に入ってから台風が少なくなり 次第に落ち着きを取り戻して来ている。

内政では野田内閣になってから菅内閣ほどに現在まで内閣に対する鋭い批判はなくなってきている。

内閣人事は刷新されているが次第に民主党色が薄らぎ,小沢氏の支持者も取り入れ,自民党との政策面での違いが目立たなくなってきた。

原子力の平和利用による原発は自民党政権時代に始められて来たものである。

今回の大地震と それに伴う大津波による原発事故の恐ろしさをまざまざと見せつけられた観がある。

マスコミ報道では野田政権は自民党同様,官僚達の言うままの政権運営されるようになってきている。

こうなると野党自民党にとっても批判し難い面も出てくる。

自民党とのただ大きい違いは野田内閣では靖国神社へ参拝した閣僚が一人もいなかったことである。

小泉内閣時の小泉さんはよく参拝し,中国 韓国からの批判を浴びる事が多かったが、

一面愛国心の表れだ考えられて,国民の思いとは別に,強引に参詣していた所があった。

その辺りが一番,現政権と自民党との違いなのかも知れない。

自民党にとっては菅内閣の方が違いが目立ち,むしろ野党として攻め易かったのではなかったかと思う。

世界的不況が続いている。各企業の経営が悪化し,それに伴いフランス、ベルギーの金融大手デクシアの取締役会が

同社を分割解体、ベルギーの銀行部門を一時国有化、両国政府などから900億ユーロ(約9兆4000億円)の公的支援を受ける決定が発表されている。

デクシアはギリシャ国債を多数保有していることから、ギリシャの債務不履行の懸念でもって資金繰りが悪化してきた。

ギリシャ発のユーロ危機の深刻化でもって欧州金融大手の経営破綻の第1号となっている。

欧州連合(EU)諸国は、ユーロ危機の影響による銀行の連鎖倒産を防ぐために、公的資金の注入を含む銀行の資本増強が急務のようである。

世界的不況でもって,相対的に日本の円が買われドル安 ユーロ安になり円高がかなり進んで来ている。

日本の輸出には悪い影響はあるが,一方円高でもって輸入が好調のようである。

野田政権による東日本の復旧 復興の本格的な予算作りはこれからのようだ。

どちらにしろ膨大な資金援助が被災地に必要なことは間違いない。

テレビを見ながら東北の人たちの生活が早く軌道に乗って欲しいものだと願っているが。

小沢氏の裁判が始まった。

議会やマスコミに対し小沢氏自身は自分が一番敵対視している検察に全部を話しているから,そちらから聞いて欲しいと拒否の姿勢を崩していない。

国民に対し丁寧な説明をしてもらわないと国民は全く納得はいかない。

後ろめたいことが無ければ堂々本人が誰もが理解できるまで丁寧に説明したらよいことだのと思っている。

秘書ら三名は有罪が言い渡されている。秘書に責任を全部負わせる事は,昔も今も其の辺りの事情は全く変わってはいない。

寄付金を沢山募りする政治には飽きあきしている。

支持者からの献金を浄財だと言われているが,常識的に考え,誰も見返り無くしての献金は全く考えられない事だ。

寄付金は全て法律でもって禁止すれば小沢氏のような事件や電力会社と政治家との間の黒い関係などは全くなくなることである。

外国人からの誤った献金を受け取るようなことも起こらない。それだけでもって社会全体が大きく浄化されると思う。

全てのややこしい関係の出発点は寄付金にある。

政界での寄付行為は法的に全面的に禁止すべきだ。浄財には誰の目にも思われない。

誰もがわかっていても止めることが出来ない社会になりたっているのだろうか?

賄賂が,ただ寄付に名前に変わっただけで中味の性質は全く同じことのように思う。

簡単な議員への「寄付金禁止」する事が政界ではなされようとしていない。全ての疑惑・悪事の根源である。

今回の東日本での震災によって,明るみに出てきたのは電力会社が政治家,特に自民党の政治家に対する寄付をしていたことが判ってきた。

電力会社の世論やらせ問題も悪辣な民主主義の裏面を見せつけている。

叉国民として何も知らずに支払っている電気料金が政治家・議員への寄付献金に化けていることに対し大変腹立たしく思う。

直接に携わった電力会社の上層部達が大変な収入を得ているようにマスコミでは報道されている。

なんとかしてこのような事が発生しないようにするの事が政治家達の大きな仕事の一つだと思う。

だが其の政治家自身の一部で,献金 賄賂などなどが堂々各界に影響を与えながら行なわれているのだから大変始末が悪い。

世界的に格差社会の反対を叫んで各国でデモが起きているが根深いものがあるから簡単には収まらし,解決はしないと思われる。

現在の世界では大国アメリカの影響力が大きい。

純粋なオバマ氏のような人がアメリカ大統領として続かない限り世界は良くならないだろう。

戦争は人間同士でするもので,其の人間が互いに仲良くし,戦争の為の軍隊 兵器への費用などを平和利用に使えば世界は良くなること間違いなした゛。

マイナス面の大きいことが判った核の平和利用よりも「戦争の為の軍隊 兵器類への費用」の平和的利用の方が確実に人類に対し平和と豊かさをもたらすことは確実だ。




九州のやらせ質問(動画)





報道できない震災の裏側(動画)




千の風になって「日本の敗戦」(動画)






新首相の野田さんには、好きな3人の小説家がいる







平成23年9月1日の天声人語よりの引用


新首相の野田さんには、好きな3人の小説家がいる。

司馬遼太郎、藤沢周平、そして山本周五郎。

3人の小説には、夢、矜持(きょうじ)、人情という、政治家に必須な資質が凝縮されているからだ

▼その一人、藤沢の随筆に、「駄作」に触れたくだりがある。

たとえば短編の場合、「気合に欠けたり、うっかり最初のボタンをかけ違えたりすると、最終的に読むに堪えない駄作が出来上がって来るというわけです」。

あの名手にして反省は多い

▼野田政権は名作と咲くか、駄作としぼむか。

気合は十分と見るが、問題は最初のボタンだろう。

小沢氏に近い輿石(こしいし)氏の幹事長起用は「両刃の剣」との見方がもっぱらだ。

党内融和を最優先した人選だが、かけ違えはないか


▼民主党の内紛にも増して、そもそも世間には「小沢氏的なもの」への嫌気(いやけ)がある。

幹事長は「人事とカネ」を握る。

小沢さんは機嫌を直すにせよ、そんなことで動いたり止まったりする政治への旧弊感は、やはり否めない

▼聞けば輿石さんは、野田さんに「どじょう」の詩句を教えた人だという。

泥臭さで売る「どじょう宰相」だが、ものの本には、食べやすくした「骨抜きどじょう汁」が江戸で人気を呼んだとある。

柳川鍋のルーツらしいが、そうならぬよう注意願いたい

▼やはり藤沢の随筆にきびしい一文がある。

「政治というのは、声が高いわりには非力で、人間を本当に幸福にしたことなどなかったのではないか」。

読むに堪えない駄作短編でない、名作政治を切に望むが。





野田政権にどれだけのことが出来るのか 政治は現在足の引っ張り合いだった面があるが,政党同士の良いことの競争をは

もっとして欲しいものだと思う。相手をけなすばかりでなくどんな良いことがあるものかを競い合って欲しい。

国会は泥仕合する場でなくなってほしい。ドジョウにはどじょうらしい良さがあるはずだ。










その準備のお手本を、東日本大震災で見せたのが岩手県の釜石東中学と
鵜住居(うのすまい)小学校だったろう








平成23年9月2日の天声人語よりの引用


半世紀余り前に岩手で作られた「津波対策いろはかるた」にはなかなか教えられる。

下手な思案よりまず退避、上げ潮にまさる引き潮の威力、初めて安心警戒解除――などと並べ、最後の〈ん〉は「運より準備」と締めくくられる

▼その準備のお手本を、東日本大震災で見せたのが岩手県の釜石東中学と鵜住居(うのすまい)小学校だったろう。

津波は隣り合って立つ校舎の3階まで来た。

だが校内にいた児童生徒600人近くが無事に逃げ切った

▼中学生と小学生は合流して、1キロ離れた高台へ走ったそうだ。

波が迫るのを見ると、先生の指示を待たずにさらに上へ駆けた。

その10分後に校舎は波にのまれたという。

助かったのは「幸運」ではない。

日ごろの訓練のたまものだった


▼いま教育の場では、災害から身を守るために「自ら考える力」に着目していると、昨日の記事にあった。

岩手の宮古小学校では判断力や協力心を養うために「全校遊び」を始めたそうだ。

「自分や友達の命を守る力は普段の遊びや学習の積み上げ」という校長先生の言が頼もしい

▼今年の防災週間(5日まで)は、緊張感のある訓練が増えていると聞く。

実際の役に立たないことを例えて「畳の上の水練」と言う。

とかく畳水練のように見られた形骸化が改まるのも、震災の尊い教訓ゆえだろう

▼今日あたりからは台風が案じられる。

突然襲う地震が背後からの辻斬(つじぎ)りなら、台風は前から迫る袈裟懸(けさが)けの一太刀だろうか。

地異にも天変にも「運より準備」の戒めが効く。





何故に昔から地震津波に襲われ続けていた所に住もうとされるのか,今回の大災害を教訓に優れた街づくりをして欲しいものだ。

今回の地震津波では慌てて高台に銘銘が逃げた人たちが助かっている。









海の向こうでオバマ大統領が弱音をもらしていた
米国を率いて2年半、いまや当初の熱狂はない
野田新政権がきのう船出した







平成23年9月3日の天声人語よりの引用


珍しくというか、海の向こうでオバマ大統領が弱音をもらしていた。

先月、50歳の誕生日を前に、経済の立て直しについて「険しいとは思っていたが、これほど急な坂だとは思っていなかった」。

米国を率いて2年半、いまや当初の熱狂はない

▼この間に日本では3人の首相が去った。

英誌エコノミストが先ごろ、オバマ氏らに和服を着せた表紙で目を引き、「日本みたいになるぞ」と皮肉っていた。

反面教師にされる低迷を返上できようか。

野田新政権がきのう船出した

▼たらい回しの民主党3代目ながら、批判の声は小さい。

だが、なにしろ国難である。

不慣れや不手際を大目に見る余裕はこの国にはない。

生まれたてのどじょっ子は、いきなり厳しい水にもまれよう

▼泥臭さを売る作戦は功を奏しているようだ。

世の中、長所で嫌われる人もいれば、短所で好かれる人もいる。


トップリーダーには弱点ともいえる「地味さ」を裏返して、プラスの資質に見せる才はなかなかだ

▼とはいえ、政権のありようが、どうにも自民党に似てきた感がある。

鳩山さんは腰砕けだったが普天間問題を取り上げ、菅さんは脱原発依存を唱えた。

政権運営も含めて民主党らしさはあった。

その「らしさ」が薄れているように思われる

▼エコノミスト誌がかつて、日本人の「失望する能力」の欠如について触れていた。

問題山積の自民党政権が続く不思議への皮肉だった。

その後失望力は養われて政権は交代する。

希望への行程表を早く示して欲しい。





オバマ氏の政策の良い所として「アラブ(中東)の春」がある。ソ連のゴルバチョフ氏での「東欧の春」を思い返す。

この事でソ連からロシアに変わった。

そのソ連ではプーチン氏の長期政権による強権政治が行われ,日本では一年交代の短期政権が続いている。

どちらが国民にとって喜こばしい事なのだろうか。短期に政権交代する方がまだまだ希望があるように思える。









「二百十二日」に四国に上陸した台風12号は、古人が恨む「野分き」の典型だろう







平成23年9月4日の天声人語よりの引用


立春から数えて二百十日、二百二十日は農の厄日とされる。

実りかけた稲穂を、野を分かつ暴風がまま襲うためだ。

「二百十二日」に四国に上陸した台風12号は、古人が恨む「野分き」の典型だろう。

大型のままゆっくり北上し、影響は列島の端々に及んだ


▼飛ばされたトタン屋根や、岸壁を越す波の映像に、風力でも潮力でも、憎らしいエネルギーを善用できないものかと思った。

我ながら、ひと夏で節電意識が染み付いた

▼東日本の電力使用制限令は、すでに被災地で解かれ、東京も前倒しで終わる。

今年は過去4番目の暑さながら、全国の使用電力のピークは、記録的冷夏だった1993年に次ぐ低水準にとどまった。

節電の効果である。

企業にも家庭にも、それだけ削りしろがあった

▼電力需要の最盛期、全国54の原発のうち39は止まっていた。

結果的には、原発なしで間に合った計算になる。

節電で賄えるなら物騒なものを動かさなくても、というのが人情だろう

▼電力需給を皆が真剣に考えた「気づきの夏」。

植田和弘・京都大教授(環境経済学)の総括だ。

「雑巾は絞り切ったと産業界が言うのは大間違いで、省エネの余地は大きかった。

必要に迫られれば、いくらでも手段が出てくる」と

▼12号の鈍足は、太平洋と大陸の、つまり夏と秋の高気圧に挟まれたのが一因らしい。

この野分き、季節を分ける嵐でもあろう。

もろもろが一新された折である。

節電の習いまで洗い流してはいけないが、一過の空は秋色と願いたい。




一時期に浪費の美徳が風靡したときもあったが,やはり節電に通ずる節約の精神はいつの時代にも必要であると考える。

節電 節約は美徳で核による破たんからの人間の知恵でもある。









日本を元気づけた四字のひらがなといえば、「はやぶさ」と「なでしこ」である
加えて、世論は「どじょう」にも淡い期待を寄せているとみえ
「野田どじょう内閣」の泳ぎ出しは結構な人気となった








平成23年9月5日の天声人語よりの引用


日本を元気づけた四字のひらがなといえば、「はやぶさ」と「なでしこ」である。

加えて、世論は「どじょう」にも淡い期待を寄せているとみえ、「野田どじょう内閣」の泳ぎ出しは結構な人気となった

▼内閣支持率は、本紙の調査で53%、他紙では60%台も多い。


二代続きの竜頭蛇尾に愛想が尽きたかと思いきや、まだ過半の国民が辛抱強く望みをつないでいる。

民主党は、いわば民意の残り火に報いるしかない。

仏の顔も三度である


▼発足時の支持率は鳩山内閣が71%、菅内閣が60%だから、さすがに世論は甘くないものの、民主党の支持率は大きく回復した。

「はなから金魚の輝きは求めない。

泥臭く粉骨砕身せよ」とのメッセージが読める

▼水から出てもなかなか死なないことから、どじょう料理は精がつくとされる。

ただ『日本食材百科事典』(講談社)によると旬は夏で、泥鰌(どじょう)鍋も夏の季語である。

寒くなると冬眠のため身がやせ、味が落ちるという。

ひと冬がやっとこさの政権ならば、日本の再建を託すに値しない

▼とはいえ、自民党への懐古が募る気配もない。

政権に戻りたい一心であら探しに終始するようでは、民意は離れるだけだろう。

どじょうの上を行く骨っぽさで政策を磨き、対案を説き、明日に備えることだ

▼はやぶさ、なでしこに相通じるのは、末広がりの熱狂と、それに応える劇的な成果である。

わが政治に今さら世界初や世界一は望まない。

まずは、政権交代の四字に塗った泥を総がかりで落とすべし。





人間は常に希望はもちたいものである。はやぶさ なでしこジャパンに 野田どじょう内閣?








世界遺産の山岳聖地を、台風12号による泥流が走った
熊野三社の一つ、熊野那智大社がある那智勝浦町にも、
深い爪痕が刻まれた








平成23年9月6日の天声人語よりの引用

 紀伊山地の険しい起伏を縫う熊野古道には、ぬかるみを防ぐ石畳が残る。

霊場めぐりの人波と、有数の多雨地帯を物語る遺構である。

年に3千ミリ、ざっと東京の倍が降る。

〈霧荒(あら)し山雨(さんう)太しと熊野越え〉名和佑介

▼秋雨に煙る参詣(さんけい)路や木立は、厳かな趣であろう。

むろん、そぼ降る情景である。

年間雨量の過半が数日で果てては、趣も何もない。

世界遺産の山岳聖地を、台風12号による泥流が走った

▼熊野三社の一つ、熊野那智大社がある那智勝浦町にも、深い爪痕が刻まれた。

落差133メートルの那智の滝、マグロ漁や温泉で知られる和歌山の観光地である。


那智は「難地」に由来するとも聞くが、山あいの集落は見る影もない

▼つらいのは、妻子を流された寺本真一町長(58)だ。

役場に泊まり込んだ4日未明、急を知らせる妻(51)の電話は無残に切れた。

町観光協会に勤める長女早希(さき)さん(24)は、夜が明ければ結納の運びだった。

町長はこらえて陣頭に立つ

▼全国の死者不明者はすでに約90人。

台風がのろのろと北上したため、南の湿った空気が何日も紀伊半島をなめ、記録的な雨になった。

これほどの犠牲者は2004年の23号以来となる。

その3日後には中越地震が襲った

▼2万の命を奪った大地震と津波から半年、またも地異と張り合うように天変が牙をむいた。

被害規模は違えど、ふいに明日を絶たれた人々の悲痛に変わりはない。

「想定外」に泣いた災害列島には、想像を超える雨も降る。

いま一度、防災の備えを点検したい。





那智神社が災害にあった。神さんも自然には勝てないのだろうか。







東北の子どもらに、海外の同世代から型にとらわれない激励が届いている
ユネスコが募った「KIZUNA(絆)メッセージ」








平成23年9月7日の天声人語よりの引用


「あそびましょ」という、わずか20字の詩がある。

〈なまえわすれたら/「あそびましょ」で/いいでしょ〉。

半世紀前の6歳男児の作だ。

も今も、子どものつき合いに体裁はいらない

▼東北の子どもらに、海外の同世代から型にとらわれない激励が届いている。

ユネスコが募った「KIZUNA(絆)メッセージ」。

絵あり字あり、50以上の国から計3万通を超えた。


仙台ユネスコ協会で拝見した

▼「すべてをなくしても未来は残る」(ブータン)、「太陽がまた、幸せを連れてくる」(フィジー)。

小さな国が目立つ。

「とてもしんぱいしています」とひらがなで頑張ったのは豪州の女の子、戦火のアフガニスタンからは津波の図が来た

▼3万通りの「あそびましょ」は、津波や原発事故の被災校に配られる。

翻訳を手伝う東北大4年、高橋祐樹さんは「大きくなった時、自分は一人じゃなかった、外国も支えてくれたと思い返してほしい」。

草の根交流の芽にもなろう

▼被災地の光明は幼い笑顔である。

この夏、石巻市立渡波(わたのは)小の児童による工作展が東京であった。

津波が校庭に運んだ台所用品やおもちゃなど、「町のカケラたち」が愉快な姿に生まれ変わっていた。

遊び心に救われる

▼フランス発のかわいいカードに、ただ一文「わたしはスシがすき」というのがあった。

好意に定型はない。

被災地の明日を担うあなたも、負けない無邪気と明るさで、自分流に夢をつないでもらいたい。

元気が戻れば、たっぷりの未来が待つ。





地球に住む限り災いは逃れることは出来ないが人同士助け合うことはて゛きることだ。









今季はしかし、漁場と食卓の間に新たな網が張られる。
字面も忌まわしい放射能測定
食卓を落ち着かせるのは、何より理屈の通る監視と、誠実な情報だろう






平成23年9月8日の天声人語よりの引用


近所のスーパーにきのう、北海道産のサンマが一匹98円で並んだ。

鉛青色に光る「短刀」を塩で焼き、大根おろしとスダチを添えた。

季節をほおばるとはこのことだろう。

秋が深まるにつれ、魚影は三陸、銚子沖へと南下する

▼今季はしかし、漁場と食卓の間に新たな網が張られる。

字面も忌まわしい放射能測定。

漁期を前に、水揚げ港では抜き取り検査が強化されるという。

あらぬ風評を避けるべく、事故原発から100キロ内では漁も控えるそうだ

▼受難は山の幸にも及ぶ。

福島産の野生キノコやクリ、イノシシ肉から基準を超す放射性物質が出た。

幸い、早場米は何事もなく出荷されたが、一般米の検査はこれからだ。

数年来、会津米を愛食しているので気にかかる

▼食卓を落ち着かせるのは、何より理屈の通る監視と、誠実な情報だろう。

「売っているなら安全」と思えば、消費者のストレスは和らぐ。

店頭での抜き打ち検査も合わせ、食の秋を守り抜きたい

▼〈平らげて骨美しき秋刀魚(さんま)かな〉田中節夫。

こんな年だからこそ、三陸の滋味をつつき、福島の新米をお代わりするのもいい。

舌が喜び、被災地に資する。

それもこれも、陰りなき情報開示が前提だ


▼きょうは二十四節気の白露にあたる。

残暑で草露の輝きも濁りがちだが、旬の味ぐらい穏やかに楽しめぬものか。

セシウムやら何やらには、四季の恵みを汚すなと訴えたい。

佐藤春夫の「秋刀魚の歌」を借りて、〈あはれ/秋風よ/情(こころ)あらば伝へてよ〉と念を押しておく





放射能は目に見えないから 痛くも痒くもないから性質が悪い。幸いにも放射能を測定して見つけ出すことが出来る。

そのようなことが出来ない人たちの時代があったが,人工的に放射能を発生させることもなかた。

必ずしも科学が進んでも幸福が増えるものでもないようだ。









約4万の仮設住宅に、明日を描けぬ人々が暮らす。
2万人は親類縁者に身を寄せ、1万人が旅館やホテル、数千人がなお避難所にいる







平成23年9月9日の天声人語よりの引用


約4万の仮設住宅に、明日を描けぬ人々が暮らす。

2万人は親類縁者に身を寄せ、1万人が旅館やホテル、数千人がなお避難所にいる。


震災から半年後の「住まい」は、砕かれた将来設計の象徴だ

▼被災者ならずとも、多くの人生観が揺らぎ、企業は経営の見直しを迫られた。

ところが、平成を災前と災後に分かつこの「断層」を楽々またぎ、素知らぬ顔で続くものもある。

たとえば、埼玉県朝霞市で進む国家公務員宿舎の建設計画だ

▼さいたま新都心で働く職員のため、米軍キャンプ跡地に13階建て2棟(計850戸)を造る。

総事業費は百億円強。

2年前の事業仕分けで凍結となりながら、今年度予算で「解凍」され、このほど着工した。

未曽有の災害を経ても再考せぬ感覚が解せない

▼昨年末に建設を認めた財務大臣は、どじょう首相その人である。

財政危機の下、国民に復興増税を求めておいて、公僕の、公僕による公僕のための低家賃住宅では、示しがつくまい

▼公共事業の暴走を止めるかと期待された政権交代なのに、鳴り物入りの仕分けもこれしきのものらしい。

朝霞の場合、事業費は古い宿舎の売却で埋め合わすというが、大企業が社宅を手放すご時世に、そもそも官舎なるものが必要だろうか

▼住み心地の良い家が、良い公務につながることもあろう。

ただし平時の話である。

国の正念場にも微動だにしない最強の「耐震住宅」は、増税論議をBGMに鉄骨を組み、2年後に完成する。

住み心地がよかろうはずもない。




米軍の施設が日本に多く残っているが それは必ず日本にとってひつようなものなのか。

なんとなく日本はアメリカの半植民地のように思える。

真の独立は何時なのだろうか。?現在アメリカに追従する人たちが威張っている社会のように思われる。    









明日であれから半年になる
「がんばろう日本」の連呼も、
なかなか被災者の生活再建につながらない









平成23年9月10日の天声人語よりの引用


歌手の福山雅治さんがアエラ誌上で語っている。

「曖昧(あいまい)で詩的な表現、例えば『虹を追いかけて』『あの空の向こうへ』みたいな歌詞は、

今は何か違う……より視覚的に、はっきり言葉を届けていこうというのが、2011年以降の僕なのかも」と

▼震災後に再開したツアーでは、電力を食う派手なセットをやめ、収益を被災地に贈る東日本応援シートを設けた。

長崎出身の被爆2世は「いま生きている僕らは、元気に、これまで以上に頑張る」と、ステージに立つ

▼明日であれから半年になる。

「がんばろう日本」の連呼も、なかなか被災者の生活再建につながらない。

福山さんが音楽で率先するように、必要なのは虹より傘、空ではなく大地、目に見える支えである


▼過日の紙面で、手つかずの被災地を語る写真を見た。

事故原発に近い福島県浪江町。

野生化した牛の群れが、草ぼうぼうの校庭を疾走している。

警戒区域は放射能に汚れたままだ。


宮城、岩手県でも、政府の対応の遅れから復興計画が固まらぬ自治体が多く、被災者は将来図を描けない

▼そんな折、福島の産品を応援する福岡市での企画が、「放射能をばらまくな」といった抗議で中止された。

一部の声としても、東北との悲しい隔たりを突きつけられた思いだ

▼遠方の惨事を見聞きするたび、他人事と高をくくるのが人の常だが、一国を揺るがすほどの災害に部外者はありえない。

ならば真剣にかかわりたい。

節目を前に、震災を巡る光と闇に触れての思いである。






原発による放射能障害は深刻である。原発が稼動しない以前の日本の電力事情はどうであったのか。

大きなダムが使われ無駄が指摘されている。風力発電  ソーラー発電はこれからのようだ。

温泉の多い日本ではもっと地熱発電が盛えても良くて核の平和利用だけは避けたい。








14歳ながら病弱な父親に代わって働き、幼いきょうだいを養っていた。
荷車でガソリンを配達中、米軍車両を狙った爆発に巻き込まれた
超大国を狙った9・11テロからきょうで10年になる








平成23年9月11日の天声人語よりの引用


その少年の死は今も忘れがたい。

イラク戦争の始まった2003年、取材に入ったバグダッドでのことだ。

14歳ながら病弱な父親に代わって働き、幼いきょうだいを養っていた。

荷車でガソリンを配達中、米軍車両を狙った爆発に巻き込まれた

▼ガソリンは火の玉となって少年を包んだという。

「アメリカに殺されたようなものだ」。

葬儀の日に訪ねると、身内は口々に米国への恨みを言った。

痛ましさとともに、憎悪の種がまた一粒まかれたとの思いに心は沈んだ

▼超大国を狙った9・11テロからきょうで10年になる。

あのとき世界を戦慄(せんりつ)させたのは、一体どれほどの憎悪が、かくも激しい破壊を引き起こしたのか、という恐怖だったろう。

脅威は今、広まりこそすれ解けてはいない

▼テロの直後、ニューヨーク大の教授が「社会が自由や寛容を失ったら、それこそテロリストを勝利させることになる」と警鐘を鳴らしていた。

だが愛国心はあおられ、不寛容は加速し、イスラムへの敵意は尖(とが)っていった

▼ブッシュ政権は「対テロ戦争」の正義を唱えた。

しかし正義の対岸には悪ではなく、別の正義があるばかりだった。

そして憎悪は増殖し、より多様化したテロの脅威に世界はいらだち、内向きに閉じて身構える

▼きょう世界で湧く追悼の念は、テロ犠牲者だけでなく、戦場の国々の、おびただしい無辜(むこ)の死者にも捧げられるべきだろう。

テロ許すまじ。私たちの決意は、いかなる理不尽な死も許さない思いと一心同体のはずである。





ブッシュの正義の戦いの裏には石油利権が見え隠れしていた。イラクにとっても世界にとっても不幸な戦争であった。

今でもイラクは治安が回復されていない。憎悪の目は9.11でのアメリカへのテロ行為である。

テロはその後も止んではいない。









震災半年の節目に輝いたのは、女子サッカーも同じだ







平成23年9月13日の天声人語よりの引用



四季の移ろいに、愛した人の不在を思い起こすことがある。

〈季節(とき)はめぐりまた夏が来て/あの日と同じ流れの岸/瀬音ゆかしき杜(もり)の都/あの人はもういない〉。

仙台はいい歌に恵まれた

▼ステージは、鎮魂の響きをたたえた「青葉城恋唄」で始まった。

食道がんを克服した桑田佳祐さん(55)が、完全復活の舞台に選んだのは宮城県利府町の総合体育館。

6月まで遺体安置所だったそのアリーナから、この人ならではのパワーで、からりとエールを送った

▼「去年、命を一つもらいました。

ライブが近づくにつれ、復興支援とか慰問とか、おこがましいんじゃないか、俺にできるのかとクヨクヨしました。

きょうは、私と一緒に元気になろうぜの会にしましょう」。

ここでの歓声が一番熱かった

▼震災半年の節目に輝いたのは、女子サッカーも同じだ。

無敗、アジア首位の成績でロンドン五輪出場に花を添えた。

歌える人は歌い、走るべき者は走る。


こうして、今の日本はどうにか持っている

▼つい比べ、泣きたくなるのが政治の惨状である。

すぐ辞めた経産相は憎むべき放射能でふざけ、防衛相は「私は素人」と言い放つ。


民主党の国対委員長は、臨時国会を早じまいする理由を「内閣の態勢が不十分」と語ったらしい

▼国の将来を論ずべき政治家が論じていない現実を、野田首相はどう見ていよう。

だんまりこそが安全運転と勘違いし、雄弁を封じれば、ここ何代かと同じ轍(てつ)を踏みかねない。

たちまち〈あの人はもういない〉である。





東日本震災でうちひしがれた中での女子サッカ−の活躍は一縷の明るいニュ−スだった。

敗戦後日本の中での古橋 橋爪の活躍が勇気つけたような感じでもって迎えられている。








ここ数代は変わる間もなく消えたが、野田首相はどうだろう







平成23年9月14日の天声人語よりの引用


首相になって人が変わった政治家に、池田勇人がいる。

官僚的で尊大との世評を気にかけ、低姿勢に徹した。

めがねは銀縁に、背広はダブルからシングルにし、芸者遊びとゴルフを断ったと、『戦後日本の宰相たち』(中央公論社)にある

▼ここ数代は変わる間もなく消えたが、野田首相はどうだろう。

初陣の所信表明は二つの点で注目された。

新リーダーの気構えと、語り部の芸である。

ひそかに期待もしたが、新味に欠ける30分だった


▼震災が生んだ献身、忍耐の美談から、「日本人の気高き精神」や「日本人として生きていく誇り、明日への希望」を見いだせるという。

野田色はここぐらい。

先の「どじょう演説」を超える工夫はなく、弁士としての華も感じなかった

▼辻説法が政治活動の原点という弁舌の人なのに、ここまで記者会見は就任時だけ、囲み取材は受けず、

メディアの声かけにも無言の日が多いそうだ。

内気な青年に戻ったかのような変わり身はおかしい

▼その代わり、「官邸かわら版」なるブログが登場した。

夏休みの絵日記に例えては小学生に悪いが、初回は「きょうぼくは……」の水準だ。

一方的な発信ではなく、火花が飛ぶ国会論戦、記者団との丁々発止に時間を割いてほしい。

駅前で鍛えた声が泣く

▼他方、首相へのヤジも小学校の放課後を思わせた。

罵声奇声の主は、下野(げや)の間に変わるべき面々である。

政権交代から早3代目というのに、昔ながらの議場風景にわが目を疑う。

めがねでも変えてみるか。





野田首相は地味ながらこつこつと仕事してゆくタイプのようだ。

今までの首相の中で一番私財が少なくて政界や財界のお坊ちゃまでもなさそうだが

海千山千の世界を泳ぎきることが出来るかである。









東京電力が、来年度から3年間をめどに、
約15%の料金値上げを欲しているという。
社員の給与カットは5%だからお手盛りくさい







平成23年9月15日の天声人語よりの引用


バイキング料理の軽いストレスは、自分の浅ましさを思い知る点にある。

元を取るぞという貧乏性が食欲にかぶさり、せっかくの美味は混然たる「ごちそうの山」と化す。

この手で好きなだけ盛れる怖さ、お手盛りの語源である

▼東京電力が、来年度から3年間をめどに、約15%の料金値上げを欲しているという。

社員の給与カットは5%だからお手盛りくさい。

半減とはいえボーナスがあるのも驚くが、値上げ期間が終わったら元に戻したいらしい


▼安定供給の名の下、会社が赤字にならぬよう、電気料金は事前に見積もった費用に利潤を乗せて決まる。

勢い、見積もりが多めになるのは「ごちそうの山」の常である。

地域独占なので、コスト減らしの競争意識は乏しい

▼倒産しかねない大公害なのに、国策ゆえ、想定外だからと救われる公益事業。

被災した町工場や商店は納得いくまい。

今の東電には、食べ放題ではなく質素な昼定食が似合う。

身を削る努力を求めたい

▼なお、月50万円減らした国会議員の歳費が、10月から元の129万円に戻りそうだ。

こちらのお手盛りは血税の米びつからとなる。

臨時国会を4日で閉じての満額復帰、これで東電に大なたを振るえようか

▼「原発ゼロ」に言及した前経産相が辞め、業界がほっとしたのもつかの間、後任の枝野幸男氏は電気料金の仕組みに切り込む考えと聞く。

利用者の怒りの声に、どうか大きな耳を傾けてほしい。

放射能、停電、節電ときて大幅値上げでは、公益の名が廃る






東電力会社 議員の歳暮は戻ったがこれんから我々国民の税金が値上げされて

被災の復旧復興に当てられそうである。

皺寄せは常に国民の方に廻ってきそうである。







ハンガリーで今月、ポテチ税なる奇策が導入された。
肥満大国といえば、ポテチを生んだ米国だろう







平成23年9月16日の天声人語よりの引用


最初にハマったスナック菓子がポテトチップスだった。

大手が量産する前で、透明な袋に浮かぶ地場メーカーの名を覚えている。

ポテチはやがて受験期を支え、ビールの友に転じたが、目方が気になりだして疎遠になった。

揚げ物の快楽には、もれなく贅肉(ぜいにく)がついてくる

▼ハンガリーで今月、ポテチ税なる奇策が導入された。

塩分や糖分、カロリーが高い食品に課し、国民と財政、ともに健やかにする試みらしい。

スナック菓子や清涼飲料水は大幅な値上げとなった

▼肥満大国といえば、ポテチを生んだ米国だろう。

安いが栄養バランスを欠いた食品が元凶で、貧困層の3割超が肥満ともいわれる。

予防を掲げて、清涼飲料水への課税を模索する州もある

▼『ポテチを異常に食べる人たち』(幕内〈まくうち〉秀夫著、WAVE出版)に、「中毒」になった女性が出てくる。

おいしさよりも快感を求めて、「飲むように食べたくなる」そうだ。

そして罪悪感が残る

▼スナック菓子からコンビニのおにぎりまで、濃厚な味つけでクセにさせる売り方を、著者は味覚破壊と批判する。

メーカーは「悪いのは食べ過ぎ」との立場だが、幕内さんに言わせれば「もともと食べ過ぎるように作ってある」

▼私たちの本能は、塩分や糖分、油脂を欲し、うまいと感じる。

これらを重装備した「うますぎる」食品の摂(と)りすぎが、子どもを肥満や糖尿病に追いやるとされる。

一枚ずつ健康体で味わってこそのポテチ。

妙な新税を招かぬよう、親も子も程々を心がけたい。



-以下インタ-ネットよりの引用-

ハンガリーで1日、塩分や糖分の高い食品に課税する、通称「ポテトチップス税」が施行された。

 中道右派のオルバン・ビクトル(Viktor Orban)政権によると、課税対象は袋入りスナック菓子、クッキー、炭酸飲料、栄養ドリンクなどで

、国内メーカーと輸入業者が納税義務を負う。国民の食習慣の改善と肥満対策が目的だが、

厳しい経済情勢の中で歳出削減に取り組む同国政府としては、年7400万ユーロ(約81億2300万円)相当の税収アップへの期待も伺える。

 新税導入を推進した議員はAFPの取材に対し、「不健康で高価な食品は食べないように、という消費者に向けたメッセージだ。

同時に、メーカーに食塩・砂糖の使用量を削減するよう促す意図もある」と説明した。


 一方、当初の法案策定段階で課税対象とされていたハンガリーの伝統食品であるソーセージやサラミ、ラード(豚脂)製品などは、最終的に課税対象から外れた。

 ハンガリー食品生産者協会は、「業界への相談もなく早急に導入された法律で、中小生産者を苦しめるだけだ。

外国企業を撤退に追い込み、闇市場をはびこらせることになる」と憤りを見せている。

地元紙によると既に、ポップコーン工場の建設を計画していた独メーカーが「ポテトチップス税」の導入を受けてハンガリー進出を断念している。



こんなことならば日本のタバコ税は一箱1000円でも当然のことである。










文化庁の「国語に関する世論調査」によると、
「(朝5時に)来れますか」を使う人は、
5年前の35%から43%に増え、
本来の「来られますか」との両刀遣いを足すと過半の51%になる








平成23年9月17日の天声人語よりの引用


安く食べれる天丼などと書けば、読者に叱られる前に校正ソフトが「ら抜き」を警告する。

そんなパソコンにしばられる身には、話し言葉の「進化」がまぶしい。

ら抜きの是非、どうやら勝負が見えてきた


▼文化庁の「国語に関する世論調査」によると、「(朝5時に)来れますか」を使う人は、

5年前の35%から43%に増え、本来の「来られますか」との両刀遣いを足すと過半の51%になる。


10代では「来れますか」が74%と圧倒的だ。

彼らが親になる頃には誤用とは言われまい

▼ら抜きは日本語の乱れの象徴とされるが、昔からあった。

戦争を挟んで書かれた川端康成の「雪国」でも、芸者駒子が「来れないわ」「来れやしない」と多用している

▼13年前の岩波新書『日本語ウォッチング』(井上史雄著)は、ら抜きを「千年に及ぶ日本語動詞の簡略化の一部」と説いた。

受け身や尊敬の「られる」と区別する利点もあってか、着実に浸透している

▼国語調査では、「すごい」を「すごっ」と言う人が36%、「使わぬが気にならない」が43%いた。

形容詞の語幹で感嘆を示すのも昔からで、寒(さむ)、怖(こわ)あたりは広辞苑にある。


昨今は「早っ」「でかっ」と、何でも語幹で驚くらしい

▼古くはソ連、デモからメタボ、就活まで、略語が定着した例は多い。

短い口語も、携帯メールを通じて書き言葉に浸透しよう。

簡便に流れるのが「生きた言語」ならば、主役は話し言葉で、書く方はそっと後を追う。

この現実、まともに見れないほど怖っ。




弁舌家には往々にして嘘をついても平気の人たちが多いようだ。









そんな秋の長雨の時期に、列島は入りつつあるようだ
北に前線、南には台風が二つ、予報には傘マークが並ぶ








平成23年9月18日の天声人語よりの引用


万物をやわらかく潤すのが春雨なら、今ごろの秋雨は夏のほてりを冷ますしめやかなイメージか。

言葉としては「春雨」の方が古くからあったという。

国語学者の故金田一春彦さんによれば、秋雨は春雨に対する言葉として江戸の中頃に生まれたそうだ

▼だが、時の文人たちはこの新語をだいぶ苦々しく感じたらしい。

当時の書物には「春雨に対して秋さめと心得給(たま)ふは大(おおい)に非也(ひなり)」などと「日本語の乱れ」を嘆くくだりもあるという。

金田一さんの著作からの受け売りである

▼そんな秋の長雨の時期に、列島は入りつつあるようだ。

北に前線、南には台風が二つ、予報には傘マークが並ぶ。

しめやかな雨から程遠い、大雨への警戒が各地で続いている

▼先々週の台風は、爪痕の深い紀伊半島に土砂ダムを残していった。

追い打ちの雨による決壊も心配される。


今回、鈍足迷走の15号に南から湿った空気が流れ込む形は、先の気象図に似ているという。

事なきをただ願うばかりである

▼大きい川は台風が過ぎて青空になっても水位が上がり続けるそうだ。

防災に携わる人は百も承知だろうが、人知を超えて来るのが災害というもの。

昨日までの無事が今日の安全を保証してくれないことを、尊い犠牲とともに私たちは刻んだ

▼地震に比べ、死者が数千、数百人という台風被害は近年にはない。

これを、大きな作戦では勝利しながら局地戦で手痛い負けを喫していると評した人もいる。

もう、これ以上の犠牲者を出さずに、台風を去らせたい。



台風が大雨をもたらし各地に土砂災害や 床上浸水などの被害をもたらしている。





きのうは秋雨の話を書いたが、関東などは厳しい残暑が居座った







平成23年9月19日の天声人語よりの引用


「暑さ寒さも彼岸まで」の彼岸が今年も待ち遠しい。

きのうは秋雨の話を書いたが、関東などは厳しい残暑が居座った。

私感だが、残暑は真昼よりも西日がこたえる。


斜光を浴びる人々も風景も、夏の疲れを引きずって見える

▼それでも日が落ちると、草むらで秋の虫たちが弦を弾く。

リーリーと奏でるのはコオロギだろう。

ゆっくりだが、「もののあはれ」の季節へと自然の舞台は巡っている

▼鳴く虫たちは古来、人に親しい存在だったらしい。

〈七月 野に在(あ)り/八月 宇(のき)に在り/九月 戸(と)に在り/十月 蟋蟀(しっしゅつ) 

我が牀下(しょうか)に入る〉と中国最古の詩集「詩経」にある。

秋が深まるにつれて野から軒下へ、戸口へ、そして寝床にもぐり込んでくる、と

▼日本では、コオロギの鳴き声は「針刺せ、糸刺せ、つづれ刺せ」と聞きなされてきた。

現代人にはとてもそうは聞こえないが、冬着の繕いを促し、寒い季節に備えよと知らせたかと思えば、秋の夜の「あはれ」はいっそう深い

▼虫たちを写真で網羅した近刊『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』には、各種のバッタ、コオロギの顔がずらりと並ぶ。

〈こほろぎのこの一徹の貌(かお)を見よ〉山口青邨。黒光りする顔々は、人間よりはるかに知恵者に見えて恐れ多い

▼撮影者の一人伊藤ふくおさん(64)によれば、これまでは当たり前にいたのに、近年は見つけづらくなった種類もあるそうだ。

蝉(せみ)の合唱から、虫たちの弦楽へ。

普通のことが普通にある尊さにひとしお感じ入る、今年の秋だ。





天候が昔の子供の頃と違った傾向を呈するようになってきた。全体に季節の風情を感じなくなって来ている。








昨日、東京での「さようなら原発」の集会と行進には、
大江健三郎さんらの呼びかけで大勢が参加した







平成23年9月20日の天声人語よりの引用


41年前のイタリア映画「ひまわり」が再上映されると聞いて試写を見た。

ご存じ、戦争から還(かえ)らぬ夫を捜し、若妻が旧ソ連を訪ねる悲話である。

切ない調べが流れるタイトルバック。

風にそよぐヒマワリ畑を、カメラはゆっくり左に動いていく

▼地平線に至る黄色の海は、ウクライナで撮影されたという。

花は500年前、北米から欧州に渡り、油の原料として広まった。

最大の産地が旧ソ連で、映画には異郷を語る景色として登場する

▼チェルノブイリ原発事故の汚染域にも、菜種と共に植えられた。

土壌の放射能が油に移りにくいためだ。

ただ除染の力は定かでなく、福島で実験した農水省の判定は「ほぼ効果なし」。


根を深く張るので、地表近くの放射性物質は吸収しづらいらしい

▼除染の早道は表土の除去だ。

4センチまで削ると、セシウムの75%が除かれたという。


森口祐一東大教授の試算では、除染対象の面積は最大で福島県の7分の1にもなる。

気が遠くなる労力と費用に、改めて原発事故の罪深さを思う

▼昨日、東京での「さようなら原発」の集会と行進には、大江健三郎さんらの呼びかけで大勢が参加した。

壇上から作家の落合恵子さんが訴えたように、平仮名しか読めぬ子が「ほうしゃのうこないで」とおびえる現実、捨て置けない

▼孫の将来を案じてか、敬老の日を脱原発にあてたお年寄りも多かった。

大切な誰かを本気で守ろうと思えば、人は街に繰り出す。

黄色を身につけた群衆が、波打つヒマワリ畑に重なった。




全国民投票すれば原発に反対する人たちは圧倒的に多数だとおもう。徐々に原発は無くす方向に進んでほしいものである。

時代の先頭に立つべき学生達の動きが少なくなっている。








愛知県日進(にっしん)市の花火大会で福島製の花火だけが外されたという
「放射能をまき散らす」などの苦情が、復興を後押しする催しに水を差した







平成23年9月21日の天声人語よりの引用


花火は遠いのに限ると書いたのは、独文学者の高橋義孝さんだ。

両国の川開きの夕、師と仰ぐ内田百けん(けんは門がまえの中に月)宅に招かれた折のこと、なぜか障子がぴたりと閉めてある。

酒の合間の短い沈黙を狙ったように、トントントトーンときた

▼その趣に打たれた高橋さんは、見えるが音なしの遠花火にも触れる。

「郊外の畑の向(むこ)うの、はるかかなたの夜空に、ぱっと拡(ひろ)がる花火も味のあるものだ」と。

欠けた情報を心で補う時、想像の大輪はしばしば現実を超える

▼さて、想像力が過ぎるのも考えもので、愛知県日進(にっしん)市の花火大会で福島製の花火だけが外されたという。

「放射能をまき散らす」などの苦情が、復興を後押しする催しに水を差した

▼花火工場の放射線は十分に弱く、品は屋内に置かれていた。


漠たる不安への感度はそれぞれだろうが、これはもう風評被害というほかない。

一部の異論に折れた主催者に、情けない思いを抱いた市民も多かろう

▼とはいえ、やれば叱られ、やらねば叩(たた)かれ、どちらにしても角が立つ。

これでは自治体も、福島を応援する企画に二の足を踏むことになる。

被災地を支える決意と、心配を丁寧に取り除く気配りが、これまで以上に求められる

▼朝日歌壇に、京都から鮮烈な一首が届いた。

〈桃買うを迷いてポップ確認す「福島」とあり迷わずに買う〉中野由美子。

手書き広告の産地名に店の心意気を感じ、思わず手に取る人がいる。

被災地の産品を気負いなく買える日まで、絆を欲する遠花火に耳を澄ましたい。






触らぬ神に祟りなしでできるだけ少しでもある危険には近ずかない気持ちはよくわかる。

殆んど放射能の被っていないものをさけるのは風評被害にほかならない。

丹精込めて作られた人たちには気の毒なことであり,美しい花火を見ようと思っていた市民も残念なことである。








15号は、我に返ったように勢いを増し、秋台風らしい速さで列島を縦断した
帰宅ラッシュに重なった首都圏では交通網が乱れ
家路を断たれた群衆が駅に道路にあふれた







平成23年9月22日の天声人語よりの引用


東京・銀座の真ん中で、街路樹のケヤキが歩道をふさいでいた。

長さ10メートルほど、端の太さは40センチ。

二股の幹の片方が折れたらしい。

処理作業の電動ノコがうなる。

猛(たけ)る風雨に、すました街も一変した

▼不意に揺れる大地も怖いが、にじり寄る台風も恐ろしい。

沖縄の手前でゆるりと輪を描いていた15号は、我に返ったように勢いを増し、秋台風らしい速さで列島を縦断した

▼帰宅ラッシュに重なった首都圏では交通網が乱れ、家路を断たれた群衆が駅に道路にあふれた。

先の12号が残した紀伊半島の土砂ダムには一部決壊の情報がある。

「先輩」が仕込んだ爆薬に15号が点火した形だ。


震災の被災地にも、暴風雨は容赦なかった

きのうは、1959(昭和34)年の15号、すなわち伊勢湾台風が発生した日でもある。

東海地方で育ったせいか、小学校の授業でそう教わった。

わが誕生日と同じかと落ち込みながら、大きな台風は9月半ばから実りの秋を襲う、と銘じたものだ。

まだ気は抜けない

▼海から空からと、水難の年である。

各地の古老に「生まれて初めて」と言われては寄る辺ない。

なるほど、文明のはるか前から独自の営みを重ねる自然は侮れない。

だが人間には、悔し涙で綴(つづ)った教訓の束がある

▼悪条件が重なると大災害になるが、一つでも除けば災害の規模は一けた小さくできる。

お天気博士、倉嶋厚さんの教えである。

猛威をかわすため、津々浦々に刻まれた爪痕をくまなく探り、次に消し去るべき条件を拾い集めよう。





今年の台風は気まぐれで同じ所に滞ったり,進路を急に変えたりするのは変である。

大雨を降らせたりして 異常な台風が多い。

今年は地震津波に台風とそれに最大の災難は原発の放射線被害である。災難の当たり年か。








きょうにも落ちてくるという米国の人工衛星だ
破片が人間に当たる確率は3200分の1だとか






平成23年9月23日の天声人語よりの引用


プロゴルファーの有村智恵さん(23)が7月、アルバトロスとホールインワンを1日でやってのけた。

前者は1ホールを規定より3打少なく終える夢のスコア、後者は1打で入れる離れ業だ。

過去10年、女子ツアーでの達成はそれぞれ5回、150回だった

▼単純計算すると、同じラウンド(18ホール)で両方やる確率は、プロでさえ約1千万ラウンドに1回という。

それでも、起きる時には起きる。

ご本人は「怖いくらい」と話していた

▼この偉業を思い出させたのは、きょうにも落ちてくるという米国の人工衛星だ。

破片が人間に当たる確率は3200分の1だとか。

グリーン上の奇跡に比べ、それこそ「怖いくらい」の高確率である

▼落下するのは20年前に打ち上げられた大気観測衛星。

大気圏への突入時にほぼ燃え尽きるが、米航空宇宙局(NASA)によると、26個の金属片、計532キロ分が800キロ四方の範囲に降るらしい

▼ニュースの主になりうるのは北緯57度〜南緯57度にいる人で、大抵の国が含まれる。

ただ、場所の絞り込みは直前でも難しいそうだ。

数十億人の中の不運な誰かが、私(あなた)である確率は21兆分の1というから、むやみに頭上を気にしても仕方がない

▼かの衛星には功績もある。

オゾン層破壊の元凶が人の手で作るフロンガスだと、はるか天空で確認してくれた。

南極上空などに開いたオゾンホールからは、皮膚がんを誘発する紫外線が降り注ぐ。

秋分の空を仰いで気をもむべきは、こちらだろう。





人工衛星の破片に当たるのは宝くじに当たるより至難のことらしい。結局無人の太平洋に落下して幸いだった。








激しい雨風は列島に秋を置いていった。






平成23年9月24日の天声人語よりの引用


近所の桜並木できのう、恒例の「健康診断」があった。

先の台風が葉をさらったが、倒木や大きな枝落ちはない。

老木たち「かかりつけ」の樹木医氏によると、街路樹を風から守るにはまず根を保護すること、危なければ風を通す枝切りが要るそうだ

▼激しい雨風は列島に秋を置いていった。

しつこい残暑が去り、いわし雲の空は水彩の妙。

〈夕焼けてサーファー赤き波に乗る〉田島もり。

そんな夏の残像は、朝夕の涼にあせてゆく

▼けれど今年は、夏ばてが尾を引く「秋ばて」に要注意らしい。

思えば、節電でわが身に無理をさせた。

冷たい物を引き受けた胃腸は弱っている。

大地震がまた来るというストレスも、通奏低音のごとく心身に響くという

▼ならば火照る体を冷まし、乾いた心を潤そう。

暑くも、寒くもない。

春のような慌ただしさや、期待と落胆の山谷も少ない。

私見だが、胸中の寒暖計が最も安定する数十日である

▼〈たそがれは風を止めて/ちぎれた雲はまた/ひとつになる〉。

オフコースの佳曲「秋の気配」で、小田和正さんは男女の別離を生地横浜の風景に重ねた。

淡い喪失感は、秋が持つ別の味だ。

〈大いなる河のように/時は流れ/戻るすべもない〉

▼この彼岸、東北ではどれほどの人が真新しい遺影に手を合わせただろう。

乱れたままのお墓も多い。


流れる月日に抗し、亡き人の面影は濃くなるばかりかとお察しする。

あれから三つ目の季節である。

すっきりと晴れ渡る千金の、一日一日を大切に送りたい。





彼岸の日に墓参りに行った。若い者より草引きは年配のものの方が熱心だ。

墓参りとはこのようなものだと理解して子供の頃からの習慣である。

最近の若者は親をも粗末にするようで,ご先祖の有り難さ等はなお更忘れてしまった感じを受ける









そんな歴史も思い起こすパレスチナの国連加盟申請である。
自治政府のアッバス議長は総会で「パレスチナの春を」と訴えた。






平成23年9月25日の天声人語よりの引用

 あまり言われることもないようだが、佐藤栄作氏は20世紀生まれ初の総理大臣だった。

「戦後生まれ初」は安倍晋三さんである。

そこで野田さんだが、日本の国連加盟後に生まれた初の首相、と相成る

▼日本は1956(昭和31)年、悲願の国連加盟を果たして国際舞台に復帰した。

手間取ったのは、ソ連の度重なる拒否権行使で申請が葬られたからだ。

ようやく加盟がかない、重光葵(まもる)外相の総会演説が大きな拍手に包まれたのは、今も語りぐさだ

▼時は流れて、そんな歴史も思い起こすパレスチナの国連加盟申請である。

自治政府のアッバス議長は総会で「パレスチナの春を」と訴えた。

拍手喝采は、応酬するイスラエル首相の演説の影を薄くした。

困ったのは米国である


▼申請はまず安保理に付託されるが、イスラエル寄りの米国は拒否権の行使を明言している。

これをサルコジ仏大統領は「中東で暴力の連鎖を生む恐れがある」と批判する。

同じ懸念を抱く指導者は少なくはあるまい

▼米国はこれまで、イスラエルに不利な採決に拒否権を連発してきた。

安保理の常任理事国5カ国だけが持つ伝家の宝刀だが、今回は問題が大きい。

抜けば副作用もあろう。

安保理は当面、緊張のうちに駆け引きが続く

▼そうして波立つ国連から野田首相は戻ったが、国際社会に存在感を示せただろうか。

あれこれ苛立(いらだ)つ米国に普天間問題の「結果」を催促された印象ばかりが残る。

回転扉と揶揄(やゆ)される1年交代のツケはやはり、つくづくと大きい。





パレスチナが国連に加盟しないとは不思議である。アメリカの後ろにイスラエル 即ちユダヤ人がいるとなれば

益々に世界からの嫌われ者になるのも当然である。

やはりアメリカが大きな度量を示し世界が仲良くするように率先し世界の先頭に立つべきだ。








この秋はやはり「放射能」の一語が頭をかすめていく
東日本の稲作農家の気のもみようは、いかばかりかと思う






平成23年9月26日の天声人語よりの引用


難読言葉の一つで就職試験にもよく出る「案山子」を「あなご」と迷答した大学生がいたそうだ。

正しくは「かかし」。

秋の田の守り神である。

その立ち姿を眺めながら、首都圏近くで借りている棚田の稲を刈った

▼遠く近くに案山子の見える風景は、田舎育ちの郷愁を誘う。

直立あり、やや斜めの御仁あり。

「へのへのもへ」の顔つきも懐かしい。

〈某(それがし)は案山子にて候雀(すずめ)どの〉。

漱石の句など思い出し、とぼけた味わいに頬がゆるむ

▼稲は黄金に色づいて、ざくざく鎌を動かせばバッタが逃げていく。

いつもの年と変わらない。

だが、この秋はやはり「放射能」の一語が頭をかすめていく。

東日本の稲作農家の気のもみようは、いかばかりかと思う

▼これまで検査を終えた9割以上で放射性物質は検出されず、数値が出ても国の基準値以下だと報じられていた。

ところが先日、福島県の1カ所で収穫前の予備検査の基準値を超えた。

にわかに緊張が走り、風評の被害を農家は案じる


▼今年は原発禍で作付けの出来なかった田も多い。

ある農家は飛来したツバメのために水だけ張ったそうだ。

「田んぼに泥がなきゃ、巣を作んの難しいんでねえか」と。

「田に水入れっと、いろんな生き物が来た。

生態系だな」。優しさゆえに切なさが募る

▼山田の案山子に戻れば、そのルーツらしきは「古事記」にも登場するそうだ。

「足は行かねど、天の下の事を知れる神」だという。

太古のまなざしで、人智(じんち)の招いた禍(わざわい)を何と見ていることだろうか。





放射能のホットスポットといわれている所が気にかかることだ。原発のある場所より遙か離れた所に

あるようだが,痛くも痒くも自覚症状がない。放射能測定しないとわからないならば大変恐ろしい事に思う。










石川議員ら元秘書3人の裁判は、小沢氏にとって、
オール検察との政治闘争の一部といえる。








平成23年9月27日の天声人語よりの引用


ごつい鉄扉の前で、石川知裕衆院議員は一つ深呼吸をしたそうだ。

昨秋、逮捕から9カ月ぶりに小沢一郎氏と再会した時の様子が自著にある。

小沢邸の茶の間、ちゃんちゃんこ姿の主は右手を上げて「おー」と言っただけだった

▼鉄板を貼られたような「懐かしい緊張」の中、「無罪を勝ち取ります」と意気込んでも小沢氏は表情を崩さない。

そして帰り際に、「お互い、裁判がんばるしかないな」と声をかけられたという。

氏の関心はすでに、自身の強制起訴にあったらしい

▼石川議員ら元秘書3人の裁判は、小沢氏にとって、オール検察との政治闘争の一部といえる。

全員が有罪の東京地裁判決は、一審とはいえ眉間(みけん)への三太刀に値しよう。


「おー」と突き放してはいられない

▼大勢の秘書を雇い、周囲に高い石垣、深い堀を巡らす小沢氏である。

億単位で動く政治資金は、石川議員が法廷で口ごもった通り、透明度を欠く。

小沢事務所の「天の声」をおそれ、裏金を貢ぐ建設会社。

判決は癒着ぶりを処断した

▼来週には、城主自らの初公判が控える。

どう「がんばる」にせよ、国会で説明を避けたあまたの疑問に答えてほしい。

無口や無表情が政治家のすごみになる時代ではないし、国民も納得しまい

▼その人は与党内で、時の首相とは別の権力を振るう。

焦点が二つある「楕円(だえん)の政権」が、この難局にうまく転がるはずもない。

小沢氏はひとまず一線を退くべきだ。

氏を説き伏せ、「おー」と言わせる側近はいそうにないけれど。




敵対しているような検察に全て話しているからでは疑惑は益々に深まるばかりのように思える。








ニュートリノなる素粒子が光より速いと報告された







平成23年9月28日の天声人語よりの引用


「とにかく時間の中は動けやしないさ。

現在の瞬間からは逃れられないよ」「そこが君の間違っている点だ」。

SFの巨人ウェルズの短編「タイム・マシン」(橋本槙矩〈まきのり〉訳、岩波文庫)から引いた。

発表は1895年。

時間旅行を、神秘ではなく科学で料理した快作とされる

▼10年後、本物の科学が、光速を超す物質はない、時間はさかのぼれないと示すことになる。

若きアインシュタインの相対性理論だ。

かくて夢の機械は空想の世界に封じられた


▼ところが、である。

ニュートリノなる素粒子が光より速いと報告された。

スイスの加速器から飛ばして、イタリアの検出器に届く時間を繰り返し測ったところ、どうやっても1億分の6秒早かったという。

速度では光を0.0025%上回る


▼本当なら、あらゆる分野で検証されてきたアインシュタインの偉業、現代物理学の土台が揺らぐ大事である。

だから計測誤差とみる向きも多い。

研究チームも担当者を変えて確かめるらしい

▼「行けるなら未来か過去か」「やり直すとしたら×歳から」「10年前の自分に伝言を」。

罪がない設問で遊べるのは、時間旅行が現実離れしているからこそだ。

このまま夢にとどまってほしいやら、光に先回りして未来からわが間抜け面を眺めてみたいやら、心は乱れる

▼宇宙の始まりや果てを思い詰め、自らの存在を問うた夜もあった。

戻るならあの年頃がいい。

今年のいつかということであれば、迷わず3月11日の朝に飛ぶ。ハンドマイクを携えて。



ニュ−トリノの速さの測定の方法の間違いか, アインシュタインの説の間違いかになるならば測定方法の間違いを信じる方だが。









イチロー選手が大リーグで続けるシーズン200安打だ。
最終戦を残しあと16本。
空前の延長戦にでもならぬ限り「11年連続」はない







平成23年9月29日の天声人語よりの引用


途切れた記録の値打ちは、メディアの騒ぎぶりが語る。

平幕から横綱まで、足かけ4年の負け知らず。

双葉山の連勝が69で止まった時は街に号外が出た。

名勝負を伝えるNHKラジオは「70は古希、古来まれなり」と始まる。

和田信賢アナウンサーによる伝説の実況だ

▼「……双葉山敗る双葉山敗る。

時、昭和14年1月15日、旭日(きょくじつ)昇天まさに69連勝。

70連勝を目指して躍進する双葉山、出羽一門の新鋭、安芸ノ海に屈す」。

国技館には煙草(たばこ)盆やミカンが飛び、和田アナは座布団を被(かぶ)って放送した

▼より静かに、されど厳かに尽きるのは、イチロー選手が大リーグで続けるシーズン200安打だ。

最終戦を残しあと16本。

空前の延長戦にでもならぬ限り「11年連続」はない

▼オリックス時代の1994年から続く打率3割台も終わる。

あれほどの打者である。

昨季までとの違い、すなわち来月38歳になる肉体の近況については、当人の弁を待つしかない

▼200安打も3割も、一球ごとの集中を点描画のごとく重ねての労作。

それを何年分も積んだ高みで、彼はバットを振る。

敬意を込めて、記録の途絶ではなく確定としたい。

04年の最多安打262本に次いで、しばらくは誰もさわれない「古来まれ」なる数字が固まった

▼双葉山の偉業に白鵬が挑戦し、あと6勝に迫った興奮は記憶に新しい。

イチローが残す記録も、夢多き後進たちが挑むべき、真新しい壁だ。

塗り立てのペンキも香(かぐわ)しく、フィールド・オブ・ドリームスにそそり立つ。



イチロウ−が200安打を続けるのは大変な偉業だが,プロ野球はあくまでもお客さんがあってのプロだから

面白くして観客を喜ばし営業に結びつける面も有るのではないかと考える所もある。

確かに凡人ではないことは誰もが認めるところである。 







9月の言葉から





平成23年9月30日の天声人語よりの引用


永住のため「帰日」したドナルド・キーンさん(89)が語る。

「終戦直後、東京には煙突しかなかった。東北にも奇跡は起こる」。

震災から半年、首相と大関が一人ずつ生まれ、二つの台風が上陸、三人の元政治家秘書が断罪された9月の言葉から

▼日本人では4年ぶりの新大関、琴奨菊(27)は「万理一空(ばんりいっくう)の境地を求め」と精進を誓う。

次は故郷の九州場所。

「前に出る相撲しかない。

それを見てもらい、地元を盛り上げたい」

▼「誘発地震が重なり、被害が広がれば我々が持っている対応力が完全に不足する。

背筋に氷の柱が立ったような感覚を覚えている」。

要職で政権を支えた福山哲郎参院議員が「3・11」を振り返って

▼宮城県亘理町の小3小野望美さんに、津波で亡くなった母由美子さんの手紙が届いた。

新入学時の思いを伝えるランドセル会社の企画。

「このてがみをみんなでよんでいるところをたのしみにして、これからおかあさんはがんばっていきます」

▼実りの秋が泣く。

土壌汚染が気にかかる福島市のナシ農家、紺野秀一さん(43)は「土はじいちゃんの代からこだわってきた」。

いわき市の漁師白土雅之さん(53)は操業休止を恨む。

「水の色や天候を読んで魚を探す。

若いもんは海に出ないと勉強にならない」


▼植樹活動でノーベル平和賞のワンガリ・マータイさんが71歳で死去。

母国ケニアの新聞編集長が惜しむ。

「大統領より大きな存在。

色んな場で活躍してほしかったが、時間が足りなかった」。モッタイナイ。




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