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10月について
10月は一番秋らしい季節である。暑くもなく寒くも無く身体にとっては一番有り難い季節でもある。
味覚の秋とも言われるが,あまり贅沢な食事は好まない。いつもの毎日食べている食事で充分である。
飽食が叫けばれだし,それによる肥満によるメタボリックシンドロームが国民の健康への配慮から毎年検診が行わられるようになっている。
だが受診される人が決まってきており,本当に肥満だと自覚しているような人は受けようとされない。
タバコを値上げし,喫煙者を減らそうとする新政権の思惑も,タバコ農家への配慮と,喫煙者からの反発を恐れてか挫折している。
マスコミ報道では自民党が難色を示し,政権運営を円滑にするため自民党の意向をとりいれての妥協である。
やはり此処の所は、国民の真の幸せを願うなら頑張って欲しかった所です。
喫煙により若い頃は弊害は出てこないが60歳-70歳位の年齢になると弊害が必ず出てくるものだ。
身体のあらゆる箇所からの癌,の発生率の上昇 心筋梗塞 脳梗塞でのタバコの害が指摘されている。
特に肺癌 高齢者のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は高率に発生する。
メタボも叉癌発生の要因であることが指摘され出してきた。タバコと肥満は健康への一番の悪因子である。
タバコを吸うていないたという人によく聞いてみると,現在は止めたが5年前まで 或いは10年前迄は吸うていたという人たちを良く見かける。
だがこの事は自分の健康にとって,喫煙した期間だけの罪を犯したことになる。
罪に対する罰は必ず受けなければならない。
健康の為一切タバコはすわない方が良い。吸っている人は早く止めることである。
自分は特別だから大丈夫だから吸っているような人はタバコ依存症の方で病気であるから治療の対象となる。
禁煙クリニックへの受診をすすめたい。
自発的に自然にタバコを止めさせるには一箱600円から千円位にすればよいと思っている。
税の増収を期待するより,人々の健康のために是非やるべきである。一本2-3円徐々に値上げの話は残念ながら無くなった。
外交でのTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加が話題になってきているが結局日本は参加への協議に入る準備段階に参加する
ようだか゛,参加すれば半植民地国家日本としてアメリカの言いなりになることは明らかなように思う。
米軍の沖縄基地一つとっても,日本政府として沖縄県民の反対の意思を率直に言えないような状態でアメリカに拒絶されることは明白だ。
日本にはアメリカとはまともな交渉能力は持っていないと想像している。農家への壊滅的打撃や
日本の優秀な国民皆保険制度も営利資本の進出の餌食となるのではないかと心配する。
今ブータン国が話題になっている。
国民総幸福の社会を目指そうとして,質素ながらも幸福感ある生活をめざしているようだ。
日本も鎖国しながらも幸福感ある藩政を布いていた時代があった。便利さは少ないが原発によるような放射能被害によって
子々孫々まで影響を与えるようなことのない社会を目指してほしいものである。
放射能被害におびえながら幸せな心を持てといっても無理な話である。
テレビを見ていてヨーロッパの国々では民族衣装や その国の特徴ある家屋が残っている様子を見かける。
だが日本も韓国も全くアメリカの植民地のように,アメリカ同様巨大なビルが立ち並び,一見するだけで何処の国か解らないような現状である。
アメリカナイズされることが本当に日本国民にとって幸福なのかどうかも反省すべき時期に来ているようだ。
敗戦後70年以上経っても,尚アメリカと対等の交渉が出来ないのは両国民にとっても不幸なことである。
アメリカ内での貧富の差が激しいのは敗戦直後のアメリカと日本の差以上に見えてくる。
日本はデフレ不況にあってもヨ−ロッパ アメリカに比べまだ安定しているので,円が買われ円高 ドル安になっているようだ。
アメリカ ロシア それに中国も兵器産業に依存する戦争国家で武力でもって圧力をかけ,自国の繁栄をもたらすような社会システム,にある。
これは21世紀の世界になっているのに尚20世紀の残渣にしがみついているように思える。
日本は敗戦後,戦争に懲り懲りし武器を放棄して「戦争放棄の永久平和国家」を憲法で宣言している。
このことが現在,日本の安定をもたらし,ヨーロッパでのドイツと同じような道を進んでいるように思える。
不安定なヨ−ロッパの中でドイツだけがまだまだ経済的に安定しているのも其の為かと思える。
ドイツ 日本ともアメリカ軍の基地での駐留はいまだにつづいており、大国ながら国連常任理事国にもなれていない。
武器に頼る特に米国 ロシア 中国などが 日本・ドイツに見習い平和な世界を目指し一致協力すれば
ブータンのような国民総幸福な世界が確立されるものと信じたい。
日本国憲法前文の歌(動画)
坊やおおきくならないで(動画)
放射能はいらない(動画)
野田氏を鍛えた辻立ちの、記念すべきデビューは25年前のきょうだった。
平成23年10月1日の天声人語よりの引用
さだまさしさんの「追伸」は歌い出しから手紙調だ。
〈撫子(なでしこ)の花が咲きました/芙蓉(ふよう)の花は枯れたけど……〉。
女子サッカーの開花をふと思うが、〈あなたがとても無口になった秋に〉と続けば、野田首相の仏頂面が浮かんでくる
▼立ち話のぶら下がり取材を拒み、報道陣の声かけには無言、記者会見も昨日がようやく3回目だ。
「当初からスピード違反はできない。
加速しても安全運転」とは、寡黙の釈明だろうか
▼ただの挨拶(あいさつ)でさえ、「長く話すと支持率が落ちますので」と切り上げる首相をテレビで見た。
笑えぬ本音らしい。
臨時国会での用心深い受け答えには、説法で鳴らした面影は薄い
▼野田氏を鍛えた辻立ちの、記念すべきデビューは25年前のきょうだった。
半年後の千葉県議選を目ざして、JR津田沼駅前にひとり立つ29歳。
通勤の人波に気圧(けお)されつつ、老人の孤独死に触れたら「朝から暗い話をするな」と怒られた
▼演説の場は、駅前から国会へ、国連へと大きくなった。
ところが、地位が口を重くする以上に、民主党内外の波風を恐れている。
弁舌は安カマボコのように、板には付いているが味気ない。
歌を忘れたカナリア哀れ。
役人言葉をよどみなく吟ずる姿はつらい
▼首相は、小沢元代表にお金の説明を促す風でもない。
片や霞が関とは復縁し、増税論議はにぎやかに、脱原発の覚悟はすでに怪しい。
手法や政策が大して変わらないなら、政権交代は茶番であろう。
違うと言うなら野田さん、地声で歌いませんか。
野田氏の政治手腕は解らないが一番長く苦労されての総理だから国民の苦労はわかっているものと思える。
一概には言えないが世襲政治家の方が弊害が多いように思える。
またの名を「ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)」と言うそうだ。
彼岸花のことである
平成23年10月2日の天声人語よりの引用
またの名を「ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)」と言うそうだ。
彼岸花のことである。
葉が出る前にするすると茎が伸びて花が咲き、葉は花が終わってから出る。
葉と花をいちどきに見られないゆえの異名だと、ものの本にある。
〈前略でいきなり咲きし彼岸花〉神田衿子
▼それ以外にも彼岸花は土地土地で様々に呼ばれ、異名は50を超えるそうだ。
「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」はよく知られる。
「死人花(しびとばな)」は墓地に咲くことが多いためらしい。
わが郷里では、花の形からか「舌曲がり」と呼んだ。
この名もどこか禁忌のニュアンスがある
▼その赤い花が、仕事で訪ねた上州の山里で、土手に畦(あぜ)に咲いていた。
群れ咲く姿は遠目にも、火を焚(た)くように浮かび上がる。
赤トンボも舞って里は秋の匂いがした。
ススキが揺れて「おいでおいで」と人を呼ぶ
▼秋の七草ながらススキは地味だ。
だからこそだろう。
「心なき人には風情を隠し、心あらん人には風情を顕(あら)はす。
只(ただ)その人の程々に見ゆるなるべし」と江戸期の俳人鬼貫は説いた。
雑草としか見えないようでは風流は失格らしい
▼彼岸に合わせてぴたりとやって来た今年の秋は、律義者らしく衣替えの週明けにはいっそう深まるそうだ。
天気図の曲線は、早くも「冬の胎児」を宿らせたかのような、ふくらみとへこみを描いている
▼北海道の山間部では雪も見込まれるという。
〈冬は又(また)夏がましじやと言ひにけり〉鬼貫。
勝手な頼みだが律義は秋を限りとし、冬は道草好きの、少々怠け者がありがたい。
田圃のあぜ道に咲く彼岸花も秋の田園風景に彩りを添えてくれる。
その王に、内戦のリビアで雲隠れしたカダフィ大佐を重ねた、
平成23年10月3日の天声人語よりの引用
主人公にして悪党という人物をシェークスピア劇に探すならマクベスとリチャード三世だろうか。
後者は実在したイングランド王。
劇中、あらゆる謀略をめぐらせて王位強奪の野望を果たすが、ついには無援の討ち死にをする
▼その王に、内戦のリビアで雲隠れしたカダフィ大佐を重ねた、先週のオピニオン面のコラム「風」が面白かった。
大佐がシェークスピアに一家言あるという話にも少々驚かされた
▼わが覚束(おぼつか)ない知識でも、カダフィ氏敗走はどこか「リチャード三世」の終幕を思わせる。
味方は寝返り多勢に無勢、ついに徒歩(かち)となった王は叫ぶ。
「馬をくれ、馬を!馬の代わりにわが王国をくれてやる!」(小田島雄志訳)
▼もっとも王は逃げるためではなく、さらに闘うために馬を欲した。
国内潜伏中と見られる大佐はいま、どちらのための「馬」を欲していようか。
これ以上の流血は無用と願いたい
▼劇の終幕では、王の手にかかった者の亡霊が次々に立ち現れる。
片や先日、リビアの政治犯収容所近くの地中から人骨らしいものが見つかったと記事が伝えていた。
〈独裁者去れば人骨顔を出し〉と、これは朝日川柳に載った。
新時代への尊い人柱と言えようか
▼とはいえ案の定、独裁の重しがとれた国内は諸勢力がせめぎ合ってまとまらない。
「革命の果実」の取り合いもある。
シェークスピア劇に「終わりよければすべてよし」があるが、実世界では終わりは次の始まりでもある。
その難しさを乗り越えて行ってほしい。
カダフィ大佐も過去の人になってきている。何故にこのような人物がリビアを長年君臨していたのかは理解に苦しむ。
昨年秋のたばこ大幅値上げから1年がたつ
平成23年10月4日の天声人語よりの引用
「世の中は澄むと濁るの違いにて」と言う。
そのあとに「福に徳あり、ふぐに毒あり」とか「刷毛(はけ)に毛があり、はげに毛がなし」などと続けて戯(ざ)れる。
濁点のあるなしで意味が変わる日本語の遊びだ
▼はたと手を打つものもある。
「今日も元気だ たばこがうまい!」は、専売公社時代の懐かしい宣伝文句。
これが濁点を一つ取ると「今日も元気だ たばこかう(買う)まい!」と禁煙のすすめに早変わりする。
織田正吉さんの『ことば遊びコレクション』に教わった
▼昨年秋のたばこ大幅値上げから1年がたつ。
大手製薬会社のこの夏の調査で、3人に1人が「買うまい」と禁煙に挑戦し、4割近くが成功したことが分かった。
私感だが、まずまずの歩留まりではあるまいか
▼歴代の政府はたばこ税を「金づる」にしてきた。
そこから「国民の健康」へと舵(かじ)を切ったのが去年の値上げである。
禁煙に踏ん切りたい人の背中を一斉に押す効果をもたらした。
懐に響くことには誰しも敏感になる
▼そして今年、さらなる増税が震災復興財源として政府案に盛り込まれた。
1本あたり2円の加算は、来年秋からの見通しだ。
まだ先の話ではある。
だがここは、復興のためにせっせと紫煙をくゆらせるより、これを機に煙断ちを考えてはいかがだろう
▼言葉遊びに戻れば「背(せい)は高く、税(ぜい)なら低く」だろうが、禁煙のきっかけを求めて、いっそ「税は高く」の愛煙家もおられようか。
命を縮めての一助より、長く健康に働いて貢献する方がいい。
「歴代の政府はたばこ税を「金づる」にしてきた」 タバコは如何に健康を蝕んでいるかの広報が徹底されていない。
メタボ対策と同様に健康対策としてタバコの増税を実施してほしい。
タバコを追放することによって如何に国民の健康のためになるかが政治家には判っていない。同様にマスコミにも判っていない。
「レモン忌」がもう一つある
高村智恵子の命日で、きょうがその日になる
死して73年、光太郎の詩集「智恵子抄」から70年、
故郷福島は原発禍に苦しむ
平成23年10月5日の天声人語よりの引用
世に知られた文人の命日には色々と名がつく。
たとえば芥川龍之介は河童(かっぱ)忌、正岡子規は糸瓜(へちま)忌。
梶井基次郎は小説の題にちなんで「檸檬(れもん)忌」と呼ばれている。
同じ名の「レモン忌」がもう一つある。
高村智恵子の命日で、きょうがその日になる
▼死の際(きわ)をうたった夫、高村光太郎の絶唱「レモン哀歌」は名高い。
〈そんなにもあなたはレモンを待つてゐた/かなしく白くあかるい死の床で〉と始まり、
〈写真の前に插(さ)した桜の花かげに/すずしく光るレモンを今日も置かう〉と結ばれる。
一字一句を愛誦(あいしょう)している方もおられよう
▼智恵子で思うのは福島の天地である。
いまの二本松市で生まれた。
〈あれが阿多多羅山(あたたらやま)/あの光るのが阿武隈川〉。
あるいは〈阿多多羅山の山の上に/毎日出てゐる青い空が/智恵子のほんとの空だといふ〉。どれも光太郎の詩の一節だ
▼死して73年、光太郎の詩集「智恵子抄」から70年、故郷福島は原発禍に苦しむ。
観光もふるわない。
智恵子記念館の3月から8月の来館者は、去年の1万6千人の約2割に減ったそうだ
▼紅葉に染まって「山粧(よそお)う」季節だが、森林では放射能汚染の調査が続く。
除去されて土に還(かえ)れぬ落ち葉もあるという。
智恵子と光太郎は天上で何を思っていよう
▼詩の中では、レモンの数滴が智恵子の意識をぱっと正常にする。
例えは美しすぎるが、私たちもまた目を開いたのではないか。
核はやはり命の営みとは相いれないと。
「ほんとの空」を汚しては、人は生きていかれない。
原発放射能の被害は智恵子記念館にも襲っている。核による平和的利用での原発は至る所に不幸を撒き散らしている。
人類にとって原子の「核」は「悪」だ。
オランダの西インド会社が先住民からマンハッタン島を「買った」ことを言う
のちに島はニューヨークの中心となる。
平成23年10月6日の天声人語よりの引用
「格安買い」と訳せばいいのか、後世に「史上最大のバーゲン」と呼ばれる取引が17世紀の米大陸であった。
オランダの西インド会社が先住民からマンハッタン島を「買った」ことを言う
▼払ったのは、はした金程度の酒類や日用品だったそうだ。
のちに島はニューヨークの中心となる。
ご存じの繁栄と富の集中を思えば、まさに格安だった。
初期の移住者は、先住民や外国の攻撃に備えて島の南部に丸太の壁(ウォール)を築いた。
それが、世界の金融を引っ張る街の名の始まりという
▼その街を「強欲資本主義の象徴」と非難する若者らのデモが広がっている。
「ウォール街を占拠せよ」が合言葉。
貧富の格差への怒りはネットで増殖し、全米に飛び火している
▼3年前のリーマン・ショックは経済を揺るがし、米では金融機関に公的資金が注入された。
なのに懲りもせず富を独占し、一方で貧困層は増え続ける。
失業率は9%を超え、若い層はより厳しい。
怒りはもっともだろう。
背景を思えば政府も黙殺できまい
▼オバマ大統領は就任演説で「富裕層だけを利していても国は繁栄できない」と高らかに語っていた。
オバマ氏には若い支持者が多かった。
抗議行動は、民主党大統領への期待の残り火であるとともに、裏切られた思いの異議申し立てでもあろう
▼17世紀のウォール街の防壁は、その後に木からレンガに変わり、銃も備えられたそうだ。
時は流れていま、牙城(がじょう)に富と財を囲う一握りに、広い共感が集まるとは思えない。
オバマ大統領は就任演説で「富裕層だけを利していても国は繁栄できない」と話しているが,さらに兵器産業
バブルの原因でもある金融資本か゛富裕層を作っている。そして世界に不幸をばら撒いている。
現在のアメリカ大統領オバマ氏に期待する。
多くの遺骨が今も残るフィリピンで、厚労省による遺骨収集のずさんさが明るみに出た。
平成23年10月7日の天声人語よりの引用
かつてご紹介した詩をふと思い浮かべた。
〈戦死やあわれ/兵隊の死ぬるや あわれ/遠い他国で ひょんと死ぬるや/だまって だれもいないところで/ひょんと死ぬるや……〉。
胸を絞るような詩を残して、竹内浩三は終戦の年にフィリピンで戦死した
▼才を惜しむ人たちによって広まった詩は「骨のうたう」という。
戦場に散った自分が白木の箱で故国に戻ってくる。
そんな想像だ。
戦死と、骨になっての帰国を「こらえきれないさびしさや」と表した。
しかし彼の骨は戻らなかった
▼そうして多くの遺骨が今も残るフィリピンで、厚労省による遺骨収集のずさんさが明るみに出た。
女性や子どもも含め、日本兵ではないと見られる骨が多数混じっていたという。
関連はともかく、近年墓荒らしが相次いでいたと聞けば、胸のふさぐ遺族は多かろう
▼NPO法人に委託し、現地任せにした結果のようだ。
千鳥ケ淵の戦没者墓苑に納めた4500人の遺骨は他に移された。
やっと戻った故国で安らげなくては、骨も浮かばれまい
▼墓から暴かれた骨も泣いていよう。
しっかり鑑定して、こちらも戻すべきは祖国に戻すべきだ。
そもそも海外での遺骨の収集は、他国を戦場にした歴史に根ざす。
戦没者を悼みつつ、そこは胸に畳まねばならない
▼婚約者を沖縄戦で亡くした随筆家、故岡部伊都子さんの一文が浮かぶ。
「骨にも幸、不幸のあることを生きているものの幸、不幸と同じように感じてしまう」と。
この誠実が関係者に欲しい。
人の弱みにつけ込んで外地で現地の人の遺骨を戦死した日本兵の遺骨として提供しての慰霊とはなんだろうか。
むしろ二度と再び日本は戦争をしない国であることを守ることこそが,死んだ人達の慰霊ではなかろうか。
スティーブ・ジョブズ氏の語った「馬鹿」にも味わいがあった
亡くなった米アップル社のカリスマ創業者である
平成23年10月8日の天声人語よりの引用
濁点のあるなしで意味の変わる言葉遊びを先日書いたら、面白いという便りをいくつか頂戴(ちょうだい)した。
そこで調子に乗って、まど・みちおさんの「ちがい くらべ」なる詩の一節をご紹介しよう。
〈はか しんでからで/ばか いきてるうち〉
▼「はか」はともかく「ばか」はニュアンスの幅が広い。
人をけなす言葉、かと思えば人への温かい情愛を包んでも使われる。まどさんのは後者だろう。
人間肯定の深い思いが背後にある
▼スティーブ・ジョブズ氏の語った「馬鹿」にも味わいがあった。
亡くなった米アップル社のカリスマ創業者である。
6年前、スタンフォード大で卒業生に贈った「馬鹿であり続けよ」(Stay Foolish)の一語は語りぐさだ。
何よりもその生涯が、「お利口」では出来ない型破りを成してきた軌跡でもあった
▼iPod(アイポッド)、iPhone(アイフォーン)をはじめ、業績を連ねれば小欄の字数などたちまち尽きる。
ともあれ、この人が「創っては壊し」を繰り返すたびに、世界は好奇心と楽しみを膨らませた
▼その訃報(ふほう)を、多くの人が、氏が世に出したスマートフォン(多機能携帯電話)で知った。
悼む言葉がツイッターで世界中にあふれた。
56歳のピリオドは早すぎるが、世界を変えたITの旗手としては、本望ではなかったか
▼卒業式のスピーチで、ジョブズ氏はこうも語っていた。
「自分のハートと直感に従う勇気を持ちなさい」。
生と死とを隔てたが、お墓の中からもきっと若い世代を励まし続けるに違いない。
アップルは世界に行き渡っている。日本ではソフトバンクが販売を一手に引き受けている。パソコン業界では
得意なエリートに育っている。スマートフォンが中々手に入らない状態だ。
富山市の松田姉妹は、朝日歌壇にきらめく幼年歌人の代表格だろう
平成23年10月9日の天声人語よりの引用
青い閃(ひらめ)きに打たれる心地よさは同じとみえ、選者も姉妹の投稿を楽しみにしているという。
〈今すぐに大人になりたい妹とさなぎのままでいたい私と〉松田梨子(りこ)。
〈走るのがおそい私は泳ぐのが苦手な魚と話してみたい〉松田わこ
▼富山市の松田姉妹は、朝日歌壇にきらめく幼年歌人の代表格だろう。
梨子さん(13)、わこさん(10)は昨年春に初登場、掲載は仲良く30首を超え、はや常連の域である
▼よく互いを詠む。
〈妹の笑顔の寝顔かわいくて歯磨き中のパパまで呼んだ〉、〈玄関でクルッと回ってスカートをふわっとさせてねえちゃんお出かけ〉。
〈妹は新しいブーツ欲しくって勉強をするお手伝いをする〉、すると〈新しいブーツで行ったコンサートきちんと足をそろえて聞いた〉
▼歌は姉妹の成長記でもある。
〈試着室鏡の中に私より先にセーラー服着た私〉と姉は大人びる。
妹は〈ガイドブックとおんなじ抹茶パフェがきて京都を食べた上から順に〉と、おちゃめに我が道をゆく
▼姉妹は母由紀子さん(41)と散歩しながら、指を折る代わりに、大きな声と歩数で五七五七七のリズムを体に刻んだという。
大地から授かった歌心は、両親との歌集『たんかでさんぽ』(角川書店)にも息づく
▼娘を「なでしこ」にしたい向きもあろうが、足の使い道は色々ある。
瑞々(みずみず)しい感性と情熱が三十一文字に向かう時、
限りある経験や語彙(ごい)はハンディにならない。
輝ける童心、恐るべし。
大人にまねできない、今が盛りの才能を見守りたい。
ネットで富山市 松田姉妹で検索すると富山市内の 松田姉妹が天声人語で取り上げられたと
評したホームページが多い。内容は幼い子供の和歌として感ずるのだが。
茫然(ぼうぜん)自失の人々をよそに、彼らは権力に取り入り、
白紙に好きな絵を描く。
惨事便乗の商売は途上国に限らない
財政難で強まる官から民へ、
市場任せの風潮も好機らしい。
平成23年10月10日の天声人語よりの引用
震災後、ひどい略奪が起きない日本を世界は称賛したが、人影が消えた被災地は出店荒らしや空き巣にやられていた。
どさくさこそ稼ぎ時とみるのは、こそ泥ばかりではない
▼「人々が精神的なよりどころも物理的な居場所も失って、無防備な状態にあるそのときこそ、彼らにとっては世界改変の作業に着手するチャンスなのである」。
近刊『ショック・ドクトリン』(ナオミ・クライン著、幾島幸子・村上由見子訳、岩波書店)の一節だ
▼彼らとは、戦争や内乱、災害などの混乱に乗じ、改革と称してひともうけを企(たくら)む勢力を指す。
筆者のカナダ人ジャーナリストは、イラク復興に群がるグローバル企業を取材して執筆を決めたという
▼茫然(ぼうぜん)自失の人々をよそに、彼らは権力に取り入り、白紙に好きな絵を描く。
惨事便乗の商売は途上国に限らない。
財政難で強まる官から民へ、市場任せの風潮も好機らしい。
俗耳になじんだ「小さな政府」への異議に、ざらりとした読後感が残った
▼震災も「彼ら」には商機だろう。
そこには生活と街と産業の再建にもがく住民がいて、予算がつけば総額十数兆円の復興計画が動き出す。
東北3県は、スーツ姿の火事場泥棒にもご用心である
▼「強欲の自由」は、各国で貧富の差を広げ、職なき若者の怒りは本家本元の米国にも広がった。
自由競争の功は多々あれど、過ぎた市場信仰は社会に不安定の災いをもたらす。
すでに深手を負った被災地ぐらい、部外者の金もうけとは無縁の場所でありたい
何百年も続いた家が壊され 其処に何代も住み続けていた人たちが全員が亡くなりお墓まで流されたということになると
本当に気の毒で,さらに放射能で汚染し同じ場所で住むことが出来ない人達のことを考えると本当に胸が痛む。
核の平和利用は絶対止めることだ。
茫然(ぼうぜん)自失の人々をよそに、彼らは権力に取り入り、白紙に好きな絵を描く
惨事便乗の商売は途上国に限らない
財政難で強まる官から民へ、市場任せの風潮も好機らしい
平成23年10月11日の天声人語よりの引用
震災後、ひどい略奪が起きない日本を世界は称賛したが、人影が消えた被災地は出店荒らしや空き巣にやられていた。
どさくさこそ稼ぎ時とみるのは、こそ泥ばかりではない
▼「人々が精神的なよりどころも物理的な居場所も失って、無防備な状態にあるそのときこそ、
彼らにとっては世界改変の作業に着手するチャンスなのである」。
近刊『ショック・ドクトリン』(ナオミ・クライン著、幾島幸子・村上由見子訳、岩波書店)の一節だ
▼彼らとは、戦争や内乱、災害などの混乱に乗じ、改革と称してひともうけを企(たくら)む勢力を指す。
筆者のカナダ人ジャーナリストは、イラク復興に群がるグローバル企業を取材して執筆を決めたという
▼茫然(ぼうぜん)自失の人々をよそに、彼らは権力に取り入り、白紙に好きな絵を描く。
惨事便乗の商売は途上国に限らない。
財政難で強まる官から民へ、市場任せの風潮も好機らしい。
俗耳になじんだ「小さな政府」への異議に、ざらりとした読後感が残った
▼震災も「彼ら」には商機だろう。
そこには生活と街と産業の再建にもがく住民がいて、予算がつけば総額十数兆円の復興計画が動き出す。
東北3県は、スーツ姿の火事場泥棒にもご用心である
▼「強欲の自由」は、各国で貧富の差を広げ、職なき若者の怒りは本家本元の米国にも広がった。
自由競争の功は多々あれど、過ぎた市場信仰は社会に不安定の災いをもたらす。
すでに深手を負った被災地ぐらい、部外者の金もうけとは無縁の場所でありたい。
今こそ官による復興を指導して欲しい。関東大震災の時の後藤新平 名古屋空襲での焼け跡地に100メートール道路を作ったような
アイディアに富んだ政治家が指導して欲しい。金儲けの場にならないように其処で利益を上げたならば被災地に利益を還元させるような
条例を作り強く規制すべきだ
今年のノーベル平和賞が贈られる女性3人のうち、
エレン・サーリーフ氏(72)は西アフリカのリベリアの大統領
独裁やら汚職やらで「男たち」が荒廃させた国を立て直してきた
平成23年10月12日の天声人語よりの引用
「暮しの手帖」を創刊した伝説の編集者、故花森安治に「女だけの政治」と題する一文がある。
戦後しばらくして書かれたが、もはや男の政治はダメだから女に任せてみよ、という論旨に古さはない
▼いわく「(昔から)政治は男のやるものときまっていた。
そして男たちは、ああでもない、こうでもないといろいろやってきたが、どうやってみたところで、
戦争は次から次へとくりかえされるし、世の中の不合理は、すこしも改まらないのである」と。そんな花森がうなずくような、
今年のノーベル平和賞だった
▼贈られる女性3人のうち、エレン・サーリーフ氏(72)は西アフリカのリベリアの大統領。
独裁やら汚職やらで「男たち」が荒廃させた国を立て直してきた
▼約27万人が内戦で死に、失業率は85%、識字率4割という出発点から6年前に走り出した。
汚職撲滅のために財務省の全職員300人を解雇し、同省や司法、商務などの大臣、警察トップに女性を起用した。
「剛腕」とはたぶん、こうした人のことを言う
▼自身、投獄された経験があり、その姿勢は「非暴力」に根ざす。
「非暴力は人間に委ねられた最大の力である」とガンジーは言った。
現職政治家ゆえ毀誉(きよ)も褒貶(ほうへん)もあろうが、現実を変える手段としての非暴力のパワーを信じたい
▼ノーベル平和賞は栄(は)えある賞ながら、逆説的だ。
不幸や不条理が大きいほど賞は注目され輝きを増す。
受賞3女性の「銃なき闘い」が、平和賞不要の平和な世界につながるよう願う。
リベリアでの戦争が頻発している国の大統領の受賞は其の国に世界の目が向いて戦争は根絶されると思う。
武器の輸入はどこの国からなのか。?
昔アメリカへの黒人奴隷の輸出拠点のようだった。
本日は、華岡青洲が通仙散という生薬で全身麻酔に成功し
外科手術を行った日とある
平成23年10月13日の天声人語よりの引用
楽屋話めいて恐縮だが、書くテーマに悩むときは「その日の歴史」を調べてみたりする。
本日は、華岡青洲が通仙散という生薬で全身麻酔に成功し、外科手術を行った日とある。
207年前、世界に先駆けての業績であったという
▼その「麻酔」と、「世界に先駆けて」で、iPS細胞の山中伸弥・京大教授に連想が飛んだ。
現代医療を根っこから変えうる万能細胞を世界に先駆けて作り出した。
ノーベル賞の呼び声が高いのは、せんだっての報道でご存じの通りだ
▼「麻酔」の話も山中さんにある。20代のころは腕の悪い整形外科医だったという。
普通は10分ほどの手術に1、2時間も要したらしいから、ご謙遜ではあるまい。
友人の手術をした時、途中で麻酔が切れかけて「すまん」と謝ったのだそうだ
▼そんな挫折をへて研究者に転じた山中さんの軌跡は、仏の文人ラ・ロシュフコーの「箴言(しんげん)」を呼びさます。
この人間観察の達人は、神は自然の中に色々な木を植えたように、人の中にも色々な才を配した、と言う
▼続けて〈だから世界一立派な梨の木も、ごくありふれた林檎(りんご)を実らせることはできないし、
最も傑出した才能も、ほかのごくありふれた才能と同一の結果を産むことはできない〉(二宮フサ訳)
▼そこで思う。
われは本来何の木なりやと。
凡庸な林檎さながらの小欄を顧みつつ、別の才もあらん、などと考えてみる。
「本日の歴史」から、いつしか自分を励ます空想へ。
時に思わぬ所へとコラムの結末は飛んでいく。
華岡清州の麻酔は世界に飛びぬけ早くに施行されている。現在ならばノ−ベル賞は確実だ。
子弟も教育されている。華岡清州が書いた掛け軸を若い頃見たことが゜ある。学んだ弟子に対して書かれたもののようである。
宮城の航空自衛隊松島基地で津波を浴びた戦闘機である
1機110億円で買った18機が水没した
うち12機は処分、6機は修理されるが800億円かかる。
平成23年10月14日の天声人語よりの引用
壇ノ浦で平家が敗れた1185(元暦2)年、京都で大きな地震があった。
近年の調査によればマグニチュードは7.4程度だったらしい。
山は崩れ、地面が割れ、家屋がことごとく潰れる惨状を、鴨長明が「方丈記」に書きとめている
▼そして、「羽なければ、空をも飛ぶべからず。竜ならばや、雲にも乗らむ」と恐怖を記した。
今回の震災でも、空へ飛んで逃れたカモメをうらやむ声を、直後に訪ねた被災地で聞いたものだ
▼一方で、「羽があるのになぜ」と思わせたのが、宮城の航空自衛隊松島基地で津波を浴びた戦闘機である。
1機110億円で買った18機が水没した。
うち12機は処分、6機は修理されるが800億円かかる。
「お粗末」という投書が先の声欄に載った
▼被災機が修理可能かどうかを見る分解調査だけで136億円かかった。
これだけで、あの凍結された公務員宿舎の総工費を上回る。
あれやこれや計1090億円を防衛省は第3次補正予算に要求した。
羽が生えたように血税が飛んでいく
▼離陸には時間がかかり、間に合わないとの判断だったという。
無理をすれば人命も危なくなる。それは分かるとして、これだけの損失と出費を、気前よく不問には付せない国民も多かろう
▼予想される津波にハード、ソフトでどんな対策を講じていたのか。
よもや「想定外」ではあるまいが、ならば不作為の責任はなかったか。
次期戦闘機という総額1兆円規模、ピカピカの買い物の前に、進んでの検証と開示が欲しい。
戦闘機一機が110億円とんでもない高額である。平和国家日本で戦闘に使うことが出来ない戦闘機を何故に買うのか解らない。
古くなると故障も起こり廃棄されることであろう。メンテナンスにも費用がかかる事だ。
戦争放棄した国で何故にそんなに戦闘機が必要なのか?
外国の兵器産業に寄与するだけの事のように思う。しっかりして下さい日本。
「その音が三月十一日の朝で終わってしまいました」
しばらくすると避難所に新聞が届くようになったそうだ
誰からともなく配達を買って出て、段ボール敷きの一軒一軒に届け合った
平成23年10月15日の天声人語よりの引用
その音の聞こえ方は人によって違う。
ガサリかゴトンか、それともズサリだろうか。
福島県いわき市の佐々木美保さん(40)は、こう書いている。
「『カタン……』それは毎朝、わが家のポストに新聞が届いた日常の音」。
そして、「その音が三月十一日の朝で終わってしまいました」
▼しばらくすると避難所に新聞が届くようになったそうだ。
誰からともなく配達を買って出て、段ボール敷きの一軒一軒に届け合った。
「今日も朝が来た」と実感できたと、佐々木さんは感謝をつづる
▼あすの「新聞配達の日」にちなんで、日本新聞協会が募ったエッセーに、今年は震災をめぐる話が目立った。
配達員へのねぎらいや、新聞が届く日常のいとおしさに思いを寄せてくださる読者が多かった。
日本の新聞の95%は宅配され、全国の39万人がそれを担っている
▼弊紙の関係では悲しいこともあった。
岩手県陸前高田市の販売所の高2の娘さんが津波で亡くなった。
家業を手伝い毎朝配達をしていた。
あの日も5時に起き、戻ると冷えた体をこたつで温めて登校したそうだ
▼雨風を衝(つ)き、寒さに頬を赤くして、日々届けてくれる新聞に「天声人語」も載っていた。
あの朝の小欄は、奇(く)しくもニュージーランド地震で落命した日本の若者の話を書いている
▼〈「志半ば」の紋切り型では無念を言い尽くせぬ、悲しみの春である〉と結んだ言葉が今更ながらやりきれない。
娘さんは遠藤愛実(あみ)さん。
生前を知らぬ夭折(ようせつ)の名が、ひとしお胸に染みてくる。
助け合う東北の人たちの姿が心に浮かんでくる。
玄海原発をめぐる「やらせメール」の一件で、九州電力がまとめた最終報告書である
やらせ報告書に透ける独尊の色は、独占の座からにじみ出ている
平成23年10月16日の天声人語よりの引用
お知恵拝借と頼んでおきながら、それを生かした跡がない。
そのくせ参考にしたふりをされては、カチンとくるのが普通だろう。
借りたかったのは知恵より顔かと。
失礼とはこのことだ
▼玄海原発をめぐる「やらせメール」の一件で、九州電力がまとめた最終報告書である。
委ねた第三者委員会の調査結果を蔑(ないがし)ろにし、委員会が「決定的な影響」とした佐賀県知事の働きかけを認めなかった
▼自らの辞意も翻した九電社長は、「無実の方にぬれぎぬは着せられない」と言う。
さっさと原発を動かすには地元首長を悪くは言えぬ、と読める。
「顔」だけ使われた委員長、郷原信郎弁護士は「まやかし」と怒り、枝野幸男経産相も「どういう神経か」とあきれた
▼とはいえ、「こんな会社からはもう買わない」と、家中のコンセントを抜いて回るわけにもいかない。
やらせ報告書に透ける独尊の色は、独占の座からにじみ出ている
▼電力各社への目は、福島の事故でがぜん険しくなった。
洗いざらい悔い改め、出直すのが公益企業の道だろう。
原発がある自治体との癒着こそ旧弊の極み。
この期に及んで、第三者委が批判した「不透明な関係」を保ちたいとは信じられない
▼誇り高きあの顔この顔を思い浮かべつつ、九電幹部の危機意識を問いたい。
さすがに監督官庁にだけは逆らえず、枝野さんの一喝で報告書の書き直しを検討するらしい。
良くも悪くも「九州の東電」である。
地域社会での重みを思えば、病巣はむしろ深いかもしれない。
利益を優先すると結果的には世論をも作り自社の有利な事業を展開をする。やらせの世論は世の中日常茶飯事にあるのではないかと思う。
行政府と一企業 それに作られた大衆の動き 世論は民主主義の退廃した姿と思う。
総選挙での票を買う行動にも通じる。自分達の都合の良いように世論を形成する。競争原理を強調してのなれの果てである。
マツダのカタログからロータリーエンジン車が消えると聞いて、
トキ絶滅にも似た寂しさを覚えた
平成23年10月17日の天声人語よりの引用
企業イメージを決定づけた商品がある。
成長期の菓子業界でいえば、明治がチョコで森永はキャラメル、ロッテならガム、グリコの場合は楽しいオマケだった。
貢献度は小さくなっても看板商品は色あせない
▼マツダのカタログからロータリーエンジン車が消えると聞いて、トキ絶滅にも似た寂しさを覚えた。
ただ一つの搭載モデル「RX―8」の生産は来年6月まで。
研究と開発は続けるが、45年の歴史にひと区切りである
▼マツダはドイツからロータリー技術を導入し、世界で初めて量産に成功した。
その「コスモスポーツ」は、エンジンに劣らぬ独創の外観で、子ども心に宇宙や未来を思ったものだ。
オート三輪と軽の企業イメージは一新された
▼ピストンが往復する代わりに、おむすび形のローターが回る簡単な造り。
小型高出力、高回転域の強さはサーキットに向いていた。
名高いルマン24時間レースを、日本勢で初めて制したのもロータリー車だ。
ひときわ高い排気音と、打ち振られる日の丸が耳目に残る
▼弱みは燃費だった。
石油危機は総力戦でしのいだが、エコカー全盛の世には厳しい。
累計200万台。
なべて横並び、世界ものまね大会のような乗用車市場にあって、稀有(けう)な存在といえた
▼ロータリーの「R」は、アルファベットでクエスチョンの「Q」の次。
その順番通り、幾多の問題を乗り越えた看板商品として産業史に刻まれよう。
孤高の技術と、それを走らせ続けた人たちに、チェッカーフラッグを捧げたい。
エンジンには色々と種類があることが判るが,詳しいことはわからない。
発明王のエジソンが80年前のきょう没したとき、米国に功績を讃(たた)える言葉があふれた
科学・技術の進歩に人間がついて行けない時代への予言がある
平成23年10月18日の天声人語よりの引用
発明王のエジソンが80年前のきょう没したとき、米国に功績を讃(たた)える言葉があふれた。
しかし洞察の深いジャーナリストもいて、次のようなコラムが新聞に載ったそうだ
▼「現代人が周囲で生じる急激な変化を十分に理解するために必要とする英知は、
発明それ自体が進歩する速度に比べると、はるかに遅々とした進歩を示すにすぎない」。
宇宙物理学者の池内了(さとる)さんが、かつて「アエラ」の別冊に寄せた一文から孫引きさせてもらった
▼科学・技術の進歩に人間がついて行けない時代への予言である。
平たく言えば、作ったけれど使いこなすには至らず、むしろ支配されてしまうような状況だろう。
原子力から携帯まで、この80年を振り返れば慧眼(けいがん)に脱帽するほかない
▼せんだっては、他人の行動や通話を「監視」する携帯のソフトが問題になった。
携帯には便利さと表裏で干渉と束縛がついて回る。
昨日(きのう)までの黒電話を思えば、電波で結ばれ合った「24時間即応社会」という点だけでも、技術の俊足は恐ろしい
▼統計数理研究所が続けてきた調査では、「科学技術の発達につれて人間らしさは減る」と思う人が08年に56%いた。
過去最高で、半世紀ほど前の2倍という。
原発事故後はもっと増えていよう
▼昔は「必要は発明の母」だった。
いつしか「発明は必要の母」になったと先の文で池内さんは言う。
そこで日本の原発である。
必要だからあるのか、あるから必要と言われるのか。
どちらが真相かを、発明王の命日に考えてみる。
人間に手におえない領域に科学が先行してゆく感もゆがめない。人間の欲望はつきることがないが゛、
それが一歩誤ると大惨禍をきた足すことがある。人間には「足ることを知る」の格言を守る必要がある。
福島の原発も人間の限界を忘れた結果であるともいえる。原発を許可した市町村には見返りを与えるの手法は悲しい。
原発による被害は市町村の垣根を越え広く襲ってくるものである。原発は廃止にすべきだ。
熊は蛙と違い、冬眠の前に人里を騒がせることが多い
平成23年10月19日の天声人語よりの引用
ふだんが寝不足ぎみの人には「冬眠」のかもすイメージは憧れだろう。
その「冬眠」を題名にした、極めて寡黙な一作が詩人の草野心平にある。
なにしろ本文の言葉はなく、題のあとには〈●〉、つまり黒丸が一つあるだけだ
▼それが詩?と思う向きもあろうが、タイトルと黒丸が絶妙に響きあう味わいは深い。
心平さんは「蛙(かえる)の詩人」で知られる。●は丸く眠る蛙の姿か、それとも穴の暗闇だろうか。
これが熊ならもっと巨大な●が似つかわしい。
などと勝手な想像をめぐらせてみる
▼しかし熊は蛙と違い、冬眠の前に人里を騒がせることが多い。
この秋は本州のツキノワグマがおとなしいと思ったら、北海道でヒグマが出没している。
札幌でも相次ぎ、人は神経を尖(とが)らせる
▼色々な理由が考えられるそうだ。
去年はドングリが豊作だった。
たっぷり栄養分を蓄えた母グマは翌春の出生率が高くなる。
だが今年は一転して不作で、子熊が腹をすかせている。
そんな「推理」もあるように聞く
▼テディベアにせよ、プーさんにせよ、メルヘンでは愛される癒やし系である。
とはいえ現実の生き物に、夢の中にだけいてくれとは頼めない。
互いに顔を合わさないで暮らす。
それだけのことが、毎年かくも難しい
▼ものの本によれば、かのダーウィンが、熊はいずれ水生動物に進化すると推測したことがあったそうだ。
そうなれば遭遇は無くなろうが、覚束(おぼつか)ない話である。
ここは万物の霊長たる知恵で、物言わぬ森の王者との共存を探りたい。
熊にも生きる権利が有る。生存の為には食べなければならない。人間が食料とするドングリを奪えば
里に出没する。或いは熊の数が多くなり食料が不足したとも考えられる。
平野復興相が公の場で、津波被害について
「私の高校の同級生みたいに逃げなかったばかなやつがいると
言葉をめぐる空気が、どうも息苦しい
平成23年10月20日の天声人語よりの引用
小紙に連載されて人気を博した井上靖の小説「氷壁」は最後に主人公が山で落命する。
主人公に目をかけていた上司が社員を前に悼辞を述べる。
思わず口をついて出た「ばかめが!」の一語で締めくくるくだりは印象深い場面だ
▼作中で井上は、この一語を吐いた上司の内面を練達の筆で描く。
哀惜と喪失感、憤りがせめぎあう。
せんだっても小欄に書いたが、「ばか」の持つニュアンスの幅はずいぶんと広い
▼平野復興相が公の場で、津波被害について「私の高校の同級生みたいに逃げなかったばかなやつがいる。
彼は亡くなりましたけど」と語ったそうだ。
これも辞書そのままの意味ではなかろう。
だが問題になり謝罪した。
言葉をめぐる空気が、どうも息苦しい
▼扱いが難しい言葉だけに、発言に逸脱感はあるにせよ、事例を調べる必要を述べた前後の文脈はまっとうだ。
自民党幹部の言う「許されない」ようなものだろうか。
むしろそうした反応に「やれやれ」の感がある
▼言葉の切っ先は、ときに人を傷つける。
無神経は論外だが、心地良い言葉を並べてことが済むものでもない。
現実を見すえ、問い、答える言葉がリアリティーや闊達(かったつ)を欠けば、本日召集の国会論議も深まるまい
▼思い起こせば、味わい深く人を「ばか」呼ばわりする達人はフーテンの寅さんだった。
その寅さんにも「それを言っちゃあおしまいよ」の決めぜりふがあった。
おしまいにはせぬ節度を保ちつつ、震災後を語り合う言葉の自由度を広く取りたい。
施設の入所している人たちを救うため津波にのまれた人もいるようだ。堤防の門を閉めようとして災害に会った人もいる
こんな考えの人が復興相で大丈夫かと危惧する。
ギリシャ政府への抗議デモで火炎瓶が飛び、棒が振り回されている
首都アテネはマヒ状態という
平成23年10月21日の天声人語よりの引用
世に多い教訓話(きょうくんばなし)の中で「蟻(あり)とキリギリス」は最も知られた一つだろう。
触発されて書いた同名の短編が英の文豪モームにあって、こちらはまるで違う結末が用意されている
▼まじめな兄と放蕩(ほうとう)な弟がいて、これが蟻とキリギリス。
兄はこつこつ小金をため、弟は借金で遊び暮らす。
ところが老境に入らんとするとき、すかんぴんの弟に莫大(ばくだい)な財産が転がり込む。
「因果の掟(おきて)」を愉快にひっくり返した作だが、元の話を生んだギリシャには、こんな僥倖(ぎょうこう)は起こりそうにない
▼今や巨大なキリギリスと化して欧州、いや世界を脅かす国が、緊迫した事態になっている。
政府への抗議デモで火炎瓶が飛び、棒が振り回されている。首都アテネはマヒ状態という
▼南欧のおおらかさは、国の金銭感覚のゆるさに通じていたようで、いつしか巨額の借金を作っていた。
前政権は隠していたが、発覚して大騒ぎになる。
「ユーロ一家」を身震いさせて今に至ったのは承知のとおりだ
▼しまりを欠く弟に憤懣(ふんまん)やるかたない兄は、さしずめドイツか。
強いマルクを手放して一蓮托生(いちれんたくしょう)の手をつないだ。
それとも、つましく暮らすスロバキアなどの小国だろうか。
「どの家族にも厄介者がいる」というモームの一節を、苦くかみしめているかも知れない
▼グローバル化の時代、ギリシャが破綻(はたん)すれば影響はたちまち日本に及ぼう。
借金ざんまいも相通じるから、危機は近火(きんか)であり、他山の石と心得たい。
濡(ぬ)れ手で粟(あわ)の僥倖を頼めるのは、作り話の中限りである。
ギリシャの反政府デモは激しい。何故此処まで財政悪化するのを放置していたかが不思議だ。
アリとキリギリスのキリギリスを想像する。
死亡したリビアのカダフィ大佐は、DNA鑑定で本人と確かめ、埋葬されるという
平成23年10月22日の天声人語よりの引用
皇帝ナポレオンの墓はパリにある。
40年ほど前の小欄によれば、訪れる外国人はイギリス人が一番多かったそうだ。
「宿敵ナポレオンが間違いなく死んだかどうか、心配なので確かめに来るんですな」。
墓守が明快に説明してくれると、筆者は書いている
▼死亡したリビアのカダフィ大佐は、DNA鑑定で本人と確かめ、埋葬されるという。
影武者もいるとされた独裁者である。
圧政の悪夢に、間違いなく死んだのか安心できない人はまだ多かろう。
歴史のかなたの皇帝と違って、こちらはぐっと生々しい
▼英雄伝と悪人伝は紙一重だという。
カダフィ氏は王制を倒した英雄だった。
だがアラブの大義を掲げて純粋に見えた理想も、いつしか権力欲にゆがんだ。
民衆に憎まれる末路は、古来多くの英雄がたどった道である
▼さらにカダフィ氏の殉教者的な陶酔は、白旗より徹底抗戦を選び、多くの犠牲を出した。
国民に銃を向け続けた独裁者の、最後の言葉は「撃つな」だったと聞けば暗然となる
▼この人の退場で、「英雄」がアラブを治めてきた時代は終わったという。
思えば英雄は民主主義と相いれないし、民主主義には英雄はいらない。
一つの死は、民衆の政治を求める「アラブの春」を象徴していよう
▼「立ち上がることは勇気の三分の二である」という諺(ことわざ)がアラブにあるそうだ。
原意は立ち上がって質問することらしいが「決起」にも通じよう。
勇気をふるって立ち上がる民衆の怖さをご存じか。尋ねたい独裁者は他にもいる。
リビアの独裁者カダフィ大佐を世界が今まで放置していたのが不思議である。イラクのフセイン大統領の方がましのように思える。
両国とも石油産出量が多い国である。
肩書に大学生とあり、八十路(やそじ)にしてなお前向きの人生が浮かんでくる
平成23年10月23日の天声人語よりの引用
冷凍庫を整理し、お宝を見つけることがある。
旅先で買った干し烏賊(いか)だったり、作りすぎたパスタソースだったり。
冷凍物と蔑(さげす)むなかれ。解かせば懐かしい時の恵みである
▼東京紙面の投稿欄「ひととき」に、「私の日本語は冷凍品」なる一文があった。
夫の転職で1960年に渡米し、ニューヨーク近郊で半世紀を過ごした江崎真佐子さん(81)からだ。
「ら抜き」表現の広がりを小欄で知り、驚かれたらしい
▼この方の日本語は米国に持ち込んだ時の状態という。
「後生大事の母国語が、えたいのつかめぬものへと変身中の今、私の言葉は地球温暖化で徐々に沈む南方の島のごとく、
立つ瀬をだんだん失っています」と結ばれていた
▼拝読し、欧州暮らしで世話になった女性の物腰を思い出した。
やはり若くして日本を離れ、外国人を伴侶にした人である。
たとえば銀幕の原節子さんみたいな、美しい日本語の使い手だった
▼愚息が小学校を病欠した時、「お具合いかがですの」と聞かれたことがある。
快方に向かっている旨伝えると、満面の笑みで「奥様もお喜びで」。
ただの風邪なのにと思いながら、ほっこりさせられた。
雑踏で着物姿を見かけた時のように
▼異境の江崎さんも、そうした言葉たちと年を重ねたのだろう。
肩書に大学生とあり、八十路(やそじ)にしてなお前向きの人生が浮かんでくる。
立つ瀬がないどころか、お持ちの「冷凍品」こそ貴重この上ない。
語り部として、傷む前の大和言葉を「ら抜け」世代にお伝え願いたい。
八十歳で大学生になって学ぼうとする姿勢に敬服する。
円相場は1ドル=75円台の最高値を塗り替え、
ユーロに対しても強含みが続く
円高の源は欧州の債務危機という
平成23年10月24日の天声人語よりの引用
週末、見送りのため成田空港に出かけた。
出発ロビーの華やぎには、空前の円高が一役買っていたかもしれない。
円相場は1ドル=75円台の最高値を塗り替え、ユーロに対しても強含みが続く。
海外旅行の買い物リストは伸びるばかりだ
▼円高の源は欧州の債務危機という。
どうにか収まると見ればユーロが買い戻され、円も連れ高になる。
まだこじれると読めば、ユーロを売って円を買う。
いずれにせよ、どんよりした欧米の景気に比べ、震災復興という絶対目標がある日本は買いらしい
▼欧州の首脳は、銀行が抱えるギリシャ国債の価値を半減させる案を練るやに聞く。
貸金の半分を踏み倒されては銀行もきつい。
やむなく新興市場からお金を引き揚げ、世界経済が同時に縮こまりかねない
▼欧州統合は平和の理念と、商いの実利を両輪に進んだ。
経済の帰結とみえるユーロも、大欧州を誇示する政治色の濃い産物だ。
通貨は一つなのに、財政は国ごと。
果実を急(せ)いた末の中途半端こそ、宿命的な弱点といえる
▼日米とて、ユーロの矛盾を笑える財政ではない。
経済学者の浜矩子さんは「レスキュー隊が助けを求める怖い状況」と、火消し役であるべき財政の恐慌に警鐘を鳴らしていた。
世界経済は総崩れの危機にある、と
▼世界恐慌といえば1930年代が思い浮かぶ。
ギリシャでも日本でも、富裕層の国外逃避が言われるが、破局が広がる速さは往時の比ではない。
安全地帯はなかろう。
目先の円相場より、忍び寄る影が気になる。
被災で膨大な赤字を出しながらの日本の円が買われる事は世界的にまだまだ信用が有るとして喜ばしいことだ。
金融資本家の空売りの標的になっているものなのか。?
金融業界に対するもつと厳しい監視(法律による)が必要である。
アメリカ発の「99%と1%」をよく耳にする
強欲資本主義を難じ、
一握りが富を独占して大多数は貧しいと
訴える意味はご承知の通りだ
平成23年10月25日の天声人語よりの引用
10進法の世の中で、「9」は「大部分」という意味合いを持つ。
たとえば「九死に一生」などと言う。
このごろはアメリカ発の「99%と1%」をよく耳にする。
強欲資本主義を難じ、一握りが富を独占して大多数は貧しいと訴える意味はご承知の通りだ
▼この合言葉に共感する人は、沖縄をどう思われようか。
面積は国土の1%に満たず、人口は1%強。
そこに国内の米軍専用施設の74%がひしめく。
99%が1%に負担を強いる理不尽を、沖縄は長く「小指の痛みは全身の痛みではないのか」と訴えてきた
▼その小指に塩をすり込むような、野田内閣の動きである。
米国に急(せ)かされ、止まっていた普天間飛行場の辺野古移設に慌てて走り出した。
社長に一喝されて部下に無理を押しつけるような、小物(こ・もの)の中間管理職を見る思いがする
▼いまや計画の実現は難しい。
来日した米の国防長官に、首相と閣僚は自らの言葉で沖縄の実情を言う胆力があろうか。
それとも追従の官僚語に終始するのだろうか
▼小紙連載の「CM天気図」で、天野祐吉さんが「ふつう」の感覚がおかしくなっていると書いていた。
1%が大金持ちで99%が貧乏人。
そんな世の中をふつうのように思いこまされている感覚はかなりおかしい、と
▼沖縄の基地もそうだろう。
1%の島には本土と異なる戦後があった。
それを本土の人は「ふつう」と思いこんできた。
「無関心」とも言い換えられる感覚である。
異様がふつうに映る怠惰は、それが政治家ならなおさら怖い。
一時日本で総中流階級と言われていた時代が懐かしい。半植民地国家でアメリカとどのように交渉がで゛きるか。?
大変疑問に思っている。
地球が相対的にどんどん小さくなっている
19世紀には100年かけて10億人増えた
いまは世界で1分ごとに約140人増えているそうだ
平成23年10月26日の天声人語よりの引用
海は広くも大きくもない、という一文を、作家の椎名誠さんが7月の小紙に寄せていた。
椎名さんは『地球がもし100cmの球だったら』という絵本を紹介しつつ、この惑星の有限性を述べている。
直径1メートルに縮尺すれば大気の層はわずか1ミリしかないのである、と
▼すべての水はビール大瓶1本分。
海水を除いて人が飲める水はスプーン1杯の量しかない――など、目を開かされた例えをふと思い出した。
国連によれば、この31日に世界の人口が70億人になるそうだ。
地球が相対的にどんどん小さくなっている
▼19世紀には100年かけて10億人増えた。
推移のグラフは20世紀になって跳ね上がり、いまは世界で1分ごとに約140人増えているそうだ。
2050年までに93億人と聞けば、自分も一員ながら地球は大丈夫かと心配になる
▼海と同様、大地も無辺ではない。
史上、下り坂の文明は、人口増加や収奪農業による土壌の劣化、食糧不足による争いといった「衰退のらせん」を転げ落ちたのだという。
同じ轍(てつ)を人類全体が踏まないよう知恵と策がいる
▼漠とした不安を問う詩が茨木のり子さんにある。
〈人類は もうどうしようもない老いぼれでしょうか それとも まだとびきりの若さでしょうか 誰にも 答えられそうにない 問い〉
▼海も大地も、そのおっぱいをしゃぶりつつ痛めつけていては先は暗い。
地球は過去からの授かりもの。そして未来からの預かりもの。
消尽と破壊を戒めて、「母子」ともに若くありたい。
無限の世界の中での地球に生まれてきて, 有限の人生を送り無限の世界に去ってゆく,いずれ必ずに地球が滅びる時期が来る
其の間だけでも同じ地球に乗り合わせたもの同志仲良く生きてゆくことができないものだろうか。
亡くなった作家の北杜夫(きた・もりお)さんは本名を斎藤宗吉(そうきち)という
平成23年10月27日の天声人語よりの引用
小学生のころ、こんな俳句を作ったそうだ。
〈コオロギがコロコロと鳴く秋の夜〉。
大歌人だった父は面白半分にそれを見たが何も言わなかった、とご本人は回想していた
▼亡くなった作家の北杜夫(きた・もりお)さんは本名を斎藤宗吉(そうきち)という。
斎藤茂吉(もきち)の息子が下手な小説なぞを書くのは恥ずかしい、との思いでペンネームを使い出した。
松本から仙台と寒い地で学んだから北。
トーマス・マンの小説「トニオ・クレーゲル」に心酔して杜二夫(とにお)、それが杜夫になったのはよく知られている
▼父親と同様、医学生ながら文学を志した青年は、その父の存在に畏怖(いふ)と反発を抱いたそうだ。
自分が茂吉の子であることを隠し、茂吉のことを第三者として話す習性を身につけたと、若い時代の葛藤を明かしている
▼作家として立つと、詩情ゆたかな純文学と、笑い満載の「どくとるマンボウもの」という2本の筆を巧みに遣(つか)った。
故遠藤周作さんの「狐狸庵(こりあん)もの」に先がけて、高度成長期のベストセラーに名を連ねる
▼日本の文学はユーモアに乏しい。
とかくシリアスに傾き、笑うようなものは格落ちとみる風潮に、マンボウシリーズ初作の「航海記」は気持ちよく風穴を開けた
▼かつて雑誌に「私の作品など茂吉の一首にも及ばない」と語っていた。
2年前にお会いしたときに問うと、やはり頷(うなず)いておられた。
〈父より大馬鹿者と来書ありさもあらばあれ常のごとくに布団にもぐる〉は若き北さんの一首。
天上で、大いなる父君と再会を果たしているころか。
北杜夫の小説は読んだことがあるが躁欝を強調されながら書かれていたのが記憶にある。
うそには三種類ある、と言ったのは19世紀英国の宰相ディズレーリだった。
すなわち、ふつうのうそ、ひどいうそ、そして統計数字であると
平成23年10月28日の天声人語よりの引用
うそには三種類ある、と言ったのは19世紀英国の宰相ディズレーリだった。
すなわち、ふつうのうそ、ひどいうそ、そして統計数字であると。
統計にかぎらず数字は水もので、たとえば質問の仕方でがらりと変わる
▼いささか古い国内の例だが、「規則を曲げて無理な仕事をさせることもあるが、
仕事以外でも人の面倒をよく見る」という課長を良いと答える人は84%いた。
ところが前後を入れ替えて、「仕事以外でも人の面倒をよく見るが、
規則を曲げて無理な仕事をさせることもある」だと47%に減ったそうだ
▼客観的で、感情を省いたように粧(よそお)いつつ、ときに裏で舌を出しているところに数字の怖さがある。
「試算」もしかりだろう。
前提や条件のつけ方で違ってくる。
内閣府の原子力委による「原発事故のコスト試算」も、どうも覚束(おぼつか)ない
▼事故への対応にかかるコストは「1キロワット時あたり最大で1.2円」という。
だが試算の過程で「低値誘導」されているようだ。
もとになる今回の事故の損害額が、ずいぶん低く設定されているとの指摘も聞こえてくる
▼高くなれば火力などへの経済的優位は崩れる。
ゆえに思惑で丸め込んだとも評される。
「脱原発」を情緒的と指さす産官学の、それこそ情緒的な数字いじりではないのだろうか
▼夏の電力需給の試算や節電目標が実は怪しかったことも後で分かった。
数字は無私だが、背後には良くも悪くも人がいる。
何によらず、吟味する心がけは、私たちメディアの自戒でもある。
専門家が嘘をつかれるとそれに疎いものは見抜くことはむつかしい。
さて、わが野田首相である
就任以来の無難一点張りに、今と昔の双方の意味を重ねてみたくなる
平成23年10月29日の天声人語よりの引用
時の流れに意味の変わる言葉がある。
「拙速」は今はよろしくない言葉だが、もとは「やり方はまずくても事の運びが早いこと」を言い、尊ばれた。
「可もなく不可もなし」も、孔子さまが語った本来の意味とはだいぶ違っている
▼あらかじめこうしようと決めてかからない、といった意味だという。
ものの本によれば、中国では今も「決まった考えを持たない」といった表現に使うそうだ。
さて、わが野田首相である。
就任以来の無難一点張りに、今と昔の双方の意味を重ねてみたくなる
▼きのうの所信表明もしかりである。
「安全」に気を配る演説は、与党議員も拍手のしどころに困ったのではないか。
紋切り型をちりばめた安定感はあっぱれだが、自分の言葉は少なかった
▼震災復興を除く一番の聞かせどころが、自らと閣僚らの給与カットではつらい。
いまや火種のTPPや普天間はさらりとかわし、社会保障と消費増税は触れもせず。
君子危うきに近寄らず、だろうか
▼過ぎたるは及ばざるが如し、と孔子さまは中庸の徳を説いた。
野田さんも中庸を旨とするが、この信条は往々に、主体性のなさや日和見主義の別名のことがある。
首相はさにあらずと信じたいが、米国や官僚、経済界への「抵抗力」が気にかかる
▼唐突だが、名横綱の大鵬を思い出す。
「大鵬に形なし」とも言われ、自らは形をなさず、融通無碍(ゆうずうむげ)に相手を受け止めて白星を重ねた。
それならいいのだが、似て非なる「形無(かたな)し」にはならぬよう、切に願いたい。
野田首相の支持率も規定どおり下がりつつある。過激なことはされない穏かな人柄のように見受ける。
今、大王製紙の井川意高(もとたか)前会長(47)がかみしめる「必然」はどんな味だろう。
子会社から私的に106億円超を借りた件で、特別背任罪に問われるかもしれない
平成23年10月30日の天声人語よりの引用
寺山修司のギャンブル論に、ファンは「負けるべき必然」に賭けている、というのがある。
偶然の勝ちより、やはりだめかの安心感を楽しんでいると。
だからこそ「賭博には、人生では決して味わえぬ敗北の味がある」となる
▼今、大王製紙の井川意高(もとたか)前会長(47)がかみしめる「必然」はどんな味だろう。
子会社から私的に106億円超を借りた件で、特別背任罪に問われるかもしれない。
未返済は60億円ほど。かなりの大枚が海外でのカジノ遊び、寺山を気取れば「テーブルの上の荒野」に消えたらしい
▼井川氏の祖父が四国で興した同社は、「エリエール」のブランドを育み、いまやティッシュとトイレ紙の首位メーカーである。
なのに氏は、グループの経理担当者を自家用ATMのごとく使っていた
▼かつて取材した金融界の異端児を思い出す。
裸一貫から身を立てた人で、「銀行の私物化と言うけどね、もともと私物なんだから」と臆面もなかった。
同じ製紙業界にも、ゴッホやルノワールを買いあさり、「私が死んだら棺おけに」と放言したワンマン経営者がいた
▼そうした「個人商店」から脱することが大王製紙再生の道なのに、社長は「井川家の排除はありえない」と及び腰。
こびりついた同族経営の淀(よど)みは、ティッシュで拭えるほど柔じゃない
▼遊び方や負けっぷりの解明は、東京地検の捜査に委ねられる。
「負けに不思議の負けなし」という。
前半に勝ち続けた3代目の人生ルーレット、おけらで始まる後半やいかに。
会社の御曹司の金使いの荒さに驚くばかりである。政界での御曹司は国民が要らないといえば排除できる。
政治献金がよき政治への悪の根源である。直ぐに出来ることを政治家はやらない。
取り巻きの政治屋にまといつかれているからだと想像する。悪いもちつもたれつつがある
古里や老後を考えさせる10月の言葉から
平成23年10月31日の天声人語よりの引用
世界の人口がきょう、70億人に達する。
飢餓や病を克服した人類の金字塔ながら、母なる惑星の悲鳴も聞こえる。
古里や老後を考えさせる10月の言葉から
▼原発事故で全町避難の福島県浪江町。
極太の名物「なみえ焼(やき)そば」を日清食品が商品化した。
地元の宣伝隊代表原田功二さん(35)は「知名度が上がった経緯からして喜びばかりではない。
地域の振興策なのに、その地域が今はないのですから
▼「虫の声が響く、静かな生活をしてみたい」。
沖縄・嘉手納基地の爆音訴訟で、原告の高校生又吉姫香さん(17)が陳述した。
普天間問題では、稲嶺恵一前知事が「もう苦渋の選択をしなくていいと、鳩山元首相の発言で(県民は)気づいてしまった」
▼「いま認知症になっている方々は、日本の繁栄の礎を造った人たち。
どう感謝するのか、次世代につなげるべきテーマです」。
東京都医師会の野中博会長は、認知症の座談会をそう結んだ
▼元気なお年寄りもいる。
芸能プロデュースの実績がギネス認定されたジャニー喜多川さん(80)は「イケメンだからとタレントにした子はジャニーズにはいない。
やることが格好いいから格好よく見える」
▼皇后さまが喜寿の心境を文書で寄せた。
「陛下も私も、時に体におこる不具合に対処する一方で、今持っている体力があまり急速に衰えぬよう、
体に負荷をかけることも必要な、少ししんどい年令(ねんれい)に来ているかと」。
皆に等しく、だが別の顔で訪れる老い。
人として国として、どう向き合うか。
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